■週報:世界の防衛,最新12論点
今回は戦車の話題を中心に軽装甲車両やヘリコプターの話題を。戦車の国産能力を持たない国ではこうして既存戦車の改修から経験を積む模様です。
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トルコ軍は6月6日、保有するレオパルド2A4戦車の近代化にアセルサン社が量産する増加装甲装備型の装着が完了したと発表しました。レオパルド2A4は優れた戦車ですが砲塔設計は1970年代のレイアウトを踏襲しており、砲塔正面部分に内蔵された照準装置が防御上の脆弱部分となっており、2010年代には防御や電装品で明らかに旧式化していました。
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レオパルド2NG型としてドイツが開発した能力向上型相当に近代化することが今回のトルコ軍近代化改修の主眼で、砲塔前半部と車体正面部分はタングステン合金とチタン合金を積層した新型装甲に置換えられ、また火器管制装置も新型に更新されています。アセルサン社はトルコ軍が基金を提供し創設された半官半民の防衛企業で1975年に創業されました。
■ハリマウ中戦車開発計画
インドネシアでは建国以来初の戦車開発がトルコの協力で進められれており、外貨流出というものを真剣に考えての施策か単なる公共事業か。
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インドネシア軍が進めるハリマウ中戦車開発計画へアメリカのアリソントランスミッション社が参画するとのこと。ハリマウ中戦車開発計画へはインドネシアのPT ピンダッド社を中心にアメリカのキャタピラーディフェンス社、トルコの防衛企業FNSSが参加しています。アリソントランスミッション社は変速機と動力伝達系統や制動装置を担当します。
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ハリマウ中戦車開発計画とはトルコ製装甲戦闘車の車体を元に105mm砲塔を搭載する35tクラスの中戦車で現在全体試作を進めている段階、本車はインドネシアが初めて国産する戦車となります。インドネシア軍はハリマウ中戦車を200両から400両導入する構想で、ドイツより取得した中古のレオパルド2主力戦車を補完する陸上打撃力を構想しています。
■タイのVN-16両用戦闘車
中国は水陸両用戦車とともに両用作戦部隊へ軽戦車の配備を進めており、中国の軍事圧力を正面から受ける日本としても興味深いところ。
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タイ王国海兵隊は新しい水陸両用戦闘車両として中国製05式両用戦車輸出仕様であるVN-16両用戦闘車の導入を検討中です。VN-16両用戦闘車は5月28日、評価試験の為に3両がタイのサタヒップ海軍基地へ貨物船で搬入されたとのこと。その様子はタイ国内のSNSなどに写真が掲載されており、VN-16両用戦闘車はタイ海兵隊迷彩を施されている。
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VN-16両用戦闘車原型の05式両用戦車は主力戦車用の強力なエンジンと地上走行用の装甲車用エンジンという二系統を搭載し、海上では戦車用エンジンを用いた高出力を活かし、海上を滑走するように20ノット以上で航行可能であり、アメリカ海兵隊などが採用するAAV-7両用強襲車よりも遥かに高速であると共に機関砲など高い戦闘能力を有しています。
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05式両用戦車は105mm低圧砲を搭載した水陸両用の軽戦車であり、原型は装甲戦闘車型の05式両用戦闘車、こちらは30mm機関砲を搭載しています。05式両用戦闘車輸出仕様はVN-18といい、既にボリビアに輸出されています。タイではASCOD105軽戦車を運用していますが、製造終了により増勢が出来なくなったため、VN-16で増強するもようです。
■T-64戦車近代改修型
T-64といいますと74式戦車と同時期ながら第三世代戦車への過渡kに当るような戦車です。
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ウクライナ陸軍はT-64戦車近代改修型をハリコフ戦車工場公社より受領しました。T-64は1960年代に旧ソ連が開発した主力戦車で、普通鋼鈑と防弾アルミ装甲を複数積層した初期の複合装甲や対向ピストン2ストロークディーゼルエンジン、また125mm滑腔砲などの新機軸を盛り込んだ戦車となっていますが、先進的過ぎ低い稼働率の問題もありました。
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T-64近代化改修について、ウクライナ軍は2017年より改修計画を本格化させていますが、結局予算不足などから引き渡しは2021年6月まで時間を要しました。改修は稼働率の問題の在ったエンジンの換装、そして火器管制装置や暗視装置の改良、またアクティヴ防護装置の追加も行われ、2020年代でも一応は第一線運用に耐える水準まで引き上げられました。
■BvS.10全地形装甲車両127両
日本もAAV-7よりは普段から運用できる水陸両用の装甲車両として有用だと思うのですが。
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スウェーデン国防省はBvS.10全地形装甲車両127両の導入に関してBAEシステムズ社との間で2億ドルの契約を成立させました。スウェーデン軍は降雪地や池沼地帯等の峻険地形を克服するべくBV-206全地形車両を開発し装備しています。BV-206はスウェーデン国産の装備であると共に連接車体を採用した全地形車両の先駆者として知られる装備です。
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BvS.10装甲全地形車両はBV-206全地形車両の発展型で、スウェーデン軍は老朽化したBV-206の後継車両を模索しており、ほぼ自然な流れですがBvS.10を選定しました。BV-206と比して装甲防御力を有すると共にエンジン出力も強化されています。スウェーデン軍では兵員輸送と兵站輸送、指揮車輛として想定され、2024年までに調達を完了する計画です。
■大型機動戦術輸送車両HEMTT
日本の防衛産業はこの種の特大車両の防衛利用がほんとうに苦手ですよね。
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アメリカ陸軍はオシコシ社との間で大型機動戦術輸送車両HEMTT、パレット輸送システム輸送車両PLS、重輸送車両HETに関する1億4680万ドルに及ぶ契約を結びました。オシコシ社はこれまでに14000両以上の大型機動戦術輸送車両HEMTT、3500両以上のパレット輸送システム輸送車両PLS車両、1000両以上の重輸送車両HETを納入しています。
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FHTV重戦術車輛ファミリーと呼ばれるこれらの車両、オシコシ社との間の1億4680万ドルに上る契約は、先ず老朽化した各種車輛を代替するべく新規に生産れた353両の取得費用、そしてアメリカ軍に納入された既存車輛に関する今後3年間の重装備メンテナンス及び予備部品の調達費用です。アメリカ陸軍は当面このFHTVを主力と位置づけるもよう。
■新型機関銃FN-EVOLYS
自衛隊のMINIMIもそろそろ老朽化が進んでいますが新型機関銃FN-EVOLYSは選択肢になり得ると思う。
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ベルギーのFNハースタル社はMINIMI分隊機銃後継となる軽量な新型機関銃FN-EVOLYSを発表しました。これは5月7日にFN社がWeb上に発表したもので、5.56mm用機銃として開発されたMINIMIに対して、EVOLYSは5.56mm型と7.62mm型を標準仕様として発表、分隊支援用と小隊火力用と双方に訓練互換性を持たせているのが特色だ。
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FN-EVOLYS-5.56は重量が5.5kgと自衛隊の64式小銃の4.4kgとそれほど変わらずMINIMIと比較し1.5kgの軽量化に成功しFN-SCAR小銃と類似した銃床により全長は810mmにまで短縮されています。FN-EVOLYS-7.62も6.2kgとMINIMIよりも軽量の7.62mm機銃となり、油圧緩衝器を内蔵する事で軽量ながら射撃反動を抑制する構造です。
■ジャガー装甲偵察車用ミサイル
ジャガー装甲偵察車は105mm砲搭載のAMX-10RCを置換える新世代の40mm機関砲搭載装甲車で、自衛隊も機関砲か大口径砲かという視点で関心をもつべきもの。
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フランス陸軍が運用するジャガー装甲偵察車は初のMMPミサイル発射試験を完了しました。ジャガー装甲偵察車はフランス陸軍に導入された六輪式の装甲偵察車で40mmCTA機関砲を搭載、またジャガー装甲偵察車車体を利用し安価な耐爆車両を陸軍に提供しています。しかし、本来搭載されるべき対戦車ミサイルの開発が遅れており、今回漸く実現へ。
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MMPミサイルはMBDA社が開発した次世代対戦車ミサイルで射程は5km、旧式化したHOTミサイルやミラン対戦車ミサイルの後継に位置付けられています。ジャガー装甲偵察車には2発が装甲ボックスに搭載される構造となっていて、40mmCTA機関砲では対処出来ない装甲目標に対処します。フランス陸軍による発射試験は四月中旬行われたとのこと。
■HPK-15ヘリコプター延命
HPK-15ヘリコプターはメーカーの支援から独立した長期運用の一つの在り方なのかもしれませんね。
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スウェーデン空軍は運用するアグスタA109軽多用途ヘリコプター20機についてサーブ社との間で長期整備契約を成立させました。スウェーデン空軍はアグスタA109を2003年よりHPK-15ヘリコプターとして運用中です。運用開始から18年を経ており、今後運用するには延命と長期整備契約の更新が必要となり、スウェーデンのサーブ社が選ばれました。
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HPK-15ヘリコプターに関するサーブ社との契約は2022年から2026年内一杯の運用契約であり、オプション契約として同等のサービスを2030年まで延長する内容です。具体的には支援と重整備、整備器材の調達、基地要員の訓練と基地施設での定期整備、エンジン整備、などとなっています。機体そのものはアグスタ社がイタリア国内で製造したものです。
■アフガンのMD-530
MD-530はアフガン軍の空からの唯一の守りなのですが何故米軍は落ち着いて武装勢力に立ち向かえるM-60戦車等を供与しなかったのか。
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アフガニスタン空軍はアメリカのMDヘリコプターズ社との間でMD-530武装ヘリコプターの重整備に関する1450万ドルの契約を締結しました。これはアメリカ国防総省が行う准対外有償軍事供与の一環として行われるもので、MD-530武装ヘリコプターの重整備はアリゾナ州メサのMDヘリコプターズ社工場にアフガニスタンから搬入し実施するもよう。
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MD-530武装ヘリコプターはアフガニスタン空軍に60機装備され、この機種の運用として世界最大規模となっています。機体はOH-6として知られるMD-500シリーズの最新型でロールスロイス250-C30ガスタービンエンジンを搭載、機体の一部は防弾で、FNハースタル12.7mm機銃ポッドとハイドラ70ロケット弾7発ポッドを機体左右に搭載できます。
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アフガニスタンでは9月に終了するアメリカ軍のアフガニスタン撤収を前にISAF国際治安部隊として派遣されるNATO軍、そして米軍以上に大規模な人員を派遣している民間軍事会社のアフガニスタン軍整備支援要員も撤収する為、近く航空機等の運用が不可能となる懸念がありましたが、幸い2021年11月30日までにアメリカ本土での整備が行われます。
■ケニアへHızır 耐爆車輛
トルコの防衛産業は昨今存在感が大きいですね。
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ケニア陸軍はトルコのカトメルシレル製Hızır 耐爆車輛118両の調達を決定しました。Hızır 耐爆車輛は四輪駆動式でエンジンは400hp、ボンネット構造を採用、車体側面には二つの乗降扉と4カ所の銃眼を有しており、車高は高くIED簡易爆発物や銃撃等から乗員を防護、車体前面ガラスには防弾ガラスと共に投石対策シールドを有している構造です。
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カトメルシレル社はトラックやトレーラー、バスなど事業車を製造するトルコの自動車工業トルコからは2023年までに納入を完了する方針とのことです。カトメルシレル社は2021年にイスタンブールで開催される国際装備見本市において新型装甲車を提案するとしており、近年手堅い性能の装備品を輸出するトルコ防衛産業の一翼を担いつつあるようです。
■スロベニアがJLTV採用
日本の軽装甲機動車の延長線にあるような使いやすい、しかし後発である分遥かに頑丈で大型の軽装甲車がJLTVです。
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スロベニア陸軍は導入するJLTV統合軽量戦術車輛についてRWS遠隔操作銃搭を搭載します。これは6月にスロベニアのMatejTonin国防相が表明したもので、搭載されるRWSはノルウェーのコングスベルク社製RS4CROWS、12.7mm重機関銃を搭載可能であるとともに将来拡張性能としてアメリカ製ジャベリン対戦車ミサイルの装着も可能とされている。
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JLTV統合軽量戦術車輛はアメリカ陸軍がハンヴィー高機動車の後継として導入を進める軽装甲車で、軽歩兵旅団戦闘団へ配備されます。ただ、四輪駆動ではあるものの各国の軽装甲車に伍す防御力を有しており、スロベニア軍では38両のJLTV統合軽量戦術車輛にRS4CROWSを搭載します。これら車両は現在ペンシルベニア州で製造中となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は戦車の話題を中心に軽装甲車両やヘリコプターの話題を。戦車の国産能力を持たない国ではこうして既存戦車の改修から経験を積む模様です。
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トルコ軍は6月6日、保有するレオパルド2A4戦車の近代化にアセルサン社が量産する増加装甲装備型の装着が完了したと発表しました。レオパルド2A4は優れた戦車ですが砲塔設計は1970年代のレイアウトを踏襲しており、砲塔正面部分に内蔵された照準装置が防御上の脆弱部分となっており、2010年代には防御や電装品で明らかに旧式化していました。
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レオパルド2NG型としてドイツが開発した能力向上型相当に近代化することが今回のトルコ軍近代化改修の主眼で、砲塔前半部と車体正面部分はタングステン合金とチタン合金を積層した新型装甲に置換えられ、また火器管制装置も新型に更新されています。アセルサン社はトルコ軍が基金を提供し創設された半官半民の防衛企業で1975年に創業されました。
■ハリマウ中戦車開発計画
インドネシアでは建国以来初の戦車開発がトルコの協力で進められれており、外貨流出というものを真剣に考えての施策か単なる公共事業か。
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インドネシア軍が進めるハリマウ中戦車開発計画へアメリカのアリソントランスミッション社が参画するとのこと。ハリマウ中戦車開発計画へはインドネシアのPT ピンダッド社を中心にアメリカのキャタピラーディフェンス社、トルコの防衛企業FNSSが参加しています。アリソントランスミッション社は変速機と動力伝達系統や制動装置を担当します。
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ハリマウ中戦車開発計画とはトルコ製装甲戦闘車の車体を元に105mm砲塔を搭載する35tクラスの中戦車で現在全体試作を進めている段階、本車はインドネシアが初めて国産する戦車となります。インドネシア軍はハリマウ中戦車を200両から400両導入する構想で、ドイツより取得した中古のレオパルド2主力戦車を補完する陸上打撃力を構想しています。
■タイのVN-16両用戦闘車
中国は水陸両用戦車とともに両用作戦部隊へ軽戦車の配備を進めており、中国の軍事圧力を正面から受ける日本としても興味深いところ。
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タイ王国海兵隊は新しい水陸両用戦闘車両として中国製05式両用戦車輸出仕様であるVN-16両用戦闘車の導入を検討中です。VN-16両用戦闘車は5月28日、評価試験の為に3両がタイのサタヒップ海軍基地へ貨物船で搬入されたとのこと。その様子はタイ国内のSNSなどに写真が掲載されており、VN-16両用戦闘車はタイ海兵隊迷彩を施されている。
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VN-16両用戦闘車原型の05式両用戦車は主力戦車用の強力なエンジンと地上走行用の装甲車用エンジンという二系統を搭載し、海上では戦車用エンジンを用いた高出力を活かし、海上を滑走するように20ノット以上で航行可能であり、アメリカ海兵隊などが採用するAAV-7両用強襲車よりも遥かに高速であると共に機関砲など高い戦闘能力を有しています。
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05式両用戦車は105mm低圧砲を搭載した水陸両用の軽戦車であり、原型は装甲戦闘車型の05式両用戦闘車、こちらは30mm機関砲を搭載しています。05式両用戦闘車輸出仕様はVN-18といい、既にボリビアに輸出されています。タイではASCOD105軽戦車を運用していますが、製造終了により増勢が出来なくなったため、VN-16で増強するもようです。
■T-64戦車近代改修型
T-64といいますと74式戦車と同時期ながら第三世代戦車への過渡kに当るような戦車です。
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ウクライナ陸軍はT-64戦車近代改修型をハリコフ戦車工場公社より受領しました。T-64は1960年代に旧ソ連が開発した主力戦車で、普通鋼鈑と防弾アルミ装甲を複数積層した初期の複合装甲や対向ピストン2ストロークディーゼルエンジン、また125mm滑腔砲などの新機軸を盛り込んだ戦車となっていますが、先進的過ぎ低い稼働率の問題もありました。
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T-64近代化改修について、ウクライナ軍は2017年より改修計画を本格化させていますが、結局予算不足などから引き渡しは2021年6月まで時間を要しました。改修は稼働率の問題の在ったエンジンの換装、そして火器管制装置や暗視装置の改良、またアクティヴ防護装置の追加も行われ、2020年代でも一応は第一線運用に耐える水準まで引き上げられました。
■BvS.10全地形装甲車両127両
日本もAAV-7よりは普段から運用できる水陸両用の装甲車両として有用だと思うのですが。
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スウェーデン国防省はBvS.10全地形装甲車両127両の導入に関してBAEシステムズ社との間で2億ドルの契約を成立させました。スウェーデン軍は降雪地や池沼地帯等の峻険地形を克服するべくBV-206全地形車両を開発し装備しています。BV-206はスウェーデン国産の装備であると共に連接車体を採用した全地形車両の先駆者として知られる装備です。
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BvS.10装甲全地形車両はBV-206全地形車両の発展型で、スウェーデン軍は老朽化したBV-206の後継車両を模索しており、ほぼ自然な流れですがBvS.10を選定しました。BV-206と比して装甲防御力を有すると共にエンジン出力も強化されています。スウェーデン軍では兵員輸送と兵站輸送、指揮車輛として想定され、2024年までに調達を完了する計画です。
■大型機動戦術輸送車両HEMTT
日本の防衛産業はこの種の特大車両の防衛利用がほんとうに苦手ですよね。
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アメリカ陸軍はオシコシ社との間で大型機動戦術輸送車両HEMTT、パレット輸送システム輸送車両PLS、重輸送車両HETに関する1億4680万ドルに及ぶ契約を結びました。オシコシ社はこれまでに14000両以上の大型機動戦術輸送車両HEMTT、3500両以上のパレット輸送システム輸送車両PLS車両、1000両以上の重輸送車両HETを納入しています。
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FHTV重戦術車輛ファミリーと呼ばれるこれらの車両、オシコシ社との間の1億4680万ドルに上る契約は、先ず老朽化した各種車輛を代替するべく新規に生産れた353両の取得費用、そしてアメリカ軍に納入された既存車輛に関する今後3年間の重装備メンテナンス及び予備部品の調達費用です。アメリカ陸軍は当面このFHTVを主力と位置づけるもよう。
■新型機関銃FN-EVOLYS
自衛隊のMINIMIもそろそろ老朽化が進んでいますが新型機関銃FN-EVOLYSは選択肢になり得ると思う。
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ベルギーのFNハースタル社はMINIMI分隊機銃後継となる軽量な新型機関銃FN-EVOLYSを発表しました。これは5月7日にFN社がWeb上に発表したもので、5.56mm用機銃として開発されたMINIMIに対して、EVOLYSは5.56mm型と7.62mm型を標準仕様として発表、分隊支援用と小隊火力用と双方に訓練互換性を持たせているのが特色だ。
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FN-EVOLYS-5.56は重量が5.5kgと自衛隊の64式小銃の4.4kgとそれほど変わらずMINIMIと比較し1.5kgの軽量化に成功しFN-SCAR小銃と類似した銃床により全長は810mmにまで短縮されています。FN-EVOLYS-7.62も6.2kgとMINIMIよりも軽量の7.62mm機銃となり、油圧緩衝器を内蔵する事で軽量ながら射撃反動を抑制する構造です。
■ジャガー装甲偵察車用ミサイル
ジャガー装甲偵察車は105mm砲搭載のAMX-10RCを置換える新世代の40mm機関砲搭載装甲車で、自衛隊も機関砲か大口径砲かという視点で関心をもつべきもの。
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フランス陸軍が運用するジャガー装甲偵察車は初のMMPミサイル発射試験を完了しました。ジャガー装甲偵察車はフランス陸軍に導入された六輪式の装甲偵察車で40mmCTA機関砲を搭載、またジャガー装甲偵察車車体を利用し安価な耐爆車両を陸軍に提供しています。しかし、本来搭載されるべき対戦車ミサイルの開発が遅れており、今回漸く実現へ。
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MMPミサイルはMBDA社が開発した次世代対戦車ミサイルで射程は5km、旧式化したHOTミサイルやミラン対戦車ミサイルの後継に位置付けられています。ジャガー装甲偵察車には2発が装甲ボックスに搭載される構造となっていて、40mmCTA機関砲では対処出来ない装甲目標に対処します。フランス陸軍による発射試験は四月中旬行われたとのこと。
■HPK-15ヘリコプター延命
HPK-15ヘリコプターはメーカーの支援から独立した長期運用の一つの在り方なのかもしれませんね。
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スウェーデン空軍は運用するアグスタA109軽多用途ヘリコプター20機についてサーブ社との間で長期整備契約を成立させました。スウェーデン空軍はアグスタA109を2003年よりHPK-15ヘリコプターとして運用中です。運用開始から18年を経ており、今後運用するには延命と長期整備契約の更新が必要となり、スウェーデンのサーブ社が選ばれました。
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HPK-15ヘリコプターに関するサーブ社との契約は2022年から2026年内一杯の運用契約であり、オプション契約として同等のサービスを2030年まで延長する内容です。具体的には支援と重整備、整備器材の調達、基地要員の訓練と基地施設での定期整備、エンジン整備、などとなっています。機体そのものはアグスタ社がイタリア国内で製造したものです。
■アフガンのMD-530
MD-530はアフガン軍の空からの唯一の守りなのですが何故米軍は落ち着いて武装勢力に立ち向かえるM-60戦車等を供与しなかったのか。
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アフガニスタン空軍はアメリカのMDヘリコプターズ社との間でMD-530武装ヘリコプターの重整備に関する1450万ドルの契約を締結しました。これはアメリカ国防総省が行う准対外有償軍事供与の一環として行われるもので、MD-530武装ヘリコプターの重整備はアリゾナ州メサのMDヘリコプターズ社工場にアフガニスタンから搬入し実施するもよう。
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MD-530武装ヘリコプターはアフガニスタン空軍に60機装備され、この機種の運用として世界最大規模となっています。機体はOH-6として知られるMD-500シリーズの最新型でロールスロイス250-C30ガスタービンエンジンを搭載、機体の一部は防弾で、FNハースタル12.7mm機銃ポッドとハイドラ70ロケット弾7発ポッドを機体左右に搭載できます。
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アフガニスタンでは9月に終了するアメリカ軍のアフガニスタン撤収を前にISAF国際治安部隊として派遣されるNATO軍、そして米軍以上に大規模な人員を派遣している民間軍事会社のアフガニスタン軍整備支援要員も撤収する為、近く航空機等の運用が不可能となる懸念がありましたが、幸い2021年11月30日までにアメリカ本土での整備が行われます。
■ケニアへHızır 耐爆車輛
トルコの防衛産業は昨今存在感が大きいですね。
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ケニア陸軍はトルコのカトメルシレル製Hızır 耐爆車輛118両の調達を決定しました。Hızır 耐爆車輛は四輪駆動式でエンジンは400hp、ボンネット構造を採用、車体側面には二つの乗降扉と4カ所の銃眼を有しており、車高は高くIED簡易爆発物や銃撃等から乗員を防護、車体前面ガラスには防弾ガラスと共に投石対策シールドを有している構造です。
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カトメルシレル社はトラックやトレーラー、バスなど事業車を製造するトルコの自動車工業トルコからは2023年までに納入を完了する方針とのことです。カトメルシレル社は2021年にイスタンブールで開催される国際装備見本市において新型装甲車を提案するとしており、近年手堅い性能の装備品を輸出するトルコ防衛産業の一翼を担いつつあるようです。
■スロベニアがJLTV採用
日本の軽装甲機動車の延長線にあるような使いやすい、しかし後発である分遥かに頑丈で大型の軽装甲車がJLTVです。
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スロベニア陸軍は導入するJLTV統合軽量戦術車輛についてRWS遠隔操作銃搭を搭載します。これは6月にスロベニアのMatejTonin国防相が表明したもので、搭載されるRWSはノルウェーのコングスベルク社製RS4CROWS、12.7mm重機関銃を搭載可能であるとともに将来拡張性能としてアメリカ製ジャベリン対戦車ミサイルの装着も可能とされている。
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JLTV統合軽量戦術車輛はアメリカ陸軍がハンヴィー高機動車の後継として導入を進める軽装甲車で、軽歩兵旅団戦闘団へ配備されます。ただ、四輪駆動ではあるものの各国の軽装甲車に伍す防御力を有しており、スロベニア軍では38両のJLTV統合軽量戦術車輛にRS4CROWSを搭載します。これら車両は現在ペンシルベニア州で製造中となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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