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ザポリージャ原発周辺住民ポーランドへ避難開始-核事故懸念か,IAEAは繰り返しロシア軍へ査察官受入を要求

2022-08-20 07:00:35 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 あの3.11東日本大震災に伴う福島第一原発事故の災厄から11年が経ちましたが、いま世界は次に迫る未曽有の核事故危機の最中にあります。

 ザポリージャ原発周辺住民の避難が開始されている、これは8月16日付NHK報道似て周辺住民がポーランドへ避難を次々に開始しているとして現地情勢を知らせたものです。原発はロシア占領地域とウクライナ軍の前線付近に位置しており、戦闘が頻発している最中の避難ではありますが、遠くポーランド国境地域まで非難する理由は一つしかありません。

 ザポリージャ原発周辺住民は戦闘により原子炉の炉心損傷など、広範囲が汚染される事態を警戒している。原発事故では福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故が有名ですが、二つの事故を並べますと黒鉛減速炉から核燃料の多くが吹き飛び原子炉から居住地域まで強いガンマ線が届いたチェルノブイリ事故は軽水炉の福島第一原発事故よりも深刻でした。

 IAEA国際原子力機関はザポリージャ原発の立ち入り検査を求めています、ただ、ロシア軍の占領地域であり、ロシア軍はザポリージャ原発に重火器などは置いていないとしていますが、ロシア軍占領部隊の撤退は拒否している構図です。そしてウクライナ政府はザポリージャ原発にロシア軍砲兵等が展開し周辺地域を攻撃していると非難している現状という。

 IAEAの査察について、ウクライナ政府は全面的に支持と要請を行っており、ロシアも条件付き賛同を示しています。国連は必要であればIAEA査察官のキエフからの移動を支援すると表明していますが、ロシア側はウクライナからの査察に反対しており、ロシア軍が用意した経路を通りロシア軍の監察下でのIAEA査察官移動に限り承認する立場を採った。

 ロシア側の意図は不明ですが、ロシア軍はザポリージャ原発に火砲など重装備を展開している事は、ザポリージャ原発から周辺部に攻撃が加えられている現状から確実と見られ、IAEA査察官が自由に原発を査察し、この火砲は何なのだとの疑問を呈されては困るという立場なのかもしれません。ただ、査察を急がなければならない切迫した事情はあるのです。

 ウクライナ軍は早ければ8月24日のウクライナ独立記念日にも攻勢に転じる可能性があります、これはゼレンスキー大統領の発言に明言こそないものの反撃が近いとの表現があり、その場合、原子力施設が戦闘に巻き込まれ、戦闘下では原子炉停止へのダメージコントロールさえ自由にできない状況で原子炉が破損する懸念が、現実味を帯びているからです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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