■全通飛行甲板型護衛艦の時代
はるな、ひえい、しらね、くらま。この四隻のヘリコプター搭載護衛艦を中心とした海上防衛力だけで一定程度シーレーン防衛が見通せた時代は平和でした。

はるな除籍が2009年、同日に自衛隊初の全通飛行甲板型護衛艦ひゅうが、が竣工しました。2010年には横浜で護衛艦いせ建造が進み老朽化進む護衛艦ひえい除籍準備が進みます。そして平成22年度護衛艦22DDHとして現在の護衛艦いずも型が見えていた頃ですが、しらね型護衛艦しらね、くらま、は当面現役でありF-4後継機がF-15かF-35か選定中、だ。

八月八日は八八艦隊の日、2010年8月8日に北大路機関が提唱しました記念日ですが、2010年当時はヘリコプター搭載護衛艦が8隻あれば、搭載するF-35B戦闘機とともに日本周辺回帰の防衛は安泰だ、こう考えていました。今も基本的には考えは変わらないのですが、2010年といえば北朝鮮初の核実験から間もなく、中国空母はまだ改装中に過ぎない。

新しい88艦隊、この構想は、護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦8隻とイージス艦8隻を配備させ、護衛艦隊を構成する4個護衛隊群隷下の8個護衛隊の編成を、全て統一し、ヘリコプター搭載護衛艦、イージス艦、汎用護衛艦2隻、という一つの作戦単位を8個編成する案でした。前は護衛艦8隻とヘリコプター8機の編成を88艦隊と称していました。

ヘリコプター搭載護衛艦という装備体系は1973年に海上自衛隊が最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、を竣工させて以来の練成させてきました装備体系で、搭載したHSS-2対潜ヘリコプターは6機で空母航空団回転翼哨戒機部隊を構成している、対潜空母に搭載するべき対潜ヘリコプター部隊を航空機運用に特化した水上戦闘艦2隻に分散させたものです。

観艦式の際にしか役に立たない、との陰口も2010年代にはあったと聞きますが、第一線で運用できた背景には、ヘリコプター搭載護衛艦の特色、艦載機を新型とするだけで、通常の護衛艦では近代化改修に大きな予算と時間を要する近代化に等しい能力を発揮できる、というものでした。例えば、MCH-101を3機搭載できるのですから、その意味は大きい。

全通飛行甲板型護衛艦の時代となり、これの特性は一層際立つものとなりました、SH-60K哨戒ヘリコプターとMCH-101掃海輸送ヘリコプターだけが艦載機である現状ではあまり思いつかないところですが、AH-64D戦闘ヘリコプターを搭載し両用作戦に充てる事も出来れば、MV-22可動翼機は陸上より弾薬物資輸送に資する、F-35B戦闘機も搭載可能だ。

一方で、この“八月八日は八八艦隊の日”という提案をしました2010年当時は、いずも型護衛艦はありません、22DDHと称されている頃でした、そして、DDH,ひゅうが型護衛艦は海上自衛隊護衛艦でのF-35B運用が現実味を美的マスト、いずも型との比較でF-35B運用には過小であるとも指摘されています、さて、この点をどう考えるべきなのでしょうか。

インヴィンシブル級空母、F-35Bはもともとこの規模の艦艇での運用を可能とするよう、JSF計画の主開発国であるイギリスは要求に盛り込んでいます、インヴィンシブル級は基準排水量16000tで全長210m、ひゅうが型は基準排水量13990tで全長198mですので若干小型です、インヴィンシブル級はスキージャンプ台を有しますが、速度は3ノット遅い。

護衛艦を無理に大型化しますと、建造費のみならず維持費用と運用人員の負担が大きくなります、F-35Bはワスプ級強襲揚陸艦で運用する場合は90mの滑走が必要という、しかし、速力は護衛艦の方が早い、一方でソナーを有する護衛艦はインヴィンシブルの様にスキージャンプ台を置けない、ただソナーを撤去すると護衛艦に潜水艦から護衛の必要が生じる。

13900tは充分とは考えないが、19500tとなると更に4隻建造し、将来的に現行の護衛艦ひゅうが型を置換えるには更に2隻を建造するのは難しいのではないか、こう考える事も出来ます。もっとも、全通飛行甲板の艦艇が8隻建造すれば、もう日本の防衛は安泰、そうなのか、と問われますと、中国の海軍力増強が今後どう進むのかを見通す必要があります。

第二の88艦隊、これは輸送艦おおすみ型後継艦と、ひゅうが型などの全通飛行甲板型護衛艦の一部をイギリスでいうコマンドー空母のように両用戦艦に転用し、掃海隊群へ配備し護衛艦隊のヘリコプター搭載護衛艦を補完する運用が必要ではないか、という視点です。ミサイル護衛艦についても、ミサイル防衛と長期的に両立できるのでしょうか、不安が。

イージス艦が8隻必要だ、とは主張しませんが、イージスアショアを含めた広域防空システムと、こんごう型護衛艦のような旧式化したミサイル護衛艦をあわせて将来的に護衛艦隊のほかにミサイル防衛専従部隊の必要を感じるのです。実際問題、飽和攻撃に動くことの出来ないイージスアショアに一本化することはリスクが大きいことは理解できますが。

しかし、仮にです、陸上自衛隊の5方面隊にイージスアショアを5カ所に配置し、相互に補完しあう体制を構築できるならば、特に射程が大きく巡航ミサイルはもちろん対艦用途にも用いうるスタンダードSM-6を運用するならば、陸上自衛隊の既存装備、03式地対空誘導弾システムや12式地対艦誘導弾システムを部分的に後継と出来うるのかもしれません。

ミサイル防衛専用艦、現在防衛省はイージスアショアの代替に護衛艦方式の新型艦を計画していますが、もともと海上自衛隊の人員が限界に達しているために陸上自衛隊へ、イージスシステムとの関係はなく新しい任務として巡航ミサイル防衛を割り当てられ、その能力構築を大車輪ですすめている陸上自衛隊へ無理に充当された歴史がある。どう考えるか。

イージスアショアが中止された背景には、決定打となったのはSM-3迎撃ミサイルのブースターが自衛隊敷地外に落下するというものでした。イージスシステムの電波強度を考えますと電波覆射の影響も重ねて考える必要も感じるのですが、しかし問題をSM-3にのみ収斂するならば、そもそも内蔵するMk41VLSは既に移動発射型がメーカーにより提案される。

ミサイル防衛専用艦、どういったものとなるのかは未知数ですが、石油掘削リグ方式の恒久的洋上建造物方式が不採用になったと既に報じられており、護衛艦の方式をとるならば必然的に造船所での定期整備が必要となります、この場合は現在計画されている2隻で常時2カ所の運用など、現実的ではありません。ただ、日本への脅威だけは現実であります。

日本周辺では巡航ミサイルを搭載するミサイル爆撃機の脅威度が着実に増大しており、この視点から日本を都市爆撃の惨禍に晒さぬよう考える選択肢として検討する余地があるようにも思えます。ただ、SPY-7をめぐるイージスアショアの計画費用増大を背景に考えますと、03式を筆頭に日本独自の防空システムを強化すべきともいえる。一長一短という。

新しい88艦隊の日、若干脱線していますが、高層に着想した2010年から2021年で早くも11年、日本周辺の安全保障環境は激変しているのですね。故に、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻からなる護衛隊を8個配置、F-35BやMV-22にSH-60KやAH-64Dを適宜運用する、航空隊と護衛隊の任務群構想は一つの模範解答と信じます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
はるな、ひえい、しらね、くらま。この四隻のヘリコプター搭載護衛艦を中心とした海上防衛力だけで一定程度シーレーン防衛が見通せた時代は平和でした。

はるな除籍が2009年、同日に自衛隊初の全通飛行甲板型護衛艦ひゅうが、が竣工しました。2010年には横浜で護衛艦いせ建造が進み老朽化進む護衛艦ひえい除籍準備が進みます。そして平成22年度護衛艦22DDHとして現在の護衛艦いずも型が見えていた頃ですが、しらね型護衛艦しらね、くらま、は当面現役でありF-4後継機がF-15かF-35か選定中、だ。

八月八日は八八艦隊の日、2010年8月8日に北大路機関が提唱しました記念日ですが、2010年当時はヘリコプター搭載護衛艦が8隻あれば、搭載するF-35B戦闘機とともに日本周辺回帰の防衛は安泰だ、こう考えていました。今も基本的には考えは変わらないのですが、2010年といえば北朝鮮初の核実験から間もなく、中国空母はまだ改装中に過ぎない。

新しい88艦隊、この構想は、護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦8隻とイージス艦8隻を配備させ、護衛艦隊を構成する4個護衛隊群隷下の8個護衛隊の編成を、全て統一し、ヘリコプター搭載護衛艦、イージス艦、汎用護衛艦2隻、という一つの作戦単位を8個編成する案でした。前は護衛艦8隻とヘリコプター8機の編成を88艦隊と称していました。

ヘリコプター搭載護衛艦という装備体系は1973年に海上自衛隊が最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、を竣工させて以来の練成させてきました装備体系で、搭載したHSS-2対潜ヘリコプターは6機で空母航空団回転翼哨戒機部隊を構成している、対潜空母に搭載するべき対潜ヘリコプター部隊を航空機運用に特化した水上戦闘艦2隻に分散させたものです。

観艦式の際にしか役に立たない、との陰口も2010年代にはあったと聞きますが、第一線で運用できた背景には、ヘリコプター搭載護衛艦の特色、艦載機を新型とするだけで、通常の護衛艦では近代化改修に大きな予算と時間を要する近代化に等しい能力を発揮できる、というものでした。例えば、MCH-101を3機搭載できるのですから、その意味は大きい。

全通飛行甲板型護衛艦の時代となり、これの特性は一層際立つものとなりました、SH-60K哨戒ヘリコプターとMCH-101掃海輸送ヘリコプターだけが艦載機である現状ではあまり思いつかないところですが、AH-64D戦闘ヘリコプターを搭載し両用作戦に充てる事も出来れば、MV-22可動翼機は陸上より弾薬物資輸送に資する、F-35B戦闘機も搭載可能だ。

一方で、この“八月八日は八八艦隊の日”という提案をしました2010年当時は、いずも型護衛艦はありません、22DDHと称されている頃でした、そして、DDH,ひゅうが型護衛艦は海上自衛隊護衛艦でのF-35B運用が現実味を美的マスト、いずも型との比較でF-35B運用には過小であるとも指摘されています、さて、この点をどう考えるべきなのでしょうか。

インヴィンシブル級空母、F-35Bはもともとこの規模の艦艇での運用を可能とするよう、JSF計画の主開発国であるイギリスは要求に盛り込んでいます、インヴィンシブル級は基準排水量16000tで全長210m、ひゅうが型は基準排水量13990tで全長198mですので若干小型です、インヴィンシブル級はスキージャンプ台を有しますが、速度は3ノット遅い。

護衛艦を無理に大型化しますと、建造費のみならず維持費用と運用人員の負担が大きくなります、F-35Bはワスプ級強襲揚陸艦で運用する場合は90mの滑走が必要という、しかし、速力は護衛艦の方が早い、一方でソナーを有する護衛艦はインヴィンシブルの様にスキージャンプ台を置けない、ただソナーを撤去すると護衛艦に潜水艦から護衛の必要が生じる。

13900tは充分とは考えないが、19500tとなると更に4隻建造し、将来的に現行の護衛艦ひゅうが型を置換えるには更に2隻を建造するのは難しいのではないか、こう考える事も出来ます。もっとも、全通飛行甲板の艦艇が8隻建造すれば、もう日本の防衛は安泰、そうなのか、と問われますと、中国の海軍力増強が今後どう進むのかを見通す必要があります。

第二の88艦隊、これは輸送艦おおすみ型後継艦と、ひゅうが型などの全通飛行甲板型護衛艦の一部をイギリスでいうコマンドー空母のように両用戦艦に転用し、掃海隊群へ配備し護衛艦隊のヘリコプター搭載護衛艦を補完する運用が必要ではないか、という視点です。ミサイル護衛艦についても、ミサイル防衛と長期的に両立できるのでしょうか、不安が。

イージス艦が8隻必要だ、とは主張しませんが、イージスアショアを含めた広域防空システムと、こんごう型護衛艦のような旧式化したミサイル護衛艦をあわせて将来的に護衛艦隊のほかにミサイル防衛専従部隊の必要を感じるのです。実際問題、飽和攻撃に動くことの出来ないイージスアショアに一本化することはリスクが大きいことは理解できますが。

しかし、仮にです、陸上自衛隊の5方面隊にイージスアショアを5カ所に配置し、相互に補完しあう体制を構築できるならば、特に射程が大きく巡航ミサイルはもちろん対艦用途にも用いうるスタンダードSM-6を運用するならば、陸上自衛隊の既存装備、03式地対空誘導弾システムや12式地対艦誘導弾システムを部分的に後継と出来うるのかもしれません。

ミサイル防衛専用艦、現在防衛省はイージスアショアの代替に護衛艦方式の新型艦を計画していますが、もともと海上自衛隊の人員が限界に達しているために陸上自衛隊へ、イージスシステムとの関係はなく新しい任務として巡航ミサイル防衛を割り当てられ、その能力構築を大車輪ですすめている陸上自衛隊へ無理に充当された歴史がある。どう考えるか。

イージスアショアが中止された背景には、決定打となったのはSM-3迎撃ミサイルのブースターが自衛隊敷地外に落下するというものでした。イージスシステムの電波強度を考えますと電波覆射の影響も重ねて考える必要も感じるのですが、しかし問題をSM-3にのみ収斂するならば、そもそも内蔵するMk41VLSは既に移動発射型がメーカーにより提案される。

ミサイル防衛専用艦、どういったものとなるのかは未知数ですが、石油掘削リグ方式の恒久的洋上建造物方式が不採用になったと既に報じられており、護衛艦の方式をとるならば必然的に造船所での定期整備が必要となります、この場合は現在計画されている2隻で常時2カ所の運用など、現実的ではありません。ただ、日本への脅威だけは現実であります。

日本周辺では巡航ミサイルを搭載するミサイル爆撃機の脅威度が着実に増大しており、この視点から日本を都市爆撃の惨禍に晒さぬよう考える選択肢として検討する余地があるようにも思えます。ただ、SPY-7をめぐるイージスアショアの計画費用増大を背景に考えますと、03式を筆頭に日本独自の防空システムを強化すべきともいえる。一長一短という。

新しい88艦隊の日、若干脱線していますが、高層に着想した2010年から2021年で早くも11年、日本周辺の安全保障環境は激変しているのですね。故に、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に汎用護衛艦2隻からなる護衛隊を8個配置、F-35BやMV-22にSH-60KやAH-64Dを適宜運用する、航空隊と護衛隊の任務群構想は一つの模範解答と信じます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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