■那覇統合2021年普天間移設案
普天間飛行場移設問題が急展開しました。安倍総理大臣の政治決断ですが、この決断と具体化へ必要な関係省庁やアメリカとの調整実現には正直に驚かされました。
和解です。沖縄県と国の訴訟において、国が一時名護市辺野古沖の埋め立て工事を中断し、沖縄県との話し合いに応じる事で和解となりました。これは安倍総理の政治判断によるもので、普天間飛行場移設を迅速に達成するには代替基地建設をすぐにでも進める必要があるのですが、一時中断の決断、防衛省と外務省は今回の政治決断へ向けて調整を行い、アメリカ国務省やアメリカ国防総省との間でも水面下での調整と会合を継続してきたということです。
安倍総理大臣の政治決断は沖縄の翁長知事も想定しなかったようで、急遽翁長知事は東京へ飛び、安倍総理との会談を行いました。国と沖縄の和解、大きく扱われていますが、政府の姿勢は辺野古代替施設建設一部中断の上での再交渉、沖縄県の立場は中止です。中止の上で普天間飛行場運用継続という選択肢は理論上あるのですが、沖縄県は普天間飛行場の運用終了を強く求めており、このまま継続する事も出来そうにありません。
那覇空港は、第83航空隊の第9航空団への拡大改編、乗り入れ旅客機の4発ワイドボディ機から中型双発旅客機への転換に伴う発着数増大へ対応するべく、沖合への第二滑走路埋め立て工事を推進中です。那覇空港拡張事業は、翁長沖縄県知事も那覇市長時代から精力的に進めている沖縄の主要事業であるとともに、那覇空港沖合には上空から見ますと一目瞭然ですが広く浅瀬として珊瑚礁が広がっている為、埋め立て工事には理想的な地形といえ、その実現可能性も既に滑走路埋め立てが着工しているのですから非常に大きい。
そこで、普天間飛行場移設について、代替案に那覇基地拡張による統合案を提示します、私見ですが、那覇空港拡張工事が2020年3月に完成します。2700mの新滑走路が既設滑走路の1.3km沖合に埋め立てられ、既に着工しており仮設桟橋やケーソンの設置は完了し埋め立て工事が始まっています。那覇空港沖には丘陵地帯がありますので、その沖側へ建設するかたちです。この場所ならば、沖縄県が要望する五年後の2021年までの普天間返還が実現する。
そこで、那覇空港拡張事業を2020年完工予定について、民間空港としての拡張を2026年に延期し、その上で那覇空港新滑走路を米軍自衛隊共用滑走路へ変更、民間用滑走路は新たに2026年までに那覇空港第三滑走路を建設し、その上で那覇空港貨物施設の米海兵隊航空施設への移管、返還予定の那覇空港に隣接する那覇軍港施設貨物施設への転用工事を行う事で、更に隣接する那覇駐屯地を併せ那覇空港の防衛施設を統合する、というもの。
現実的に辺野古が不可能であれば五年以内に可能な案は那覇空港だけ、読谷補助飛行場再接収や嘉手納基地拡張は間に合いません。海兵航空部隊と地上部隊は統合運用が基本であり、県外移転は現実的に不可能です。具体的には、航空部隊と地上部隊は一つの物、海兵隊は着上陸の際に内陸部からの敵の反撃に備え敵の接近経路となる緊要地形へ空中機動部隊を展開させます。これが戦闘機部隊であれば、空対うう戦闘の場合、洋上で訓練する事が出来るのですが、海兵隊航空機は空輸手段、独立して運用は出来ない。
簡単に言えば、乗る海兵と乗せる航空機、駅の改札とホームを隣町に造りその間を数時間歩いて乗車しろ、投票所と投票箱を別の県外に置く、空港と滑走路を別々に用意して乗客は飛行機に乗れても離陸できないか飛行機は離陸できるが乗客は運賃を支払うだけ、というような不可分の要素を分割することとなりますので、引き離せなかったのです。そして陸上部隊を移転するならば、78.33km²の沖縄北部訓練場も移設しなければならなくなる、こう示しますと県外移転の難しさが分かるでしょう。
那覇空港への統合については、過去に繰り返し提示し、主眼としまして、名護市辺野古沖の新空港施設を沖縄国際空港として那覇空港の代替施設とし、那覇空港を防衛専用空港とする提案を2010年から様々な方面へ示してきました。他方、この問題点として、現在辺野古沖に建設中の飛行場施設に対し、那覇空港代替滑走路を建設する場合、より長い滑走路が必要とすることがあり長期化する可能性がある、という問題点も無視できません。
沖縄国際空港名護市への新設には、もちろん、普天間の期限となる五年後の2021年に間に合うかについての問題は後述しますが、沖縄県の悲願である本島北部開発の目玉事業として新空港を中心とした地域活性化に寄与するとともに、名護市から県都那覇市まで、公共交通機関を整備する事で沖縄本島縦貫公共交通網整備を重ねて行う事で、沖縄県全体の公益にかなったものとなります。こういいますのも新空港は鉄道により結ばなければ距離が大きく沖縄の玄関としては難しいのです。
沖縄本島縦貫公共交通網整備、としましたが、これもこれまで繰り返しまし提示しましたが、名護市市役所前から那覇市中心部旭橋までは71kmの距離を隔てており、逆に言うならば、本当の北部訓練場から近く騒音被害は少なく、人口密集地である那覇市から離れた場所に移設する、というものが名護市辺野古の一つの利点でした。しかし71km、これは難波駅から関西空港までの42km、京成上野駅から成田空港駅までの64kmを越える遠距離にありますので、ゆいレール延伸による道路渋滞を回避できる交通手段の整備が必然となる訳です。
防衛と地方活性化は一元化すべき問題ではありませんが、社会学的に地域活性化とハード面ではなくソフト面での防衛は共通点があり、これは離島の活性化事業への不備が過疎化に繋がる為、人口集中による主権誇示は間接的に防衛と重なる事業です。また、基地と防衛力という軍事科学的な視点にのみ、防衛という戦力と戦力の衝突による二元論的な防衛に特化しがちですが、国民保護という社会科学的な要素が混在する命題でもあり、単純に防衛上必要なものを構築するだけでは、戦術的な意義はあったとしても戦略的に綻びを生むことにもなりかねません。
このため、長期的には沖縄本島北部活性化事業の主力事業として、現行の普天間代替施設としての名護市飛行場施設をさらに拡張し、那覇空港空港設備を名護市へ移転し、名護市と那覇市の強力な公共交通網整備と併せ、本島全体の活性化を図ると共に、那覇基地の既存防衛施設への統合化を図り、併せて沖縄国際空港と仮称する空港を民間専用空港として用意する事で、平時での航空交通の強化、有事の際には国民保護拠点としての施設に充てるという方策も可能となるでしょう。
ただ、沖縄国際空港構想を銘打った試案は、非常に建設に時間を要するものと言わざるを得ません。現在、沖縄都市モノレールゆいレールは、那覇空港と首里の12.9kmを28分で結んでいまして、2019年まで首里駅から新駅てだこ浦西駅までの区間が開通し17kmとなります、名護市は遥か先であり、延伸工事を簡単に提示しますが非常に長期間の整備事業となる他、現行のモノレール表定速度では那覇中心部から名護市まで二時間半を要するため、急行の設定が必要となり、追い越し線を整備するなど煩雑で、なにより測量も行っていませんので、この為、間に合わないとしました。
このため、普天間飛行場の早い返還を実現するには時間がかかり過ぎ、短期的には那覇空港拡張工事に併せ那覇基地へ統合するかたちで普天間を返還し、那覇空港の過度な航空便集中に対応できないのであれば、貨物便を返還後の普天間飛行場へ移管する宜野湾空港方式、併せて貨物ターミナルを利用するLCC路線を中心に一部旅客機の普天間への移行という施策を採り、那覇空港の防衛用に続く新滑走路新設までの繋ぎという方式も可能でしょう。
過去には那覇空港滑走路工事に併せ、普天間へ民間旅客機が定期便として運行した事例がありましたし、那覇空港滑走路閉鎖時における代替飛行場として嘉手納と並び普天間は機能していますので、現実的に選択肢として不可能ではありません。また、LCCと貨物ターミナルについて、普天間飛行場は海兵航空部隊、有事の際に本土からの増援部隊を受け入れる設備がある為、転用可能な施設も充分あります。
翁長沖縄県知事へ“那覇統合2021年普天間移設案”政策提言、としましたが、一方で中断した名護市辺野古での工事をこのまま中止するのか、撤回するのか、続行するのか、こちらについても現実的な選択肢を模索しなければなりません。名護市辺野古の埋め立て工事、この実行が必要として着工したものですが、この問題については、どのようにソフトランディングを実現する施策があるのか、改めて提示する事とします。
北大路機関:はるな くらま
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普天間飛行場移設問題が急展開しました。安倍総理大臣の政治決断ですが、この決断と具体化へ必要な関係省庁やアメリカとの調整実現には正直に驚かされました。
和解です。沖縄県と国の訴訟において、国が一時名護市辺野古沖の埋め立て工事を中断し、沖縄県との話し合いに応じる事で和解となりました。これは安倍総理の政治判断によるもので、普天間飛行場移設を迅速に達成するには代替基地建設をすぐにでも進める必要があるのですが、一時中断の決断、防衛省と外務省は今回の政治決断へ向けて調整を行い、アメリカ国務省やアメリカ国防総省との間でも水面下での調整と会合を継続してきたということです。
安倍総理大臣の政治決断は沖縄の翁長知事も想定しなかったようで、急遽翁長知事は東京へ飛び、安倍総理との会談を行いました。国と沖縄の和解、大きく扱われていますが、政府の姿勢は辺野古代替施設建設一部中断の上での再交渉、沖縄県の立場は中止です。中止の上で普天間飛行場運用継続という選択肢は理論上あるのですが、沖縄県は普天間飛行場の運用終了を強く求めており、このまま継続する事も出来そうにありません。
那覇空港は、第83航空隊の第9航空団への拡大改編、乗り入れ旅客機の4発ワイドボディ機から中型双発旅客機への転換に伴う発着数増大へ対応するべく、沖合への第二滑走路埋め立て工事を推進中です。那覇空港拡張事業は、翁長沖縄県知事も那覇市長時代から精力的に進めている沖縄の主要事業であるとともに、那覇空港沖合には上空から見ますと一目瞭然ですが広く浅瀬として珊瑚礁が広がっている為、埋め立て工事には理想的な地形といえ、その実現可能性も既に滑走路埋め立てが着工しているのですから非常に大きい。
そこで、普天間飛行場移設について、代替案に那覇基地拡張による統合案を提示します、私見ですが、那覇空港拡張工事が2020年3月に完成します。2700mの新滑走路が既設滑走路の1.3km沖合に埋め立てられ、既に着工しており仮設桟橋やケーソンの設置は完了し埋め立て工事が始まっています。那覇空港沖には丘陵地帯がありますので、その沖側へ建設するかたちです。この場所ならば、沖縄県が要望する五年後の2021年までの普天間返還が実現する。
そこで、那覇空港拡張事業を2020年完工予定について、民間空港としての拡張を2026年に延期し、その上で那覇空港新滑走路を米軍自衛隊共用滑走路へ変更、民間用滑走路は新たに2026年までに那覇空港第三滑走路を建設し、その上で那覇空港貨物施設の米海兵隊航空施設への移管、返還予定の那覇空港に隣接する那覇軍港施設貨物施設への転用工事を行う事で、更に隣接する那覇駐屯地を併せ那覇空港の防衛施設を統合する、というもの。
現実的に辺野古が不可能であれば五年以内に可能な案は那覇空港だけ、読谷補助飛行場再接収や嘉手納基地拡張は間に合いません。海兵航空部隊と地上部隊は統合運用が基本であり、県外移転は現実的に不可能です。具体的には、航空部隊と地上部隊は一つの物、海兵隊は着上陸の際に内陸部からの敵の反撃に備え敵の接近経路となる緊要地形へ空中機動部隊を展開させます。これが戦闘機部隊であれば、空対うう戦闘の場合、洋上で訓練する事が出来るのですが、海兵隊航空機は空輸手段、独立して運用は出来ない。
簡単に言えば、乗る海兵と乗せる航空機、駅の改札とホームを隣町に造りその間を数時間歩いて乗車しろ、投票所と投票箱を別の県外に置く、空港と滑走路を別々に用意して乗客は飛行機に乗れても離陸できないか飛行機は離陸できるが乗客は運賃を支払うだけ、というような不可分の要素を分割することとなりますので、引き離せなかったのです。そして陸上部隊を移転するならば、78.33km²の沖縄北部訓練場も移設しなければならなくなる、こう示しますと県外移転の難しさが分かるでしょう。
那覇空港への統合については、過去に繰り返し提示し、主眼としまして、名護市辺野古沖の新空港施設を沖縄国際空港として那覇空港の代替施設とし、那覇空港を防衛専用空港とする提案を2010年から様々な方面へ示してきました。他方、この問題点として、現在辺野古沖に建設中の飛行場施設に対し、那覇空港代替滑走路を建設する場合、より長い滑走路が必要とすることがあり長期化する可能性がある、という問題点も無視できません。
沖縄国際空港名護市への新設には、もちろん、普天間の期限となる五年後の2021年に間に合うかについての問題は後述しますが、沖縄県の悲願である本島北部開発の目玉事業として新空港を中心とした地域活性化に寄与するとともに、名護市から県都那覇市まで、公共交通機関を整備する事で沖縄本島縦貫公共交通網整備を重ねて行う事で、沖縄県全体の公益にかなったものとなります。こういいますのも新空港は鉄道により結ばなければ距離が大きく沖縄の玄関としては難しいのです。
沖縄本島縦貫公共交通網整備、としましたが、これもこれまで繰り返しまし提示しましたが、名護市市役所前から那覇市中心部旭橋までは71kmの距離を隔てており、逆に言うならば、本当の北部訓練場から近く騒音被害は少なく、人口密集地である那覇市から離れた場所に移設する、というものが名護市辺野古の一つの利点でした。しかし71km、これは難波駅から関西空港までの42km、京成上野駅から成田空港駅までの64kmを越える遠距離にありますので、ゆいレール延伸による道路渋滞を回避できる交通手段の整備が必然となる訳です。
防衛と地方活性化は一元化すべき問題ではありませんが、社会学的に地域活性化とハード面ではなくソフト面での防衛は共通点があり、これは離島の活性化事業への不備が過疎化に繋がる為、人口集中による主権誇示は間接的に防衛と重なる事業です。また、基地と防衛力という軍事科学的な視点にのみ、防衛という戦力と戦力の衝突による二元論的な防衛に特化しがちですが、国民保護という社会科学的な要素が混在する命題でもあり、単純に防衛上必要なものを構築するだけでは、戦術的な意義はあったとしても戦略的に綻びを生むことにもなりかねません。
このため、長期的には沖縄本島北部活性化事業の主力事業として、現行の普天間代替施設としての名護市飛行場施設をさらに拡張し、那覇空港空港設備を名護市へ移転し、名護市と那覇市の強力な公共交通網整備と併せ、本島全体の活性化を図ると共に、那覇基地の既存防衛施設への統合化を図り、併せて沖縄国際空港と仮称する空港を民間専用空港として用意する事で、平時での航空交通の強化、有事の際には国民保護拠点としての施設に充てるという方策も可能となるでしょう。
ただ、沖縄国際空港構想を銘打った試案は、非常に建設に時間を要するものと言わざるを得ません。現在、沖縄都市モノレールゆいレールは、那覇空港と首里の12.9kmを28分で結んでいまして、2019年まで首里駅から新駅てだこ浦西駅までの区間が開通し17kmとなります、名護市は遥か先であり、延伸工事を簡単に提示しますが非常に長期間の整備事業となる他、現行のモノレール表定速度では那覇中心部から名護市まで二時間半を要するため、急行の設定が必要となり、追い越し線を整備するなど煩雑で、なにより測量も行っていませんので、この為、間に合わないとしました。
このため、普天間飛行場の早い返還を実現するには時間がかかり過ぎ、短期的には那覇空港拡張工事に併せ那覇基地へ統合するかたちで普天間を返還し、那覇空港の過度な航空便集中に対応できないのであれば、貨物便を返還後の普天間飛行場へ移管する宜野湾空港方式、併せて貨物ターミナルを利用するLCC路線を中心に一部旅客機の普天間への移行という施策を採り、那覇空港の防衛用に続く新滑走路新設までの繋ぎという方式も可能でしょう。
過去には那覇空港滑走路工事に併せ、普天間へ民間旅客機が定期便として運行した事例がありましたし、那覇空港滑走路閉鎖時における代替飛行場として嘉手納と並び普天間は機能していますので、現実的に選択肢として不可能ではありません。また、LCCと貨物ターミナルについて、普天間飛行場は海兵航空部隊、有事の際に本土からの増援部隊を受け入れる設備がある為、転用可能な施設も充分あります。
翁長沖縄県知事へ“那覇統合2021年普天間移設案”政策提言、としましたが、一方で中断した名護市辺野古での工事をこのまま中止するのか、撤回するのか、続行するのか、こちらについても現実的な選択肢を模索しなければなりません。名護市辺野古の埋め立て工事、この実行が必要として着工したものですが、この問題については、どのようにソフトランディングを実現する施策があるのか、改めて提示する事とします。
北大路機関:はるな くらま
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