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XUH-2新多用途ヘリコプター,令和元年明野航空祭にて初公開!富士重工SUBARU製新型機

2019-11-03 20:00:07 | 先端軍事テクノロジー
■ベル412EPI自衛隊仕様機
 最新鋭!。自衛隊最新装備XUH-2新多用途ヘリコプター、本日実施されましたその初公開の様子を紹介しましょう。

 XUH-2,自衛隊の最新鋭航空機です。令和元年航空学校明野駐屯地祭において初公開されました。XUH-2は現行のUH-1J多用途ヘリコプター後継となる航空機で、UH-1系統のヘリコプターを1960年代からライセンス生産を手がける富士重工SUBARUにおいて開発されました。現在試験中であるXUH-2は試験完了と共にUH-2として全国へ配備が開始される。

 UH-Xとして開発されました本機種は、高温や高標高地域での運用適合性や長距離洋上飛行能力と現行機種にたいする航続距離などの面での優位性、そして一機あたり12億円程度という取得性の高さを見込んでいました。12億円でこの種のヘリコプター、洋上飛行を行う機体となれば、世界では比較的大型の多用途ヘリコプターが担う任務となっています。

 NH-90やEC-225はじめ世界の多用途ヘリコプターは人員20値名前後を輸送する規模の機体へと趨勢が移っていまして、このために機体価格が概ね邦貨換算40億円前後が基本、自衛隊の12億円という水準は不可能な領域といえました。このため、海外製航空機を取得するという選択肢は中々ありません。NH-90等を選定すれば毎年2機程度しか調達できない。

 国産案は、OH-1観測ヘリコプターを原型とする案やエアバスX-9新型ヘリコプターの日仏共同開発案、川崎BK-117ヘリコプターの胴体延長型にアグスタウェストランドAW-169輸入案など、幾つかの野心的な試案が検討されていますが結局のところコスト面で見通しが立たず、富士重工が提示したベル412EPIの自衛隊仕様の国内生産へと収斂しています。

 ベル412EPIはUH-1B多用途ヘリコプターの発展型の一つであり、エンジンを双発化し安定性を強化するとともにローターを四枚翅化し操縦性を強化したベル412を更にグラスコックピットやエンジン系統を近代化したもので原型は2013年にカナダで初飛行しました、自衛隊向けの機体そのものは2018年12月25日に群馬県にて、初飛行を迎えています。

 自衛隊は候補機からもっとも手堅い候補を選んだといえました。富士重工はUH-1の派生型であるAH-1Sも生産しています。412の機体は警視庁や海上保安庁、そして警察以外の防災ヘリコプターにて見慣れた機種を自衛隊迷彩に改めた、という印象は拭えませんが、その分、技術的冒険を冒しておらず、配備は技術面で順調に進みましょう。機体はグラスコックピットを採用していますので、この点でUH-1Jよりも先進的な機体といえます。

 問題は大量配備されたUH-1Jを置き換え、更に全廃される観測ヘリコプターを補完するには毎年10機近い数を取得せねばなりません。我が国経済はデフレ経済の後になかなかインフレに転じず物価は安定していますがその文系財政庁の面で世界から取り残されつつあります、すると世界で比較的安価な機種であっても自衛隊には高価格ということにもなる。

 ただし、国産機は継続的に維持しなければ将来、限られた数を維持するだけでも大きな防衛費増額を求められることとなるでしょう。これまで防衛省や政府は調達計画を度々反故に、防衛産業へ経済的損害を強いてきました。XUH-2を自衛隊の新しい標準機として広く活躍する多用途ヘリコプターへと育てる政治と国民の覚悟が、必要なのかもしれませんね。

 明野航空祭にてXUH-2公開、この情報と共に明野駐屯地明野航空祭へ久々に進出したのですが、この日は併せて永らく自衛隊にて活躍しましたOH-6D観測ヘリコプターの航空学校祭における最後の飛行展示が行われると共にOH-1への任務引継式、そしてAH-64D戦闘ヘリコプターはいよいよ18日から飛行再開となる等、転換期の航空祭でもありました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (パラベラム9)
2019-11-04 07:19:38
コスト面が採用の決定打になった、というソースはどちらからですか?
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