北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊とスーパーハーキュリースの可能性【3】 戦術輸送機へ求められる不整地離着陸能力の度合

2016-02-09 21:22:24 | 先端軍事テクノロジー
■戦術輸送機と不整地運用
 C-2輸送機よりもC-17中古機若干数とC-130Jを導入すべきとの指摘を受けその可能性を図る連載の第三回です。

 C-130H輸送機後継機にC-130J輸送機が選定される可能性ですが、航空自衛隊がどの程度路外離着陸能力と不整地運用を重視しているかによるものがあります、C-1輸送機に不可能ではあるがC-130輸送機には可能であること、これは滑走路以外の不整地への着陸能力、着陸した不整地からの離陸能力です。なにしろC-130輸送機は着陸装置が頑丈ですので平らな所ならば例えば習志野演習場のような場所を含め何処でも発着できる。

 C-2輸送機も未舗装滑走路や誘導路は可能であっても不整地発着能力は要求されておらず、降着装置特性からその能力は無いものと解されています。もちろん、C-2輸送機は短距離離着陸性能がC-1と同様に高く、前線飛行場や誘導路への着陸能力を有していますので、戦術輸送任務への能力は高く、またC-1輸送機以上に高い巡航速度性能を有し、戦域間輸送機としての能力は特筆すべき点を忘れてはなりません。

 そこでC-130J輸送機が航空自衛隊へ導入される可能性に不整地発着能力の重視度により左右されるであろう、と挙げた訳ですが、元々のC-130輸送機が何故不整地発着能力を重視したのかを理解する必要があります。元々C-130輸送機はアメリカ空軍による空挺部隊輸送任務を重点として不整地発着能力を重視したもので、これは第二次世界大戦中のグライダーによる車両空輸任務、当時は車両輸送を念頭とした輸送機が稀有であった為、車両輸送をグライダーに依存していた為で、この能力を戦術輸送機へも求めた事にあり、胴体着陸さえ設計に盛り込みました。

 戦術輸送任務には戦闘機部隊が展開する前線飛行場への戦闘支援物資継続的補給という任務と陸上作戦の支援任務という二つの要素が大きいのですが、アメリカは空挺軍団と空挺師団を維持し緊急展開任務を重視していた為、輸送機にも飛行場以外での理発着能力を求め、具体的にはC-130輸送機は、重量物を搭載し不整地の草原などに胴体着陸し重量物を卸下し、軽くなった機体を強力な油圧系統に依拠し車輪を強引に展開させ機体を持ち上げ、そのまま胴体着陸から回復し離陸するという離れ業も想定し、設計にも反映しています。

 C-1輸送機の発想は開発された時期の東海道新幹線に近いもので、輸送力を高めるには巡航速度をジェット化することで高め一日当たりの輸送本数を増大させる、というものでしたが、当時はジェット機により不整地運用を行う際、砂塵の流入防止機構を持った汎用ジェットエンジンに適当な機種が無く、ソ連が1971年に初飛行を果たしたイリューシンIl-76やアメリカの1963年に初飛行を果たしたC-141スターリフターなど、実現例も少ない。

 航空自衛隊ですが、不整地発着訓練を実施しているものの、舗装されていなくとも離発着する、という程度で、アメリカ軍がC-130輸送機に想定したような胴体着陸運用は採りません、実際、胴体着陸運用は機体を使い捨てとする覚悟が必要であり、15機のC-130H輸送機を装備する航空自衛隊において実施すれば、実任務は勿論、平時の訓練においても全損する機体が出かねません、1000機以上のC-130輸送機を装備したアメリカ軍だからこそ機体よりも優先する任務を念頭に機体寿命を大きく減退させ、場合によってはそのまま機体が破損する可能性があったとしても投入するとの選択肢があった、運用といえましょう。

 実際、C-46輸送機を運用中の時点では不整地発着運用そのものを行っていません、エンジン配置上C-46輸送機は胴体着陸すれば確実にエンジンを破損する低翼配置であるのですが、訓練体系として取り入れていないのです。ただ、丘珠飛行場等未舗装滑走路をもつ飛行場へ着陸実績は有り、更に元々C-46輸送機が設計された1930年代末には舗装滑走路よりも無舗装滑走路の方が一般的であったため、路外での運用、未舗装滑走路での運用と未舗装滑走路にある程度の障害物、通常の舗装滑走路よりも小石などが散乱する状況での運用がもりこまれていますので一概には言えないことですが、一方で航空自衛隊がC-130H輸送機導入以前に不整地発着能力を重視しなかったことは確かです。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第三〇回):航空防衛力、臨時分屯基地と分散展開の基地防空と警備任務

2016-02-08 22:21:05 | 防衛・安全保障
■分散展開の基地防空
 主要基地に集結し一撃で全滅、という状況を回避するために臨時分屯基地へ分散配置する提案を示しましたが展開先の臨時分屯基地には防空等支援はありません、滑走路と管制設備や民間機格納庫に給油施設がある程度です。

 航空団は全ての分遣部隊として臨時分屯基地へ基地防空隊を配置する事は物理的に難しいですが、しかし機動運用部隊として機動運用可能な基地防空隊を配置することは出来るでしょう。また、機動防空隊として携帯地対空誘導弾部隊を配置する事はできます。例えばアメリカ海兵隊などは前線飛行場防空へスティンガー小隊を配置し、防空の傘を供しています。

 スティンガー小隊は27基のスティンガーを配置しており、射手と射撃指揮官が防空に当たります。同様の機能を有する91式地対空誘導弾と共に航空自衛隊へ装備されているものですが、IFF入力や射撃安全装置解除や再装填と電源接続等、一見簡単に見える携帯地対空誘導弾ですが迅速に射撃するには一定の練度が必要です、他方、射程は4kmから5kmあり、防空情報に連接し脅威方向標定さえ充分できるならば非常に強力な火器です。

 航空自衛隊の場合は、27基の携帯地対空誘導弾を運用する場合、分散運用するという観点と射撃陣地構築の支援という観点から、スティンガー小隊に機関銃小隊を加え、航空自衛隊には適当な機種がありませんが軽量で可搬性が高い機関銃を運用し、分遣隊を運用する場合には機関銃班とスティンガー班を合わせて分遣防空チームとして機動させるという選択肢が妥当でしょう。

 機関銃はヘリボーン攻撃への対処能力が一定水準ありますし、スティンガー等携帯地対空ミサイルの最低射程内側へ侵入される事への防空が可能です。ただ、適当な機種が無い、と記載したとおり、例えば12.7mm重機関銃ですと対空三脚を加えかなりの重量となります。携帯地対空ミサイルのコンテナよりも大きくなる点に加え、機関銃の利点は瞬発交戦能力なのですから、30口径機関銃を採用する必要性について一考の余地があるやもしれません。

 飛行中隊規模の展開に際し臨時分屯基地には防空へ丸裸で展開させるわけではありません、ここで分遣防空チームの運用です。その主眼は飛行隊が必要とする機材など戦闘機を展開させる場合には持ち込まなければならない器材も非常に多いのですから、実質的には携帯地対空誘導弾2セットから4セット、機関銃数丁、というところが限度でしょう。もう少し展開できそうな印象がありますが、臨時分屯基地への脅威は空からだけではない。

 即ち、警備小隊を派遣し、飛行中隊の分散展開する各戦闘機を防護しなければなりません。8機展開させるにしても、一箇所に纏めておきますとクラスター爆弾の一発で破壊されかねず、2機毎、可能ならば1機1機を離隔し展開させたいところですが、そうしますと今度は敵浸透特殊部隊の対物狙撃銃や対戦車ロケット等により破壊されかねません。場合によっては軽装甲機動車の派遣も求められ、初動展開の装備は大きくなるばかり。

 一方、護衛艦への僚艦防空能力による支援の期待、とは、臨時分屯基地が軌道に乗るまでの期間、臨時分屯基地を巡航ミサイル攻撃や航空攻撃から警戒するレーダーピケット艦として、また、搭載する発展型シースパローESSMにより臨時分屯基地の防空支援を担う部分を期待する、というところ。海軍統合防空火器管制能力、所謂NIFC-CAによりレーダーピケット任務はE-2Dにより対応できるかもしれませんが、ESSMの運用能力は心強い。

北大路機関:はるな くらま
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北朝鮮ミサイル実験実施!KN-08大陸間弾道弾か先島諸島上空を通過し太平洋へ

2016-02-07 22:00:23 | 国際・政治
■北朝鮮ミサイル実験実施!
 本日、北朝鮮がミサイル実験を強行しました。核実験に続く北朝鮮の国連安保理決議と国際公序を無視したミサイル実験の概要を見てみましょう。

KN-08大陸間弾道弾、北朝鮮がロケットモーターなどの試験を実施し改良を行った新型弾道弾の技術検証の発射実験と考えられる2016年北朝鮮ミサイル実験は本日0941時、政府から防衛省自衛隊が確認した情報として北朝鮮から沖縄県地方を経由し太平洋方面へミサイルが発射されたとして自治体へJアラート緊急送信網を用い警報を、自治体は防災行政無線を通じ警報を発令しました。アラート=全国瞬時警報システムは、緊急時の警報システムで広く沖縄県内の県民や観光客の携帯電話へも自動送信されています。ミサイル発射を受け、沖縄県ではミサイル警報が発令、万一に備え航空自衛隊が迎撃態勢に入ると共に沖縄都市モノレールは緊急停車し、県内の一部公共施設を一時閉鎖するなどの措置を採りました。政府は0945時までにミサイルは太平洋上に落下したと発表、米軍と韓国軍が得た情報を共有する事で今回の北朝鮮ミサイル実験の全容が判明してゆきます。

自衛隊は迎撃態勢を強化しました。海上自衛隊はイージス艦を東シナ海会場へ展開、一方航空自衛隊は破壊措置を実施する際に備え、迎撃ミサイルであるペトリオットミサイルPAC-3を先島諸島の石垣市及び宮古市へ展開、宮古市への迎撃部隊は昨夜のうちに展開し、石垣市への展開は本日午前中となる予定でしたが、発射実験の前倒しを受け0300時に入港、未明までに展開を完了しました。自衛隊法に基づくミサイル破壊措置命令に併せ、陸上自衛隊及び航空自衛隊は、那覇市、宮古島市、石垣市、与那国町、多良間村、以上五市町村へ災害派遣要請や情報収集に当たる部隊を展開させました。ペトリオットミサイル部隊は沿岸部の海浜公園などに射撃陣地を決定し発射装置を陣地進入、その周辺部には小銃を携行する警備要員を配置し不測の事態へ備えました。

北朝鮮ミサイルは、0931時頃発射、0937時に切り離された燃料タンクと思われる一部が朝鮮半島西方150kmの海上に落下、更に分解した二群が0939時頃に朝鮮半島南西沖250kmへ落下し、0941時に沖縄県上空に到達します、その高度は500kmとされ0945時頃、我が国南方2000kmの海上へ落下し、一部は宇宙空間へ到達した可能性がある、と発表されました。アメリカ戦略軍司令部はこの後にミサイルの一部は宇宙空間へ達したと発表しています。アメリカ国防総省は今回の弾道ミサイルに対して、アメリカ本土の国民を危険にさらすものではない、としていますが、今回の弾道ミサイルの射程はアメリカ本土西海岸から東海岸までのアメリカ東部を射程に含むものとされます。

破壊措置命令は、ミサイルの破片などが日本本土を広く外れ飛翔しており、燃料タンクなどの分離も確認されなかったことから実行されませんでした。一方、北朝鮮は今回国際海事機関へミサイル実験を通告していますが、その際に示されたミサイル実験区域を一部が大きく外れ飛翔しており、ミサイルのロケットモーター燃焼が予定以下で収束し落下した異常発生の可能性などが指摘されています。ミサイル発射に伴う被害ですが、総務省消防庁は沖縄県内で、国土交通省海上保安庁は南西諸島周辺海域を航行する船舶に対し地域航行警報を発令しており発射を確認後、安全確認を実施しました、1055時には海上保安庁が被害情報なしとの発表、総務省消防庁も確認の結果国内の陸上へミサイル破片の落下などの情報やこれに伴う被害がなかった事を発表しました。

日本政府は即座に行動へ移りました。外務省は1010時に中国北京の大使館を経由し抗議文を提出すると共に、国連安全保障理事会緊急会合の開催を安全保障理事会理事長国であるベネズエラに対し、アメリカ政府と連名で要請し、併せて安倍総理は日本独自の北朝鮮への制裁措置を採るとの方針を発表しました。明日からの国会においてこの方針が討議される事となります。なお、中谷防衛大臣は今回のミサイル発射を受け、続いてミサイルが発射される可能性があるとして破壊措置命令を継続することとしており、首都圏と先島諸島及び沖縄本島での迎撃態勢は当面維持されるとのこと。

今回の弾道ミサイルは、一段目が270の部品に分解し落下したと韓国軍により確認され、韓国軍発表ではミサイルの先端カバーをイージス艦が回収に成功したとしており、今後検証が進められることとなります。一段目は六分、先端部のカバーは八分後、北朝鮮が予告した海域へ落下したもののその所要時間は短縮されており、個の短縮はエンジン部分の改良によりミサイルの速力が増大した可能性が指摘されています。また、ミサイルの先端部分は北朝鮮の予告海域よりも遠くに落下しており、燃料制御技術などミサイルロケットモーターの技術に改良の余地があるのではないか、との見方ができるでしょう。今回の弾道ミサイルは射程からアメリカ本土を標的とするものであり、今後、アメリカ政府がこの脅威をどのように受け取るかにより国際関係へ影響するとともに、北朝鮮のミサイル技術向上は、日本本土を標的とするノドンミサイルの改良、特に核弾頭の運搬技術を開発する事にも繋がり、我が国にとり死活的重要性を以て見守るべき事案でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第四五回):装甲機動旅団編制案の概要 最前線に向かう需品科と直接支援中隊

2016-02-06 22:38:55 | 防衛・安全保障
■最前線に向かう需品科
広域師団について戦略輸送という輸送科の任務を前回論議しましたが、戦略機動から戦闘加入までの需品科の任務を中心に考える事としましょう。

装甲機動旅団は従来の防御戦闘に優位し機動打撃力をその基本運用とし、骨幹戦力は跳躍前進するため、後方支援部隊についても機動力を強化しなければ随伴不能となります、また、非装甲車両をこの種の任務へ多用する事は後方支援部隊の脆弱性を高める為、一定程度の装甲車両充足が必要となります、この上で連隊戦闘団へ配属される直接支援中隊についてですが、段列地域からの補給物資の配布部隊と、整備部隊が戦闘継続に必要となります。

段列地域への物資集積はコンテナを用いるとの選択肢を前回までに提示しましたが、弾薬一つとってもその総量は膨大です。戦車中隊1個でもAPFSDS弾とHEAT-MP弾を併せ一基数の弾薬は800発に上り、弾薬コンテナ換算で400箱、重量に換算して30t近くなり3t半トラックに約10両必要となります。また装甲機動旅団は戦車を十分持たない部分の攻撃衝力を装甲戦闘車に依存するため、対戦車誘導弾に機関砲弾の輸送を含め多くの装備が必要となるでしょう。

あらゆる装備をコンテナ輸送出来るのですが、最前線までコンテナで輸送する事は論外です。戦闘継続物資は、弾薬は勿論、液体貨物についてさえ段列地域へはコンテナ輸送により、例えばISOタンクコンテナ等を用いる事で大量に集積可能となりますが、機動打撃を行う以上部隊は前進するため、段列もISOタンクコンテナから3t半燃料タンク車等の車両により第一線へ展開させなければならず、直接支援中隊隷下に配布部隊、配布班を置き補給線を維持しなければなりません。弾薬は第一線部隊に配布する一基数に加え、段列地域へ一基数、旅団が更に二基数を増加配備する、という形が考えられるところ、そこで配布部隊が重要となる。

直接支援中隊配布部隊について、装甲機動旅団の骨幹戦力となる連隊戦闘団機械化大隊は膨大な燃料を必要としまして、3t半燃料タンク車の最大積載量となる5100kgの燃料であっても100km単位の機動打撃を展開する場合には、一定以上の多数を展開させなければなりません、しかし、この種の車両は高付加価値目標として連絡線上の遊撃部隊標的となり易く、第一線補給は適宜満タンの状態を念頭に木目細やかな補給を維持する事が望ましい。

装甲型3t半トラックが運用されていますが、絶対条件は攻撃前進を続ける状況に合おいては補給のために損傷していない車両を後方の段列地域まで戻し補給させることはできません、数が限られている為です。この観点から更に進んだ、軽装甲機動車を原型とし間接車両のようなかたちで補給機動車両に当てるというような装甲補給車両も必要となるかもしれません。

補給機動車両についてはそのまま1tトレーラ4WS対応型に載せ従来型の軽装甲機動車を牽引車両として充てる方式が最も迅速に実現する施策ではありますが、軽装甲機動車後部を開放し企図し、連接車両のような大型の貨物区画を配置した上で、後部に駆動しない車輪を配置する六輪式車体延長型を充てられるならば、例えば米軍が構想していたFTTS-MS装甲トラックに類する車両とすることができるやもしれません。

補給機動車両、配布部隊へ1/4tトレーラと1tトレーラ4WS対応型を牽引する第一線補給部隊への配布任務に充てる事が方策として考えられます、段列地域との連絡線を迅速かつ安全に展開できなければなりません。配布任務は前方地域との競合地域へ展開するPLSトラックを基点として、分散する機械化部隊に対し軽装甲機動車化配布車両へ装備を分割し、各車両ごとへ配布する、もしくは野外配布合流地を画定し情報共有した上で配布することとなります。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.02.06/07)

2016-02-05 23:36:33 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 毎週お天気の話をしていましたが頭上には今週弾道ミサイルの気配が日本海の対岸より漂いつつあります。

 今週末の自衛隊関連行事は航空祭や駐屯地祭と基地祭ともに行われる予定がありません、ミサイル破壊措置命令発令に伴い全国の弾道ミサイル迎撃部隊が待機態勢となり、沖縄へ航空自衛隊のミサイル迎撃部隊の展開が開始され、前回と同様の迎撃態勢を採るのであれば陸上自衛隊の沖縄救援隊の派遣も実施されるやもしれません。

 海上自衛隊桟橋週末一般公開について、先週に続きミサイル破壊措置命令発令に伴い艦艇の出入作業や桟橋埠頭警戒要員の配置への変更などの関係から一般公開そのものにつきましても変更の可能性があります、広報も報道対応等で多忙を極める時期で、舞鶴基地、佐世保基地、呉基地、週末艦艇広報一般公開については各基地HPにて足を運ばれる前に最新の情報をご確認ください。

 最後にお詫び。先週の自衛隊関連行事に就きまして実施予定なし、としましたが、先週末の土曜日に那覇基地において第9航空団創設記念行事ブルーインパルス祝賀飛行が行われ、その予行へ広報として那覇基地が一部開放されたとのことでした。基地では装備品展示も行われたとの事で、今後の行事紹介に際しては更に様々な行事予定をお伝えできるよう努力いたします。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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X-2:ATD-X(先端技術実証機)、名古屋空港三菱重工小牧南工場から今月中に初飛行方針

2016-02-04 22:14:03 | 先端軍事テクノロジー
■X-2:ATD-X(先端技術実証機)
 X-2,防衛装備庁は開発を進めてきました先端技術実証機ATD-Xについて今月中の初飛行に向け調整を進めているとのこと。

 X-2はATD-X先端技術実証機として2009年より機体政策が進められている実験機で、F-2支援戦闘機後継機として進められる第五世代戦闘機としての国産戦闘機、この為に開発された各種先端技術を航空機として進空させる新型航空機です。第五世代戦闘機は、その生存性についてステルス性を軸とし高度な運動性能と空対空を中心に多目的戦闘機としての性能を盛り込んだ航空機です。あくまで実験機であるため、これを元に量産機を開発しF-3戦闘機,となる訳ではありませんが、戦後航空技術史の新しい1頁を刻む航空機となる事もまた間違いありません。

 第二次大戦中に世界第一線級の戦闘機や爆撃機と攻撃機に偵察機等あらゆる航空機を国産しました我が国は、戦後の航空機製造を連合国によりその航空機開発の中断を余儀なくされましたが、航空機開発解禁と共に海外航空機を用いた多種多様な実験機による徒手空拳に近い技術開発と研究を経て、例えば固定翼機に限っても、初のジェット練習機T-1,超音速練習機T-2と支援戦闘機F-1,エンジンを含め亜音速機ながら純国産を達成したT-4練習機、改良を軸とした哨戒機P-2J,ジェット輸送機C-1,世界水準に位置する飛行艇PS-1,US-1,US-1A,US-2,日米共同開発のF-2,など様々な航空機を開発してきました。

 しかし、戦闘機用低バイパス比高出力エンジンの開発を中心に戦闘機開発では我が国に経験がなく、イギリス製エンジンを採用したF-1支援戦闘機にアメリカ製エンジンを採用したF-2支援戦闘機、ライセンス生産によるF-86やF-104にF-4EJとF-15,最終組み立てに留まるF-35Aなど、国産技術は留まり、更に安倍内閣以前は武器輸出三原則により多国間共同開発への参画も日米共同開発に一部の限定された参画に留まるなど防衛鎖国政策を自らに課しており、これが結果的に独立した防衛政策の道を防衛調達の面から遠ざける結果となっています。

 この部分について、防衛装備庁と航空自衛隊の一部では念願として航空自衛隊が求める充分な性能を有するだ一線戦闘機の国産という悲願があり、防衛政策が外交政策に左右されない独立性を持つ装備の象徴としての国産戦闘機を求める政治の要求もありました、この視点から防衛装備庁は防衛庁技術研究本部時代から長きにわたる戦闘機構成要素を部分部分に区分して進めており、特にステルス性を航空力学以上に重視した第五世代戦闘機に必須となる機体制御技術フライバイワイア等については1970年代より継続してきました。

 今回明らかにされたATD-Xの実験機名称X-2は、現在かかみがはら航空宇宙博物館に保存されている技術研究本部実験機X-1に続く航空機となり、今後は今月中の間もなくの時期に地上滑走試験を開始、初飛行を行ったうえで岐阜基地へ空路移動し、本格的な技術試験へ供せられると発表されています。新しい戦闘機となるまでにはまだ十数年を要する事にはなるのですが、X-1からX-2まで時間はおおきくあいたものの、航空機の形として達成する事が出来た背景には技術開発と蓄積の継承が長期的に維持された防衛政策と技術研究の証左に他ならず、その開発する技術力そのものが大きな抑止力となるでしょう。

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北朝鮮長距離弾道ミサイル実験、国際海事機関へ2月8日~25日実施を通知 沖縄上空飛行

2016-02-03 21:41:11 | 防衛・安全保障
■ミサイル破壊措置命令発令中
 北朝鮮は発射準備の兆候が指摘される長距離弾道ミサイル試験について今月8日から25日までの期間に発射すると発表しました。

 これはIMO国際海事機関へ航路危険情報の通知と共に広報されたもので、“人工衛星を打ち上げる”との名目の通知を実施、今月8日から25日までの期間で北朝鮮時間の0700時から1200時の時間帯、日本時間では0730時から1230時の時間帯に実施するというもので、北朝鮮製長距離弾道弾は多段ロケット方式を採用しているため発射と共に切り離したロケット燃料タンクが海上へ落下します。

 東倉里ミサイル試験場から発射されるミサイルは、南下し沖縄県先島諸島上空からフィリピンルソン島沖の経路を飛翔します。今回の北朝鮮のIMO国際海事機関への航路危険情報通知は、北朝鮮が想定するミサイル飛行経路下に燃料タンクが切り離され落下するため、経路上を航行する船舶や陸上施設へ落下し直撃する危険があり、この為の注意喚起というものです。

 防衛省はミサイル破壊措置命令を発令、全国の航空自衛隊高射隊弾道弾迎撃部隊と海上自衛隊イージス艦は、万一我が国領域へミサイル本体、若しくはミサイル燃料タンク部分が落下する経路を飛翔した際にはSM-3迎撃ミサイルとPAC-3迎撃ミサイルを射撃し処理する態勢です。弾道ミサイルが首都圏へ向けられた倍に備え徴候が指摘された時点からミサイル破壊措置命令発令とともに、首都圏へ迎撃準備が進められ、市ヶ谷基地での準備体制は既に完成しました。

 北朝鮮がミサイル開発を進める背景には、アメリカ本土への核攻撃能力を整備する長期的な展望があり、従来短距離弾道ミサイルであるスカッドを韓国本土用のミサイルとして、准中距離弾道弾であるスカッドCと中距離弾道弾ノドンを日本本土全域を射程に収め対日戦用に整備し、長射程のテポドンミサイルを米本土攻撃用として開発しています。

 今回事件されるミサイルは、テポドンミサイルを原型としロケットとしたもので、アメリカ本土を射程とする長距離弾道ミサイルの開発が目的とされています。今後、北朝鮮の長距離弾道ミサイル開発と量産が進む場合、アメリカ国内世論の影響によっては北東アジア情勢へ大きな影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

 北朝鮮は国連安保理決議によりミサイル技術を含む如何なるロケット実験も禁止措置が採られており、これはロケットとして人工衛星打ち上げを含む打ち上げが禁止されています、また、国連安保理決議には国際司法裁判所により法的拘束力がある強行規範であり、今回は弾道ミサイル実験と人工衛星打ち上げ共に国連安保理決議へ明確に違反する不法行為以外何物でもありません。

 2012年12月に北朝鮮は同様のミサイル実験を実施しましたが、今回北朝鮮が公表した飛翔経路も2012年に実施した弾道ミサイル実験の経路と同等の経路が示されており、沖縄県の沖縄本島付近と先島諸島上空を飛行する経路が執られます。この為、政府と防衛省自衛隊及び警察庁と総務省消防庁は連携を採って情報収集、警戒態勢に当たると共にJアラートによる非常警報発令という措置を採ります。

 ミサイル警戒態勢ですが、2014年より京都府の日本海側、経ヶ岬分屯基地に隣接する経ヶ岬通信所の米陸軍第14ミサイル防衛中隊にミサイル防衛用早期警戒レーダーAN/TPY-2が配備されているため、青森県の車力分屯基地に同じくアメリカ陸軍が前方展開させているAN/TPY-2レーダーとあわせ、前回の北朝鮮ミサイル実験よりも精密な警戒が可能でしょう。

 前回のミサイル実験に際しては航空自衛隊が宮古島分屯基地へペトリオットミサイルPAC-3部隊を緊急展開させる措置を採り、中京地区のミサイル部隊を沖縄へ転用、第4高射群の高射隊が海上自衛隊輸送艦の支援を受け航空自衛隊宮古島分屯基地へ展開し、射撃指揮官命令により即座に射撃可能とする態勢をとりました。今回、航空自衛隊の防空体制は市ヶ谷以外、人口密集地を中心とした各分屯基地での警戒態勢となっていますが、飛翔経路の公開に伴い場合によっては高射隊の機動展開措置が採られる可能性もあるやもしれません。

 2012年の実験に際しては、万一沖縄県内へ落下した場合を想定し、有毒なロケット燃料ヒドラジン被害に備えるべく、陸上自衛隊は沖縄救援隊を編成、先島諸島の石垣島と宮古島、そして沖縄本島へ増援部隊として派遣しており、その展開規模は石垣島へ450名、宮古島に200名、沖縄本島へ200名、与那国島へ50名、となっています。主として化学防護部隊と衛生部隊が中心となり、沖縄の第15旅団を支援しました。今回のミサイル事案に対して、どこまでの対応が執られるかは現在進行中ですが、万全の対応が求められます。

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沖縄防衛の第15旅団第15ヘリコプター隊 西部方面隊航空部隊再編下の防衛力総点検 続

2016-02-02 22:19:36 | 防衛・安全保障
■西方航空部隊再編下総点検
沖縄防衛の第15旅団第15ヘリコプター隊と西部方面隊航空部隊再編下の防衛力総点検について。

第15ヘリコプター隊が縮小改編されているのではないか、こうした指摘が寄せられまして、一つの根拠は高遊原分屯地へ10機のCH-47J/JAが配備されている、というものでした。実は西部方面隊は空中機動を重視しており、西部方面航空隊へもここ数年間でCH-47J/JAの数機程度の配備が開始されていましたが、10機というまとまった数ではありません。CH-47J/JAが10機というと、そんなものか、という印象かもしれませんが、例えば陸軍兵力52万を誇る韓国軍のCH-47保有数は12機、CH-47を20機以上保有する国は世界でも多くはありません。

西部方面航空隊の高遊原分屯地へのCH-47J/JA輸送ヘリコプター10機の配備上方には驚かされたのですが、陸上自衛隊の保有するCH-47J/JA輸送ヘリコプターは55機、うち32機が木更津駐屯地の第1ヘリコプター団に装備されており、群馬県相馬原駐屯地の第12ヘリコプター隊に8機が装備、残る15機を、第15ヘリコプター隊と西部方面航空隊に北部方面航空隊と明野航空学校本校と霞ヶ浦航空学校分校が装備しています。もっとも北部方面航空隊の機体は管理替えとなった可能性があり、丘珠駐屯地創設記念行事では第1ヘリコプター団103飛行隊のCH-47JAが参加していました。

閑話休題、第15ヘリコプター隊のヘリコプター保有数ですが、CH-47J/JA輸送ヘリコプターについて、高遊原分屯地の展開すと那覇駐屯地の展開数では差異があり、このためには陸上自衛隊のヘリコプター定数に上限がある以上、どこからかは引き抜いていると考えなければなりません。そしてもう一つ、第15ヘリコプター隊のUH-60JA多用途ヘリコプターについても配備数について、縮小している可能性が出ているのです。

第8飛行隊、北熊本駐屯地に司令部を置く第8師団の隷下部隊で高遊原分屯地に駐屯している師団飛行隊ですが、このほど、UH-1J多用途ヘリコプターをUH-60JA多用途ヘリコプターへ改編したとの情報がありました。第8師団は管区内に鹿児島県全域が含まれており、奄美大島や種子島など鹿児島県島嶼部もその管区に含めている為、従来装備しているUH-1Jよりも航続距離の大きなUH-60JAが必要とされていたためでした。

第8師団がUH-60JA多用途ヘリコプターを必要としていた背景には師団管区の島嶼部という存在があったのですが、危惧が的中したのは2010年10月20日に発生した奄美大島豪雨災害でした。災害初動として鹿児島県の鹿児島市の北、国分駐屯地の第12普通科連隊が出動準備をしたものの、鹿児島空港から奄美大島までは390km、第8師団の装備では奄美大島まで空路展開する事が出来ず、結局情報小隊と連絡幹部を海上自衛隊鹿屋航空基地に展開する第72航空隊分遣隊のUH-60J救難ヘリコプターにより派遣されています。

第8師団の災害派遣部隊主力は、海上自衛隊第1輸送隊の輸送艦により展開する事も検討したようですが、呉基地から鹿児島港や宮崎港を経由して展開した場合には時間がかかり過ぎ、結局民間フェリーにて鹿児島港から派遣されることとなりました。この後、西部方面隊へ管理替えとなったCH-47J/JA輸送ヘリコプターは孤立地域へ九州電力高圧発電機車を空輸するなど活躍しましたが、初動で砥用の装備が不十分であった第8師団は、改めてUH-60JA多用途ヘリコプターの師団飛行隊への配備を要望したと伝えられます。

第8師団の第8飛行隊へのUH-60JA多用途ヘリコプター配備ですが、ようやく充足した、ものの陸上自衛隊のUH-60JA多用途ヘリコプター調達は1995年度の2機調達から開始され、1998年度には5機が要求されたものの2003年から2009年までは1機しか調達されず、2010年には3機が調達、2013年に1機と補正予算で1機が要求されたのを最後に2014年以降調達が停止し、その後は航空自衛隊が調達しているのですけれども、保有機数は陸上自衛隊全体で40機でしかなく、どこからか管理替えしなければなりません。

UH-60JA多用途ヘリコプターは陸海空自衛隊で110機を調達し、更に航空自衛隊の次期救難ヘリコプターとして改良型40機の生産が決定しているのですが、陸上自衛隊が保有するUH-60JA多用途ヘリコプターはCH-47J/JA輸送ヘリコプターよりも少なく、第8飛行隊へUH-60JAを装備させるにはどこからか補填しなければなりません、UH-60JAを装備する部隊は第1ヘリコプター団第102飛行隊や第12ヘリコプター隊と第15ヘリコプター隊に航空学校となっていますが、40機という数はぎりぎりの機数となります。

そしてもう一つ、防衛省が示した佐賀空港駐屯地化に関する説明資料として“目達原駐屯地に所在する陸上自衛隊航空機50機と新しく導入されるV-22可動翼機17機の約70機を佐賀空港へ配備する”という表現が用いられたことです。70機、というとかなりの機数ですが、そもそも目達原駐屯地から航空機全てを移駐するとして50機、第4師団第4飛行隊、第3対戦車ヘリコプター隊、西部方面航空隊の一部が駐屯しているのみで50機には達しません。50機とV-22を17機併せて70機、としていますので、数が合わない、というもの。

佐賀空港への新駐屯地とヘリコプター部隊集約は水陸機動団創設に併せての増強措置となりますが、併せて、訓練環境に限界がある那覇駐屯地へのヘリコプター集中体制を訓練環境がすぐれた九州へ再集中するという措置が採られている可能性があります。また、佐世保基地から佐賀空港が距離的に近い点を重視している旨の防衛省説明がありますから、将来的に輸送艦からの運用上必要となる機体、つまり輸送ヘリコプターの配置なども再編されるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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沖縄防衛の第15旅団第15ヘリコプター隊 西部方面隊航空部隊再編下の防衛力総点検

2016-02-01 23:37:35 | 防衛・安全保障
■西部方面隊航空部隊再編下
 沖縄防衛の第15旅団第15ヘリコプター隊、飛行隊から2012年度に1佐職のヘリコプター隊へ拡充されました、当初その編成は概ね第12ヘリコプター隊と同程度と聞いていたのですが、この点について幾つかお気づきの点がコメントに寄せられましたので改めて観てみましょう。

 第9航空団創設で賑わいを増す那覇基地、南西諸島最大の防衛拠点であり年々、実際には日増しに脅威を増す大陸からの軍事圧力に対処する最後の拠点が沖縄本島の日米防衛施設です、そして第9航空団創設と並ぶ沖縄の防衛力強化事業の一つが、那覇駐屯地の第1混成団の第15旅団への拡大改編でした、元々沖縄返還に際し、師団を創設する、若しくは沖縄本島に混成旅団を置き九州南部にヘリコプター混成団を置くという構想がありましたが、財政上と脅威状況から実現した無かったものが冷戦後具現化したかたちです。

 ただ、南西諸島防衛の要となる第15旅団ですが、この航空部隊が縮小されている可能性が、昨日寄せられたコメントから浮上してきました。南西諸島のヘリコプター、第1混成団時代に第101飛行隊が隷下に置かれており、早い時期からV-107輸送ヘリコプターとLR-1連絡偵察機を装備、これは南西諸島が本州島の全長に匹敵する大きな面積を有しており、急患輸送を筆頭とした災害派遣には航続距離の大きな航空機が不可欠であった事から配備されたというもので、実際に沖縄県は災害派遣要請を受けての出動件数が最も多く、その多くが急患輸送となっています。また、2000年頃まで、陸上自衛隊ヘリコプターも沖縄塗装という救難任務を反映した独自の塗装を採用していました。

 第15ヘリコプター隊は、第1混成団から第15旅団への拡大改編に在って目玉事業の一つとなっています。ヘリコプター隊長は1佐職が充てられており、第1混成団時代には普通科部隊は普通科連隊を持たず、2個普通科中隊と重迫撃砲中隊に施設中隊を併せた第1混成群が置かれているのみであった編成を新しく編成となった第51普通科連隊と第15施設中隊というれっきとした戦闘部隊となり、ヘリコプター隊はその空輸任務を請け負う事となったのです。

 第15ヘリコプター隊は、南西諸島の空中機動任務へCH-47とUH-60JAを編成完結当時、各8機の16機を装備していました、隊本部付隊としてLR-2連絡偵察機が装備されており、第15ヘリコプター隊は第1飛行隊と第2飛行隊の2個飛行隊編成、それぞれが、UH-60JAを運用する飛行隊とCH-47J/JAを運用する飛行隊に分けられているもので、基本的な編成は相馬原駐屯地の第12ヘリコプター隊と同等の編成であるとのことでした。記念式典では、LR-2が1機とUH-60JAが3機にCH-47JAが3機祝賀飛行として編隊飛行を見せつけました。

 那覇の航空部隊運用をここで少し振り返る事としましょう。2012年の那覇駐屯地祭において説明ボードには第15飛行隊の保有航空機は、UH-60JAが4機、CH-47J/JAが2機、と哨戒されていたようですが、2013年の那覇駐屯地祭において、祝賀飛行を行った編隊がUH-60JAが3機とCH-47J/JAが3機という編成で、増勢された可能性がある、とのお話があります。そこで調べてみますと飛行隊からヘリコプター隊への拡大改編において、機数が増強されたとのことで、隊本部の機体を除き、実質、第12ヘリコプター隊と同等の規模となっていた、というものです。

 ところが、第15ヘリコプター隊が縮小されている可能性が出てきています。2014年の那覇駐屯地創設記念行事に際して、第15ヘリコプター隊の所属航空機として地上展示に展開したCH-47J輸送ヘリコプターは、西部方面航空隊の部隊マークをしるしており、この点を問うてみますと臨時に管理替えとして稼動航空機が展開している、とのことでした、解説の方が第15旅団の方でしたので疑問は持たなかったのですが、また、訓練環境としては沖縄本島には在沖米軍演習場は多くあるものの自衛隊が独自に使える演習場はほぼ限られ、大きな演習な九州へ展開する必要があるとのことでした。

 CH-47J/JAの那覇配備数が縮小しているのではないか。これは、コメント欄にてお寄せいただきました島根県の美保基地への防災能力強化を期した航空自衛隊ヘリコプター空輸隊新設を要望した際の防衛省側資料に、CH-47J/JA配備状況図が示されていたのですが、ここに那覇駐屯地へ配備されている陸上自衛隊の機数は“数機”であり、対して熊本県の高遊原分屯地へ配備されているCH-47J/JAについては保有数に“10機”との明示があった点です。数機という表現では2機であるのか9機であるのか曖昧ですが、逆に高遊原の10機という数字は注視すべきでしょう。

 高遊原分屯地は、健軍駐屯地の分屯地で、熊本空港に隣接しています。高遊原分屯地は分屯地ではありますが、西部方面航空隊が展開しており、西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊と第8師団第8飛行隊が置かれています。西部方面航空隊にはこのほか、目達原駐屯地に第3対戦車ヘリコプター隊、AH-1S対戦車ヘリコプターからAH-64D戦闘ヘリコプターへ一部換装されることで第3戦闘ヘリコプター隊に改称されるのですが、高遊原分屯地はもともとUH-1が20機装備されている部隊でした。

北大路機関:はるな くらま
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