北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】妙心寺,西の御所は天球院と隣華院の石畳を春光院と智勝院を抜け三門に至る

2021-03-18 20:21:14 | 写真
■早春の妙心寺を南北に巡る
 妙心寺、山陰本線花園駅と嵐電妙心寺駅か龍安寺駅とを歩いてみますと普段の散歩道として歴史を感じる一時が過ごせるでしょう。

 妙心寺、京都には数多連綿と大河の如く歴史を経た伽藍や街並みは広がるのですが、南北を一つの道が通じていて散策できる大きな寺院の伽藍を見上げる散策、余り人も多くない時節ではありますが、なにかこう考え毎の決断を思慮する際に趣き深い情景と出会える。

 花園法皇が出家した先に師と仰いだ大徳寺開山の大燈国師宗峰妙超が逝去の床に就いた際、美濃国伊深の、つまり岐阜県美濃加茂市伊深町にて修行に励む関山慧玄を後継に言伝され、関山慧玄を開山として迎え暦応5年で康永元年こと西暦1342年に造営されました寺院です。

 北総門という、嵐電龍安寺駅から南へ下りますと広がる門を拝いでますと天球院と隣華院の狭間に石畳の小路が広がり、実に500mにわたり寺院の石畳道が続くのです。天球院とは姫路藩は池田輝政の妹天久院が寛永年間の西暦1631年に造営しました塔頭寺院の一つ。

 正法山妙心寺、ここは京都市右京区花園妙心寺町に在ります臨済宗妙心寺派の総本山ですが、寺域は広く開かれているのが印象的で、それも普通にタクシーや運送会社のトラックが乗り入れるという不思議な情景が広がります。そして此処は西の御所として知られます。

 西の御所、こう称されます背景は元々此処は花園天皇の上皇宣下に際し花園御所が置かれ、法皇落飾に際し此処を寺院とした所縁から、妙心寺も西の御所と称される事となりました。またここはその広さから妙心寺の算盤面として五番目の京都市街に見立てられる事もある。

 妙心寺の不思議なところは、この開かれた寺院は、もちろん庭園はじめ拝観料を必要とするところもあるのですが、このまさに歴史という塔頭寺院とを結ぶ小路は広く自由に隔たりなく拝観する事が出来る点でして、その小路がこう南北に500m街路を形成するところ。

 春光院と智勝院のところをこう曲がり角が、なにかこう時代劇にも描かれるような風情を醸し出していまして、実際にこの風景は鬼平犯科帳や暴れん坊将軍、水戸黄門に大岡越前や八丁堀、剣客商売と遠山の金さんにも登場している風景なのですが、歩み止める情感に。

 智勝院は豊後国臼杵藩初代藩主稲葉貞通が出家して開基となりまして、慶長2年の西暦1597年に創建しましたところ。春光院は豊臣政権三中老の一人堀尾吉晴は開基となりまして、重要文化財として指定されています南蛮寺の鐘を奉じている事で知られる塔頭寺院だ。

 三門と仏殿と法堂が並ぶ情景は西の御所という響きを改めて吟じる伽藍です。三門は創建当時の伽藍は現存せず慶長4年の西暦1599年に再建されましたもの。仏殿は文政10年こと1827年に再建されましたもの、法堂も明暦3年の西暦1657年に再建されましたもの。

 法堂と仏殿と三門は重要文化財に指定されているもので、16世紀と17世紀に19世紀の仏教建築妙技を見上げますと、ふと吹くそよ風さえも響いた遥か創建の頃からの仏僧の唱えた経文の余韻を残すような気風と、しかし確かな歴史を感じるような錯覚を覚えるところ。

 妙心寺では、庭園の休憩所等は別としまして饗宴の場というところなどはないのですが、腰を落ち着けましていつまでも伽藍を見上げるのはこの伽藍の経た時の如く自由でして、まあ、少し行儀は憚られるものですが石段に腰掛け、思考と哲学の探索に耽る事も出来る。

 COVID-19の感染拡大が再発しつつある首都圏を望見する最中、3月21日付で首都圏に発令されていました緊急事態宣言が解除される事となり、強力な都県知事への感染対策権限が打ち切られるところとなっており、またここも雑踏に溢れるところなのでしょうか。

 山陰本線花園駅はこの先の直ぐ。さてこの散策の最中も続く世界的流行禍、想定しておく必要はあったものの東日本大震災や原子力発電所事故に重なるような非常時であり、世界規模の感染拡大というものは非日常感はあるものの、破局的な状況は幸い我が国ではありません、そんな非日常が生む静寂も、愉しみたいものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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