■ホルムズ海峡危機以上の影響
スエズ運河は世界主要海上交通の8%が通行する国際的に重要な運河です。ここが商船の座礁により閉塞されることとなりました、戦争ではありませんが重要影響事態といえる。
エヴァーギブン号、日本の正栄汽船が所有し台湾のエヴァーグリーン社が運行しドイツのベルンハルトシュッテ社が運行受託を受け子会社のBSS社が操船していた巨大貨物船が3月23日、スエズ運河で座礁しました。船舶は当時、風速20mの砂嵐に見舞われておりスエズ運河の単線航路帯にて視界不良と操船不能、そのまま運河を塞ぐ形で座礁しました。
ニミッツ級原子力空母は333mですが、このエヴァーギブン号は399.94mという、ほぼ400mの巨大コンテナ船であり、今治造船が誇るImabari20000シリーズの一隻、総トン数22万0940tの巨大コンテナ船です。座礁はスエズ運河最狭部の幅200m水路で発生し、船首バルバスバウ部分が喰い込むよう塞ぎ、運河を重機で削り曳船で引き離そうとしている。
スエズ運河閉塞、この状況をみますと自衛隊も多用途支援艦派遣を検討するべきではないか考えてしまいます。スエズ運河は欧州とアジアを結ぶ世界最大の重要水路であり、パナマ運河よりも海上交通量は多く、マラッカ海峡よりも迂回経路がありません。また、日本はこの海域の海上交通に大きく依存しており、これまさに重要影響事態といえるでしょう。
間もなく離岸、航路復旧に数週間、土砂を五輪プール八杯分浚渫すれば復旧、今回の事故では情報が入り乱れていまして、間もなく離岸は希望を持たせる報道ですが報道はこの他、復旧に数週間と報じたのはAFP,五輪プール八杯分と報道したのはCNNです。今夜にも離岸、この論拠は現地が大潮である為で、逆に今夜離岸しなければ潮位が下がる、という。
日本も何か国家として打つ手はないのか、スエズ運河はエジプト政府が管理しており、現在はオランダの協力企業と共に離岸を試みている、という事であり、特段エジプト政府から支援要請も無い訳なのですが、スエズ運河を通じての海上物流に多くを依存する日本には無関係ではありませんし、なにより過去の政府方針と合致しないと思うのです。それは。
ホルムズ海峡、今回のスエズ閉塞に際して自衛隊を派遣すべき、と考えるのは、安倍政権時代にホルムズ海峡有事を重要影響事態の例として挙げていた点です、これは欧米と対立するイランがペルシャ湾の入り口であるホルムズ海峡を機雷封鎖する可能性が指摘されており、現実問題、コクカカレイジャス号など日本タンカーも襲撃の被害に遭っていました。
掃海艇派遣、当時日本では安全保障関連法整備に関する国会答弁の際に政府は一例としてホルムズ海峡が機雷封鎖される事例を提示、石油の日本輸出入にペルシャ湾とアラビア海を結ぶホルムズ海峡の重要性から掃海艇等を派遣する可能性を提示していました。すると、スエズ運河はペルシャ湾とは離れていますが、欧州と日本を結ぶそれ以上の要衝といえる。
多用途支援艦派遣の検討が必要です。スエズ運河閉塞、日本に何が出来るのか、という論点で考えますと、先ず一にも二にも座礁した船舶の離岸が第一であり、その為には外洋航行可能な曳船の派遣が貢献の一つとして考えられ、具体的には、ひうち型多用途支援艦の派遣が考えられます。満載排水量1400t、大きくはありませんが外洋航行能力はあります。
ひうち型多用途支援艦、海上自衛隊の地方隊に配備されている直轄艦で、もともとは訓練支援に標的曳航等を行う支援艦ですが、同時に航行不能となった艦艇の曳航も任務としており、5000hpのエンジンを搭載、能力としては一隻で護衛艦かが曳航も可能とされています、自衛隊最大の曳船である曳船58号型の機関出力が2600hpですので出力は二倍近い。
ベルンハルトシュルテシップマネジメント社が離岸作業を実施しており、複数の曳船がエヴァーギブン号の周囲を囲んで作業を行っている状況です、故にこうした離岸作業は専門家に任せた方が良い、という反論はあるでしょう、実際、日本から派遣するにしても航洋曳船の数は限られ、ひうち型の速力では現地まで三週間ほど時間を要し、遠い事は確かだ。
現実問題として、ひうち型一隻では航続距離の問題もある為、ましゅう型のような補給艦か掃海母艦うらが型を支援に充てる必要はあり、海外派遣の規模としては大きなものとなります、ただ、ホルムズ海峡において有事の際には純然たる戦闘部隊である掃海艇を派遣するとしていて、それ以上に重要なスエズ運河の現状を傍観するのは整合性がありません。
スエズ運河自衛隊派遣、準備したとしても現状ひうち型は5隻で内外洋航行は後期型の2隻しか対応していませんので、派遣規模は1隻か2隻、しかもスエズ運河は遠く仮にいま派遣を政府が検討したとして自衛隊に派遣命令を出したとして現地到着は四月下旬から五月上旬、離岸している可能性が高いのですが、国としての姿勢を示す必要は大きいのです。
コンテナ船であるのだからコンテナを降ろして軽量化するという選択肢もある、これは正栄汽船が実際に提案した方法です、かなりの数ですが現実として起重機などを移動できればこちらの方が、多用途支援艦派遣よりは早いかもしれません。数十輌の戦車回収車等で同時に牽引する、エジプト軍は多数の戦車を保有しており、やるならばこちらがまだ早い。
ただ、日本は中東地域の石油に依存しており、欧州からのコンテナ物流にも依存している、という事実があります、そしてホルムズ海峡危機には自衛隊を派遣すると公言しているのですから、今回の状況で何もしないという現状は国家として一貫しない姿勢です。多用途支援艦派遣の用意がある、外務省を通じエジプト政府に提案する必要は、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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スエズ運河は世界主要海上交通の8%が通行する国際的に重要な運河です。ここが商船の座礁により閉塞されることとなりました、戦争ではありませんが重要影響事態といえる。
エヴァーギブン号、日本の正栄汽船が所有し台湾のエヴァーグリーン社が運行しドイツのベルンハルトシュッテ社が運行受託を受け子会社のBSS社が操船していた巨大貨物船が3月23日、スエズ運河で座礁しました。船舶は当時、風速20mの砂嵐に見舞われておりスエズ運河の単線航路帯にて視界不良と操船不能、そのまま運河を塞ぐ形で座礁しました。
ニミッツ級原子力空母は333mですが、このエヴァーギブン号は399.94mという、ほぼ400mの巨大コンテナ船であり、今治造船が誇るImabari20000シリーズの一隻、総トン数22万0940tの巨大コンテナ船です。座礁はスエズ運河最狭部の幅200m水路で発生し、船首バルバスバウ部分が喰い込むよう塞ぎ、運河を重機で削り曳船で引き離そうとしている。
スエズ運河閉塞、この状況をみますと自衛隊も多用途支援艦派遣を検討するべきではないか考えてしまいます。スエズ運河は欧州とアジアを結ぶ世界最大の重要水路であり、パナマ運河よりも海上交通量は多く、マラッカ海峡よりも迂回経路がありません。また、日本はこの海域の海上交通に大きく依存しており、これまさに重要影響事態といえるでしょう。
間もなく離岸、航路復旧に数週間、土砂を五輪プール八杯分浚渫すれば復旧、今回の事故では情報が入り乱れていまして、間もなく離岸は希望を持たせる報道ですが報道はこの他、復旧に数週間と報じたのはAFP,五輪プール八杯分と報道したのはCNNです。今夜にも離岸、この論拠は現地が大潮である為で、逆に今夜離岸しなければ潮位が下がる、という。
日本も何か国家として打つ手はないのか、スエズ運河はエジプト政府が管理しており、現在はオランダの協力企業と共に離岸を試みている、という事であり、特段エジプト政府から支援要請も無い訳なのですが、スエズ運河を通じての海上物流に多くを依存する日本には無関係ではありませんし、なにより過去の政府方針と合致しないと思うのです。それは。
ホルムズ海峡、今回のスエズ閉塞に際して自衛隊を派遣すべき、と考えるのは、安倍政権時代にホルムズ海峡有事を重要影響事態の例として挙げていた点です、これは欧米と対立するイランがペルシャ湾の入り口であるホルムズ海峡を機雷封鎖する可能性が指摘されており、現実問題、コクカカレイジャス号など日本タンカーも襲撃の被害に遭っていました。
掃海艇派遣、当時日本では安全保障関連法整備に関する国会答弁の際に政府は一例としてホルムズ海峡が機雷封鎖される事例を提示、石油の日本輸出入にペルシャ湾とアラビア海を結ぶホルムズ海峡の重要性から掃海艇等を派遣する可能性を提示していました。すると、スエズ運河はペルシャ湾とは離れていますが、欧州と日本を結ぶそれ以上の要衝といえる。
多用途支援艦派遣の検討が必要です。スエズ運河閉塞、日本に何が出来るのか、という論点で考えますと、先ず一にも二にも座礁した船舶の離岸が第一であり、その為には外洋航行可能な曳船の派遣が貢献の一つとして考えられ、具体的には、ひうち型多用途支援艦の派遣が考えられます。満載排水量1400t、大きくはありませんが外洋航行能力はあります。
ひうち型多用途支援艦、海上自衛隊の地方隊に配備されている直轄艦で、もともとは訓練支援に標的曳航等を行う支援艦ですが、同時に航行不能となった艦艇の曳航も任務としており、5000hpのエンジンを搭載、能力としては一隻で護衛艦かが曳航も可能とされています、自衛隊最大の曳船である曳船58号型の機関出力が2600hpですので出力は二倍近い。
ベルンハルトシュルテシップマネジメント社が離岸作業を実施しており、複数の曳船がエヴァーギブン号の周囲を囲んで作業を行っている状況です、故にこうした離岸作業は専門家に任せた方が良い、という反論はあるでしょう、実際、日本から派遣するにしても航洋曳船の数は限られ、ひうち型の速力では現地まで三週間ほど時間を要し、遠い事は確かだ。
現実問題として、ひうち型一隻では航続距離の問題もある為、ましゅう型のような補給艦か掃海母艦うらが型を支援に充てる必要はあり、海外派遣の規模としては大きなものとなります、ただ、ホルムズ海峡において有事の際には純然たる戦闘部隊である掃海艇を派遣するとしていて、それ以上に重要なスエズ運河の現状を傍観するのは整合性がありません。
スエズ運河自衛隊派遣、準備したとしても現状ひうち型は5隻で内外洋航行は後期型の2隻しか対応していませんので、派遣規模は1隻か2隻、しかもスエズ運河は遠く仮にいま派遣を政府が検討したとして自衛隊に派遣命令を出したとして現地到着は四月下旬から五月上旬、離岸している可能性が高いのですが、国としての姿勢を示す必要は大きいのです。
コンテナ船であるのだからコンテナを降ろして軽量化するという選択肢もある、これは正栄汽船が実際に提案した方法です、かなりの数ですが現実として起重機などを移動できればこちらの方が、多用途支援艦派遣よりは早いかもしれません。数十輌の戦車回収車等で同時に牽引する、エジプト軍は多数の戦車を保有しており、やるならばこちらがまだ早い。
ただ、日本は中東地域の石油に依存しており、欧州からのコンテナ物流にも依存している、という事実があります、そしてホルムズ海峡危機には自衛隊を派遣すると公言しているのですから、今回の状況で何もしないという現状は国家として一貫しない姿勢です。多用途支援艦派遣の用意がある、外務省を通じエジプト政府に提案する必要は、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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