■週報:世界の防衛,最新11論点
今回は陸軍の重装備等について11論点を挙げてみました。我が国防衛力整備を考える上で興味深いものも多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/43/6a469d82adeba9e6ed93ff77e6487677.jpg)
アメリカ海兵隊ではLAV-25軽装甲車の後継となるARVコットンマウス高度偵察車輛の試作車試験を順調に進めている、開発を担当するテキストロンシステムズ社が発表しました。コットンマウスとはヌママムシの意で、水陸両用で強力な毒を持つ特性が新しい海兵隊の偵察車輛の水陸両用性能と対戦車ミサイル等の強力な武装といった特性と重なります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/88/3f57672715988073a05e90410a1c728f.jpg)
ARVコットンマウス高度偵察車輛は六輪式の小型装甲車で、LAV-25のような機関砲や威力偵察に当る為の海兵隊員は乗車しませんが、イスラエルのエルビットシステムズ社製全周監視センサーを搭載し、乗員は車内に居ながらにしてヘルメット装着ディスプレイを通じ、装甲車の車体や装甲を透視するように視察が可能、海兵軽装甲偵察中隊へ配備されます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/92/b51cf4af5a6db1b700295447b94a1226.jpg)
LAV-25軽装甲車の後継となるARVコットンマウス高度偵察車輛は輸送機や上陸用舟艇とヘリコプターによる空輸を想定し車幅2.5mと重量15tというLAV-25の寸法重量に収まるよう設計されており、機関砲は搭載しませんが遠隔操作式銃搭に携帯対戦車ミサイルを搭載する他、車体部分の装甲防御力は従来のLAV-25軽装甲車よりも大幅に強化されています。
■FRCV将来即応戦闘車
インド陸軍では二つの戦車計画が推進中となっています。アージュン戦車量産はどう成ったのかと思いつつ今回はその内の一つですがなかなか野心的すぎるようにも思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/42/9da06628338103df7ed10259fd1694cc.jpg)
インド陸軍は6月1日、FRCV将来即応戦闘車計画として中型戦車1770両の装備計画へRFI情報提案書を各防衛産業に要請しました。これは2030年までに整備計画を完了するとしており、RFI情報提案書の締め切りは2021年9月15日です。インド軍ではFRCV将来即応戦闘車により旧式化した旧ソ連製T-72主力戦車多数を置換える構想となっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/0a/0ae3a8c3f0100085e9f9ad51142ea2fa.jpg)
FRCV将来即応戦闘車の要求は厳しく、戦闘重量は25t前後とT-72戦車の40t規模よりも二回り以上軽量で初期の装甲戦闘車並の重量です、大口径の主砲とモジュラー装甲システムを採用、高度な火器管制装置とレーザー測距装置、AIに連動した目標自動識別装置を搭載すると共にインド国内の砂漠地形や湿地帯、高山帯等での高い機動力を求めています。
■チャレンジャーMCDCS
イギリス陸軍は新しいチャレンジャー戦車の車体擬装システムを開発しました。この手の車体ステルス性は自衛隊も考えてよいのではと思います、戦車は数が減り貴重なものとなりますからね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/97/cef857a4663c93f67639c84920991115.jpg)
イギリス陸軍はチャレンジャー2主力戦車についてMCDCSマルチカラーカモフラージュスキーム計画の新迷彩の評価試験を開始しました。これはディフェンスサイエンスアンドテクノロジーラボラトリーが開発した車両迷彩研究の一環で、デジタル迷彩方式を採用し、全体として不思議な事に中国軍沿岸用車両迷彩を濃緑化した印象の迷彩となりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b8/99dd15090fb19c45635077006128e729.jpg)
MCDCSマルチカラーカモフラージュスキーム計画として進められていた将来の迷彩研究はロシアの脅威を受けるエストニア国内において試験され、レーダー探知阻害と高熱拡散を促進する最先端の車両用塗料を用い、特に400mから1500mまでの距離において歩兵の肉眼や光学機器、車両用監視装置等からの判別が難しい迷彩塗装方式を画定したとのこと。
■ヨルダンのチャレンジャー
イギリス戦車を長らく運用してきましたヨルダンではチャレンジャー戦車が遂に引退しますが後継装備は意外なものでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/4d/16372912bffa82e9cfee36cb6374d300.jpg)
ヨルダン陸軍はイギリス製チャレンジャー1主力戦車の後継にイタリア製チェンタウロ戦車駆逐車を配備開始しました。これはヨルダン軍公式Webサイトに第60プリンスハッサン装甲旅団王立第3戦車大隊に配備されたとするチェンタウロ戦車駆逐車の写真を掲載され判明しており、写真には少なくとも12両のチェンタウロが並ぶ様子が確認されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/97/a7d7140f3598c4d560b8588bf79b56c0.jpg)
チェンタウロ戦車駆逐車はイタリアがレオパルド1主力戦車の後継として1992年に開発した105mm砲搭載の装輪装甲車で開発当時は装輪戦車として知られています。輸出はスペイン陸軍もレオパルド1主力戦車の後継として導入しており、オマーン陸軍にも輸出、イタリアでは近年、120mm滑腔砲を搭載したチェンタウロ2戦車駆逐車も開発されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/f1/241efcc491d884430f67240fd878ff5c.jpg)
ヨルダン陸軍へ配備されたチェンタウロは最大140両とされ、これについては2018年にスペインのSDLE社が定期整備施設建設を受注しています。チェンタウロは路上機動性の高さが特筆され、機動展開能力の高さが重要視される砂漠地形では有用な装備です、優れた車体設計からフレシア装甲戦闘車やドラコ自走榴弾砲等の派生型が開発されています。
■北マケドニアストライカー導入
ストライカー装輪装甲車が北マケドニアへ輸出されますが取得費用は案外高いものなのですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/32/615220c3a2abc83f77771b721f59c98f.jpg)
北マケドニア軍は2021年3月、アメリカ製ストライカー装甲車54両を2億1000万ドルで取得する交渉についてアメリカ国務省の輸出承認を受けました。54両のストライカー装甲車はM-1126ストライカーICV歩兵機動車、M-1130ストライカーCV指揮通信車、M-1129ストライカーMCV自走迫撃砲などから成り、重機関銃等も供与される方針です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/30/fa639df730787f4e3917f467ba6cf5bc.jpg)
ストライカー装輪装甲車へ2億1000万ドルの支出は人口210万人、陸軍規模6100名の北マケドニアには大きな負担ですが、北マケドニアは2020年3月27日にNATOへ加盟しており、旧式化したBTR-60装甲車60両とBTR-80装甲車12両をNATO標準装備へ置換える必要があり、既にBMP-1装甲車などはアメリカ製M-113へ置換えが開始されています。
■中国08式装輪装甲車救急型
中国陸軍の新型装甲車や新型火砲は非常に速い頻度で新型が開発されますので丹念に情報を視てゆかねばなりませんがCCTVの報道は有用だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/96/acc9c6ce2e163d10bc62de2e0a613f80.jpg)
中国人民解放軍は新型の装甲救急車として水陸両用の08式装輪装甲車派生型を発表しました。これは4月2日にCCTV中国中央テレビ報道により発表されたもので、新疆ウイグル自治区での演習映像として紹介、高山部において運用するものとしています。CCTV放映の演習動画では4km先の地域まで包帯所から5分間で到達する訓練が行われていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/ec/2cda749537ae3ad2135bf7d31a219721.jpg)
人民解放軍当局者の話としてこの装甲救急車はNBC防護能力と7.62mm徹甲弾に対する全周にわたっての防護力を有している他、八輪の車輪は12.7mm機銃弾が命中した場合でも40km/hの速度を維持できるといい、車内には心電図や人工呼吸器、応急処置や重傷者延命処置に必要な機材を搭載、衛生兵に加え、軽傷者8名と重傷者4名を輸送できるとのこと。
■ロシアのDUBM30mm機関砲
96式装輪装甲車後継装甲車が重武装型を開発できない将来発展性低さで不採用となったものですが、装甲車へ機関砲は標準武装となってゆく構図が此処にも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/d4/4ba699cae036816f751c4cb7f47a0e4a.jpg)
ロシア軍はVPKロシア軍事産業社よりDUBM30mm機関砲モジュールを搭載したBTR-82装輪装甲車の提案を受けた。DUBM-BTR-BMとしている装輪装甲車改修案は純粋な装輪装甲車であるBTR-82に無人砲塔を搭載する事で装甲戦闘車とするもので機関砲モジュールそのものは装輪装甲車や空挺戦闘車、哨戒艇や警備用トーチカに設置可能という。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/4e/12cbce35c92216b4f636e9132b3c3eaa.jpg)
DUBM30mm機関砲モジュールは類似した装備にコングスベルク社製30mm無人砲塔と似た大型の遠隔操作銃搭と云うべき装備でもあり、VPK社によれば暗視装置等の精度を強化した事で熱線暗視装置を用いた場合では、夜間の識別能力は1200mから3000mへと大幅に延伸したとしており、砲塔駆動は電動式、緊急用に手動操砲も可能であるとのこと。
■UAE開発のリラ装輪装甲車
この手の車両から国債の産業保護と産業開発を進める構図にも見えますが、UAEは近年防衛装備の国産化に尽力していますが今回も新たに装備年鑑に新しい頁が。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/e8/695a0595beccb2cc7e79a114edccdfa8.jpg)
UAEアラブ首長国連邦はIAG-Rilaことリラ装輪装甲車を発表しました、8輪式装輪装甲車で25mm機関砲を搭載しています。これはUAEのインターナショナルアーマードグループが開発したもので、UAEでは機関砲を搭載した装甲戦闘車型と機関砲を搭載しない耐爆車両MRAP型を開発しているとの事、同国では防衛装備の国産化を大車輪で進めている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/73/73b14fc2f9417e233b84f566072a3c17.jpg)
リラ装輪装甲車は高い車高の車体に大柄の砲塔を搭載、フロントエンジン方式の配置を有する常識的な設計で戦闘重量が26tから32t、装甲戦闘車型は乗員3名と兵員10名、MRAP方は乗員2名と兵員12名を輸送、防御力はNATO防弾規格でレベル4、エンジンは550hp乃至720hpのディーゼルエンジンを採用しており、航続距離は720kmとなっています。
■インド軍軽戦車350両導入へ
日本も偵察戦闘大隊用にこうした車両が必要やも。インド陸軍が進める二つの新型戦車計画のもう一つはこちら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/6a/0202711f1844af91dd436290c26234ab.jpg)
インド国防省は4月22日、将来軽戦車に関するRFI情報要求を提示しました。中国軍とヒマラヤ山脈を挟み対峙しているインド陸軍はT-72B3やT-90戦車等有力な機甲部隊を揃えていますが、高山部では過大で山間部等で運用可能な戦闘車両を必要としています。インド国防省は2020年に軽戦車350両の調達計画を発表、RFIはその重要な一歩となります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/e9/2c7404f7e13bfbe7ab6f5f07fbd17528.jpg)
インド軍軽戦車計画は戦闘重量を25tまでとする厳しいもので、対戦車ミサイルを含む様々な砲弾を投射可能な手法と熱線暗視装置、また対無人機用防護装備を搭載し高度な汎用性を求めています。この高度な汎用性の意味するところは未知数ですが、装甲戦闘車等への転用を上げているのかもしれません。RFI提出期限は2021年6月18日となっています。
■FV搭載用ストライクシールド
自衛隊でも開発が進む将来戦車の標準装備となりつつあるアクティヴ防護システムは装甲戦闘車にも重要な装備となるのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/59/d1ce1caa8088600bfbef1e8076d68534.jpg)
ハンガリー軍がドイツより導入するリンクス装甲戦闘車は最新のストライクシールドアクティヴ防護システムを搭載するとのこと。ストライクシールドはラインメタルプロテクションシステムズGmbHが開発したもので装甲車両用であるもののの軽量とされ、車体そのものの防御装甲とアクティヴ防御装甲によるハイブリッド型防御システムとしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/88/f1395bd385d302c4646267b23cd75293.jpg)
ハンガリー軍はリンクス装甲戦闘車209両を調達する、これはラインメタル社が開発した最新の装甲戦闘車であり、同社が開発したプーマ重装甲戦闘車の設計を更に洗練させたものであり、元々高い防御力を有しているが、対戦車ミサイルへの防御力はこの種の装甲車両の宿命として万全ではない。ストライクシールドは209両分で1億4000万ユーロである。
■ストライカーMCWS機関砲
やはりストライカー装甲車はアメリカ陸軍には非力であったようで機関砲搭載がほぼ標準化するもよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/33/443fd92fc2ccc4fdfbac7706ef4fe8a3.jpg)
アメリカ陸軍はストライカーMCWS中口径兵器システム91両分を1億3000万ドルでオシコシュ社との間で契約に至りました。MCWS中口径武器システムとは防御力を高めたダブルハル型ストライカーDVH A1へ強力な30mm機関砲用無人砲塔を有する能力向上型で、従来ストライカー装甲車の難点とされた対装甲目標戦闘への対処能力を持つ事になります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/2f/d211f8641d12674be4baf5315d1ca974.jpg)
ストライカーMCWS中口径兵器システムはストライアー旅団戦闘団一個に対し83両の配備が予定されています。現在アメリカ陸軍には6個ストライカー旅団戦闘団が維持されていますが、アメリカ陸軍は当面3個ストライカー旅団戦闘団へストライカーMCWS中口径兵器システムを配備するとしており、これの実現には9億4200万ドルを要するとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/87/94481e8767f0a1bac622407fba4c99bd.jpg)
ストライカー旅団戦闘団では、敵装甲車両と遭遇した際には現在の12.7mm重機関銃では対処でき無い場合、105mmMGS機動砲やTOW対戦車ミサイル戦車駆逐型ストライカーを展開させ対処していましたが、運用の柔軟性がありません。また防御力などの問題からストライカーMGSの早期退役が決定しており、30mm機関砲は重要な装備となるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は陸軍の重装備等について11論点を挙げてみました。我が国防衛力整備を考える上で興味深いものも多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/43/6a469d82adeba9e6ed93ff77e6487677.jpg)
アメリカ海兵隊ではLAV-25軽装甲車の後継となるARVコットンマウス高度偵察車輛の試作車試験を順調に進めている、開発を担当するテキストロンシステムズ社が発表しました。コットンマウスとはヌママムシの意で、水陸両用で強力な毒を持つ特性が新しい海兵隊の偵察車輛の水陸両用性能と対戦車ミサイル等の強力な武装といった特性と重なります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/88/3f57672715988073a05e90410a1c728f.jpg)
ARVコットンマウス高度偵察車輛は六輪式の小型装甲車で、LAV-25のような機関砲や威力偵察に当る為の海兵隊員は乗車しませんが、イスラエルのエルビットシステムズ社製全周監視センサーを搭載し、乗員は車内に居ながらにしてヘルメット装着ディスプレイを通じ、装甲車の車体や装甲を透視するように視察が可能、海兵軽装甲偵察中隊へ配備されます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/92/b51cf4af5a6db1b700295447b94a1226.jpg)
LAV-25軽装甲車の後継となるARVコットンマウス高度偵察車輛は輸送機や上陸用舟艇とヘリコプターによる空輸を想定し車幅2.5mと重量15tというLAV-25の寸法重量に収まるよう設計されており、機関砲は搭載しませんが遠隔操作式銃搭に携帯対戦車ミサイルを搭載する他、車体部分の装甲防御力は従来のLAV-25軽装甲車よりも大幅に強化されています。
■FRCV将来即応戦闘車
インド陸軍では二つの戦車計画が推進中となっています。アージュン戦車量産はどう成ったのかと思いつつ今回はその内の一つですがなかなか野心的すぎるようにも思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/42/9da06628338103df7ed10259fd1694cc.jpg)
インド陸軍は6月1日、FRCV将来即応戦闘車計画として中型戦車1770両の装備計画へRFI情報提案書を各防衛産業に要請しました。これは2030年までに整備計画を完了するとしており、RFI情報提案書の締め切りは2021年9月15日です。インド軍ではFRCV将来即応戦闘車により旧式化した旧ソ連製T-72主力戦車多数を置換える構想となっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/0a/0ae3a8c3f0100085e9f9ad51142ea2fa.jpg)
FRCV将来即応戦闘車の要求は厳しく、戦闘重量は25t前後とT-72戦車の40t規模よりも二回り以上軽量で初期の装甲戦闘車並の重量です、大口径の主砲とモジュラー装甲システムを採用、高度な火器管制装置とレーザー測距装置、AIに連動した目標自動識別装置を搭載すると共にインド国内の砂漠地形や湿地帯、高山帯等での高い機動力を求めています。
■チャレンジャーMCDCS
イギリス陸軍は新しいチャレンジャー戦車の車体擬装システムを開発しました。この手の車体ステルス性は自衛隊も考えてよいのではと思います、戦車は数が減り貴重なものとなりますからね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/97/cef857a4663c93f67639c84920991115.jpg)
イギリス陸軍はチャレンジャー2主力戦車についてMCDCSマルチカラーカモフラージュスキーム計画の新迷彩の評価試験を開始しました。これはディフェンスサイエンスアンドテクノロジーラボラトリーが開発した車両迷彩研究の一環で、デジタル迷彩方式を採用し、全体として不思議な事に中国軍沿岸用車両迷彩を濃緑化した印象の迷彩となりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b8/99dd15090fb19c45635077006128e729.jpg)
MCDCSマルチカラーカモフラージュスキーム計画として進められていた将来の迷彩研究はロシアの脅威を受けるエストニア国内において試験され、レーダー探知阻害と高熱拡散を促進する最先端の車両用塗料を用い、特に400mから1500mまでの距離において歩兵の肉眼や光学機器、車両用監視装置等からの判別が難しい迷彩塗装方式を画定したとのこと。
■ヨルダンのチャレンジャー
イギリス戦車を長らく運用してきましたヨルダンではチャレンジャー戦車が遂に引退しますが後継装備は意外なものでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/4d/16372912bffa82e9cfee36cb6374d300.jpg)
ヨルダン陸軍はイギリス製チャレンジャー1主力戦車の後継にイタリア製チェンタウロ戦車駆逐車を配備開始しました。これはヨルダン軍公式Webサイトに第60プリンスハッサン装甲旅団王立第3戦車大隊に配備されたとするチェンタウロ戦車駆逐車の写真を掲載され判明しており、写真には少なくとも12両のチェンタウロが並ぶ様子が確認されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/97/a7d7140f3598c4d560b8588bf79b56c0.jpg)
チェンタウロ戦車駆逐車はイタリアがレオパルド1主力戦車の後継として1992年に開発した105mm砲搭載の装輪装甲車で開発当時は装輪戦車として知られています。輸出はスペイン陸軍もレオパルド1主力戦車の後継として導入しており、オマーン陸軍にも輸出、イタリアでは近年、120mm滑腔砲を搭載したチェンタウロ2戦車駆逐車も開発されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/f1/241efcc491d884430f67240fd878ff5c.jpg)
ヨルダン陸軍へ配備されたチェンタウロは最大140両とされ、これについては2018年にスペインのSDLE社が定期整備施設建設を受注しています。チェンタウロは路上機動性の高さが特筆され、機動展開能力の高さが重要視される砂漠地形では有用な装備です、優れた車体設計からフレシア装甲戦闘車やドラコ自走榴弾砲等の派生型が開発されています。
■北マケドニアストライカー導入
ストライカー装輪装甲車が北マケドニアへ輸出されますが取得費用は案外高いものなのですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/32/615220c3a2abc83f77771b721f59c98f.jpg)
北マケドニア軍は2021年3月、アメリカ製ストライカー装甲車54両を2億1000万ドルで取得する交渉についてアメリカ国務省の輸出承認を受けました。54両のストライカー装甲車はM-1126ストライカーICV歩兵機動車、M-1130ストライカーCV指揮通信車、M-1129ストライカーMCV自走迫撃砲などから成り、重機関銃等も供与される方針です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/30/fa639df730787f4e3917f467ba6cf5bc.jpg)
ストライカー装輪装甲車へ2億1000万ドルの支出は人口210万人、陸軍規模6100名の北マケドニアには大きな負担ですが、北マケドニアは2020年3月27日にNATOへ加盟しており、旧式化したBTR-60装甲車60両とBTR-80装甲車12両をNATO標準装備へ置換える必要があり、既にBMP-1装甲車などはアメリカ製M-113へ置換えが開始されています。
■中国08式装輪装甲車救急型
中国陸軍の新型装甲車や新型火砲は非常に速い頻度で新型が開発されますので丹念に情報を視てゆかねばなりませんがCCTVの報道は有用だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/96/acc9c6ce2e163d10bc62de2e0a613f80.jpg)
中国人民解放軍は新型の装甲救急車として水陸両用の08式装輪装甲車派生型を発表しました。これは4月2日にCCTV中国中央テレビ報道により発表されたもので、新疆ウイグル自治区での演習映像として紹介、高山部において運用するものとしています。CCTV放映の演習動画では4km先の地域まで包帯所から5分間で到達する訓練が行われていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/ec/2cda749537ae3ad2135bf7d31a219721.jpg)
人民解放軍当局者の話としてこの装甲救急車はNBC防護能力と7.62mm徹甲弾に対する全周にわたっての防護力を有している他、八輪の車輪は12.7mm機銃弾が命中した場合でも40km/hの速度を維持できるといい、車内には心電図や人工呼吸器、応急処置や重傷者延命処置に必要な機材を搭載、衛生兵に加え、軽傷者8名と重傷者4名を輸送できるとのこと。
■ロシアのDUBM30mm機関砲
96式装輪装甲車後継装甲車が重武装型を開発できない将来発展性低さで不採用となったものですが、装甲車へ機関砲は標準武装となってゆく構図が此処にも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/d4/4ba699cae036816f751c4cb7f47a0e4a.jpg)
ロシア軍はVPKロシア軍事産業社よりDUBM30mm機関砲モジュールを搭載したBTR-82装輪装甲車の提案を受けた。DUBM-BTR-BMとしている装輪装甲車改修案は純粋な装輪装甲車であるBTR-82に無人砲塔を搭載する事で装甲戦闘車とするもので機関砲モジュールそのものは装輪装甲車や空挺戦闘車、哨戒艇や警備用トーチカに設置可能という。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/4e/12cbce35c92216b4f636e9132b3c3eaa.jpg)
DUBM30mm機関砲モジュールは類似した装備にコングスベルク社製30mm無人砲塔と似た大型の遠隔操作銃搭と云うべき装備でもあり、VPK社によれば暗視装置等の精度を強化した事で熱線暗視装置を用いた場合では、夜間の識別能力は1200mから3000mへと大幅に延伸したとしており、砲塔駆動は電動式、緊急用に手動操砲も可能であるとのこと。
■UAE開発のリラ装輪装甲車
この手の車両から国債の産業保護と産業開発を進める構図にも見えますが、UAEは近年防衛装備の国産化に尽力していますが今回も新たに装備年鑑に新しい頁が。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/e8/695a0595beccb2cc7e79a114edccdfa8.jpg)
UAEアラブ首長国連邦はIAG-Rilaことリラ装輪装甲車を発表しました、8輪式装輪装甲車で25mm機関砲を搭載しています。これはUAEのインターナショナルアーマードグループが開発したもので、UAEでは機関砲を搭載した装甲戦闘車型と機関砲を搭載しない耐爆車両MRAP型を開発しているとの事、同国では防衛装備の国産化を大車輪で進めている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/73/73b14fc2f9417e233b84f566072a3c17.jpg)
リラ装輪装甲車は高い車高の車体に大柄の砲塔を搭載、フロントエンジン方式の配置を有する常識的な設計で戦闘重量が26tから32t、装甲戦闘車型は乗員3名と兵員10名、MRAP方は乗員2名と兵員12名を輸送、防御力はNATO防弾規格でレベル4、エンジンは550hp乃至720hpのディーゼルエンジンを採用しており、航続距離は720kmとなっています。
■インド軍軽戦車350両導入へ
日本も偵察戦闘大隊用にこうした車両が必要やも。インド陸軍が進める二つの新型戦車計画のもう一つはこちら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/6a/0202711f1844af91dd436290c26234ab.jpg)
インド国防省は4月22日、将来軽戦車に関するRFI情報要求を提示しました。中国軍とヒマラヤ山脈を挟み対峙しているインド陸軍はT-72B3やT-90戦車等有力な機甲部隊を揃えていますが、高山部では過大で山間部等で運用可能な戦闘車両を必要としています。インド国防省は2020年に軽戦車350両の調達計画を発表、RFIはその重要な一歩となります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/e9/2c7404f7e13bfbe7ab6f5f07fbd17528.jpg)
インド軍軽戦車計画は戦闘重量を25tまでとする厳しいもので、対戦車ミサイルを含む様々な砲弾を投射可能な手法と熱線暗視装置、また対無人機用防護装備を搭載し高度な汎用性を求めています。この高度な汎用性の意味するところは未知数ですが、装甲戦闘車等への転用を上げているのかもしれません。RFI提出期限は2021年6月18日となっています。
■FV搭載用ストライクシールド
自衛隊でも開発が進む将来戦車の標準装備となりつつあるアクティヴ防護システムは装甲戦闘車にも重要な装備となるのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/59/d1ce1caa8088600bfbef1e8076d68534.jpg)
ハンガリー軍がドイツより導入するリンクス装甲戦闘車は最新のストライクシールドアクティヴ防護システムを搭載するとのこと。ストライクシールドはラインメタルプロテクションシステムズGmbHが開発したもので装甲車両用であるもののの軽量とされ、車体そのものの防御装甲とアクティヴ防御装甲によるハイブリッド型防御システムとしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/88/f1395bd385d302c4646267b23cd75293.jpg)
ハンガリー軍はリンクス装甲戦闘車209両を調達する、これはラインメタル社が開発した最新の装甲戦闘車であり、同社が開発したプーマ重装甲戦闘車の設計を更に洗練させたものであり、元々高い防御力を有しているが、対戦車ミサイルへの防御力はこの種の装甲車両の宿命として万全ではない。ストライクシールドは209両分で1億4000万ユーロである。
■ストライカーMCWS機関砲
やはりストライカー装甲車はアメリカ陸軍には非力であったようで機関砲搭載がほぼ標準化するもよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/33/443fd92fc2ccc4fdfbac7706ef4fe8a3.jpg)
アメリカ陸軍はストライカーMCWS中口径兵器システム91両分を1億3000万ドルでオシコシュ社との間で契約に至りました。MCWS中口径武器システムとは防御力を高めたダブルハル型ストライカーDVH A1へ強力な30mm機関砲用無人砲塔を有する能力向上型で、従来ストライカー装甲車の難点とされた対装甲目標戦闘への対処能力を持つ事になります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/2f/d211f8641d12674be4baf5315d1ca974.jpg)
ストライカーMCWS中口径兵器システムはストライアー旅団戦闘団一個に対し83両の配備が予定されています。現在アメリカ陸軍には6個ストライカー旅団戦闘団が維持されていますが、アメリカ陸軍は当面3個ストライカー旅団戦闘団へストライカーMCWS中口径兵器システムを配備するとしており、これの実現には9億4200万ドルを要するとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/87/94481e8767f0a1bac622407fba4c99bd.jpg)
ストライカー旅団戦闘団では、敵装甲車両と遭遇した際には現在の12.7mm重機関銃では対処でき無い場合、105mmMGS機動砲やTOW対戦車ミサイル戦車駆逐型ストライカーを展開させ対処していましたが、運用の柔軟性がありません。また防御力などの問題からストライカーMGSの早期退役が決定しており、30mm機関砲は重要な装備となるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)