北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北朝鮮ミサイル実験実施!KN-08大陸間弾道弾か先島諸島上空を通過し太平洋へ

2016-02-07 22:00:23 | 国際・政治
■北朝鮮ミサイル実験実施!
 本日、北朝鮮がミサイル実験を強行しました。核実験に続く北朝鮮の国連安保理決議と国際公序を無視したミサイル実験の概要を見てみましょう。

KN-08大陸間弾道弾、北朝鮮がロケットモーターなどの試験を実施し改良を行った新型弾道弾の技術検証の発射実験と考えられる2016年北朝鮮ミサイル実験は本日0941時、政府から防衛省自衛隊が確認した情報として北朝鮮から沖縄県地方を経由し太平洋方面へミサイルが発射されたとして自治体へJアラート緊急送信網を用い警報を、自治体は防災行政無線を通じ警報を発令しました。アラート=全国瞬時警報システムは、緊急時の警報システムで広く沖縄県内の県民や観光客の携帯電話へも自動送信されています。ミサイル発射を受け、沖縄県ではミサイル警報が発令、万一に備え航空自衛隊が迎撃態勢に入ると共に沖縄都市モノレールは緊急停車し、県内の一部公共施設を一時閉鎖するなどの措置を採りました。政府は0945時までにミサイルは太平洋上に落下したと発表、米軍と韓国軍が得た情報を共有する事で今回の北朝鮮ミサイル実験の全容が判明してゆきます。

自衛隊は迎撃態勢を強化しました。海上自衛隊はイージス艦を東シナ海会場へ展開、一方航空自衛隊は破壊措置を実施する際に備え、迎撃ミサイルであるペトリオットミサイルPAC-3を先島諸島の石垣市及び宮古市へ展開、宮古市への迎撃部隊は昨夜のうちに展開し、石垣市への展開は本日午前中となる予定でしたが、発射実験の前倒しを受け0300時に入港、未明までに展開を完了しました。自衛隊法に基づくミサイル破壊措置命令に併せ、陸上自衛隊及び航空自衛隊は、那覇市、宮古島市、石垣市、与那国町、多良間村、以上五市町村へ災害派遣要請や情報収集に当たる部隊を展開させました。ペトリオットミサイル部隊は沿岸部の海浜公園などに射撃陣地を決定し発射装置を陣地進入、その周辺部には小銃を携行する警備要員を配置し不測の事態へ備えました。

北朝鮮ミサイルは、0931時頃発射、0937時に切り離された燃料タンクと思われる一部が朝鮮半島西方150kmの海上に落下、更に分解した二群が0939時頃に朝鮮半島南西沖250kmへ落下し、0941時に沖縄県上空に到達します、その高度は500kmとされ0945時頃、我が国南方2000kmの海上へ落下し、一部は宇宙空間へ到達した可能性がある、と発表されました。アメリカ戦略軍司令部はこの後にミサイルの一部は宇宙空間へ達したと発表しています。アメリカ国防総省は今回の弾道ミサイルに対して、アメリカ本土の国民を危険にさらすものではない、としていますが、今回の弾道ミサイルの射程はアメリカ本土西海岸から東海岸までのアメリカ東部を射程に含むものとされます。

破壊措置命令は、ミサイルの破片などが日本本土を広く外れ飛翔しており、燃料タンクなどの分離も確認されなかったことから実行されませんでした。一方、北朝鮮は今回国際海事機関へミサイル実験を通告していますが、その際に示されたミサイル実験区域を一部が大きく外れ飛翔しており、ミサイルのロケットモーター燃焼が予定以下で収束し落下した異常発生の可能性などが指摘されています。ミサイル発射に伴う被害ですが、総務省消防庁は沖縄県内で、国土交通省海上保安庁は南西諸島周辺海域を航行する船舶に対し地域航行警報を発令しており発射を確認後、安全確認を実施しました、1055時には海上保安庁が被害情報なしとの発表、総務省消防庁も確認の結果国内の陸上へミサイル破片の落下などの情報やこれに伴う被害がなかった事を発表しました。

日本政府は即座に行動へ移りました。外務省は1010時に中国北京の大使館を経由し抗議文を提出すると共に、国連安全保障理事会緊急会合の開催を安全保障理事会理事長国であるベネズエラに対し、アメリカ政府と連名で要請し、併せて安倍総理は日本独自の北朝鮮への制裁措置を採るとの方針を発表しました。明日からの国会においてこの方針が討議される事となります。なお、中谷防衛大臣は今回のミサイル発射を受け、続いてミサイルが発射される可能性があるとして破壊措置命令を継続することとしており、首都圏と先島諸島及び沖縄本島での迎撃態勢は当面維持されるとのこと。

今回の弾道ミサイルは、一段目が270の部品に分解し落下したと韓国軍により確認され、韓国軍発表ではミサイルの先端カバーをイージス艦が回収に成功したとしており、今後検証が進められることとなります。一段目は六分、先端部のカバーは八分後、北朝鮮が予告した海域へ落下したもののその所要時間は短縮されており、個の短縮はエンジン部分の改良によりミサイルの速力が増大した可能性が指摘されています。また、ミサイルの先端部分は北朝鮮の予告海域よりも遠くに落下しており、燃料制御技術などミサイルロケットモーターの技術に改良の余地があるのではないか、との見方ができるでしょう。今回の弾道ミサイルは射程からアメリカ本土を標的とするものであり、今後、アメリカ政府がこの脅威をどのように受け取るかにより国際関係へ影響するとともに、北朝鮮のミサイル技術向上は、日本本土を標的とするノドンミサイルの改良、特に核弾頭の運搬技術を開発する事にも繋がり、我が国にとり死活的重要性を以て見守るべき事案でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (4)
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