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国産ステルス機!X-2/ATD-X先端技術実証機、小牧基地にて地上滑走試験実施

2016-02-24 23:44:00 | 先端軍事テクノロジー
■X-2/ATD-X先端技術実証機
 本日小牧基地においてX-2/ATD-X先端技術実証機の地上滑走試験が実施されました。地上滑走試験は今回が第二回、幸いに当方も撮影する機会に恵まれましたので、本日はその様子を紹介すると共にこの新型機についての説明を、と思います。

 将来戦闘機として防衛省がF-2支援戦闘機の後継機として開発を推進する第五世代戦闘機F-Xへ、X-2/ATD-X先端技術実証機は防衛装備庁と旧称防衛省技術研究本部がその実開発へ必要とされ開発されてきました各種先端技術を航空機として実際に飛行させ、ステルス性や高機動性と航空戦闘能力を航空機の形状として完成させ、評価試験と更なる技術開発を通じ将来戦闘機へ繋げる航空機です。

 第五世代戦闘機は、ステルス能力を基本として航空戦闘を優位に進める基本に立ち、相手に近距離まで察知されない状況を用い、一方で先進的なレーダー及び各種索敵装置を統合し相手に対しては終始優位に先制対処できる態勢を設計に盛り込み、その上で戦闘機に求められる高機動性の実現や、将来戦闘機として第五世代と第六世代戦闘機の過渡期に求められる航空戦闘の共同交戦能力強化や、低燃費高出力エンジンの開発を通じての航続距離延伸と小型化の両立が志向されることでしょう。

 このステルス機ですが、レーダーに映らない事を第一としていますが、第二とされているのが航空力学で、元々航空機は航空力学に則り飛行に最適とする形状を設計に反映してきました、しかし、この部分を第二とするため、通常のワイヤ方式による操縦系統により操行した場合、瞬時に揚力を失う危険や失速や安定性欠如による操縦不能となる危険性が非常に高く、何よりもこれを補正するフライバイワイア方式と飛行制御プログラムの連動が欠かせません。

 我が国は、フライバイワイヤ方式の航空機への適用研究を1977年よりP-2哨戒機改造機により開始しており、T-2CCV等更に進んだ飛行制御プログラムの開発へ至り、この技術はF-2支援戦闘機の開発により実用面を有している事を証明しました、例え捻った姿勢や傾差する姿勢でも水平飛行や高機動飛行を可能としています、フライバイワイヤは、誤解されるのが電動式の単なる操行装置で操舵しているというものですが。

 これは多くの場合誤解で水平飛行するという操作を行う場合、不安定な状況であっても水平飛行を維持できます。この技術はステルス機が飛行し、航空戦闘に必要な高機動運動性を付与することに繋がり、非常に難しいフライバイワイヤ技術を長期間の研究により実現しました。このほか、小型高出力エンジンの開発やその三次元高機動を可能とするスラスト装置などを開発しており、この技術開発がX-2/ATD-X先端技術実証機の開発へと導きました。

 ステルス機は、相手レーダー波を避弾経始のように逸らすことで探知を逃れるものですが、機体形状に加え、前述の通り航空力学を無視した形状を採る為、開発時には各種機材を小型化しなければ、機体が大型化してしまい、せっかくレーダー反射面積RCSを縮小しても機体そのものが大型化してしまえば結果的にRCSがまた増大してしまいます、この点の技術も長く開発されています。

 しかし、ステルス性は、機体形状の工夫やミサイルなどの武装の機内搭載などにより、一定程度までは下げる事は容易なのですが、その分水嶺を越えてしまいますと、エンジン空気取り入れ口から内部のエンジンが、正面からコックピット内の操縦者が、映るなど更にRCSを低下させる上での難易度が一挙に高まりますし、ミサイルを内部へ搭載する場合発射するには兵装扉を開閉する必要があり、回避行動など高運動時での投射や開閉と発射を短時間化するなど、機体形状以外の必要とされる技術は多々挙げられます。

 さて、これら技術をX-2/ATD-X先端技術実証機はすべて盛り込まれて開発されました、機体そのものの設計と製造はこの種の新型機開発においては非常に低い費用により実現していますが、その背景には、先進技術は多数が各々の研究として完成されたものを集積し航空kとしての形状としたためであり、実際にはその開発費は防衛庁技術研究本部発足から今日の防衛省防衛装備庁までの研究の成果が大河の如く繋がる中、最先端の部分を導水し完成させたため、といえるでしょう。

 この開発は、計画ではもう少し早い時期に試験走行を実施し、今月中に初飛行すると先月には発表されていましたが、新技術であり新型機であることから慎重を期して開発されており、結果的に遅れています。ただ、現在のところ来月上旬に初飛行が予定されており初飛行後にはそのまま小牧基地から飛行開発実験団が置かれる岐阜基地へ展開、本格的技術試験に用いられることとなります。

北大路機関:はるな くらま
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