■富士戦闘団任務達成状況終了
2015年度行事用の解説で2017年度行事写真、少々解説と写真が外れてしまいましたがご容赦を。

戦車教導隊第2中隊の90式戦車が続く。16式機動戦闘車は量産開始三年目の製造費用が7億5500万円です。対して90式戦車は生産開始当時こそ12億円という高価な費用を要していましたが、生産治具購入などを初度費として加算していた為、12億円に繋がった。

90式戦車も量産が続くと共に生産費用は8億5000万円前後に低減され、2010年の生産終了までに一両当たり7億9000万円まで費用を下げた事もありました。16式機動戦闘車はそれよりも3500万円ほど安価なのですが、まあ、軽装甲機動車初期一両分、というところ。

しかし、戦車乗りとしては、16式機動戦闘車よりも90式戦車のほうを選ぶと思うのですが、どうでしょうか、と考えてしまいます。16式機動戦闘車に乗車する戦車要員の立場になって考えなければなりません、戦車砲に撃たれたらば確実に撃破される車両どちらがよいか。

74式戦車は確かに現在のままでは第一線戦闘に対応できません、暗視装置を新型の熱線暗視装置に換装、増加装甲を砲塔と車体前面に装着し、遠隔操作銃搭RWSを搭載しても第三世代戦車改良型に対抗できません、しかし16式機動戦闘車がその答えになるとも思えない。

戦車教導隊第2中隊の90式戦車、この流星マークの90式戦車が最初の90式戦車中隊でしたので、ゴジラシリーズはじめ多くの映画では90式戦車といえば流星マーク、というものでしたね。映画に出演しますと、戦車部隊はかなり後世までその雄姿が作品として残る。

複合装甲で対戦車ミサイルや徹甲弾脅威に対応する強靭な防御力を有し、1mもの鋼鉄を貫徹する120mm滑腔砲を搭載し1500馬力エンジンにより70km/hという機動力を有する戦車です。打撃機動防御を揃えた、この三要素を揃えたものが世界では第3世代戦車という。

90式戦車は目標自動追尾装置と自動装填装置という二つの新技術を採用し、世界の戦車の中で最優秀の性能を保持していました。冗談ではなく最優秀と言い切れるのは、自動装填装置の採用により、車内容積でいちばん場所を取る装填手をロボットに置き換えている。

砲塔に乗車する砲手と車長を砲塔前部に集中する事が出来、ここに複合装甲を重点的に配置することで、軽量なのに重装甲、ということを実現できたわけです。逆に複合装甲を採用しないと、装甲厚を鋼鉄で1mにしなければならず、これでは重すぎて動きがとれません。

防御力の面から自動装填装置は意義があります。装填手は後部の弾薬庫から砲身基部に装填するため、体を回して作業するため、この空間も複合装甲で覆うとなるとかなり重量がかさむのです、もちろんロボットが装填しますが緊急時には車長による手動装填も可能だ。

レオパルド2、M-1A1、チャレンジャー、各国の戦車はこの為に複合装甲を広くとる必要があるのですね、ただ、装填手は戦車乗員が最初に割り当てられる修業の場、ここをロボット化するのですから戦車初心者は陸曹になって初めて操縦手として着任することになる。

陸曹になるまで戦車乗員と慣れない、というのは90式戦車に始った3名定員の戦車ですが、陸曹の養成は時間が掛かります。この為の戦車乗員をどう養成するのか、装軌装甲車操縦手等を充てていますが自衛隊装甲車が装輪化する潮流のなか、将来の問題の一つでしょう。

目標自動追尾装置は、戦車照準器通じ砲手がロックオンした目標を文字通り自動追尾するものです。自動追尾するという事は砲手が延々と砲塔を微調整して目標を追い続ける必要が無い訳ですが90式戦車は自車が移動しつつ敵が移動する最中を照準し続ける事が可能だ。

複数の戦車と同時に抗戦できるというものが目標自動追尾装置の強みです。これは90式戦車には戦車長用の独立照準器が搭載されています、車内から目標を索敵でき、砲手が主砲の照準を行いますが、車長がより優先度の高い目標を発見した場合には優先照準できる。

目標追尾装置と車長用照準器の併用、これはどういう事かと云えば、砲手が目標戦車を自動追尾させる最中に戦車長がより優先度の高い、例えばこちらを狙う、目標を発見した場合には即座に優先射撃し撃破出来る。しかし、ロックオン目標も追尾し続けている訳です。

車長指定の目標を撃破し、その四秒後に自動装填装置が装填した直後に砲手がロックオンしている目標を打撃することができる。ただ、目標自動追尾には砲塔を標的に追随させる必要があり、二つの標的が角度的に離れすぎていると追随不能となってしまいますが、ね。

自動装填装置はフランスのルクレルク戦車やロシアのT-72戦車以降のT-80戦車やT-90戦車が採用し、目標自動追尾装置はイスラエルのメルカヴァMk3BIZ戦車以降のメルカヴァMk4なども採用していますが、両方とも採用したのは90式戦車が初めてです、画期的だ。

当初は不具合に悩まされましたが、整備手順を完成させ、世界最強の戦車として自衛隊は育て上げました。自動装填装置と目標追尾装置の併用搭載は非常に効果が高く、最新型の10式戦車でもこの方式が採用されています、勿論性能と信頼性を高めて、搭載されました。

戦車教導隊第3中隊の90式戦車、開発当時は相当な最先端技術を盛り込んだ戦車である事から一両当たり12億円もしまして、毎年36両しか調達できない、といわれたものでした。当時はバブル崩壊もあって、不必要なまで贅沢な戦車なのでは、とも言われたものですが。

現代の視点で見ますと、毎年6両しか10式戦車を調達できない現状では36両も調達できている状況は時代の違いを痛感させられますが、実は74式戦車は毎年80両ちかくを調達していたのですから36両となると少ない、という印象に直結する事は確かに否めません。

しかし、90式戦車は量産を続けると共に徐々に調達価格が低減してゆきました。戦車の費用の三割近くは火器管制装置の費用により占められる、とはイスラエルのメルカヴァMk3戦車にBAZ火器管制装置を搭載しただけで調達費用が三割増大した事でいわれましたもの。

90式戦車が費用面で高くなっていたのは自動装填装置と自動目標追尾装置に車長用独立照準器という高度な機材を、第三世代戦車として複合装甲や新世代の暗視装置と高出力エンジン等の元々高い費用の構成要素に加えた為であって、コスト管理で失敗した訳ではない。

そもそも90式戦車が高いといわれた背景、調達されていた当時には、湾岸戦争当時の報道でアメリカのM-1A1戦車が3億5000万円程度、という情報が出ており、ドイツのレオパルド2も4億円程度なので90式戦車は不当に高い、という主張がしめされていたのです。

しかし、サウジアラビアがM-1A2戦車を調達する際には8億7000万円という数字が示され、そもそも3億5000万円程度というのは7000両の一括調達費用の事業評価数値をドル換算を当時円高レートで再換算したという、一種さお竹屋の移動販売のような数値でした。

高いたかいというならば自衛隊が外国製を輸入したらば安くなるのか、90式戦車の代わりにM-1A1戦車を導入する場合はどうなるのか、という視点が必要となるでしょう。勿論、90式戦車の自動装填装置や目標追尾装置や車長用独立照準器搭載はオプションとなります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2015年度行事用の解説で2017年度行事写真、少々解説と写真が外れてしまいましたがご容赦を。

戦車教導隊第2中隊の90式戦車が続く。16式機動戦闘車は量産開始三年目の製造費用が7億5500万円です。対して90式戦車は生産開始当時こそ12億円という高価な費用を要していましたが、生産治具購入などを初度費として加算していた為、12億円に繋がった。

90式戦車も量産が続くと共に生産費用は8億5000万円前後に低減され、2010年の生産終了までに一両当たり7億9000万円まで費用を下げた事もありました。16式機動戦闘車はそれよりも3500万円ほど安価なのですが、まあ、軽装甲機動車初期一両分、というところ。

しかし、戦車乗りとしては、16式機動戦闘車よりも90式戦車のほうを選ぶと思うのですが、どうでしょうか、と考えてしまいます。16式機動戦闘車に乗車する戦車要員の立場になって考えなければなりません、戦車砲に撃たれたらば確実に撃破される車両どちらがよいか。

74式戦車は確かに現在のままでは第一線戦闘に対応できません、暗視装置を新型の熱線暗視装置に換装、増加装甲を砲塔と車体前面に装着し、遠隔操作銃搭RWSを搭載しても第三世代戦車改良型に対抗できません、しかし16式機動戦闘車がその答えになるとも思えない。

戦車教導隊第2中隊の90式戦車、この流星マークの90式戦車が最初の90式戦車中隊でしたので、ゴジラシリーズはじめ多くの映画では90式戦車といえば流星マーク、というものでしたね。映画に出演しますと、戦車部隊はかなり後世までその雄姿が作品として残る。

複合装甲で対戦車ミサイルや徹甲弾脅威に対応する強靭な防御力を有し、1mもの鋼鉄を貫徹する120mm滑腔砲を搭載し1500馬力エンジンにより70km/hという機動力を有する戦車です。打撃機動防御を揃えた、この三要素を揃えたものが世界では第3世代戦車という。

90式戦車は目標自動追尾装置と自動装填装置という二つの新技術を採用し、世界の戦車の中で最優秀の性能を保持していました。冗談ではなく最優秀と言い切れるのは、自動装填装置の採用により、車内容積でいちばん場所を取る装填手をロボットに置き換えている。

砲塔に乗車する砲手と車長を砲塔前部に集中する事が出来、ここに複合装甲を重点的に配置することで、軽量なのに重装甲、ということを実現できたわけです。逆に複合装甲を採用しないと、装甲厚を鋼鉄で1mにしなければならず、これでは重すぎて動きがとれません。

防御力の面から自動装填装置は意義があります。装填手は後部の弾薬庫から砲身基部に装填するため、体を回して作業するため、この空間も複合装甲で覆うとなるとかなり重量がかさむのです、もちろんロボットが装填しますが緊急時には車長による手動装填も可能だ。

レオパルド2、M-1A1、チャレンジャー、各国の戦車はこの為に複合装甲を広くとる必要があるのですね、ただ、装填手は戦車乗員が最初に割り当てられる修業の場、ここをロボット化するのですから戦車初心者は陸曹になって初めて操縦手として着任することになる。

陸曹になるまで戦車乗員と慣れない、というのは90式戦車に始った3名定員の戦車ですが、陸曹の養成は時間が掛かります。この為の戦車乗員をどう養成するのか、装軌装甲車操縦手等を充てていますが自衛隊装甲車が装輪化する潮流のなか、将来の問題の一つでしょう。

目標自動追尾装置は、戦車照準器通じ砲手がロックオンした目標を文字通り自動追尾するものです。自動追尾するという事は砲手が延々と砲塔を微調整して目標を追い続ける必要が無い訳ですが90式戦車は自車が移動しつつ敵が移動する最中を照準し続ける事が可能だ。

複数の戦車と同時に抗戦できるというものが目標自動追尾装置の強みです。これは90式戦車には戦車長用の独立照準器が搭載されています、車内から目標を索敵でき、砲手が主砲の照準を行いますが、車長がより優先度の高い目標を発見した場合には優先照準できる。

目標追尾装置と車長用照準器の併用、これはどういう事かと云えば、砲手が目標戦車を自動追尾させる最中に戦車長がより優先度の高い、例えばこちらを狙う、目標を発見した場合には即座に優先射撃し撃破出来る。しかし、ロックオン目標も追尾し続けている訳です。

車長指定の目標を撃破し、その四秒後に自動装填装置が装填した直後に砲手がロックオンしている目標を打撃することができる。ただ、目標自動追尾には砲塔を標的に追随させる必要があり、二つの標的が角度的に離れすぎていると追随不能となってしまいますが、ね。

自動装填装置はフランスのルクレルク戦車やロシアのT-72戦車以降のT-80戦車やT-90戦車が採用し、目標自動追尾装置はイスラエルのメルカヴァMk3BIZ戦車以降のメルカヴァMk4なども採用していますが、両方とも採用したのは90式戦車が初めてです、画期的だ。

当初は不具合に悩まされましたが、整備手順を完成させ、世界最強の戦車として自衛隊は育て上げました。自動装填装置と目標追尾装置の併用搭載は非常に効果が高く、最新型の10式戦車でもこの方式が採用されています、勿論性能と信頼性を高めて、搭載されました。

戦車教導隊第3中隊の90式戦車、開発当時は相当な最先端技術を盛り込んだ戦車である事から一両当たり12億円もしまして、毎年36両しか調達できない、といわれたものでした。当時はバブル崩壊もあって、不必要なまで贅沢な戦車なのでは、とも言われたものですが。

現代の視点で見ますと、毎年6両しか10式戦車を調達できない現状では36両も調達できている状況は時代の違いを痛感させられますが、実は74式戦車は毎年80両ちかくを調達していたのですから36両となると少ない、という印象に直結する事は確かに否めません。

しかし、90式戦車は量産を続けると共に徐々に調達価格が低減してゆきました。戦車の費用の三割近くは火器管制装置の費用により占められる、とはイスラエルのメルカヴァMk3戦車にBAZ火器管制装置を搭載しただけで調達費用が三割増大した事でいわれましたもの。

90式戦車が費用面で高くなっていたのは自動装填装置と自動目標追尾装置に車長用独立照準器という高度な機材を、第三世代戦車として複合装甲や新世代の暗視装置と高出力エンジン等の元々高い費用の構成要素に加えた為であって、コスト管理で失敗した訳ではない。

そもそも90式戦車が高いといわれた背景、調達されていた当時には、湾岸戦争当時の報道でアメリカのM-1A1戦車が3億5000万円程度、という情報が出ており、ドイツのレオパルド2も4億円程度なので90式戦車は不当に高い、という主張がしめされていたのです。

しかし、サウジアラビアがM-1A2戦車を調達する際には8億7000万円という数字が示され、そもそも3億5000万円程度というのは7000両の一括調達費用の事業評価数値をドル換算を当時円高レートで再換算したという、一種さお竹屋の移動販売のような数値でした。

高いたかいというならば自衛隊が外国製を輸入したらば安くなるのか、90式戦車の代わりにM-1A1戦車を導入する場合はどうなるのか、という視点が必要となるでしょう。勿論、90式戦車の自動装填装置や目標追尾装置や車長用独立照準器搭載はオプションとなります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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