■特報:世界の防衛,最新論点
モスクワのジューコフ飛行場にて7月22日より開催されましたMAKS-2021は最新鋭戦闘機の開発が多数発表され、驚くべきものでした。日本のF-2後継機はどうなるのか。
MAKS-2021航空展にてUACロシア統一航空機製造公社は第五世代戦闘機チェックメイトを発表しました。チェックメイトはNATOコードネームではなくロシア側の公称で、単発双尾翼のステルス戦闘機であり、輸出用を想定、第五世代戦闘機としては破格の2500万ドルから3000万ドルの費用を想定しており、2025年までに試作初号機の初飛行を見込む。
チェックメイトはシュワーベホールディングス社の開発した複合光学装置KOEPS-75による分散型複合光学装置によるレーダー支援やS-111戦闘機データリンクシステム改良型搭載による編隊間データリンクシステム、KRETロシア無線電子技術公社の開発したパノラマ空間ディスプレイによるキャノピー情報表示装置など、新機軸の採用を目指している。
MAKS-2021では実物大モックアップが展示され、プロジェクションマッピングによるプレゼンテーションが行われている。UACロシア統一航空機製造公社ではインドやヴェトナムへの輸出を見込んでおり、中国のJF-17戦闘機や中古F-16Cと同程度の費用で国際市場に提示できる第五世代戦闘機は低下しつつあるロシア戦闘機市場占有率回復を目指すようだ。
■無人機繰るSu-57複座型
試作機初飛行から十年を経てそろそろ本格量産の話題へ信憑性の欲しいSu-57戦闘機の話題です。
ロシア空軍向けに開発が進むSu-57戦闘機について無人機管制を目的とした複座型が開発されていることが発表されました。これは七月にUACロシア統一航空機製造公社が発表したもので、Su-57は同社の傘下に在るスホーイ社が開発しているロシア初の第五世代戦闘機です。当初複座型は練習型とも解釈されていましたが、全く新しい概念の派生型という。
オホートニク無人僚機、UACロシア統一航空機製造公社ではSu-57を筆頭に高価な第五世代戦闘機を、例えば索敵や空中給油支援、例えばデータリンク中継や接敵、そして究極の際には第五世代戦闘機を盾となって護る囮として機能する無人僚機を開発していますが、戦闘機の複雑な機動飛行をAI人工知能だけで随伴するには、限界が指摘されていました。
Su-57戦闘機について、2011年の初飛行以来中々本格的量産に進む事が出来ませんが、無人僚機管制官を複座型に同乗させる方式で今度こそ大量生産に漕ぎ着けるのか関心事です。なお、無人僚機を無理にAI自己完結させるのではなく管制官に運用させる方式、1950年代のF-4ファントムがレーダー自動化に固執せず管制官を置いた方式と共通するものです。
■MiGがVTOL空母艦載機を発表
ロシアでは次世代空母バランの研究などがあるようですが現状の航空機の旧式化は否めません、ここに新しい話題が。
ロシアのミグコーポレーションは垂直離着陸型第五世代戦闘機の空母艦載機開発を発表しました。ロシアでは空母艦載機としてMiG-29K戦闘機とSu-33戦闘機を運用していますが、アメリカの第五世代戦闘機であるF-35BやF-35Cに対して技術面で大きな後れを取っており、ロシア空母のポテンシャルそのものが低下するとして問題視されているところだ。
垂直離着陸型第五世代戦闘機は、ロシアが構想する将来空母などでの運用を念頭としており、また空母から運用可能な無人僚機との連接も想定していると、七月、ロシアのRIA通信取材にミグコーポレーション関係者が発言しています。機体規模はMiG-35戦闘機と同程度とされ、ロシア海軍は勿論、インド海軍の保有する規模の空母でも運用を想定している。
ミグコーポレーションによれば垂直離着陸型第五世代戦闘機は2021年7月時点でコンピューターモデリングを進めている段階であり、試作機製造はまだ先です。ただ、インド海軍ではMiG-29K戦闘機の後継としてアメリカ製F/A-18E戦闘機を試験しており、ロシア戦闘機の市場占有率が脅かされる状況でもあることから、新戦闘機の推移は興味深い話題だ。
■MiG-XX,安価なMiG-21後継
MiG-21は安価という一点で途上国に空軍が必要とするものを揃えた万能機ですが旧式化と老朽化も深刻です。
ロシアのミグコーポレーションはMAKS-2021航空展にて傑作機MiG-21戦闘機の後継となる戦闘機MiG-XX開発を発表しました。MiG-21は冷戦時代のソ連により開発され、前線運用を重視した手堅い設計により極めて安価で過酷な状況でも最低稼働率を維持でき、また非常に安価な戦闘機として超音速戦闘機では唯一、一万機以上が量産されています。
MAKS-2021航空展へミグコーポレーションが展示したものはスケールモデルで、単発の単尾翼方式の航空機であり、全体的な形状はヤゴレフYak-130,高等練習機と軽攻撃機を兼ねる既存機に大型の戦闘機エンジンを採用し、超音速飛行能力を付与させたような構造で、最低限の戦闘機としての性能を持ちつつ最大限安価にまとめた機体という設計思想のもの。
MiG-XXはRD93MAエンジンを搭載する計画で、これは中国が世界へ輸出するJF-17戦闘機に採用されたエンジンの改良型です。MiG-21は2020年代に明らかに旧式ですが、運用費用の低さからMiG-23等機体を退役させ維持する事例もあり、安価で第4世代戦闘機を圧倒できなくとも撃退出来れば良い、こうした発想の戦闘機は一定の需要があるでしょう。
■時事:津軽海峡を中ロ10隻航行
此処からは時事ですが凄い艦隊を青函フェリーから目撃された方もいるとの事です。
津軽海峡を中国海軍とロシア海軍艦艇10隻が同時に通峡するという異例の出来事が10月18日に確認されました、津軽海峡は国際海峡である為に各国艦艇にも無害通航権が認められ、また外務省は津軽海峡中央部を特例海域として非核三原則の例外に指定し核兵器搭載有無を示す必要はありませんが、中国とロシアの艦艇が同時に10隻航行するのは初めて。
防衛省によれば0800時頃、北海道奥尻島沖にて艦隊を確認、八戸航空基地のP-3C哨戒機と第45掃海隊の掃海艇いずしま、あおしま、が警戒監視しました。中国海軍とロシア海軍は14日から17日にかけ日本海にて合同訓練を実施していました。今回確認されたのは南昌級駆逐艦南昌、昆明級ミサイル駆逐艦昆明、江凱級ミサイルフリゲイト浜州、柳州など。
ロシア海軍はウダロイ級駆逐艦アドミラルパンテレーエフ、アドミラルトリブツ、ステレフシュティ級フリゲイトのグロームキーとアルダーツィデンジャポフ、及び随伴艦にマルシャルネデリン級情報収集艦と福池級補給艦の10隻から構成されていました。中国とロシア艦隊は日本海から太平洋に航行した後、ロシア艦は北上、中国艦は南下したもようです。
■時事:新潜水艦はくげい進水式
神戸にて新しい潜水艦が一隻増えましたが艦名は意外なものでした。
海上自衛隊は新潜水艦はくげい進水式を10月14日に実施しました。これは平成30年度計画3000t型潜水艦8129号艦であり潜水艦たいげい型二番艦として2019年より川崎重工神戸工場にて建造されていた最新潜水艦で、建造費は720億円、2023年3月に竣工の見込みです。なお、隣接する三菱重工では昨年進水の一番艦たいげい建造が進められています。
はくげい艦名由来は白鯨を意味するものですが旧海軍を含めて艦名に採用されるのは今回が初めてとなります。一番艦たいげい、は潜水母艦大鯨の艦名を継承したものとなっていました。たいげい型潜水艦は前型そうりゅう型が非大気依存推進AIP方式を採用していましたが、画期的なリチウムイオン電池にて水中航続距離を延伸させた点が最大の特色です。
■時事:北朝鮮またミサイル
潜水艦発射弾道弾はアメリカの滑空型魚雷誘導装置やインドが開発しているような長距離対潜ロケットの開発を周辺国が強いられるのでしょうか。
北朝鮮は日本時間10月19日1000時頃、二発の弾道ミサイルを想われる飛翔体を発射させています、これは9月28日以来の弾道ミサイル実験ですが、韓国軍合同参謀本部の発表としてミサイルは咸鏡北道の潜水艦施設がある新浦付近から発射されたとしており、潜水艦発射弾道弾の可能性が指摘されています。潜水艦からの発射かは確認されていません。
潜水艦発射弾道弾については近年、北朝鮮が重視している分野であり、米ロが運用する戦略ミサイル原潜のような世界規模の運用は見込めませんが、用途を絞り積極的に航行せず北朝鮮沿岸付近の海岸要塞や機雷原に守られた近海を遊弋するだけでも航空攻撃第一撃や韓国の潜水艦攻撃などで簡単に破壊されない核戦力の投射手段として用いる事が可能です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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モスクワのジューコフ飛行場にて7月22日より開催されましたMAKS-2021は最新鋭戦闘機の開発が多数発表され、驚くべきものでした。日本のF-2後継機はどうなるのか。
MAKS-2021航空展にてUACロシア統一航空機製造公社は第五世代戦闘機チェックメイトを発表しました。チェックメイトはNATOコードネームではなくロシア側の公称で、単発双尾翼のステルス戦闘機であり、輸出用を想定、第五世代戦闘機としては破格の2500万ドルから3000万ドルの費用を想定しており、2025年までに試作初号機の初飛行を見込む。
チェックメイトはシュワーベホールディングス社の開発した複合光学装置KOEPS-75による分散型複合光学装置によるレーダー支援やS-111戦闘機データリンクシステム改良型搭載による編隊間データリンクシステム、KRETロシア無線電子技術公社の開発したパノラマ空間ディスプレイによるキャノピー情報表示装置など、新機軸の採用を目指している。
MAKS-2021では実物大モックアップが展示され、プロジェクションマッピングによるプレゼンテーションが行われている。UACロシア統一航空機製造公社ではインドやヴェトナムへの輸出を見込んでおり、中国のJF-17戦闘機や中古F-16Cと同程度の費用で国際市場に提示できる第五世代戦闘機は低下しつつあるロシア戦闘機市場占有率回復を目指すようだ。
■無人機繰るSu-57複座型
試作機初飛行から十年を経てそろそろ本格量産の話題へ信憑性の欲しいSu-57戦闘機の話題です。
ロシア空軍向けに開発が進むSu-57戦闘機について無人機管制を目的とした複座型が開発されていることが発表されました。これは七月にUACロシア統一航空機製造公社が発表したもので、Su-57は同社の傘下に在るスホーイ社が開発しているロシア初の第五世代戦闘機です。当初複座型は練習型とも解釈されていましたが、全く新しい概念の派生型という。
オホートニク無人僚機、UACロシア統一航空機製造公社ではSu-57を筆頭に高価な第五世代戦闘機を、例えば索敵や空中給油支援、例えばデータリンク中継や接敵、そして究極の際には第五世代戦闘機を盾となって護る囮として機能する無人僚機を開発していますが、戦闘機の複雑な機動飛行をAI人工知能だけで随伴するには、限界が指摘されていました。
Su-57戦闘機について、2011年の初飛行以来中々本格的量産に進む事が出来ませんが、無人僚機管制官を複座型に同乗させる方式で今度こそ大量生産に漕ぎ着けるのか関心事です。なお、無人僚機を無理にAI自己完結させるのではなく管制官に運用させる方式、1950年代のF-4ファントムがレーダー自動化に固執せず管制官を置いた方式と共通するものです。
■MiGがVTOL空母艦載機を発表
ロシアでは次世代空母バランの研究などがあるようですが現状の航空機の旧式化は否めません、ここに新しい話題が。
ロシアのミグコーポレーションは垂直離着陸型第五世代戦闘機の空母艦載機開発を発表しました。ロシアでは空母艦載機としてMiG-29K戦闘機とSu-33戦闘機を運用していますが、アメリカの第五世代戦闘機であるF-35BやF-35Cに対して技術面で大きな後れを取っており、ロシア空母のポテンシャルそのものが低下するとして問題視されているところだ。
垂直離着陸型第五世代戦闘機は、ロシアが構想する将来空母などでの運用を念頭としており、また空母から運用可能な無人僚機との連接も想定していると、七月、ロシアのRIA通信取材にミグコーポレーション関係者が発言しています。機体規模はMiG-35戦闘機と同程度とされ、ロシア海軍は勿論、インド海軍の保有する規模の空母でも運用を想定している。
ミグコーポレーションによれば垂直離着陸型第五世代戦闘機は2021年7月時点でコンピューターモデリングを進めている段階であり、試作機製造はまだ先です。ただ、インド海軍ではMiG-29K戦闘機の後継としてアメリカ製F/A-18E戦闘機を試験しており、ロシア戦闘機の市場占有率が脅かされる状況でもあることから、新戦闘機の推移は興味深い話題だ。
■MiG-XX,安価なMiG-21後継
MiG-21は安価という一点で途上国に空軍が必要とするものを揃えた万能機ですが旧式化と老朽化も深刻です。
ロシアのミグコーポレーションはMAKS-2021航空展にて傑作機MiG-21戦闘機の後継となる戦闘機MiG-XX開発を発表しました。MiG-21は冷戦時代のソ連により開発され、前線運用を重視した手堅い設計により極めて安価で過酷な状況でも最低稼働率を維持でき、また非常に安価な戦闘機として超音速戦闘機では唯一、一万機以上が量産されています。
MAKS-2021航空展へミグコーポレーションが展示したものはスケールモデルで、単発の単尾翼方式の航空機であり、全体的な形状はヤゴレフYak-130,高等練習機と軽攻撃機を兼ねる既存機に大型の戦闘機エンジンを採用し、超音速飛行能力を付与させたような構造で、最低限の戦闘機としての性能を持ちつつ最大限安価にまとめた機体という設計思想のもの。
MiG-XXはRD93MAエンジンを搭載する計画で、これは中国が世界へ輸出するJF-17戦闘機に採用されたエンジンの改良型です。MiG-21は2020年代に明らかに旧式ですが、運用費用の低さからMiG-23等機体を退役させ維持する事例もあり、安価で第4世代戦闘機を圧倒できなくとも撃退出来れば良い、こうした発想の戦闘機は一定の需要があるでしょう。
■時事:津軽海峡を中ロ10隻航行
此処からは時事ですが凄い艦隊を青函フェリーから目撃された方もいるとの事です。
津軽海峡を中国海軍とロシア海軍艦艇10隻が同時に通峡するという異例の出来事が10月18日に確認されました、津軽海峡は国際海峡である為に各国艦艇にも無害通航権が認められ、また外務省は津軽海峡中央部を特例海域として非核三原則の例外に指定し核兵器搭載有無を示す必要はありませんが、中国とロシアの艦艇が同時に10隻航行するのは初めて。
防衛省によれば0800時頃、北海道奥尻島沖にて艦隊を確認、八戸航空基地のP-3C哨戒機と第45掃海隊の掃海艇いずしま、あおしま、が警戒監視しました。中国海軍とロシア海軍は14日から17日にかけ日本海にて合同訓練を実施していました。今回確認されたのは南昌級駆逐艦南昌、昆明級ミサイル駆逐艦昆明、江凱級ミサイルフリゲイト浜州、柳州など。
ロシア海軍はウダロイ級駆逐艦アドミラルパンテレーエフ、アドミラルトリブツ、ステレフシュティ級フリゲイトのグロームキーとアルダーツィデンジャポフ、及び随伴艦にマルシャルネデリン級情報収集艦と福池級補給艦の10隻から構成されていました。中国とロシア艦隊は日本海から太平洋に航行した後、ロシア艦は北上、中国艦は南下したもようです。
■時事:新潜水艦はくげい進水式
神戸にて新しい潜水艦が一隻増えましたが艦名は意外なものでした。
海上自衛隊は新潜水艦はくげい進水式を10月14日に実施しました。これは平成30年度計画3000t型潜水艦8129号艦であり潜水艦たいげい型二番艦として2019年より川崎重工神戸工場にて建造されていた最新潜水艦で、建造費は720億円、2023年3月に竣工の見込みです。なお、隣接する三菱重工では昨年進水の一番艦たいげい建造が進められています。
はくげい艦名由来は白鯨を意味するものですが旧海軍を含めて艦名に採用されるのは今回が初めてとなります。一番艦たいげい、は潜水母艦大鯨の艦名を継承したものとなっていました。たいげい型潜水艦は前型そうりゅう型が非大気依存推進AIP方式を採用していましたが、画期的なリチウムイオン電池にて水中航続距離を延伸させた点が最大の特色です。
■時事:北朝鮮またミサイル
潜水艦発射弾道弾はアメリカの滑空型魚雷誘導装置やインドが開発しているような長距離対潜ロケットの開発を周辺国が強いられるのでしょうか。
北朝鮮は日本時間10月19日1000時頃、二発の弾道ミサイルを想われる飛翔体を発射させています、これは9月28日以来の弾道ミサイル実験ですが、韓国軍合同参謀本部の発表としてミサイルは咸鏡北道の潜水艦施設がある新浦付近から発射されたとしており、潜水艦発射弾道弾の可能性が指摘されています。潜水艦からの発射かは確認されていません。
潜水艦発射弾道弾については近年、北朝鮮が重視している分野であり、米ロが運用する戦略ミサイル原潜のような世界規模の運用は見込めませんが、用途を絞り積極的に航行せず北朝鮮沿岸付近の海岸要塞や機雷原に守られた近海を遊弋するだけでも航空攻撃第一撃や韓国の潜水艦攻撃などで簡単に破壊されない核戦力の投射手段として用いる事が可能です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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