■台風一過の大雨特別警報
特別警報は昨日漸く全て解除されました。先週の台風七号が温帯低気圧となった後、台風一過に訪れたのは晴天ではなく西日本全域への歴史的豪雨でした。

平成30年度7月豪雨、西日本九州四国地方に甚大な被害を及ぼした先週木曜日から今週月曜日までの一連の豪雨について、気象庁は本日、今回の記録的な豪雨災害を平成30年度7月豪雨と命名しました。日本海を北上した台風七号が能登半島沖にて温帯低気圧に転じ、これにより行き場を失った大量の雨雲が線状降水帯となり、日本列島半分に豪雨を注いだ。

被害は、甚大です。亡くなった方は広島県では東広島市、呉市、広島市、三原市、竹原市、福山市、坂町、尾道市、府中市、安芸高田市、熊野町。岡山県では、倉敷市真備町、笠岡市、総社市、井原市。愛媛県では、宇和島市、西予市、大洲市、松山市、今治市京都府では綾部市、亀岡市、山口県では岩国市、周南市、本州四国だけでもここまで広範囲に及ぶ。

九州でも被害は大きく福岡県では北九州市、筑紫野市、鹿児島県では鹿児島市、兵庫県では、宍粟市、猪名川町、滋賀県高島市、岐阜県関市、高知県大月町、佐賀県伊万里市、以上の市町村にて犠牲者が出ており、豪雨被害は本日1900時の時点で死者114名、3名が意識不明、行方不明者61名。災害での100名以上の死者は2011年東日本大震災以来です。

台風7号の影響を受けた降雨は7月3日より継続していましたが気象庁は7月6日1710時に長崎県と福岡県及び佐賀県に大雨特別警報を発令しました。その2時間半後の1940時には続いてに広島県と岡山県及び鳥取県に特別警報を発令、その三時間後に当たる2250時に京都府と兵庫県に発令、6日だけで8府県に特別警報が発令、更に降雨量は増大を続ける。

七夕の日7月7日1250時に岐阜県へ大雨特別警報が発令、翌7月8日未明の0550時には重ねて高知県と愛媛県にも大雨特別警報が発令されました。100mmの時間雨量が観測された地点も少なくなく、大雨特別警報として50年に一度の規模の雨量という事でしたが、複数の河川が氾濫し、西日本高速道路、JR西日本、JR九州、JR東海の路線へも影響は及ぶ。

JR西日本だけでも山陽本線を筆頭にほぼすべての路線が運休となり、芸備線三篠川鉄橋流失を筆頭に山陽本線と呉線に伯備線では土砂流入、加古川線や阪和線では道床流失、特に鉄橋流失は復旧へ時間を要しそうです。産業もPanasonic岡山工場浸水被害、三菱電機京都製作所等四工場操業停止、ダイハツとマツダも7日に西日本地域の操業を停止しました。

100mmの時間雨量は驚かされますが局地的には近年頻発しているようにみられます、これは観測網の精密化により従来の気象観測網が見逃していた局地豪雨、所謂ゲリラ豪雨を確実に把握できるようになった為かもしれません。しかし、主観的には近年の豪雨増大という印象を考えずにはいられず、豪雨対策という視点を防災と減災共に考える必要も大きい。

大雨特別警報は気象業務法第13条の2として2013年5月30日に公布された改正気象業務法へ盛り込まれました。これは2011年の平成23年台風12号に際し紀伊半島において総量2000mmが観測されたことを受けての制定ですが2013年9月16日に早速大雨特別警報が京都府と福井県と滋賀県に発令され、その際も数十年に一度の豪雨と表現されています。

政府は台風七号接近の7月2日時点で官邸情報連絡室を設置していましたが、6日1358時の時点で官邸対策室へ格上げし警戒態勢を強めていました。そして被害の拡大と共に政府は8日に非常災害対策本部を設置、また総務省消防庁や警察庁も災害情報連絡室を設置、防衛省も連絡室を早くから設置しています。一端を自衛隊災害派遣から見てみましょう。

自衛隊派遣、6日金曜日に京都府京都市では水防活動として第7普通科連隊及び中部方面後方支援隊が土嚢3660嚢を作成、水防支援に当たりました。九州福岡県では記録的豪雨により道路寸断や地域孤立が相次ぎ、福岡県知事より人命救助に関わる災害派遣が要請され第40普通科連隊及び第4施設大隊が北九州市、第2施設群が飯塚市へ、第9施設群が筑前町へ出動です。

広島県が2014年以来の集中豪雨に襲われたのも金曜で、広島県では海田町、熊野町、東広島市、呉市、安芸津町に災害派遣要請が出され第13旅団隷下の第46普通科連隊、第47普通科連隊及び海上自衛隊の呉地方隊が出動しています。岡山県でも高梁市、総社市、倉敷市、井原市への災害派遣要請が出ており第13特科隊及び第305施設隊が出動しました。

7日土曜日には大雨特別警報が広範に発令され、高知県では安芸市での孤立者の救助等、福岡県では継続し人命救助等を北九州市に、広島県でも継続し広島市と海田町と熊野町に東広島市と呉市及び安芸津町へ、岡山県でも高梁市と総社市と倉敷市に井原市へ、京都府で新たに人命救助として綾部市と舞鶴市、愛媛県松山市、山口県岩国市でも災害派遣要請が。

8日日曜日は一部で大雨特別警報が解除されたものの未明に四国へ新たに発令され、被害も高知県では孤立者の救助等が四万十市と宿毛市と宿毛市に香美市及び香南市へ、広島県では広島市と西条町と安浦町に熊野町と呉市と竹原市に三原市及び江田島市、京都府綾部市に舞鶴市、岡山県でも岡山市に高梁市と総社市と倉敷市に井原市前日と継続し災害派遣を。

愛媛県では災害派遣要請が拡大し、人命救助に関して怒和島と宇和島市と松山市及び大洲市へ。新たに兵庫県より宍粟市での人命救助の要請があり、派遣部隊は中部方面隊が第3師団、第13旅団、第14旅団、更に増援として第10師団と方面直轄部隊、西部方面隊が第4師団と方面直轄部隊、海上自衛隊も呉地方隊と舞鶴地方隊、航空自衛隊も派遣されました。

平成30年度7月豪雨は、東日本大震災以来の100名を超える犠牲者を出し、平成に入り最大の水害となりつつあります。従来の豪雨対策の延長線上で、今後の大規模豪雨災害にどのように対応するのか、また自治体の防災能力や、大雨特別警報と共に広範囲に発令される避難指示との対応について、避難方法や救助、考えさせられる点は多いのですが、同時に現在も行方不明者の捜索が続いています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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特別警報は昨日漸く全て解除されました。先週の台風七号が温帯低気圧となった後、台風一過に訪れたのは晴天ではなく西日本全域への歴史的豪雨でした。

平成30年度7月豪雨、西日本九州四国地方に甚大な被害を及ぼした先週木曜日から今週月曜日までの一連の豪雨について、気象庁は本日、今回の記録的な豪雨災害を平成30年度7月豪雨と命名しました。日本海を北上した台風七号が能登半島沖にて温帯低気圧に転じ、これにより行き場を失った大量の雨雲が線状降水帯となり、日本列島半分に豪雨を注いだ。

被害は、甚大です。亡くなった方は広島県では東広島市、呉市、広島市、三原市、竹原市、福山市、坂町、尾道市、府中市、安芸高田市、熊野町。岡山県では、倉敷市真備町、笠岡市、総社市、井原市。愛媛県では、宇和島市、西予市、大洲市、松山市、今治市京都府では綾部市、亀岡市、山口県では岩国市、周南市、本州四国だけでもここまで広範囲に及ぶ。

九州でも被害は大きく福岡県では北九州市、筑紫野市、鹿児島県では鹿児島市、兵庫県では、宍粟市、猪名川町、滋賀県高島市、岐阜県関市、高知県大月町、佐賀県伊万里市、以上の市町村にて犠牲者が出ており、豪雨被害は本日1900時の時点で死者114名、3名が意識不明、行方不明者61名。災害での100名以上の死者は2011年東日本大震災以来です。

台風7号の影響を受けた降雨は7月3日より継続していましたが気象庁は7月6日1710時に長崎県と福岡県及び佐賀県に大雨特別警報を発令しました。その2時間半後の1940時には続いてに広島県と岡山県及び鳥取県に特別警報を発令、その三時間後に当たる2250時に京都府と兵庫県に発令、6日だけで8府県に特別警報が発令、更に降雨量は増大を続ける。

七夕の日7月7日1250時に岐阜県へ大雨特別警報が発令、翌7月8日未明の0550時には重ねて高知県と愛媛県にも大雨特別警報が発令されました。100mmの時間雨量が観測された地点も少なくなく、大雨特別警報として50年に一度の規模の雨量という事でしたが、複数の河川が氾濫し、西日本高速道路、JR西日本、JR九州、JR東海の路線へも影響は及ぶ。

JR西日本だけでも山陽本線を筆頭にほぼすべての路線が運休となり、芸備線三篠川鉄橋流失を筆頭に山陽本線と呉線に伯備線では土砂流入、加古川線や阪和線では道床流失、特に鉄橋流失は復旧へ時間を要しそうです。産業もPanasonic岡山工場浸水被害、三菱電機京都製作所等四工場操業停止、ダイハツとマツダも7日に西日本地域の操業を停止しました。

100mmの時間雨量は驚かされますが局地的には近年頻発しているようにみられます、これは観測網の精密化により従来の気象観測網が見逃していた局地豪雨、所謂ゲリラ豪雨を確実に把握できるようになった為かもしれません。しかし、主観的には近年の豪雨増大という印象を考えずにはいられず、豪雨対策という視点を防災と減災共に考える必要も大きい。

大雨特別警報は気象業務法第13条の2として2013年5月30日に公布された改正気象業務法へ盛り込まれました。これは2011年の平成23年台風12号に際し紀伊半島において総量2000mmが観測されたことを受けての制定ですが2013年9月16日に早速大雨特別警報が京都府と福井県と滋賀県に発令され、その際も数十年に一度の豪雨と表現されています。

政府は台風七号接近の7月2日時点で官邸情報連絡室を設置していましたが、6日1358時の時点で官邸対策室へ格上げし警戒態勢を強めていました。そして被害の拡大と共に政府は8日に非常災害対策本部を設置、また総務省消防庁や警察庁も災害情報連絡室を設置、防衛省も連絡室を早くから設置しています。一端を自衛隊災害派遣から見てみましょう。

自衛隊派遣、6日金曜日に京都府京都市では水防活動として第7普通科連隊及び中部方面後方支援隊が土嚢3660嚢を作成、水防支援に当たりました。九州福岡県では記録的豪雨により道路寸断や地域孤立が相次ぎ、福岡県知事より人命救助に関わる災害派遣が要請され第40普通科連隊及び第4施設大隊が北九州市、第2施設群が飯塚市へ、第9施設群が筑前町へ出動です。

広島県が2014年以来の集中豪雨に襲われたのも金曜で、広島県では海田町、熊野町、東広島市、呉市、安芸津町に災害派遣要請が出され第13旅団隷下の第46普通科連隊、第47普通科連隊及び海上自衛隊の呉地方隊が出動しています。岡山県でも高梁市、総社市、倉敷市、井原市への災害派遣要請が出ており第13特科隊及び第305施設隊が出動しました。

7日土曜日には大雨特別警報が広範に発令され、高知県では安芸市での孤立者の救助等、福岡県では継続し人命救助等を北九州市に、広島県でも継続し広島市と海田町と熊野町に東広島市と呉市及び安芸津町へ、岡山県でも高梁市と総社市と倉敷市に井原市へ、京都府で新たに人命救助として綾部市と舞鶴市、愛媛県松山市、山口県岩国市でも災害派遣要請が。

8日日曜日は一部で大雨特別警報が解除されたものの未明に四国へ新たに発令され、被害も高知県では孤立者の救助等が四万十市と宿毛市と宿毛市に香美市及び香南市へ、広島県では広島市と西条町と安浦町に熊野町と呉市と竹原市に三原市及び江田島市、京都府綾部市に舞鶴市、岡山県でも岡山市に高梁市と総社市と倉敷市に井原市前日と継続し災害派遣を。

愛媛県では災害派遣要請が拡大し、人命救助に関して怒和島と宇和島市と松山市及び大洲市へ。新たに兵庫県より宍粟市での人命救助の要請があり、派遣部隊は中部方面隊が第3師団、第13旅団、第14旅団、更に増援として第10師団と方面直轄部隊、西部方面隊が第4師団と方面直轄部隊、海上自衛隊も呉地方隊と舞鶴地方隊、航空自衛隊も派遣されました。

平成30年度7月豪雨は、東日本大震災以来の100名を超える犠牲者を出し、平成に入り最大の水害となりつつあります。従来の豪雨対策の延長線上で、今後の大規模豪雨災害にどのように対応するのか、また自治体の防災能力や、大雨特別警報と共に広範囲に発令される避難指示との対応について、避難方法や救助、考えさせられる点は多いのですが、同時に現在も行方不明者の捜索が続いています。
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