■特報:世界の防衛,最新論点
ズムウォルト級駆逐艦から艦砲が撤去される発表が話題となりましたが今回はアメリカ海軍の沿海域戦闘艦とフリゲイトなどに焦点を合わせて最新情報を視てみましょう。
アメリカ海軍が建造中のLCS沿海域戦闘艦サバンナは5月13日、メキシコ湾での公試を完了させました。サバンナはインディペンデンス級沿海域戦闘艦の14番艦で高速航行を意志しアルミ合金製三胴船構造を採用している未来的な外観の艦艇です。LCS沿海域戦闘艦サバンナを含めインディペンデンス級沿海域戦闘艦は現在5隻が建造中となっています。
インディペンデンス級沿海域戦闘艦は基準排水量2307tで満載排水量3104t、最大の特色は低抵抗の三胴船に83000hpの強力なエンジンを搭載した事で40ノットという高速航行が可能である点ですが、その分だけ武装は軽量で57mm艦砲とSEA-RAM簡易防空ミサイルのみ、艦対艦ミサイルや対潜装備は有さず航空機運用能力で補っている点が特色です。
■沿海域戦闘艦オークランド
アメリカ皆具の最新鋭艦である沿海域戦闘艦オークランドの話題です。
アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦オークランドとを2021年春に竣工させました。インディペンデンス級沿海域戦闘艦は高速性能を重視し、三胴船構造を採用し上部構造物を広く採った事で基準排水量2300tの小型艦ながらMH-60ヘリコプター2機か、MH-60ヘリコプター1機とMQ-8無人機2機を搭載可能です。その分固有の武装は少ない。
オークランドは2018年12月14日に起工式を迎え2019年7月21日に進水式を挙行、2021年4月17日に就役しました。哨戒任務や対テロ作戦に加え、オーガニック方式として水上戦闘艦により機雷掃討任務にも対応した設計となっているもので、近年は応急的に携帯式のグリフィンミサイルや機関銃座等、一部はハープーンミサイルを追加装備しています。
インディペンデンス級沿海域戦闘艦はテロとの戦いを重視し一番艦は2006年に起工式、2010年に竣工していますが、就役した頃には脅威対象が武装勢力の小型武装ボートから重武装の中国海軍ミサイルフリゲイトとなっており、また40ノットに昇る高速航行能力は燃油費高騰のあおりを受け運用費用が高騰するという状況にあり、評価の定まらぬ艦です。
■沿海域戦闘艦モービル
アメリカ海軍の最新鋭艦である沿海域戦闘艦モービルの話題を続いて。
アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦モービルを竣工させました。インディペンデンス級沿海域戦闘艦はつい先日にオークランドが竣工したばかり、モービルは2018年12月14日に起工し進水式は2020年1月11日、そして2021年5月21日に就役しています。現在はサバンナ、キャンベラ、サンタバーバラ、オーガスタ等が建造中です。
テロとの戦いを想定したインディペンデンス級沿海域戦闘艦は機雷戦にも対応し、またマルチミッションスペースにはストライカー装甲車等の機械化部隊も収容可能というユニークな設計ですが、高速度を重視し船体をアルミ合金製とし、推進装置をウォータージェットとしたため、運用開始と共に海水と太陽光による腐食などの不具合に悩まされています。
■ミサイルフリゲイトコングレス
コンステレーション級ミサイルフリゲイトの話題です。
アメリカ海軍はイタリアのフィンカンティエリ社との間でコンステレーション級ミサイルフリゲイト建造に関する5億5500万ドルの契約を結びました。コンステレーション級はイタリア海軍向けフリゲイトを原型としてアメリカ海軍仕様としたもので、建造はフィンカンティエリ社の子会社であるアメリカのマリネットマリンコーポレーションが担います。
今回の契約は二番艦コングレスに関するものでウィスコンシン州マリネットのマリネットマリンコーポレーション造船施設にて建造、2027年に竣工予定です。アメリカ海軍ではコンステレーション級ミサイルフリゲイトの量産計画を軽武装のインディペンデンス級沿海域戦闘艦とフリーダム級沿海域戦闘艦の後継に充てる重武装艦として特に重視しています。
■沿海域戦闘艦キャンベラ
重巡洋艦キャンベラが復活します。
アメリカ海軍が導入を進めるインディペンデンス級沿海域戦闘艦の新しい艦名がキャンベラとなりました、命名式典は6月5日に実施され、オーストラリアの首都キャンベラに由来する艦名です。アメリカ海軍にはイギリスの首相の名を冠したイージス艦ウィンストンチャーチルなどはありますが、外国の首都が艦名となるのはこのキャンベラのみです。
キャンベラという艦名はオーストラリア海軍が第二次世界大戦中に運用していたケント級巡洋艦の豪州供与艦に冠せられていた艦名ですが、第一次ソロモン海海戦において日本海軍に撃沈されています、しかし、第一次ソロモン海海戦で共に戦ったアメリカ海軍ではオーストラリア海軍へ敬意を示すべく、この艦名をアメリカ海軍の巡洋艦に冠した歴史が。
ケント級巡洋艦に続いてボルティモア級重巡洋艦キャンベラとして建造されたものが、先代のキャンベラとなります。先代のキャンベラはオーストラリア海軍に引き渡される事はありませんでしたが、ミサイル巡洋艦として1976年まで現役にありました。今回の命名式にはオーストラリア駐米大使館よりマシューハドソン准将が出席し、祝辞を述べています。
■ミサイル駆逐艦ピンクニー
アーレイバーク級ミサイル駆逐艦ピンクニーの話題を。
アメリカ海軍はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦ピンクニーの近代化改修にジェネラルダイナミクス社との間で9874万ドルの契約を結びました。ピンクニーはイージス艦、アーレイバーク級の41番艦、南太平洋海戦で空母エンタープライズ艦上で救助活動を行い海軍殊勲十字章を叙勲したウィリアムピンクニー一等給仕兵の名を冠したミサイル駆逐艦です。
ピンクニーは満載排水量で9648tあり2004年5月に竣工しています。改修とともに保守と修理がサンディエゴにて行われる事となり、期間は2022年から2023年7月までを予定しており、現在の第23駆逐隊は修理期間中に一隻が抜ける事となります。アーレイバーク級はアメリカ海軍の主力であり、1億2110万ドルまでのオプション改修も見込まれています。
■時事:イオージマはオマーンへ
ここからは最新の時事情報についてです。日本タンカー襲撃事件の発生したオマーン近海は咲居kン迄アメリカの強襲揚陸艦部隊が展開していた。
アメリカ海軍のイオージマARG両用即応群が7月12日、寄港していたオマーンのドゥクム港を出航しました。イオージマARG両用即応群は第24MEU海兵遠征群が乗艦し、海上において即応待機を行う海兵隊部隊です、イオージマARG両用即応群はロナルドレーガン空母打撃群や、イギリスのクイーンエリザベス空母打撃群との訓練も実施しています。
イオージマARG両用即応群の編成は、強襲揚陸艦イオージマ、ドック型揚陸艦カーターホール、ドック型輸送艦サンアントニオ、以上3隻から構成されており、第24MEU海兵遠征群はMV-22可動翼機やCH-53重輸送ヘリコプター、また強力なAV-8Bハリアー攻撃機を搭載し、LAV-25軽装甲車も搭載、中東及びアラビア海でのプレゼンスを発揮しています。
■時事:タリスマンセイバー
二年に一度実施されているタリスマンセイバー多国間演習について。
タリスマンセイバー21演習としてオーストラリア近海において実施されている訓練に米豪潜水艦部隊が追加参加しました。タリスマンセイバー21演習として展開される様々な演習想定の中には、海洋自由原則に基づく“航行の自由作戦”が敵対的な海軍力により妨害されるとの想定も含まれ、この演習では潜水艦による妨害が加えられたとの状況のもよう。
オーストラリア海軍ではこの演習にコリンズ級潜水艦を参加させています。タリスマンセイバー21演習は6月25日から8月7日まで実施、訓練には日本とアメリカ、オーストラリアとイギリス海軍、カナダとニュージーランド及び韓国などが参加し、日本からは海上自衛隊に加え陸上自衛隊の水陸機動団が参加しています。前回の実施は2019年でした。
■時事:英艦隊ベンガル湾へ
まもなく日本近海での海上自衛隊との合同演習が開始されるというイギリス空母部隊について。
イギリスの空母クイーンエリザベス戦闘群は7月21日から翌22日にかけ、ベンガル湾においてインド海軍と合同演習を実施しました。これはPASSEX二国間特別演習といい、信頼醸成や有効目的の訓練ではありますが、インド海軍からは水上戦闘艦6隻とともにインド海軍が誇るP-8I哨戒機も参加し、友好目的の訓練としては艦艇参加の規模が大きい。
イギリス海軍は最新鋭の空母艦載機F-35B戦闘機を発艦、参加させています。ただ、今回の訓練にインド海軍の空母ヴィクラマディーチャは参加していません。クイーンエリザベス空母戦闘群は7月6日にスエズ運河を通りアラビア海へ、この際に故障により駆逐艦ダイヤモンドが艦隊を離脱していますが、インド洋を経てベンガル湾、日本へと向かいます。
■時事:ヘルマンド州危機
日本は海上阻止行動給油支援へ補給艦を派遣した程度ですので軍事上は無関係を通してきましたアフガン情勢について。
アフガニスタンヘルマンド州の州都ラシュカルガがタリバーン攻勢により陥落の危機に見舞われている、CNNが報じた。アメリカ軍の撤退が最終段階となったアフガニスタンではタリバーンの大攻勢が続いており、ヘルマンド州はイギリス軍が治安作戦を担当した南部の激戦地であるが、既にイギリス軍始めNATOの国際治安支援部隊は撤収を完了した。
ラシュカルガでは既に複数の街区がタリバーンに占拠されており、アフガニスタン軍は特殊部隊を現地へ派遣するなど、防衛を強化している。この行動の背景にはラシュカルガが交通の要衝であり、ヘルマンド州を中心にカンダハル州とヘラート州を繋ぐ戦略拠点である為だ。国際治安支援部隊駐屯時代は盤石防衛を誇り、危機に曝されるのは初めてという。
アメリカ軍の撤退進むアフガニスタンでは、タリバーンの攻勢が激化しているが、今のところ山間部と山麓がタリバーンに占拠されているものの、州都が占領された事例はないとしている。しかし、34ある州都で初めて陥落する危険に曝されているが、幾つかの州都では包囲されており、複数州都が近い将来連続して陥落する懸念があるが、米軍撤退は進む。
■時事:中国がタリバーンと会談
アメリカ軍のアフガニスタン撤退後の地図を構築しようと中国が動き出しました。
中国の王毅国務委員は天津にタリバーンの代表部を招き意見交換を行った。これは7月28日にタリバーン代表部のハラダル師を招き実現している。アフガニスタンへは中国一帯一路計画に基づくインフラ整備や鉱山開発が進む、そして中国国内のイスラム問題として新疆ウイグル自治区問題があり、中国はアフガニスタン情勢悪化に神経をとがらせている。
ただ、中国人民解放軍胃は現在の情勢であればアフガニスタンを安定化させる能力は有していると考えられる、イギリスにソ連とアメリカが撤退に追い込まれたアフガニスタンであるが、新疆ウイグル自治区安定化に用いた手法は応用し得る。例えばアフガニスタン都市部や山間部に一億台規模の監視カメラを配置、長距離砲と無人機で警戒する事は可能だ。
アフガニスタン国軍は一定程度訓練されているが、アメリカ撤退を受け離反や脱走が相次ぐ、しかし兵舎にスマートスピーカーを多数設置し会話を解析すれば離反傾向を未然に察知できるし、タリバーンも利用するスマートフォン通信網は5G通信を中国企業が整備すれば中国本土並みの言論統制も可能であろう。今後の中国によるアフガン政策を注視したい。
■時事:日本タンカーへ攻撃
日本タンカーがまたしても襲撃されました。
日本所有タンカーがオマーン沖のペルシャ湾で攻撃を受け乗組員二名が死亡する事件が発生しました。攻撃を受けたのは石油タンカーのマーサーストリート号で運用を担っているのはイギリスのゾディアックマリタイム社、攻撃は7月29日に無人攻撃機により行われたとされ、この攻撃でイギリス人乗組員とルーマニア人乗組員が死亡する重大事となった。
イギリス政府はペルシャ湾においてタンカー護衛任務を実施しており、自国船運航会社が運行するタンカーへの攻撃として調査を開始、この結果、イランからの無人攻撃機による攻撃が行われたと発表、この発表について、アメリカとイスラエルが支持している。なお、ゾディアックマリタイム社は在英のイスラエル系企業である。イラン側は否定している。
タンカー攻撃による死者発生はペルシャ湾情勢に不穏な空気を漂わせている、イギリス政府はイラン大使を召還し、イラン政府もイギリス代理大使を召還、またこの地域においてイラン軍は緊張が増しているとして必要があれば軍事行動も辞さない姿勢を示している。この海域では過去にも、日本タンカーのコクカカレイジャス号爆破事件等が発生している。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ズムウォルト級駆逐艦から艦砲が撤去される発表が話題となりましたが今回はアメリカ海軍の沿海域戦闘艦とフリゲイトなどに焦点を合わせて最新情報を視てみましょう。
アメリカ海軍が建造中のLCS沿海域戦闘艦サバンナは5月13日、メキシコ湾での公試を完了させました。サバンナはインディペンデンス級沿海域戦闘艦の14番艦で高速航行を意志しアルミ合金製三胴船構造を採用している未来的な外観の艦艇です。LCS沿海域戦闘艦サバンナを含めインディペンデンス級沿海域戦闘艦は現在5隻が建造中となっています。
インディペンデンス級沿海域戦闘艦は基準排水量2307tで満載排水量3104t、最大の特色は低抵抗の三胴船に83000hpの強力なエンジンを搭載した事で40ノットという高速航行が可能である点ですが、その分だけ武装は軽量で57mm艦砲とSEA-RAM簡易防空ミサイルのみ、艦対艦ミサイルや対潜装備は有さず航空機運用能力で補っている点が特色です。
■沿海域戦闘艦オークランド
アメリカ皆具の最新鋭艦である沿海域戦闘艦オークランドの話題です。
アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦オークランドとを2021年春に竣工させました。インディペンデンス級沿海域戦闘艦は高速性能を重視し、三胴船構造を採用し上部構造物を広く採った事で基準排水量2300tの小型艦ながらMH-60ヘリコプター2機か、MH-60ヘリコプター1機とMQ-8無人機2機を搭載可能です。その分固有の武装は少ない。
オークランドは2018年12月14日に起工式を迎え2019年7月21日に進水式を挙行、2021年4月17日に就役しました。哨戒任務や対テロ作戦に加え、オーガニック方式として水上戦闘艦により機雷掃討任務にも対応した設計となっているもので、近年は応急的に携帯式のグリフィンミサイルや機関銃座等、一部はハープーンミサイルを追加装備しています。
インディペンデンス級沿海域戦闘艦はテロとの戦いを重視し一番艦は2006年に起工式、2010年に竣工していますが、就役した頃には脅威対象が武装勢力の小型武装ボートから重武装の中国海軍ミサイルフリゲイトとなっており、また40ノットに昇る高速航行能力は燃油費高騰のあおりを受け運用費用が高騰するという状況にあり、評価の定まらぬ艦です。
■沿海域戦闘艦モービル
アメリカ海軍の最新鋭艦である沿海域戦闘艦モービルの話題を続いて。
アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦モービルを竣工させました。インディペンデンス級沿海域戦闘艦はつい先日にオークランドが竣工したばかり、モービルは2018年12月14日に起工し進水式は2020年1月11日、そして2021年5月21日に就役しています。現在はサバンナ、キャンベラ、サンタバーバラ、オーガスタ等が建造中です。
テロとの戦いを想定したインディペンデンス級沿海域戦闘艦は機雷戦にも対応し、またマルチミッションスペースにはストライカー装甲車等の機械化部隊も収容可能というユニークな設計ですが、高速度を重視し船体をアルミ合金製とし、推進装置をウォータージェットとしたため、運用開始と共に海水と太陽光による腐食などの不具合に悩まされています。
■ミサイルフリゲイトコングレス
コンステレーション級ミサイルフリゲイトの話題です。
アメリカ海軍はイタリアのフィンカンティエリ社との間でコンステレーション級ミサイルフリゲイト建造に関する5億5500万ドルの契約を結びました。コンステレーション級はイタリア海軍向けフリゲイトを原型としてアメリカ海軍仕様としたもので、建造はフィンカンティエリ社の子会社であるアメリカのマリネットマリンコーポレーションが担います。
今回の契約は二番艦コングレスに関するものでウィスコンシン州マリネットのマリネットマリンコーポレーション造船施設にて建造、2027年に竣工予定です。アメリカ海軍ではコンステレーション級ミサイルフリゲイトの量産計画を軽武装のインディペンデンス級沿海域戦闘艦とフリーダム級沿海域戦闘艦の後継に充てる重武装艦として特に重視しています。
■沿海域戦闘艦キャンベラ
重巡洋艦キャンベラが復活します。
アメリカ海軍が導入を進めるインディペンデンス級沿海域戦闘艦の新しい艦名がキャンベラとなりました、命名式典は6月5日に実施され、オーストラリアの首都キャンベラに由来する艦名です。アメリカ海軍にはイギリスの首相の名を冠したイージス艦ウィンストンチャーチルなどはありますが、外国の首都が艦名となるのはこのキャンベラのみです。
キャンベラという艦名はオーストラリア海軍が第二次世界大戦中に運用していたケント級巡洋艦の豪州供与艦に冠せられていた艦名ですが、第一次ソロモン海海戦において日本海軍に撃沈されています、しかし、第一次ソロモン海海戦で共に戦ったアメリカ海軍ではオーストラリア海軍へ敬意を示すべく、この艦名をアメリカ海軍の巡洋艦に冠した歴史が。
ケント級巡洋艦に続いてボルティモア級重巡洋艦キャンベラとして建造されたものが、先代のキャンベラとなります。先代のキャンベラはオーストラリア海軍に引き渡される事はありませんでしたが、ミサイル巡洋艦として1976年まで現役にありました。今回の命名式にはオーストラリア駐米大使館よりマシューハドソン准将が出席し、祝辞を述べています。
■ミサイル駆逐艦ピンクニー
アーレイバーク級ミサイル駆逐艦ピンクニーの話題を。
アメリカ海軍はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦ピンクニーの近代化改修にジェネラルダイナミクス社との間で9874万ドルの契約を結びました。ピンクニーはイージス艦、アーレイバーク級の41番艦、南太平洋海戦で空母エンタープライズ艦上で救助活動を行い海軍殊勲十字章を叙勲したウィリアムピンクニー一等給仕兵の名を冠したミサイル駆逐艦です。
ピンクニーは満載排水量で9648tあり2004年5月に竣工しています。改修とともに保守と修理がサンディエゴにて行われる事となり、期間は2022年から2023年7月までを予定しており、現在の第23駆逐隊は修理期間中に一隻が抜ける事となります。アーレイバーク級はアメリカ海軍の主力であり、1億2110万ドルまでのオプション改修も見込まれています。
■時事:イオージマはオマーンへ
ここからは最新の時事情報についてです。日本タンカー襲撃事件の発生したオマーン近海は咲居kン迄アメリカの強襲揚陸艦部隊が展開していた。
アメリカ海軍のイオージマARG両用即応群が7月12日、寄港していたオマーンのドゥクム港を出航しました。イオージマARG両用即応群は第24MEU海兵遠征群が乗艦し、海上において即応待機を行う海兵隊部隊です、イオージマARG両用即応群はロナルドレーガン空母打撃群や、イギリスのクイーンエリザベス空母打撃群との訓練も実施しています。
イオージマARG両用即応群の編成は、強襲揚陸艦イオージマ、ドック型揚陸艦カーターホール、ドック型輸送艦サンアントニオ、以上3隻から構成されており、第24MEU海兵遠征群はMV-22可動翼機やCH-53重輸送ヘリコプター、また強力なAV-8Bハリアー攻撃機を搭載し、LAV-25軽装甲車も搭載、中東及びアラビア海でのプレゼンスを発揮しています。
■時事:タリスマンセイバー
二年に一度実施されているタリスマンセイバー多国間演習について。
タリスマンセイバー21演習としてオーストラリア近海において実施されている訓練に米豪潜水艦部隊が追加参加しました。タリスマンセイバー21演習として展開される様々な演習想定の中には、海洋自由原則に基づく“航行の自由作戦”が敵対的な海軍力により妨害されるとの想定も含まれ、この演習では潜水艦による妨害が加えられたとの状況のもよう。
オーストラリア海軍ではこの演習にコリンズ級潜水艦を参加させています。タリスマンセイバー21演習は6月25日から8月7日まで実施、訓練には日本とアメリカ、オーストラリアとイギリス海軍、カナダとニュージーランド及び韓国などが参加し、日本からは海上自衛隊に加え陸上自衛隊の水陸機動団が参加しています。前回の実施は2019年でした。
■時事:英艦隊ベンガル湾へ
まもなく日本近海での海上自衛隊との合同演習が開始されるというイギリス空母部隊について。
イギリスの空母クイーンエリザベス戦闘群は7月21日から翌22日にかけ、ベンガル湾においてインド海軍と合同演習を実施しました。これはPASSEX二国間特別演習といい、信頼醸成や有効目的の訓練ではありますが、インド海軍からは水上戦闘艦6隻とともにインド海軍が誇るP-8I哨戒機も参加し、友好目的の訓練としては艦艇参加の規模が大きい。
イギリス海軍は最新鋭の空母艦載機F-35B戦闘機を発艦、参加させています。ただ、今回の訓練にインド海軍の空母ヴィクラマディーチャは参加していません。クイーンエリザベス空母戦闘群は7月6日にスエズ運河を通りアラビア海へ、この際に故障により駆逐艦ダイヤモンドが艦隊を離脱していますが、インド洋を経てベンガル湾、日本へと向かいます。
■時事:ヘルマンド州危機
日本は海上阻止行動給油支援へ補給艦を派遣した程度ですので軍事上は無関係を通してきましたアフガン情勢について。
アフガニスタンヘルマンド州の州都ラシュカルガがタリバーン攻勢により陥落の危機に見舞われている、CNNが報じた。アメリカ軍の撤退が最終段階となったアフガニスタンではタリバーンの大攻勢が続いており、ヘルマンド州はイギリス軍が治安作戦を担当した南部の激戦地であるが、既にイギリス軍始めNATOの国際治安支援部隊は撤収を完了した。
ラシュカルガでは既に複数の街区がタリバーンに占拠されており、アフガニスタン軍は特殊部隊を現地へ派遣するなど、防衛を強化している。この行動の背景にはラシュカルガが交通の要衝であり、ヘルマンド州を中心にカンダハル州とヘラート州を繋ぐ戦略拠点である為だ。国際治安支援部隊駐屯時代は盤石防衛を誇り、危機に曝されるのは初めてという。
アメリカ軍の撤退進むアフガニスタンでは、タリバーンの攻勢が激化しているが、今のところ山間部と山麓がタリバーンに占拠されているものの、州都が占領された事例はないとしている。しかし、34ある州都で初めて陥落する危険に曝されているが、幾つかの州都では包囲されており、複数州都が近い将来連続して陥落する懸念があるが、米軍撤退は進む。
■時事:中国がタリバーンと会談
アメリカ軍のアフガニスタン撤退後の地図を構築しようと中国が動き出しました。
中国の王毅国務委員は天津にタリバーンの代表部を招き意見交換を行った。これは7月28日にタリバーン代表部のハラダル師を招き実現している。アフガニスタンへは中国一帯一路計画に基づくインフラ整備や鉱山開発が進む、そして中国国内のイスラム問題として新疆ウイグル自治区問題があり、中国はアフガニスタン情勢悪化に神経をとがらせている。
ただ、中国人民解放軍胃は現在の情勢であればアフガニスタンを安定化させる能力は有していると考えられる、イギリスにソ連とアメリカが撤退に追い込まれたアフガニスタンであるが、新疆ウイグル自治区安定化に用いた手法は応用し得る。例えばアフガニスタン都市部や山間部に一億台規模の監視カメラを配置、長距離砲と無人機で警戒する事は可能だ。
アフガニスタン国軍は一定程度訓練されているが、アメリカ撤退を受け離反や脱走が相次ぐ、しかし兵舎にスマートスピーカーを多数設置し会話を解析すれば離反傾向を未然に察知できるし、タリバーンも利用するスマートフォン通信網は5G通信を中国企業が整備すれば中国本土並みの言論統制も可能であろう。今後の中国によるアフガン政策を注視したい。
■時事:日本タンカーへ攻撃
日本タンカーがまたしても襲撃されました。
日本所有タンカーがオマーン沖のペルシャ湾で攻撃を受け乗組員二名が死亡する事件が発生しました。攻撃を受けたのは石油タンカーのマーサーストリート号で運用を担っているのはイギリスのゾディアックマリタイム社、攻撃は7月29日に無人攻撃機により行われたとされ、この攻撃でイギリス人乗組員とルーマニア人乗組員が死亡する重大事となった。
イギリス政府はペルシャ湾においてタンカー護衛任務を実施しており、自国船運航会社が運行するタンカーへの攻撃として調査を開始、この結果、イランからの無人攻撃機による攻撃が行われたと発表、この発表について、アメリカとイスラエルが支持している。なお、ゾディアックマリタイム社は在英のイスラエル系企業である。イラン側は否定している。
タンカー攻撃による死者発生はペルシャ湾情勢に不穏な空気を漂わせている、イギリス政府はイラン大使を召還し、イラン政府もイギリス代理大使を召還、またこの地域においてイラン軍は緊張が増しているとして必要があれば軍事行動も辞さない姿勢を示している。この海域では過去にも、日本タンカーのコクカカレイジャス号爆破事件等が発生している。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)