■臨時情報ーウクライナ情勢
マリウポリの無差別砲撃はかつて満洲へのソ連軍侵攻での被害を見るようで中々辛いものがある。
ロシア軍の進撃がここ数日間停滞している、イギリス国防省高官の分析をBBCやロイターが報じたのが四日前の17日ですが、その後もロシア軍はキエフやハリコフ周辺での大きな前進をみせていません。これはロシア軍BCT大隊戦闘群の砲兵重視と機械化重視という編成が影響を及ぼしているのかもしれません。BCTの火力は開戦前こそ脅威とされましたが。
BCT大隊戦闘群の火力は強力です、歩兵大隊を支援する為に長射程の砲兵大隊を有しており、本来は師団火力であるロケット砲兵による全般支援火力も有しています。これは2014年クリミア侵攻とウクライナ東部紛争において砲兵火力によりウクライナ軍を圧倒した経験も影響しているのでしょうが、弾薬は有限、火砲にはBL弾薬基数という制約があります。
火力は強力ですが、BL弾薬基数とは一会戦を戦う所要弾薬というもの。BL弾薬基数は火砲一門当たり100発程度、自走榴弾砲は瞬発で毎分6発程度と持続射撃でも毎分2発は射撃しますので一時間も撃てば車載弾薬、射撃を続けるには補給が必要です。通常は部隊のトラック等でもう一基数増加携行するものですが、撃ち続ければ数十分で射耗してしまう。
砲兵重視は火力が大きく頼もしいものですが、結局最後の段階で必要なものは歩兵です。しかしBCT大隊戦闘群は砲兵の比重が大きく、歩兵大隊の戦闘群なのか砲兵大隊の戦闘群なのかという程の比重です、一方で歩兵は近接戦闘により撃ちあえば死傷率が高い、近接戦闘部隊の宿命があります。すると歩兵が百名死傷するだけでBCTの歩兵は半減します。
攻撃衝力、歩兵を失いますと攻撃を持続した場合でも占領が出来ません。現在ロシア軍は市街地への無差別砲撃を行い世界から批判に曝されていますが、歩兵を前に出せない以上は充分有る砲兵を使わざるを得ない状況なのでしょう。しかし前述の通り、火砲が多いという事は弾薬消費量が多い為、補給の問題が深刻化していることとなります。そして更に。
機械化が進んでいる。BCT大隊戦闘群は戦車10両と装甲戦闘車40両を中心として高度に機械化されていますが、装軌車輛などは特に戦車等は1リットル数百m程度の燃費です、動けばそれだけ燃料が消費しますが、動かなくともアイドリングだけで相当燃料を消費します、アイドリングを行う理由は襲撃を受けた際にエンジンが停止していれば退避不能だ。
機械化部隊の燃料消費量は大きい。この為に、ウクライナのような広大な国土を有する国を侵略する際には、十数kmおきに補給拠点を構築する事が望ましいのですが、ウクライナ軍の戦闘がこれを阻んでいます。一つは軽歩兵部隊や機械化部隊の分散運用とC4Iによる集合分散の迅速化、一つは市販ドローンも含めた無人偵察機の多用による情報優位です。
C4Iによる集合分散迅速化、ウクライナ軍は2014年のクリミア併合時代と比較し電子戦能力と軍事通信基盤を強化しています。これにより、普段は目標とならないよう分散している部隊が攻撃の際には即座に集合し打撃力を構成する、喩えは変ですが普段は社会の隅々に分散する艦船愛好家、空母横須賀入港の際に情報一つで数時間後一万人集まるのと同じ。
無人偵察機の多用も大きいもので、例えば動かない車列やロシア軍の攻勢情報、また野外補給拠点を無人機が発見しますと、ロシア軍は一番叩かれたくない場所と襲われては困る時間帯に攻撃を加えます。敵部隊を発見したら接触を維持するのが原則ですが、攻撃を受けると偵察部隊等は接触を維持できない事があります、しかし、無人偵察機は可能という。
無人偵察機は偵察部隊と違い万一撃墜されたとしても市販の無人機ならば変な話、小銃と同じくらいの費用です、落とされた操縦士はがっかりするかもしれませんが、命は落とされません。そしてロシア軍の電子戦能力は当初考えられたより格段に低く、無人機運用拠点を発見する事が出来ないでいる。こうした状況がロシア軍を停滞させているのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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マリウポリの無差別砲撃はかつて満洲へのソ連軍侵攻での被害を見るようで中々辛いものがある。
ロシア軍の進撃がここ数日間停滞している、イギリス国防省高官の分析をBBCやロイターが報じたのが四日前の17日ですが、その後もロシア軍はキエフやハリコフ周辺での大きな前進をみせていません。これはロシア軍BCT大隊戦闘群の砲兵重視と機械化重視という編成が影響を及ぼしているのかもしれません。BCTの火力は開戦前こそ脅威とされましたが。
BCT大隊戦闘群の火力は強力です、歩兵大隊を支援する為に長射程の砲兵大隊を有しており、本来は師団火力であるロケット砲兵による全般支援火力も有しています。これは2014年クリミア侵攻とウクライナ東部紛争において砲兵火力によりウクライナ軍を圧倒した経験も影響しているのでしょうが、弾薬は有限、火砲にはBL弾薬基数という制約があります。
火力は強力ですが、BL弾薬基数とは一会戦を戦う所要弾薬というもの。BL弾薬基数は火砲一門当たり100発程度、自走榴弾砲は瞬発で毎分6発程度と持続射撃でも毎分2発は射撃しますので一時間も撃てば車載弾薬、射撃を続けるには補給が必要です。通常は部隊のトラック等でもう一基数増加携行するものですが、撃ち続ければ数十分で射耗してしまう。
砲兵重視は火力が大きく頼もしいものですが、結局最後の段階で必要なものは歩兵です。しかしBCT大隊戦闘群は砲兵の比重が大きく、歩兵大隊の戦闘群なのか砲兵大隊の戦闘群なのかという程の比重です、一方で歩兵は近接戦闘により撃ちあえば死傷率が高い、近接戦闘部隊の宿命があります。すると歩兵が百名死傷するだけでBCTの歩兵は半減します。
攻撃衝力、歩兵を失いますと攻撃を持続した場合でも占領が出来ません。現在ロシア軍は市街地への無差別砲撃を行い世界から批判に曝されていますが、歩兵を前に出せない以上は充分有る砲兵を使わざるを得ない状況なのでしょう。しかし前述の通り、火砲が多いという事は弾薬消費量が多い為、補給の問題が深刻化していることとなります。そして更に。
機械化が進んでいる。BCT大隊戦闘群は戦車10両と装甲戦闘車40両を中心として高度に機械化されていますが、装軌車輛などは特に戦車等は1リットル数百m程度の燃費です、動けばそれだけ燃料が消費しますが、動かなくともアイドリングだけで相当燃料を消費します、アイドリングを行う理由は襲撃を受けた際にエンジンが停止していれば退避不能だ。
機械化部隊の燃料消費量は大きい。この為に、ウクライナのような広大な国土を有する国を侵略する際には、十数kmおきに補給拠点を構築する事が望ましいのですが、ウクライナ軍の戦闘がこれを阻んでいます。一つは軽歩兵部隊や機械化部隊の分散運用とC4Iによる集合分散の迅速化、一つは市販ドローンも含めた無人偵察機の多用による情報優位です。
C4Iによる集合分散迅速化、ウクライナ軍は2014年のクリミア併合時代と比較し電子戦能力と軍事通信基盤を強化しています。これにより、普段は目標とならないよう分散している部隊が攻撃の際には即座に集合し打撃力を構成する、喩えは変ですが普段は社会の隅々に分散する艦船愛好家、空母横須賀入港の際に情報一つで数時間後一万人集まるのと同じ。
無人偵察機の多用も大きいもので、例えば動かない車列やロシア軍の攻勢情報、また野外補給拠点を無人機が発見しますと、ロシア軍は一番叩かれたくない場所と襲われては困る時間帯に攻撃を加えます。敵部隊を発見したら接触を維持するのが原則ですが、攻撃を受けると偵察部隊等は接触を維持できない事があります、しかし、無人偵察機は可能という。
無人偵察機は偵察部隊と違い万一撃墜されたとしても市販の無人機ならば変な話、小銃と同じくらいの費用です、落とされた操縦士はがっかりするかもしれませんが、命は落とされません。そしてロシア軍の電子戦能力は当初考えられたより格段に低く、無人機運用拠点を発見する事が出来ないでいる。こうした状況がロシア軍を停滞させているのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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