北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

邦人救出発動!中国新型コロナウィルス拡大と都市封鎖に日本政府決断と懸念される次の段階

2020-01-27 20:07:48 | 国際・政治
■都市封鎖!中国全土厳戒態勢
 中国新型コロナウィルスによる感染拡大とウィルス変化や無症患者と長い潜伏期間、今回のパンデミーは流行相が読めません。

 中国新型コロナウィルスによる肺炎蔓延は本日、李克強首相が武漢に入り疾病対策の陣頭指揮を執る国家非常態勢に移行しました。武漢市では犠牲者の多くが集中していますが、死者の発生地域が次第に拡大、中国政府は、武漢、黄岡、黄石、仙桃、顎州、潜江、利川、赤壁、咸寧、孝感、恩施、枝江、次々と都市を封鎖しています。実に数日間の間に、です。

 武漢封鎖とともに懸念するのは中国政府のなりふり構わずの都市封鎖であり、現在イギリス一国の人口に等しい規模の都市が封鎖下にあり、そして市街地では物価高騰や生活物資枯渇など、影響が顕在化し始めている点で、特に在留邦人の保護が現実的な課題となっています。現在、武漢空港は閉鎖されており、邦人保護へ日中間の調整が進められている。

 邦人保護へ政府は昨日、チャーター機により封鎖が続く武漢への在留邦人輸送を、帰国希望者全員を輸送させる方針として発表し、武漢の法人保護を所管する北京の日本大使館より武漢へ特別チームが派遣されている旨を公表しました。邦人輸送には現在、全日空があたるという。全日空のチャーター機運航、イランイラク戦争の頃より順調にすすみました。

 イランイラク戦争に際しての混乱テヘラン邦人緊急輸送に際して当時政府が日本航空のチャーター機運航を打診するものの安全が確保できないとして断られた経緯があり、若干の不安をもって推移を見守っていましたが、あれから40年、今回は全日空がチャーター機運航を了承し、実費のみ負担で帰国できるという。空港まで集合できれば、帰国が出来る。

 感染拡大、しかし武漢からの邦人救出は、武漢市内の邦人は一時滞在者を含め770名、感染拡大前に帰国できた邦人も多く現状では500名規模ということですが、中国国内には42万名もの邦人が居住しており、一時滞在者を含めれば更に多くの邦人が中国国内に居ます。武漢に領事館が無く今回外務省は後手を強いられた構図ですが、事態は更に流動的です。

 中国政府の封鎖強化により、武漢の人口の六倍近い人口地域が現在封鎖状態にあり、今後、観戦拡大が阻止できず、特に武漢市内のように死亡率が上昇した場合、この地域への邦人輸送を検討する必要性も生じるでしょう。中国政府は混乱下にある、これが現状への率直な印象です。故に領事関係条約にもとづく外国人保護まで手が回らない状況があります。

 外務省は今後、中国における公館、特に領事館拡大に乗り出すべkと考えるのですが現状の在外邦人孤立、これはアメリカや韓国とロシアはじめ各国の中国滞在者を含めてですが、混乱に紛れている状況といえるのかもしれません。武漢の状況、新型コロナウィルスの感染拡大状況、いずれも中国政府は未だ、情報統制を継続している状況であり、判断難しい。

 各国政府も大規模な自国民退避の可否を決めかねている状況です。もっとも現状は初動を誤った故の中国危機管理能力の限界であり、瑕疵には必ずしも当たらないよう思えるのですが、もともと隠す国であり、情報統制解除に時間が掛かるのでしょうか。ともあれ、邦人救出が決定した上で、今度は武漢市内からどう空港へ集まるのか、課題はまだあります。

 嘉手納基地や横田基地への中国脱出同盟国民収容、実はもう一つ、この問題は忘れられていないでしょうか。実のところ政府は自国民救出へチャーター機派遣という決断に至ったのですが、現在警戒せねばならないのは次の段階、中国政府が制御不能の、2004年SARS以上の疾病事態となった場合への、各国が進める自国民救出へ大規模飛行場が足りません。

 国連軍指定基地である嘉手納基地や横田基地、WHO世界保健機関の支援と各国が進める自国民救出の拠点として使用する場合の準備、というところでしょうか。実のところ政府はここまで踏み込んだ準備を公には行っていません。制御不能の事態はあるのか、と問われれば中国当局が発表した情報としてNHKが報じたところでは現在、懸念すべき数字が在る。

 武漢では発症患者の四分の一が重篤、全体の3%から4%が死亡する、という数字を示しており、併せて感染力の拡大、という情報を提示しています。これは感染者25%の重篤、重篤患者の15%が死亡する、という状況であり、致死率以前に社会不安を醸成する緊張感のある数字です。武漢以外にこの制御不能の状況が拡散した場合、状況は次段階となります。

 各国の自国民期救出への拠点航空施設は必要となり、この為に中国周辺で現実的に用いうる飛行場が韓国の烏山、そして嘉手納基地や横田基地しか考えられないためです。新型コロナウィルスは、致死率3%と決してエボラ出血熱やマールブルク熱といったものと比較した場合、高くはないのですが、大都市を次々と封鎖し物流途絶、これが新しい問題です。

 中国、最大の課題は世界第二位の経済大国となった中国、故に通商関係の多数の外国人が居留する中で1000万都市の閉鎖を筆頭に人の移動を外国人も含めて無通告で広範囲に実施し、しかし物価統制例や配給支援なども行わず避難所開設もおこなわないことで外国人が危険に晒されている事、そして情報開示を充分行わないことで危険度が未知数なのですね。

 外国人を救出する、そのための飛行場提供を日本国内に求められる可能性を真剣に検討せねばなりません。横田基地や嘉手納基地が救出拠点となる可能性、これは可能性であり示唆はありませんが、想定外とせぬよう、周辺自治体関係者と政府の調整、決定では無いとしつつ土壇場の想定外は避けたい、不用意な調整は混乱を招きますが最悪に備えるべきだ。

 3.11、実のところあの2011年東日本大震災福島第一原発事故と当時の民主党菅政権の情報不開示で各国が受けた不信感と、現在の中国への情報開示への不満は重なるところがあり、これは悪意にもとづくものではなく危機管理能力の多寡、視点が必要でしょう。その上で、理解せねばならないのは3.11の際に、アメリカ政府は放射性降下物拡散情報に不満でした。

 アメリカ国務省は実際、東京を含めた名古屋までのアメリカ市民を圏外の京阪神地区ないし九州あたりまで退避勧告を示唆していました、関西国際空港や中部国際空港へアメリカはもちろん、欧州各国が自国民救出航空機の乗り入れ打診をおこなったのもこの頃でして、状況はここに近い。コロナウィルスの原発事故との相違は、疾病が見えにくい点でしょう。

 放射性降下物はモニタリングにより拡散状況が開示できますが、武漢封鎖を筆頭に都市封鎖が連続しますと、湖北省湖南省のみならず華南地域全域は大丈夫なのか、上海や香港の封鎖可能性はあるのか、不明、ということです。上海などは地域人口2400万、東京と近県を含めた首都圏に匹敵する人口です、この為に各国が自国民救出を真剣に実施する場合は。

 どうしても中継点となる飛行場が求められ、中国国内の巨大空港が影響を受ける前提では、日本の飛行場施設が有する重要度が高騰する、ということ。もちろん、疾病と人道の問題であり、中継点として用いるならば、問題ない、として周辺自治体が好意的に受け止める可能性もあるのですが、そうならない可能性もある、故に調整を行うのが危機管理です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする