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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】ロイヤルウイングマンMQ-28A無人機と新無人機システムガムビット,ADAIR対無人機訓練能力

2022-05-09 20:22:53 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は無人機特集です。自衛隊は無人機の配備で後れを取っていますが例えば有れば相当予算を節約できる分野があるのですね。

 オーストラリア軍が開発したロイヤルウイングマン無人僚機がMQ-28A無人機として制式化されました。愛称はゴーストバット、完成式典に臨席したオーストラリアのダットン国防相が発表しました。ロイヤルウイングマン無人僚機は、ボーイングオーストラリアが中心となり構想発表による開発開始から初飛行まで三年という短期間で実現しています。

 MQ-28A無人機はオーストラリアが開発する50年ぶりの独自航空機とされていますが、技術面では多くがボーイング社の子会社であるボーイングオーストラリア社により提供されています、しかし、オーストラリア政府はボーイングオーストラリア社との間で、安全保障上の観点からオーストラリア企業参画を強く要請し35社の企業連合が製造を担当する。

 無人戦闘機とも称されますが、任務は監視及び偵察任務といい、ロイヤルウイングマン無人僚機と称される背景には、例えばF-35戦闘機のような高価な第五世代戦闘機に随伴し、レーダーによる索敵という煩雑な任務や攻撃を受けた際に高価な第五世代戦闘機を損耗から防護するなどの用途が見込まれています。なお本機については輸出も期待されています。
■タルシャマイム係留飛行船型レーダー
 無人機は低速で小型でも航続距離が大きい機種が存在し各国がどのように検知するかを一つの課題でしたが。

 イスラエル空軍は係留飛行船型レーダーシステムJLENS派生のタルシャマイムを受領しました。これはアメリカのMDAミサイル防衛局とイスラエル国防省が共同開発したもので、高高度滞空型係留式空中センサーのプラットフォームとなり、早期警戒機と同様の任務に当ると共に、巡航ミサイルや無人機による攻撃を迅速に発見する事が可能となります。

 JLENSはアメリカのTCOM社により開発されたもので一時は我が国防衛省も沖縄など南西諸島の警戒監視用に調達が検討されていました。JLENSは各型が開発されていますが、標準的な74m型では3.174tのセンサーを搭載し3300mの高度を10000000時間連続し滞空可能で、高山部の山頂にレーダーを設置した場合と同様の警戒監視が可能となるもの。

 タルシャマイムはJLENS系統では初めて実用化されたものとなります。この背景にはJLENSは高高度に滞空させる事で550km圏内を常時持続的に監視可能なセンサーとしてアメリカ陸軍がPSS-T計画として本土防衛用に研究されたものの、コスト管理の失敗と開発遅延により開発中止となりました。2015年には係留索が切れ漂流する事故も起きている。
■新無人機システムガムビット
 無人機は単体で装備する時代からシステムとして考えて行かないと各国がそろそろ対無人機システムを体系化させる為に運用が難しくなります。

 アメリカの軍用無人機大手ジェネラルアトミクス社は新無人機システムガムビットを発表しました。ジェネラルアトミクス社はアメリカ軍始め各国で運用されているMQ-9リーパー無人攻撃機やその非武装型であるガーディアン無人機、またこの種の装備の先行者というべきRQ-1プレデター無人機などを製造しており、深い経験と実績をもつ企業です。

 Gambit、このガムビットは単体の無人機ではなく、複数の無人機を複合運用するシステムであり、ACP自律型相互連携プラットフォームを構築しています。自律型とあるように中枢技術はAI人工知能とデータリンクシステムで、有人航空機での作戦にて先鋒を務めます。無人戦闘機ではなく、先ず敵対空域への航空進攻作戦に先行し、情報収集にあたるもの。

 レーダーや複合光学情報センサーに加えて電子情報収集装置などを有し、相互に連携する事で例えば地対空ミサイルや敵対戦闘機などの脅威に際しては無理な損耗を避け、集合と分散を行い、脅威情報の標定と戦域情報優位を自己生存に合せて実現するというもの。構想ではジェットエンジンを採用し、相応に高い速度領域にて高い進出速度を有するもよう。
■バンディットプログラム
 無人航空機が不可欠な装備である事は認識されても平時の戦闘機の訓練は戦闘機同士という事が多い、それで良いのかという一石です。

 アメリカ空軍の空軍研究所航空宇宙システム局は複数の無人航空機によるADAIR敵対航空作戦対処訓練能力構築中です。これはバンディットプログラムと呼ばれるもので中小企業革新研究契約という手法によりアメリカの防衛企業ブルーフォーステクノロジーズが開発を担当します。ブルーフォーステクノロジーズはノースカロライナ州に本拠地を置く。

 バンディットプログラムとは、近年無人航空機による情報収集は勿論、航空打撃や将来には対航空戦などの運用が不可欠となる中、無人航空機の操縦は演練されるが、軍事演習を除けば有人戦闘機と無人航空機を連携させる訓練方法などが充分構築されておらず、有人戦闘機の操縦士が無人航空機と演習により信頼関係を構築する方法がありませんでした。

 ブルーフォーステクノロジーズはADAIRの開発について4機の無人航空機と運用システムを900万ドルで納入します。これは国防省の中小企業革新研究契約という取り組みであり、巨額契約ではないが先端技術を有する企業、特に新興企業や大学研究室及び個人技術研究者に対してでは小規模契約あっても革新的な技術開発支援を積極的に行うというものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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モスクワ撃沈-黒海艦隊封じるウクライナ軍電子戦能力と続報の無いアドミラルマカロフへの攻撃情報

2022-05-09 07:01:48 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 アメリカの情報支援が在ったとされる巡洋艦モスクワ撃沈についてアメリカ当局は否定しウクライナ軍能力の高さを強調しました、今回は自衛隊も重視しているこれら対艦攻撃能力について情報を纏めました。

 ウクライナのネプチューン対艦ミサイルが撃破したとされるロシア海軍フリゲイトアドミラルマカロフについて、撃沈の第一報から三日を経ましたがロシア海軍からは発表がありません、また、海上の何らかの目標が炎上する水平線上の黒煙という写真が出ていますが、フリゲイトアドミラルマカロフのものであるか、まだ未確認情報のままとなっている。

 フリゲイトアドミラルマカロフ撃沈という報道も幾つかありますが、今のところウクライナメディアの引用というかたちで、確定情報ではりません。ロシアは5月9日の祝日対独戦勝記念日に備え厭戦機運をまねきかねない艦隊損耗の情報を伏せているとの見方もできますが、フリゲイトアドミラルマカロフの現状については、まだなんともいえないもよう。

 ネプチューン対艦ミサイルは、しかしロシア海軍の黒海による運用をかなり制限している事は事実のようです。他方、アメリカメディアが報じた、ウクライナが撃沈した巡洋艦モスクワの位置について、アメリカがウクライナへ情報提供したとの報道をアメリカ国防総省は否定しました。この件についての関与をアメリカが明確に否定したのは意外といえる。

 モスクワ。アメリカ国防総省はロシア海軍黒海艦隊旗艦モスクワ撃沈について、ウクライナ軍の電子戦部隊能力であれば能力的に黒海洋上のモスクワに関してその位置標定は可能であるとの見解を示しました。洋上の水上戦闘艦、ウクライナ軍地対艦ミサイル部隊はどのようにして位置を標定したのでしょうか、その方策として自衛隊の地対艦ミサイル運用が参考に。

 電子戦装置4型、陸上自衛隊の第1電子隊に大量に装備されているもので、ネットワーク型電子戦システムNEWSにはこの改良型である電子戦装置4型Aと4型Bが配備されている、これは電波を発信するのではなく受信するもので、複数の電子戦装置4型を地上に碁盤の目が如く配置する事で洋上の通信やレーダー等電波発信源を標定する事が可能です。

 黒海の面積は43万6400㎢、これは日本海面積の97万8000㎢やオホーツク海面積の158万3000㎢よりもかなり狭く、電波発信源を探知し方向などを複数の受信装置により逆算する事で大まかな位置を標定可能です、恐らくウクライナ軍は決して広くは無い国会の洋上で位置概算を標定、地対艦ミサイルを発射、ミサイルのレーダーが探知したのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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