北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【土曜特集】榛名から鹿島へ(6)練習艦隊かしま旗艦,大阪港天保山岸壁寄港(2008.03.22)

2021-09-25 20:10:50 | 旅行
■大阪港の練習艦隊一般公開
 COVID-19感染拡大と共に艦艇一般公開というものは懐かしくすら感じるようになりましたこの頃ではある。

 練習艦隊の入港、さてうそろそろ時間も推してきたところですが、もう少し撮影出来そうですので護衛艦あさぎり、この頃は練習艦あさぎり、でしたが、その艦上をもう一周散策します、この頃は護衛艦見学で1km2kmも並ばない時代でしたので余裕がありました。

 練習航海、しかし平成20年度は平和な時代でしたね、文字通り世界を一周している、いまはCOVID-19で太平洋の隣国をかすめるだけ、しかもこの頃は練習艦となっていた旧護衛艦あさぎり、を再度護衛艦へ戻しているほどに護衛艦不足という時代です、平和だった。

 旧式護衛艦の練習艦転用、昨今はミサイル護衛艦はたかぜ型の二隻が転籍となりまして、護衛艦はたかぜ、護衛艦しまかぜ、改め練習艦はたかぜ、練習艦しまかぜ、となりました。しかし、はたかぜ型はヘリコプター格納庫がありませんのでどう教室を確保するのだろう。

 はたかぜ型練習艦、というところでしょうか。しかし遠くない将来に後継艦が必要となります。思うのは、時代は今やインターンシップの時代でオンザジョブトレーニングで習うより慣れろの時代といいます、すると海上自衛隊もこの流れに乗ってみるのも、ありかも。

 もがみ型護衛艦が建造されていますが、例えばVLSを搭載しない比較的軽武装の護衛艦もがみ型を、はたかぜ型の老朽化と練習艦かしま老朽化に併せて、思い切って早々と練習艦に3隻転籍させる、そして艦上でオンザジョブトレーニング方式で教育を行う、無理かな。

 かしま後継艦は、おそらく先代練習艦が練習艦かとり、でしたので順番としては練習艦かしい、として香取型練習巡洋艦の3隻を継承させるのかもしれませんが、もう一つ、もがみ型を3隻、もがみ、くまの、建造中の三番艦、と艦を転籍させ、練習艦隊所属とする。

 練習艦とはいえ、もがみ型護衛艦は多目的区画がありますし、VLSを搭載しない分、ミサイル操作要員も不要ですので比較的少人数で運用できます、多目的区画を転用する事で新任幹部を受け入れる事も出来るでしょう、そして一応は最新鋭艦の末席といえる設計です。

 はつゆき型護衛艦転用艦や、あさぎり型護衛艦転用艦よりも、実習と任務を兼ねて周辺海域の警戒監視任務に充てる事も可能でしょう。考えてみればその昔は日本を一周する近海練習航海も長い期間、その一その二、と別れて実施されていました。これが短縮している。

 もがみ型であれば、オンザジョブトレーニング方式で練習航海を行いつつ、同時に哨戒任務に充てた場合でも、なにしろ艦砲は強力ですし、ミサイルも搭載しています、周辺国海軍に甘くみられる事もありません、実任務を兼ねるならば警戒用の護衛艦を割く事も無い。

 フランス海軍では専用練習艦としてヘリコプター巡洋艦ジャンヌダルクを充てていましたが、ジャンヌダルク退役後は専用練習艦を置かず、ミストラル級強襲揚陸艦をその任務に充てています。専用練習艦、アメリカ海軍やイギリス海軍なども実は保有していません。

 日本の周辺情勢は非常に懸念すべき状況となっていまして、この写真を撮影しました、護衛艦はるな現役時代よりは逼迫したものとなっています、すると専用練習艦に代えて有事の際には第一線でも運用し得る護衛艦の転用、検討すべき時代なのかな、と残念におもう。

 巡視船。自衛隊が導入する哨戒艦はどうなるのだろう、という素朴な疑問と共に帰路に就きました、という訳ではありません、ここは大阪港、護衛艦や練習艦を撮影するにはもう一つ、穴場的な場所が在るのですね。そこへ、今回最後の撮影地変更と向かうわけです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【映画講評】Battle of the Bulge: Winter War/ザ・バルジ・ソルジャーズ(1)最新作発表

2021-09-25 14:12:20 | 映画
■トムベレンジャー主演
 お友達から面白い映画の新作が在るとお教えいただきましたので本日の第二記事はこの話題をお伝えしましょう。

 アルデンヌ冬季攻勢、1944年にドイツ軍が実施した最大規模の攻勢です。この戦いは一大戦車戦となり、特に電撃戦として機甲部隊の威力を世界に知らしめたドイツ軍最後の大攻勢、その敗北として歴史に記されているものですが、この大作戦の転機となる幾つかの小規模な戦闘に焦点を充てた戦争映画新作が公開される様です、これは楽しみですね。

 Battle of the Bulge: Winter War。原題はこのようになっていまして邦訳は“ザ・バルジ・ソルジャーズ-ナチスvs連合軍最後の決戦”という。何か邦訳が量産された格安映画のような印象を与えるものですが、“プライベートライアン”の便乗のような邦題の“プライベートソルジャー”がヒュトルゲンの戦いを描いた佳作であったように、本作も期待したい。

 トムベレンジャー、ビリーゼイン、スティーヴンルーク、アーロンコートー、ブリタニーベンジャミン。俳優は“山猫は眠らない”のトムベレンジャーとビリーゼイン、狙撃映画の金字塔で一作目のヒットから続編が出るまで時間が掛かりましたが、その後はフーテンの寅さんのように量産されたシリーズの名優が二人そろってお年を召しながら共演します。

 Battle of the Bulge: Winter War、期待しつつ劇場を探したいところですが、制作されたアメリカではビデオ映画として劇場公開はされていないという、Vシネマだ。そしてこの作品には“ザ・バルジ”という先行して公開されたVシネマがありまして、その続編という。もっとも、日本の超大作以上に実物の戦車等が一定数撮影に参加しているようですけれど。

 ザ・バルジ・ソルジャーズ-ナチスvs連合軍最後の決戦、この作品はアルデンヌ冬季攻勢でも思わぬアキレス腱となったドイツ軍の燃料不足、急にドイツ軍55個師団の内25個師団もかき集めたことで燃料補給が極めて切迫している中で戦われたという、部分に焦点を充てた作品のようです。過大に理解されるきらいはあるが、燃料は極めて厳しいものでした。

 トムベレンジャー、ビリーゼイン、この二人が揃いますと若いころならば狙撃銃で敵を一人一人屠るのかもしれませんが、何しろ今回のアルデンヌ冬季攻勢はドイツ軍の規模が大きく、山猫は眠らない、この公開は30年近く昔の話、流石に二人には無理があります。またトムベレンジャーは少佐の、ビリーゼインは中将の階級章を点けて演じているのですね。

 予告編を見ますと、敵であるドイツ軍の燃料がひっ迫している状況と、ランツェラートという地名、そして少数の戦車が登場します。CGを使えば機甲師団も再現できるのかもしれませんが、質感で戦車と歩兵の動きを細部まで再現できる程CGはまだ技術的に到達していません、すると、あの戦いでの燃料補給処を巡る二つの戦いが、思い浮かぶのですね。

 連合軍は1944年にノルマンディーに上陸しますが、要港シェルブールの攻略に時間を要し燃料不足に陥っていました、これを一挙に挽回するべく3個空挺師団を中心に展開したマーケットガーデン作戦が戦力不足と稚拙な準備により大失敗、停滞状態にありましたので、停滞した前線、ここを突き破れば挽回できる、ヒトラーはこう考えたのかもしれません。

 バルジ大作戦として知られるアルデンヌ冬季攻勢はドイツ軍の命運をかけたものでした、それだけに参加部隊は多く、第6SS装甲軍の第1SS装甲軍団と第67軍団、第5装甲軍の第47装甲軍団と第66軍団、第7軍は第80軍団と第85軍団が参加、停滞している連合軍防衛線を突き破って大西洋に面したベルギーのアントワープまで一挙に戦車で挽回する。

 映画バルジ大作戦として全体像が描かれている作品はあるのですが、参加部隊は大規模であるだけに個々の戦いはかなり省略されています、いや、米英軍84万名とドイツ軍50万が激突し、米軍戦死者8600名と行方不明及び捕虜21000名、ドイツ軍死者12700名と行方不明者30600名という激戦を一本の映画で描けるわけがないのです、死者に失礼ですね。

 ランツェラートの戦い、スタブロー市街戦、映画バルジソルジャーズが描くのは、アルデンヌ冬季攻勢の中でも複数あった転機となる戦いの一つ、そして映画“バルジ大作戦”でも少しだけ脚色されて描かれている戦いです。緻密に計算され過ぎた作戦が、錯誤と混乱の中で少しづつ勝利への機会が削られ、結果的に全体の敗北に繋がった、という構図です。

 第6SS装甲軍はヒトラーが最も信頼する武装親衛隊の戦車部隊で、第1SS装甲軍団は隷下に第1SSライプシュタンダルテアドルフヒトラー装甲師団と第3降下猟兵師団及び第12SSヒトラーユーゲント装甲師団と第12国民擲弾兵師団と第150SS装甲旅団に第277国民擲弾兵師団、第67軍団は作戦稼働可能な第326国民擲弾兵師団が配置、装備も強力でした。

 第5装甲軍は第47装甲軍団が隷下に第2装甲師団と第26国民擲弾兵師団及び装甲教導師団。第66軍団は第18国民擲弾兵師団と第62国民擲弾兵師団。第58装甲軍団が第116装甲師団と第560国民擲弾兵師団。第7軍は第85軍団第5降下猟兵師団と第352国民擲弾兵師団、第80軍団が第276国民擲弾兵師団と第212国民擲弾兵師団、兵力は膨大という。

 これだけ部隊を集めますと、当然燃料消費が致命的な程に増大します。この為に作戦用に予備備蓄された1500万リットルの燃料をヒトラーが投入許可します。なにしろティーガー戦車は1マイル進むのに7.6リットルの燃料を消費する。ドイツ軍は第一線部隊に必要な燃料を提供する体制を確立させていましたが、予備の燃料などは無く常に枯渇していました。

 Battle of the Bulge: Winter War “ザ・バルジ・ソルジャーズ-ナチスvs連合軍最後の決戦”、ビデオ映画という規模からかつてソ連を警戒させたというアメリカのバルジ大作戦のような規模の戦闘は描きようもありませんが、しかし戦史の細部を視てゆきますと分水嶺となった幾つかの小戦闘がありまして、こうした部分に軸を置いた作品の模様、期待です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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