縄文人の生活の場である環状集落や貝塚、ストーンサークルをいろいろ調べていると、縄文人の時間や空間認識の特殊性に気付いてくる。現実の普通の時は我々も縄文人にも等しく物理学でいう時間が流れ、空間も東西南北を中心に正確に位置決めができる。ただ、例えば時は決して体験上同じではなく(空間もそうだが)、ある瞬間に何か質的に異なる流れ方をするようだ。ギリシャ人はクロノスとカイロスとわけたが、私もそうかなと思う。
U先生から15年くらい昔に教えてもらって購入し、当時感動した「脳はいかにして<神>を見るか」(アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ウィンズ・ローズ著 茂木健一郎監訳 PHP研究所 2003)を思い出して取り出した。この本は実に不思議な実験をもとに神秘体験を脳科学的に追っている。空間や時間の感覚がなくなるというようなことをどこかに書いてあったが、まだ再読していないので・・まあ、カイロスについていろいろ分析しているとおもうのだが、もう一度吟味せねばと思う。
さて、縄文人の生活の場をいろいろ考えていると、例えばストーンサークルは場所的に冬至や秋分といった二至二分に関わる景観が見事な地であったりする。また、祭儀に使われるような土器は四方に突起があったりするものも多い。カイロスは時空から離脱しているにもかかわらず、現実のクロノスの時空の中で不思議に特異点に執着する。このあたりの心理は現代人もパワースポットにこだわったりする人が多いが、今も昔もおなじかもしれない。特異な場所でカイロスに出会うというのだろうか。
東洋では、日本も江戸時代までそうだったが五行陰陽説というのだろうか。空間や時間にお同ように、例えば巳をあてたりする。現代人の感覚ではないが、意外にカイロスとクロノスの不思議を生活の中に取り込んでいるのかもしれない。五行陰陽説は古墳時代とかに持ち込まれたと一般には言われているが、日本では仏教導入で政治問題があったが、五行陰陽説という生活に非常に影響力のある方式を取り入れても、そんなことはなかったように思う。ということは縄文時代から同じような感覚が少なくともあったのではと推測してしまう。
先日AMORに「子抱き土偶を俯瞰して観る」という説文を寄稿した。こちら。縄文人の生活の場や、さらに出産などの特別な場で、子抱き土偶の時間はどのように流れたのだろうか。
9/10 今ここと縄文時代
WebマガジンAMOR「縄文時代のイキイキ生活」にも縄文や子抱土偶に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら
この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。
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森裕行