■二〇三〇年代の新たな脅威!
技術開発には膨大な予算を必要とする為に方向性が的外れなのかどうかという所は大きな関心事です。そこで今回は日米の二つの取り組みをみてみましょう。
極超音速滑空兵器、これは21世紀の、いや2030年代の現実的に大きな軍事的脅威となります。極超音速に対しては理論上光速まで加速し得るレールガンが最適、こうした認識のもとで防衛省は実用レールガンを開発開始、中国とアメリカはレールガン実用砲を開発し、アメリカは実用化断念しました。アメリカは意外な方法での迎撃を検討しているようです。
日本のレールガン開発は、すると一周遅れの時代錯誤なのでしょうか、そこで今回はレールガン開発とアメリカがレールガン以外の方法での極超音速滑空兵器迎撃を目指すクロスドメインデータリンクやスターリンク衛星計画というものを見てみましょう。実のところ、日本もアメリカも方法は違うのですが、得意分野や現実的なアプローチを図っているよう。
アメリカ陸軍はクロスドメイン指揮統制に基づくERCA拡張型砲兵兵器システムの射撃試験を実施しました。従来、音速の十倍という速度と不規則軌道を描き長距離攻撃を行う極超音速滑空兵器の迎撃には電磁方式により天文学的初速により弾薬を投射するレールガンによる直接射撃が必要と考えられていましたが、当れば通常の野砲でも撃墜可能です。
M-1299-ERCA自走榴弾砲はこの試験に参加しています。M-1299-ERCAは58口径の長砲身155mm榴弾砲と、追加搭載される自動装填装置により31発の砲弾を搭載し毎分10発の射撃が可能となります、ただ車体基部がM-109A7自走榴弾砲の改良型である為に自動装填装置は現在の車体には搭載出来ず、将来的には主砲システムのみ別の車両に搭載する。
DEVCOM-AC陸軍戦闘兵器能力開発司令部では、極超音速兵器の迎撃には精密な弾道計算が必要としており、今回の試験では砲弾にBSIM精密弾道シミュレータ技術構成要素の計測装置を搭載しています。技術が完成すれば極超音速滑空兵器が如何に高速でも、暴走オートバイに立ちはだかるカラーコーンの役割を担い、相手の運動エネルギーで破壊します。
アメリカ軍は近年増す極超音速滑空兵器の早期探知へ172基の低軌道監視衛星を展開させる構想です。これはスターリング衛星という一つの打ち上げロケットから数十機の小型人工衛星を低軌道に投入する新技術を用い、144基の追跡衛星と28基の監視衛星を数基のロケットにより展開させ、極超音速兵器が大気圏内の摩擦熱で発する特性を識別するもの。
クロスドメイン指揮統制といい、アメリカでは極超音速滑空兵器迎撃に初速の高いレールガン投入を構想し開発していましたが、早期探知さえできるならば、極超音速滑空兵器は機動が読めれば多数が既に配備されるごく普通155mm野砲の誘導砲弾であっても進路上に展開させ迎撃可能と方針転換しています、この為に早期探知が必要とされていました。
弾道ミサイルよりも低高度を飛翔するとともに大気との摩擦熱で特徴的な赤外線を大量に発し、小型衛星からの探知は可能です。衛星同士はレーザーデータ通信を実施し、コンマ秒単位で目標情報を伝送し、これを一瞬の間も置かず野砲弾にて超音速滑空兵器の進路上に障害として展開させる、クロスドメイン指揮統制を実現する為の大量衛星と云う事です。
防衛省は極超音速兵器迎撃を主眼にレールガン開発を本格化させる方針で来年度予算へ65億円の開発費を盛り込むとのこと。防衛省は防衛庁時代から高射機関砲の後継としてレールガン研究を行っており、1980年代後期からアルミペレットを投射する研究を行っていますが、基本的に攻撃ヘリコプター等を迎撃する35mm高射機関砲の後継が主眼でした。
防衛装備庁では2010年代にレールガン試作砲により2000m/sという戦車砲弾を上回る初速を実現しています、極超音速兵器迎撃には発見と同時に初速の早いレールガンにより素早く叩き落とす必要がありますが、この研究で先行していたアメリカ海軍では射程200kmを示しつつ、電源確保等の問題から従来砲を用いるクロスドメイン防衛に転換しています。
アメリカでは野砲をスターリング衛星によるデータリンクにより極超音速滑空弾を早期探知し迎撃する指針に転換していますが、アメリカでは艦船の発電能力かレールガンを難しくした事とは対照的に、日本の場合は野砲ではなく専守防衛の特性上地上に置き、レールガンが必要とする大量の電力を発電施設から有線式により取得するという運用が可能です。
日本は宇宙開発分野で大きな遅れが在ります、それはアメリカでいうアポロ計画のような熱狂が裾野分野を大きく広げて産業化させた様な、宇宙にロケットを上げるならば採算度外視でも予算が集まる、こうした期間はバブル期に終わっており、例えば日本の宇宙産業も予算を考えるならばスタンダードSM-3製造や滑空兵器開発の参画する以外活路が無い。
スターリンク衛星のような迅速に宇宙へ監視体制を打ち上げる技術も施設も、そもそも宇宙産業そのものが小規模すぎます。しかし、レールガンでしたらば得意分野と云う訳ではありませんが、基礎研究も古く高度磁石や電源技術にもまだ世界水準のものがあります、するとレールガンもスターリンク衛星も、日米が得意技術で課題に臨む、こうした姿勢が見えてくるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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技術開発には膨大な予算を必要とする為に方向性が的外れなのかどうかという所は大きな関心事です。そこで今回は日米の二つの取り組みをみてみましょう。
極超音速滑空兵器、これは21世紀の、いや2030年代の現実的に大きな軍事的脅威となります。極超音速に対しては理論上光速まで加速し得るレールガンが最適、こうした認識のもとで防衛省は実用レールガンを開発開始、中国とアメリカはレールガン実用砲を開発し、アメリカは実用化断念しました。アメリカは意外な方法での迎撃を検討しているようです。
日本のレールガン開発は、すると一周遅れの時代錯誤なのでしょうか、そこで今回はレールガン開発とアメリカがレールガン以外の方法での極超音速滑空兵器迎撃を目指すクロスドメインデータリンクやスターリンク衛星計画というものを見てみましょう。実のところ、日本もアメリカも方法は違うのですが、得意分野や現実的なアプローチを図っているよう。
アメリカ陸軍はクロスドメイン指揮統制に基づくERCA拡張型砲兵兵器システムの射撃試験を実施しました。従来、音速の十倍という速度と不規則軌道を描き長距離攻撃を行う極超音速滑空兵器の迎撃には電磁方式により天文学的初速により弾薬を投射するレールガンによる直接射撃が必要と考えられていましたが、当れば通常の野砲でも撃墜可能です。
M-1299-ERCA自走榴弾砲はこの試験に参加しています。M-1299-ERCAは58口径の長砲身155mm榴弾砲と、追加搭載される自動装填装置により31発の砲弾を搭載し毎分10発の射撃が可能となります、ただ車体基部がM-109A7自走榴弾砲の改良型である為に自動装填装置は現在の車体には搭載出来ず、将来的には主砲システムのみ別の車両に搭載する。
DEVCOM-AC陸軍戦闘兵器能力開発司令部では、極超音速兵器の迎撃には精密な弾道計算が必要としており、今回の試験では砲弾にBSIM精密弾道シミュレータ技術構成要素の計測装置を搭載しています。技術が完成すれば極超音速滑空兵器が如何に高速でも、暴走オートバイに立ちはだかるカラーコーンの役割を担い、相手の運動エネルギーで破壊します。
アメリカ軍は近年増す極超音速滑空兵器の早期探知へ172基の低軌道監視衛星を展開させる構想です。これはスターリング衛星という一つの打ち上げロケットから数十機の小型人工衛星を低軌道に投入する新技術を用い、144基の追跡衛星と28基の監視衛星を数基のロケットにより展開させ、極超音速兵器が大気圏内の摩擦熱で発する特性を識別するもの。
クロスドメイン指揮統制といい、アメリカでは極超音速滑空兵器迎撃に初速の高いレールガン投入を構想し開発していましたが、早期探知さえできるならば、極超音速滑空兵器は機動が読めれば多数が既に配備されるごく普通155mm野砲の誘導砲弾であっても進路上に展開させ迎撃可能と方針転換しています、この為に早期探知が必要とされていました。
弾道ミサイルよりも低高度を飛翔するとともに大気との摩擦熱で特徴的な赤外線を大量に発し、小型衛星からの探知は可能です。衛星同士はレーザーデータ通信を実施し、コンマ秒単位で目標情報を伝送し、これを一瞬の間も置かず野砲弾にて超音速滑空兵器の進路上に障害として展開させる、クロスドメイン指揮統制を実現する為の大量衛星と云う事です。
防衛省は極超音速兵器迎撃を主眼にレールガン開発を本格化させる方針で来年度予算へ65億円の開発費を盛り込むとのこと。防衛省は防衛庁時代から高射機関砲の後継としてレールガン研究を行っており、1980年代後期からアルミペレットを投射する研究を行っていますが、基本的に攻撃ヘリコプター等を迎撃する35mm高射機関砲の後継が主眼でした。
防衛装備庁では2010年代にレールガン試作砲により2000m/sという戦車砲弾を上回る初速を実現しています、極超音速兵器迎撃には発見と同時に初速の早いレールガンにより素早く叩き落とす必要がありますが、この研究で先行していたアメリカ海軍では射程200kmを示しつつ、電源確保等の問題から従来砲を用いるクロスドメイン防衛に転換しています。
アメリカでは野砲をスターリング衛星によるデータリンクにより極超音速滑空弾を早期探知し迎撃する指針に転換していますが、アメリカでは艦船の発電能力かレールガンを難しくした事とは対照的に、日本の場合は野砲ではなく専守防衛の特性上地上に置き、レールガンが必要とする大量の電力を発電施設から有線式により取得するという運用が可能です。
日本は宇宙開発分野で大きな遅れが在ります、それはアメリカでいうアポロ計画のような熱狂が裾野分野を大きく広げて産業化させた様な、宇宙にロケットを上げるならば採算度外視でも予算が集まる、こうした期間はバブル期に終わっており、例えば日本の宇宙産業も予算を考えるならばスタンダードSM-3製造や滑空兵器開発の参画する以外活路が無い。
スターリンク衛星のような迅速に宇宙へ監視体制を打ち上げる技術も施設も、そもそも宇宙産業そのものが小規模すぎます。しかし、レールガンでしたらば得意分野と云う訳ではありませんが、基礎研究も古く高度磁石や電源技術にもまだ世界水準のものがあります、するとレールガンもスターリンク衛星も、日米が得意技術で課題に臨む、こうした姿勢が見えてくるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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