【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【閣法】年金改正法案を2024年通常国会に提出へ、遺族年金「夫妻格差」と障害年金「初診日は厚生期間か」整理、給付額に大きな変化はないもよう

2023年08月25日 08時32分54秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]たかまつななさん、3年前2020年9月15日の立憲民主党結党大会で、都内で、宮崎信行撮影。

 来年令和6年2024年1月から始まる通常国会に、「厚生年金保険法改正案」が提出されるはこびとなりました。

 主な議論は、遺族年金で受給権者が「55歳以上の夫」となっている「男女逆差別」を夫妻平等にしようという論点。もう一つは、障害年金の「初診日」について、会社を辞めて国民年金移行後だと、障害の程度が精神でいえば2級以上の場合、国民年金勘定からの「障害基礎年金」だけで額が少なくなることについて、「初診日」の定義を見直す議論です。

 遺族年金は2004年改正法(100年安心プラン)、障害年金は昭和60年改正法以来の抜本的な見直しになります。

 ただし、給付額に大きな変化はない見通し。同時に、遺族年金受給世帯で、所得税・住民税が多額の課税されている世帯は少ないとみられ、財務省・厚労省が質問通告を受けて、国民負担率を話し合う国会論戦にはならなそう。

 社会保障審議会年金部会には、精力的に取材する「たかまつなな」さんも参加しています。

 改正法案は、来年令和6年2024年の2月下旬ごろ閣議決定され、国会に提出されるとの日程感が見込まれます。

 以上です。

「平成31年の森林環境税法」を施行前に法改正へ、令和6年国会か、高市「元総務相」失点森山「元農相」

2023年08月18日 05時50分48秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]平成31年から令和元年になったとたんにペンキをかけられた総務省、実行犯の高齢男は東京地裁の看板前で逮捕、政治的意図はなかったとして結審したと思われる、宮崎信行撮影。

 来年令和6年2024年施行の地方税「森林環境税」の法律を施行前に改正する動きが顕在化しそうです。平成31年の「統計国会」で成立した「森林環境税及び同譲与税法」(平成31年法律3号)で、「1人年1000円」を個人住民税均等割に上乗せる「人頭税」規定はそのままで、譲与税の配分方式が変わりそうです。

 自民党が税制調査会で議論し、政府税制改正大綱で決定。来年2024年2月上旬にも「改正法案」を閣議決定し、衆参総務委員会で議論することになりそうです。

 第198回「統計国会」で石田総務大臣が答弁しましたが、もともとは菅義偉官房長官のもと高市早苗総務大臣らが検討し、国土交通省航空局長らが提案した「国際観光旅客税」(航空料金に1人1回1000円上乗せ)とともに成立した法律です。

 筆者は、国会審議から法施行までの「プログラム(工程表)」が長いということは、それ自体が、間接民主制の効力を弱める国会運営だと当時から与党を批判してきました。

 森林環境税の譲与については、令和元年から試算を示しており、森林が多い地方議会で「人口が多いとはいえ横浜市が最も受け取るのは問題だ」との声が出ていました。

 このため、農政に強い影響力がある当時の自民党国対委員長だった森山裕さんらの声で、自民党税調(宮沢洋一会長)が審議することになったようです。

 一方、高市大臣にとっては、失点となりそうです。

 改正法案は、1人1000円の見えにくい増税そのものの規定の削除には及ばない見通しです。

[当ニュースサイトから関連記事の抜粋引用はじめ]

予算案あさって採決へ最終局面、予算委は中央公聴会、総務委は昼の理事会が紛糾 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

 【衆議院総務委員会 同日】

 6分前後遅れて開会。まず、石田総務大臣が、西村統計委員長が「私は非常勤の時間給バイト公務員だ」などとした偽文書について「広く出回ることを想定したものではない」と語り、国会と西村委員長に謝罪の発言をしました。

 この後、

 「平成31年度地方税法改正案」(198閣法4号)
 「特別法人事業税及び同譲与税法案」(198閣法5号)
 「森林環境税及び同譲与税法案」(198閣法6号)
 「地方交付税法改正案」(198閣法7号)

 の4法案が審査されました。統計委員会は委員長代理が登場しました。私は特別法人事業税という恒久法(案)は大ぶりだと思いますが、立憲のトップバッターは岡島一正さんは「国会は統計問題で大揺れだが、私は地震のゆれをめぐる防災関係を(総務省消防庁に)質問します」、と。岡島さんは、新生党結党メンバーの子息ですが、2010年当時は、与党・民主党の岡田克也幹事長のもとで副幹事長をしていました。幹事長会見では、NHK出身らしく、私が挙手すると「すいません、記者クラブの方、記者クラブ以外の人に当てていいですか?」と確認しながら指名していました。記者会見というのは経緯を知らない国会議員が司会をすると、混乱のもとなので、できればやめてほしいところです。

で、質疑の後、総理入り質疑がありました。ここで休憩。昼に理事会が開かれました。ここで、紛糾。私は理事会室のすぐ外に居たのですが、自民党の森山裕国会対策委員長が手ぶらで一人で登場。衛視さんに「まだ理事会やってるの」と聞くと、国対委員長といえども理事会室には入れないので、奥で控えていました。その後、トイレに。ここで、もともと総務委員である塩川鉄也・共産党国対委員長代理がツレションに。自国対・共国対代理の二者会談のさいちゅうに、森山さんがスマホで電話すると、立憲の武内則男国対代理が登場。森山さんが「おたくの筆頭理事だれ?」と聞くと、武内代理は「高井崇志といって、総務省出身です」としばし雑談。私、この場でこれだけ見ていて、理事会室の外に居たので、1時間もの昼の理事会で何を話していたのかは、よく分かりません。たぶん、統計委員長の件だとは思うんですが。

 午後1時半再開の予定が、午後2時13分までずれ込みました。

 森林環境税法案をめぐって、市町村の林業関係職員がトータルで数千人しかいない点も指摘されました。散会。次回は未定。

[抜粋引用おわり]
 以上です。

【法案提出】「日本版DBS法案」こと「教育・保育所こどもと接する職業の性犯罪歴証明」こども家庭庁

2023年07月27日 16時08分16秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]小倉将信・こども家庭庁初代大臣、きょねん2022年7月、東京・町田市で宮崎信行撮影。

 こども家庭庁は、英国の「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス機構」に範をとった「日本版DBS法案」を、早ければ今秋の第212回臨時国会にも提出する検討を始めました。

 「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」を立ち上げて、早期の法案提出をめざすことを、きのう(令和5年7月26日)の「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」に盛り込みました。

 英国の「前歴開示・前歴者就業制限機構」は2012年頃から、こどもと接する職業に就く者について、性犯罪の前歴を確認する機構で、ドイツ、フランスにも同様の制度があるようです。

 日本では、無犯罪証明書は、外国渡航にあたり先方の国から求められた際に、警察本部の鑑識課が発行することができますが、それ以外で、本人や第三者が発行を求めても門前払いされます。

 このため、特定の業種に限り、「無犯罪歴証明書」を雇用主に提出することを義務付けるような法改正を検討していくとみられます。

 2019年以降に発覚したベビーシッター仲介「キッズライン」で、複数の元ベビーシッター男が逮捕され、うち1名が強制性交等罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ禁止法違反罪で懲役20年の実刑の判決となった事件も契機となったようです。

 以上です。

【閣法は提出せず】LPプロパンガス「給湯器手数料タダ」の取引慣行見直し審議会は、法施行令改正で、改正法案提出しない方針決まる

2023年07月20日 11時38分15秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]日比谷野外音楽堂から見た資源エネルギー庁、3年前、宮崎信行撮影。

[追記・訂正7/25]写真は資源エネルギー庁ではなく、厚生労働省・環境省でした。訂正します。

 資源エネルギー庁は、「液石法(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)」を改正する法案を、秋の臨時国会や来年の通常国会に提出しない方針を決めました。同法施行規則は改正する方針。

 LPプロパンガス取引業者が、契約先の家庭の給湯器の交換で、本体価格のみで手数料を請求しないといった独特の商慣行で、かえってトータルの料金が高止まりしているのではないかとの指摘を受けて、「総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会 液化石油ガス流通ワーキンググループ」が3月から検討してきました。

 集合賃貸住宅だと1世帯がプロパンガス業者を切り替えるのは現実的でないことから、入居時の重要事項説明書など、国土交通省、消費者庁、公正取引委員会も含めた検討をしてきました。これらが所管する、独占禁止法、宅建業法などの改正も具体的な動きにはならない見通し。

 同ワーキンググループはYouTubeで公開されていますが、平場の会合の終わり際にも、「それから、委員会の構成なんですけども、業界団体委員の方が5人で、消費者団体の方が2人という構成なんです」との発言があるなど、霞が関の「審議会しぐさ」とは趣を変えた自由闊達な議論がなされ、まずは施行令改正という方向性となったようです。

 以上です。

「旅費法改正案」を2024年通常国会提出へ インフレ・円安考慮、実費弁償から定額支給方式ややシフト

2023年06月29日 19時46分30秒 | 【法案】今後提出される法案
 「旅費法改正案」が来年の通常国会に提出されるはこびとなりました。

 インフレ・円安による「鉄道賃」「航空賃」「日当」「宿泊料」「食卓料」「扶養親族移転料」「着後日当」などの金額を増額するのが主な柱。

 国家公務員の出張は「実費弁償」の基本は守りつつも「定額支給方式」にややシフトする改正法案となりそうです。
[写真]財務省や外務省の前に立つ筆者、5年前。

 財務省が先々月の財政制度等審議会に「国家公務員等の旅費制度の見直し」を提示し、法改正が必要だとしました。

 定額支給方式ですが、私が以前勤務していた株式会社日本経済新聞社では、宿泊料が定額支給方式で、ビジネスホテルに泊まって差額を精算口座に預金する人などいました。一方で、地域経済を専門とする記者が出張のたびに温泉旅館にとまり定額以上は私費で出していたことがあります。直属長から注意がありましたが、これは駅から宿泊先までのタクシー運賃の実費が高くなりがちだから、うまく目につかないようにしてくれという話で、地域経済の研究のための温泉旅館宿泊は応援するとの趣旨だったようです。法務省のカラ出張が報道された際は、民間ならみんなアウトだと言い合いつつも、間接部門の人件費を考えれば、定額支給の方が民間企業では合理性に優れている面もあるのではないかとの感想を、会社員当時の私は持ちました。

 以上です。

ついにこの日が、「経済的徴兵制法案」が来年2024年通常国会に提出へ 迫られる「17歳の決断」

2023年06月24日 03時25分02秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]平和安全法制を実現した安倍晋三元首相(故人)、4年前の2019年、宮城県内で、宮崎信行撮影。

 岸田文雄首相が安倍内閣の外相として取り組んだ「平和安全法制」で、山本太郎議員が追及して学生支援機構幹部(経団連出身)が辞任した、「経済的徴兵制」を実現する法案が来年の通常国会に提出され、来年度中に予算がつく見通しとなりました。

 けさの日経新聞は、防衛大学以外の一般大学の3年・4年の理系学生40名に月5・4万円融資する「貸費学生」を全面的に改め、1年生からの文系・理系に現行より多い金額・人数の新名称制度を導入するための「自衛隊法改正案」が来年令和6年2024年1月召集の通常国会に提出され、来年4月にも予算が実施されるとの見通しを初めて報道しました。

 2015年の平和安全法制国会では、山本太郎・参議院特別委員(現・れいわ新選組代表)が元経団連専務理事である日本学生支援機構幹部が「それから、延滞者が無職なのか、低収入なのか、あるいは病気なのかという情報をまず教えていただきたい」「前も提言したのですが、現業を持っている警察庁とか,消防庁とか、防衛省などに頼んで、1年とか2年のインターンシップをやってもらえば、就職というのはかなりよくなる。防衛省は、考えてもいいと言っています」とし奨学金延滞者を自衛隊に「1年とか2年のインターンシップ」で送り込むべきだと提案していたことを暴露。この幹部は更迭されました。
  平和安全法制は成立。岸田外相はやがて自民党総裁・首相となりました。この間、平和安全法制の「切れ目のない安全保障」で、陸海空とも日米軍軍指揮所が新設されるなど過剰労働が指摘されています。外務省も日米豪英仏印と「ACSA」(物品役務相互融通協定)条約を署名し、改正自衛隊法の100条の後ろあたりの条文として国内法制化(ただし日印に限り弾薬の提供は対象外)。地球の裏側に送られる不安感から、海上自衛官が過去最多の年6人ペースで海上保安庁に転職したり、新規就職者が減ったりする現状となりました。定員充足率を高めるため、任期満了しているのに説得され、やめない隊員も多いようです。

 先々月の統一地方選でも、経済的理由だけで防衛医科大学に進学し、卒業後に自衛隊に入った者の早期退職し、負債が返済できずに、AV女優に転じた女性が政治家女子48党公認で世田谷区議選に立候補(落選)し、一石を投じました。


[写真]拳を握り締めた岸田首相、きょねん2022年、宮城県内で、宮崎信行撮影。

[写真]平和安全法制を実現した安倍首相(故人)。

[写真]経済的徴兵制の検討を暴露し幹部を辞任に追い込んだ特別委員だった、山本太郎・れいわ新選組代表、きょねん2022年、国会内で、宮崎信行撮影。

[写真]海上自衛隊の主力護衛艦「しらね」に乗艦して取材する筆者・宮崎信行、今から26年前の1997年、東京湾上で。

 現在、東大卒業生が統合幕僚長となっており、「一般幹候」(防衛大学校卒業生ではない四年生大学卒業の幹部候補生)でも出席できるとして、17歳ないし18歳に対して、大学1年生の4月から月6万超の融資をすることで囲い込みたい意向のようです。

 日本国憲法第18条は「何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と定めています。芦部信喜・東大教授(故人)は「徴兵制は、本人の意思に反して強制される労役であることは否定できないであろう」との学説を示しており、借金で首を縛る経済的徴兵制による解釈を、防衛省・財務省・内閣法制局が理論武装することになりそうです。

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特定看護師(NPナースプラディクショナー)国家資格新設の内閣府規制改革会議の議論始まる「保健師助産師看護師法改正案」も視野に

2023年02月22日 06時14分32秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]日本看護協会前に立つ筆者、きょねん11月、東京・渋谷区で。

 医師と看護師の役割分担を見直して「特定看護師」(NPナースプラディクショナー)を国家資格として新設する実務協議が始まりました。

 今月、令和5年2023年2月13日(月)に開かれた内閣府規制改革推進会議の「第6回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」で議論が開始されました。

 医師と看護師の医看格差は、1990年代から報酬格差の不満は解消された状態にあり、長期間安定した状態が保たれています。このため、地域格差の解消のため、医師と看護師のタスクシェアの見直しが十数年の間に、時々俎上にのぼってきました。

 現在は、「医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助を行う看護師」として、厚生労働省が特定行為研修修了者を認定しており、6000名以上が認定されているようです。

 民間では「日本NP教育大学院協議会」と「日本看護系大学協議会」が「ナースプラディクショナー」を670名以上を認定しました。これらは国家(厚生労働大臣)資格ではありません。

 仮に国家資格としての特定看護師制度ができると、医師の判断を待たない手順書による診療の補助に加えて、時間外の医師と連絡をとったり、薬局から薬剤を調達したりする権限が加えられるかもしれません。

 一方、日本看護協会の「専門看護師」は3000名、「認定看護師」は2万名以上おり、特定看護師ができる場合は整理が必要となりそうです。

 結論が出るまでには、かなり時間がかかり、来年半ばを過ぎることも予想されます。

 先かもしれませんが、数年内に「特定看護師法案」や「保健師助産師看護師法改正案」などが国会に提出され議論されることも予想されます。

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生活困窮者の自覚がない高齢者に家計簿つけ指導を自治体に求める「生活困窮者自立支援法及び生活保護法改正案」第211回通常国会に提出

2022年12月22日 07時00分30秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]高齢者の生活困窮者(右)、宮崎信行撮影。 

 「生活困窮者自立支援法及び生活保護法改正案」(211閣法 号)を政府が来月召集の国会に提出するはこびとなりました。

 厚生労働省は「制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」をおととい2022年12月20日にまとめ、同省公式トップページで発表しました。

 コロナ特例貸付の返済が来月から始まることを念頭に置いており、今から法案を出しても施行が間に合わないので、お役所仕事には首をかしげざるを得ないところ。

 中間まとめは特例貸付の9割は「社会福祉協議会」が審査したとしました。自治体が伴走型支援をしているのは4割にとどまっていると警鐘を鳴らしました。そのうえで平成30年改正法で自治体の「努力義務」とされた家計改善支援事業は7割が実施しており「家計の収支バランスが悪い」「債務整理や滞納に関する課題を抱えている」との相談が多いとまとめました。

 家計管理ができない人は好況下で生きてきた高齢者に多いことも明らかになりました。

 自立支援から生活保護に移行する人は年1・5万人だと報告。「生活保護に至る前の第2のセーフティーネットとして制度化された」困窮者自立支援制度と生活保護制度の「重なり合う支援」の充実を図る必要性を強調しました。

 就労準備支援事業・家計改善支援事業・居住支援事業を任意事業として法定化することを提言。ケースワーカーの関与拡大に向けた調査も並行することにしました。

 具体的には、自らが困窮家庭である自己認識・歴史認識を持っていない高齢者を対象に家計簿の付け方を自治体が指導することを、法案にも盛り込むようです。

 生活保護法改正では、5年に1回の生活保護費の生活扶助などの基準改定は法律事項でなく課長通達事項ですから改正法案には入りませんが、厚労省の考え方は国会審議でも問われそうです。

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自衛隊法改正案が必要になり国会審議へ、沖縄県に初めて陸自師団を創設(第15旅団格上げ)、きのうの防衛力整備計画で閣議決定、統合司令官も

2022年12月17日 03時39分23秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]沖縄県東京事務所の案内板、千代田区で、きょねん宮崎信行撮影。

 きのう決定した「防衛力整備計画」に、陸上自衛隊師団を沖縄県那覇市に設ける内容が盛り込まれました。

 在沖海兵隊など基地問題が続く沖縄県に、陸自師団が設けられるのは1950年自衛隊発足・1972年沖縄復帰以降初めて。

 名称は第15旅団を引き継いだ「第15師団」か、北海道にある旅団の番号を変更したうえで「第11師団」になりそうです。防衛力整備計画は2027年までの整備の目標ですが、装備品の調達とは違い既存組織再編のため「自衛隊法別表第一」を改正する法案は、早ければ来月にも提出されるかもしれません。

 南西諸島防衛強化をめぐる第15旅団の再編について「師団格上げ」の結論になったのはここ数日の与党内協議の結果と思われます。

 このほか、陸海空の統合幕僚長に次いで、日米の統合司令官を新設する内容が盛り込まれ、自衛隊法第3条の改正が不可欠となっています。

 10日の国会閉会からわずかなきのう令和4年2022年12月16日(金)の閣議での国家防衛戦略・防衛力整備計画など安保3文書と防衛増税の与党税制改正大綱は、事前の審議がなかったことから批判が続出しています。

 沖縄県では、ことし、インターネットの匿名記事板「2ちゃんねる」の創始者のひとりで実業家の「ひろゆき」(西村博之)さんが、Twitterで辺野古新基地反対の座り込み運動が無人だったと指摘する写真を掲載。揶揄したと受け止める向きと運動の方法論を問題視しただけだとする向きでSNS世論が二分。

 今回は米軍ではなく陸自の格上げとなりますが、那覇第15旅団は、太平洋戦争の地上戦でも最大の激戦地を微妙に避けた位置にあり、沖縄本島だけでなく南西諸島防衛の必要性が高まるなか、県内外の基地世論がさらに混迷する懸念もでてきそうです。

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「給特法廃止法案」を初めて検討へ、2023年秋以降法案提出も、公立学校「質の高い教師確保の有識者会議」来週立ち上げ、部活動など残業手当全額払いも視野に

2022年12月15日 21時34分53秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]文部科学省、4年前の2018年、宮崎信行撮影。

 昭和46年の「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」いわゆる「給特法」の廃止法案につながる議論が来週始まります。

 仮に「給特法の廃止法案」が提出されるとしたら、来年2023年秋から2024年度予算審議にかけてとなりそうです。

 文部科学省はきょう、来週令和4年2022年12月20日に「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会
」の第1回会合を開くと発表しました。

 給特法はその第3条の第1項と第2項に次のように定めています。

 第三条 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。

2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。

 このように、部活動顧問や採点などで残業しても、本則給与の4%しかもらえないことになっています。公立教師の残業への歯止めの無さや、新規採用の人材難につながっているとの指摘があります。

 ベビーブーマーの小学校入学時の大量採用された新卒教師(ベビーブーマー世代の年齢に16歳上乗せして計算可能)が大量に定年退職を迎えており、県教委の給与・退職手当負担はピークを越えました。民間人部活指導員への自治体歳出への国の補助金も拡大。政府全体として歳出拡大機運が高まっていることから、長年の課題は公立学校現役教師の待遇改善に有利な方向性で進むとみられます。

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外国人技能実習生制度抜本的かつ網羅的見直しの入管難民法など改正案は早くても来年秋以降、「技能実習制度の在り方に関する有識者会議」きのう設置

2022年12月15日 21時18分18秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]法務省前の、曲がった白線、おととし2020年8月6日、宮崎信行撮影。

 日本人の陰湿さをアジア各国に発信することで「尊敬大国・日本」の地位を揺るがし、労働者1人当たりの賃上げを下押しした「技能実習生」について、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」がきのう令和4年2022年12月14日に設置し、見直しを加速しました。

 来年秋に閣僚会議に対する答申のスケジュール感となっていますが、喫緊の政策課題とされていますので、最短で令和5年2023年の秋の臨時国会に法改正案が提出されることもありそうです。

 示された課題は、制度目的、実習生のキャリアパス・転籍、受け入れ数、送り出し・受け入れ監理団体・登録支援機関のあり方。

 つまり制度の根幹的かつ網羅的な問題を議論するわけで、制度そのものの存否にもつながりかねない現状と言えそうです。

 とはいえ、有識者会議よりも、自民党政権・経団連の理念そのものが問われています。

 事務局が作成したペーパーには「引き続き様々な御意見を伺いつつ議論を深め、長年の課題を歴史的決着に導きたい」と苦悩をにじませつつ強い意思を感じさせる文言も盛り込まれました。



[写真]法務省前の、曲がった白線、おととし2020年8月6日、宮崎信行撮影。


[写真]入管難民法改正・出入国在留管理庁設置法の強行採決に抵抗した藤野保史前衆議院議員、3年前の2019年2月の長野県内の予算委公聴会で、宮崎信行撮影。

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【農地法抜本改正案まで広がるか】農水省「農地法制の在り方に関する研究会」を設置、「ゾーニング」「宅地転用規制」「営農型太陽光発電」など腰を落ち着けた議論へ

2022年12月15日 20時45分54秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]特定生産緑地に立つ「生産緑地」の看板、都内で、2022年4月16日、宮崎信行撮影。

 自民党は「食料・農業・農村基本法」「食料安全保障」にボルテージをあげるなか、農林水産省内は落ち着いて議論ができそうです。

 農水省は、今週令和4年2022年12月12日に「農地法制の在り方に関する研究会」をつくりました。

 農地法制に関しては東京23区などの生産緑地のサンセット(期限)規定で「2022年問題」がありましたが、法改正と区役所の「特定生産緑地」でほぼ延長。内閣府で養父市の企業農地取得特区が最後の案件となっていますが、紛糾は下火になりました。

 「在り方研究会」は、フランスなどで発展している栽培種目ごとの田畑を集約した「都市計画」である「ゾーニング」の有識者も参加。太陽光発電と農地の問題などの課題も盛り込みつつ、農地の宅地転用規制なども話し合われる見通し。農地法・農振法・経営基盤強化法などの見直し・法改正にも踏み込むでしょう。一方、農業委員会法や国家戦略特区法などへの言及は少なくなりそうな気配です。自民党岸田政権が決定する「経済安全保障・食料安全保障」や与党・省内・野党が審議する「基本法」の議論を横目に見つつも、収益性・担い手不足解消に一定の成果を見ている農政にとって、久しぶりに腰を落ち着けて農地法制を議論する機会になるように思われます。

 スケジュール感は示されていません。

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【最高裁判決】15年前からの新業態「家賃保証会社」の追い出し契約は消費者契約法・民法1条2項「信義則」に違反する

2022年12月13日 17時24分32秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]朝焼けのなか、最高裁判所事務総局に出勤する職員、きょねん2021年、宮崎信行撮影。

 15年ほど前から浸透した新業種「家賃保証会社」が、賃借人と結んだ契約の「追い出し条項」について、最高裁判所が民法第1条「信義則」をうけた消費者契約法第10条に違反するので「ひな形を破棄せよ」とした判決を出しました。家賃保証会社は十数年前から一気にシェアを広げた新業態で、規制する法律がほぼないので、今後、立法事実があるとする動きが浮上するかもしれません。

 最高裁判所第1小法廷の山口厚さんら5人の裁判官は「原判決主文第1項を棄却する」などとした「令和4年12月12日 消費者契約法第12条に基づく差止等請求事件の判決」を出しました。

 原告は、集団訴訟ではなくて、衆参ねじれ下で野党・民主党が主導した「平成25年新法」による「適格消費者団体」1法人。家賃保証会社が賃借人とかわした契約が「未払いが賃料3か月なら無催告で原判決を解除でき、2か月で電気・ガス・水道・郵便物の状況から建物を相当期間利用しておらず再び占有しようと看取できる事情があるときは、明け渡しがあったものとみなす」との契約。いわば2か月賃料未払いでの夜逃げ追い出し条項の是非を問われたものです。

(今回原告となった「適格消費者団体」を新設した平成25年新法の立法プロセスの当ニュースサイト内記事の紹介→民主党・公明党・自民党の3党修正で法案が可決 郡和子さん提出 集団的消費者被害回復法案 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。

 第一小法廷は、この契約では過去の判例「昭和43年11月21日判例」の法理が適用されるけれども、2か月追い出し条項については、民法第1条第2項に基づいた消費者契約法第10条に違反したと断定。家賃保証会社に対して「契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄せよ」と命令しました。

 家賃保証会社と県信用保証協会や保証会社は全く別。

 賃貸住宅を借りる際は、賃料に限定した連帯保証人が必要だとされましたが、リーマンショック前後から「家賃保証会社」が一気にビジネスを広げたことから、東京23区など全国の8割程度で不要となりました。家賃保証会社が十数年で一気に拡大したことから、賃貸管理会社が賃貸人に対して「保証会社を使う前提でないと新しい管理を引き受けない」と働きかけることが多く、賃貸人のほとんども強い意思はなく保証会社を立てる契約に移行しました。一方、保証会社は保証料全額を賃借人と契約する格好になったことから、東京23区では「2年に1回の更新料家賃1か月分を今後はゼロとする契約」が広がりつつあります。

 賃貸保証会社は建設・金融関係から移行してきた小規模スタートアップが多く、東京・大阪で慣行が違うとの指摘もあります。またごく一部で倒産した事業者もあり、財務体質の透明化や慣行の統一を求める意見が、管理会社・賃貸人もあることから、信義則や消費者契約法だけでなく、法令による定義・規制を求める機運も今後出てくるかもしれません。

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【法案】「食料・農業・農村基本法」改正案を再来年2024年通常国会に提出へ内部作業開始「農政の憲法」1999年制定

2022年09月12日 09時38分00秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]農林水産省、宮崎信行撮影。

 いわゆる「農政インナー」である野村哲郎農相ら自民党は、「農政の憲法」とされる「食料・農業・農村基本法」の改正法案を作成する考えを決めました。1999年の制定から四半世紀となる、再来年2024年令和6年の通常国会に提出される見通し。

 営農者の現金収入増加の実績、「農政のコメ離れ」、昨年来のウクライナ危機による小麦や農業資材の高騰なども自民党内で論点となりそうです。

 2012年の政権再交代後、玉木雄一郎さんら旧民主党の対案「農業者個別所得保障法案」を本会議で審議したり、首相官邸の「本部」の農林官僚が出席する機会が増えるなど、農政は大きく変わりました。飼料用米への転作で主食用米を高価に維持したり、農地バンクで若い担い手を増やすなどの成果を上げた自民党農政ですが、農政インナーには、九州の畜産族が多くなっており、コメが分かる政治家が少なくなって小麦など穀物の危機を迎えた昨今。


[写真]コメの値段、ゆうべ、筆者撮影。

 ご覧のようにこちら首都圏の早場米「令和4年千葉県産米」は、税込みで10キロ3002円と高くなっています。60キロあたりおおむね500円から1500円ほど概算金の相場は高く、今後、新潟・南魚沼産コシヒカリも高くなりそう。営農者が資材の高騰による儲けの減少分を取り戻す額になるかは微妙でしょうが、古米のだぶつきは引き締まるでしょう。

 コロナ禍で、官邸・厚労省では「人生百年時代はあきらめろ」という過激な有識者も出てきましたが、経済学者は「ウクライナ小麦危機の安全保障はコメを食べること」と正論を声高に主張しており、持続可能な農政に向けた歴史的な議論となりそうです。

 森山裕・森山派会長にとって政治家としてのレガシーにしたい思惑も透けて見えます。


[写真]農林水産省、宮崎信行撮影。

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【法案】「最高裁判所裁判官国民審査法」に在外投票の規定を設けるなどの改正法案の立法が不可欠に、最高裁が立法不作為は違憲判決、首相解散権を縛るとの憶測も

2022年05月25日 19時08分11秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]外務省と、そこから少し見える総務省、おととし、宮崎信行撮影。

 最高裁判所は、在外投票の規定がない「最高裁判所裁判官国民審査法」(昭和22年法律136号)を憲法違反だとしました。違憲判決は史上11例目。立法不作為は、さらにまれとなります。

 きょう令和4年2022年5月25日(水)午後3時から、最高裁判所大法廷で申し渡され、原告団の一人の想田和弘・映画監督らに対する国家賠償も認められました。

 原告団以外にも、現時点で在外投票ができない人は100万人規模といつのされます。

 地裁・高裁・最高裁とも同じ判断で、国の完全敗訴となりました。近く確定。

 このため、衆議院、参議院は、最高裁判所裁判官国民審査法や、あるいは公職選挙法などを改正する法律を必ず策定しなければならなくなりました。

 立法作業に当たっては、衆議院、参議院、総務省、外務省、最高裁判所事務総局の各省庁の検討がされると思います。また、判決とは別に、国民審査の期日前投票が1週間前からで、衆議院の期日前投票とずれている国内での世論の不満を解消する法律改正作業も含まれることもありそうです。

 首相の解散権を縛るのではないかとの観測も浮上しました。

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