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【防衛情報】英空母クイーンエリザベス戦闘群極東へ!F-35B二個飛行隊と英米蘭連合艦隊

2021-05-05 20:03:55 | 防衛・安全保障
■特報:世界の防衛,最新論点
 G-9で撮影しましたイギリス海軍45型駆逐艦デアリング東京寄港の懐かしい写真とともに、いま話題のイギリス海軍空母極東派遣についての情報を纏めてみました。

 イギリス国防省は空母クイーンエリザベス初の作戦航海として極東方面へのプレゼンスオペレーションを発表しました。同艦はクイーンエリザベス級航空母艦の一番艦、満載排水量6万5000tとイギリス海軍史上最大の戦闘艦艇であり、また世界初の第五世代戦闘機F-35B母艦です。また現在、イギリスでは二番艦プリンスオブウェールズが公試中です。
■空母戦闘群,艦隊の概要発表
 クイーンエリザベス空母戦闘群は非常に強力な随伴艦で構成されているようです。

イギリス海軍の空母クイーンエリザベス戦闘群、その概要がイギリス国防省より発表されました。45型駆逐艦HMSディフェンダーとHMSダイアモンド、23型対潜フリゲイトHMSケントとHMSリッチモンド、英国海軍補助艦隊のRFAフォートビクトリアとRFAタイドスプリング、そしてオランダ海軍のHNLMSエヴェルトセン、以上となっています。

 クイーンエリザベス戦闘群はイギリス史上最大の空母機動部隊とされています。45型駆逐艦は満載排水量7350tの防空駆逐艦で長射程のアスター30艦対空ミサイル等VLS48セルに搭載しサンプソン多機能レーダーにより12目標を同時に迎撃可能です。23型フリゲイトは満載排水量4200t、AW-101対潜ヘリコプターと曳航ソナーによる高い対潜能力を持つ。
■オランダ海軍,戦闘群に参加
 イギリス海軍クイーンエリザベス空母戦闘群へオランダ海軍がミサイルフリゲイトを派遣します、まさに連合艦隊だ。

 オランダ海軍は六週間の重整備を受けていたミサイルフリゲイトのエヴェルトセンが整備を完了し日本へ出航するべく艦隊に復帰した事を発表しました。エヴェルトセンの日本派遣はイギリス海軍のクイーンエリザベス空母戦闘群による初の作戦航海に随伴、これは南シナ海及び東シナ海の中国に対するプレゼンスオペレーションの一環として寄港する。

 エヴェルトセンはデ-ゼーヴェン-プロヴィンシェン級ミサイルフリゲイトの4番艦として2005年に竣工、満載排水量6200tを誇りAPAR多機能レーダーと32発のスタンダードSM-2ミサイルによる優れた艦隊防空能力を有するほか、設計時点でNATO艦隊の嚮導艦運用を想定し指揮通信能力を重視しています。なお、艦隊出航は5月に予定されています。

 イギリス海軍のクイーンエリザベス空母戦闘群にはイギリス軍のF-35B戦闘機に加えアメリカ海兵隊F-35Bを加えるとの報道もあり、米英蘭の三カ国合同部隊となるもようです。またフランス海軍も南シナ海へ原子力空母シャルルドゴールを派遣する構想で、アメリカ海軍イージス艦、ドイツ海軍フリゲイトがこの機動部隊へ参加する打診も行われています。
■米海軍イージス艦も参加
 艦隊防空の象徴的能力を発揮するイージス艦が参加するようで三カ国連合艦隊となりました。

 アメリカ海軍は極東に展開するイギリス海軍空母クイーンエリザベス戦闘群へイージス艦ザ・サリヴァンズを参加させると発表しました。ザ・サリヴァンズはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦の18番艦でイージスシステムを搭載した満載排水量8362tの水上戦闘艦です。艦名のサリヴァンズとは巡洋艦ジュノーに乗艦中戦死したサリヴァン五兄弟をしめすもの。

 イージス艦の参加により、空母クイーンエリザベス戦闘群はイギリス海軍の防空駆逐艦ケントとリッチモンド、オランダのミサイルフリゲイトデ-ゼーヴェン-プロヴィンシェン級のエヴェルトセンと共に4隻の艦隊防空艦が参加することとなりました。また、ザ・サリヴァンズはこの戦闘群にあって空母クイーンエリザベスに次ぐ大きさの水上戦闘艦となります。
■米海兵隊F-35B飛行隊英到着
 クイーンエリザベス艦上配備のF-35B戦闘機はかなり大きな規模となります。

 アメリカ海兵隊のF-35B飛行隊がイギリス空母クイーンエリザベスでの訓練実施の為にイギリスのレイクンヒース空軍基地へ到着しました。今回レイクンヒース基地へ展開したのはウェークアイランドアベンジャーズの愛称で知られるアメリカ海兵隊第211戦闘攻撃飛行隊のF-35Bで、アリゾナ州のユマ海兵航空基地から5000マイルを飛行しました。

 海兵隊第211戦闘攻撃飛行隊はイギリス海軍空母クイーンエリザベスに搭載され試験を実施しますが、同時に艦上整備を支援するべくアメリカ海軍の原子力空母ジョンCステニス乗組みの整備要員も派遣されることとなります。レイクンヒースに到着した要員は今後、新型コロナウィルスCOVID-19感染対策としての14日間の隔離期間を基地内にて過ごす。

 クイーンエリザベスにはイギリスのF-35B飛行隊である第617飛行中隊通称ダムバスターズが乗艦する為、海兵隊第211戦闘攻撃飛行隊とともに世界最大の第五世代艦載機航空団であり米英統合空母航空団を編成する事となる。また飛行隊はクイーンエリザベス極東展開に参加する為、ウェークアイランドアベンジャーズの名の通り、太平洋に向かう訳です。
■戦闘群,5個飛行隊が艦上へ
 イギリス国防省はF-35BとともにAW-101/マーリンヘリコプターやAW-159リンクス飛行隊を参加させます。

 イギリス国防省は空母クイーンエリザベス戦闘群に参加する航空部隊の概要を発表しました。先ずF-35Bを装備する第617飛行中隊、アメリカ海兵隊第211戦闘攻撃飛行隊、イギリスのリンクス対潜ヘリコプターを装備する第815海軍飛行隊、イギリスのAW-101を装備する第820海軍飛行中隊、イギリスのAW-101を装備する第845海軍飛行中隊、です。

 AW-101について第820海軍飛行中隊は空母クイーンエリザベスに常時配置されるヘリコプター部隊でマーリンHM.2を3機配備、第845海軍飛行中隊はマーリンHC.4を装備し海兵隊の空中機動作戦を支援する強襲部隊です。イギリス海軍は更にイギリス海兵隊より第42コマンドー連隊を参加、各国と共同訓練や艦隊保全、儀仗任務に充てるとのことです。
■ウォレス英国防相,意義を強調
 クイーンエリザベス空母戦闘群の極東展開はどのような目的があるかについてウォレス国防相の発言です。

 イギリス国防省は空母クイーンエリザベス初の作戦航海の概要を発表しました。日本やインドと韓国などに寄港します。空母クイーンエリザベス戦闘群の航海は距離にして26000浬と地球一周の規模であり、その期間は28週間となっています。この際に友好国や同盟国など40か国を親善訪問し、各国海軍と70にもおよぶ共同訓練を実施する計画とのこと。

 イギリスのベンウォレス国防相はこの航海について、イギリスは国際公序の維持について交代するのではなく21世紀における国際公序の維持に重要な役割を果たす為の重要な航海と位置づけているとしました。また今回の航海にはアメリカ海軍とオランダ海軍が参加する事となっており、EU離脱後にも、同盟国との協力体制強化を示す意義もあるようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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