自分の人生を振り返っても、これが幸福感だと思える感情を得たことは沢山あるわけではない。ただ、幸か不幸か人生の後半戦になり増えてきたように思える。自由な時間が増えたことが大きいかもしれない。年をとって良いことも確実にあるようだ。
U先生の「生き甲斐の心理学」では憂鬱(ウツ)になるのは人それぞれ生育史からくる傾向があるとしている。そして、幼い頃の心因的なウツの原形を愛の原形と同じように調べることで自分の気がつかなかった側面をしることができるようだ。私も振り返ってみて思い当たることがいくつかでてきた。そうしたウツの原形が少年時代、青年時代と様々な経験を積む中で育?ってくる。つまり私にとって憂鬱になるパターンが確立されてくる。もちろん、それは私に当てはまることで、他の人では逆に元気になったりすることもあるのだろう。
私は7歳の時に親の仕事の関係でアラスカに一年暮らしたが、初めて羽田で飛行機に乗ってアラスカに向かって離陸するときの光景が何故か忘れられない。今のように座席の前方にスクリーンがあって映像が流されることもなく、ただ前方座席の後ろを見るだけ。すると、ハエが一匹静かに座席の上にとまってる。戦後の日本は機内にハエが飛び込んでくる状況だったようだ。ハエは飛行機の離陸時の爆音と振動にも耐えしっかりととまっていたが、私が寝ている間にどこかに飛びさったようだった。他にもっと記憶に残るものがあってもと思うが、ハエが自分を投影したのか、不思議に覚えている。
幸福感の原形はウツの原形と隣り合わせのようで、飛行機が次第に高度を落とし、真っ白な氷山の浮かぶ深い青色の海を家族と眺めたことを覚えているのは、幸福感からかもしれない。青春時代に悩んで寝付かれない早朝に、窓を開けると冷気と共に瑠璃色の空に明星が輝いていて、その美しさに涙をこぼしたのも幸福感からか。
ウツも理想と現実のギャップから生じるのは不安感と同じ。そして、飛行機の離陸では強烈な怖さは過ぎ去れば消えるわけだが、世の中には簡単に過ぎ去らない憂鬱も多いものだ。心理療法などでは、防衛機制をゆるめてありのままを受け入れ、現実吟味力を駆使し、新たなアイデンティティに統合すれば良い、というのが公式のようだが、現実はなかなか難しい。
さて、今日は快晴に恵まれたこともあり都心の知人の画廊にお邪魔させていただいた。そして、拝見させていただいた一枚の画に瞬間的にこころが捕らわれた。
幸福感は五感と関係していることは間違いないと思う。お袋の味という味覚もあろう、懐かしい祖父の声・聴覚もあろう。視覚も私の場合は海や空の深い青が希望を不思議に喚起するようだ。幸福な原風景。そのようなものがあるようだ。
縄文時代の祖先にも今の私と同じように幸福感の原風景を感じさせるものがあったのだと思う。考古学では簡単に威信材と読んだりするが、翡翠の大珠や琥珀、貝・・・そういったアクセサリーはどういう感情を喚起させたのだろうか。恐らく、私が今日感動して見た絵画と同じように幸福感の原形とかウツの原形などとどこかでつながっているのではないだろうか。
7/10 宝の幸福曲線
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