■富士の裾野に駒門駐屯地祭
富士の裾野の駒門駐屯地、今回から新しい日曜特集としまして今や懐かしい駒門駐屯地創設55周年記念行事の情景をお伝えしましょう。
10式戦車、記念マークを装着し指揮官車が式典会場片隅に。2015年の駒門は手荷物検査を通過しましてゆったりと入場することができました、こののち春の自衛隊行事は相馬原を中心とし、久々に2019年行きましたらば、もの凄い来場者増加で入るのに一時間を要した。
96式装輪装甲車や87式偵察警戒車が車両待機位置に並ぶ。駒門は戦車の駐屯地ではあるのですが、戦車即ち機甲部隊、そして国際教育隊などの装甲車部隊も駐屯していますので、大きすぎる装軌車以外はこうして来場者や来賓の見えるところに待機しているのですね。
式典参加部隊が整列します、観閲行進待機車両は背後に。今回撮影位置としましたのは、駒門では来賓席が広大に確保されている分、一般席の目の前を来賓席、という配置が広く、観閲行進を自由に撮影するには少し外れた立地に撮影陣地を選定するほかありません。
指揮官、駒門駐屯の各部隊指揮官が幕僚を伴い整列、敬礼を交わす。国際教育隊、第1機甲教育隊、第1戦車大隊、第1高射特科大隊、第364施設中隊、駐屯地業務隊、などが駐屯しています。2019年にこのうち第1機甲教育隊が富士学校に管理替、改編されました。
国際教育隊長兼ねて駐屯地司令の古庄信二1佐が部隊巡閲を行う。部隊巡閲は、このななめから撮影する立地の方が撮影はし易いのかもしれません。第1機甲教育隊、自衛隊戦車部隊教育の総本山として君臨しましたが、現在は富士学校、機甲教導連隊となっている。
古庄司令の巡閲とともに整列部隊の並び。前職は第37普通科連隊長だ。不思議なものでして、どこかで見たなあ、と師団祭では一瞬みたくらいなのですが、82式指揮通信車の車上から行進に参加する連隊長さん、妙に顔を覚えてしまうのですね、おお出世したなあ、と。
観閲行進準備、車両待機位置から国際教育隊が動き始めた。北大路期間の行事紹介では、駐屯地司令の訓辞と来賓祝辞も基本的に撮影しますので、その様子も詳報では紹介するのですが、前述の通りここは式典会場外れ、故に観閲台も見えず、祝辞も見えない、割愛だ。
国際教の表記が眩しい軽装甲機動車が往く。いまは無き中央即応集団隷下部隊であり、また中央の直轄部隊ということで人員規模は80名規模ですが、ここの隊長が駐屯地司令を担います。国際教育隊の任務は海外派遣前の隊員への、特に指揮官への教育、という。
軽装甲機動車に続き国際教の96式装輪装甲車が。小松製作所が双方とも開発し量産しました。いろいろ防御力や整備性で指摘は聞くのですが国内運用に適した小型車体に設計をまとめ、なにより安価です。自衛隊はもっとこの車両を全国に揃えるべきだったと思います。
第1高射特科大隊の車列が、82式指揮通信車を先頭に。第1師団隷下の師団防空部隊で、DADOS師団対空戦闘指揮システムを統括、対空と低空レーダ装置、及び各種地対空ミサイルを運用し部隊を空からの攻撃より守ります。自衛隊の野戦防空密度は世界的に見て高い。
93式近距離地対空誘導弾の車列、第1中隊の車両です。射程5km程度、近距離用ではあるのですが、DADOSに連接され蜘蛛の巣のように一個中隊12両の車両が広く分散して第一線に敵戦闘ヘリコプターなどを待ち伏せます。そして複合光学照準機により空の敵を狙う。
指揮通信中隊は編成されず93式近距離地対空誘導弾は第1中隊に。第3師団などでは高射特科大隊は指揮情報中隊と高射中隊に分かれていまして、対空レーダーとともに93式近距離地対空誘導弾は指揮情報中隊に配備されます。中隊の配備定数は、公表されていません。
81式短距離地対空誘導弾、第2中隊の車両です。通称短SAM-CといいましてC型から射程20kmの電波誘導弾も運用可能となりました、赤外線誘導型の射程は8kmですので大きな延伸だ。射撃統制装置と2両の発射機で1セット、中隊には4セットが配備されている。
第1戦車大隊の待機車両、96式装輪装甲車とともに動き始める。10式戦車や74式戦車は既に待機位置にもともと駐車しています。これら様子は観閲行進ではなく、あくまで待機位置への前進、つまり駒門駐屯地祭では本番と併せ観閲行進的なものは二回みれるという。
96式装輪装甲車、大隊本部の車両です。戦車大隊は大隊本部と本部付隊、そして第1中隊と第2中隊より編成される。最盛期は第1戦車大隊には4個中隊が置かれ、師団隷下の第1普通科連隊、第31普通科連隊、第32普通科連隊、第34普通科連隊を強力に援護していた。
第1機甲教育隊の87式偵察警戒車、満開の桜を背景に2両が重なる。25mm機関砲を以て威力偵察に当たる車両です。25mm機関砲で可能な任務は限られていますが重なると精悍に見えますね。87式偵察警戒車は全国の師団や旅団の偵察隊に各5両が配備されています。
指揮官車、10式戦車が観閲行進の先頭を往く。10式戦車は2020年代を睨む自衛隊の最新鋭戦車で前の90式戦車を越える防御力と打撃力及び機動力を備えつつ、重量を50tから本土での運用に適した44tまで軽量化、戦略機動性を重視した三菱重工による国産戦車です。
観閲行進にあたる国際教育隊の軽装甲機動車、中央即応集団所属だ。車体こそ小型ですが乗車戦闘を基本として一個小銃班を機銃組と対戦車組に分散して運用するという、日本独自の分散運用視点から開発された装甲車、フランスやドイツの小型装甲車が参考とされた。
第1高射特科大隊が82式指揮通信車と情報小隊のレーダとともに進む。防空といいますとミサイルが注視されるなか、野戦防空はどの位置から攻撃が加えられるかの情報、これに基づく防空戦闘と平行して実施される対空疎開も重要で情報小隊は文字通り師団空の目だ。
79式対空レーダ装置P-9と対空レーダ装置P-14の車列が。P-9は旧式で低空レーダ装置と呼称されます、後継P-18が量産されましたがファイル交換ソフト情報漏洩を受け、要因が業務PC不足故の私物利用であったため、P-18導入を断念しその予算で業務PCが揃った。
93式近距離地対空誘導弾を率いる第1中隊長が前へ。35mm双連機関砲L-90の後継として導入されました、35mm機関砲は絶対に電波妨害に負けず、無人機等にも器用に対処できますが機関砲故に整備負担が尋常ではなく、ミサイル転換は現場に歓迎された、という。
81式短距離地対空誘導弾を運用する第2中隊の前進です。後継として11式短距離地対空誘導弾が開発、が、短SAMでも改良型の短SAM-Cは性能が良く、50km圏内をレーダーで警戒し、二つの車両から射程20kmのミサイルで防空を担う、この運用はまだ続く事となる。
第364施設中隊の車列が81式自走架橋柱を先頭に進む。方面施設部隊である第1施設団隷下部隊です、もともとは地区施設隊と呼ばれた部隊ですが、部外工事を任務とした地区施設隊は過去のものとなり、現在は戦闘工兵部隊として中隊に改編、駒門に駐屯しています。
施設中隊のバケットローダーが派手な外見を誇示します。派手ではあるのですが、しかし防弾性能など戦闘工兵としての装備ではありません。そして自衛隊にとっては戦闘工兵としての装備、75式装甲ドーザ等の後継装備不足が、静かな問題といえるかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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富士の裾野の駒門駐屯地、今回から新しい日曜特集としまして今や懐かしい駒門駐屯地創設55周年記念行事の情景をお伝えしましょう。
10式戦車、記念マークを装着し指揮官車が式典会場片隅に。2015年の駒門は手荷物検査を通過しましてゆったりと入場することができました、こののち春の自衛隊行事は相馬原を中心とし、久々に2019年行きましたらば、もの凄い来場者増加で入るのに一時間を要した。
96式装輪装甲車や87式偵察警戒車が車両待機位置に並ぶ。駒門は戦車の駐屯地ではあるのですが、戦車即ち機甲部隊、そして国際教育隊などの装甲車部隊も駐屯していますので、大きすぎる装軌車以外はこうして来場者や来賓の見えるところに待機しているのですね。
式典参加部隊が整列します、観閲行進待機車両は背後に。今回撮影位置としましたのは、駒門では来賓席が広大に確保されている分、一般席の目の前を来賓席、という配置が広く、観閲行進を自由に撮影するには少し外れた立地に撮影陣地を選定するほかありません。
指揮官、駒門駐屯の各部隊指揮官が幕僚を伴い整列、敬礼を交わす。国際教育隊、第1機甲教育隊、第1戦車大隊、第1高射特科大隊、第364施設中隊、駐屯地業務隊、などが駐屯しています。2019年にこのうち第1機甲教育隊が富士学校に管理替、改編されました。
国際教育隊長兼ねて駐屯地司令の古庄信二1佐が部隊巡閲を行う。部隊巡閲は、このななめから撮影する立地の方が撮影はし易いのかもしれません。第1機甲教育隊、自衛隊戦車部隊教育の総本山として君臨しましたが、現在は富士学校、機甲教導連隊となっている。
古庄司令の巡閲とともに整列部隊の並び。前職は第37普通科連隊長だ。不思議なものでして、どこかで見たなあ、と師団祭では一瞬みたくらいなのですが、82式指揮通信車の車上から行進に参加する連隊長さん、妙に顔を覚えてしまうのですね、おお出世したなあ、と。
観閲行進準備、車両待機位置から国際教育隊が動き始めた。北大路期間の行事紹介では、駐屯地司令の訓辞と来賓祝辞も基本的に撮影しますので、その様子も詳報では紹介するのですが、前述の通りここは式典会場外れ、故に観閲台も見えず、祝辞も見えない、割愛だ。
国際教の表記が眩しい軽装甲機動車が往く。いまは無き中央即応集団隷下部隊であり、また中央の直轄部隊ということで人員規模は80名規模ですが、ここの隊長が駐屯地司令を担います。国際教育隊の任務は海外派遣前の隊員への、特に指揮官への教育、という。
軽装甲機動車に続き国際教の96式装輪装甲車が。小松製作所が双方とも開発し量産しました。いろいろ防御力や整備性で指摘は聞くのですが国内運用に適した小型車体に設計をまとめ、なにより安価です。自衛隊はもっとこの車両を全国に揃えるべきだったと思います。
第1高射特科大隊の車列が、82式指揮通信車を先頭に。第1師団隷下の師団防空部隊で、DADOS師団対空戦闘指揮システムを統括、対空と低空レーダ装置、及び各種地対空ミサイルを運用し部隊を空からの攻撃より守ります。自衛隊の野戦防空密度は世界的に見て高い。
93式近距離地対空誘導弾の車列、第1中隊の車両です。射程5km程度、近距離用ではあるのですが、DADOSに連接され蜘蛛の巣のように一個中隊12両の車両が広く分散して第一線に敵戦闘ヘリコプターなどを待ち伏せます。そして複合光学照準機により空の敵を狙う。
指揮通信中隊は編成されず93式近距離地対空誘導弾は第1中隊に。第3師団などでは高射特科大隊は指揮情報中隊と高射中隊に分かれていまして、対空レーダーとともに93式近距離地対空誘導弾は指揮情報中隊に配備されます。中隊の配備定数は、公表されていません。
81式短距離地対空誘導弾、第2中隊の車両です。通称短SAM-CといいましてC型から射程20kmの電波誘導弾も運用可能となりました、赤外線誘導型の射程は8kmですので大きな延伸だ。射撃統制装置と2両の発射機で1セット、中隊には4セットが配備されている。
第1戦車大隊の待機車両、96式装輪装甲車とともに動き始める。10式戦車や74式戦車は既に待機位置にもともと駐車しています。これら様子は観閲行進ではなく、あくまで待機位置への前進、つまり駒門駐屯地祭では本番と併せ観閲行進的なものは二回みれるという。
96式装輪装甲車、大隊本部の車両です。戦車大隊は大隊本部と本部付隊、そして第1中隊と第2中隊より編成される。最盛期は第1戦車大隊には4個中隊が置かれ、師団隷下の第1普通科連隊、第31普通科連隊、第32普通科連隊、第34普通科連隊を強力に援護していた。
第1機甲教育隊の87式偵察警戒車、満開の桜を背景に2両が重なる。25mm機関砲を以て威力偵察に当たる車両です。25mm機関砲で可能な任務は限られていますが重なると精悍に見えますね。87式偵察警戒車は全国の師団や旅団の偵察隊に各5両が配備されています。
指揮官車、10式戦車が観閲行進の先頭を往く。10式戦車は2020年代を睨む自衛隊の最新鋭戦車で前の90式戦車を越える防御力と打撃力及び機動力を備えつつ、重量を50tから本土での運用に適した44tまで軽量化、戦略機動性を重視した三菱重工による国産戦車です。
観閲行進にあたる国際教育隊の軽装甲機動車、中央即応集団所属だ。車体こそ小型ですが乗車戦闘を基本として一個小銃班を機銃組と対戦車組に分散して運用するという、日本独自の分散運用視点から開発された装甲車、フランスやドイツの小型装甲車が参考とされた。
第1高射特科大隊が82式指揮通信車と情報小隊のレーダとともに進む。防空といいますとミサイルが注視されるなか、野戦防空はどの位置から攻撃が加えられるかの情報、これに基づく防空戦闘と平行して実施される対空疎開も重要で情報小隊は文字通り師団空の目だ。
79式対空レーダ装置P-9と対空レーダ装置P-14の車列が。P-9は旧式で低空レーダ装置と呼称されます、後継P-18が量産されましたがファイル交換ソフト情報漏洩を受け、要因が業務PC不足故の私物利用であったため、P-18導入を断念しその予算で業務PCが揃った。
93式近距離地対空誘導弾を率いる第1中隊長が前へ。35mm双連機関砲L-90の後継として導入されました、35mm機関砲は絶対に電波妨害に負けず、無人機等にも器用に対処できますが機関砲故に整備負担が尋常ではなく、ミサイル転換は現場に歓迎された、という。
81式短距離地対空誘導弾を運用する第2中隊の前進です。後継として11式短距離地対空誘導弾が開発、が、短SAMでも改良型の短SAM-Cは性能が良く、50km圏内をレーダーで警戒し、二つの車両から射程20kmのミサイルで防空を担う、この運用はまだ続く事となる。
第364施設中隊の車列が81式自走架橋柱を先頭に進む。方面施設部隊である第1施設団隷下部隊です、もともとは地区施設隊と呼ばれた部隊ですが、部外工事を任務とした地区施設隊は過去のものとなり、現在は戦闘工兵部隊として中隊に改編、駒門に駐屯しています。
施設中隊のバケットローダーが派手な外見を誇示します。派手ではあるのですが、しかし防弾性能など戦闘工兵としての装備ではありません。そして自衛隊にとっては戦闘工兵としての装備、75式装甲ドーザ等の後継装備不足が、静かな問題といえるかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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