北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】砕氷艦ふじ,宇宙よりも遠い場所-南極観測支援の自衛隊砕氷艦保存展示中

2021-03-23 20:11:59 | 映画
■AGB-5001名古屋港に健在!
 TVアニメ“宇宙よりも遠い場所”BS211再放送記念ということで南極繋がりの砕氷艦を紹介しましょう。

 南極を目指す女子高生四人の友情と努力と協力を描いたTVアニメ“宇宙よりも遠い場所”、平凡な女子高生玉木マリ&南極に特別な思いのある小淵沢報瀬&フリーター三宅日向&女子高生アイドル白石結月その旅路が再放送にていよいよ木曜日に最終回が放映されます。

 砕氷艦ふじ、海上自衛隊の砕氷艦です。1965年に竣工し主として南極観測支援に当たりました。海上自衛隊の艦艇は除籍されますと運が良ければ標的艦、しかし基本的にスクラップ業者へ払い下げられます。もう少し国民の血税をつぎ込んだ象徴は大事にしてほしい。

 ふじ、は除籍艦艇の中でも例外的といえるかもしれません、ふじ、名古屋港にて保存展示され一般公開されています。名古屋港ガーデン埠頭、名古屋市営地下鉄名古屋港駅から徒歩三分と指呼の距離にあり、環状線である地下鉄名城線が金山駅から乗り入れています。

 南極観測船、と愛称がありますが列記とした海上自衛隊の自衛艦、美しい状態で維持されており新型砕氷艦しらせ二代目竣工にあわせ艦内を大きく改装しています、その艦内見学は舷門隣にチケット販売機があり、大人300円にて見学出来ます、ふじ乗艦は今回初めて。

 基準排水量5250t、満載排水量9120t、全長100m、全幅22.0m、吃水8.3m、現在では海上自衛隊の護衛艦ひゅうが、が全長195m、護衛艦かが、全長248mですのでひと昔の砕氷艦という印象ですが、ふじ竣工の1965年当時としては中々思い切った大きさといえました。

 海上自衛隊初の砕氷艦、ではありますが当時の日本には砕氷艦の設計経験がありません。海上保安庁砕氷船宗谷は南極観測支援任務に当っていましたが、あくまで宗谷は砕氷構造の貨物船が旧海軍特務艦としての運用実績を受けての南極観測支援への転用に過ぎません。

 アメリカ海軍砕氷艦グレーシャー、沿岸警備隊に移籍されアラスカ方面での航路啓開にも活躍したグレーシャーを当時の新船舶設計委員会が参考とし、ふじ建造に活用しました。グレーシャーは設計開始当時の1962年には最新艦、技術情報開示は好意的だったともいう。

 ヘリコプター搭載艦として初めて設計された艦でもあり、初のヘリコプター搭載護衛艦はるな竣工は1973年、はるな建造の実に八年前に竣工しています。艦載機も対潜ヘリコプターHSS-2の輸送型であるS-61輸送ヘリコプターを搭載、海上自衛隊の転換点となった艦だ。

 連続砕氷可能厚120cm、最大砕氷能力6mといい、6m以上の海氷は避けてゆく。機関はディーゼルエレクトリック方式で機関出力は12000馬力、推進器はスクリュープロペラ二軸方式で、これによる速力は17.2ノット、重油2180tを搭載し航続距離15000海里という。

 乗員は200名、そして観測隊員35名が乗艦できます。搭載能力500t、これは観測支援物資などを輸送するためのものです。そして艦載機は三機でS-61A-1輸送ヘリコプター2機とベル47G2A観測ヘリコプター1機、観測ヘリコプターは海氷状況の観測任務にあたるもの。

 ヘリコプター格納庫は広大で考えてみればHSS-2系統2機とベル47を搭載するのですから、はるな型護衛艦のHSS-2の3機に迫り、あさぎり型護衛艦や、むらさめ型護衛艦よりも大きなものです。そしてこの広大な格納庫はそのまま南極展示室として活用されている。

 艦内は観測隊員室や士官寝室と先任海曹寝室や居住区と庶務室や散髪室や機関室と艦橋等が一般公開されていまして、1960年代の海上自衛隊艦艇の居住環境等を垣間見る事が出来ます、蝋人形が多数当時の環境を再現していまして、その展示も中々興味深いものでした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする