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【G3X撮影速報】第10師団創設57周年守山駐屯地祭.即応近代化師団の祭典(2019-10-27)

2019-11-04 20:08:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■尾張名古屋の師団祭
 第10師団守山駐屯地祭の速報記事は後篇としまして、いよいよ名古屋市内に戦車と火砲が吠える訓練展示模擬戦を紹介しましょう。

 観閲行進の殿を勤めるのは74式戦車、自衛隊行事では基本最後に勇壮な戦車隊の行進が行われます。今回の行事は昨年の観閲行進撮影位置から少し左側の低い位置から撮影しましたが、見返すともう少し低い位置から見上げる構図が良かった様にも思う次第です。

 訓練展示状況開始、春日井駐屯地第10偵察隊より87式偵察警戒車が情報収集へ展開しました。観閲行進に続きオートバイドリルや音楽演奏を挟み訓練展示が執り行われるのですが、撮影位置を観閲行進の撮影位置から訓練展示撮影適地へと改めて陣地変換を行った。

 偵察隊のオートバイが仮設敵陣地へ肉薄します。仮設敵は今回、ヘルメットカバーを外した89式鉄帽を着用し我が方と区別していますが、守山駐屯地に広く仮設陣地を広げていまして、対する第10師団も戦車部隊や特科部隊を展開させ、占領された地域奪還へむかう。

 87式偵察警戒車、25mm機関砲を以て威力偵察を担いますが、スタンド席の向こうに住宅街が見えまして、此処名名古屋市内で有る事を印象付ける構図に仕上げてみました。なお、遠くない将来に第10偵察隊と第10戦車大隊が統合され、偵察戦闘大隊へ改編される。

 狙撃班の前進、M-24狙撃銃と共に観測員は89式小銃を持つ。狙撃班は500mの狙撃による指揮官や重要目標を狙うと共に、潜伏斥候としての任務も有し、普通科部隊の地域占領や掃討を含む攻撃前進を支援します。ギリースーツと呼ばれる偽装装備が此処では目立つ。

 第10高射特科大隊が豊川駐屯地より前進、93式近距離地対空誘導弾により航空攻撃を警戒します。射程5kmの93式は対空戦闘情報システムと連接し、展開地域に広範な防空網を構成、大隊の第1中隊に12両が装備され、更に81式短距離誘導弾が第2中隊に置かれる。

 第10特殊武器防護隊の除染車が、敵は劣勢を補うべく化学砲弾を用い化学兵器による攻撃に出たとの想定の下、攻撃を受けた我が方は81mm迫撃砲手を始め防護マスクを装着し毒ガスを凌いでいます。ただこれでは凌ぐだけですので除染車から中和剤を撒き無毒化する。

 UH-1J多用途ヘリコプターの展開、明野駐屯地第10飛行隊だ。敵による科学攻撃は迫撃砲により実施されたと我が斥候の報告を受け、更なる化学兵器使用を阻止するべく師団はレンジャーの投入を決定、臨時編成されたレンジャー小隊がヘリコプターにより進入すます。

 レンジャーは仮設敵が立て籠もる守山ビルを制圧するべくロープ進入する。守山ビルは高い視野から敵が観測点として用いているとみられ、此処をレンジャーが制圧する事は敵の観測点を潰し情報優位を喪失させる意味もあります。青空に映える自衛隊の迷彩が眩しい。

 レンジャーは守山ビルを制圧奪取すると共に敵迫撃砲陣地を急襲、後方から89式小銃を一斉射撃し瞬時に毒ガスをまき散らす敵迫撃砲陣地は制圧されました。しかしレンジャーはこの戦果に凱歌を挙げる暇も、休むことなく次の遊撃行動へと何処かへ去ってゆきました。

 74式戦車が前進を開始する。今津駐屯地第10戦車大隊より展開した74式戦車です。戦車は強力な装備ですが無計画に歩兵の間合いへ投入したならば瞬時に対戦車火器の猛威に無力化されますが、対戦車火器必中距離は500m以内、対戦車ミサイルは地形制約が大きい。

 第10戦車大隊がひと固まりで戦車を展開させてゆく。戦車は4000mから500mまでの距離に置いて猛威を発揮出来ます。この為に普通科部隊と連携する事が、重要なのですね。なお、遠くない将来、戦車大隊は廃止され16式機動戦闘車を装備する偵察戦闘大隊へ。

 FH-70榴弾砲が特科火砲の威力を以て攻撃準備射撃を展開します。FH-70は39口径榴弾砲で最大射程は39km、欧州共同開発の火砲をライセンス生産したもので、1970年代を目指した設計ですが、世界ではこの後の榴弾砲開発が進まず、今なお第一線級の威力をもつ。

 特科部隊の支援下に第35普通科連隊の主力が展開を始めました。軽装甲機動車から続々と普通科隊員が下車戦闘を開始します。軽装甲機動車は我が国独自の運用要求に基づき国産化された小型装甲車ですが、乗車戦闘に適した装備ながら下車戦闘へも投入されています。

 第35普通科連隊は本部管理中隊施設作業小隊が障害除去の準備へ展開しています、70式地雷原処理装置は人員用通路を爆導索を投射し地雷を誘爆させ展開するものです。爆導索は地雷原処理の王道ですが、敵も防御装備である地雷原を護るべく地雷処理部隊が標的に。

 第10衛生隊が展開、敵の攪乱射撃により発生した負傷者を救出するべく展開する。1t半救急車は装甲防護や心電図始め高度医療の装備はありません、予算不足は分かるのですがNBC偵察車か輸送防護車の車体を用いた装甲救急車が師団全体で8輌ほど必要ではないか。

 FH-70の射撃で敵の攪乱射撃を制圧する、対砲兵戦の発動だ。特殊BB装薬を用いれば射程は39kmとなるのですが、世界の火砲は射程を50kmに伸ばすよりも40km先の目標に正確に命中させる標定能力とその迅速化が注力されていまして、自衛隊もこの点に熱心だ。

 74式戦車が特科部隊支援下に更に前進する。対戦車火器の脅威はありますが50m以下まで接近しますと大半の対戦車火器は発射後安全装置が作動しない、新しい戦車の間合いとなります。第二世代戦車の74式戦車防御力は高くはありませんが歩兵火器に対しては強い。

 普通科部隊は戦車が構成した混乱を時機として一気に突撃に移行します。ただ、戦車の機動力に随伴するにはもう少し装甲車が必要であり、そして戦車が廃止され16式機動戦闘車へ置き換わる為に、輸送防護車か96式装輪装甲車等、まだ安い、装甲車の充実が必須に。

 MINIMIの掃射に打倒された仮設敵、普通科部隊は7.62mm機銃を排して5.56mm分隊機銃へ統合しました。この施策は一時識者に無謀と指摘されましたが、ドイツ連邦軍のMG-5機銃はじめNATOでも7.62mm機銃を歩兵装備から廃止する事例が散見され始めました。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、敵戦車出現の急報に第5対戦車ヘリコプター隊が明野から駆け付けます。実に96機が調達されたAH-1S対戦車ヘリコプターですが後継のAH-64D戦闘ヘリコプターの調達が13機で打ち切られ、政府は中央で集中運用する方針へ切替えた。

 T-74戦車、AH-1S対戦車ヘリコプターにあっさり撃破されました。まわりから早かったなあ、かませ犬、はっやーい!と野次が飛ぶほどにT-74戦車は破壊されています。ソ連製T-72と同世代のT-74戦車、仮設敵として自衛隊行事ではまだ74式戦車と定番の激戦を広げる。

 AH-1S対戦車ヘリコプターが勝ち誇るように旋回する。結局延命改修という機会を富士重工と政府のAH-64D訴訟により逸しました。62機調達する予定を13機で取りやめた為に損失補てんを求める裁判、国が変な朝令暮改を行った事で防衛基盤は着実に瓦解してゆく。

 BTR-96装甲車が、俺が居る俺が残っている、と勝ち誇るように重機関銃を射撃し突如飛び出してきましたが、その直後にも猛烈な衝撃波と刹那おいて轟音が、そう、出た瞬間に我が74式戦車に撃破される。まわりから早かったなあ、かませ犬、はっやーい!と野次が。

 74式戦車が最後の敵の逆襲部隊を制圧し、状況は終了となりました。しかし守山駐屯地、年々建物が建て替えと取り壊しで風景が寂しく、更には名古屋市内ですが周りにタワーマンションなども無い為、ちょっと大きな地方都市、という情景が少々寂しかったですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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