北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

はぐろ竣工(DDG-180-HAGURO)イージス艦八隻体制のミサイル護衛艦オールイージス時代

2021-03-21 20:09:31 | 先端軍事テクノロジー
■第四護衛隊群第八護衛隊に配備
 はぐろ竣工です。まや型二番艦、前回横浜で望見しまして建造中のイージス艦が順調の建造を進めまして竣工しました。

 はぐろ。横浜のジャパンマリンユナイテッド磯子工場にて、まや型ミサイル護衛艦二番艦はぐろ、が自衛艦旗を受領し竣工しました。建造費は1730億円で、これは最新鋭もがみ方護衛艦の3倍以上に達する護衛艦です。しかし、単に新しいミサイル護衛艦の竣工に留まらず、ターターシステムからイージスシステムへの歴史的な転換の完了を意味します。

 あまつかぜ。海上自衛隊は1963年にターターシステムを搭載した初のミサイル護衛艦あまつかぜ、を配備しました。ターターシステムは高度経済成長時代の日本にとっても非常に高価であり、二番艦建造は見送り、時を置いてミサイル護衛艦たちかぜ型を建造します。続き、はたかぜ型と併せ6隻を建造した後に、イージス艦の導入へ転換してゆくのですね。

 こんごう。海上自衛隊が初のイージス艦を竣工させたのは1993年です。ターターシステム時代から自衛隊はデジタルへの転換を進めると共にイージスシステムの先進性に注目し、海上幕僚長が幾度もアメリカ海軍作戦部長に親書を送り続け、もともと海外へ供与される計画の無かったイージスシステムを最後は外交の場面を通じて、導入へ漕ぎ着けました。

 イージスシステム、その始まりは1944年の日米空母決戦“マリアナ沖海戦”の検証作業に遡ります。マリアナ沖海戦では日本側の航空管制が技術の限界から波状攻撃となり各個撃破され、マリアナの七面鳥撃ちという結果に終わりましたが、大編隊による統一戦闘加入飽和攻撃を実施していた場合、突破された可能性がある、アメリカの検証がありました。

 テリアシステム、タロンシステム、ターターシステム、アメリカは第二次世界大戦後、ジェット機時代の到来を受け“3T”システムという射程に応じた三つのミサイルシステムを開発していますが、マリアナ沖海戦の再来と云うべき同時飽和攻撃への対処に3Tシステムは限界がありました。防空艦多数を準備しても同一目標重複攻撃等の問題があるのです。

 艦隊防空システムを全てデジタル化すると共に長距離目標情報をいち早く収集し脅威度を瞬間的に選別し、此処に最適な防空対処を投射する、アメリカは先ずタイフォンシステムとして具現化を目指しましたがアナログシステムのデジタル化は1950年代には難しすぎる課題であり、仕切り直しとなります、これが1969年にイージス計画へと発展しました。

 Sバンドレーダーの採用、イージスシステムでは数百kmに達する探知距離と低空目標の精密探索に最適なCバンド周波数帯か遠距離探知に適するが巨大で精査度の粗いSバンド周波数帯かが激論となり、Cバンドレーダーに決定しつつあったところを責任者の海軍提督がSバンドレーダー採用を強行しました。これは結果的にイージスシステムの将来を左右する。

 SPY-1レーダー、イージスシステムと云えば巨大な六角形のレーダーは僅か1.7度の索敵範囲しか持たないペンシルビームを照射するアンテナ素子の複合体で、アメリカや自衛隊が採用するSPY-1Dでは一基当たり4350基のアンテナ素子を有しています。Sバンドレーダー故に巨大なシステムとなりましたが、将来発展性の規格外の冗長性を付与できました。

 情報処理技術の発展は飛躍的であり、Sバンドレーダーの粗い情報は火器管制装置に処理させる事で1000km以遠の目標をも判別する水準となり、4350基の素子が断続的に発する走査ビームは数百機のミサイル爆撃機による同時攻撃をも、数隻のイージス艦集中運用により阻止出来ると共に粗いSバンド帯は電子妨害に非常に強く海軍史を変えるシステムです。

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦。アメリカ海軍は巨大なスプルーアンス級駆逐艦船体を利用し初のイージス艦としてタイコンデロガ級を建造します。Sバンドレーダーは巨大であり、これを搭載するには駆逐艦では難しく結果的に巡洋艦でなければ搭載出来ない水準となります。後に駆逐艦を巡洋艦波に大型化させ駆逐艦にも搭載される事とはなりますがね。

 海上自衛隊がイージスシステム導入を検討した際、海上幕僚監部の意見は真っ二つに割れたといいます。なにしろイージスシステム単体の費用だけでミサイル護衛艦建造費を凌駕し、イージスシステム取得費用はハリアー飛行中隊に、搭載出来る護衛艦の大きさは全通飛行甲板型に匹敵する、つまり軽空母並の費用を要する為、反対論が出てきたのですね。

 しらね型ヘリコプター搭載護衛艦の三倍以上というイージス艦の導入、艦隊防句が重要ならば当時検討された全通飛行甲板型の8700t型護衛艦にハリアー飛行中隊を搭載する航空機搭載護衛艦の方が良い、との反論がありました。実際同時期のスペインやイタリア、少し前のイギリスはハリアー母艦を建造している時代であり、日本の選択は意外でも在った。

 こんごう型護衛艦はこうした形で実現し、自衛隊はイージスシステムの時代を迎えました。7200t型護衛艦として建造された護衛艦こんごう型、その後の冷戦構造崩壊を受け6000t型として搭載するSPY-1レーダーの簡略型へ縮小する検討はあったようですが、運用の整合性を考える上で7700t型護衛艦として、あたご型が建造、そして7900t型、まや型へ。

 8隻のイージス艦を建造する背景には、海上自衛隊の機動運用部隊である護衛艦隊は1974年に4個護衛隊群となり、護衛隊群の艦隊防空に当るミサイル護衛艦は各護衛隊群に2隻を配置する、とした基本構想によるもの。厳しい財政状況が続くものの8隻のイージス艦整備は最低限必要であるとして財務当局を説得し続け、はぐろ竣工を迎えたのですね。

 ミサイル防衛、Sバンドレーダーの採用は数千kmを隔てた弾道ミサイルを狙うミサイル防衛任務にも対応し、イージスシステムを基盤としたNIFC-CA海上統合火器管制能力はイージス艦に370kmの防空能力を付与させることとなっています。イージス艦は日米に採用されると共に、スペイン海軍やノルウェー海軍、オーストラリア海軍へ採用されました。

 こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい、あたご、あしがら、まや、はぐろ。イージス艦は時間こそ掛かりましたが遂に8隻体制が実現したのです。海上自衛隊では、部内研究ではオールイージスの検討、というものさえありまして、将来的には護衛艦むらさめ型後継に当る将来汎用護衛艦へのイージスシステムの搭載が検討されるかもしれませんね。

 海上自衛隊は大きく進化しました。ヘリコプター搭載護衛艦は、はるな型、しらね型を置換える全通飛行甲板型護衛艦時代となり、ひゅうが型、いずも型、そして第五世代戦闘機F-35Bの搭載計画が進んでいます。ミニイージス艦と称された護衛艦むらさめ型は、たかなみ型を経て、あきづき型は両艦防空能力を備え、あさひ型を加え20隻体制となりました。

 はぐろ竣工、同時に最後のターターシステム艦であった、しまかぜ、は練習艦へ転籍する事となりまして、現在大車輪で建造が進む護衛艦もがみ型には開発中のA-SAMが搭載されかなり高い防空能力を有する事となります。海上自衛隊の艦隊防空は確実に次の一歩を歩んでいます。はぐろ、第四護衛隊群第八護衛隊に配備され、間もなく母港佐世保に向かう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防災情報】宮城県震度五強-金華山沖マグニチュード7.2地震,宮城県一時津波注意報発令

2021-03-20 20:00:52 | 防災・災害派遣
■東北太平洋沖に相次ぐ地震
 本日、宮城県金華山沖でマグニチュード7.2の地震が発生しました、先月13日の福島沖マグニチュード7.3の地震に続く比較的大きな地震でした。

 夜間に津波注意報が発令されたとしても、航空機から空撮する画像情報は暗視装置の性能限界から情報収集の手段が国にも自治体にも限られる為に厳しいものだな、と痛感させられました。本日1809時頃、東北地方を中心に緊急地震速報が発令され、続いて宮城県沿岸部に津波注意報が発令される事となりました。1930時時点で注意報は解除されています。

 宮城県で震度5強。本日1809時に発生した地震は震度5強が、宮城県北部、宮城県南部、宮城県中部。震度5弱が、岩手県沿岸南部、岩手県内陸南部、福島県中通り、福島県浜通り。震度4が、青森県、岩手県、秋田、山形県、福島県、、群馬県、新潟県で観測されました。震度では、先月の地震よりは震度は小さいものの揺れる持続時間は長かったとのこと。

 マグニチュードは7.2、震源地は宮城県沖とのことで震源の深さは60km、震源地の詳細は金華山沖ですが想定されている宮城県沖地震の想定震源域よりは沿岸部に近く、津波注意報が発令される事となりました。本日1950時時点では、まだ津波による被害情報は報道されていません。ただ、夜間の発生である為に情報が思うように把握できない状況でした。

 地震は2021年2月13日にもマグニチュード7.3の地震が発生していまして、この際には津波注意報などは発令されませんでしたが、長周期振動階級4の長周期振動が東日本と北日本及び中日本まで広く観測されています。2月13日の地震は震源の深さが55kmでしたので、今回の震源の深さ60kmと同程度であり、若干は浅かった事を意味しています。

 陸上自衛隊は今回の地震発生を受けて情報収集へ航空機を出動させており東北方面航空隊の映像伝送機、恐らくUH-1J多用途ヘリコプターに搭載されたもの、駐屯地周辺と思われる沿岸部の映像情報を公開しています。東北方面航空隊は宮城県仙台市の霞目駐屯地に駐屯している航空部隊で、東日本大震災でも映像情報を収集した部隊として知られています。

 航空自衛隊及び海上自衛隊も震度5強を超える地震では戦闘機や哨戒機を発進させ情報収集を行う事となっています。強い揺れを観測しました東北地方ではその後も断続的に有感地震が観測される状況が続いており、宮城県沿岸部の自治体では避難指示を発令する市町村もあり、また注意報で沿岸部から離れた高台に避難所を開設した自治体もあるようです。

 夜間の地震発生となりました。宮城県内では芦畔町においてがけ崩れが在ったとされますが被害は無く、東北電力では栗原市などの一部で停電が発生しており修復作業に当っているとの事。またJR東日本によれば停電の影響で東北新幹線は大宮駅と八戸駅で運転を見合わせていましたが、区間は郡山駅と盛岡駅まで回復、2200運転再開見込みとの事でした。

 鉄道では宮城県内の在来線を中心に広範囲で運転見合わせが発表されており、全面復旧は時間がかかる模様。宮城県箕郷町では負傷者が出ているとの報道があり、汐見町等でも転倒により方の痛みを訴える等意識はありますが負傷者がでています、1950時時点では大規模な被害は確認されていない、という状況のようで幸いです。火災の情報はありません。

 津波注意報の解除は1930時でした、気象庁は今後若干の潮位変化はあるかもしれないが危険は無いとして、沿岸部では海岸線に近づかないよう注意を喚起しています。北海道から茨城県にかけての沿岸部でも潮位変化への注意は必要との事でした。今回も改めて夜間ゆえに航空機等からの情報収集の難しさ、という課題を投げかけているように思いました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和二年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.03.20-2021.03.21)

2021-03-19 20:08:55 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 COVID-19影響により今週末も行事はありません、そこで桜の季節に行われる懐かしい駒門駐屯地祭の様子と共に最新のCOVID-19情報をみてみましょう。

 首都圏緊急事態宣言が21日に解除されますが、COVID-19に関して、幾つかの注視すべき報道がありました、ひとつは感染拡大防止への切り札であるワクチンに関して副作用を受け欧州で一時的に接種中止が為されたとの情報、もう一つは感染拡大状況を把握する為に必要なPCR検査では判明しない新たな変異株がフランスにて発見されたとの報道です。

 ブルターニュ変異株。ロイター通信3月16日付記事によれば、PCR検査に反応しない新しい変異株が発見されたと、フランス保健省の発表が報じられていました。この変異株はフランスのブリュターニュ地方ランニオンの病院にて集団感染が発生した際、COVID-19症状を発症し死亡した患者のなかでPCR検査では陰性であった為、検査し判明したという。

 フランス保健省のブルターニュへ二株についてはAFP通信が17日に詳しい情報を報道しており、病院では死亡した7名がPCR検査では陰性、患者は基礎疾患を持つ高齢者との事ですが、しかもそのPCR検査は精度の高い鼻の奥の粘膜を拭う方式で検体を採取したものの反応しなかったと、病院勤務の生物学者が発見し、ARS地方保健局へ報告したとのこと。

 PCR検査を掻い潜る変異株、これは血液精密検査で判別できるようですが、感染状況の把握を粘膜の遺伝子情報からの培養によるPCR検査に依存する世界各国のCOVID-19対策根底を揺るがすもの、といえるのかもしれません。ただ、上掲ロイター報道では、PCR検査では判明しないものの、保健省では感染力や致死率にて顕著な脅威度は無いとしています。

 ワクチンがこうした変異株などの拡大に対する要諦となりますが、ここで気になる副作用の情報が。アストラゼネカ製ワクチンに関して血栓が生じる副作用が欧州で確認されているとのこと。おれは3月16日付ロイター報道に、ドイツとフランスおよびイタリアがワクチン接種により血栓が生じた副作用を受け、一時的に接種を中断、欧州19ヶ国が続きます。

 アストラゼネカ社製ワクチンの副作用については、ロイター通信が3月19日付のロイター焦点に情報を纏めていまして、ワクチン接種後に出血や血栓と血小板数低下という副作用が報告され、EU欧州連合のEMA欧州医薬品庁が情報収集を開始した、としています。ただ、EMAは19日までに決戦とワクチンの因果関係は、まだ調査が必要と結論付けました。

 CVT脳静脈血栓、ワクチンにより生じたのは脳静脈血栓であるといい、決戦の中でも治療の難しさが指摘されているものの一つ。CVT血栓が生じたのは、EMAによれば欧州域内で接種を受けた500万名の内30症例の血液疾患が報告されているようです。CVT血栓、難病ですがドイツ保健省によれば通常の場合、症例は160万名に一人の発症率といいます。

 副作用の可能性、EMAの情報を纏めれば“ワクチン接種500万の内30に血栓の症例”“CVT血栓は160万名中一例の難病である為に発症率は本来500万中3例程度”ということで、“難病のCVT血栓発症率が十倍に増加する”という視点となります。ただ、現在のところ“ワクチン接種後にCVT血栓による死者は現在出ていない”という事実も重要でしょう。

 アストラゼネカ社はCVT血栓について、イギリスとEUにおいて実施されているワクチン接種では700万の接種対象者を精査したところCVT血栓とワクチンの相関関係を見い出す事実は無いとしており、EUではワクチン接種を中止するほどの因果関係は確認できないとして、ワクチン接種を再開する方針です。危険性というより顕著な兆候という印象ですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】妙心寺,西の御所は天球院と隣華院の石畳を春光院と智勝院を抜け三門に至る

2021-03-18 20:21:14 | 写真
■早春の妙心寺を南北に巡る
 妙心寺、山陰本線花園駅と嵐電妙心寺駅か龍安寺駅とを歩いてみますと普段の散歩道として歴史を感じる一時が過ごせるでしょう。

 妙心寺、京都には数多連綿と大河の如く歴史を経た伽藍や街並みは広がるのですが、南北を一つの道が通じていて散策できる大きな寺院の伽藍を見上げる散策、余り人も多くない時節ではありますが、なにかこう考え毎の決断を思慮する際に趣き深い情景と出会える。

 花園法皇が出家した先に師と仰いだ大徳寺開山の大燈国師宗峰妙超が逝去の床に就いた際、美濃国伊深の、つまり岐阜県美濃加茂市伊深町にて修行に励む関山慧玄を後継に言伝され、関山慧玄を開山として迎え暦応5年で康永元年こと西暦1342年に造営されました寺院です。

 北総門という、嵐電龍安寺駅から南へ下りますと広がる門を拝いでますと天球院と隣華院の狭間に石畳の小路が広がり、実に500mにわたり寺院の石畳道が続くのです。天球院とは姫路藩は池田輝政の妹天久院が寛永年間の西暦1631年に造営しました塔頭寺院の一つ。

 正法山妙心寺、ここは京都市右京区花園妙心寺町に在ります臨済宗妙心寺派の総本山ですが、寺域は広く開かれているのが印象的で、それも普通にタクシーや運送会社のトラックが乗り入れるという不思議な情景が広がります。そして此処は西の御所として知られます。

 西の御所、こう称されます背景は元々此処は花園天皇の上皇宣下に際し花園御所が置かれ、法皇落飾に際し此処を寺院とした所縁から、妙心寺も西の御所と称される事となりました。またここはその広さから妙心寺の算盤面として五番目の京都市街に見立てられる事もある。

 妙心寺の不思議なところは、この開かれた寺院は、もちろん庭園はじめ拝観料を必要とするところもあるのですが、このまさに歴史という塔頭寺院とを結ぶ小路は広く自由に隔たりなく拝観する事が出来る点でして、その小路がこう南北に500m街路を形成するところ。

 春光院と智勝院のところをこう曲がり角が、なにかこう時代劇にも描かれるような風情を醸し出していまして、実際にこの風景は鬼平犯科帳や暴れん坊将軍、水戸黄門に大岡越前や八丁堀、剣客商売と遠山の金さんにも登場している風景なのですが、歩み止める情感に。

 智勝院は豊後国臼杵藩初代藩主稲葉貞通が出家して開基となりまして、慶長2年の西暦1597年に創建しましたところ。春光院は豊臣政権三中老の一人堀尾吉晴は開基となりまして、重要文化財として指定されています南蛮寺の鐘を奉じている事で知られる塔頭寺院だ。

 三門と仏殿と法堂が並ぶ情景は西の御所という響きを改めて吟じる伽藍です。三門は創建当時の伽藍は現存せず慶長4年の西暦1599年に再建されましたもの。仏殿は文政10年こと1827年に再建されましたもの、法堂も明暦3年の西暦1657年に再建されましたもの。

 法堂と仏殿と三門は重要文化財に指定されているもので、16世紀と17世紀に19世紀の仏教建築妙技を見上げますと、ふと吹くそよ風さえも響いた遥か創建の頃からの仏僧の唱えた経文の余韻を残すような気風と、しかし確かな歴史を感じるような錯覚を覚えるところ。

 妙心寺では、庭園の休憩所等は別としまして饗宴の場というところなどはないのですが、腰を落ち着けましていつまでも伽藍を見上げるのはこの伽藍の経た時の如く自由でして、まあ、少し行儀は憚られるものですが石段に腰掛け、思考と哲学の探索に耽る事も出来る。

 COVID-19の感染拡大が再発しつつある首都圏を望見する最中、3月21日付で首都圏に発令されていました緊急事態宣言が解除される事となり、強力な都県知事への感染対策権限が打ち切られるところとなっており、またここも雑踏に溢れるところなのでしょうか。

 山陰本線花園駅はこの先の直ぐ。さてこの散策の最中も続く世界的流行禍、想定しておく必要はあったものの東日本大震災や原子力発電所事故に重なるような非常時であり、世界規模の感染拡大というものは非日常感はあるものの、破局的な状況は幸い我が国ではありません、そんな非日常が生む静寂も、愉しみたいものですね。

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【7D速報】ファントムラストフライト,航空自衛隊F-4戦闘機の半世紀に及ぶ運用を本日完了

2021-03-17 20:00:51 | 先端軍事テクノロジー
■ファントムラストフライト
 本日岐阜基地にてF-4戦闘機、ファントムがラストフライトを迎えました。朝一番に岐阜基地にて撮影した情景を速報にてお伝えしましょう。

 ファントムラストフライトの三機編隊が岐阜基地上空を飛行します、撮影位置は岐阜基地南側、岐阜基地航空祭では順光にて撮影できる撮影立地として知られていますが、併せてこの界隈は三井山や岐阜基地正門前、空の公園各務原ほど混雑しない立地でもあります。

 F-4ファントム、航空自衛隊での運用が、今日、完了しました。特徴的な機体形状は1950年代のコンピュータ時代以前における航空技師が自ら着想し計算しぬいた黄金律に基づく時代の傑作機であり、冷戦時代に自由主義圏防衛へ膨大な数が量産され供給されました。

 空母艦載機として設計されたファントムは艦隊防空と戦域防空の任務の重なりが指摘され、空軍はF-106戦闘機とF-4戦闘機を比較、F-106デルタダートは本土防空専用機として一定数が量産されていますが、アメリカ空軍が主力として選んだのはファントムの方でした。

 1950年代の設計でしたが、ファントムは複座戦闘機、デルタダートは単座、1950年代のコンピュータはデルタダートでは一人で操作できるよう最大限自動化したのですが、ファントムは分業とし操縦士とレーダー士官に分けた事で、実用的な戦闘機となったのですね。

 マクダネルダグラス社が開発したファントムは、NATOはじめ同盟国や友好国に大量供給されます、確実な全天候戦闘機であり、また1950年代のコンピュータ容積は近代化によりより新型のコンピュータや配線を受け入れる余裕があり、これが長命に繋がっています。

 三菱重工においてライセンス生産された航空自衛隊のファントム、アメリカ空軍では戦闘機として第一線をイーグルに譲った後も防空制圧機として活躍しましたが、湾岸戦争を最後に引退、しかし日本ではライセンス生産を実施した事で予備部品を自給自足できました。

 航空自衛隊のファントムは、こうして長期間の運用が可能となりましたが、1971年から運用開始されたファントムは1980年代から近代化改修は行われているものの、流石に限界を迎え、後継機にF-35Aライトニングと定め、遂に2021年、半世紀に及ぶ運用を終了する。

 301号機特別塗装。岐阜基地飛行開発実験団はなかなか考えたラストフライトを仕上げました、2020年に登場した特別塗装、昨年は航空祭がCOVID-19により中止となっていますので、この301号機特別塗装を中心とした3機編隊飛行は、まさに今日この日だけのもの。

 ラストフライト。2006年にT-1練習機とT-2練習機のラストフライトを撮影しましたが、今回のファントムラストフライトは当時とは比較にならない程に盛況でしたね。何しろここ数日間、岐阜基地周辺の盛況ぶりは岐阜基地航空祭当日を上回っていたとさえいうほど。

 岐阜基地周辺の活況は、凄いものがあるのですが逆にまだCOVID-19感染は収束していないとともに、国家緊急事態宣言発令中の首都圏では感染者が微増に転じている新しい緊張状態となっていまして、その首都圏からの自動車も多数並んでいたのには不安を感じます。

 航空祭も中止、丁度一年前に百里基地において最後の実戦部隊ファントム飛行隊となった第301飛行隊にて特別塗装機が登場し、しかし運用終了日まで特別塗装機は飛行する為に収束後に撮影を、と第7航空団が呼び掛けていましたが、収束前に運用が終了してしまう。

 岐阜での運用完了、まさに航空自衛隊最後のファントムラストフライトです。有名撮影位置は混雑していたようですが、航空祭予行撮影にて慣れ親しんだ“南側”撮影位置はそれ程ではなく、機体は着陸後に放水を受ける様子も見え、爆音は澄んだ空に響いていました。

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榛名防衛備忘録:米陸軍歩兵旅団戦闘団の重装備化,MPF軽戦車計画とJLTV装甲車,装輪自走砲

2021-03-16 20:19:16 | 防衛・安全保障
■自衛隊地域配備師団への参考
 自衛隊の装備体系が島嶼防衛へ地対艦ミサイルや中距離地対空誘導弾と特科部隊へ偏重してゆくところですが。

 陸上自衛隊の地域配備師団や旅団もせめてアメリカ陸軍の軽歩兵旅団戦闘団程度には重装備というものを考えて欲しい、特科連隊の方面特科連隊移管や戦車大隊の相次ぐ廃止の中で、こうした考えが前からありまして、これは主として歩兵旅団戦闘団を支援する航空旅団を含めて必要性を感じていたのですが、その歩兵旅団戦闘団、重装備化が始まるもよう。

 アメリカ陸軍は歩兵旅団戦闘団を大幅に近代化する方針で、陸上自衛隊としても配慮する部分があるようにも。アメリカ陸軍は2000年代以前、M-1戦車やM-2装甲戦闘車主体の重旅団戦闘団とハンヴィーにM-198榴弾砲主体の軽旅団戦闘団のみであり、軽旅団戦闘団は輸送機により迅速に緊急展開できる強みがありましたが、打撃力その他の問題があった。

 ストライカー旅団戦闘団、これはもともとその中間を担うミディアム旅団構想として特に1990年代に多発した地域紛争を背景に導入されたもので、ストライカー装甲車そのものは平凡な八輪装輪装甲車でしたが、諸兵科連合大隊として歩兵装甲車に機動砲と自走迫撃砲に自走対戦車ミサイルなど、戦闘団編成を標準編成としたのが革新的でした。これに対し。

 歩兵旅団戦闘団。しかし、2000年代にイラク治安作戦やアフガン安定化作戦、近年にはアフリカ地域や中東でのISIL掃討作戦といういわば低強度紛争への安定化任務が多発しますと、その防御力が、任務遂行能力の足かせ、となってゆくのですね。そこでMPF計画というアメリカ陸軍の軽戦車計画が発動します、MPFは機動防護火力という計画で進められた。

 MPFは30トン級装軌式車両に105mm砲塔を搭載したものでGDLS社が装甲戦闘車の車体に1105mm砲塔を搭載、この砲塔はM-1A2戦車最新型のSEP3砲塔技術を応用したものといいますが、ポーランドのPL-01試作軽戦車のような装甲戦闘車派生の機動砲として、もう一社、BAE社は懐かしいXM-8空挺戦車を原型とした改良型軽戦車を提案しています。

 JLTV,軽歩兵部隊の概念を一新する可能性があるのが、ハンヴィー後継の統合型軽量戦術車両です。ハンヴィーは装甲型のM-1114を含め治安作戦では簡易爆発物IEDにより甚大な被害が続出し、ウィドーメーカー未亡人製造機のような扱いとなっていました。なにしろIEDは152mm砲弾などを遠隔操作で路肩にて至近距離で爆発させるものの威力凄い。

 M-1114装甲ハンヴィーでさえも車内に致命的な損害が及ぶために緊急に開発されたのがMRAP耐爆車両ですが、応急的に、一年間で一万両というむちゃくちゃな需要に応える背景があったとはいえ、量産されたため、不整地突破能力などを殆ど有さず登攀力が非常に低いものも存在しました。ここで開発された装備がJLTVです。米軍は49000両を導入へ。

 L-ATV,新しいJLTVにはオシュコシ社製が選定されまして、こちらは四輪駆動という部分ではハンヴィーと共通点があるのですけれど車体重量6.4t、自衛隊の軽装甲機動車よりも五割ほど重くなっているのですね。基本的にアメリカ陸軍では歩兵用の装甲ハンヴィーをこのJLTVにより置き換えることとなり、実質歩兵旅団戦闘団は装甲旅団化されます。

 野砲については、歩兵旅団戦闘団は現在M-777超軽量榴弾砲を運用しています、これはUH-60により空輸できるほどに軽量となっていまして、イギリス設計でチタン合金などを多用した結果なのですが、山間部などでは空輸により様々な運用が可能となっています。砲身は39口径、世界の新主流52口径よりは短いですが軽量という点が重要なのでしょう。

 しかし、この点についても変革が到来する可能性があるのですね。アメリカ陸軍は将来野砲の研究用にスウェーデンよりアーチャー装輪自走榴弾砲を試験導入しました。既に秋にはアメリカ国内にて試験が開始されています。装輪自走榴弾砲といいますと自衛隊の19式装輪自走榴弾砲を思い出されるかもしれませんが、アーチャーは遙かに次元が違う装備だ。

 アーチャー装輪自走榴弾砲はスウェーデンが冷戦時代に26両のみ開発し全く輸出を検討しなかったバンドカノン自走榴弾砲、マガジン式で連射速度が世界一という155mm自走榴弾砲、その技術が応用されています。ただそのまま移植したのではなく、52口径に延伸していまして、自動装填装置とともに、防御力の高いボルボ製装甲トラックに搭載しています。

 99式自走榴弾砲の砲塔部分をそのまま装甲キャビンを有する重装輪回収車に搭載したもの、アーチャー自走榴弾砲というものはそうしたものでして、例えばフランスのカエサルシステム軽自走榴弾砲のような、砲架をトラックに搭載しただけ、という簡易自走砲とは訳が違います。これが、アメリカ陸軍の軽歩兵旅団戦闘団に装備される可能性があるのですね。

 自衛隊の地域配備師団はといえば、装甲防御力は戦車大隊の廃止により偵察隊と機動戦闘車中隊からなる偵察戦闘大隊が配備されますが、要するに一個師団に機動戦闘車が一個配備されるだけ。特科連隊は方面特科連隊に移管され、一応担当大隊が回される事となるのですが、一個師団に10門程度装輪自走砲が配備される程度、普通科に装甲車などはない。

 地域配備師団や旅団についても普通科連隊にせめて輸送防護車を高機動車の後継に大量配備するとか、特科火砲定数は300門なのだから地域配備師団も30門の特科隊を持続的に配備したとしても、方面特科の203mm自走榴弾砲が廃止されるのだから問題は無いだろうと思いますし、機動戦闘車も戦車中隊を残すか大隊規模で30両くらいは配備してはどうか、と思うのですよね。

 即応機動連隊の強力な装備、とされる装甲車体系も欧州の機械化歩兵部隊や諸兵科連合大隊と比較しますと平均的な機械化部隊に過ぎません。その上で現状の地域配備師団は、と云いますと厳しい状況です。しかし有事の際には本土防衛に戦え、という。それならば、最低でも第一線が納得できる装備を必要な数量揃える事が、最低限、政治の責任でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】F-15-EPAWSSとコロナとF-35量産,インドF/A-18E検討とロシアSu-57改良

2021-03-15 20:05:21 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 今週は空軍の戦闘機関連の最新話題を中心としまして11の論点をお伝えしましょう。

 アメリカ空軍はF-15戦闘機に搭載するイーグルEPAWSS機体防護複合電子警戒システムの搭載改修についてボーイング社との間で1億8930万ドルの契約を締結しました。EPAWSS機体防護複合電子警戒システムはF-15戦闘機に及ぶ地対空及び空対空脅威を未然に検知もしくは索敵により発見し電子妨害や欺瞞行動等により機体自衛へ対処するもの。

 F-15には非ステルス機生存性向上へのSHiELD機体自衛用レーザー装置の搭載へ試験が進められており、これは地対空ミサイルや空対空ミサイルを50キロワットのレーザーにより直接破壊するという新時代の防衛システムです。EPAWSS機体防護複合電子警戒システムにはSHiELDそのものの搭載は含まれませんが、将来的に連接される事となるでしょう。

 EPAWSS機体防護複合電子警戒システムにはレーダー電波検知、目標座標把握、脅威度状況認識、チャフやフレアーと電子妨害装置の運用等を一体化させて対処するもので、これによりF-15は脅威度の高い地域への展開能力が強化されるとのこと。現在のところ、このシステムは戦闘爆撃機型のF-15Eへの搭載が想定され、2026年に完了する予定とのこと。
■2020年F-35生産数123機
 COVID-19下でも自衛隊向けF-35が量産されたようにロッキード社ではなんとか製造を継続しています。

 ロッキードマーティン社は2020年内に納入したF-35戦闘機が123機であったと発表しました。COVID-19新型コロナウィルス感染拡大により、2020年は当初141機を製造する計画でしたが、2020年5月に各国での感染拡大を受け117機から123機まで下方修正していました。これ以上縮小すると部品供給で生産費用が爆発的に高騰する懸念がありました。

 F-35戦闘機2020年123号機はイタリアのカーメリFACOにて完成しました。123機の内、アメリカ軍得配備されたのは74機、開発参加国へ配備されたものは31機、そして体外有償軍事供与向けに製造されたものが18機です。やはり多国間国際分業で組み立てられるF-35には部品製造面でのCOVID-19の影響は大きいものの影響は局限化できたとのこと。
■インド空母F/A-18を検討
 インド軍にもスーパーホーネットの時代が到来するのかもしれません。それも空母艦載機として、です。

 インド海軍は将来空母艦載機としてF/A-18E/Fスーパーホーネットを検討しており、この為の評価試験がアメリカ本土メリーランド州のパタクセントリバー海軍航空基地にて開始されました。この試験にはアメリカ海軍の第23実験飛行隊が参加しており、今回の評価試験では主としてスキージャンプ台からのF/A-18E/Fスーパーホーネット運用を支援する。

 F/A-18E/Fスーパーホーネットは現在、アメリカ海軍では後継機開発が開始されています、しかし第4.5世代戦闘機として十分な性能を有しており、一方、インド海軍では蒸気カタパルトを有する通常の航空母艦は運用していない為、重い機体を比較的小さな船体よりスキージャンプ台から運用できるかについて、その採用を左右する重要な視点と云えましょう。
■パキスタンが中国製JF-17増強
 F-2戦闘機のように小型の戦闘機に最大限の高性能を詰め込む事例がありますが、逆に世界では安価ながら最低限の高性能を詰め込む事例も。

 パキスタン軍は12月30日、中国製JF-17block2戦闘機14機を受領しました。JF-17は中国とパキスタンが共同開発した航空機で、中国空軍では採用されていませんが、ナイジェリア空軍等への配備も開始され、視程外空対空戦闘能力や精密誘導爆弾誘導能力等を持ち、世界最高ではないものの高性能の多機能レーダーを搭載しF-16よりも遥かに安価です。

 JF-17block2戦闘機はロシア製の9300kg推進力を発揮するRD-93MAエンジンを搭載し、初期のJF-17よりも性能は大幅に向上しており、パキスタン空軍ではJF-17を既に100機以上配備、JF-17block2は2024年までに62機の量産が見込まれています。非常に安価であるがゆえに中小国でも短期間で配備でき、F-16にも対抗できる魅力的な選択肢といえる。
■ハンガリーはL-39を再生産
 戦闘機の陰に隠れる練習機は地味でも非常に重要な存在といえましょう。

 ハンガリー空軍はL-39NG練習機試作機の評価試験を本格化している。L-39は1968年に開発されたチェコスロバキア製高等練習機で冷戦時代に東側諸国を中心に2900機が製造供給された機体で、高等練習機であると同時に軽攻撃機としての性能を有している。しかし、極めて高い性能と汎用性の為に2000年代に入っても後継機があまり普及していない。

 L-39NGはアエロドボディが開発した新型機種で基本的にL-39の製造ラインを踏襲しつつ新世代航空機の操縦要員を養成できる操縦体系を有している。ハンガリー空軍ではケチメート第59空軍基地において評価試験を行っている。ハンガリーでL-39練習機は2010年に除籍、現在は派生型のL-159-ALCA練習機を運用中だが、その後継機を模索している所だ。
■キンジャール極超音速ミサイル
 極超音速兵器時代と聞きますと改めてもうファントムの時代ではないのですね。

 ロシア海軍は北方艦隊第98航空連隊にKh-47キンジャール極超音速ミサイルの実戦配備を開始した、ロシアのイズベスチャ紙が報道した。キンジャールはMiG-31戦闘機より運用するもので、元々はイスカンデル短距離弾道弾、スカッドミサイルの後継として開発された短距離弾道弾を上昇性能に優れたMiG-31戦闘機から投射し落下速度を速めたものだ。

 Kh-47キンジャールはマッハ10乃至マッハ12で飛翔するとされ、これは地上からイスカンデルミサイルを発射した場合よりも大幅に強化されている。MiG-31はMiG-25戦闘機の改良型であり、最高速度こそMiG-25よりも低下しているが電子装備は大幅に強化されているため、重量の大きなイスカンデルミサイルを搭載した場合でも上昇性能は充分である。

 MiG-31は航空宇宙軍に配備されており、海軍航空隊への配備はこれまで行われていないが、近く海軍カムチャトカウィル基地の太平洋第317航空連隊へも配備が開始されるという。イスカンデルは中距離核戦力全廃条約の制約下で射程を500kmに抑えているが成層圏から発射するキンジャールは射程が2000kmにまで延伸、対艦用に用いられる可能性が高い。
■Su-57ステルス性を向上
 ロシア機はSu-27でも試作機と量産機が大きく形状を変化させたことを思い出します。

 ロシア軍の第五世代戦闘機Su-57がエアインテークグリルを装着しステルス性を大幅に向上した、ロシア国内報道が伝えるところによればSu-57戦闘機はエンジンに空気を供給するエアインテーク部分がステルス性の脆弱性となっていましたが、今回この部分にエアインテークグリルとしてステルス遮蔽板を装着することで脆弱性を払拭したとのことです。

 Su-57戦闘機を含む戦闘機は機体形状によりステルス性を構成していますが、エンジンへの空気取り入れ口から入ったレーダー波がそのまま奥に位置するエンジンに反射し、部分的にステルス性を損なう問題が。F-22やF-35では空気経路をS字状とする事で対応していますが、Su-57はここに反射板を置き、レーダー反射面積下げつつ空気経路を確保します。

 Su-57戦闘機は2019年に76機を27億ドルで量産契約を結んでおり、これはロシア製戦闘機としては破格の高さではありますが、アメリカ製第五世代戦闘機よりは大きく費用を抑えている点が特色です。Su-57のステルス性がどの程度であるかはロシア政府発表の信憑性により判断が難しい所ですが、それは0.1平方メートル以上1平方米以下と発表しています。
■二転三転のインドネシアF-X
 インドネシアの国防計画は二転三転するものと認識せねば下手な信頼は大やけどの元です。

 インドネシア空軍は12月、アメリカよりF-15戦闘機及びF/A-18戦闘機の100機を長期的に契約する方針を表明しました。これは12月7日に行われたインドネシアのスビアント国防大臣とアメリカのミラー国防長官代行との代打で示されたもので、インドネシア政府はF-35戦闘機の170機取得を望んだものの十年以上要するとして断念したもようです。

 インドネシア政府は90億ドルから110億ドルにより次期戦闘機の取得を望んでおり、しかしフライアブルコストではF-15,F/A-18ともに現行の生産型ではこれだけの装備を調達する事は現実的ではありません、この為、アメリカとの合意にもかかわらずユーロファイター中古機やラファール中古機導入の交渉も進められており、現実的な見通しは立ちません。
■米海兵隊F-35C母艦運用開始
 ニミッツ級空母などで運用されるF-35Cは空母艦載機型で垂直離着陸型のF-35Bとは別の型式です。

 アメリカ海兵隊の第3海兵航空団司令官クリストファーマホニー少将はVMFA-314/第314海兵攻撃飛行隊はF-35C戦闘機のIOC初度作戦能力獲得を12月2日付で発表しました。VMFA-314/第314海兵攻撃飛行隊は第3海兵航空団隷下の飛行隊であり、F-35Cを運用する海兵隊最初の飛行隊で、MAGTF海兵空地任務部隊一員としれ艦上に展開します。

 VMFA-314/第314海兵攻撃飛行隊に配備されたF-35CはF-35シリーズの中でも最も開発に時間を要した機体で空母艦載機型、海兵隊は既に垂直離着陸が可能でアメリカ級やワスプ級強襲揚陸艦から運用するF-35Bの運用ではかなりの経験を有していますが、F-35Cは基地やニミッツ級原子力空母やジェラルドFフォード級原子力空母より運用するものです。
■U-2偵察機にAI副操縦士
 U-2偵察機は胴体部分がF-104という大時代的な機体ですが搭載能力が大きくまだまだ現役です。

 アメリカ空軍では現在も運用が継続されるロッキードU-2戦略偵察機についてAI副操縦士の近代化改修を計画しているとの事です。U-2偵察機はF-104を原型とした設計ではありますが、RQ-4無人偵察機よりも大型で高性能のセンサーを搭載可能であり、無人偵察機全盛の現代でも運用が続いていますが、極めて操縦が難しい事でも知られている航空機だ。

 U-2偵察機のAI副操縦士は操縦士の飛行情報や脅威情報等の情報処理を従来の自動操縦装置よりも的確に補佐し、収集した情報の伝送も実施、操縦士の負担を軽減する事が期待されています。U-2偵察機は成層圏を飛行する為に宇宙服とほぼ同じ高高度与圧服を装着する為に機内での作業には大きな制約があり、長大な主翼は離着陸にも高度な技術を要します。
■豪州空軍P-8A増強へ
 P-8A哨戒機、海外の兵器見本市では海上自衛隊のP-1哨戒機と毎回比べられる海洋哨戒機ですね。

 オーストラリア空軍はボーイングP-8Aポセイドン海洋哨戒機を更に2機増強する方針を発表しました。オーストラリア空軍はP-3B哨戒機の後継にP-8Aを選定、現在12機の配備計画があり、今回の増強によりP-8A海洋哨戒機は14機体制となります。これは南シナ海に加え東シナ海の海洋監視能力強化が求められている為の海洋哨戒能力強化の一環です。

 P-8A海洋哨戒機は海洋監視と共に対潜哨戒任務に充てるべくMQ-4Cトリトン無人偵察機3機の導入が進められています。またオーストラリア空軍ではLRASM長距離対艦ミサイルをP-8Aに搭載し対艦打撃力の一端を担わせる計画もあり、オーストラリア軍全体では10年間で2700億ドルの巨費を投じて、オーストラリア軍の近代化を進めているところです。

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練習艦隊江田島出航,令和3年近海練習航海部隊と令和2年度外洋練習航海部隊の航海計画

2021-03-14 20:15:11 | 北大路機関 広報
■コロナ禍下の練習艦隊出航
 練習艦隊近海練習航海の日程は例年海上自衛隊発表を注視するところですが、今年度の発表は文字通りぎりぎりとなりました。

 練習艦隊が13日、江田島基地を出航しました。令和3年近海練習航海部隊と令和2年度外洋練習航海部隊、練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、護衛艦あけぼの、以上4隻揃っての江田島出航です。本年は異例尽くし、訓練支援艦初参加、COVID-19世界的流行禍下での出航と云う事もあり、公開日程が発表されたのは12日夕方、なんと出航20時間前だ。

 艦隊出航。毎年恒例となっている行事であり、江田内を出航する様子は江田島の地形から高田といった江田内の対岸から撮影する事が容易で、観艦式が巨大台風により中止され地方隊展示訓練が2014年以降行われていない時節故に単縦陣の艦隊航行を撮影できる貴重な機会となっているのですが、今回は前日情報発表となり、気付かなかった方も多いもよう。

 江田島基地を出航した練習艦隊は第71期一般幹部候補生課程修了者が令和3年近海練習航海へ、第73期飛行幹部候補生課程修了者が令和2年度外洋練習航海へ、それぞれ参加しています。今年度の幹部候補生学校卒業式は、昨年度の午前中に出港した練習艦隊出航とはうって替わり、しかし父母出席は見送りとなり簡略化されたものの午後に入り出航しました。

 練習艦隊司令官石巻義康海将補が近海練習航海部隊指揮官、外洋練習航海部隊は第3護衛隊司令濱崎真吾1佐が指揮官に就きます。なお現在、部内課程第54期一般幹部候補生課程修了者を乗艦させた外洋練習航海部隊が第1練習隊司令井伊正章1佐指揮下の護衛艦ゆうぎり、練習艦せとゆき、練習艦はたかぜ、をもって南太平洋を航行中となっています。

 近海練習航海は新任幹部自衛官へ必要な艦隊勤務の所要知識と海上勤務要員としての素養を演練する目的で日本国内を一周し、続いて遠洋航海へ向かうのですが、そこはコロナ禍下、例年は神戸港か大阪港、名古屋港に函館港と三机や伊勢など多くの港湾や史跡を巡るのですが、感染対策下で昨年も今年も難しい。近海練習航海部隊の航海計画は以下の通り。

 練習艦かしま、掃海母艦うらが、訓練支援艦てんりゅう、以上3隻を以て江田内を出航した艦隊は最初の寄港地が18日の呉基地です。参加艦艇の母港でもあるのですが、ここ呉基地へ21日日曜日まで入港します。なお、前後した16日に部内幹部が乗艦し先月から外洋練習航海へ参加している練習艦はたかぜ以下が呉基地へ帰港するため、少し賑やかになる。

 沖縄基地へ艦隊は26日に入港します、勝連の沖縄基地へは29日まで帰港した後に次の寄港地は佐世保基地、西海防衛の要衝として名高い軍港都市への入港は4月5日までですが、その次の寄港地は九州から本州沿岸をそのまま本州最北の地、青森県の大湊基地へ4月8日へ入港、一転してここは北方防衛の要衝、冷戦時代に重視されました、寄港は10日まで。

 舞鶴基地、練習艦隊の次の寄港地は京都府の舞鶴で4月12日から14日まで。続いて艦隊が18日に東京湾は横須賀基地へ入港し28日まで十日間入港します。横須賀を出港した後に4月30日に再度呉基地へ入港、呉基地の帰港、いや母港だから帰港に近い印象ですが5月12日まで留まる予定で、更にこの期間から参加艦艇が大きく変更されるとのことでした。

 練習艦かしま、練習艦せとゆき、今年の近海練習航海は日程の前半を“近海練習航海その1”とし、後半の5月11日からの日程を“近海練習航海その2”という位置づけとなり5月13日に神戸市の阪神基地へ入港、例年ですと伊丹市では第3師団創設記念千僧駐屯地祭が執り行われる時節ですが、今年も実施は難しそうな感染状況下で15日まで寄港する予定です。

 阪神基地を出航した艦隊は5月16日に呉基地へ三度目の入港となり、また20日に出航するのですが5月22日に呉基地へ四度目の入港、23日に近海連取航海を完了し遠洋航海へ移行します。一般公開の予定はありません。かるが浜や呉基地にて練習艦隊を撮影するにはなかなか適した日程という印象ですが、呉基地へ四度出入港するというのは異例ですね。

 令和2年度外洋練習航海部隊は、護衛艦あけぼの、を以て昨日出航し、上陸せず接岸の補給のみの予定でマレーシアのポートクラン、インドネシアはジャカルタと、ヴェトナムのハイフォンを経て5月3日に呉基地へ帰国予定です。飛行幹部候補生課程修了者が乗艦していますので、そのまま遠洋航海は参加せずに、航空要員としての訓練へと進む予定です。

 COVID-19世界的流行禍下での出航です、そこで艦隊を撮影に行かれる方も多いと考えるのですが、可能な限り撮影者の間で距離をとることは一つの重要な点なのですが、もう一つ重要なのは日程は変更され得る、ということです。実は昨年度の近海練習航海でも日程が変更され、入港日や出港日は目安、となっています。撮影される方はご留意ください。

 撮影についてもう一つ、遊漁船をチャーターして撮影される方がいますが、実は13日の艦隊出航に際し、艦隊の航路上で停船して撮影している船舶がありまして、艦隊が津久茂瀬戸に入る手前で緊急停船、自衛隊の小型艦船が駆け付け移動を命じられつつも撮影を続ける出来事がありました、新任幹部晴の日の門出に非常に残念な出来事と云わざるを得ない。

 撮影には節度を、練習艦は国際法上の軍艦であり江田島基地は観光地ではなく軍事基地です、そして近海練習航海も外洋練習航海も平時ではありますが自衛隊の訓練計画に基づく即ち軍事行動の一環として行われています。それ以前に現行法で航路上に停船することも不法行為であり、妨害したのは一隻ですが、ちょっと残念な気持ちになってしまいました。

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【G3X撮影速報】岐阜基地ファントム撮影.E-2C&P-1&C-1FTB上空大集合(2021-03-03)

2021-03-13 20:12:33 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■飛び続けて半世紀,C-1FTB
 ひな祭りに歩み進めました岐阜基地撮影は前回の前半に併せて今回が後半です。

 C-1FTB,このFTBとはフライトテストベット、という。銀色に輝くC-1輸送機原色というべき塗装の機体は初飛行が1970年11月12日ですので、この時はXC-1と呼ばれていましたが飛び続ける事はや半世紀を超えている、しかし飛行耐用年数を残している航空機です。

 F-15が着陸態勢へ入る。F-15は基本設計こそ古い航空機ですが、兎に角頑丈で、しかも機体構造が長期間の運用を考えていると共に沢山の装備品を搭載出来まして、要するにステルス性を持つF-35にとって弾薬庫や空中巡洋艦のように大量のミサイルを運ぶという。

 イーグル。アメリカ空軍ではF-15FXとしてF-15E戦闘爆撃機を原型とした再生産型のイーグルを旧式化したF-15C戦闘機の後継に充てています。航空自衛隊もその選択肢はあるようにも思うのですが、航空自衛隊、当面はF-35調達に手一杯、という状況のようですね。

 ファントムが旋回してこちらに向かいます。一眼レフのEOS-7Dには自慢の100-400mmレンズを装着しているのですが、この旋回の構図を撮影するにはなお遠い、そういう事でこの状況での撮影はG-3Xの長望遠ズームに暫く任せる事としましょう。この望遠は凄い。

 F-4EJ,1971年に導入が開始されまして冷戦時代の日本本土防空を担い、F-15配備後には空対艦ミサイル運用能力付与など改修により第一線で運用を続ける能力向上を行ってきましたが、なにしろ2021年、運用開始から半世紀ということでいよいよ運用完了が見えてきた。

 F-2戦闘機の旋回、やはり超望遠は良いよね、と思ってしまう構図です。デジタルズームで粒子荒れが凄いですが、600mm単焦点レンズでも購入して2倍テレコンバータを装着できれば1200mm相当になります、ただ、あのレンズは値段も張りますが、何より、重いの。

 C-1FTB、岐阜基地飛行開発実験団所属の航空機です、こういいますのもC-1輸送機初号機を各種機材の評価試験用に運用しているもので、C-1輸送機はいまでこそ迷彩が施されていますが、開発が部隊配備へ進んだのちもしばらくはこのジュラルミン色で運用されました。

 F-2戦闘機が頭上を往く。岐阜基地といえばFS-Xと呼称された当時の試験機塗装の航空機、という印象が強かったのですが、なにしろ長らくF-2といえば三沢基地まで行かなければ実戦部隊のF-2が見れなかった時代には、海洋迷彩のF-2部隊が羨ましく思ったものです。

 F-4戦闘機の着陸へ。タッチ&ゴーでもう一度飛来していたのですね、この時点で岐阜基地に、いや自衛隊に残るF-4は4機のみですが、その全ての機体のエアインテイク部分にスペシャルメッセージが、こちらについてはG-3Xではなく一眼レフEOS-7Dで撮影します。

 F-2戦闘機の着陸へ。考えてみれば2020年を通じて、もともと岐阜基地の撮影は三井山山頂から俯瞰風景に収める事が多かったのですが、昨今はなにしろ人出が多すぎまして社会的距離を確保する為には登るに登れず、ここから撮影している次第です。するとひとつ。

 三井山は岐阜基地エプロン地区と愛知県犬山市までが一望できる好立地ですので、タッチ&ゴーが着陸か、また次に何が離陸するのか、という状況が分るのですが、空の公園各務原からですと分かりにくい部分があるのですね。出来る事は一つ、目の前の機体を撮影する。

 F-2が着陸しました。午後から撮影という状況ではありましたが、実はこの日はひな祭りとともに岐阜基地の所在する岐阜県では岐阜県公立高校受験日と云う事でして、午前中はほぼ飛ばず午後から本番という一日でした。確かな情景の写真に満足し、帰路につきました。

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令和二年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.03.13-2021.03.14)

2021-03-12 20:09:53 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 練習艦隊近海練習航海日程がそろそろ発表される頃合いですが皆様いかがお過ごしでしょうか。今週も公開行事は無く練習艦隊写真と共にCOVID-19の話題などを。

 東日本大震災から十年を迎えた我が国ですが、喫緊の課題はCOVID-19という災害でこれは間違いなく天災です。現実問題として東日本大震災の犠牲者は津波被災者と共に原子力事故に伴う広域避難など、震災関連死を含め2万2200名を超える規模となっていますが、COVID-19は一つ対応誤れば、東日本大震災を遥かに凌駕する巨大災害となりかねません。

 日本の感染対策ですが、反発はかなり声を大きく聞く印象ですけれども、ロックダウン都市封鎖を行う事も、マスク着用法的義務化も、夜間外出宣言も行わず、自粛主体の要請で、そして幾つかの国で問題視されているような、不明瞭な人口減少や統計に影響する規模の犠牲者見逃しも、医療崩壊も回避出来、経済も崩壊していません。何とかなってはいます。

 COVID-19,日本国内で懸念されているのは感染力が強く致死性も高まっている変異種による日本国内の感染拡大です。COVID-19は感染対策に成功していると評価された諸国、シンガポールやイスラエルやスウェーデンにチェコが代表例ですが、次の波で大規模感染を引き起こす事例が非常に多く、日本が名を連ねないよう進めるにはどうすればよいのか。

 神戸市で39%のイギリス変異ウイルス株が。これは市中感染状況を調査する為に積極的なPCR検査を実施した結果、感染者数の39%がイギリス変異種となっており、現在の感染対策により爆発的感染を抑制できているのは在来型のCOVID-19であり、新型ウィルスについては感染防止策をすり抜け感染拡大を引き起こす可能性を示唆した結果といえましょう。

 N501Yというイギリス変異ウイルス株、この拡大について北海道大学が気になる研究結果を発表しています。それは北海道大学大学院工学研究院の研究チームが北海道においてN501Yが確認される前に採取された下水サンプルに、N501Y遺伝情報が検出されたとの事、これは検査体制を逃れた静かな市中感染の可能性を示しており、今後も油断はできません。

 イギリス変異ウイルス株N501Y、この危険性ですが死亡率はかなり高くなるようです。これはイギリスのエクセター大学研究チームは10日、30歳以上の5万5000名を対象に調査した結果で、N501Y感染者と在来種感染者では死亡率が64%高まる、これは致死率64%ではなく、致死率2%のCOVID-19在来種との比較で、上昇するリスクが算出されたという。

 ワクチン、これがCOVID-19の現状を変える要諦となりますが、接種回数でみてみますと、厚生労働省の発表では3月10日1700時時点で14万8950回とのことでした。人口の60%が免疫獲得により集団免疫を構成できるという事ですから、しかし、14万8950回、ワクチンの総量が少ない要因はあるものの、日本の人口を考えますとまだまだ鎮定、先は長い。

 アナフィラキシー。ワクチン接種の際に生じる過度なアレルギー反応副作用ですが、10日の衆議院内閣委員会にて河野規制改革担当大臣は、既に17名のアナフィラキシー症例が確認されており、欧州やアメリカと比較して日本ではアナフィラキシー症例が多い印象があり、慎重に推移を見守ってゆく事としています。もっとも重篤化した事例はないとのこと。

 東日本大震災を経験した日本だからこそ、地殻変動かウィルス変異かの違いはありますが、危機管理の視点を見失うことなく、見たくない現実と科学的検証を直視する意味と意義を体験として知っている訳でして、このCOVID-19世界的流行禍についても冷静さを失わず観てゆきたい。当初想定よりも時間は掛かるようですが、もう少し耐えてゆきましょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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