■C-2輸送機生産計画
前回はC-130輸送機が有する不整地発着能力がC-1輸送機との運用の分水嶺であるとしました。
C-130H輸送機後継機にC-130J輸送機が選定される可能性はあるのか、航空自衛隊が空挺部隊輸送をどの程度重視するのか、また路外発着を含めた不整地発着能力を今後増大する可能性がある特殊作戦群等の支援にどの程度考えているかにより、C-130J輸送機導入の可能性は左右される事でしょう、一方航空自衛隊の戦闘機部隊への補給物資輸送に不整地発着能力が重視される可能性は低いと考えます。
何故ならば航空自衛隊には輸送機に不整地着陸能力がある現状でも、不整地発着を念頭に置いたジャギュア攻撃機や滑走路を必要としないハリアー攻撃機のような戦闘機を保有せず、故に従来型の輸送機が発着出来ない滑走路状況では戦闘機もまた発着不能となるのです。ひとつの可能性は方面航空施設隊の滑走路復旧能力を強化し、航空攻撃などにより滑走路が破壊された飛行場へ滑走路復旧部隊を空輸展開させる場合です、東日本大震災における仙台空港復旧支援を連想していただいても良いでしょう。
ただ、空輸展開せずとも、航空施設部隊を陸上から展開した方が、所要時間は別として展開可能な車両数は多くなります。航空攻撃により滑走路が破壊される可能性は今後充分ありますが、基地までの道路が完全に破壊される可能性は、戦略核攻撃を唯一の例外として考えられません。しかし、周辺道路までもが被災した仙台空港復旧でも復旧支援任務の初動は松島基地からの自衛隊車両部隊と多賀城駐屯地などの陸上自衛隊災害派遣部隊の方が迅速でした。
やはり、C-130H輸送機後継機にはC-2輸送機が最適という事となります。ただ、その場合にはC-2輸送機が45機程度必要となり、現行の生産計画を拡充しなければ所要を満たす事は出来ません。もっとも、現在の生産計画は当面、C-1輸送機の後継機所要であり、当面のところ後継機選定が行われていないC-130H輸送機後継所要を盛り込んだものでは無いことを忘れてはなりません。
これはF-35調達計画の40機という数値と同じもので、F-4戦闘機後継所要のみを念頭としたものであるため40機という要求となりましたが、選択肢としてF-15J初期型の後継機もF-35以外の選択肢は無い為、40機という要求は暫定的であることが分かり、C-2輸送機についても同様に現在C-1輸送機後継機の所要のみを明示している為、増勢の可能性は残るという視点を忘れてはならないところでしょう。
しかし、C-130H輸送機後継機としてのC-130J輸送機導入の可能性が皆無なのかと問われるならば、幾つか可能性があります。まず、C-2輸送機の胴体部分の問題が解決し予算面でも年間生産機数が増大、生産が急激に順調化し、更にC-130の構造延命などの措置が採られC-1輸送機代替完了からC-130H輸送機後継機選定までの期間に生産終了時期がある場合です。
また、例えば輸送機以外の用途としてのC-130の能力、こちらは次回に示しますが評価された場合など。そして南海トラフ地震対策等、不整地着陸能力を持つ航空機が補正予算により別枠で認められる場合です、C-2輸送機取得予算に並行しC-130J輸送機調達予算が年度予算へ計上され認められるかは難しいものがありますが、陸上自衛隊MV-22導入の様に政治的背景から導入を求められる可能性はまだ捨てきれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
前回はC-130輸送機が有する不整地発着能力がC-1輸送機との運用の分水嶺であるとしました。
C-130H輸送機後継機にC-130J輸送機が選定される可能性はあるのか、航空自衛隊が空挺部隊輸送をどの程度重視するのか、また路外発着を含めた不整地発着能力を今後増大する可能性がある特殊作戦群等の支援にどの程度考えているかにより、C-130J輸送機導入の可能性は左右される事でしょう、一方航空自衛隊の戦闘機部隊への補給物資輸送に不整地発着能力が重視される可能性は低いと考えます。
何故ならば航空自衛隊には輸送機に不整地着陸能力がある現状でも、不整地発着を念頭に置いたジャギュア攻撃機や滑走路を必要としないハリアー攻撃機のような戦闘機を保有せず、故に従来型の輸送機が発着出来ない滑走路状況では戦闘機もまた発着不能となるのです。ひとつの可能性は方面航空施設隊の滑走路復旧能力を強化し、航空攻撃などにより滑走路が破壊された飛行場へ滑走路復旧部隊を空輸展開させる場合です、東日本大震災における仙台空港復旧支援を連想していただいても良いでしょう。
ただ、空輸展開せずとも、航空施設部隊を陸上から展開した方が、所要時間は別として展開可能な車両数は多くなります。航空攻撃により滑走路が破壊される可能性は今後充分ありますが、基地までの道路が完全に破壊される可能性は、戦略核攻撃を唯一の例外として考えられません。しかし、周辺道路までもが被災した仙台空港復旧でも復旧支援任務の初動は松島基地からの自衛隊車両部隊と多賀城駐屯地などの陸上自衛隊災害派遣部隊の方が迅速でした。
やはり、C-130H輸送機後継機にはC-2輸送機が最適という事となります。ただ、その場合にはC-2輸送機が45機程度必要となり、現行の生産計画を拡充しなければ所要を満たす事は出来ません。もっとも、現在の生産計画は当面、C-1輸送機の後継機所要であり、当面のところ後継機選定が行われていないC-130H輸送機後継所要を盛り込んだものでは無いことを忘れてはなりません。
これはF-35調達計画の40機という数値と同じもので、F-4戦闘機後継所要のみを念頭としたものであるため40機という要求となりましたが、選択肢としてF-15J初期型の後継機もF-35以外の選択肢は無い為、40機という要求は暫定的であることが分かり、C-2輸送機についても同様に現在C-1輸送機後継機の所要のみを明示している為、増勢の可能性は残るという視点を忘れてはならないところでしょう。
しかし、C-130H輸送機後継機としてのC-130J輸送機導入の可能性が皆無なのかと問われるならば、幾つか可能性があります。まず、C-2輸送機の胴体部分の問題が解決し予算面でも年間生産機数が増大、生産が急激に順調化し、更にC-130の構造延命などの措置が採られC-1輸送機代替完了からC-130H輸送機後継機選定までの期間に生産終了時期がある場合です。
また、例えば輸送機以外の用途としてのC-130の能力、こちらは次回に示しますが評価された場合など。そして南海トラフ地震対策等、不整地着陸能力を持つ航空機が補正予算により別枠で認められる場合です、C-2輸送機取得予算に並行しC-130J輸送機調達予算が年度予算へ計上され認められるかは難しいものがありますが、陸上自衛隊MV-22導入の様に政治的背景から導入を求められる可能性はまだ捨てきれません。
北大路機関:はるな くらま
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