■アメリカ大統領選一週間
国際公序を構築する超大国の指導者を選ぶ世論が世界政治へ無関心で固まった時、超大国の多極化と新しい冷戦構造が醸成される、現在はその過渡期、分岐点に差し掛かっているのかもしれません。
アメリカ大統領選まであと一週間をきりました、共和党のトランプ候補と民主党のクリントン候補の二大候補は政策討論を誹謗中傷合戦に置き換え、一時、数々の失言と矛盾する公約等からトランプ候補の支持が停滞していましたが、クリントン候補の国務長官時代での私用サーバーでのメール使用へのFBI再捜査決定を受け、支持率が逆転した状況です。
世界最大の大国での政策論争の停滞と、アメリカ第一主義として世界からの関与を退く、事実上の孤立主義を掲げるトランプ候補のへのアメリカ国民の支持は、近年、勢力を再興し膨張政策と採らざるを得ない施策を中東や欧州で進めるロシア、南シナ海や東シナ海において軍事力を背景とする領域拡大を進める中国へ、誤ったメッセージを送る状況です。
欧州正面での緊張は、ウクライナ東部紛争へのロシア介入やクリミア半島の割譲等から顕在化しており、この対立構造はシリア内戦へのロシア軍介入の際にも同様の欧米とロシアの対立関係、東西冷戦時代の対立構造と同じ構図が現出しており、この状況下においてアメリカが引く事をわずかな可能性でも示唆する事は非常に大きな波紋を及ぼしかねません。そしてその影響は、日本も例外ではない。
NATO北大西洋条約機構のストルテンベルク事務総長は、ロシアとNATOは新しい冷戦を望んではいない、と表明しました。ただ、ロシアの軍事的圧力へなし崩し的に浸透という状況の阻止への施策は進められています。これは具体的には現在新興NATO加盟国である東欧地域への新しく創設されたNATO緊急展開部隊駐留への説明として行ったものです。
NATO緊急展開部隊は4000名、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、以上四か国へ1000名規模の大隊級部隊を展開させます、これはウクライナ介入を受けロシアとの国境地域での緊張が、例えば同様の事態が発生しないよう、抑止するため実施されるもので、ウクライナ危機を受け2014年に実施が決定され、参加国と受入地いいやローテーションなど、部隊編制が進められてきました。
NATOの東欧展開ですが、緊急展開部隊配置に加え航空部隊の前方展開も開始されました、イギリス空軍が四か月間に渡りルーマニアへタイフーン戦闘機部隊を展開させるとの事、これは東欧へのNATO緊急展開部隊の展開に連動するもので、中東欧NATO新興加盟国では現代的空軍力を経済的に整備できない国があり、防空任務をNATOが請け負うかたち。
イギリスは加えてエストニアへ800名規模の部隊を派遣するとの事ですが、イギリス国防省によればこの派遣規模は冷戦後最大規模との事で、翻れば冷戦時代に機甲部隊を中心とした一個軍団をドイツライン軍団として派遣した時代からは、大きく変わった印象ですはりますが、欧州正面でのロシアの軍事的圧力が顕在化した一つの事例といえるでしょう。
ロシアのプーチン大統領は、ロシアによる東欧侵攻の可能性など全くないと否定しました、プーチン大統領はロシアのウクライナ東部紛争へのロシア軍関与やクリミア併合へのロシア軍関与も否定しています。ただ、ウクライナ東部紛争への緒戦での所属不明特殊部隊の流入やウクライナ軍が装備しないロシア製装備の展開など、この主張は同意できません。
欧州での軍事的圧力ですが、根拠がない物とは決して言えません、カリーニングラードへの兵力増強という数値化される根拠があり、特にこの状況展開を受け、隣国であるリトアニア政府はロシア軍からの高まる軍事圧力に対し、ロシア軍の侵攻が現実となった場合の民間防衛とゲリラ戦闘に関する手引書を国民300万へ3万部を緊急に配布したとのこと。
リトアニア近傍にはロシア飛び地のカリーニングラード州があり、ロシア軍はウクライナ介入と同時期から兵力の蓄積を開始、戦術弾道弾の配備も開始されました。リトアニアは兵力近代化を進めていますが、国力の限界から空軍が事実上ありません。陸軍もロシア軍機甲部隊へ対抗できる手段を持たず、NATO及びアメリカ軍の支援が頼りとなっています。現状で、アメリカ国民がこの状況に関心を示さず、後退する姿勢を示す事は、新しい冷戦の醸成という可能性を示唆するものでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
国際公序を構築する超大国の指導者を選ぶ世論が世界政治へ無関心で固まった時、超大国の多極化と新しい冷戦構造が醸成される、現在はその過渡期、分岐点に差し掛かっているのかもしれません。
アメリカ大統領選まであと一週間をきりました、共和党のトランプ候補と民主党のクリントン候補の二大候補は政策討論を誹謗中傷合戦に置き換え、一時、数々の失言と矛盾する公約等からトランプ候補の支持が停滞していましたが、クリントン候補の国務長官時代での私用サーバーでのメール使用へのFBI再捜査決定を受け、支持率が逆転した状況です。
世界最大の大国での政策論争の停滞と、アメリカ第一主義として世界からの関与を退く、事実上の孤立主義を掲げるトランプ候補のへのアメリカ国民の支持は、近年、勢力を再興し膨張政策と採らざるを得ない施策を中東や欧州で進めるロシア、南シナ海や東シナ海において軍事力を背景とする領域拡大を進める中国へ、誤ったメッセージを送る状況です。
欧州正面での緊張は、ウクライナ東部紛争へのロシア介入やクリミア半島の割譲等から顕在化しており、この対立構造はシリア内戦へのロシア軍介入の際にも同様の欧米とロシアの対立関係、東西冷戦時代の対立構造と同じ構図が現出しており、この状況下においてアメリカが引く事をわずかな可能性でも示唆する事は非常に大きな波紋を及ぼしかねません。そしてその影響は、日本も例外ではない。
NATO北大西洋条約機構のストルテンベルク事務総長は、ロシアとNATOは新しい冷戦を望んではいない、と表明しました。ただ、ロシアの軍事的圧力へなし崩し的に浸透という状況の阻止への施策は進められています。これは具体的には現在新興NATO加盟国である東欧地域への新しく創設されたNATO緊急展開部隊駐留への説明として行ったものです。
NATO緊急展開部隊は4000名、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、以上四か国へ1000名規模の大隊級部隊を展開させます、これはウクライナ介入を受けロシアとの国境地域での緊張が、例えば同様の事態が発生しないよう、抑止するため実施されるもので、ウクライナ危機を受け2014年に実施が決定され、参加国と受入地いいやローテーションなど、部隊編制が進められてきました。
NATOの東欧展開ですが、緊急展開部隊配置に加え航空部隊の前方展開も開始されました、イギリス空軍が四か月間に渡りルーマニアへタイフーン戦闘機部隊を展開させるとの事、これは東欧へのNATO緊急展開部隊の展開に連動するもので、中東欧NATO新興加盟国では現代的空軍力を経済的に整備できない国があり、防空任務をNATOが請け負うかたち。
イギリスは加えてエストニアへ800名規模の部隊を派遣するとの事ですが、イギリス国防省によればこの派遣規模は冷戦後最大規模との事で、翻れば冷戦時代に機甲部隊を中心とした一個軍団をドイツライン軍団として派遣した時代からは、大きく変わった印象ですはりますが、欧州正面でのロシアの軍事的圧力が顕在化した一つの事例といえるでしょう。
ロシアのプーチン大統領は、ロシアによる東欧侵攻の可能性など全くないと否定しました、プーチン大統領はロシアのウクライナ東部紛争へのロシア軍関与やクリミア併合へのロシア軍関与も否定しています。ただ、ウクライナ東部紛争への緒戦での所属不明特殊部隊の流入やウクライナ軍が装備しないロシア製装備の展開など、この主張は同意できません。
欧州での軍事的圧力ですが、根拠がない物とは決して言えません、カリーニングラードへの兵力増強という数値化される根拠があり、特にこの状況展開を受け、隣国であるリトアニア政府はロシア軍からの高まる軍事圧力に対し、ロシア軍の侵攻が現実となった場合の民間防衛とゲリラ戦闘に関する手引書を国民300万へ3万部を緊急に配布したとのこと。
リトアニア近傍にはロシア飛び地のカリーニングラード州があり、ロシア軍はウクライナ介入と同時期から兵力の蓄積を開始、戦術弾道弾の配備も開始されました。リトアニアは兵力近代化を進めていますが、国力の限界から空軍が事実上ありません。陸軍もロシア軍機甲部隊へ対抗できる手段を持たず、NATO及びアメリカ軍の支援が頼りとなっています。現状で、アメリカ国民がこの状況に関心を示さず、後退する姿勢を示す事は、新しい冷戦の醸成という可能性を示唆するものでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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