■九州配備や潜水艦の選択肢
沖縄本土復帰50年と米軍基地負担という論点は様々な機会で触れられるところですが、中国海洋進出や台湾を巡る緊張により国境の自治体という防衛への負担が生じています。

南西諸島への地対艦ミサイル部隊配置強化が住民に不安を高めさせています、南西諸島は大陸から考えるならば太平洋と大陸を隔てる境界でもあり、ここを日本から奪取しS-400クラスの地対空ミサイルを配置するならば、沖縄本島の米軍基地を持射程に収められ、例えば台湾海峡等で平時とは異なる行動を起こす際には極めて重要な要衝となっています。

自衛隊の認識からも、南西諸島が大陸勢力圏に入るならば、それは日本のシーレーンが、太平洋戦争では昭和20年夏の情勢となる事を意味しますので、少なくとも定石を配置し相手に利用させない為には部隊を配置する必要がある、こうした認識はあるのでしょう。抑止力により紛争を戦争へ拡大させない、こうした視点に依拠したものです。ただ、疑問が。

警備隊型の常駐部隊は絶対必要だとは考えます、対馬警備隊のような、本部管理中隊と普通科中隊を基本とし、有事の際には九州からのヘリボーンにより普通科中隊を増強展開させ、普通科連隊として機能させる運用です。本部管理中隊に重迫撃砲小隊が置かれ普通科中隊の対戦車小隊には中距離多目的誘導弾を装備、勿論軽装甲機動車も装備されています。

高射特科部隊か航空自衛隊の高射隊も必要と考えます、レーダーサイトがありますから。対馬警備隊型の警備隊であれば、重迫撃砲の最大射程は13kmで中距離多目的誘導弾の射程も8km、上陸させない絶対的な戦力であるのかと問われれば限界がある事は否めないのですが、九州からの増援が間に合えば着上陸を阻止する事も現実的に可能となるでしょう。

地対艦ミサイルは、しかし必要なのか。長射程型の開発が進んでいる為に敢えて最前線へ配備せずとも、例えば米軍北部訓練場があります沖縄本島と日出生台始め演習場が多数ある九州へ配置しても十分対応出来るのではないか、こう考えるのです。理由は大きく三つ、一つは南西諸島南部の地形、一つは今後の射程延伸、そしてもう一つは住民感情です。

南西諸島の地形、12式地対艦誘導弾システムは非常に優れているとされるミサイルですが、その根拠の一つにデジタルマップを内蔵し地形追随飛行が可能という点があります、前型である88式地対艦誘導弾から実用化された技術で稜線よりも更に低い低空を地形に沿って飛翔できますので発射位置が発見されにくいのです。ただ、海沿いで撃っては意味が無い。

地対艦ミサイルそのものの基本運用から考えても、宮古島駐屯地に配備されているものは一個中隊のみであり、本来は連隊規模で96発の飽和攻撃を加えるという設計から乖離しています、特に中国海軍は広域防空艦を増強しており、安易に中隊規模で散発的なミサイル攻撃を行ったとしても迎撃される可能性が高く、現状の分散配置は疑問という印象がある。

自走榴弾砲を掩砲所に展開させたほうが、これは韓国海兵隊が離島防衛に際し採用している方式ですが妥当ではないか。99式自走榴弾砲であれば強力な装備です、車両そのものに防御力がありますし、ミサイルと違い威嚇射撃が可能です、155mm砲は絶対に中国大陸までは届きませんので周囲に脅威も及ぼさず、一方周辺の離島や水道までは充分届くのです。

88式地対艦誘導弾は元々、北海道中央部の大雪山麓付近に布陣し戦術核攻撃を警戒し坑道中隊が構築した掩砲所に待機しつつ、必要に応じ連隊一体となり飽和攻撃を加えるものです、地形追随飛行を行う能力は正に発射位置を北海道の何処かを秘匿する上で重要なのですが、例えば宮古島では隠れるには狭すぎ、また戦術核攻撃を受けた際は民生被害が及ぶ。

射程延伸が進められている12式地対艦誘導弾システムは、射程を500kmまで延伸するならば沖縄本島や九州から射程が十分確保できます、射程が長ければ宮古島から台湾や中国本土も射程内に収める事が出来ますが、沖縄本島と九州ならばともかく、宮古島へ配備された際には中国側にとり攻められない抑止力と云うよりは都市部への脅威となり得ます。

住民感情というものも、北海道の地対艦ミサイル部隊は人口希薄な地域に展開することで攻撃を受けた場合でも不随被害を回避する事が出来る利点がありますが、宮古島ではミサイル部隊が展開できる地域にも限りがあり、何処に展開しても絨毯爆撃や弾道弾によるクラスター弾攻撃を受ければ住民被害は必至、そんなものは狭い島よりも広い海に隠すべき。

地対艦ミサイル、沖縄本島であれば米軍北部訓練場に対空疎開する選択肢がありますし、射程を延伸させるならば九州南部からも対応可能でしょう、そして南西諸島を防衛するならば、相手は海を超えて侵攻するのですから海上自衛隊が、なにしろ南シナ海は宮古島より広いのですから、例えば潜水艦を増勢するかミサイル艇に搭載し運用するのが妥当です。

ミサイル艇は有事の際に個艦防空能力が低い為に簡単に無力化される、こうした反論があるのでしょうが、それはミサイル艇単体で運用した場合で、ミサイル艇先進国のスウェーデンなどは沿岸の防空砲兵部隊と一体運用、錯綜地形など海岸線に秘匿展開しますと、ミサイル艇は案外見つかりません、スウェーデンは水陸両用戦軍団として陸海統合運用する。

南西諸島防衛に、従来のレーダーサイトに居ます警備小隊だけでは南西諸島全体を防衛できない為に、万一の際に不安という認識は理解できます、しかし、射程が長く更に延伸計画のある地対艦ミサイルを敢えて狭い離島へ配置するよりは、別の選択肢はないのか、ないならばせめて住民用シェルターなど、もう少し配慮と説明が必要だと考えるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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沖縄本土復帰50年と米軍基地負担という論点は様々な機会で触れられるところですが、中国海洋進出や台湾を巡る緊張により国境の自治体という防衛への負担が生じています。

南西諸島への地対艦ミサイル部隊配置強化が住民に不安を高めさせています、南西諸島は大陸から考えるならば太平洋と大陸を隔てる境界でもあり、ここを日本から奪取しS-400クラスの地対空ミサイルを配置するならば、沖縄本島の米軍基地を持射程に収められ、例えば台湾海峡等で平時とは異なる行動を起こす際には極めて重要な要衝となっています。

自衛隊の認識からも、南西諸島が大陸勢力圏に入るならば、それは日本のシーレーンが、太平洋戦争では昭和20年夏の情勢となる事を意味しますので、少なくとも定石を配置し相手に利用させない為には部隊を配置する必要がある、こうした認識はあるのでしょう。抑止力により紛争を戦争へ拡大させない、こうした視点に依拠したものです。ただ、疑問が。

警備隊型の常駐部隊は絶対必要だとは考えます、対馬警備隊のような、本部管理中隊と普通科中隊を基本とし、有事の際には九州からのヘリボーンにより普通科中隊を増強展開させ、普通科連隊として機能させる運用です。本部管理中隊に重迫撃砲小隊が置かれ普通科中隊の対戦車小隊には中距離多目的誘導弾を装備、勿論軽装甲機動車も装備されています。

高射特科部隊か航空自衛隊の高射隊も必要と考えます、レーダーサイトがありますから。対馬警備隊型の警備隊であれば、重迫撃砲の最大射程は13kmで中距離多目的誘導弾の射程も8km、上陸させない絶対的な戦力であるのかと問われれば限界がある事は否めないのですが、九州からの増援が間に合えば着上陸を阻止する事も現実的に可能となるでしょう。

地対艦ミサイルは、しかし必要なのか。長射程型の開発が進んでいる為に敢えて最前線へ配備せずとも、例えば米軍北部訓練場があります沖縄本島と日出生台始め演習場が多数ある九州へ配置しても十分対応出来るのではないか、こう考えるのです。理由は大きく三つ、一つは南西諸島南部の地形、一つは今後の射程延伸、そしてもう一つは住民感情です。

南西諸島の地形、12式地対艦誘導弾システムは非常に優れているとされるミサイルですが、その根拠の一つにデジタルマップを内蔵し地形追随飛行が可能という点があります、前型である88式地対艦誘導弾から実用化された技術で稜線よりも更に低い低空を地形に沿って飛翔できますので発射位置が発見されにくいのです。ただ、海沿いで撃っては意味が無い。

地対艦ミサイルそのものの基本運用から考えても、宮古島駐屯地に配備されているものは一個中隊のみであり、本来は連隊規模で96発の飽和攻撃を加えるという設計から乖離しています、特に中国海軍は広域防空艦を増強しており、安易に中隊規模で散発的なミサイル攻撃を行ったとしても迎撃される可能性が高く、現状の分散配置は疑問という印象がある。

自走榴弾砲を掩砲所に展開させたほうが、これは韓国海兵隊が離島防衛に際し採用している方式ですが妥当ではないか。99式自走榴弾砲であれば強力な装備です、車両そのものに防御力がありますし、ミサイルと違い威嚇射撃が可能です、155mm砲は絶対に中国大陸までは届きませんので周囲に脅威も及ぼさず、一方周辺の離島や水道までは充分届くのです。

88式地対艦誘導弾は元々、北海道中央部の大雪山麓付近に布陣し戦術核攻撃を警戒し坑道中隊が構築した掩砲所に待機しつつ、必要に応じ連隊一体となり飽和攻撃を加えるものです、地形追随飛行を行う能力は正に発射位置を北海道の何処かを秘匿する上で重要なのですが、例えば宮古島では隠れるには狭すぎ、また戦術核攻撃を受けた際は民生被害が及ぶ。

射程延伸が進められている12式地対艦誘導弾システムは、射程を500kmまで延伸するならば沖縄本島や九州から射程が十分確保できます、射程が長ければ宮古島から台湾や中国本土も射程内に収める事が出来ますが、沖縄本島と九州ならばともかく、宮古島へ配備された際には中国側にとり攻められない抑止力と云うよりは都市部への脅威となり得ます。

住民感情というものも、北海道の地対艦ミサイル部隊は人口希薄な地域に展開することで攻撃を受けた場合でも不随被害を回避する事が出来る利点がありますが、宮古島ではミサイル部隊が展開できる地域にも限りがあり、何処に展開しても絨毯爆撃や弾道弾によるクラスター弾攻撃を受ければ住民被害は必至、そんなものは狭い島よりも広い海に隠すべき。

地対艦ミサイル、沖縄本島であれば米軍北部訓練場に対空疎開する選択肢がありますし、射程を延伸させるならば九州南部からも対応可能でしょう、そして南西諸島を防衛するならば、相手は海を超えて侵攻するのですから海上自衛隊が、なにしろ南シナ海は宮古島より広いのですから、例えば潜水艦を増勢するかミサイル艇に搭載し運用するのが妥当です。

ミサイル艇は有事の際に個艦防空能力が低い為に簡単に無力化される、こうした反論があるのでしょうが、それはミサイル艇単体で運用した場合で、ミサイル艇先進国のスウェーデンなどは沿岸の防空砲兵部隊と一体運用、錯綜地形など海岸線に秘匿展開しますと、ミサイル艇は案外見つかりません、スウェーデンは水陸両用戦軍団として陸海統合運用する。

南西諸島防衛に、従来のレーダーサイトに居ます警備小隊だけでは南西諸島全体を防衛できない為に、万一の際に不安という認識は理解できます、しかし、射程が長く更に延伸計画のある地対艦ミサイルを敢えて狭い離島へ配置するよりは、別の選択肢はないのか、ないならばせめて住民用シェルターなど、もう少し配慮と説明が必要だと考えるのです。
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