北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-横須賀,軍港都市で頂く東京駅からの旅気分

2021-10-24 18:21:12 | グルメ
■横須賀で駅弁片手に旅気分
 北海道の札幌駅でイクラの美味しい駅弁に感激したものですが豊洲のある東京にも引けを取らない美味い駅弁が在る。

 自衛隊関連行事が予定通りに行われていました時代には、移動の際の駅弁というものは旅情誘う楽しみでした、護衛艦ひゅうが艦内で名古屋名物とり飯をいただいたこともありますが、弁当屋の弁当やコンビニ弁当とは違う風情というものが、駅弁にはあるとおもう。

 横須賀に宿泊して東京でワクチン接種を受ける、そんな非日常と云えるCOVID-19の最中の旅情を愉しんだのですが、逗留しましたのは九月初旬、空母クイーンエリザベス日本寄港と新型コロナ感染拡大第五波の最中、流石に外食を愉しめる雰囲気ではありません。

 東京駅で美味しそうな駅弁を購入して、それでホテルの愉しみとしよう。なかなか奥歯にものの挟まったような愉しみかたですが、実際のところこの二年間は旅行とリスクを両立しようとしましたらば、こんな感じになっていましたよ。その分、駅弁で旅情を愉しもう。

 うまい、唸るというか旨いと、そうつぶやくに限るような駅弁というものがあります。まぐろいくら弁当。これがその一つなのかもしれません、東京駅のお弁当売場で買い求めたもの。なにしろインパクトからして期待を誘うものなのですから、そして期待通り。

 駅弁、これは電車の中でビールを片手に、いや気動車のなかで清酒を片手に、でも良いのですけれども、これが"粋"というものなのだとおもっていましたが、昨今は新幹線車内でも酒類販売が自粛されている状況、まさに世界はCOVID-19を相手とした戦時なのだ。

 まぐろいくら弁当、横須賀のホテルで頂きました。いや東京駅で買い求めたもので、前に東京駅で見かけた際に、これは絶対おいしいに決まっている、と惹かれたのですが、名前はどう眺めてもナマものですので、これを新幹線で遙か持ち帰る時間はない、だから。

 深紅のイクラとマグロ、予想通り並んでいる。そう、そしてワサビ醤油もついているのですから、こぼさないように、慎重に、しかし大胆に掛けて頂く、と弾けるのですよ、口の中でイクラが。マグロを頂いたつもりがついてきたのですね、意表を突く旨さ美味しさ。

 マグロの酸味といいますか、ヘモグロビンの主張と旨味、これも変な弁当箱ではなく頑丈な駅弁の弁当箱だからこそ手元を口元に近づけて、思い切り野趣あふれるようなかき込み、という楽しさがあるのですが、イクラの塩気と滋味共々、たのしめるものなのですよ。

 駅弁はコンパクトですし、汽車のなかで頂くものですので弁当箱が頑丈にできている、環境大臣セクシー小泉の地元横須賀で、エコに逆行するような頑丈な弁当箱ですが、華奢な弁当箱で中身をブチまける食材ロスにくらべれば、よほどまし。そしてかきこむ快感が旅情を感じますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-舞鶴,護衛艦はるな見上げた夕日のレッド

2021-10-23 20:10:14 | グルメ
■舞鶴一望の五老岳山頂
 舞鶴には様々な山々が日本の原風景を彩るようですがひときわ印象深いのは五老岳でしょう。

 舞鶴。京都の海上自衛隊基地です、旧海軍の鎮守府がおかれて今年で120年を迎える。舞鶴は旧海軍時代には駆逐艦の軍港として知られ重巡の利根と筑摩が配備された際には舞鶴の戦艦として親しまれたという。戦後自衛隊はDD,DDG,DDH,駆逐艦しか建造していない。

 はるな、しらね、ひゅうが。1998年のヘリコプター搭載護衛艦はるな舞鶴配備をかわきりに徐々に舞鶴を代表する護衛艦は駆逐艦とはいえ大型化し、ひゅうが一隻で満載排水量は19000tに達します。この結果、散策の際に食事の時も入港する艦について気になります。

 美味しいものを食べて思い出に残したい、でも、はるな撮りたい。はるな除籍は昔の話ですので撮影にはイージス艦はるな建造を待たねばなりませんが、ひゅうが入港や、かが寄港、舞鶴へは様々な護衛艦が入港します、北朝鮮弾道弾基地が日本海の対岸ですからね。

 五老岳。ここは舞鶴の中央に位置する標高301mの独立峰で、この五老岳を中心に軍港の東舞鶴と城下町の西舞鶴を分けるランドマークというべき山岳です。そしてその山頂部は公園となっていまして、レストランでは絶景の俯瞰風景とともに美味しいものを頂ける。

 舞鶴という地名は良港の地形であった田辺が、湾の形状に鶴が舞う優美さを見い出して命名したという。しかし、落ち着いて考えますとその絶景の眺望を一望という名所は限られるものです。この展望台も旧海軍と要塞法のある時代は立ち入り禁止の立地でしたけれど。

 カレーは、海軍カレーという訳ではありませんが、基地の街ということで舞鶴の名物となっています。舞鶴は呉とともに東郷平八郎が鎮守府司令長官を務め、その歴史から肉じゃがのふるさとの座を競っていますが、意外ながら舞鶴では肉じゃがを供する店は少ない。

 肉じゃがよりも愛着があるのはカレー、ということなのでしょうかね。この五老岳山頂レストランのカレーは辛さ強め、中から、控えめ、というものを辛い万願寺を使うとか、素材を工夫して自然に醸し出しています。個人的に激からは苦手だが、辛いのは好きという。

 夕日のレッド。カレーは少し辛い方が良いと思うのです、グリーンのカレーもありましたが、激辛の部類に入るタイ料理のグリーンカレーを愛する当方にはちょっと色だけのグリーンなカレーは合わないような気がしまして、カレーらしい色彩に見合った風味が好きだ。

 ひゅうが入港はあるのか、そういった情報は船舶位置情報AISを丹念に見つめていればわかる、といわれてしまいそうですが、この山頂レストランからですと、旨い美味しい、という感動とともに、ふと俯瞰風景に湾口を眺めて、大きな艦の動きをみることもできます。

 ダムカレーというのか、とおもえば二つのご飯の膨らみが舞鶴の代表的建築物である舞鶴クレインブリッジをイメージしているという。クレインとはクレーン、起重機の愛称と同じで、もともとはフランス語の鶴を意味します、クレーンは外見が鶴ににていますからね。

 スパイスの満足感は食欲を刺激します、そして喫茶店として始まりましたので、ここはコーヒーも美味しい。舞鶴の夏は暑い、盆地の京都市よりもフェーン現象の影響を受ける日本海側の舞鶴の方が暑い、いや熱いので、冷たいアイスコーヒーは火照った身にうれしい。

 万願寺で一杯やりたい、とは思うものの立地が自動車前提ですので。しかし、ここにもう少し路線バスを整備するとか、ビヤガーデンを整備するならば、護衛艦といいますか海軍への関心の高い方も多いご時世ですので、もっとにぎわいそうにも思うところですがさて。

 スカイタワー、五老スカイタワーは山頂の特徴的な美しさから舞鶴のランドマークタワーというもの、高さは50.5mあるという。実は山の標高が300mしかないことに驚くと共に山頂のタワーが実は50m以上あると聞いて二度驚いたのですが。東寺五重塔より少し低い。

 展望台からは舞鶴基地の北吸岸壁も、全域ではありませんが眺めることができます、ひゅうが、いせ等ヘリコプター搭載護衛艦は全通飛行甲板が特徴的ですので直ぐに入港している様子を見分けることができる。改めて、海上自衛隊の護衛艦も大きくなったものだなあ。

 熊注意。しかし気をつけねばならないのは、徒歩で上るのは相応に時間がかかり、くまさんと出会う可能性も若干あるということ。入港を見つけても徒歩では間に合わない、情報を活かすには自動車の機動性が必要な観測点と撮影位置、といえるのかもしれませんね。

 金曜カレー。海上自衛隊では毎週金曜日にカレーライスを食することで、艦隊勤務などで曜日感覚を忘れがちとなる中での区切りとしているようです。ただ、これは自衛官以外でも金曜日にはカレーを食べる、という習慣は、これは良いことといえるのかもしれません。

 カレー、もちろん海上自衛隊では厳密に献立を調整してカレー、カレーライスではなくともカレーうどんになることもドライカレーとなることもあるようですが、カレーは調理され、昼食の時間に、おお今日は金曜日なのね、多忙に曜日を思い出すということ。大変だ。

 週末にカレーを食べる習慣、自衛官でないわたしたちには、カレーを食べるというのはある程度調整が必要となりますが、言い換えればカレーを食べられるように週末までに完了すべき業務を完了してカレーを食べられるように調整する、区切りをつけられる訳ですね。

 カレーパンを辛うじて、辛くはなくとも、カジるだけになるとか、カレー煎餅をかみ砕いて時間調整の失敗を嘆息するということも、あるにはあるのですが、時間を掛けてカレーをいただいて、今週はやるべき業務を終えたので静かにこれはご褒美、としたいものです。

 金曜カレーなんて海軍マニアの不思議な習性、と思われるかもしれませんが、金曜日までに片づけてしまうべきことをという習慣とする。他方、旧海軍ではカレーは曜日感覚とともに残った野菜や肉類を一挙に調理する方便でもあったようで、片づけ、ということ。

 ターメリックはじめ香辛料の利いたカレーは、からだを温めてくれますので、しかし多忙な時にからだを温めますと眠気を誘うという難点もあります。もっとも、だからこそしっかり仕事を片付けて余裕と共にカレー、という理想論が成立つのですね。現実は厳しいが。

 珈琲とカレー、そう考えると、苦みとカフェインでしゃっきりさせるだけに良いのかもしれませんね。しかし紅茶も合うのか、そして今日23日は舞鶴市で風速17.1m/sの木枯らし一号が観測されたという事ですので、寒い季節にはカレーの香辛料で暖かくしないと、とも。

 週末。自衛隊では艦隊勤務や演習があるときや当直と、コロナ前では艦艇広報がある方は別としまして、これを食べれば後半日で休日、という強みもあり、これは休日こみで歓迎されているということ。美味しいカレーを食べるためにも週明けから、またがんばろう。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【榛名備防録】防空艦の形成,ジュットランド海戦時代の高角砲とワシントン海軍軍縮条約時代

2021-10-23 14:41:07 | 先端軍事テクノロジー
■はじまりは対気球単装高角砲
 防空艦と云えばイージス艦、しかしその前にも当然存在していました、今回は例によって自衛隊の写真とともに遥か前その概念の始まりを見てみましょう。

 航空重視、海軍の思想が太平洋戦争における日本海軍を考える上での一つの根本的命題、この理解への一助として、そもそも世界では、航空機が艦艇の脅威として認識されるようなったのはいつ頃なのかを考えてみましょう。航空機の誕生はライト兄弟による1903年の動力飛行分野での初飛行ですが、1900年にはツェッペリン伯爵が飛行船を開発しています。

 対気球砲、おそらく人類史上初めて航空目標として認識されたものは陸軍が運用する観測用気球であったと考えられ、1910年にはイギリスで3ポンドABG対気球砲が配備されています、1912年にはドイツがクルップ88mm高角砲とイギリスがアームストロング3インチ高角砲が開発されていますが、艦砲として採用されたのはもう少し先のことでした。

 第一次世界大戦、航空機が艦艇を狙うことはありませんでしたが1918年までにイギリスが水上機母艦から発進させたショート184型水上機を用い、航空機からの雷撃を実施、トルコの商船を撃沈する戦果を挙げています。なお、魚型機械水雷こと魚雷が実戦で初使用されたのは1895年の日清戦争において日本が発射したものですが、戦果はまだありません。

 ジュットランド海戦、第一次世界大戦における歴史上最大の戦艦部隊による艦隊決戦ではイギリスが索敵に水上機を投入していますが、まだ、艦艇に脅威を及ぼす水準ではありません、ただ、将来的に飛行船、飛行機でなく、飛行船が上空から艦艇を攻撃する可能性があったため、ドイツ海軍は戦艦に2門程度の88mm高角砲を搭載するようになった。

 アーガス、1918年にイギリスが商船を改造し史上初の航空母艦アーガスを開発するにいたりますと、単装高角砲の巡洋艦以上の艦艇へ搭載する事例が出てきます、1920年代に入りますと対空機関砲の搭載事例が始まり、先鞭をつけたのはアメリカの28mm機関砲でした。もっとも機関砲そのものは以前より対水雷艇用に1900年代に搭載はされていたのですが。

 Mk.Ⅴ10.2cm単装高角砲、イギリスは1920年に戦艦用に専用の単装高角砲を開発しています、こちらは射程14.9kmで有効射高は8760m、毎分8発から最大で13発の射撃能力を有し、アメリカも1927年にはMk.25/127mm25口径単装高角砲を開発、高角砲による防空が重視されはじめます、しかし高射機関砲の配備時代は1930年代まで待たねばならない。

 ワシントン海軍軍縮条約、ただご承知の通り、高射砲が重視される頃には主力艦が制限されるワシントン海軍軍縮条約が発効し、海軍休日とよばれる、主力艦としての戦艦や巡洋戦艦と航空母艦の建造が大幅に制限される時代を迎えまして、続く1930年のロンドン軍縮条約により巡洋艦や駆逐艦と潜水艦が制限を受けるようになります、するとどうなるのか。

 戦艦が対空戦闘を重視しようにも設計時点で対空戦闘を盛り込んだ艦艇が建造されるのは1940年近くになるワシントン海軍軍縮条約失効後でして、海軍艦艇が設計に脅威を盛り込むにも泥縄式に機銃を増強するのが精一杯、という状況となります。ポスト条約時代には副砲が高角砲を兼ねる例もでますが、条約前は船体内臓の砲楼郭方式が多い時代でした。

 このころ、戦艦に対し航空機優位論が主張されるようになりますが、見方を変えれば、対航空機戦闘の設計を新造できない時代の艦艇に対し航空機が演習で優位を示した範疇であり、条約失効後、新戦艦の時代が到来する事を暫定的に見越さないままでの旧式艦相手での航空機万能論、というものが、海軍休日時代、部分的に醸成されたのかもしれません。

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令和三年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.10.23-2021.10.24)

2021-10-22 20:20:20 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 総選挙が連立与党の平常運転と野党連合の見えない現実味政策書付に盛り上がりに欠けるところですが、如何お過ごしでしょうか。懐かしい伊丹の写真とともに最新情勢を。

 今週末も自衛隊関連行事は実施されません。しかしCOVID-19の感染拡大は着実に落ち着いてきていますので、このまま微増に転じないよう、感染対策を冷静に継続し、ブースト接種として三回目の接種が進展するまでに自然鎮圧に近い状態を継続できるのが理想ではあるのですが、コロナウィルス感染症は冬の季節性感染症故にこの冬へ懸念は残ります。

 東京都の本日の新規感染者数は26名、今年最少となりました。最小と共に先週と比較しても31名減少している事から半減以下となっています、そして六日間連続で新規感染者数が50名を下回っており、東京五輪の時機に重なった大規模な感染拡大は漸く抑えられつつあり、救急車の応援も含めた全車出動など、崩壊寸前であった医療も漸く安定しています。

 京都府を例に挙げますと本日22日より、飲食店に出されてい、明日時間短縮営業要請が全面的に解除されることとなります。勿論、感染対策への認定制度など、もろ手を振って全面解除ではなく、慎重な行動緩和の一環ではあるのですが、しかし大規模な忘年会や新年会などの入り口となるのでしょうか、社会全体が感染対策を第一と出来るのか、関心事だ。

 暖機運転から本格的な再起動に、社会は転換できるのか。結局のところ日本は同調圧力があり、社会全体が感染対策第一としているうちは同調圧力により自粛機運が感染を抑える事となりますが、リモート出勤終了や会合に宴会にと社会再稼働に機運が転換するならば、同調圧力は、感染対策を充分に行って飲み会宴会会合、とリスクを高める懸念があります。

 第五波は収束していますが、全国の自治体では冬の第六波に備えて病床確保など対策を強化しています。コロナウィルスは紫外線に対して脆弱であるため、真夏の太陽は路上や屋外のマイクロ飛沫にある程度の効果があり、また湿気もウィルスの制圧に多少の効果があるのですが、冬の乾燥した空気と少ない日照時間、ウィルスに有利といえるかもしれない。

 2020年も夏には感染が収まらなかったと、夏に印象づけられたのですが、夏よりも冬に第四波のほうが遙かに大きな感染者が出ていたため、あの状況で夏は抑えられていたのだ、とは冬に痛感させられたところ。感染力の強いデルタ株は2021年の夏に深刻な流行となりましたが、緊張感を持たねばより大きな第六波の被害という可能性を留意すべきでしょう。

 ワクチン接種をブースト接種を含めて前進させなければ、シンガポールやイギリス、イスラエルのように一定程度まで高いワクチン接種が実現したための行動制限解除が、逆に裏目にでる可能性があります。100%に達していなければ未接種の方や接種不能の方をリスクにさらす懸念があります。そして疾患次第でワクチンはかんぜんな決め手ではありません。

 イスラエルは世界でももっとも早いワクチン接種と高い接種率とともに、規制解除を実現しましたが、そのころに感染力の強いデルタ株が流入し、死者数は抑えたものの深刻な感染拡大を招き、そして少し時をおいて死者数の増大も始まりました。これによりイスラエルは三度目の接種、ブースト接種を実施、漸く秋に効果が出始めたところです。ただし。

 クラスターは起きにくくなる。ワクチンを接種すれば感染リスクが低減し、全員接種している空間ではクラスターの発生を回避しやすくなり、これだけでも意味があるのです。もっとも日本国内のワクチン接種は、まだ伸び続けており、二度目の接種忌避、一度目の接種忌避は有るにはあるのですが、このまま順調に接種率を高め続ける事を期待しています。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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豪州原潜導入決定【5】ヴァージニア級原潜早ければ2040年配備開始,初期艦リースも視野

2021-10-21 20:20:44 | 国際・政治
■そうりゅう型にしていれば
 オーストラリア海軍のコリンズ級後継艦への原潜導入とアタック級潜水艦建造中止は漸く混乱が一段落しましたが、最初から日本製を導入していればと思わないでもありません。

 早ければ2040年にも。オーストラリア海軍はアメリカ製ヴァージニア級攻撃型原潜を導入する方針を事実上固め、早ければ2040年にも一番艦の導入を見込むと発表しています。これは2054年戦力かがみこまれ中止となったアタック級潜水艦よりは14年前倒しとなっていますが、しかし言い換えれば、早くとも19年後、というのは悠長な話に思えます。

 オーストラリアの国防計画、日本に無関係なのではないか、と思われるかもしれませんが、QUAD日米豪印安全保障枠組として北東アジア地域と東南アジア地域における重要なステイクホルダーであるオーストラリア、そのオーストラリア海軍は海上自衛隊との重要なパートナーでもあります。その装備体系が機能するものであるかは、重要な関心事なのです。

 ヴァージニア級攻撃型原潜。オーストラリアが導入を目指す潜水艦は2004年に一番艦が建造されたアメリカ製原潜で、2040年代には一番艦竣工から36年、次世代潜水艦の竣工が始っているのではないかとも考えますが、オーストラリア海軍は一番艦をリースにより手早く取得し、オーストラリア国内での建造に先立って戦力化を見込んでいるとのこと。

 海軍としてはまともな潜水艦が必要である、それはヴァージニア級攻撃型原潜が最適解であるのかは議論の余地が残りますが、オーストラリア海軍による周辺警備方式、広大な航続距離を有する潜水艦が平時には浮上航行し、必要な襲撃運動や警戒監視に際して潜航する、この運用方式は、2020年代にはオーストラリア周辺で成り立ちにくくなっています。

 カルロベルガミーニ級ミサイルフリゲイト。イタリアのフィンカンティエリ社が建造している6000t級の多目的フリゲイトですが、インドネシア海軍がその6隻の導入を決定しました。もがみ型護衛艦など各国のフリゲイトを選定した結果のカルロベルガミーニ級決定ですが、オーストラリア周辺国の水上戦闘艦戦力は著しく強化されはじめているのですね。

 そうりゅう型であれ、コリンズ級であれ、214型潜水艦であれ、悠長に浮上航行して警戒監視し、必要に応じて潜航する運用では、一旦捕捉された潜水艦が逃げられるほど現代のASW対潜戦闘は簡単ではありません、すると、そうりゅう型のような航続距離の大きな潜水艦よりも、オーストラリア海軍潜水艦運用そのものを変革せねばならなくなるのは、必至だ。

 水中航行能力の高い潜水艦でなければ、大陸沿岸海域全般を警戒監視できない、という考えなのかもしれません。もっとも、これはオーストラリア海軍の潜水艦運用体系がまだ転換期を見越した次世代運用研究まで至っていないことの裏返しでもあり、2040年までの19年間、これまででも二転三転した潜水艦計画を一貫して継続できるのか、疑問でもあるが。

 ヴァージニア級攻撃型原潜であれば、これまで浮上航行し警戒監視を実施していた任務をすべて潜航して実施する事は可能となります。一方でヴァージニア級攻撃型原潜にとり不利であるのは、オーストラリア海軍は周辺海域の警戒監視を行うと共に、中国との軍事対立を背景に、南シナ海での任務を重視する方針です。すると海域の特性が随分とちがう。

 南シナ海は北部には深海を含む水深の深い海域が広がりますが、オーストラリアに隣接する南シナ海の南部と中部は水深が浅く、原子炉を稼働させる以上熱交換装置と減速ギアという、水中放音の宿命を抱えた原子力潜水艦よりも、充電した電池による完全無音潜航が可能な通常動力潜水艦の方が有利な海底地形ともなっており、運用環境と合致するのか。

 オーストラリア海軍はオーストラリア周辺海域に留まらず、水深の深い南シナ海北部の中国近海までを作戦海域とする為に原子力潜水艦を必要としている、こう考えるならば必要性は理解できます。例えば、コリンズ級潜水艦後継計画にオーストラリア軍は特殊部隊支援能力を要求しており、中国沿岸部での特殊作戦実施に当てはめるならば納得は行きます。

 QUAD日米豪印安全保障枠組ではなく、AUKUS,アメリカイギリスオーストラリア防衛協力枠組、今回の原子力潜水艦導入計画はAUKUSの一環として提示されましたが、AUKUS参加国では、アメリカとイギリスが原子力潜水艦を保有しています。しかし、イギリスは本国から距離が大き過ぎ、現状ではアメリカ海軍一国に一部任務負担の荷重がのしかかる。

 AUKUS枠組の視点から考えるのであれば、アメリカ海軍が南シナ海とその周辺海域での原子力潜水艦でなければ任務達成が難しいと考えられる海域での任務に、アメリカ海軍に加えてオーストラリア海軍が原子力潜水艦を保有するならば、負担の軽減に繋がる、こう考えるのかもしれません。もっとも、このアメリカの視点に些かの疑問符も付くのですが。

 同床異夢があるのではないか。アメリカ海軍が最後に運用した通常動力潜水艦は実験潜水艦やDSRV深海潜水艦救難艦等を除けばバーベル級潜水艦、自衛隊の潜水艦うずしお型に影響を与えた潜水艦であり、アメリカ海軍として通常動力潜水艦のポテンシャルを把握しているかについては疑問符が残ります。実際、アメリカも同様の認識は或るとされます。

 ゴトランド級潜水艦、アメリカ海軍は2004年から2007年に掛け、スウェーデン海軍の潜水艦を借用し、通常動力潜水艦の運用研究を実施しています。これは南シナ海を航行中のアメリカ海軍艦艇が中国海軍が運用する通常動力潜水艦による接触追尾を幾度も受け、対潜水艦戦闘を研究する為にスウェーデン製潜水艦の貸与を受け研究したものです。ただ。

 アメリカ海軍がゴトランド級貸与を受け実施したのは対潜水艦戦闘の研究であり、アメリカ海軍では通常動力潜水艦取得の研究は今世紀に入り幾度かはありましたが装備計画には至っていません、この為に通常動力潜水艦の運用能力を正確に把握しているとは考え難く、オーストラリア海軍へ原子力潜水艦取得を提示した背景には思い込みがあるように考える。

 原子力潜水艦が有れば何でもできる、こうした思い込みがオーストラリア海軍の視点からもあるのではないか、手元にはコリンズ級潜水艦しかありませんし、兎に角運用が潜水艦としては特殊過ぎる事から無理を通した計画の潜水艦は2054年完成という無理な長期間を突き付けられた、ならばいっそのことAUKUS枠組を通じて、と考えたのかもしれません。

 2054年まで掛かるアタック級潜水艦、オーストラリア海軍が待てない、という視点は充分理解できます、その頃には自衛隊そうりゅう型潜水艦は退役している頃ですし、次の最新たいげい型潜水艦さえ退役を迎えている頃でしょう、しかし、ヴァージニア級潜水艦にしても早ければリースで2040年という計画は、傍目にも難しすぎる計画に見えなくもない。

 コリンズ級潜水艦後継計画、一番艦竣工が1996年ですので2040年というのは相当な延命計画が必要であるようにも思えます、もちろん大規模な近代化改修と延命を行うのでしょうが、当初日本が提示した潜水艦そうりゅう型であれば現地生産分は別として日本で建造していたならば既に引き渡しが開始されている頃合い、大丈夫なのかと不安になるのです。

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【京都幕間旅情】熊野若王子神社,京都三熊野最北の神社は権威再興期した後白河法皇の社殿

2021-10-20 20:21:40 | 写真
■哲学の道,散策のその先に
 ゆったりと物事を考え読書の友とするには喫茶店では珈琲を頼むべきか紅茶を嗜むべきか。そう過ごしていると日が沈むのは早い季節となりましたね。

 若王子神社、正しくは熊野若王子神社と称しますこの神社は、哲学の道その南端、京都市左京区若王子町という殆ど山手と云いますか山麓に位置します立地に鎮座しています。ここは参拝に赴くといいますか、何かこう呼び寄せられる、若しくは至ってしまう御縁が。

 哲学の道、琵琶湖疏水に沿った琵琶湖疏水と共に築かれた歩道でして、元々は文学者や作家が好んでこの界隈に住んだ事から文人の道と呼ばれていましたが、第三高等学校こと京都大学開学とともに西田幾多郎や田辺元といった哲学者が散策に訪れ、この名となります。

 京都三熊野、熊野若王子神社という名の通り京都には幾つかの熊野があります、東福寺と泉涌寺近くの新熊野神社は熊野本宮大社、聖護院の熊野神社は熊野速玉大社、熊野若王子神社は熊野那智大社と実は熊野三山に併せた霊地となっていまして、これも歴史はふるい。

 熊野との繋がり。熊野詣として遠い熊野へ門出するにあたりまして、修験者はまず熊野若王子神社で身を浄めたといいます。一方、京都三熊野は特急くろしお号もオーシャンアローさえも無かった中世の時代に遠い熊野へ参詣は簡単でなく、三社を巡り熊野詣に代えた。

 永暦元年こと西暦1160年、当時の後白河法皇が禅林寺の鎮守社として熊野権現を勧請したのがこの若王子神社のはじまりといいまして、その名は天照皇大神の別名であります若王子が由来するという。そして後白河法皇の時代というのは日本の一つの転換点でも、ある。

 後白河天皇と鳥羽天皇に白河天皇の御世、この御三方は特に長寿で在られまして、堀河天皇や崇徳天皇に鳥羽天皇と近衛天皇の御世でもあったのですが、この頃に日本内政は院政による、御所と院の御所による二重権力時代を迎え、期せずして混乱期に入ってゆきます。

 藤原摂関家から距離を置く後三条天皇の即位が治暦4年こと1068年、貴族政治から距離を置くべく後三条天皇は荘園整理令の詔勅を出しましたが、この施策は国の財政再建というよりも律令国家の再来を期した強権的な天皇制再興に他ならず、現実との乖離をうみます。

 白河天皇へと継がれますと勅撰和歌集のような文化への威光は別として、国分寺の再来というべき白河法勝寺など官寺造営や鳥羽殿造営など、権威づけが箱モノ建設で具現化した為に経済混乱は悪化し、そして権限強化へ堀河天皇へ譲位した後に院政を始めるのですね。

 院政は余り好い言葉と考えられない今日ではありますが、朝廷とは別に院の御所を造営する為に、それまで活躍の機会が無かった文人官僚の再登用や中級貴族の実力者を柵なく集める事とはなりました、そして権威的箱モノ建設や院政は当然二重権力の反発を生みます。

 後白河法皇の時代には、この構造と反発の構造がある程度定着しつつありまして、権力闘争は根回し的解決ではなく新興勢力である武士階級による対抗勢力への牽制という選択肢が執られるようなりまして、後に続く武家政治700年の入り口を期せずして構築しました。

 若王子神社の造営はこの一環でありました。そして院の御所を支えた武士階級は当社をこうした歴史的経緯から長らく奉じる事となり、足利尊氏や足利義政による祭事、この波及効果で応仁の乱では荒廃しますが豊臣秀吉により再興されています。まさに分岐点という。

 本殿はもともと本宮、新宮、那智、若宮という四社が並んでいましたが1979年には現在の一社相殿の本殿となりました。従って建物の古さは余り語るものはないのですが、流れ流れて武家社会時代へ至る最初の分岐点に当地があるのだなと考えますと、感慨深いものだ。

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【防衛情報】モスクワMAKS-2021:新戦闘機チェックメイトとMiG-XX,第五世代VTOL機

2021-10-19 20:00:03 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 モスクワのジューコフ飛行場にて7月22日より開催されましたMAKS-2021は最新鋭戦闘機の開発が多数発表され、驚くべきものでした。日本のF-2後継機はどうなるのか。

 MAKS-2021航空展にてUACロシア統一航空機製造公社は第五世代戦闘機チェックメイトを発表しました。チェックメイトはNATOコードネームではなくロシア側の公称で、単発双尾翼のステルス戦闘機であり、輸出用を想定、第五世代戦闘機としては破格の2500万ドルから3000万ドルの費用を想定しており、2025年までに試作初号機の初飛行を見込む。

 チェックメイトはシュワーベホールディングス社の開発した複合光学装置KOEPS-75による分散型複合光学装置によるレーダー支援やS-111戦闘機データリンクシステム改良型搭載による編隊間データリンクシステム、KRETロシア無線電子技術公社の開発したパノラマ空間ディスプレイによるキャノピー情報表示装置など、新機軸の採用を目指している。

 MAKS-2021では実物大モックアップが展示され、プロジェクションマッピングによるプレゼンテーションが行われている。UACロシア統一航空機製造公社ではインドやヴェトナムへの輸出を見込んでおり、中国のJF-17戦闘機や中古F-16Cと同程度の費用で国際市場に提示できる第五世代戦闘機は低下しつつあるロシア戦闘機市場占有率回復を目指すようだ。
■無人機繰るSu-57複座型
 試作機初飛行から十年を経てそろそろ本格量産の話題へ信憑性の欲しいSu-57戦闘機の話題です。

 ロシア空軍向けに開発が進むSu-57戦闘機について無人機管制を目的とした複座型が開発されていることが発表されました。これは七月にUACロシア統一航空機製造公社が発表したもので、Su-57は同社の傘下に在るスホーイ社が開発しているロシア初の第五世代戦闘機です。当初複座型は練習型とも解釈されていましたが、全く新しい概念の派生型という。

 オホートニク無人僚機、UACロシア統一航空機製造公社ではSu-57を筆頭に高価な第五世代戦闘機を、例えば索敵や空中給油支援、例えばデータリンク中継や接敵、そして究極の際には第五世代戦闘機を盾となって護る囮として機能する無人僚機を開発していますが、戦闘機の複雑な機動飛行をAI人工知能だけで随伴するには、限界が指摘されていました。

 Su-57戦闘機について、2011年の初飛行以来中々本格的量産に進む事が出来ませんが、無人僚機管制官を複座型に同乗させる方式で今度こそ大量生産に漕ぎ着けるのか関心事です。なお、無人僚機を無理にAI自己完結させるのではなく管制官に運用させる方式、1950年代のF-4ファントムがレーダー自動化に固執せず管制官を置いた方式と共通するものです。
■MiGがVTOL空母艦載機を発表
 ロシアでは次世代空母バランの研究などがあるようですが現状の航空機の旧式化は否めません、ここに新しい話題が。

 ロシアのミグコーポレーションは垂直離着陸型第五世代戦闘機の空母艦載機開発を発表しました。ロシアでは空母艦載機としてMiG-29K戦闘機とSu-33戦闘機を運用していますが、アメリカの第五世代戦闘機であるF-35BやF-35Cに対して技術面で大きな後れを取っており、ロシア空母のポテンシャルそのものが低下するとして問題視されているところだ。

 垂直離着陸型第五世代戦闘機は、ロシアが構想する将来空母などでの運用を念頭としており、また空母から運用可能な無人僚機との連接も想定していると、七月、ロシアのRIA通信取材にミグコーポレーション関係者が発言しています。機体規模はMiG-35戦闘機と同程度とされ、ロシア海軍は勿論、インド海軍の保有する規模の空母でも運用を想定している。

 ミグコーポレーションによれば垂直離着陸型第五世代戦闘機は2021年7月時点でコンピューターモデリングを進めている段階であり、試作機製造はまだ先です。ただ、インド海軍ではMiG-29K戦闘機の後継としてアメリカ製F/A-18E戦闘機を試験しており、ロシア戦闘機の市場占有率が脅かされる状況でもあることから、新戦闘機の推移は興味深い話題だ。
■MiG-XX,安価なMiG-21後継
 MiG-21は安価という一点で途上国に空軍が必要とするものを揃えた万能機ですが旧式化と老朽化も深刻です。

 ロシアのミグコーポレーションはMAKS-2021航空展にて傑作機MiG-21戦闘機の後継となる戦闘機MiG-XX開発を発表しました。MiG-21は冷戦時代のソ連により開発され、前線運用を重視した手堅い設計により極めて安価で過酷な状況でも最低稼働率を維持でき、また非常に安価な戦闘機として超音速戦闘機では唯一、一万機以上が量産されています。

 MAKS-2021航空展へミグコーポレーションが展示したものはスケールモデルで、単発の単尾翼方式の航空機であり、全体的な形状はヤゴレフYak-130,高等練習機と軽攻撃機を兼ねる既存機に大型の戦闘機エンジンを採用し、超音速飛行能力を付与させたような構造で、最低限の戦闘機としての性能を持ちつつ最大限安価にまとめた機体という設計思想のもの。

 MiG-XXはRD93MAエンジンを搭載する計画で、これは中国が世界へ輸出するJF-17戦闘機に採用されたエンジンの改良型です。MiG-21は2020年代に明らかに旧式ですが、運用費用の低さからMiG-23等機体を退役させ維持する事例もあり、安価で第4世代戦闘機を圧倒できなくとも撃退出来れば良い、こうした発想の戦闘機は一定の需要があるでしょう。
■時事:津軽海峡を中ロ10隻航行
 此処からは時事ですが凄い艦隊を青函フェリーから目撃された方もいるとの事です。

 津軽海峡を中国海軍とロシア海軍艦艇10隻が同時に通峡するという異例の出来事が10月18日に確認されました、津軽海峡は国際海峡である為に各国艦艇にも無害通航権が認められ、また外務省は津軽海峡中央部を特例海域として非核三原則の例外に指定し核兵器搭載有無を示す必要はありませんが、中国とロシアの艦艇が同時に10隻航行するのは初めて。

 防衛省によれば0800時頃、北海道奥尻島沖にて艦隊を確認、八戸航空基地のP-3C哨戒機と第45掃海隊の掃海艇いずしま、あおしま、が警戒監視しました。中国海軍とロシア海軍は14日から17日にかけ日本海にて合同訓練を実施していました。今回確認されたのは南昌級駆逐艦南昌、昆明級ミサイル駆逐艦昆明、江凱級ミサイルフリゲイト浜州、柳州など。

 ロシア海軍はウダロイ級駆逐艦アドミラルパンテレーエフ、アドミラルトリブツ、ステレフシュティ級フリゲイトのグロームキーとアルダーツィデンジャポフ、及び随伴艦にマルシャルネデリン級情報収集艦と福池級補給艦の10隻から構成されていました。中国とロシア艦隊は日本海から太平洋に航行した後、ロシア艦は北上、中国艦は南下したもようです。
■時事:新潜水艦はくげい進水式
 神戸にて新しい潜水艦が一隻増えましたが艦名は意外なものでした。

 海上自衛隊は新潜水艦はくげい進水式を10月14日に実施しました。これは平成30年度計画3000t型潜水艦8129号艦であり潜水艦たいげい型二番艦として2019年より川崎重工神戸工場にて建造されていた最新潜水艦で、建造費は720億円、2023年3月に竣工の見込みです。なお、隣接する三菱重工では昨年進水の一番艦たいげい建造が進められています。

 はくげい艦名由来は白鯨を意味するものですが旧海軍を含めて艦名に採用されるのは今回が初めてとなります。一番艦たいげい、は潜水母艦大鯨の艦名を継承したものとなっていました。たいげい型潜水艦は前型そうりゅう型が非大気依存推進AIP方式を採用していましたが、画期的なリチウムイオン電池にて水中航続距離を延伸させた点が最大の特色です。
■時事:北朝鮮またミサイル
 潜水艦発射弾道弾はアメリカの滑空型魚雷誘導装置やインドが開発しているような長距離対潜ロケットの開発を周辺国が強いられるのでしょうか。

 北朝鮮は日本時間10月19日1000時頃、二発の弾道ミサイルを想われる飛翔体を発射させています、これは9月28日以来の弾道ミサイル実験ですが、韓国軍合同参謀本部の発表としてミサイルは咸鏡北道の潜水艦施設がある新浦付近から発射されたとしており、潜水艦発射弾道弾の可能性が指摘されています。潜水艦からの発射かは確認されていません。

 潜水艦発射弾道弾については近年、北朝鮮が重視している分野であり、米ロが運用する戦略ミサイル原潜のような世界規模の運用は見込めませんが、用途を絞り積極的に航行せず北朝鮮沿岸付近の海岸要塞や機雷原に守られた近海を遊弋するだけでも航空攻撃第一撃や韓国の潜水艦攻撃などで簡単に破壊されない核戦力の投射手段として用いる事が可能です。

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【防衛情報】ベル360インヴィクタス複合ヘリコプター開発状況とHSVLOT高速垂直機構想

2021-10-18 20:19:03 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はアメリカの進める次世代ヘリコプターの開発動向を中心に最新情報を視てみましょう。

 アメリカのベルテキストロンヘリコプター社は8月、全く新しいHSVLOT高速垂直離着陸航空機構想を発表しました。ベルテキストロンヘリコプター社は既にV-22オスプレイ可動翼機や、陸軍へV-280ヴェロー可動翼機を開発した実績があり、HSVLOT高速垂直離着陸航空機構想でも可動翼機方式を用い、しかし一部で先進的な技術を盛り込む構想です。

 HSVLOT高速垂直離着陸航空機構想では、涙滴状胴体に双垂直尾翼と主翼先端に動力部を搭載した概念図が発表されていまして、機体規模として無人機運用か人員など数名を空輸する1.81t程度の小型航空機から現行のC-130J輸送機の1.5倍にあたる45.35tの大型航空機まで想定しており、機体規模により滑走路から超短距離離着陸を想定しているとのこと。

 ベルテキストロンヘリコプター社によれば、可動翼航空機技術には依拠しているものの、V-22やV-280の後継機としては考えていないとしており、用途や機体形状については既存の機種よりは大きく異なるものになると展望しました。またこの概念実証研究へアメリカ空軍研究所はベルテキストロンヘリコプター社との間で95万ドルの契約を結んでいます。
■HSVLOT高速垂直離着陸機
 HSVLOT高速垂直離着陸航空機という画期的な将来計画が進められています。

 アメリカのHSVLOT高速垂直離着陸航空機構想について、ベルテキストロンヘリコプター社は新型航空機の速度が400ノット程度になると発表しました。また、機動力を重視する一環として航続距離を高く維持する為に滑走路を利用する短距離離陸方式を採用するとしており、実質的にこの計画は空軍のC-130後継機計画ともなりうるのかもしれません。

 C-130後継機計画は過去幾度も計画されており、1980年代には後継機ではなく抜本改良型として無尾翼型で主翼部分を可変角度型とし、V-22に準じる短距離滑走路運用型も構想されていました。アメリカ空軍ではC-130部隊の整理統合を計画しており、一方で海兵隊は太平洋島嶼部のミサイル部隊展開へ前線で運用可能な新しい輸送機を必要としています。

 HSVLOT高速垂直離着陸航空機構想では、一方で垂直離着陸能力の保持と共に、ダウンウォッシュ低減技術というものも盛り込むと良い、前線滑走路への負担なども考慮していると考えられます。この他、機体そのものに戦闘機並みの生存性を付与させるとの項目があり、機体には機体自衛装置の搭載とともに一定以上のステルス性付与も考えられましょう。
■ベル360インヴィクタス
 ベル360インヴィクタスはティルトローター式の可動翼機と異なりヘリコプターの利点を備えた高速機です。

 アメリカのベルテキストロンヘリコプター社は8月11日、ベル360インヴィクタス複合ヘリコプター初号機の組立て状況を発表しました。機体はメインローターボックスとパワーパックのコンポーネントについて現在ベルドライブシステムズ社において試験中であり、機体部分は胴体部分全体の複合素材による成形がほぼ完了、胴体下部が組立途上という。

 ベル360インヴィクタス複合ヘリコプターはFARA将来型攻撃偵察機計画として開発が進められている高速ヘリコプターで計画中断となったRAH-66の任務を担い、宙に浮くOH-58観測ヘリコプターと後継計画の相次ぐ失敗を今度こそ拭うもの。最高速度360km/h、巡航速度330km/hで250km先の戦闘空域に90分間滞空する事が可能となっています。

 FARA将来型攻撃偵察機計画はOH-58偵察任務に当るとともに、部分的にAH-64D戦闘ヘリコプターの任務を補完し、無人ヘリコプターでは生存できない戦闘環境における運用を担うとともに、開発が進むV-280ヴェロー可動翼機に随伴する高速巡航性能と、可動翼機では構造的に難しい難しい匍匐飛行など地形追随飛行能力の付与を期している航空機です。
■アパッチ製造関連情報
 新しく航空機を導入する際にはその航空機が期待j妙ではなくシステムとしての寿命がどのくらいであるのかは関心事でしょう。

 アメリカ陸軍はボーイング社との間でアパッチロングボウ及びアパッチガーディアン攻撃ヘリコプター整備に関する4億8700万ドル相当の契約を締結したとのこと。アパッチは当初は夜間戦闘能力の優れたヘルファイアミサイル運用の攻撃ヘリコプターという位置づけでしたが、アパッチロングボウの開発によりデータリンク時代の先進機に発展しました。

 ボーイング社の契約は通信帯域の拡張や目標識別情報システムやデータリンクシステムの改良等が含まれ、この作業は2026年2月まで実施されるとのこと。アメリカ陸軍は戦闘ヘリコプター装備体系の世代交代を研究しており、これは同時に世界のアパッチ運用国にとり、どこまでアメリカ陸軍の段階近代化改修が継続するかが一つの焦点となっていました。

 アパッチシリーズの総生産数は既に2200機を超えており、2021年6月にはオーストラリアが運用に適合しなかったエアバスEC-665ティーガーの後継としてアパッチガーディアンを選定しています、また自衛隊次期戦闘ヘリコプター構想でも有力視されており、生産ラインの維持や定期整備や段階近代化改修、今後のボーイング社対応に興味は尽きません。

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【G3X撮影速報】ブルーインパルス2021岐阜基地移動訓練-来年航空祭へ繋ぐ(2021-10-14)

2021-10-17 20:21:08 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■岐阜航空祭2022が楽しみだ!
 鉄道の日に岐阜基地上空を舞ったブルーインパルス特集はいよいよ大団円へと向かう。

 岐阜基地のブルーインパルス、最後に実施された航空祭から大凡2年というところでしょうか、岐阜基地航空祭は、思い出すと中々に忙しい、しかし深みのある航空祭です。なによりメイン会場である基地エプロン地区が終日逆光という厳しい撮影環境にあるのです。

 航空祭、青空を借景に戦闘機を鮮やかに撮影するには順光の撮影位置へ向かわねばなりません、すると、実は岐阜基地には航空祭会場が二つありまして、正門を進んだところに南側会場という滑走路わきの草地がありまして、此処からの撮影が順光の好立地となります。

 正門から近いのならば、メイン会場は何なのか、こう問われますと実は岐阜基地は、飛行開発実験団の基地というよりも、航空機部品の保管や調達管理を行う第2補給処が中心の基地となっています、第2補給処からの兵站支援があってこそ全国の作戦機が飛行できる。

 第2補給処長が岐阜基地司令を務めているあたり、この意味を端的に示しているといえるでしょう。ちなみに第1補給処は不祥事発端統廃合で廃止、第3補給処は通信機材や電子機材、第4補給処は弾薬を取り扱っています。故に正門は第2補給処側にあるということ。

 飛行開発実験団の岐阜基地、飛行展示を中心に撮影するならば最初からメインの飛行場エプロン地区ではなく、順光の撮影位置である第二補給処側から撮影すれば良さそうにも見えるのですが、エプロン地区には航空機地上展示が行われ、特に岐阜は貴重なものが多い。

 X-2実験機、国産初のステルス機で技術実証機として評価試験に充てられた航空機ですが、これが保管されているのが岐阜、しかも地上展示にて展示されます。そう、岐阜基地航空祭は自衛隊最新装備お披露目の場所でもあるのですね。もっともF-35戦闘機はまだないが。

 EC-1電子訓練支援機が地上展示されたこともありますし、T-2練習機派生のCCV研究機が展示された事もある、飛行開発実験団にはF-4EJファントムが最後まで配備されていましたので、EJ改に見慣れた方々には原型のEJを見る事も出来た、だから無視はできません。

 異機種大編隊。岐阜基地航空祭の名物は全戦闘機と練習機に輸送機が参加する大編隊です、すると、順光の撮影位置にはこの異機種大編隊までには移動を完了させたいものですから、地上展示をどう撮るか、しかし逆に偶然メイン会場で滑走路付近に空きあると、次を悩む。

 シャトルバスが運行されていまして移動は10分程、しかし、徒歩でも40分ほど、どちらにするか。シャトルバスだろうとおもわれるかもしれませんが、2019年の航空祭は当方その乗車中に前日小牧基地航空祭に参加したブルーインパルスが帰投する瞬間と重なった。

 ブルーインパルス、シャトルバスから何故見えたかと云いますと、編隊を組んでスモークを曳いて飛行していたのですね、そう小牧基地は岐阜基地から25kmしか離れていません。バス乗車時間失敗した、こう痛感してから今年10月まで丸二年ほど、観れなかった訳だ。

 岐阜基地航空祭は、しかしメイン会場でもペトリオットミサイル機動展開訓練展示など、貴重な展示も行われますし、数多い格納庫ではXASM-3実験体やTACOM無人機といったものが並んでいますので、端折ってしまうと後で泣きを見る、一日中ここという選択肢も。

 南側会場では、逆に対抗して何故か第10戦車大隊の74式戦車が展示されたり、ペトリオットミサイルの第4高射群は南側に射撃陣地や本部が在りますので、展示をこちら側で行うなど、もうどちらでどの眺めるかは悩ましい、ここに航空祭という祭りの醍醐味がある。

 2021年岐阜基地航空祭は中止となり、関係者と近隣住民を対象に事前公募制の一般公開が行われるとのことです、すると2022年に三年ぶりの航空祭、となるのでしょう。しかし、3年ぶりだどうしよう、と成らない程度に勘を取り戻せた、ブルーインパルス移動訓練でした。この鉄道の日のブルーインパルス特集は今回が最終回です。

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【京都発幕間旅情】榛名さんの山陽道グルメ日誌-岡山,駅前で嗜むレッドアイとアヒージョ

2021-10-17 18:17:53 | グルメ
■瀬戸内は岡山散策その先に
 榛名さんの総監部グルメ日誌という割には総監部は隣県にしか無いので山陽道グルメ日誌ということで。

 帰路に就くには少し気分の高まりが抑えられない、そんな時に一つグラスを傾けに寄ろう、日常の気軽さがCOVID-19により吹飛ばされてからずいぶん経った気がします、そんな中で宅呑みのスコッチのラベルはは前の赤色から黒くなったり、これからどうなるのだろう。

 岡山駅。帰路に就くには少し気分の高まりが抑えられない、そんな時に立ち寄ったお店の話題を一つ。随分前の話で、岡山と云えば新護衛艦くまの建造が進んでいる最中、また行きたいと思いつつ、しかしこの情勢で旅行は良いのか、躊躇する。日常は戻ってくるのか。

 レッドアイ。スティンガーでもミストラルでもジャベリンでもなくレッドアイ、面白そうだ、どんなカクテルなのか聞かずに注文してみよう、こうして出てきましたのがレッドアイ、私の知っているミサイルとは違う、これはトマトジュースとビールのカクテルという。

 合鴨とレッドアイ、こちらはチャージ料に含まれるようで、なにか目的が在ってカクテルを注文したのではなく、日常の幕間を愉しみに見知らぬ店を訪問したかたちですので、何も考えずにオードブルが並んでくれるのは嬉しいですね。重すぎず、軽すぎず、嗜みゆく。

 バランタインもIWハーパーもジャックダニエルも恐らく山崎も並んでいますが、実はこの日既に全く違う系統のお店で美味しい焼酎を何杯か頂いた後、ゆっくりと何も考えず時の移ろうのを愉しむには何を注文するべきか、手元の文庫本とレッドアイを交互に傾けつつ。

 瀬戸内の岡山に来たのだから蛸だろう、弾ける程に熱い蛸とブロッコリーとお任せのアヒージョを注文します、よくよく考えれば蛸の本場はお隣兵庫県の明石ではないかと思い出せない程に、ゆったりと、しかし注意しなければ舌を火傷しビリビリする美味しさがこれ。

 アヒージョってライブ感があると思う、出された瞬間には引く程にぐつぐつしている一皿だけれども、これが美味さに繋がる、少し冷ますと食べやすいが油がもたれてくる分水嶺も近い、これをバゲットにしんしんと浸して沁みたところで頂いてゆく、これ美味しいね。

 白ワイン、迷ったが強いのは止めにしました。007“ロシアより愛をこめて”のジェームズ・ボンド氏ではありませんが、海鮮には白、と思う。渋くない甘酸っぱさが、口の中で解れる海鮮を邪魔しないのだろうなあ、と解釈しています。いま岡山はワインに注力している。

 帰路に就くには少し気分の高まりが、冷まされたところで醒めたように帰路に就きました。ここは岡山駅前、岡山駅の海側に道を一本渡ったところ、オードブルとアヒージョとワインにカクテル、それだけで一日疲れの清涼剤になってくれる、そんな日常の幕間劇でした。

 ここからは時事。考え過ぎだといわれるのかもしれませんが、相当安全が確立しているところでなければ、COVID-19というものと付き合いながら一杯、というのは厳しくなって二年目を迎えています。安全を確保している、といわれてもそれは店内だけの事ですから。

 一杯やる、こう初めて一杯で終える方は相当な自制心の在る方でしょう、セットドリンクにアルコール、というような設定を除けば、一杯やるというのは一杯になるまでやる事と同義にも思えます、すると酩酊は脳の疲労、脳の疲労は正常な判断力を失わせる、そして。

 トマトサラダ、こんな丸ごとのトマトサラダが、と驚かせるメニューです、案外とトマトペーストにオリーブオイルと香辛料が上手い調和を奏でていまして、こうワインが随分と進む、グラッパは食後酒といわれていても、何故がこの前菜とグラッパも調和してしまう。

 グラッパはツンときつい香りが徐々に風味へ、という一杯ですが、COVID-19の時代を考えますと、あまり何杯も薦められないもの。そういえば、マールもこの二年間御無沙汰だ。どうしても酔うと判断力が鈍り、リスクを回避出来ない、コロナも自動車の運転と同じだ。

 合鴨のソテー、ナイフとフォークを正しく使えるかが酩酊しているか一杯目かの分水嶺なのかもしれません。COVID-19、これは外食や自宅でも会合するならば感染リスクが大なり小なりある、もちろん無人島から帰還した仲間たちと身内だけで、というならば別だが。

 感染対策を最大限留意してリスクの無い備えと様々な対策を、と考えつつ楽しく外で呑むという行為、これは両立するのかな、と。だからこそ、針の筵の上で機械的に飲むくらいならば、楽しく飲める時が来るまで待とう、と考えてしまうものです。感染はしたくない。

 トマトピューレのパスタ。〆るにはどうしてもこういうものを、しかし音を立てないようマナーに配慮できるうちに頂きます。感染者がほぼ確認できなくなれば政府終息宣言が出されるのでしょう、現時点では局限されていますが、急な感染爆発は何度も見てきました。

 政府終息宣言が出されたならば、大手振ってまた呑みに出かけよう、こう考えているのですけれども、それはいつの話になるのかなあ、こう考えつつ、さて、今晩はテネシーの黒いウィスキーか、夏の飲み物ジンか、イギリスの赤いスコッチかフランスのブドウの蒸留酒か、考えるのですね。

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