■将来のF-35Bと現代のF-15J
前回には海上自衛隊と航空自衛隊の航空作戦協同、という分野について記しました、海上自衛隊が輸送支援を行う事で多数の戦闘部隊基地を島嶼部や沿岸部に配置する事が出来れば、その分護衛艦隊を陸上の戦闘機防空圏内に置き作戦行動させることができます。
ヘリコプター搭載護衛艦と航空優勢確保、といいますとどうしてもF-35Bを固定翼哨戒機として艦上に搭載し、運用する方式が連想されてしまいます、確かに長期的にはF-35Bは護衛艦隊に必要な装備ではある、と考えます、特に哨戒機としての用途は大きいでしょう、F-35は統合打撃戦闘機と呼称されるように、単なるステルス戦闘機ではなく共同交戦におけるシステムの重要な端末能力を持ち、その有無で戦域優勢は大きく制約されます。ただ、導入し運用というと時間がかかるのでまだ現実的ではない。
現実的な視点ではない、というところですが、これは実現するまでに一定の期間を要するのでその前に打つ手を撃たなければ、艦隊航空が完成する以前に発生する事態に対応出来ず、戦力構築中の中途半端な状況にて最悪の事態に投じられ、必要な能力を発揮出来ない、ということです。ですから、長期的にはその必要性は高い、という立場ではあるのですが、ね。
F-35の統合戦術情報装置EODASシステム等は、光波情報を元に高度な解析機能と広範囲長距離同時索敵能力を有し、ステルス機がレーダー波を出さない環境下において洋上での索敵を行う事が可能で、ステルス機としてAMRAAMを投射し艦隊防空に当たる以上に、洋上での情報優位の骨幹能力を構成可能です、その能力は超水平線上の目標を捕捉可能で、相手に索敵の有無を察知されない事で艦隊行動全体の秘匿化が可能でしょう。
南西諸島防空とは少々脱線しますが、AV-8のような攻撃機、1980年代にはハリアーとしてサイドワインダー空対空ミサイルを搭載し、爆撃機による対艦ミサイル攻撃を発射以前に展開し発射位置へ就けない事が想定されており、改修と共に1990年代にはAMRAAMを搭載可能でありAPG-65レーダーにより一定の防空作戦能力を持つ航空機となりましたが、F-35Bは単なる迎撃の手段ではなく情報優位のための手段となる事は上述の通り。
しかし、海上自衛隊がF-35Bを艦隊運用するには、まずF-35Bの搭乗員を養成する必要が生じます、航空自衛隊から搭乗員を転属させるという安易な漫画のような設定も、航空自衛隊では洋上に浮かび波浪で動揺する100mの滑走路に着艦させるだけの要員はいません、また、整備要員も護衛艦の格納庫程度に広さにおいて全ての整備を行う訓練も当然想定外という実情があります。
もちろん、絶対に短期的にみて不可能なのかと問われれば航空自衛隊の要員を米海軍の航空母艦へ五分隊全部という単位で長期研修させ、中期防単位で航空搭乗員を養成し、空母甲板上での運用を可能とする長期的な運用構想と実運用能力合致を基盤構築するという、原子力空母でも導入しそうな小説のような設定ならば可能かもしれませんが、南西諸島防空にヘリコプター搭載護衛艦へF-35Bを搭載するという発想では、それまで十年単位の期間の代替策を考慮しない限り、間に合うものではありません。
そこで、ヘリコプター搭載護衛艦へ、F-15運用能力の輸送を、という一種の作戦輸送能力を求める事とします、もちろん、ひゅうが型、いずも型へ、飛行甲板にF-15を並べて輸送するという意味ではありません、やってみたくはあるが意味もないので、この点はさておき、離島の空港を臨時分屯基地化するにあたって、必要な機材輸送にヘリコプター搭載護衛艦の能力を利用するのです。
航空作戦用の機材をヘリコプター搭載護衛案で移動する、というものは、あくまで必要な機材をコンテナ等に梱包、もしくはパレットなどにあらかじめ搭載し、空輸可能とする体制を維持し即応待機、航空自衛隊に陸上自衛隊も含め70機が運用されるCH-47輸送ヘリコプター、または海上自衛隊のMH-53掃海ヘリコプターを輸送用に用い、ヘリコプター搭載護衛艦を給油中継拠点として使用する、というかたち。
ヘリコプター搭載護衛艦へ関連機材を搭載する、という選択肢もありますが、ヘリコプター搭載護衛艦の格納庫容積には上限があり、必ずしも一定以上のコンテナ、しかも航空部隊機動展開時に必須ではない装備を搭載する余裕はありません、この為適宜搭載する、という選択肢に収斂します、ただし、鹿屋航空基地や八戸航空基地に那覇航空基地等の航空拠点や佐世保基地に呉基地といった艦艇基地へ事前備蓄する選択肢は有り得るでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
前回には海上自衛隊と航空自衛隊の航空作戦協同、という分野について記しました、海上自衛隊が輸送支援を行う事で多数の戦闘部隊基地を島嶼部や沿岸部に配置する事が出来れば、その分護衛艦隊を陸上の戦闘機防空圏内に置き作戦行動させることができます。
ヘリコプター搭載護衛艦と航空優勢確保、といいますとどうしてもF-35Bを固定翼哨戒機として艦上に搭載し、運用する方式が連想されてしまいます、確かに長期的にはF-35Bは護衛艦隊に必要な装備ではある、と考えます、特に哨戒機としての用途は大きいでしょう、F-35は統合打撃戦闘機と呼称されるように、単なるステルス戦闘機ではなく共同交戦におけるシステムの重要な端末能力を持ち、その有無で戦域優勢は大きく制約されます。ただ、導入し運用というと時間がかかるのでまだ現実的ではない。
現実的な視点ではない、というところですが、これは実現するまでに一定の期間を要するのでその前に打つ手を撃たなければ、艦隊航空が完成する以前に発生する事態に対応出来ず、戦力構築中の中途半端な状況にて最悪の事態に投じられ、必要な能力を発揮出来ない、ということです。ですから、長期的にはその必要性は高い、という立場ではあるのですが、ね。
F-35の統合戦術情報装置EODASシステム等は、光波情報を元に高度な解析機能と広範囲長距離同時索敵能力を有し、ステルス機がレーダー波を出さない環境下において洋上での索敵を行う事が可能で、ステルス機としてAMRAAMを投射し艦隊防空に当たる以上に、洋上での情報優位の骨幹能力を構成可能です、その能力は超水平線上の目標を捕捉可能で、相手に索敵の有無を察知されない事で艦隊行動全体の秘匿化が可能でしょう。
南西諸島防空とは少々脱線しますが、AV-8のような攻撃機、1980年代にはハリアーとしてサイドワインダー空対空ミサイルを搭載し、爆撃機による対艦ミサイル攻撃を発射以前に展開し発射位置へ就けない事が想定されており、改修と共に1990年代にはAMRAAMを搭載可能でありAPG-65レーダーにより一定の防空作戦能力を持つ航空機となりましたが、F-35Bは単なる迎撃の手段ではなく情報優位のための手段となる事は上述の通り。
しかし、海上自衛隊がF-35Bを艦隊運用するには、まずF-35Bの搭乗員を養成する必要が生じます、航空自衛隊から搭乗員を転属させるという安易な漫画のような設定も、航空自衛隊では洋上に浮かび波浪で動揺する100mの滑走路に着艦させるだけの要員はいません、また、整備要員も護衛艦の格納庫程度に広さにおいて全ての整備を行う訓練も当然想定外という実情があります。
もちろん、絶対に短期的にみて不可能なのかと問われれば航空自衛隊の要員を米海軍の航空母艦へ五分隊全部という単位で長期研修させ、中期防単位で航空搭乗員を養成し、空母甲板上での運用を可能とする長期的な運用構想と実運用能力合致を基盤構築するという、原子力空母でも導入しそうな小説のような設定ならば可能かもしれませんが、南西諸島防空にヘリコプター搭載護衛艦へF-35Bを搭載するという発想では、それまで十年単位の期間の代替策を考慮しない限り、間に合うものではありません。
そこで、ヘリコプター搭載護衛艦へ、F-15運用能力の輸送を、という一種の作戦輸送能力を求める事とします、もちろん、ひゅうが型、いずも型へ、飛行甲板にF-15を並べて輸送するという意味ではありません、やってみたくはあるが意味もないので、この点はさておき、離島の空港を臨時分屯基地化するにあたって、必要な機材輸送にヘリコプター搭載護衛艦の能力を利用するのです。
航空作戦用の機材をヘリコプター搭載護衛案で移動する、というものは、あくまで必要な機材をコンテナ等に梱包、もしくはパレットなどにあらかじめ搭載し、空輸可能とする体制を維持し即応待機、航空自衛隊に陸上自衛隊も含め70機が運用されるCH-47輸送ヘリコプター、または海上自衛隊のMH-53掃海ヘリコプターを輸送用に用い、ヘリコプター搭載護衛艦を給油中継拠点として使用する、というかたち。
ヘリコプター搭載護衛艦へ関連機材を搭載する、という選択肢もありますが、ヘリコプター搭載護衛艦の格納庫容積には上限があり、必ずしも一定以上のコンテナ、しかも航空部隊機動展開時に必須ではない装備を搭載する余裕はありません、この為適宜搭載する、という選択肢に収斂します、ただし、鹿屋航空基地や八戸航空基地に那覇航空基地等の航空拠点や佐世保基地に呉基地といった艦艇基地へ事前備蓄する選択肢は有り得るでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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