■コロナ禍下の練習艦隊出航
練習艦隊近海練習航海の日程は例年海上自衛隊発表を注視するところですが、今年度の発表は文字通りぎりぎりとなりました。
練習艦隊が13日、江田島基地を出航しました。令和3年近海練習航海部隊と令和2年度外洋練習航海部隊、練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、護衛艦あけぼの、以上4隻揃っての江田島出航です。本年は異例尽くし、訓練支援艦初参加、COVID-19世界的流行禍下での出航と云う事もあり、公開日程が発表されたのは12日夕方、なんと出航20時間前だ。
艦隊出航。毎年恒例となっている行事であり、江田内を出航する様子は江田島の地形から高田といった江田内の対岸から撮影する事が容易で、観艦式が巨大台風により中止され地方隊展示訓練が2014年以降行われていない時節故に単縦陣の艦隊航行を撮影できる貴重な機会となっているのですが、今回は前日情報発表となり、気付かなかった方も多いもよう。
江田島基地を出航した練習艦隊は第71期一般幹部候補生課程修了者が令和3年近海練習航海へ、第73期飛行幹部候補生課程修了者が令和2年度外洋練習航海へ、それぞれ参加しています。今年度の幹部候補生学校卒業式は、昨年度の午前中に出港した練習艦隊出航とはうって替わり、しかし父母出席は見送りとなり簡略化されたものの午後に入り出航しました。
練習艦隊司令官石巻義康海将補が近海練習航海部隊指揮官、外洋練習航海部隊は第3護衛隊司令濱崎真吾1佐が指揮官に就きます。なお現在、部内課程第54期一般幹部候補生課程修了者を乗艦させた外洋練習航海部隊が第1練習隊司令井伊正章1佐指揮下の護衛艦ゆうぎり、練習艦せとゆき、練習艦はたかぜ、をもって南太平洋を航行中となっています。
近海練習航海は新任幹部自衛官へ必要な艦隊勤務の所要知識と海上勤務要員としての素養を演練する目的で日本国内を一周し、続いて遠洋航海へ向かうのですが、そこはコロナ禍下、例年は神戸港か大阪港、名古屋港に函館港と三机や伊勢など多くの港湾や史跡を巡るのですが、感染対策下で昨年も今年も難しい。近海練習航海部隊の航海計画は以下の通り。
練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、以上3隻を以て江田内を出航した艦隊は最初の寄港地が18日の呉基地です。参加艦艇の母港でもあるのですが、ここ呉基地へ21日日曜日まで入港します。なお、前後した16日に部内幹部が乗艦し先月から外洋練習航海へ参加している練習艦はたかぜ以下が呉基地へ帰港するため、少し賑やかになる。
沖縄基地へ艦隊は26日に入港します、勝連の沖縄基地へは29日まで帰港した後に次の寄港地は佐世保基地、西海防衛の要衝として名高い軍港都市への入港は4月5日までですが、その次の寄港地は九州から本州沿岸をそのまま本州最北の地、青森県の大湊基地へ4月8日へ入港、一転してここは北方防衛の要衝、冷戦時代に重視されました、寄港は10日まで。
舞鶴基地、練習艦隊の次の寄港地は京都府の舞鶴で4月12日から14日まで。続いて艦隊が18日に東京湾は横須賀基地へ入港し28日まで十日間入港します。横須賀を出港した後に4月30日に再度呉基地へ入港、呉基地の帰港、いや母港だから帰港に近い印象ですが5月12日まで留まる予定で、更にこの期間から参加艦艇が大きく変更されるとのことでした。
練習艦かしま、練習艦せとゆき、今年の近海練習航海は日程の前半を“近海練習航海その1”とし、後半の5月11日からの日程を“近海練習航海その2”という位置づけとなり5月13日に神戸市の阪神基地へ入港、例年ですと伊丹市では第3師団創設記念千僧駐屯地祭が執り行われる時節ですが、今年も実施は難しそうな感染状況下で15日まで寄港する予定です。
阪神基地を出航した艦隊は5月16日に呉基地へ三度目の入港となり、また20日に出航するのですが5月22日に呉基地へ四度目の入港、23日に近海連取航海を完了し遠洋航海へ移行します。一般公開の予定はありません。かるが浜や呉基地にて練習艦隊を撮影するにはなかなか適した日程という印象ですが、呉基地へ四度出入港するというのは異例ですね。
令和2年度外洋練習航海部隊は、護衛艦あけぼの、を以て昨日出航し、上陸せず接岸の補給のみの予定でマレーシアのポートクラン、インドネシアはジャカルタと、ヴェトナムのハイフォンを経て5月3日に呉基地へ帰国予定です。飛行幹部候補生課程修了者が乗艦していますので、そのまま遠洋航海は参加せずに、航空要員としての訓練へと進む予定です。
COVID-19世界的流行禍下での出航です、そこで艦隊を撮影に行かれる方も多いと考えるのですが、可能な限り撮影者の間で距離をとることは一つの重要な点なのですが、もう一つ重要なのは日程は変更され得る、ということです。実は昨年度の近海練習航海でも日程が変更され、入港日や出港日は目安、となっています。撮影される方はご留意ください。
撮影についてもう一つ、遊漁船をチャーターして撮影される方がいますが、実は13日の艦隊出航に際し、艦隊の航路上で停船して撮影している船舶がありまして、艦隊が津久茂瀬戸に入る手前で緊急停船、自衛隊の小型艦船が駆け付け移動を命じられつつも撮影を続ける出来事がありました、新任幹部晴の日の門出に非常に残念な出来事と云わざるを得ない。
撮影には節度を、練習艦は国際法上の軍艦であり江田島基地は観光地ではなく軍事基地です、そして近海練習航海も外洋練習航海も平時ではありますが自衛隊の訓練計画に基づく即ち軍事行動の一環として行われています。それ以前に現行法で航路上に停船することも不法行為であり、妨害したのは一隻ですが、ちょっと残念な気持ちになってしまいました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
練習艦隊近海練習航海の日程は例年海上自衛隊発表を注視するところですが、今年度の発表は文字通りぎりぎりとなりました。
練習艦隊が13日、江田島基地を出航しました。令和3年近海練習航海部隊と令和2年度外洋練習航海部隊、練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、護衛艦あけぼの、以上4隻揃っての江田島出航です。本年は異例尽くし、訓練支援艦初参加、COVID-19世界的流行禍下での出航と云う事もあり、公開日程が発表されたのは12日夕方、なんと出航20時間前だ。
艦隊出航。毎年恒例となっている行事であり、江田内を出航する様子は江田島の地形から高田といった江田内の対岸から撮影する事が容易で、観艦式が巨大台風により中止され地方隊展示訓練が2014年以降行われていない時節故に単縦陣の艦隊航行を撮影できる貴重な機会となっているのですが、今回は前日情報発表となり、気付かなかった方も多いもよう。
江田島基地を出航した練習艦隊は第71期一般幹部候補生課程修了者が令和3年近海練習航海へ、第73期飛行幹部候補生課程修了者が令和2年度外洋練習航海へ、それぞれ参加しています。今年度の幹部候補生学校卒業式は、昨年度の午前中に出港した練習艦隊出航とはうって替わり、しかし父母出席は見送りとなり簡略化されたものの午後に入り出航しました。
練習艦隊司令官石巻義康海将補が近海練習航海部隊指揮官、外洋練習航海部隊は第3護衛隊司令濱崎真吾1佐が指揮官に就きます。なお現在、部内課程第54期一般幹部候補生課程修了者を乗艦させた外洋練習航海部隊が第1練習隊司令井伊正章1佐指揮下の護衛艦ゆうぎり、練習艦せとゆき、練習艦はたかぜ、をもって南太平洋を航行中となっています。
近海練習航海は新任幹部自衛官へ必要な艦隊勤務の所要知識と海上勤務要員としての素養を演練する目的で日本国内を一周し、続いて遠洋航海へ向かうのですが、そこはコロナ禍下、例年は神戸港か大阪港、名古屋港に函館港と三机や伊勢など多くの港湾や史跡を巡るのですが、感染対策下で昨年も今年も難しい。近海練習航海部隊の航海計画は以下の通り。
練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、以上3隻を以て江田内を出航した艦隊は最初の寄港地が18日の呉基地です。参加艦艇の母港でもあるのですが、ここ呉基地へ21日日曜日まで入港します。なお、前後した16日に部内幹部が乗艦し先月から外洋練習航海へ参加している練習艦はたかぜ以下が呉基地へ帰港するため、少し賑やかになる。
沖縄基地へ艦隊は26日に入港します、勝連の沖縄基地へは29日まで帰港した後に次の寄港地は佐世保基地、西海防衛の要衝として名高い軍港都市への入港は4月5日までですが、その次の寄港地は九州から本州沿岸をそのまま本州最北の地、青森県の大湊基地へ4月8日へ入港、一転してここは北方防衛の要衝、冷戦時代に重視されました、寄港は10日まで。
舞鶴基地、練習艦隊の次の寄港地は京都府の舞鶴で4月12日から14日まで。続いて艦隊が18日に東京湾は横須賀基地へ入港し28日まで十日間入港します。横須賀を出港した後に4月30日に再度呉基地へ入港、呉基地の帰港、いや母港だから帰港に近い印象ですが5月12日まで留まる予定で、更にこの期間から参加艦艇が大きく変更されるとのことでした。
練習艦かしま、練習艦せとゆき、今年の近海練習航海は日程の前半を“近海練習航海その1”とし、後半の5月11日からの日程を“近海練習航海その2”という位置づけとなり5月13日に神戸市の阪神基地へ入港、例年ですと伊丹市では第3師団創設記念千僧駐屯地祭が執り行われる時節ですが、今年も実施は難しそうな感染状況下で15日まで寄港する予定です。
阪神基地を出航した艦隊は5月16日に呉基地へ三度目の入港となり、また20日に出航するのですが5月22日に呉基地へ四度目の入港、23日に近海連取航海を完了し遠洋航海へ移行します。一般公開の予定はありません。かるが浜や呉基地にて練習艦隊を撮影するにはなかなか適した日程という印象ですが、呉基地へ四度出入港するというのは異例ですね。
令和2年度外洋練習航海部隊は、護衛艦あけぼの、を以て昨日出航し、上陸せず接岸の補給のみの予定でマレーシアのポートクラン、インドネシアはジャカルタと、ヴェトナムのハイフォンを経て5月3日に呉基地へ帰国予定です。飛行幹部候補生課程修了者が乗艦していますので、そのまま遠洋航海は参加せずに、航空要員としての訓練へと進む予定です。
COVID-19世界的流行禍下での出航です、そこで艦隊を撮影に行かれる方も多いと考えるのですが、可能な限り撮影者の間で距離をとることは一つの重要な点なのですが、もう一つ重要なのは日程は変更され得る、ということです。実は昨年度の近海練習航海でも日程が変更され、入港日や出港日は目安、となっています。撮影される方はご留意ください。
撮影についてもう一つ、遊漁船をチャーターして撮影される方がいますが、実は13日の艦隊出航に際し、艦隊の航路上で停船して撮影している船舶がありまして、艦隊が津久茂瀬戸に入る手前で緊急停船、自衛隊の小型艦船が駆け付け移動を命じられつつも撮影を続ける出来事がありました、新任幹部晴の日の門出に非常に残念な出来事と云わざるを得ない。
撮影には節度を、練習艦は国際法上の軍艦であり江田島基地は観光地ではなく軍事基地です、そして近海練習航海も外洋練習航海も平時ではありますが自衛隊の訓練計画に基づく即ち軍事行動の一環として行われています。それ以前に現行法で航路上に停船することも不法行為であり、妨害したのは一隻ですが、ちょっと残念な気持ちになってしまいました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)