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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

八月八日は八八艦隊の日【2】新しい88艦隊の必要性と更なる情勢緊迫化への防衛力整備展望

2021-08-08 20:10:30 | 北大路機関特別企画
■全通飛行甲板型護衛艦の時代
 はるな、ひえい、しらね、くらま。この四隻のヘリコプター搭載護衛艦を中心とした海上防衛力だけで一定程度シーレーン防衛が見通せた時代は平和でした。

 はるな除籍が2009年、同日に自衛隊初の全通飛行甲板型護衛艦ひゅうが、が竣工しました。2010年には横浜で護衛艦いせ建造が進み老朽化進む護衛艦ひえい除籍準備が進みます。そして平成22年度護衛艦22DDHとして現在の護衛艦いずも型が見えていた頃ですが、しらね型護衛艦しらね、くらま、は当面現役でありF-4後継機がF-15かF-35か選定中、だ。

 八月八日は八八艦隊の日、2010年8月8日に北大路機関が提唱しました記念日ですが、2010年当時はヘリコプター搭載護衛艦が8隻あれば、搭載するF-35B戦闘機とともに日本周辺回帰の防衛は安泰だ、こう考えていました。今も基本的には考えは変わらないのですが、2010年といえば北朝鮮初の核実験から間もなく、中国空母はまだ改装中に過ぎない。

 新しい88艦隊、この構想は、護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦8隻とイージス艦8隻を配備させ、護衛艦隊を構成する4個護衛隊群隷下の8個護衛隊の編成を、全て統一し、ヘリコプター搭載護衛艦、イージス艦、汎用護衛艦2隻、という一つの作戦単位を8個編成する案でした。前は護衛艦8隻とヘリコプター8機の編成を88艦隊と称していました。

 ヘリコプター搭載護衛艦という装備体系は1973年に海上自衛隊が最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、を竣工させて以来の練成させてきました装備体系で、搭載したHSS-2対潜ヘリコプターは6機で空母航空団回転翼哨戒機部隊を構成している、対潜空母に搭載するべき対潜ヘリコプター部隊を航空機運用に特化した水上戦闘艦2隻に分散させたものです。

 観艦式の際にしか役に立たない、との陰口も2010年代にはあったと聞きますが、第一線で運用できた背景には、ヘリコプター搭載護衛艦の特色、艦載機を新型とするだけで、通常の護衛艦では近代化改修に大きな予算と時間を要する近代化に等しい能力を発揮できる、というものでした。例えば、MCH-101を3機搭載できるのですから、その意味は大きい。

 全通飛行甲板型護衛艦の時代となり、これの特性は一層際立つものとなりました、SH-60K哨戒ヘリコプターとMCH-101掃海輸送ヘリコプターだけが艦載機である現状ではあまり思いつかないところですが、AH-64D戦闘ヘリコプターを搭載し両用作戦に充てる事も出来れば、MV-22可動翼機は陸上より弾薬物資輸送に資する、F-35B戦闘機も搭載可能だ。

 一方で、この“八月八日は八八艦隊の日”という提案をしました2010年当時は、いずも型護衛艦はありません、22DDHと称されている頃でした、そして、DDH,ひゅうが型護衛艦は海上自衛隊護衛艦でのF-35B運用が現実味を美的マスト、いずも型との比較でF-35B運用には過小であるとも指摘されています、さて、この点をどう考えるべきなのでしょうか。

 インヴィンシブル級空母、F-35Bはもともとこの規模の艦艇での運用を可能とするよう、JSF計画の主開発国であるイギリスは要求に盛り込んでいます、インヴィンシブル級は基準排水量16000tで全長210m、ひゅうが型は基準排水量13990tで全長198mですので若干小型です、インヴィンシブル級はスキージャンプ台を有しますが、速度は3ノット遅い。

 護衛艦を無理に大型化しますと、建造費のみならず維持費用と運用人員の負担が大きくなります、F-35Bはワスプ級強襲揚陸艦で運用する場合は90mの滑走が必要という、しかし、速力は護衛艦の方が早い、一方でソナーを有する護衛艦はインヴィンシブルの様にスキージャンプ台を置けない、ただソナーを撤去すると護衛艦に潜水艦から護衛の必要が生じる。

 13900tは充分とは考えないが、19500tとなると更に4隻建造し、将来的に現行の護衛艦ひゅうが型を置換えるには更に2隻を建造するのは難しいのではないか、こう考える事も出来ます。もっとも、全通飛行甲板の艦艇が8隻建造すれば、もう日本の防衛は安泰、そうなのか、と問われますと、中国の海軍力増強が今後どう進むのかを見通す必要があります。

 第二の88艦隊、これは輸送艦おおすみ型後継艦と、ひゅうが型などの全通飛行甲板型護衛艦の一部をイギリスでいうコマンドー空母のように両用戦艦に転用し、掃海隊群へ配備し護衛艦隊のヘリコプター搭載護衛艦を補完する運用が必要ではないか、という視点です。ミサイル護衛艦についても、ミサイル防衛と長期的に両立できるのでしょうか、不安が。

 イージス艦が8隻必要だ、とは主張しませんが、イージスアショアを含めた広域防空システムと、こんごう型護衛艦のような旧式化したミサイル護衛艦をあわせて将来的に護衛艦隊のほかにミサイル防衛専従部隊の必要を感じるのです。実際問題、飽和攻撃に動くことの出来ないイージスアショアに一本化することはリスクが大きいことは理解できますが。

 しかし、仮にです、陸上自衛隊の5方面隊にイージスアショアを5カ所に配置し、相互に補完しあう体制を構築できるならば、特に射程が大きく巡航ミサイルはもちろん対艦用途にも用いうるスタンダードSM-6を運用するならば、陸上自衛隊の既存装備、03式地対空誘導弾システムや12式地対艦誘導弾システムを部分的に後継と出来うるのかもしれません。

 ミサイル防衛専用艦、現在防衛省はイージスアショアの代替に護衛艦方式の新型艦を計画していますが、もともと海上自衛隊の人員が限界に達しているために陸上自衛隊へ、イージスシステムとの関係はなく新しい任務として巡航ミサイル防衛を割り当てられ、その能力構築を大車輪ですすめている陸上自衛隊へ無理に充当された歴史がある。どう考えるか。

 イージスアショアが中止された背景には、決定打となったのはSM-3迎撃ミサイルのブースターが自衛隊敷地外に落下するというものでした。イージスシステムの電波強度を考えますと電波覆射の影響も重ねて考える必要も感じるのですが、しかし問題をSM-3にのみ収斂するならば、そもそも内蔵するMk41VLSは既に移動発射型がメーカーにより提案される。

 ミサイル防衛専用艦、どういったものとなるのかは未知数ですが、石油掘削リグ方式の恒久的洋上建造物方式が不採用になったと既に報じられており、護衛艦の方式をとるならば必然的に造船所での定期整備が必要となります、この場合は現在計画されている2隻で常時2カ所の運用など、現実的ではありません。ただ、日本への脅威だけは現実であります。

 日本周辺では巡航ミサイルを搭載するミサイル爆撃機の脅威度が着実に増大しており、この視点から日本を都市爆撃の惨禍に晒さぬよう考える選択肢として検討する余地があるようにも思えます。ただ、SPY-7をめぐるイージスアショアの計画費用増大を背景に考えますと、03式を筆頭に日本独自の防空システムを強化すべきともいえる。一長一短という。

 新しい88艦隊の日、若干脱線していますが、高層に着想した2010年から2021年で早くも11年、日本周辺の安全保障環境は激変しているのですね。故に、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻からなる護衛隊を8個配置、F-35BやMV-22にSH-60KやAH-64Dを適宜運用する、航空隊と護衛隊の任務群構想は一つの模範解答と信じます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-広島,呉地方総監部と第13旅団司令部の駅

2021-08-08 18:22:18 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 広島は楽しい、そして奥深い、更に加えて美味しい。歴史は深く現代史の舞台でもあり加えて我が国防衛の要衝でもあるのですからね。

 広島駅、呉基地へ向かう呉線の始発駅であるとともに、山陽新幹線広島駅が在来線とを結んでいます。前に普通列車にて福山から呉線を尾道と広を経由し呉へ汽車旅と楽しんだのですが、読書は進んだものの普通列車はなかなか進まず、案外時間要したのを思い出す。

 呉線と山陽本線は海田市を経由していまして、呉地方総監部とは別に海田市には第13旅団司令部が置かれています、そして駐屯地は旧陸軍海田市飛行場跡地にあり、広島は第二次大戦中、第二総軍司令部に中国軍管区司令部、船舶工兵司令部も置かれまさに軍都という。

 総監部グルメ日誌、さて今回のお店は広島駅です。広島駅といいましても駅蕎麦でささっと頂くようなものではなく、広島駅はグルメの駅でもあるのですよね。もっともその中枢であった旧駅ビルは現在解体工事中となっていますけれども、こちらは新幹線口の方です。

 名物とは。さて自衛隊関連行事はじめ広島にて所用を済ませますと、新幹線で素早く帰路に就きたいところですが、しかし広島には城郭はじめ魅力ある名所旧跡が多い、都合目一杯散策しますと、それはもうそろそろ新幹線がカンバンです、となります。だから早めに。

 牡蠣を注文しまして、なにしろ広島といえば江田島基地も呉基地も牡蠣筏が多数遊弋していまして、今度万一の際にはこちらが囮になってくれるのではというほどに、フネが七分に海が三分、という海の色が見えない状況、その海の恵みを頂きつつ、本命を待つのです。

 自衛隊関連行事、自慢ではありませんが道を間違えるときにはとことん妙な方向に行ってしまう当方は、さて時間の厳守の際にはタクシーを利用します、するとやはり情報収集となるのですが、驚いたのは広島のアナゴ文化、いや駅弁でアナゴ弁当はわたしも大好き。

 しかし、アナゴといいますと天麩羅という江戸文化は西国の一等地には及んでいないようでして、そもそもアナゴというより穴子と制式に発音したいほどに、広島の穴子文化は洗練されています。駅ナカグルメでこの雰囲気なのですから、京都駅並といえるでしょう。

 ブラックボックスがやってきました。しかしこのブラックボックスはF-15イーグル戦闘機に搭載してもだめです、やったことはありませんが岩国航空基地のF/A-18Eスーパーホーネットでも同じです。F-35BライトニングⅡも試すつもりはない、人間用のボックスだ。

 御重を開帳しますと、こう。穴子といいますと、こうタレにつけ込んで焼き上げるのは日常の楽しみではありますが、穴子重としまして広島ではお重で頂くのですね。タクシーで情報収集した際、京都に穴子重はない、と驚くと逆に驚かれたほど、東京にも多分ない。

 穴子は肉厚で、しかし何かと似ているといいますか、鰻の鰻重と一見して似ているのですけれども、さっぱりとしていまして、香りと雰囲気と、驚くご馳走に仕上がっていました。箸で摘める切り込みがありまして、のりの雰囲気とともに、こう、一つ含むと、なるほど。

 穴子はそれほど乱獲されていないようでして、迫力はあるのですがお値段はお手頃です。広島らしさ、というところでしょうか。タレをおいたしおいたし、京都といいますか瀬戸内の少し甘口のタレをすこし掛け、頂いてゆきます。牡蠣と穴子、これぞ広島の美味しさ。

 酔心、お店はこういう暖簾となっています。時節柄、酒杯を傾ける風情は遠き思い出のようになってしまいましたが、山陽新幹線の真下に位置しているのですが、聞けば本店とともに広島駅を含め支店が二つほどある、駅中でこれほど良い、次は本店に行ってみよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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