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ウクライナ情勢-ガスパイプライン使用延長協議終了と黒海穀物輸送の危機,東部戦線クピャンスクの激戦

2023-08-20 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 南部戦線ではウクライナの渡河能力が効果を示していて、これは日本が受け留める戦訓として自衛隊の水陸両用能力の強化を進める必要ともいえる。

 ロシア軍は東部戦線クピャンスク近郊で前進に成功している、ISWアメリカ戦争研究所が8月14日付分析報告として発表しました。これはロシア軍が公開した映像を基にISWがファクトチェックを行ったもので、ロシア軍の本土に近い東部戦線での再攻撃を意味している状況、オルリアンカ付近とミコライフカ付近まで進出しているとのこと。

 オルリアンカはクピャンスクの東22km、ミコライフカはクピャンスクの東24kmにあります。ただ、ウクライナ軍の防御態勢も固まっており、スヴァトフ-クレミンナ線にかけてのロシア軍再攻撃は阻止された可能性がある。東部戦線はバフムートの南西7kmにあるクリシチフカやウロジャイネ近郊地域でも戦闘が続いておりウクライナ軍も前進しています。
■ガスパイプライン
 欧州各国は昨年の海底ガスパイプライン破壊を重く見ており海上防衛に併せ海底防衛を強化しようとしているところです。

 ウクライナはロシアの欧州向けガスパイプライン使用延長協議に応じない方針を示し、これにより2024年を以てウクライナ国内のガスパイプラインを通じてのロシアから欧州への天然ガス販売が終了する見込みです。これは2023年8月16日のウクライナのハルシチェンコエネルギー相発言を8月17日1150時にロイター通信が配信しました。

 ロシア政府にとり天然ガス輸出は戦争継続への生命線の一つであり、その複数敷設されたガスパイプラインの一部は交戦中のウクライナ国内を通っており、ロシア政府はウクライナでのガスパイプライン使用継続を希望していましたが、ウクライナ側が更新に応じない姿勢を示しました。他方、ロシアはほかのガスパイプラインを用いることは可能です。
■パラオ船籍貨物船
 こうした状況がもし日本周辺で発生した場合には海上警備行動命令を発令できるのでしょうか。

 ロシア国防省は黒海海上を航行中のパラオ船籍貨物船に対し威嚇射撃を行った、これは13日のロシア国防省発表を引用するかたちでロイター通信が2023年8月14日0803時に配信しました。パラオ船籍船船が航行していたのは黒海南西部、ロシア国防省の発表では穀物輸送船がウクライナへ向かう武器密輸に用いられていた可能性があったとしている。

 パラオ船籍船はロシア海軍の停戦命令に応じなかったために威嚇発砲を受けた、威嚇発砲は艦砲ではなく自動小銃が用いられたとロシア国防省は発表しています。この貨物船はウクライナ南部オデッサ州のイズマイル河川港に向かっており、臨検が行われたものの武器などは見つからず、貨物船は臨検終了後にイズマイル河川港へ航行を再開したとのこと。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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