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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海軍記念日-百十七年目の日本海海戦,山陰九州沿岸民間慰霊祭とウクライナに"Z"掲げるロシアへの正気の問い

2022-05-27 20:05:27 | 北大路機関特別企画
■日本海海戦戦没者慰霊
 日本海は大陸と列島を隔てる海です。さて、Zといえば日本ではZ旗か日産のスポーツカーや路線バスの旅を思い浮かべるところなのですが、ウクライナでは侵略ロシア軍の象徴となっている。

 1905年の今日、日本海軍は日露戦争が激戦を極めるなかに欧州から長躯展開したロシア太平洋第二艦隊ことバルチック艦隊を対馬海峡において迎撃、戦艦の数では日本側の4隻に対しロシア海軍は8隻と日本は劣勢でましたが、新鋭戦艦と高い練度により圧倒的勝利を果たしました。先の黄海海戦と旅順要塞攻略と併せ、大陸との連絡線を維持に成功する。

 日本海海戦、日露戦争の天王山となったこの戦いは先の3月10日に決着となった奉天大会戦により日露双方陸軍が対峙している中、日本本土と大陸を結ぶ補給路が遮断されるならば派遣部隊は戦闘不能となる切羽詰まる状況での海戦でしたが、東郷平八郎海軍大将を指揮官とする連合艦隊はロジェストヴェンスキー中将率いるバルチック艦隊を圧したのです。

 海軍記念日。日本海海戦のこの日5月27日は海軍記念日と指定される事となり、奉天大会戦に勝利した3月10日も陸軍記念日に指定されることとなります。もちろん、太平洋戦争敗戦と共に海軍の第二復員省改組等の歴史とともに海軍記念日の位置づけは大きく変わりましたが、しかしこの5月27日は、日本海沿岸の多くの場所で慰霊祭が営まれている。

 Z旗を掲げ日本海海戦において東郷平八郎司令長官は自ら旗艦三笠の艦橋露天甲板の羅針盤隣に陣取り、艦隊の先頭に三笠を配置し、指揮官先頭の範を執りました。Z旗は本来“本船漁網曳航中”という意味を有しますが、開戦においてはXYZのZであり最後の奮戦を命じる奮励の意味合いをもち、このZ旗はその後の日本海軍においても象徴的となりました。

 慰霊祭、双方の戦没者を、という慰霊祭はある種勝者の配慮といいますか、恩讐を超える美徳や、騎士道的なものの名残と云われるかもしれませんが、実はこの海戦の慰霊祭は、海上自衛隊において行われる式典とは別に、日本海沿岸の寺院などでおこなわれているのは海戦についてというものではなく、漂着した戦死者を弔うという慰霊祭が、というもの。

 殉職者、本来は戦死者と表現するべきなのでしょうが、島根県江津市では漂流した特務艦が沖合で沈没し漁民が救助した際の慰霊碑がありますし、石見では仮装巡洋艦等が漂着しています、長崎県対馬市の琴浦でも撃沈された装甲巡洋艦の乗員が漂着し住民に救助された、もちろん壮絶な海戦でしたので戦死者も多く重傷者が離艦出来ず沈んだ例も数多い。

 海はそして非情でもありまして、鳥取県ではいまの岩美市や境港市に大山町海岸に、戦死者が漂着しています、日本海海戦では多数のロシア兵が戦死しましたが、その一割ほどが日本沿岸に御遺体が漂着していまして、住民の希望から現地に埋葬されています、無論日本側が海軍や外務省と調整があってのことですが海難者として手厚く葬られた歴史がある。

 山口県長門市では慰霊祭とともに漂着した御遺体の捜索がそのまま海浜清掃の行事に発展したところもあるようで、海軍が、その軍艦旗を継承する海上自衛隊が行う慰霊祭とはまたちがった文化のようにも思えるのですね。もちろん漂着の日は違いますし、コロナ禍下にあって慰霊祭のかたちは例年通りとはゆかないことはあるのですが、伝統で定着します。

 Zの表示、さて冒頭に記しました通りZはロシアではウクライナ侵攻を正当化する象徴として扱われています、もともとはまともな敵味方識別装置を持たないロシア軍は彼我を区別する為にZを侵攻初日に戦車へ大書したのが始まりで、ΔやWなど識別記号は変化していましたが、ここまで長期化を予測していなかったロシア軍はZのまま侵攻を続けている。

 日本の視点から見ればZ旗はロシア艦隊が壊滅した日本海海戦という印象もありまして、信号旗かアルファベットかの違いはありますが、ロシア人は歴史も知らないと嘲笑する方も少なからず居ます、ただ、ロシア軍の蛮行は、日本も大陸では日中戦争以降、民兵掃討や敵性外国人摘発に、誇る事が出来ないような掃討作戦を行った事と重なるようにおもう。

 日本海沿岸での慰霊祭、民間で行われる受難者への慰霊祭は節度というものと倫理というものを伝える様に思えまして、受難者を丁重に扱う事を我が国では眉をひそめる様な方はいないでしょうし、誇るといいますと語弊が生まれそうで語彙力の多寡を痛感するのですが、戦争という狂気の中で勝機よりも正気に重きを置いた、こちら側に立つ努力といえる。

 ウクライナ侵攻のロシア軍、行っている事は市街地への無差別砲撃や住民虐殺と民間資産の破壊のみならず掠奪、とても正気とは思えない施策が組織的に行われ、これを命じた隣国の大統領は世界をも核兵器で脅すという、狂気の水平線を超えているように思う。しかし、日本海側の民間の慰霊祭を営む方の様な方は、ロシアではどうなのだろう、そう寂しく思ってしまうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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日米共同飛行-日本海上空で戦闘機編隊を二日連続実施,北朝鮮ICBM発射実験と中国ロシア爆撃機飛行へ対応か

2022-05-27 07:01:03 | 国際・政治
■臨時情報-日本海情勢
 日米の対応が迅速に行われる事を誇示する事は抑止力に繋がるのですが、二日間連続で行われますと本気度の高さに驚かされます。

 アメリカ空軍と航空自衛隊が我が国周辺情勢の緊張に併せ25日と26日に連続して共同飛行を実施しました。共同飛行には大きな意味は無く同盟関係の誇示と抑止力という側面が大きなもので、具体的な軍事行動の前段階を意味するわけではありませんが、非常に素早い対応で行われた点が、突発的な事態における日米の調整能力の高さを示すものといえる。

 5月25日午後、航空自衛隊千歳基地より発進した航空自衛隊第2航空団のF-15戦闘機4機と青森県三沢基地より発進したアメリカ空軍のF-16戦闘機複数が日本海上空で共同飛行を行いました。25日1530時過ぎに三沢基地からF-16戦闘機が8機連続して発進しているとのことで、三沢にはアメリカ空軍第36戦闘航空団と自衛隊第3航空団が展開しています。

 日米戦闘機の日本海上空での共同飛行、勿論編隊飛行を行っただけですが、この25日は早朝に北朝鮮が連続して弾道ミサイル実験を実施していたため、急遽同盟関係を強調するという意味があったのでしょうか。日米共同調整の延長線上として実施したのか、政府レベルでのもう少し高い次元での事前調整が在ったのかについては明らかではありません。

 5月26日にも航空自衛隊とアメリカ軍が戦闘機8機による共同飛行を実施した、ロイター通信が報道しました。過去のアーカイブの写真ではあるようですが、ロイター通信は報道にアメリカ海軍のF/A-18E戦闘攻撃機と航空自衛隊F-15戦闘機の編隊飛行の様子を紹介しています。26日の編隊飛行について、今度は海軍と航空自衛隊が協力したということか。

 日本海種変情勢を俯瞰しますと、北朝鮮大陸間弾道ミサイル実験の実施とともに、24日には中国H-6爆撃機とロシアTu-95爆撃機により共同飛行が実施されており、日米の場合は戦闘機ですが、共同飛行を行う事にはそういった平時とは異なる事案に対しても看過する事無く各々に共同飛行を行うことに意味がある、この様に誇示する為なのかもしれません。

 F/A-18E戦闘攻撃機、ロイター通信であればレッドフラッグアラスカの自衛隊F-15戦闘機とアメリカF-16戦闘機の編隊飛行写真などはアーカイブされているでしょうから、F/A-18E戦闘攻撃機の写真を提示したという事は少なくとも関係者から海軍の戦闘機が参加したという情報は得ていたのでしょう連続しての共同飛行にはメッセージ性があります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和四年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.05.28-2022.05.29)

2022-05-26 20:17:26 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 畑岡がアツくなるこの日がやってきました、行事予定としまして令和4年度富士総合火力演習と海上自衛隊行事の幾つか紹介します。

 令和4年度富士総合火力演習が今週末土曜日に行われます、本番は28日土曜日、ただ、今年度の富士総合火力演習もCOVID-19新型コロナウィルス感染症感染対策の観点から一般公開は行わず、教育演習のWebライブ配信のみがおこなわれるとのこと。これはYOUTUBE陸上自衛隊広報チャンネルにおいて中継されますので、世界中で視聴可能です。

 公開実弾演習としては世界最大規模という富士総合火力演習は、非公開というのも不思議なものですが、陸上自衛隊富士学校の富士教導団が主催し実施する教育展示演習で、もともとは富士学校学生に現代戦闘の様相と自衛隊各種装備の性能などを展示する富士総合展示演習がそのはじまりでしたが、平成初期に一般公開が行われるようになり、今日に至る。

 島嶼部防衛を焦点として行う、島嶼部に展開した即応機動部隊が主役といいますので、さて前段演習と公団演習は随分と様変わりするのでしょうか。近年の富士総合火力演習は演習場に護衛艦や輸送艦に戦闘機を運びこめませんので、演習場の高台あたりにオーロラビジョンの大画面を設置して観艦式や日米合同演習の場面を映像として流していました。

 二次元統合防衛力、画面上でばかり華々しい護衛艦の映像を流していましたので防衛省が進める多次元統合防衛力整備にかけて、これでは二次元だよ、と嘆息していたものですが、Web配信ですと、まあ、演習場でアナウンスの、それでは画面をご覧ください、ほどの残念感はないのが幸いかも。せめて護衛艦映像もライブ配信で沼津沖を中継してほしい。

 富士総合火力演習といえば8月末、例年真夏の風物詩となっていましたが、年々増大する来場者を前に東富士演習場は標高が高いとは言っても猛暑であり、シャトルバス待ちは往復で3時間や4時間、つまり往復で各々2時間待ちがということなのですが、なかなかに真夏の実施は厳しく、そして富士の天候は変り易く時折とんでもないゲリラ豪雨が来まして。

 戦車射撃はアツいのですが演習場も暑く、救急車搬送も日常と云う程です。この為にここ数年は5月下旬に改めて実施しているかたち。ただ、その上で更にここ数年は、つまり2020年と2021年に続いて2022年もCOVID-19感染対策により一般公開は見送りとなっています、今年は師団祭が第1師団祭は招待者のみ、第3師団祭は完全開放で行ったのですが。

 東富士演習場は屋外ですが、少なくとも見学者は三万、この大人数が確実に密閉空間であるシャトルバスを主たる移動手段として御殿場駅などから延々30分以上東富士演習場へ移動するのですし、もう一つはシート席の人口密度はなかなかに凄いもので60cm間隔で一人一人詰め込みますので、感染対策といいますと、屋外であっても厳しいのかもしれません。

 熱中症対策も開門0900時の第3師団祭よりは厳しく0700時の開門から1300時まで屋外とはいえ暑い場所でマスクを着けたまま、自衛官の方は仕事ですし大丈夫でしょうが、一般見学者の方には、晩春ではなく初夏の直射日光とともに六時間日よけ無でマスク装着の感染対策と数時間のバス待ち行列、総合的に評価した上での一般公開見送りなのでしょう。

 海軍記念日が明日5月27日であり、慰霊祭も行われる。海上自衛隊では海軍記念日に合わせてという事ではないのかもしれませんが、艦艇一般公開が行われます。自衛隊行事、こうしたかたちで公開されるものが順次増えているのですが、北大路機関の情報収集能力にも限界があり、見落としがあるでしょうからお気づきの方はお知らせいただければ幸い。

 なおしま一般公開。さて、富士総合火力演習は非公開ですが岡山県倉敷市では玉島ハーバーフェスティバルが行われ掃海艇なおしま一般公開が当日抽選400名に行われます、なおしま、は掃海艇すがしま型の一隻でして土曜日に200名と日曜日に200名で1000時から1530時まで抽選は開始30分前で見学時間は30分間、抽選は複数回実施されるもよう。

 玉島ハーバーフェスティバルではこのほか、巡視船りゅおう消防放水展示が行われ、また防衛防災装備展示としてして警察や海上保安庁に消防と共に自衛隊装備品展示を実施し、96式装輪装甲車や81式短距離地対空誘導弾システムにFH-70榴弾砲も展示、場所は水島港玉島地区玉島外貿1号埠頭に特設会場を設置するとのことで、お近くの方は是非どうぞ。

 水中処分母船5号YDT-5松浦市一般公開、佐世保地方隊は長崎県松浦市の調川港岸壁において28日の1300時から1500時まで一般公開を行います。水中処分母船とは機雷掃海にあたる水中処分員の支援母船です、ちょっと今日明日に向かうには遠い場所ではあるも、お近くの方は是非、近い場所から自衛隊行事は巡るのが感染対策との両立といえますね。

 追記2231時:京都府の大久保駐屯地も29日日曜日に一般公開を行うとのことで、お教えいただきました。記念式典から観閲行進に訓練展示まで一通りを実施するとのことです。大久保駐屯地は京都府宇治市、中部方面隊隷下の第4施設団と第3師団隷下の第3施設大隊等が駐屯しています。ダンプ中隊の行進が何故か迫力があってわたしは好きです。

 第4施設団創設61周年・大久保駐屯地創設65周年記念行事、第4施設団は創設当時に建設工兵という位置づけでしたが75式装甲ドーザや92式地雷原処理車などを一括装備し、戦闘工兵部隊としての運用もなされています。また宇治市は自衛隊創設当時、第三管区隊総監部として第3師団や中部方面総監部の前身となる部隊が置かれた事もあり駐屯地は広い。

 追記2241時:京都府京丹後市では京丹後市八丁浜シーサイドパークにおいて京丹後エアーフェスタが実施されるとのこと。これは経ヶ岬分屯基地が実施するものですが、分屯基地にはアメリカ陸軍防空砲兵部隊のTHAADミサイルTRY-2レーダー部隊が前方展開している為に基地を一般公開する事が難しいとされ、飛行展示や地上装備品展示が行われるようです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・5月28日:令和4年度富士総合火力演習…https://www.mod.go.jp/gsdf/
・5月29日:経ヶ岬エアーフェスタ…https://www.mod.go.jp/asdf/kyouga/
・5月29日:第4施設団創設61周年・大久保駐屯地創設65周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/
・5月28日-29日:玉島ハーバーフェスティバルなおしま一般公開…https://www.mod.go.jp/pco/okayama/
・5月28日:水中処分母船5号YDT-5松浦市一般公開…https://www.mod.go.jp/msdf/sasebo/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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北朝鮮ICBM大陸間弾道弾火星17型等弾道ミサイル3発発射実施と中国ロシア爆撃機H-6/Tu-95の編隊飛行

2022-05-26 07:02:04 | 防衛・安全保障
■臨時情報-日本海緊張
 北朝鮮が弾道ミサイル3発を連続発射、同じく核実験準備の進展が伝えられる中での久々のICBM実験が行われたもよう。

 北朝鮮は5月25日早朝、ICBMを含む複数の弾道ミサイルを日本海に向け発射しました、我が国への被害は出ていません。弾道ミサイルは日本時間0559時と0642時に発射され、この他に発射直後に分解し失敗したと考えられる0637時の発射が、韓国国防省により確認されています。韓国は北朝鮮に隣接し、レーダーによる確認が容易となっているようです。

 0559時に発射されたものは飛翔距離が300kmで最高到達高度は550kmであり、韓国国防省は大陸間弾道弾ICBMの火星17型であると分析、0637時に発射されたものは短距離弾道弾と考えられるようですが発射直後に分解しており失敗したと考えられています。続いて0642時に発射されたものは短距離弾道弾で高度60kmを760km飛翔したとのこと。

 ミサイル発射は朝鮮半島西部の順安飛行場付近とみられ、朝鮮半島上空を飛翔したのちに日本海の我が国EEZ排他的経済水域外側に着弾したとのこと。日本列島に到達する可能性は無かった為に破壊措置命令などは発令されていません。0637時と0642時に発射されたものは同型と思われ、発射失敗を受けての連続発射か同時弾着を期した失敗かは不明です。

 中国爆撃機とロシア爆撃機が日本周辺上空を飛行する特異な事例が在ったと防衛省が発表しました。これは24日、東京にて日本とアメリカにインドとオーストラリア首脳が一堂に会してQUAD首脳会談が行われている最中であり、ここに焦点を当てたものと考えられています。中国爆撃機はH-6爆撃機が4機とロシア爆撃機はTu-95戦略爆撃機が2機です。

 爆撃機の飛行経路は、沖縄本島先島諸島の中間部分から北上し南西諸島沖に沿って変針、九州本島と壱岐対馬間を飛行し日本海へ進入し島根県隠岐の島沖から島根県竹島方面を一周する経路を執り、同じ経路で沖縄方面へ飛び去りました。またロシア沿海州からIl-20情報収集機1機が能登半島沖まで南下、爆撃機は中ロ機で編隊飛行を行っていたとのこと。

 H-6爆撃機とTu-95戦略爆撃機は共に1950年代の設計ですが、H-6爆撃機については改良型の開発が継続されており射程2000kmクラスの巡航ミサイルを搭載するミサイル爆撃機としても運用されます、航空自衛隊は対領空侵犯措置任務に基づく緊急発進を実施し対応しました。翌日にはこの海域で北朝鮮がミサイル実験を実施、日本海は緊張下にあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】浜松城(静岡浜松)情景を振り返りつつ思うデジタル化の先にEOS-R7発表とミラーレスの波

2022-05-25 20:22:30 | 旅行記
■カメラでも思い出の浜松
 2005年の富士総合火力演習まではカメラにフィルムをひとつひとつ装填していたものでその頃東海道線は未だ113系電車が現役でした。

 浜松城の写真を眺めつつ、この城郭は東海道の要衝浜松に位置していまして、浜松基地航空祭や富士学校祭に駒門駐屯地祭、清水みなと祭護衛艦一般公開等の際に道中、浜松で少し散策する事もありました、この数年はCOVID-19によりほぼない自衛隊行事の際です。

 千僧駐屯地祭や久居駐屯地祭、久々に自衛隊関連行事を撮影へ行脚する様になりますと、要するに2020年1月の空挺団降下訓練始め以来の自衛隊行事となるのですが、じわりじわりとミラーレス一眼が傍流から主流の位置へと転換している様子を現場で実感しました。

 E-767早期警戒管制機などが大空を舞う浜松基地航空祭、EOS-Rという最初のミラーレス一眼のフルサイズ機が発表された直後に、航空祭でEOS-Rを使用した方と実際に使った感想を、そう浜松基地はここ浜松城から北へ3kmほどの距離なのですが聞いてみた事が。

 EOS-R,バッテリーが全然ダメだった、とは使った印象として聞かされまして、バッテリーパックを10個用意したが全然不充分でバックアップに持ってきた一眼レフが大活躍、と肩を竦めていまして、これが強烈な印象となったのですね、ミラーレスは使えない、という。

 EOS-90Dなどはフラッシュさえ焚かなければ一万枚撮影できるといいますが、問題はそんなことではなく、航空祭ではカメラは望遠鏡の代わりに何処に航空機が飛行しているのかを探し続けるのですね、これが一眼レフならば電源がOFFでもMFで探す事が可能です。

 航空祭は丸一日続くのですが、ミラーレス機ですとファインダーを表示させるにも電源が必要、一枚も撮らないが電源は常に入った状態、というものが続くものでして、喩えバッテリー完全充電で二百枚撮影可能といわれましても、それ以外で電池を消耗するわけで。

 カメラが無ければこうした城郭の写真も撮影出来ないのですけれども、そんななかであの浜松基地航空祭の厳しい評価からも五年以上が経ました、そんな中でつい先日、CANONがAPS-Cのミラーレス一眼新シリーズを発表しました、EOS-Mと別の新系統が誕生する。

 EOS-R7,いまも個人的に主力機種であるEOS-7DとEOS-7Dmark2にEOS-KissX7と同じ系譜の“7”を冠した新型機種なのですが、これがAPS-C区分のミラーレス一眼カメラになるという、CANONでは公式発表されたばかりで2022年6月下旬発売予定と発表だ。

 EOS-7Dシリーズと同じE-6バッテリーを採用していますので、更に明らかにEOS-7Dユーザーを意識しマウントアダプターによりEFレンズを使用可能という、もちろんEOS-Mシリーズもマウントアダプターはありましたが、ちょっとAF照合性能が難ありといえた。

 ミラーレス機の泣き所であるバッテリー持続性は省電力時で500から770枚という。CFカード方式ではなくSDカード専用というのは主力ではなく支援機種と考えてしまうのですが、街中お散歩カメラとして使うならばEOS-M3の後継機種あたりにちょっと考えたい。

 一眼レフに拘っている当方、考えれば二十年前はフィルム式カメラに拘っていました、便利ならば移行するのは吝かではないのですが、しかし凄い波の様に変革が訪れるのですね、他方、世の中はカメラブームが終わり写真はスマートフォンが主流となりつつあるもよう。

 カメラ、使いやすいものが一番だともうのですが、今の機種はカメラが撮影出来ない領域で撮影技術が生かせる冗長性が低くなっている、撮影出来ない被写体は無いと考えさせられる器材が、どうも新機種ならば良いやと性能より妥協が在りそうで、寂しいものですね。

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【京都発幕間旅情】浜松城(静岡浜松)徳川家康の愛した城郭は関ヶ原に繋がる出世城の由縁

2022-05-25 20:00:49 | 旅行記
■徳川家康十七年間の居城
 浜松城、ここは新幹線と東海道本線拠点駅浜松駅から航空自衛隊浜松基地へ向かう道中に見上げる勇壮な城郭です。

 浜松城。濱松城とも慕われる城址は浜松市中区に所在する美しい城郭であり、望楼型三重四階鉄筋コンクリート造模擬天守閣を冠する故に過去の天守閣は破却されいまは現存しませんが、梯郭式平山城構造の城郭であり、徳川家康の出世城として知られる城郭です。

 曳馬城や出世城としての名を有するお城、造営は今川貞相とされ、詳しい歴史には諸説があるようですが概ね永正年間の西暦1504年頃から1520年頃に掛けて造営されたものと考えられています、曳馬城という名はこの初期の浜松城の名と云いまして位置も少し東に。

 今川義元が桶狭間の戦いにて織田信長に敗れ戦死した後、今川家の系譜は落日の時を迎え揺らいだ団結により今川家家人城主飯尾連竜に謀反の疑いありとして今川氏真に包囲されましたが、この際に防衛を維持できました。しかしこの揺らぎが今川家の生命を絶つ事に。

 徳川家康、浜松城という名は元亀元年の1570年に徳川家康が曳馬城に入城した際に改めたもので、浜松城へと改称したものです。もともと曳馬とは現在の浜松基地東方を示し、この一帯は古くから濱津郷即ち浜津郷と呼ばれ平安後期には濱松荘という荘園も造営された。

 天龍川支流に程近いこの地は防衛上の要衝であり、築城の要はあったのです。徳川家康はこの視点から浜松城を拡張しており、土塁の拡張を主として縄張りを広げています。ただ、石垣が荒々しい現在の城郭と違い、家康は石垣や瓦屋根構造物は設けなかったともいう。

 三方ヶ原の戦い。元亀時代の1573年には徳川家康は甲斐の覇者武田信玄の侵攻を受けます、一時籠城により家康は信玄との全面衝突を避けようとしますが、このままでは徳川の権威を維持できないとして攻勢に転じ、しかしこれを予見し待ち構えていた武田氏に大敗する。

 関ヶ原の戦いで家康は防御堅固な大垣城と西軍主力陣取る南宮山前を素通りし、焦った石田三成に決戦を強要し、戦機を手中に収める事が出来ましたが、考えればその着想の下が家康自身が素通りに耐えかねて戦機を見誤った三方ヶ原、浜松での経験があるのでしょう。

 天正年間1582年に浜松城の拡張は完了しますが、同年に盟友織田信長が本能寺で討たれ、時代は大逆人明智光秀を討った豊臣秀吉の時代となります。そしてその頃のその頃の1586年に徳川本営は駿府に本拠を遷し、在城期間17年間の内目一杯を拡張に費やしたことに。

 太閤秀吉の治世下では徳川家康は駿府はじめ徳川家所縁の東海道から当時最果ての江戸に移封する事となり、秀吉家臣堀尾吉晴の居城となります。しかし、実に17年の城主を務めた浜松城へ思い入れが在ったのか、関ヶ原の戦いの後は早速奪還、徳川頼宣を入城させた。

 出世城と親しまれたのは、歴代城主は尼崎の桜井松平家松平忠頼に高力忠房と大給松平家松平乗寿に太田資宗と青山宗俊、本庄松平家松平資俊と大河内松平家松平信祝に井上正経と水野忠邦と井上正春と、入城した大名が次々と出世階段を駆け上った為といわれます。

 幕府重役に取立てられる出世城の城主たち、しかし浜松城の城主はその分、次々と変わる事を意味しまして、江戸時代は265年間、この間に藩主は22回代わり、平均して12年間を経ずして代わる事となっています。楽器にバイク、浜松の新しいもの好き根底はここか。

 天守閣は1959年に再建されました。実は浜松空襲により延べ560機のB-29が四回に分け空襲し、終戦二週間前には戦艦サウスダコタ、マサチューセッツ 、インディアナ 、キング-ジョージ5世による艦砲射撃も受け城郭は勿論全市が灰燼に帰しますが、戦後市街地とともに復興しました。

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ウクライナ戦争開戦三カ月-必死の抵抗実りロシア軍侵攻防ぎ続ける自由と民主主義の防波堤

2022-05-25 07:00:53 | 国際・政治

■臨時情報-ウクライナ情勢

 ウクライナ戦争は開戦から三カ月を迎えましたがこの三カ月間は驚きと現実の衝撃が続いていました。

 ウクライナ戦争はロシア軍ウクライナ侵攻から三カ月目を迎える事となりました、しかし、当初48時間で首都キエフが占領されるとの見通しはウクライナ軍の驚異的とさえいえる粘り強さの前に大きく外れ、21世紀の奇跡といえる、キエフ北方でのロシア軍撃退に成功しました。ロシア軍は延々とキエフ北方に65kmもの渋滞を連ねる醜態をさらしました。

 キエフ防衛成功は、キエフ市街戦という最悪の事態が回避されたものの、しかしキエフ北方近郊都市ではロシア軍による痛ましい虐殺行為が確認され、世界を驚愕させました。一方ロシア軍は、ハリコフなど東部地域攻略に重点を置くべく一旦後退し戦力を再編成しました、遂に今度はハリコフで市街戦が起こるのではないか、こうした覚悟を迫られました。

 ドニエプル川を境界線に東ウクライナと西ウクライナへ分割されるのではないかとの危惧もありましたが、ロシア軍は何を再編成したのかという程に東部再侵攻は頓挫、この背景には南部マリウポリのウクライナ軍守備隊が最後まで抵抗し大量のロシア軍を拘束、ハリコフ侵攻兵力を削いだことでロシア軍の東部再攻撃を破砕したという驚きがつづきます。

 ここまで勇敢且つ必死に抵抗する国を初めて見た、ウクライナ軍の抵抗は当初限られた米英製携帯火器と掻き集めた装備を元に市民の多くが火炎瓶で戦車軍団に対応する悲壮さがありましたが、ウクライナのゼレンスキー大統領は最後まで首都キエフを動かず、100km先の国境に砲声を聞きつつ、日欧米、世界へ支援を訴え続け、これは山を動かしたもよう。

 ウクライナは世界の防波堤となった、正直なところ当初の想定通りに48時間でウクライナが崩壊していれば、48日後にはジョージアやモルドバへロシア軍が侵攻していた、48週間後にはバルト三国のスヴァルキギャップを超えて飛び地カリーニングラードとの回廊確保に、これが最後だから、これは正当な権利だ、その名と共に拡大していた可能性はあった。

 東西ドイツ国境をロシア軍が超える可能性は少ないですが48カ月後には懐かしい核戦争前夜の緊張が延々と続く冷戦時代の緊張に戻っていた危惧は、いまや非現実とは言い切れないものがあります。ロシア軍の戦車が撃破される度に人命は失われているのですが、その戦車も市街地へ無差別砲撃を行っている、その後世界に向くだろう戦車を撃破できているのが、三カ月目の現在です。

 

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】ブラジルKC-390調達大幅削減とドイツにインドネシア戦闘機販売失敗に痛手の続くボーイング

2022-05-24 20:10:08 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 自衛隊のC-2輸送機は現状を見るともう少し数を揃えた方が良いように思うが世界の情勢を見ますと別の視点も目に付く。今回は各国防衛産業の厳しい状況と国際情勢の厳しさに関する航空関連の話題です。

 ブラジル空軍はエンブラエルKC-390空中給油輸送機の導入計画を大幅に下方修正する決定を下しました。ブラジル空軍はKC-390空中給油輸送機と当初28機導入する方針でしたが、長期計画の見直し等により導入する機体は22機へと下方修正されます。これは新しいブラジル国家予算計画の画定に際し、当初の計画数を導入できなくなった為とのこと。

 エンブラエルKC-390空中給油輸送機は双発ジェット輸送機で搭載能力はC-130J輸送機程度ですが、巡航速度が大きく国際航空貨物路線をそのまま運用できる利点があり、輸送と空中給油に加え人道支援や病院飛行機と捜索救難任務に対応するとしています。なお、配備数の縮減となりましたが、生産は2034年まで続くため、極めて少数の量産となります。
■CV-22新型エンジンナセル
 自衛隊が採用したオスプレイにもこの機能は反映されるものなのでしょうか。

 アメリカ空軍のCV-22オスプレイ可動翼機は新型エンジンナセル仕様が納入されました。これはベルヘリコプターテキストロン社が開発していた改良型で、複雑な動力伝達軸を主翼に配置するV-22シリーズは、極めて高い巡航速度を有する半面、整備が煩雑であると共に整備不良が即座に墜落事故に直結する高性能の代償としての整備負担が指摘されている。

 CV-22オスプレイ可動翼機は新型エンジンナセル仕様は、この動力伝達軸部分の整備負担がエンジンそのものの整備よりも負担として大きく、そして左右両翼に同じ水準の整備が必要で、整備全体の半分以上を占めています。従来型との外見上の識別点はハッチ開閉時の形状で、基本的にV-22シリーズの整備治具などはそのまま応用が可能となっています。
■ルーマニアMiG-21後継にF-35を
 F-35の費用面と云う難しさを知ってしまいますとF-16という選択肢の方が堅実であるようにも思うのですが。

 ルーマニアのヨハニス大統領は空軍近代化計画の一環にMiG-21戦闘機の後継としてF-35戦闘機導入に向けアメリカと交渉開始を表明しました。ルーマニア空軍は冷戦時代から運用しているMiG-21戦闘機の後継として現在、ポルトガルから中古のF-16戦闘機を17機導入していますが、2024年までに残るMiG-21戦闘機を退役させる計画となっている。

 F-16戦闘機については2021年末に現在の17機に加えて更にノルウェー空軍からも中古の機体を導入する必要があるルーマニアのディンク国防相が表明しています、しかし、ヨハニス大統領の発言では、ロシアの軍事的脅威の進む現在の中東欧地域ではF-16戦闘機では能力が不充分であるとして、F-16増強に代えF-35戦闘機の導入が必要と表明したかたち。

 F-35戦闘機について、ルーマニアの国家予算からは極めて厳しい選択肢ではあるものの、ルーマニア政府は防衛力強化に2026年までに110億ドルの国防費を投じる計画を示しており、また同時にルーマニアの隣国ウクライナの現状を見る限り、既にNATOに加盟しているルーマニアは調達できるうちにF-35を導入しなければならない切迫感があるのでしょう。
■インドネシアラファール42機導入
 実際のところインドネシアはF-35が必要だと突然発表してアメリカ政府が先行して出されたF-15EXの打診に検討している間のこうしたラファール決定となりました。

 インドネシア空軍は次期戦闘機としてラファール戦闘機42機の導入を決定しました。フランスはラファール売込みにフロランスパルリ国防大臣とダッソー社エリックトラピエ最高経営責任者がジャカルタでの機種選定決定調印式に臨みました。ラファールはF-35戦闘機との各国選定では苦戦を強いられていますが、今回アメリカはF-15EXを提示しました。

 ラファール戦闘機42機のインドネシアへの輸出と共に、今回フランスはラファール操縦及び整備要員訓練支援、そしてインドネシア国内空軍基地におけるラファール運用基盤構築、またインドネシア国内の二箇所にラファール戦闘機地上シミュレータ施設建設、またラファール戦闘機の予備部品及び弾薬等を包括契約する方針ですが、金額などは未発表です。

 ラファール戦闘機はインドネシアの世界最大の島嶼部国家での運用能力が評価された、インドネシア国防省国防施設庁のユスフジャウハリ長官は説明しています、その背景にはF-15EXの戦闘行動半径の広さより、艦載機として設計というラファールの運用基盤についての軽快である点が評価されたのでしょうか。なおF-15不採用は公式発表されていません。
■139億ドルF-15輸出白紙
 間が悪いと言いますかなんといいますかボーイングには残念な結果といえる。

 アメリカ政府はインドネシア政府が要請していたF-15戦闘機輸出を行き違いで許可しました。インドネシア政府は次期戦闘機の候補機としてアメリカのF-15EXイーグルⅡを情報要求し、アメリカ政府は36機のF-15EXと関連機材を139億ドルにより有償供与する事を許可しましたが、許可した時点でインドネシアは次期戦闘機にラファールを決定します。

 F-15EX戦闘機は36機とF110-GE-129などエンジンを予備含め87基、AN/APG-82-AESAレーダー45基、ALQ-250-EPAWSS自衛装置45基とADCPデジタルコンピュータ48基、JHMCSヘルメットマウントディスプレイ80基、AAQ-33スナイパー照準装置40基等一式を含みます。商談は成立しませんでしたがF-15EX輸出価格として参考になるでしょう。
■AGM-88GAARGM-ER
 昔はスーパーシュライクミサイルをファントムに搭載していた時代がありますが今はこういう。

 アメリカのノースロップグラマン社はAGM-88GAARGM-ER対レーダーミサイルの空中発射試験を成功させました。これはカリフォルニア州沖にて1月21日に実施され、サンニコラス島に設置された地上目標を識別、命中し破壊しました。この実射試験はAGM-88GAARGM-ERの試験としては二回目となり、2023年に初度作戦能力獲得を期す。

 AGM-88GAARGM-ERはハームミサイルシリーズの最新型で、従来のハームミサイルはレーダーを逆探知し、相手がレーダー照射を切った場合でも移動しない限り座標を記憶し攻撃しました、しかし、ハーム攻撃を検知し陣地変換した場合は対応できません。そこでAGM-88GAARGM-ERはミリ波レーダーを搭載、陣地変換後も攻撃が可能となりました。
■カイバルシェカン発射実験
 自衛隊では従来”敵基地攻撃能力”と表現していたものを”反撃能力”と表現するのだとか。

 イラン国防省は新型弾道ミサイルカイバルシェカンの発射実験に成功したと発表しました、カイバルシェカンとはペルシャ語で7世紀にユダヤ人との戦いに勝利した際の破城槌を示すもの、射程は1650kmでイラン西部地域からイスラエル本土を射程に収めており、従来イラン軍が開発していたシャハブ3と射程は同程度ですが、推進方式など更新された。

 カイバルシェカンは固体燃料方式を採用し、液体燃料方式のシャハブ3よりも発射準備時間を六分の一に短縮し、軽量化により機動発射装置へ2発の搭載が可能となっています。イランの弾道ミサイルはアメリカの東欧におけるミサイル防衛システム整備の口実となっていますが、イランは射程を2000kmに抑える事で欧州諸国の批判を躱そうとしています。
■A-100AEW&Cがレーダー搭載飛行
 電子機器などは日本含め西側の装備にかなり依存していた筈ですがウクライナ侵攻後の経済制裁下でどうするのだろう。

 ロシアの新型早期警戒機A-100AEW&Cが初のレーダー搭載飛行を実現させました、UACロシア統一航空機製造公社が設計し、子会社のタガンログベリエフ航空機科学技術製造所が生産しているA-100AEW&Cは、元々ロシアがソ連時代から運用しているイリューシンIl-76輸送機派生のA-50早期警戒機後継であり、原型にIl-76MD-90Aを採用している。

 A-100AEW&Cの初飛行は2022年2月9日に実施されました、原型のIl-76MD-90Aの初飛行は2019年でしたので、3年間でレーダー搭載試験を完了させたこととなります。その性能は基地から1000km離れた空域において六時間の空中警戒監視任務を行うというもので、ロシア航空宇宙軍は2024年までにA-100AEW&C開発を完了させる方針とのことです。
■ユーロファイター用ECRS2
 F-2は試作機にも搭載していた水準、ユーロファイターは開発当初からAESAレーダーを搭載する計画が延々20年遅れているので重要内歩と云うべきか遅れ過ぎというべきか。

 イタリアのレオナルド社はユーロファイター戦闘機用ECRS2レーダー開発を2億6000万ユーロで受注しました。ECRSとはEuropean Common Radar Systemの略称で、現在はMk1が運用中、このMk1はヘンゾルト社が主導し開発しているもので、2025年より既存のユーロファイター戦闘機新造分に搭載される事となるAESAレーダーとなっています。

 ECRS2レーダーは前型がまだ開発中である最中の開発開始ですが、もともとユーロファイター戦闘機は2003年の運用開始までに当初はAESAレーダーを間に合わせる当初計画がありましたが、クウェートとカタールの導入分から実現、実質19年遅れて目処が立ったという時点で遅れを痛感します。ECRS2レーダーはドイツとスペインに採用される計画です。
■ドイツF-35を35機導入
 内定していたスーパーホーネットを無かった事にされたボーイングは酷い目に遭ったという印象がある。

 ドイツ空軍は新たに次期戦闘機としてF-35戦闘機35機の導入を発表しました。これは3月14日に報道されたもので、ドイツのショルツ首相は2月のロシア軍ウクライナ侵攻を受けドイツ国防費の大幅な増額を発表しており、NATO加盟国に求められる国防費GDP比率2%を超える1000億ユーロもの国防費を2022年予算に計上する決断を下しています。

 ショルツ首相のドイツ防衛力強化指針を受けカレンバウアー国防相は、あらゆる選択肢を検討した結果、として老朽化したトーネード攻撃機の後継にF-35戦闘機を選定したとのこと。トーネード攻撃機はドイツ空軍における現在唯一の核爆撃能力を持つ航空機であり、有事の際にはニュークリアシェアリングに基づく核爆撃を担当する重要な航空機です。
■ドイツ空軍はユーロファイターも
 ボーイングとドイツ軍需産業との提携強化する程に採用を内定し次の段階に進めたのだからスーパーホーネットを購入する義務と云うか道義的責任もあるよう思うのだが。

 ドイツ空軍はF-35戦闘機と共にユーロファイター戦闘機15機を導入します、これはF-35戦闘機導入と同じく3月14日に報道されたもので、ユーロファイター戦闘機は新規ではなく増強、ドイツ空軍が運用するファントム戦闘機の後継として導入を開始し、多目的戦闘機としての能力を有する事から部分的にトーネード攻撃機の代替としても機能しています。

 ユーロファイター戦闘機については当初導入計画を修正せず継続調達した構図となっていますが、ドイツ空軍の戦闘機調達計画、先ず当初はトーネード攻撃機の後継機にはアメリカ製F/A-18E/F戦闘攻撃機を予定、取得費用を抑える事でフランスとの次期戦闘機開発費を捻出する構想でした。これら両立は大幅に増額した国防費にて三本並行するのでしょう。

 F-35とユーロファイター戦闘機を両方同時に調達する方針ですが、ドイツ政府とドイツ空軍ではF-35の導入に際し大きな摩擦が生じており、過去にフランスが難色を示したF-35導入を主張した空軍将官を事実上更迭する騒動を経てF/A-18E/F戦闘機を採用した一幕がありました。F/A-18E/Fは導入中止となりますが、ボーイングとも摩擦が生じるでしょう。

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日米首脳会談-バイデン大統領"台湾有事に際し米軍介入"示唆,アメリカ戦略的曖昧政策放棄と中国外交部反発

2022-05-24 07:00:45 | 国際・政治
■臨時情報-日米首脳会談
 台湾海峡有事は日本の東南アジア地域からのシーレーンに直接影響が及ぶ重大関心事ですが、この命題に昨日驚きの発言がありました。

 岸田総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談、首脳会談後の記者内見においてバイデン大統領は、台湾有事についての記者からの質問に対し“台湾についての政策は全く変わっていない-台湾海峡をめぐる平和と安定を支持し-現状が一方的に変更されることがないよう取り組み続ける”として関与を強化する姿勢をあらためてしめしました。

 アメリカは台湾有事に際し軍事的に関与する用意はあるのか、とのさらに踏み込んだ質問に対してもバイデン大統領は“ある-それが決意である”と明確に発言、“一つの中国政策に同意しているが力によって奪取できると考えるならばまったく適切ではない”“地域全体を不安定とし-ウクライナで起きている事と同じ状況となる”と強い表現で強調しています。

 アメリカ大統領が台湾有事に対してアメリカ軍の直接関与を明示したのは、大陳島撤退による国共内戦終結後では史上初のものとなります。こういいますのも、戦略的曖昧性、従来のアメリカ外交政策では台湾問題について、軍事介入するかどうかを曖昧として手の内を見せない事としており、中国側はこれを一種の台湾への中立政策とも考えていた為です。

 バイデン大統領発言に対して、台湾と中国は即座に反応があり、当然といえますが中国外務省は“強烈な不満と断固とした反対”という報道官声明を出しており、“アメリカは台湾問題における言行を慎み-台湾独立勢力に誤ったシグナルを送らないよう求める”と発言アメリカの台湾政策は変っていないとホワイトハウスは火消しのような声明を示しました。

 台湾外交部は、アメリカ大統領とホワイトハウスに感謝と歓迎の意を示したい、としてバイデン大統領発言を歓迎しました。ただ、この発言は過去の発言と比べても非常に踏み込んだ発言であり、大統領随行記者からはこの記者会見後のIPEFインド太平洋経済枠組関連会合後の記者会見に際し記者から真意を問う声がありましたが、回答はありませんでした。

 台湾有事へのアメリカ軍関与明確化、バイデン大統領は過去にもCNNインタヴューなどで台湾有事へのアメリカの責任などを示唆し、また恰も日米同盟や米韓同盟と同じ様な同盟条約が在る事を誤解させるような発言もありましたが、今回は日米首脳会談の際に記者会見において正式に発言したということであり、日本周辺地域、重みが根本で違うのです。

 現時点で、アメリカ軍には台湾での基地施設は存在しません、そしてこれは見落とされているのですが台湾と米軍では部隊同士の演習なども実施していません、戦闘機要員養成の要員受入や台湾へ有償供与された装備品教育支援などは行われていますが、部隊同士の訓練も摺合せも行われておらず、これを省いて共同作戦というような運用は非現実的という。

 大統領発言、しかし制度にどのような変革が行われるかは未知数で、これを元に例えばリムパック環太平洋合同演習やレッドフラッグ演習への台湾正式参加や、部隊規模のアメリカ本土での訓練、米軍部隊の台湾への訓練展開など、台湾とアメリカの防衛協力強化が具体的に進められるのかは具体的な話はありません、水面下の交渉も憶測してしまう程です。

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【防衛情報】イギリスのボクサー増強と東欧存在感増すパトリアAMVとピラーニャⅤ装甲車,トルコFNSSの台頭

2022-05-23 20:04:29 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 自衛隊の次期装輪装甲車が話題となる最中ではありますが今回は装輪装甲車に関する最新情報を集めました。

 イギリス陸軍はボクサー装輪装甲車100両の追加調達を決定したとのこと、これはOCCAR合弁企業が発表したものです。ボクサー装輪装甲車はARTEC合弁企業が製造を行い、これはボクサー装輪装甲車量産に特化したラインメタル社とKMWクラウスマッファイヴェクマン社の合弁会社で、OCCARが欧州でのボクサー装輪装甲車販売を仲介します。

 ボクサー装輪装甲車はモジュラー方式の装輪装甲車であり、イギリス陸軍では歩兵輸送車両と救急車及び指揮通信車の各種派生型を含め532両を調達すると2019年に契約を結んでいますが、今回の追加によりその調達数は632両となります。これはドイツ防衛産業には朗報となっていますが、同時にイギリス防衛産業にも朗報となる増産決定となっています。

 イギリス向けのボクサー装輪装甲車は合弁会社による量産方式を採用しており、主要な部品はイギリスで製造し一部部品をドイツから供給される方式となっています。この方式はライセンス生産と似ていますが、合弁会社にて製造する方式である為にライセンス料を追加する必要はなく、また合弁会社である為、今回の様に増産契約も円滑に実現が可能です。
■スロバキアがパトリアAMV選定
 自衛隊も96式装輪装甲車後継候補となっているパトリアAMVを選定したもようです。

 スロバキア政府は次期装甲車BOVとしてパトリアAMVを選定しました、この選定理由として高い性能を示すとともに自国内での製造が大幅に認められる事による失業対策という地域貢献が挙げられています。今回の次期装甲車選定は2021年末に実施された入札に基づくもので、2022年2月より実試験を経て、フィンランド製装甲車が選定されたかたち。

 パトリアAMVはモジュール方式の武装やキャビン区画の換装が可能となっている装輪装甲車であり、北欧の中立政策を堅持する為に有事の際には一国のみで巨大な脅威と戦うフィンランドの装甲車は装輪装甲車でありながら10kgまでのTNT火薬の車体下部での爆発と爆風に耐え、正面装甲は装甲戦闘車などが多用する30mm機関砲弾に耐える水準です。

 スロバキア政府は、同時に厳しい国家予算下での防衛政策を両立する為に、経済波及効果を重視している。パトリア社は欧州各国へ3000名の雇用を生んでいるとされますが、技術移転や現地生産への製造移転に柔軟であり、スロバキア国内での供給可能な部品や最終組立を実施し、対応できない部品のみを供給する姿勢が、採用への決め手となったようです。
■ルーマニアはピラーニャⅤ
 こちらも自衛隊が候補としたが試作車が納入されなかったほう、装輪装甲車が大型化しているという印象ですが対戦車火力や大口径機関砲の普及を前に今後世界のこの種の車両は大型化し取得費用も巨大化するのでしょうか。

 ルーマニアは導入するピラーニャⅤ装輪装甲車について国内生産でGDELS社と合意しました。これは3月15日にジェネラルダイナミクルヨーロピアンランドシステムズ社とルーマニアのルーマニアROMARM社が発表した提携の内容です。ルーマニアは冷戦時代のソ連の支援を受けソ連製装甲車ルーマニア軍仕様を製造していますが老朽化が進んでいる。

 ピラーニャⅤについてルーマニア軍は2018年に派生型6系統を含む227両を調達発表しており、2022年までに最終組立を行った60両の車両が既にルーマニア軍へ引き渡されていますが、今回の協定はその現地生産部品の度合いを高めます。ルーマニア軍は3万5800名規模、装甲車としてBMP-2の独自仕様であるMLI-84装甲戦闘車を140両装備しています。

 スイスのモワク社が開発したピラーニャ装甲車シリーズは堅実な設計と安価な車体で知られていますが、車幅が2.5mに抑えられていたピラーニャⅠに対してピラーニャⅢからは車体がかなり大型化しており、ピラーニャⅣからは装軌式装甲戦闘車並の重量となっていまして、今回のピラーニャⅤ装輪装甲車については車格が極めて大型となってゆきました。
■マレーシアのFNSS装甲車
 従来型の選択肢に近い車両はいまやトルコのような新興工業国が生産している印象です。

 マレーシア軍は次期装甲車としてトルコFNSS社製装輪装甲車派生型を選定しました。マレーシア陸軍はドイツ製コンドル軽装甲車とベルギー製シブマス軽装甲車の後継車両を選定していました。コンドル軽装甲車はドイツ製多機能トラックであるウニモグトラック車体を応用した万能ですが箱型装甲を載せました軽装甲の四輪駆動装甲車となっています。

 ベルギー軍のシブマス装甲車はベルギーの輸出用装甲車でコッカリル社製90mm低圧砲を搭載した六輪式の偵察装甲車で、共に低烈度紛争においては大きな威力を発揮するものの、コンドル軽装甲車については過去1990年代にボスニアPKO任務派遣に際し脅威に対し軽装甲過ぎる点が問題視され韓国からKIFV装甲車を緊急調達するという過去もありました。

 トルコFNSS社製装輪装甲車とは、PARS装輪装甲車シリーズと思われ、トルコからはPARS四輪駆動型と六輪駆動型が提案されています。六輪駆動型は箱型車体を有するAPC型で歩兵輸送や偵察任務に用いられ、四輪駆動型はMRAP耐爆車両構造とAPCの中間に近い構造であり、自走対戦車ミサイル等ウェポンキャリアーとして運用する事が可能です。

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