■週報:世界の防衛,最新12論点
今週は陸軍の装甲車両関係を中心に最新の話題を。自衛隊が105mm砲搭載の16式機動戦闘車を配備している最中でイタリアでは120mm砲型チェンタウロ2の量産が始まった。
イタリア陸軍は12月30日、イヴェコ・オットーメララ社との間でチェンタウロ2戦車駆逐車86両の取得に関する契約を締結しました。チェンタウロ2はチェンタウロ戦車駆逐車の拡大改良型で主砲は105mm砲から120mm砲へ強化され、搭載エンジン出力も700hpへと強化、指揮統制装置及び車体間戦闘システムはデジタル化された新型を搭載している。
チェンタウロ2はイタリア陸軍が最大で150両の導入を希望しており、2018年には先行量産車10両の契約が締結している。チェンタウロは優れた車両だが105mm砲は紛争地に急速に拡大する第三世代戦車へ十分対抗する威力を持たず120mm砲の搭載が求められており、また1990年代の防御思想に基づく車体防御には2020年代には限界が指摘されていた。
■米MPF軽戦車試作車納入
アメリカでは装甲戦闘車の車体に強力な105mm砲塔を搭載する軽戦車等を構想しています。
アメリカ陸軍はMPF機動防護火力車輛の試作車4両をジェネラルダイナミクス社より受領しました。MPFは2015年に計画が開始され2018年に参加企業が決定し正式開始されたもの、アメリカ陸軍は軽装備の歩兵旅団戦闘団へ配備させる計画の軽戦車で、アメリカ陸軍は幾つかの会社との競争施策のかたちで12両のMPF試作車を受領する計画です。
MPF機動防護火力車輛は22tから35t程度を見込む装軌式軽戦車で105mm砲もしくは120mm戦車砲を搭載、現在のところTOWを搭載したハンヴィーしか対装甲火力を装備していない歩兵旅団戦闘団に配備される計画です。歩兵旅団戦闘団は、近年、装輪自走砲や統合軽量戦術車輛などの装甲車配備が進められており、急速に重装備化が進む状況です。
■パトリアAMV日本へ出発
パトリアAMV,少々古い話題ですので到着の話題とするべきなのかもしれませんが昨年末に出発しました。
フィンランドのパトリア社は日本の陸上自衛隊が行う次期装輪装甲車選定について試験用のパトリアAMV-XP装輪装甲車2両を12月16日に日本に向け出発させたとのこと。パトリア社は日本の自衛隊が求める厳しい運用環境や峻険な地形と気象状況への適合へAMV-XP装輪装甲車こそがかくじつに対応できるとの万全の自信を示しているとのこと。
パトリア社はフィンランドに本社を置くノルウェーとの多国籍企業、AMV-XP装甲車について、モジュラー設計を多用しており装甲戦闘車や人員輸送車は勿論、救急車や自走迫撃砲にも改修が対応すると共に大口径機関砲からの正面装甲の防御力や10kgまでのTNT爆発物の車体直下での爆発にも生存性を有しこれまでに世界中で1600両が採用されています。
■西Cガード電子妨害システム
野戦用電子妨害システムを新規にスペインが導入したという話題です。
スペイン陸軍は20日、CガードRJ対IED電子妨害システム51両をネットラインコミュニケーションテクノロジーズ社から受領しました。CガードRJ対IED電子妨害システムはその名の通り、砲弾や積層対戦車地雷を無線や携帯電話の通話通電により信管を作動させ管制爆発させる簡易爆発物、地域紛争で安価である事から大きな脅威となっています。
CガードRJ対IED電子妨害システムは常に周囲の電波情報をスキャンし、IED管制用と疑わしい電波を捕捉した際には即座に導圧以上の強力な対抗電波によりIED管制電波を無力化します。スペイン軍では装甲車や耐爆車両に野戦車輛など12種類の車輛にCガードRJ対IED電子妨害システム搭載試験を終了、総取得費用は6500万ユーロとのことです。
■ポーランドPSR防空システム
トラックの荷台に機関砲とミサイルを搭載する伝統的な防空システムをポーランドが開発しました。
ポーランド陸軍はPGZ社より最新のPSR-APILICA複合防空システムの受領を開始した、本装備はポーランド軍が整備を進めるネッシュ短距離防空システムの主要構成要素となるものだ。PSR-APILICA複合防空システムは伝統的な23mm双連高射機関砲とグロム携帯地対空ミサイルを統合し指揮統制端末とともに装甲トラック荷台部分に搭載したものだ。
PSR-APILICA複合防空システムは単体でも運用は可能だ、しかしネッシュ短距離防空システムと一体化する事で最大の能力を発揮するとされ、これは対空レーダー装置と指揮統制装置及び弾薬車両2両と輸送車両2両にPSR-APILICA複合防空システムを以て編成される。PSR-APILICA複合防空システム最初の配備部隊はワルシャワの第3防空砲兵旅団だ。
■カールグスタフ誘導型登場
携帯無反動砲からミサイルを射撃出来れば第一線部隊としては非常に理想的でしょう。
スウェーデンのサーブ社とアメリカのレイセオン社はカールグスタフとして知られる84mm無反動砲用のレーザー誘導弾薬の開発に成功しました。カールグスタフは歩兵が携行可能な携帯無反動砲であり、対戦車戦闘は餅胡乱、陣地攻撃から歩兵制圧に照明弾発射から発煙弾による煙覆と縦横無尽に活躍する大砲ですが、命中精度に限界がありました。
カールグスタフ用新型レーザー弾薬は発射後、主誘導翼と補助安定翼を展開する事で誘導し、最大射程は2000mとなっています。レーザー誘導装置と発射装置は離隔できるとされ、これは無反動砲の弱点とされる強力な後方爆風にて射撃位置が目標に暴露する課題を幾分か軽減する事でしょう。2019年に試験が行われ2020年に射手による発射に成功しました。
カールグスタフが多くの対戦車火器と比較し最も優れているのは、陣地等の固定目標には高価な誘導装置は不要で、また歩兵の散兵線に対しては対戦車ミサイルは照準が出来ません、ここを目標に応じ適宜弾薬を選定出来る点に、携帯無反動砲の利点はあり、ここから対戦車ミサイルも選択肢に加わった事は、その有用性を更に高めた転換点と云えましょう。
■米ハンヴィー後継ISV工場増設
ハンヴィー高機動車をアメリカは軽装甲車で置き換える構想です、自衛隊も軽歩兵部隊とはいってもせめてこの水準を目指さねば。
GMディフェンスLCC社はアメリカ陸軍へ納入するISV歩兵分隊輸送車の量産へ新工場の建設へ12月21日、着手しました。工場はノースカロライナ州GM自動車工場敷地内に増設です。GMディフェンスLCC社は2065台のISVを2029年までに2億1430万ドルでアメリカ陸軍へ納入する計画で、2021年4月までに建設、年間649台量産可能という。
ISV歩兵分隊輸送車は民生車であるシボレーコロラドZR2ピックアップトラックの車体を90%まで民生部品を流用し設計、歩兵分隊を輸送します。アメリカ陸軍には様々な車両が配備されていますが、ISVは装甲防御力こそありませんがCH-47輸送ヘリコプターの機内に収容可能であり、UH-60多用途ヘリコプターによる吊下げ空輸が可能となっています。
■ポーランドのビーバー3偵察車
ソ連製BRDM-2水陸両用装甲車の後継が各国で模索されていますが、ポーランドのビーバーは興味深い装備だ。
ポーランド陸軍はBEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車の試作車両を受領しました。BEAVER-3はポーランドのAMZ社によって2012年より開発が進められていた新型装甲車で船型車体を有する四輪駆動方式、遠隔操作式銃搭と対地レーダー装置等を搭載しており、ポーランド陸軍では旧式化した旧ソ連製BRDM-2装甲偵察車後継に位置付けられています。
BEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車、全長6.9m、全高2.38m、全幅2.5mであり、乗員は4名乃至5名、偵察へ兵員6名から8名を輸送可能、車体重量は15tで240kwのディーゼルエンジンを搭載、STANG-4569規格に基づくレベル2の防御力を有し、増加装甲によりレベル3相当まで防御力を強化可能で、この場合の戦闘重量は16.5tまで増大します。
ポーランド陸軍はこの装甲車を新型偵察車兼水陸両用装甲車両KLESZCZ-TICK計画として開発しており、最大で244両を調達予定です。AMZ社ではBEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車の箱型車体という特性を活かし共通プラットフォームとして汎用装甲車に充てたい構想で、STANG-4569規格でのレベル4までの防御力強化も可能だ、としています。
■デンマークイーグル偵察車採用
イーグルはハンヴィー派生の偵察車輛という設計でしたが改良が進むと共に大型化し耐爆車両へ成長しています。
デンマーク陸軍は2020年末にイーグル4偵察警戒車の初度受領を開始しました。これは2017年にデンマークがGDユーロピアンランドシステムズ-モワク社との間で締結した5210万ドルの契約に基づくもので、デンマーク軍は5210万ドルで57両のイーグル4偵察警戒車を取得予定です。イーグルは元々モワク社がハンヴィーを利用し開発していました。
イーグル4偵察警戒車はもともとセンサーのみを搭載したハンヴィー車体利用の偵察警戒車でしたが、徐々に耐爆車輛としての性能を求められるようになり、貨物搭載能力等が付与されるようになっています。デンマークはイーグル初期型の時代から36両を運用、改良型イーグル2も90両配備、イーグル4も偵察警戒車と共に兵員輸送用に運用する計画です。
■チェコ陸軍ASCOD採用
ASCOD遂に採用国が生まれました、長かったものです。エンジンや火器などを採用国仕様とできるASCODは自衛隊の89式装甲戦闘車後継にも薦められるのです。
チェコ陸軍はBVP-2装甲戦闘車の後継としてASCOD42装甲戦闘車を内定しました。スペインにて生産予定です。ASCOD42はオーストリアとスペイン共同開発のASCOD装甲戦闘車派生型で、本車は1998年に完成、開発参加国にウラン装甲戦闘車とピサロ装甲戦闘車として採用されている他、イギリス軍にAJAX装甲偵察車として採用されています。
ASCOD42装甲戦闘車はチェコ陸軍仕様となっており、機関砲塔はイスラエルエルビット社製MT-30-mk2/30mm機関砲塔となっています。搭載機関砲はMk44ブッシュマスター30mm機関砲で、砲塔には更にスパイク対戦車ミサイルが2発搭載、ASCODシリーズの中でも車体は大型化しました。乗車歩兵は8名で基本重量38t、増加装甲装着時は42tです。
■仏陸軍HK-416小銃追加
自衛隊も89式小銃の置換えが始りましたがフランスは国産小銃を外国製小銃のフランス仕様へ切替えるさなかです。
フランス国防省はHK-416F小銃を2021年に20000丁追加調達する方針を発表しました、HK-416Fはドイツのヘクラーウンドコック社製小銃で、アメリカや日本の特殊部隊に配備されるとともに、ノルウェー軍などにも正式小銃として採用、命中精度の高さで知られています。2020年にも12000丁が調達、既にフランス軍へ45340丁が配備されています。
HK-416Fはフランスでは旧式化が進むFA-MAS小銃の後継としてドイツ製HK-416をフランス軍仕様としたもので、フランス軍では2028年までに11万7000丁を導入し、FA-MASを完全に置き換える構想で、開発国ドイツでも正式小銃G-36の銃身が熱により固定されなうなる問題から完全廃止が決定したため、G-28小銃としてHK-416を大量配備予定です。
■豪州ブッシュマスター最新型
自衛隊でも採用していますブッシュマスターの最新型が搭乗しました。
オーストラリア軍とタレス社は最新型のブッシュマスターMR6耐爆車輛を完成させました。これはオーストラリア軍が煤得るMRVP多用途防護車輛計画の一環として開発されたもので、既存のブッシュマスター耐爆車輛を基本として防御力や多用途性能を大幅に強化する事で開発されました。ブッシュマスター耐爆車輛は陸上自衛隊でも採用されています。
ブッシュマスターMR6耐爆車輛は原型と比較し、車体最低地上高を高めたころでディープVハル構造として爆風を逃がす形状を強化し、また乗員及び人員輸送能力を従来の10名から12名に増強させるとともに、タイヤハウジングの直径を大型化させより大きな車輪に対応させています。既に2018年に試作車が完成しており、今回評価試験が完了しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今週は陸軍の装甲車両関係を中心に最新の話題を。自衛隊が105mm砲搭載の16式機動戦闘車を配備している最中でイタリアでは120mm砲型チェンタウロ2の量産が始まった。
イタリア陸軍は12月30日、イヴェコ・オットーメララ社との間でチェンタウロ2戦車駆逐車86両の取得に関する契約を締結しました。チェンタウロ2はチェンタウロ戦車駆逐車の拡大改良型で主砲は105mm砲から120mm砲へ強化され、搭載エンジン出力も700hpへと強化、指揮統制装置及び車体間戦闘システムはデジタル化された新型を搭載している。
チェンタウロ2はイタリア陸軍が最大で150両の導入を希望しており、2018年には先行量産車10両の契約が締結している。チェンタウロは優れた車両だが105mm砲は紛争地に急速に拡大する第三世代戦車へ十分対抗する威力を持たず120mm砲の搭載が求められており、また1990年代の防御思想に基づく車体防御には2020年代には限界が指摘されていた。
■米MPF軽戦車試作車納入
アメリカでは装甲戦闘車の車体に強力な105mm砲塔を搭載する軽戦車等を構想しています。
アメリカ陸軍はMPF機動防護火力車輛の試作車4両をジェネラルダイナミクス社より受領しました。MPFは2015年に計画が開始され2018年に参加企業が決定し正式開始されたもの、アメリカ陸軍は軽装備の歩兵旅団戦闘団へ配備させる計画の軽戦車で、アメリカ陸軍は幾つかの会社との競争施策のかたちで12両のMPF試作車を受領する計画です。
MPF機動防護火力車輛は22tから35t程度を見込む装軌式軽戦車で105mm砲もしくは120mm戦車砲を搭載、現在のところTOWを搭載したハンヴィーしか対装甲火力を装備していない歩兵旅団戦闘団に配備される計画です。歩兵旅団戦闘団は、近年、装輪自走砲や統合軽量戦術車輛などの装甲車配備が進められており、急速に重装備化が進む状況です。
■パトリアAMV日本へ出発
パトリアAMV,少々古い話題ですので到着の話題とするべきなのかもしれませんが昨年末に出発しました。
フィンランドのパトリア社は日本の陸上自衛隊が行う次期装輪装甲車選定について試験用のパトリアAMV-XP装輪装甲車2両を12月16日に日本に向け出発させたとのこと。パトリア社は日本の自衛隊が求める厳しい運用環境や峻険な地形と気象状況への適合へAMV-XP装輪装甲車こそがかくじつに対応できるとの万全の自信を示しているとのこと。
パトリア社はフィンランドに本社を置くノルウェーとの多国籍企業、AMV-XP装甲車について、モジュラー設計を多用しており装甲戦闘車や人員輸送車は勿論、救急車や自走迫撃砲にも改修が対応すると共に大口径機関砲からの正面装甲の防御力や10kgまでのTNT爆発物の車体直下での爆発にも生存性を有しこれまでに世界中で1600両が採用されています。
■西Cガード電子妨害システム
野戦用電子妨害システムを新規にスペインが導入したという話題です。
スペイン陸軍は20日、CガードRJ対IED電子妨害システム51両をネットラインコミュニケーションテクノロジーズ社から受領しました。CガードRJ対IED電子妨害システムはその名の通り、砲弾や積層対戦車地雷を無線や携帯電話の通話通電により信管を作動させ管制爆発させる簡易爆発物、地域紛争で安価である事から大きな脅威となっています。
CガードRJ対IED電子妨害システムは常に周囲の電波情報をスキャンし、IED管制用と疑わしい電波を捕捉した際には即座に導圧以上の強力な対抗電波によりIED管制電波を無力化します。スペイン軍では装甲車や耐爆車両に野戦車輛など12種類の車輛にCガードRJ対IED電子妨害システム搭載試験を終了、総取得費用は6500万ユーロとのことです。
■ポーランドPSR防空システム
トラックの荷台に機関砲とミサイルを搭載する伝統的な防空システムをポーランドが開発しました。
ポーランド陸軍はPGZ社より最新のPSR-APILICA複合防空システムの受領を開始した、本装備はポーランド軍が整備を進めるネッシュ短距離防空システムの主要構成要素となるものだ。PSR-APILICA複合防空システムは伝統的な23mm双連高射機関砲とグロム携帯地対空ミサイルを統合し指揮統制端末とともに装甲トラック荷台部分に搭載したものだ。
PSR-APILICA複合防空システムは単体でも運用は可能だ、しかしネッシュ短距離防空システムと一体化する事で最大の能力を発揮するとされ、これは対空レーダー装置と指揮統制装置及び弾薬車両2両と輸送車両2両にPSR-APILICA複合防空システムを以て編成される。PSR-APILICA複合防空システム最初の配備部隊はワルシャワの第3防空砲兵旅団だ。
■カールグスタフ誘導型登場
携帯無反動砲からミサイルを射撃出来れば第一線部隊としては非常に理想的でしょう。
スウェーデンのサーブ社とアメリカのレイセオン社はカールグスタフとして知られる84mm無反動砲用のレーザー誘導弾薬の開発に成功しました。カールグスタフは歩兵が携行可能な携帯無反動砲であり、対戦車戦闘は餅胡乱、陣地攻撃から歩兵制圧に照明弾発射から発煙弾による煙覆と縦横無尽に活躍する大砲ですが、命中精度に限界がありました。
カールグスタフ用新型レーザー弾薬は発射後、主誘導翼と補助安定翼を展開する事で誘導し、最大射程は2000mとなっています。レーザー誘導装置と発射装置は離隔できるとされ、これは無反動砲の弱点とされる強力な後方爆風にて射撃位置が目標に暴露する課題を幾分か軽減する事でしょう。2019年に試験が行われ2020年に射手による発射に成功しました。
カールグスタフが多くの対戦車火器と比較し最も優れているのは、陣地等の固定目標には高価な誘導装置は不要で、また歩兵の散兵線に対しては対戦車ミサイルは照準が出来ません、ここを目標に応じ適宜弾薬を選定出来る点に、携帯無反動砲の利点はあり、ここから対戦車ミサイルも選択肢に加わった事は、その有用性を更に高めた転換点と云えましょう。
■米ハンヴィー後継ISV工場増設
ハンヴィー高機動車をアメリカは軽装甲車で置き換える構想です、自衛隊も軽歩兵部隊とはいってもせめてこの水準を目指さねば。
GMディフェンスLCC社はアメリカ陸軍へ納入するISV歩兵分隊輸送車の量産へ新工場の建設へ12月21日、着手しました。工場はノースカロライナ州GM自動車工場敷地内に増設です。GMディフェンスLCC社は2065台のISVを2029年までに2億1430万ドルでアメリカ陸軍へ納入する計画で、2021年4月までに建設、年間649台量産可能という。
ISV歩兵分隊輸送車は民生車であるシボレーコロラドZR2ピックアップトラックの車体を90%まで民生部品を流用し設計、歩兵分隊を輸送します。アメリカ陸軍には様々な車両が配備されていますが、ISVは装甲防御力こそありませんがCH-47輸送ヘリコプターの機内に収容可能であり、UH-60多用途ヘリコプターによる吊下げ空輸が可能となっています。
■ポーランドのビーバー3偵察車
ソ連製BRDM-2水陸両用装甲車の後継が各国で模索されていますが、ポーランドのビーバーは興味深い装備だ。
ポーランド陸軍はBEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車の試作車両を受領しました。BEAVER-3はポーランドのAMZ社によって2012年より開発が進められていた新型装甲車で船型車体を有する四輪駆動方式、遠隔操作式銃搭と対地レーダー装置等を搭載しており、ポーランド陸軍では旧式化した旧ソ連製BRDM-2装甲偵察車後継に位置付けられています。
BEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車、全長6.9m、全高2.38m、全幅2.5mであり、乗員は4名乃至5名、偵察へ兵員6名から8名を輸送可能、車体重量は15tで240kwのディーゼルエンジンを搭載、STANG-4569規格に基づくレベル2の防御力を有し、増加装甲によりレベル3相当まで防御力を強化可能で、この場合の戦闘重量は16.5tまで増大します。
ポーランド陸軍はこの装甲車を新型偵察車兼水陸両用装甲車両KLESZCZ-TICK計画として開発しており、最大で244両を調達予定です。AMZ社ではBEAVER-3ビーバー水陸両用装甲偵察車の箱型車体という特性を活かし共通プラットフォームとして汎用装甲車に充てたい構想で、STANG-4569規格でのレベル4までの防御力強化も可能だ、としています。
■デンマークイーグル偵察車採用
イーグルはハンヴィー派生の偵察車輛という設計でしたが改良が進むと共に大型化し耐爆車両へ成長しています。
デンマーク陸軍は2020年末にイーグル4偵察警戒車の初度受領を開始しました。これは2017年にデンマークがGDユーロピアンランドシステムズ-モワク社との間で締結した5210万ドルの契約に基づくもので、デンマーク軍は5210万ドルで57両のイーグル4偵察警戒車を取得予定です。イーグルは元々モワク社がハンヴィーを利用し開発していました。
イーグル4偵察警戒車はもともとセンサーのみを搭載したハンヴィー車体利用の偵察警戒車でしたが、徐々に耐爆車輛としての性能を求められるようになり、貨物搭載能力等が付与されるようになっています。デンマークはイーグル初期型の時代から36両を運用、改良型イーグル2も90両配備、イーグル4も偵察警戒車と共に兵員輸送用に運用する計画です。
■チェコ陸軍ASCOD採用
ASCOD遂に採用国が生まれました、長かったものです。エンジンや火器などを採用国仕様とできるASCODは自衛隊の89式装甲戦闘車後継にも薦められるのです。
チェコ陸軍はBVP-2装甲戦闘車の後継としてASCOD42装甲戦闘車を内定しました。スペインにて生産予定です。ASCOD42はオーストリアとスペイン共同開発のASCOD装甲戦闘車派生型で、本車は1998年に完成、開発参加国にウラン装甲戦闘車とピサロ装甲戦闘車として採用されている他、イギリス軍にAJAX装甲偵察車として採用されています。
ASCOD42装甲戦闘車はチェコ陸軍仕様となっており、機関砲塔はイスラエルエルビット社製MT-30-mk2/30mm機関砲塔となっています。搭載機関砲はMk44ブッシュマスター30mm機関砲で、砲塔には更にスパイク対戦車ミサイルが2発搭載、ASCODシリーズの中でも車体は大型化しました。乗車歩兵は8名で基本重量38t、増加装甲装着時は42tです。
■仏陸軍HK-416小銃追加
自衛隊も89式小銃の置換えが始りましたがフランスは国産小銃を外国製小銃のフランス仕様へ切替えるさなかです。
フランス国防省はHK-416F小銃を2021年に20000丁追加調達する方針を発表しました、HK-416Fはドイツのヘクラーウンドコック社製小銃で、アメリカや日本の特殊部隊に配備されるとともに、ノルウェー軍などにも正式小銃として採用、命中精度の高さで知られています。2020年にも12000丁が調達、既にフランス軍へ45340丁が配備されています。
HK-416Fはフランスでは旧式化が進むFA-MAS小銃の後継としてドイツ製HK-416をフランス軍仕様としたもので、フランス軍では2028年までに11万7000丁を導入し、FA-MASを完全に置き換える構想で、開発国ドイツでも正式小銃G-36の銃身が熱により固定されなうなる問題から完全廃止が決定したため、G-28小銃としてHK-416を大量配備予定です。
■豪州ブッシュマスター最新型
自衛隊でも採用していますブッシュマスターの最新型が搭乗しました。
オーストラリア軍とタレス社は最新型のブッシュマスターMR6耐爆車輛を完成させました。これはオーストラリア軍が煤得るMRVP多用途防護車輛計画の一環として開発されたもので、既存のブッシュマスター耐爆車輛を基本として防御力や多用途性能を大幅に強化する事で開発されました。ブッシュマスター耐爆車輛は陸上自衛隊でも採用されています。
ブッシュマスターMR6耐爆車輛は原型と比較し、車体最低地上高を高めたころでディープVハル構造として爆風を逃がす形状を強化し、また乗員及び人員輸送能力を従来の10名から12名に増強させるとともに、タイヤハウジングの直径を大型化させより大きな車輪に対応させています。既に2018年に試作車が完成しており、今回評価試験が完了しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)