■榛名防衛備忘録
富士総合火力演習に初公開された際の19式装輪自走榴弾砲の実物を見た際に砲員の座席があんまりだったことはいまでも鮮明に思い出せます。
欧州において装輪自走榴弾砲の世代交代の流れが巻き起こるのかもしれません、イギリス陸軍はRCH-155装輪自走榴弾砲の開発についてドイツ政府と首脳会談で合意に至りました。これは長年の懸案であったAS-90自走榴弾砲の後継砲を選定するもので、特に稼働数の少ないAS-90のうち一部をウクライナへ供与したため喫緊の課題でした。
RCH-155は、ドイツのKNDS社製ボクサー装輪装甲車の車体に52口径155mm榴弾砲の砲塔システムを搭載したもので、当初は暫定緊急調達されたスウェーデン製アーチャー自走榴弾砲や韓国製K-9自走榴弾砲がAS-90の後継と見做されていたため、降って湧いたRCH-155採用には驚かされましたが、ボクサーはイギリス次期装甲車でもある。
ピラーニャHMC,そして続いて驚かされたのはGDLS社が突如ピラーニャシリーズの最新型にHMCという十輪型を発表したのです、もっともピラーニャシリーズを開発したスイスのモワク社は1990年代に105mm砲搭載の軽戦車型として十輪型を発表こそしていましたが、今回発表されたのは後部をモジュールスペースとした多目的型でした。
GDLS社は後部モジュールには17tまでの様々な装備を搭載可能としていて、地対空ミサイルシステムや戦車橋と指揮通信車両としての用途に加えて間接照準砲兵システムの搭載を提案しており、即ちKNDS社に続く形でGDLS社も装輪自走榴弾砲を提案した事となります、そしてこれらは装甲車体を有しており、高い防御力を持つということ。
カエサル装輪自走榴弾砲、さて2020年代までは、チェコや南アフリカなど一部の例外はあるものの装輪自走榴弾砲とはトラック車体に火砲を積載した簡易的な自走榴弾砲でした。もちろんボルボ装甲トラックに自動装填装置付き火砲を搭載したスウェーデンのアーチャー自走榴弾砲などもあるにはありますが、トラック自走砲がその代名詞でした。
19式装輪自走榴弾砲もその系譜にありますが、トラック自走砲は問題点として装填など砲手が陣地進入と共に降車し射撃準備を行う必要があったのです、これは同時に砲手や装填手が暴露した状態であり、射撃準備に時間を要するとともに仮に敵砲兵の曳火射撃を受けた場合には陣地変換が一瞬でも遅れるならば大損害を被る事に他なりません。
G6自走砲、世界の砲兵装備を見るならば南アフリカが開発したG6自走砲は、52口径ではなく若干砲身の短い45口径155㎜榴弾砲ではありますが、砲塔式を採用した事例は存在していますが、G6は車幅が3.5mもあり高速道路網や鉄道貨物輸送などを度外視する設計でした、この点RCH-155は車体がボクサー、戦略機動性をある程度考慮している設計なのです。
FH-70榴弾砲のような39口径の牽引砲に対してトラック自走砲はもともと牽引砲の延長線でしかなかったのではないか、即ち52口径の長砲身を牽引することは前駆用が長すぎるために現実的ではなく、引っ張れないから牽引車に載せただけではないのか、これはカエサルが1990年代に開発されつつ正式採用まで10年を要した背景の一つ。
RCH-155の開発、一見して重心が高すぎるよう危惧するのですが、この点で問題が無いならば、この誕生は、1950年代にM-108,M-109といった密閉砲塔を有する自走砲が開発されたことで装軌式車体に火砲を直載せした自走榴弾砲が一気に陳腐化したような、世代交代を呼ぶかもしれません、それは19式装輪自走砲も例外ではないのかもしれない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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富士総合火力演習に初公開された際の19式装輪自走榴弾砲の実物を見た際に砲員の座席があんまりだったことはいまでも鮮明に思い出せます。
欧州において装輪自走榴弾砲の世代交代の流れが巻き起こるのかもしれません、イギリス陸軍はRCH-155装輪自走榴弾砲の開発についてドイツ政府と首脳会談で合意に至りました。これは長年の懸案であったAS-90自走榴弾砲の後継砲を選定するもので、特に稼働数の少ないAS-90のうち一部をウクライナへ供与したため喫緊の課題でした。
RCH-155は、ドイツのKNDS社製ボクサー装輪装甲車の車体に52口径155mm榴弾砲の砲塔システムを搭載したもので、当初は暫定緊急調達されたスウェーデン製アーチャー自走榴弾砲や韓国製K-9自走榴弾砲がAS-90の後継と見做されていたため、降って湧いたRCH-155採用には驚かされましたが、ボクサーはイギリス次期装甲車でもある。
ピラーニャHMC,そして続いて驚かされたのはGDLS社が突如ピラーニャシリーズの最新型にHMCという十輪型を発表したのです、もっともピラーニャシリーズを開発したスイスのモワク社は1990年代に105mm砲搭載の軽戦車型として十輪型を発表こそしていましたが、今回発表されたのは後部をモジュールスペースとした多目的型でした。
GDLS社は後部モジュールには17tまでの様々な装備を搭載可能としていて、地対空ミサイルシステムや戦車橋と指揮通信車両としての用途に加えて間接照準砲兵システムの搭載を提案しており、即ちKNDS社に続く形でGDLS社も装輪自走榴弾砲を提案した事となります、そしてこれらは装甲車体を有しており、高い防御力を持つということ。
カエサル装輪自走榴弾砲、さて2020年代までは、チェコや南アフリカなど一部の例外はあるものの装輪自走榴弾砲とはトラック車体に火砲を積載した簡易的な自走榴弾砲でした。もちろんボルボ装甲トラックに自動装填装置付き火砲を搭載したスウェーデンのアーチャー自走榴弾砲などもあるにはありますが、トラック自走砲がその代名詞でした。
19式装輪自走榴弾砲もその系譜にありますが、トラック自走砲は問題点として装填など砲手が陣地進入と共に降車し射撃準備を行う必要があったのです、これは同時に砲手や装填手が暴露した状態であり、射撃準備に時間を要するとともに仮に敵砲兵の曳火射撃を受けた場合には陣地変換が一瞬でも遅れるならば大損害を被る事に他なりません。
G6自走砲、世界の砲兵装備を見るならば南アフリカが開発したG6自走砲は、52口径ではなく若干砲身の短い45口径155㎜榴弾砲ではありますが、砲塔式を採用した事例は存在していますが、G6は車幅が3.5mもあり高速道路網や鉄道貨物輸送などを度外視する設計でした、この点RCH-155は車体がボクサー、戦略機動性をある程度考慮している設計なのです。
FH-70榴弾砲のような39口径の牽引砲に対してトラック自走砲はもともと牽引砲の延長線でしかなかったのではないか、即ち52口径の長砲身を牽引することは前駆用が長すぎるために現実的ではなく、引っ張れないから牽引車に載せただけではないのか、これはカエサルが1990年代に開発されつつ正式採用まで10年を要した背景の一つ。
RCH-155の開発、一見して重心が高すぎるよう危惧するのですが、この点で問題が無いならば、この誕生は、1950年代にM-108,M-109といった密閉砲塔を有する自走砲が開発されたことで装軌式車体に火砲を直載せした自走榴弾砲が一気に陳腐化したような、世代交代を呼ぶかもしれません、それは19式装輪自走砲も例外ではないのかもしれない。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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