■核実験再開懸念の最中
ニュース速報にてミサイル発射が報じられますとロフテッド軌道による高高度からの攻撃か単なる実験なのかを憂慮してしまう。

海上保安庁は本日1411時頃、日本海において北朝鮮ミサイルと思われるものを発射したと発表しました。海上保安庁への情報は防衛省から海上保安庁に通知されたもので、続いて1425時、海上保安庁はミサイルと思われるものは既に落下したと見られるとの発表を行いました。ミサイルは我が国EEZ排他的経済水域外に落下したとされ、被害はありません。

SLBM潜水艦発射弾道弾の可能性があり、これは海中から発射されたものの海中発射台から発射されたのか、新しく建造されたミサイル潜水艦から発射されたのかについては明らかにはなっていません。北朝鮮は寧辺核施設など複数核施設が活性化していると衛星画像により判明しており、今月中に核実験を再開するのではないかと懸念があったところです。

弾道ミサイル実験は今月に入り二度目であり、まだ、日本列島上空を飛翔するミサイル実験は再開されていませんが、アメリカ本土を射程に収めるICBM大陸間弾道弾を開発するには、何れは太平洋上に落下させる実験を行わなければ、目的としているアメリカへの示威的なミサイルの完成には至りません。そして本日発射された潜水艦発射弾道弾について。

北朝鮮は地上配備の弾道ミサイルとともに潜水艦発射弾道弾開発を急いでいます、これは地上配備の弾道ミサイルは万一場所を特定された場合に破壊される可能性がありますが、海中を航行する潜水艦であれば、その危険はかなり低下します。そして北朝鮮の潜水艦建造技術は高いものではありませんが、沿岸部であればミサイル潜水艦には用途がある。

沿岸部にミサイル潜水艦を遊弋させ、外洋との間に機雷を敷設し機雷原を構築、こうすることでアメリカの攻撃型原潜や韓国の潜水艦から攻撃を受けにくくなりますし、沿岸部であれば防空砲兵部隊などの地対空ミサイルにより米韓の哨戒機からもミサイル潜水艦を防護できる。通常動力型潜水艦であっても、海中にミサイル戦力を温存できる事となります。

ゴルフ級潜水艦、弾道ミサイルは通常動力潜水艦にとっては大き過ぎる装備ですが、北朝鮮はスクラップ艦を含め旧ソ連製のゴルフ級潜水艦を取得、これは通常動力艦ですが、艦橋構造物と一体化したミサイル発射筒が内臓されており、海中から発射可能、北朝鮮ではゴルフ級をリバースエンジニアリングにより、独自型の新造艦を建造しているところです。

アメリカに対する抑止力の確保という視点は、二通りの見方をする事は出来ます、そしてその片方が非常に危険な解釈となるのですが。一つは北朝鮮が将来的に現在のウクライナに対してロシアが行っている行動をアメリカが韓国を拠点として行おうとしていると憂慮していること。ウクライナはソ連から継承した戦略核を1990年代に放棄した歴史がある。

北朝鮮が憂慮するのは、核武装を解除と十年程度の後に、人権問題や軍事挑発を口実として韓国軍を先頭に北進する可能性を現実問題として受け止め、アメリカ本土まで到達する核戦力の整備がこれを抑止する為の不可欠の要素であり、北進による国家消滅を考えれば経済制裁などの脅威と弊害は採るに足りないと考え開発を継続しているという視点です。

南進し韓国を武力統一する際にアメリカの介入を阻止したい、二通りの見方のもう一方はこの視点です。非常に危険な解釈という論拠は、南進が前提であり、その際の介入を阻止するというもので、少なくとも攻撃される前に核兵器を先制使用する可能性、という為です。使われない限り使用しない抑止力を以て、攻勢に出るか現状を維持するかの違いです。

日本のミサイル防衛について。北朝鮮ミサイル事件が沈静化していた時期に、我が国ではミサイル防衛システムとしてのイージスアショア陸上配備型ミサイル防衛システムの建設を、落下する切り離したブースターの基地施設外落下の問題が解決できず、棚上げした上で既に注文したSPY-7レーダーシステムを水上戦闘艦へ搭載する変更をおこないました。

日本が核攻撃を受ける可能性はあるのか、この問いに関しては北朝鮮がアメリカ本土への攻撃を考えるならば、日本の情報通信網を少なくとも高高度核爆発による電磁パルス攻撃で機能不随に至らせる必要があり、韓国や韓国軍が北進した場合の北朝鮮領内での戦術核兵器使用に準じて、日本への核攻撃の可能性は軍事的合理性に適合する事は、現実です。

イージスアショアの建設中止により、当初2020年代半ばにも稼働開始という計画が立っていましたミサイル防衛能力整備は大幅に遅延する見込みであり、更に為替の円安、もともと日本円は戦争に弱いとされる、更にCOVID-19による世界規模のサプライチェーン崩壊により、建造費用などが上昇する事は必至、ミサイル防衛の優先度が問われる事でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ニュース速報にてミサイル発射が報じられますとロフテッド軌道による高高度からの攻撃か単なる実験なのかを憂慮してしまう。

海上保安庁は本日1411時頃、日本海において北朝鮮ミサイルと思われるものを発射したと発表しました。海上保安庁への情報は防衛省から海上保安庁に通知されたもので、続いて1425時、海上保安庁はミサイルと思われるものは既に落下したと見られるとの発表を行いました。ミサイルは我が国EEZ排他的経済水域外に落下したとされ、被害はありません。

SLBM潜水艦発射弾道弾の可能性があり、これは海中から発射されたものの海中発射台から発射されたのか、新しく建造されたミサイル潜水艦から発射されたのかについては明らかにはなっていません。北朝鮮は寧辺核施設など複数核施設が活性化していると衛星画像により判明しており、今月中に核実験を再開するのではないかと懸念があったところです。

弾道ミサイル実験は今月に入り二度目であり、まだ、日本列島上空を飛翔するミサイル実験は再開されていませんが、アメリカ本土を射程に収めるICBM大陸間弾道弾を開発するには、何れは太平洋上に落下させる実験を行わなければ、目的としているアメリカへの示威的なミサイルの完成には至りません。そして本日発射された潜水艦発射弾道弾について。

北朝鮮は地上配備の弾道ミサイルとともに潜水艦発射弾道弾開発を急いでいます、これは地上配備の弾道ミサイルは万一場所を特定された場合に破壊される可能性がありますが、海中を航行する潜水艦であれば、その危険はかなり低下します。そして北朝鮮の潜水艦建造技術は高いものではありませんが、沿岸部であればミサイル潜水艦には用途がある。

沿岸部にミサイル潜水艦を遊弋させ、外洋との間に機雷を敷設し機雷原を構築、こうすることでアメリカの攻撃型原潜や韓国の潜水艦から攻撃を受けにくくなりますし、沿岸部であれば防空砲兵部隊などの地対空ミサイルにより米韓の哨戒機からもミサイル潜水艦を防護できる。通常動力型潜水艦であっても、海中にミサイル戦力を温存できる事となります。

ゴルフ級潜水艦、弾道ミサイルは通常動力潜水艦にとっては大き過ぎる装備ですが、北朝鮮はスクラップ艦を含め旧ソ連製のゴルフ級潜水艦を取得、これは通常動力艦ですが、艦橋構造物と一体化したミサイル発射筒が内臓されており、海中から発射可能、北朝鮮ではゴルフ級をリバースエンジニアリングにより、独自型の新造艦を建造しているところです。

アメリカに対する抑止力の確保という視点は、二通りの見方をする事は出来ます、そしてその片方が非常に危険な解釈となるのですが。一つは北朝鮮が将来的に現在のウクライナに対してロシアが行っている行動をアメリカが韓国を拠点として行おうとしていると憂慮していること。ウクライナはソ連から継承した戦略核を1990年代に放棄した歴史がある。

北朝鮮が憂慮するのは、核武装を解除と十年程度の後に、人権問題や軍事挑発を口実として韓国軍を先頭に北進する可能性を現実問題として受け止め、アメリカ本土まで到達する核戦力の整備がこれを抑止する為の不可欠の要素であり、北進による国家消滅を考えれば経済制裁などの脅威と弊害は採るに足りないと考え開発を継続しているという視点です。

南進し韓国を武力統一する際にアメリカの介入を阻止したい、二通りの見方のもう一方はこの視点です。非常に危険な解釈という論拠は、南進が前提であり、その際の介入を阻止するというもので、少なくとも攻撃される前に核兵器を先制使用する可能性、という為です。使われない限り使用しない抑止力を以て、攻勢に出るか現状を維持するかの違いです。

日本のミサイル防衛について。北朝鮮ミサイル事件が沈静化していた時期に、我が国ではミサイル防衛システムとしてのイージスアショア陸上配備型ミサイル防衛システムの建設を、落下する切り離したブースターの基地施設外落下の問題が解決できず、棚上げした上で既に注文したSPY-7レーダーシステムを水上戦闘艦へ搭載する変更をおこないました。

日本が核攻撃を受ける可能性はあるのか、この問いに関しては北朝鮮がアメリカ本土への攻撃を考えるならば、日本の情報通信網を少なくとも高高度核爆発による電磁パルス攻撃で機能不随に至らせる必要があり、韓国や韓国軍が北進した場合の北朝鮮領内での戦術核兵器使用に準じて、日本への核攻撃の可能性は軍事的合理性に適合する事は、現実です。

イージスアショアの建設中止により、当初2020年代半ばにも稼働開始という計画が立っていましたミサイル防衛能力整備は大幅に遅延する見込みであり、更に為替の円安、もともと日本円は戦争に弱いとされる、更にCOVID-19による世界規模のサプライチェーン崩壊により、建造費用などが上昇する事は必至、ミサイル防衛の優先度が問われる事でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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