北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

X-2:ATD-X(先端技術実証機)、名古屋空港三菱重工小牧南工場から今月中に初飛行方針

2016-02-04 22:14:03 | 先端軍事テクノロジー
■X-2:ATD-X(先端技術実証機)
 X-2,防衛装備庁は開発を進めてきました先端技術実証機ATD-Xについて今月中の初飛行に向け調整を進めているとのこと。

 X-2はATD-X先端技術実証機として2009年より機体政策が進められている実験機で、F-2支援戦闘機後継機として進められる第五世代戦闘機としての国産戦闘機、この為に開発された各種先端技術を航空機として進空させる新型航空機です。第五世代戦闘機は、その生存性についてステルス性を軸とし高度な運動性能と空対空を中心に多目的戦闘機としての性能を盛り込んだ航空機です。あくまで実験機であるため、これを元に量産機を開発しF-3戦闘機,となる訳ではありませんが、戦後航空技術史の新しい1頁を刻む航空機となる事もまた間違いありません。

 第二次大戦中に世界第一線級の戦闘機や爆撃機と攻撃機に偵察機等あらゆる航空機を国産しました我が国は、戦後の航空機製造を連合国によりその航空機開発の中断を余儀なくされましたが、航空機開発解禁と共に海外航空機を用いた多種多様な実験機による徒手空拳に近い技術開発と研究を経て、例えば固定翼機に限っても、初のジェット練習機T-1,超音速練習機T-2と支援戦闘機F-1,エンジンを含め亜音速機ながら純国産を達成したT-4練習機、改良を軸とした哨戒機P-2J,ジェット輸送機C-1,世界水準に位置する飛行艇PS-1,US-1,US-1A,US-2,日米共同開発のF-2,など様々な航空機を開発してきました。

 しかし、戦闘機用低バイパス比高出力エンジンの開発を中心に戦闘機開発では我が国に経験がなく、イギリス製エンジンを採用したF-1支援戦闘機にアメリカ製エンジンを採用したF-2支援戦闘機、ライセンス生産によるF-86やF-104にF-4EJとF-15,最終組み立てに留まるF-35Aなど、国産技術は留まり、更に安倍内閣以前は武器輸出三原則により多国間共同開発への参画も日米共同開発に一部の限定された参画に留まるなど防衛鎖国政策を自らに課しており、これが結果的に独立した防衛政策の道を防衛調達の面から遠ざける結果となっています。

 この部分について、防衛装備庁と航空自衛隊の一部では念願として航空自衛隊が求める充分な性能を有するだ一線戦闘機の国産という悲願があり、防衛政策が外交政策に左右されない独立性を持つ装備の象徴としての国産戦闘機を求める政治の要求もありました、この視点から防衛装備庁は防衛庁技術研究本部時代から長きにわたる戦闘機構成要素を部分部分に区分して進めており、特にステルス性を航空力学以上に重視した第五世代戦闘機に必須となる機体制御技術フライバイワイア等については1970年代より継続してきました。

 今回明らかにされたATD-Xの実験機名称X-2は、現在かかみがはら航空宇宙博物館に保存されている技術研究本部実験機X-1に続く航空機となり、今後は今月中の間もなくの時期に地上滑走試験を開始、初飛行を行ったうえで岐阜基地へ空路移動し、本格的な技術試験へ供せられると発表されています。新しい戦闘機となるまでにはまだ十数年を要する事にはなるのですが、X-1からX-2まで時間はおおきくあいたものの、航空機の形として達成する事が出来た背景には技術開発と蓄積の継承が長期的に維持された防衛政策と技術研究の証左に他ならず、その開発する技術力そのものが大きな抑止力となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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