U先生の「生き甲斐の心理学」では、数限りない明るい感情を5つに分類するので、統御感という幸福感を超える感情も、それこそちょっとした統御感から大宗教家が悟りを開いた時の法悦感までいろいろとあるのだと思う。
この統御感だが、これまた不思議なことに質の似た反対の感情は錯乱感。そして、同じようにちょっとした錯乱から人生の究極の嫌な感情といえる錯乱まである。自分の統御感を発掘?するには、この錯乱感を思い出すことも大事なようだ。先日もお話したように幸福感の隣にウツがあるように。明るい感情の隣には暗い感情があったりする。
私の錯乱の原形を考えた時。小学校に入学して間もないころのことを思い出す。戦後間もないころなので小学校も一クラス60人くらいで、子供が溢れていた時代である。小学校に通いはじめてすぐ、私は学校が嫌いになった。そして、朝、登校の時間になると憂鬱になる。そして、学校にいきたくないとぐずぐずしていると、母だけでなく父も叱った。当然ながら、追い詰められて泣く。また両親からいろいろ言われる。鏡で自分の顔を見ると泣き顔で酷い顔。それを見て恥ずかしいから益々行けないと泣く。また叱られる。こうした錯乱の後なだめられて・・・なんとか小学校に通う自分。いつの間にか統御感にあふれている。
ちょっとした心の乱れから大きな乱れまであるが、人の成長にはこの乱れが大事であり、脱皮というと大げさだが変わっていく。もちろん、ポジティブな方向だけでなく錯乱はより深い錯乱を招いたり、ネガティブな方向に人を誘うこともある。
私の最大のネガティブな錯乱は高校2年生の時、家の西側の窓からは近くのプロテスタント教会の十字架が見えていたが、十字架の見える部屋でニーチェの本を読んでいたとき、今までの信仰の世界が揺らぎ錯乱した。それから、徐々に幼いころからの母が信じていたカトリックの世界から離れて憂鬱な青春時代を過ごすことになる。まあ、その憂鬱もある日の不思議な錯乱で突如カトリックの信仰の世界に舞い戻ることになるのだが。
これは私の拙い経験であるが、皆さまの統御感や錯乱のご経験はいかがでしょうか。
東洋には陰陽思想があり、また日本でも律令制度ができたころなど陰陽思想が時代を作ってきたという学説もあるが、U先生によると感情も統御感と錯乱といったような明るい感情と暗い感情のバランスが結構生きる上で大事なようだ。バランスを保つことでイキイキとした生活が送れ、こころの健康と生き甲斐ある生活がもたらされる。友好的感情も大事だが怒りも時に大事。その中で親密性が深まっていくように。
さて、縄文時代はどうだったか。記紀の日本神話などは縄文時代などの古い祖先の記憶が反映されているというのは定説だ。ただ、縄文時代の文字が残されてない現状では、考古学的遺物が大切。その中で縄文中期の人面付き香炉型土器が前と後ろが、イザナミの生前の姿と黄泉の国の姿を現しているという説があるが、統御感と錯乱の不思議な関係を表現しているようにも思えてならない。
錯乱という最悪とも思える感情と統御感という最善の感情。それを香炉型土器の中心にある灯火が同時に見ている。この灯火を愛そのものの魂とみたらどうだろうか。一般化は困難だと思うが、縄文時代の宗教も現代の宗教と同じような本質をもっているのではないだろうか。アニミズムとかの学術用語を使う前に本質を考えることは重要ではないだろうか。
8/10 宝の幸福曲線
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