【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

谷垣禎一影の首相 「主権者たる国民」自民党総裁として初めて?使う 衆本で代表質問

2011年10月31日 17時47分18秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]谷垣禎一影の首相、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【2011年10月31日(月) 野田首相の所信表明と安住財務大臣の3次補正提出にあたっての財政演説に対する代表質問】

 自民党総裁の谷垣禎一影の首相が代表質問の中で「主権者たる国民」という言葉を使いました。

 日本国憲法前文の最初の文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(略)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とあります。天皇陛下は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、主権者は総理でも、その他三権の長や「先生」ではなく、私たち日本国民ということになります。この「国民」が全体で一つなのか、一人一人なのかは意見が分かれるところでしょう。

 私がこのブログを始めた2007年夏以降、政権交代をめざし、「主権者は国民だ」と主張し、50年を越えた自民党政権から、民主党政権へと政権交代させるべきだとしました。安倍晋三首相の時代です。なお、様々な政治ブログがあり、政権交代を訴えていましたが、政権交代による二大政党制のスタート、すなわち民主党が勝って、そのうち負けて自民党政権に帰るべきだと主張していたのは当ブログだけです。

 ただ、当ブログでは「主権者」という表現をあるときからやめました。それは小沢一郎(氏)が積極的に使い、”小沢信者”とも揶揄される人々が使い始めたことから、一定の距離を置くべきだと考えたからです。

 で、この「主権者」という言葉や、「主権者たる国民」という言葉。

 実際、前の国会で、参院本会議で木曜会(参院小沢グループ)の谷岡郁子さんが使っていました。

 ただ、もっと遡って、衆院本会議を中心に検索したところ、どうやら自民党総裁(影の首相・首相とも)が使ったのは初めてのようです。

 まず昭和から平成にかけては、やはり日本共産党や日本社会党など「権利を主張する政党」が使っており、共産党党首だった不破哲三さんのほか、後に首相となった社会党の村山富市さん、同じく首相となった社民連の菅直人さんのほか、公明党の浅井美幸(あさいよしゆき)さん、野党時代の新自由クラブの山口敏夫さんらが使っています。そして、自民党の与党時代では、衆院本会議では玉澤徳一郎さんが使っていますが、これは議員としての発言で、閣僚時代ではありません。そして、このブログがスタートする直前の第166通常国会で、日本国憲法改正の手続き法である国民投票法の「野党対案」を審議した平成19年4月13日の本会議で、枝野幸男さん、古川元久さんが連続して使っています。そして、自民党の浜田靖一さんなども委員会で使っており、日本国教育基本法案の審議では自民党議員もドンドン「主権者」という言葉を使い出し、伊吹文明さんも幹事長時代に福田康夫総理への質問のシメに使っています。そして、政権交代後の自民党では、最初の代表質問で政権交代ある二大政党政治の到来のファンファーレを高らかに鳴らした西村康稔さん(にしむら・やすとし、兵庫8区、現影の財務相)の「あの夏の悔しさをバネに」の質問演説の中で使ったのが、自民党としては本格的な使い方です。その後、長島忠美さん、額賀福志郎さんが使って、第177通常国会では8月11日の「平成23年度の特例公債法案への賛成討論」で石破茂政調会長が使いました。そして、きょうの谷垣影の首相となりました。やはり谷垣さんは自民党の底力を集約する能力のある総裁だということでしょう。

 「主権者」という言葉を自由主義政党の議員が使うようになったきっかけは、安倍晋三首相が「戦後レジームからの脱却」と名付けた教育基本法、国民投票法などの審議ということになります。これについては、安倍さんは太平洋戦争開戦時の商工大臣で戦時経済体制をつくった岸信介の孫であり、安倍さんが総理大臣になること自体が戦後レジームです。安倍さんがそれから脱却するというのは自己矛盾した話で、安倍政権は参院選で惨敗し短命に終わりました。しかし、安倍首相は答弁の中で、「エヌシー(NC、民主党のネクスト・キャビネット)」という言葉を最初に使ってくれた総理・自民党総裁であり、4年経って、たしかに戦後レジームからの脱却を果たしたことになります。今国会から、憲法審査会が衆院にも、参院にもようやく設置され、社民党も召集日には委員名簿を提出しませんでしたが、数日で提出しました。何とも政治は奥深いものです。

 谷垣さんは代表質問の冒頭で、「民主党になって3代目の首相だ。とはいえ、自民党も小泉総裁で解散してから、3人首相が代わったことも公平に言っておかねばなりません」と述べました。また本予算(案)を3回組んだ財務大臣だった谷垣さん。その当時、野党・民主党議員の衆・予算委での質疑で谷垣財務相は「えー、ご存じの通り、財投債は財投機関債に現在は変わりましたが~~」と答弁していて、おそらく質問者の民主党議員は分かっていないだろうなと思いながら傍聴していました。その谷垣さんがきょうは、第3次補正予算(案)の中の東日本大震災復旧・復興事業費について、例えば(新設された復興債がない)通常なら赤字公債と建設公債がどのくらいか?」と質問しました。このような質問が本会議場でなされたのは私の記憶にはありません。

 また、TPPに参加する場合は、農業自給率の確保のためにも必要な農業者戸別所得補償の拡大について、「価格補償である程度、TPP参加による農業者へのデメリットは補える」との見解を示しました。私は少しホッとしました。

 ことしは震災の影響による調査遅れでずれ込んだ人事院勧告。それと通常国会では審議がまったくされないまま継続審査にはっている「公務員給与改革関連4法案」。先日、連合会長と総理は人勧(引き上げ)の不実施と給与関連法案(引き下げ)の早期成立を約束しました。私はこれはどういうことかまったく分かりませんでした。谷垣影の首相は演説で「人勧不実施の実績をつくることで、よもや人勧(制度)を廃止して、労働協約締結権の確立に向けて動いているのではないか」と指摘しました。私は「へー」と思いました。仮にそれなら、それでもいいような気もしますが、谷垣さんの示唆はありがたい思い。この辺に政権交代ある政治のメリットを見た思いがしました。

 で、上の方にも書いたとおり、やはり谷垣さんというのは、個人商店である自民党議員の、商店街の理事長ということで、力を引き出すことが上手い人で、ベテラン・中堅・若手・支部長の声をうまくすくい取っているんだなと感じます。自民党は確実に変わっています。また、原子力災害などで、自民党政権が長年隠蔽していた驚くべき事実に触れ、情報が表に出てくる政権交代ある政治の重要さを今さらながら知った国民が反省も込めながら、全否定に走らずに、民主党政権を見守り、自民党のこともけっこう見ている。衆参ねじれはなかなか理解できないようですが、参議院という存在への問題意識も芽生え始めている。

 そういう意味では、自民党の情報をしっかりと報道せず、いまだに与党・民主党の幹部や閣僚に番記者を置いている新聞、テレビの政治部がイチバン変わっていないということでしょう。


公明党幹事長代理の富田茂之さんが一躍“時の人”に 第46回衆院選は単独マニフェスト確実

2011年10月31日 07時57分34秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

 [写真]公明党幹事長代理の富田茂之さん

 ギアチェンジしたからか、季節の変わり目だからか。なんでこんなことに気付かなかったのかということに気付きました。

 菅直人さんって、「平成23年度の特例公債法」成立と引き換えに内閣総辞職したんですよね。昨年7月以降の衆参ねじれとなって迎えた最初の通常国会が第177回国会でした。

 ということは、次の第180通常国会でも、総理は内閣総辞職か、衆議院解散かの二者択一を迫られるということになります。

 なぜこのことに気付かなかったのか、自分で分析してみました。

 ①通常国会冒頭から、民主党幹事長の岡田克也さんは、社民党幹事長の重野安正・衆院議員ら(7議員)と特例公債法案の衆院での3分の2(日本国憲法59条)による再議決をめざしていました。ところが、2月17日に、渡辺浩一郎(氏)や笠原多見子(氏)ら16議員が「自称・新会派」を結成。これにより社民党との協議が吹っ飛んだことの衝撃による空白感がありました。

 ②6月1日に提出された菅内閣不信任案が否決されたことで、菅政権が野党に勝ったという錯覚。これは内閣不信任案は衆院だけのものであり、参院では採決すらされていないので、参院で与党の議席が109議席と過半数に12議席も足りないことを忘れてしまって起きた錯覚です。

 ③8月9日の3党合意による「辞任3条件」で2次補正予算と再生可能エネルギー特別措置法の「2つのおまけ」付きになったことによる錯覚。これは菅さんの精神力の強さによる3ヶ月の粘りと岡田克也幹事長の政局センスと友情(同期当選、元同じ党を大事にし、かつ各党の長老が助けてくれる)により実現したもの。しかし、やはり竹下内閣での消費税法と予算成立と引き換えに総辞職したときと同様に、昨年7月に衆参ねじれになって最初の特例公債法案(平成23年度の特例公債法案)は予想通り、内閣総辞職と引き換えに成立したことに変わりはありません。

 秋ということで、雑事を忘れたら、枝葉がとれてようやく気付きました。

 再来年は衆院任期が8月に迫っているので、野党が特例公債法案を“人質”にとっても、衆院選で勝った側はその勢いでそのまま特例公債法を成立させられるでしょう。

 ということは、次の国会(第180通常国会)で「平成24年度の特例公債法(案)」の成立と引き換えに、内閣は総辞職するか、あるいは衆院解散に応じるでしょう。ここはもう衆院解散した方が民主党は第46回衆院選の地滑り的惨敗からは逃れられる可能性が高まる。民主党と国民新党が衆院過半数を維持できれば、野田内閣は続投できます。もちろん、総選挙で勝てば、野田内閣は続投だし、代表選は無投票再選でしょう。ダメでも、教科書には載るし、再登板の可能性はゼロではありません。野田さんが総理を引き受けたことに男気を覚え、国民として感謝の念を持ちます。あるいは、民主党実力者がそういうサジェスチョンを周囲にしているのかもしれません。

 だから、岡田さんは「政治的資源を使い果たした」「党内に敵をつくりすぎた。私は身の程をわきまえています」「少し休みたいというのが本音です」と言って、代表選に出ず、かつ国会対策にあたる内閣官房長官、特例公債法案の答弁に当たる財務大臣を断ったんでしょう。財務大臣については「断った」のではなく「総理から打診がなかった」として岡田さんは「報道が違う」としていますが、私はそれはあまり大きな問題ではないと考えます。ところで、昨日も日曜日だったので、岡田さん関連のエントリーが平日と違ってグンと伸びました。かなり驚くほどです。おそらく、青年中年サラリーマンの方がアクセスしてくださっているのでしょう。で、岡田さんの小ネタはまた書いてあるのですが、とりあえずきょうは違うエントリーです。 

 自分でブログに書いているにもかかわらずビックリしたというのも何ですが、ことしは公明党の富田茂之さんのことを書くケースが多くて自分でもビックリします。富田さんは先週から、公明党幹事長代理になりました。昨日30日(日)付の朝日新聞4面の「政治考」というコラムでも、編集委員の星浩さんが触れていて、一躍時の人となっています。


[画像]2011年10月30日付朝日新聞4面。

 [星さんのコラムから引用はじめ]

 公明党の富田茂之衆院議員にはこんな「野田佳彦体験」がある。15年ほど前、2人は新進党の千葉県連に所属していた。1996年の総選挙で野田氏は落選、富田氏は当選。千葉市内で毎月開かれる県連の会合で顔を合わせた。
 富田氏が事務局に「落選の身なのだから車代くらい出したら」と頼んだが、資金不足で無理だという。それなら、すしでもごちそうするかと思って、野田氏を誘った。野田氏はしこたまのみ、食べた。「車代の方が安かったかな」と富田氏は苦笑いする。
 2000年の総選挙では富田氏が落選、野田氏は当選。選挙直後、野田氏は国会近くの中華料理店で富田氏を励ました。野田氏は「浪人中に受けた激励は、決して忘れません」と頭を下げた。富田氏は03年の総選挙で復帰。2人の友情は続いている。
 公明党と、その支持母体の創価学会の人たちは、こういう「人情」に弱い。同じ民主党の首相でも、公明党と距離のあった鳩山由紀夫、菅直人両氏とは少し違う。そんな空気が公明党内に漂う。(後略)

[引用終わり]

 現在、野田首相に限らず、地方自治体・地方議会との窓口になる藤村修・官房副長官、川端達夫・総務大臣らはみんな元新進党員です。公明党の声が国政に伝わりやすい態勢になっています。とくに川端さんは新進党を離党し、復党した珍しいパターンです。おそらく川端さんだけではないでしょうか。「悩みながらも新進党(小沢一郎党首)に残った」ということで、それは、創価学会のみなさんと、心情が近いでしょう。

 さて、来年の6月ごろに総選挙があるとすると、自民党と公明党が連立を前提にして衆院選を闘うことは不可能です。なぜなら、参議院は自民党が83議席、公明党が19議席なので、あわせても、102議席しかなく、民主党の106議席に及ばず、政権交代しても、参院第1会派が民主党・新緑風会であることは動きません。第46回衆院選後に他党に連立参加を呼びかけても、みんなの党(11)、たちあがれ日本(3)、新党改革(2)、自民党系無所属(2)を入れても過半数に2議席足りません。あるいは社民党(4)や国民新党(3)を入れても、みんなの党(11)が離脱したとたんに衆参ねじれとなり、みんなの党がキャスティングボートをにぎる政権になります。参院では日本共産党の6議席がポイントになりますが、公明党とは長年の歴史的経緯から、地方組織や支持者の確執は今も根深く、連立や閣外協力は国会議員が決めても、地方議員・支持者が許さないということになるでしょう。また、第23回参院選で、自民党と公明党の2党で過半数を得るには、今の定数では両党で63議席が必要で、第22回参院選よりもさらに4議席の上乗せとなります。これは現行選挙制度では無理でしょう。

 ということは、やはり第46回衆院選では、公明党は自民党と民主党のいずれが衆院過半数や、あるいは比較第1党になってもいいという両にらみが必要となります。仮に今の定数で、民主党が220議席ぐらいをとって比較第1党なら、公明党と組めば、衆院過半数、参院でも過半数(125議席)となり、イチバン政治が安定します。そのうえで、選挙制度改革、国会法改正、さらには、自民党も含めて、憲法改正案を発議(総議員の3分2以上)して参議院のあり方を見直すことも視野に入ってきます。

 一つ言えることは、第46回衆院選で、公明党が単独マニフェストで望むのは確実ということでしょう。また、日本のいしずえとして、細川・羽田内閣を支えた8党派の若手議員の議員連盟である「いしずえ会」(岡田克也事務局長)の会員だった佐藤茂樹さんも、大阪第3区から出馬する予定となっています。この選挙区の国民新党現職は、6月2日の衆院本会議で、内閣不信任案に賛成しています。とはいえ、民主党が候補者を立てても、なかなか厳しいでしょう。民主党は不戦敗という選択肢もあります。ぜひ、富田さんも佐藤さんも党だけではなく、日本のいしずえになってほしいです。


野田首相、「地方一括交付金」と「出先機関改革」を明言 所信表明

2011年10月30日 08時32分34秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

【衆参本会議 2011年10月28日(金)】

 ことし2度目の秋の臨時国会の第2週は、不毛な店開き(委員会での政務三役の所信とそれに対する一般質疑)が行われ、これで、6月1日から5ヶ月続いた不信任政局は終止符を打ちました。とくに菅直人の3ヶ月にのぼる粘りは、私が昨年6月、9月、菅総理こそ今の時代にふさわしいと強調したとおりでした。

 野田佳彦首相が第179臨時国会にあたっての所信表明演説と、安住淳・財務大臣が平成23年度(2011年度)第3次補正予算案提出にあたっての財政演説を衆参本会議でしました。

 このなかで野田首相は「補助金等の一括交付金化や出先機関の原則廃止に向けた改革」をすると明言しました。補助金の一括交付金化については、内閣府が「沖縄振興一括交付金」の新設を来年度予算の概算要求(見積書の提出)に入れています。これは事項要求(金額欄は空白)となっていますが、3000億円を要望しており、引っこ抜くひも付き補助金が2300億円程度ですので、2300億~3000億円をめぐる攻防となりそうです。沖縄県庁から県内市町村への交付システムの構築が、知事や県議会に求められます。これは、民主党の岡田克也・最高顧問が「マニフェスト実現」のために力を入れており、野田内閣で、川端達夫さんが総務大臣(兼)沖縄担当大臣になったのは、これがねらいだと考えられます。マニフェストでは所管官庁が総務省になるとは書いておらず、このため内閣府に持っていくことで、官僚がマニフェストを骨抜きにしたと予測されます。マニフェストに書いていなかったのは、マニフェストを守った、守らなかったではなく、マニフェストに欠陥があったと言わざるを得ないのですが、旧沖縄開発庁が内閣府沖縄振興事務局に衣替えしている「桶狭間」を岡田さんが突いた格好です。

 
[写真]川端総務大臣(兼)沖縄担当大臣

 また、マニフェストでは「原則廃止」というかわいらしい表現になっている国の出先機関(地方支分局)。もちろん管区国税局を廃止するなどということは絶対ありえません。が、例えば、法務局は自治体、国土交通省近畿地方整備局は関西広域連合などの地方公共団体(自治体だけでなく、広域連合と一部事務組合も地方公共団体になります)に移管するという手も、野田首相には考えて欲しい。総務省の管区行政評価局は総務省自体が概算要求で今年度の「173億円」から来年度は「150億円」へ減額を要求しています。これは職員の雇用、行政相談員(報酬年3億円)の待遇さえ保障すれば、組織自体は「きょうなくなってもだれも困らない」組織です。自民党の菅義偉総務相時代にできた年金第三者委員会も厚労省に移ります。本省を含めて廃止という方向性でしょう。ただ、すべての出先機関を廃止するのではなく、新しく会計検査院の出先機関を設置すべきです。管区行政評価局の職員を転籍させるのも手です。

 ただ、こういった所信表明で一行だけというのは、あまり実現しない例が多いのは事実。昨年秋の臨時国会で菅首相は「幼保一体化法案の通常国会への提出」を検討すると演説しましたが、実現しませんでした。

 ところで、総理は顔に艶がないですね。今月から総理公邸に住んでいますが、お化けでもでるんでしょうか。

 ◇
 安住淳・財務大臣は、平成23年度第3次補正予算(案)について、一般会計は2次補正から11兆6832億円追加して、平成23年度予算は106兆3987億円になると説明しました。なお、このブログ内で、「2・5兆円の基礎年金財源(国庫負担分)の穴埋めは一般会計総額の増額補正に関係ない」という趣旨の記述をしましたが、これは勘違いで失礼しました。11・6兆円のなかには、2・5兆円の年金財源も含まれます。


[画像]財政演説する安住淳・財務大臣、2011年10月28日、参議院本会議、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 事業は、東日本大震災の復旧・復興への交付金、補助金、国直轄事業、台風12号(和歌山・奈良など広範囲)、円高による国内産業の景気対策、菅直人前首相の英断に伴う薬害B型肝炎被害者への基金の新設など。一般会計防衛省主管予算では、施設整備費に423億円、武器・車両整備費に262億円が盛られたのは当然でしょう。しかし、「航空機整備費」の872億円は補正としては大きすぎる額です。これは、空自松島基地の装備の復旧ということはないようです。これが妥当かどうか。自衛隊は東日本大震災で北澤俊美防衛大臣の指揮の下、震災復旧で頑張りました。とくに陸海空統合運用がされましたが、だからといって、補正予算で何でも認めていいかと言うと、それとこれはまったく別の話です。

 2次補正で認められた8000億円の東日本大震災復旧・復興予備費ですが、3次補正では2300億円減額補正されました。予備費は閣議決定と、国会への使用調書の提出が必要ですが、これを減額して他に回して、府省の権限で執行(箇所付け)ができることが妥当かどうか。非常時ゆえにしかたない面もありますが、答弁をしっかりしないと2次補正に賛成した野党(自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、新党改革)の反発を招くかも知れません。

 特別会計では、予算総則第8条に「平成23 年度特別会計補正予算(特第2 号)の予算総則第6 条に定める「原子力損害賠償支援機構法」第48 条第2 項の規定により原子力損害賠償支援機構
が特別資金援助に係る資金交付を行うために必要となる資金の確保に用いるために発行することができる国債の金額の限度「2,000,000,000 千円」を
「5,000,000,000 千円」に改める。」と書いており、全額を現金化するつもりはないでしょうが、2次補正で2兆円だった交付国債の枠が、3次補正で5兆円に引きあげられることが妥当かどうか、妥当なら十分な国民への説明が必要となるでしょう。

 日本国憲法第83条の財政民主主義が試されています。元代表・小沢一郎氏は勤続40年間に予算書をほとんど読んだことがないとの発言を民主党幹事長時代の記者会見でしています。一方、国会審議では、小泉チルドレン総計84議員の中で、10人だけ生き残った影の総理補佐官、赤澤亮正(あかざわ・りょうせい)さんの質疑などはていねいに予算書を読み込んでいることがうかがえ、仮に定数是正で鳥取全県区になっても、小選挙区で勝ち上がってくるだろう人材だと考えます。

 鈴木宗男さんは批判を浴びそうな事業を補正予算にうまく潜り込ませるプロでした。それは否定されるべきことではないでしょう。なぜなら、そこまで予算を理解している議員は少ないからです。幸か不幸か、今回の補正の採決は、衆議院では最短で11月8日、参議院では11月10日と遅くなりそうですから、しっかりと読み込んで欲しいと願います。

 ◇

野田佳彦首相の第179臨時国会にあたる所信表明演説(2011年10月28日)

 

第百七十九回国会に当たり、私の所信を申し上げます。

 東日本大震災からの復興に歩み始めた被災地で、改革に情熱を傾ける全国各地の農村や漁村で、歴史的な円高に立ち向かう中小企業の街で、そして、欧州に発した嵐が吹き荒れる国際金融市場で、今、私たち政治家の覚悟と器量が問われています。

 この国会が成し遂げなければならないことは明確です。被災地の復興、原発事故の収束、そして日本経済の建て直しを大きく加速するために、一日も早く第三次補正予算とその関連法の成案を得て、実行に移すことです。(略)

 苦しむ人々の力になりたいという願いは、日本中にあふれています。何よりも、被災者の方々自らが救援物資を分け合い、避難所で支え合いました。そして、これまでに延べ約八十万人の方々が被災地での支援活動にボランティアとして参加していただき、集まった義援金は三千億円以上に上っています。(略)しかし、それだけでは、未曽有の大震災から被災地が立ち直り、日本経済を建て直していくことはできません。被災地の街や暮らしを元どおりにし、復興に向けて歩む道を確かなものとしていくためには、少なくとも五年間で二十兆円近くが必要になると試算されています。これだけ巨額の資金は、国会が決断しなければ手当てすることはできません。

 「国会の決断」を担うのは、国民を代表する国会議員の皆様であり、ほかの誰でもありません。これまで積み重ねてきた議論を成案として仕上げ、今の私たちにしかできない、国家国民のための大仕事を共に成し遂げようではありませんか。

 

(被災地の復興を大きく加速するために)
 歴史に輝く世界遺産、平泉は、平安末期に、争乱で荒れ果てた東北の地を復興する営みの中で生まれました。明治期の大火災で町を焼かれた川越や高岡の人々は、耐火建築として「蔵造り」を広め、風情ある町並みを後世に残しました。関東大震災のがれきは海に埋め立てられ、横浜の名所としてにぎわう山下公園に姿を変えています。繰り返す戦禍や災害に打ちのめされながらも、先人たちは、明日に向かって「希望の種」をまき、大きく育ててきたのです。今般の東日本大震災も、その例に漏れません。

 住民との膝詰めの話合いを繰り返し、独自の復興プランを必死に作り上げようとしている被災自治体に対して、まずは財源面での確かな裏付けを行います。(略)また、津波を浴びた農地から塩分を洗い流し、漁船や養殖場を取り戻すことにより、土を愛し、豊饒(じょう)な海と共に生きてきた被災地の農林漁業を力強くよみがえらせます。

 杓(しゃく)子定規な国の決まりごとが復興プランを邪魔してはなりません。大胆な規制緩和や税制の特例を認める復興特区制度を創設し、復興を加速するとともに、被災地の強みをいかした最先端のモデル地域づくりを制度面で応援します。また、「復興特区」において法人税を五年間無税にするといった前例のない措置によって、新たな企業の投資を内外から呼び込みます。

 新設する復興庁には、霞が関の縦割りを排する強い調整・実施権限を持たせ、各被災地に支部を置き、ワンストップで要望に対応します。(略)また、今般の大震災で得た教訓をいかし、自然災害に強い地域づくりを被災地のみならず全国に広めていくため、まずは、津波防災地域づくり法案の成立を図ります。

 

(原発事故の一日も早い収束のために)
 福島の再生なくして、日本の再生なし。この切なる願いと断固たる決意を、私は何度でも繰り返します。一日も早く原発事故を収束させるため、原子炉の年内の冷温停止状態の達成を始め、工程表の着実な実現に全力を尽くす国家の意思は、揺るぎありません。

 これまでに、放出される放射線量は事故当初より大きく減少し、緊急時避難準備区域も解除に至っておりますが、周辺住民の方々が安心して故郷に帰り、日常の暮らしを取り戻す日まで、事故との戦いは決して終わりません。

「早くお外で鬼ごっこやリレーをしたい」
「お友だちとドングリ拾いやきれいな葉っぱ集めをして遊びたい」

前歯が抜けたままの顔で屈託なく笑う福島の幼稚園児たちの言葉が、私の脳裏から離れません。

(略) 政府は、放射性物質の飛散状況や健康に関する情報など、持てる情報を徹底的に開示します。根拠ない風評が被災地の復興を阻むことのないよう、私たち政治家が率先して国民の皆様の心ある対応を促していこうではありませんか。

 

(日本経済を建て直すために)
 歴史的な円高に伴い、産業空洞化の危機が続いています。大企業が海外に拠点を移せば、その取引先である中小企業も後を追い、本来この国に残すべき貴重な雇用の場が失われかねません。そうした事態を防ぐため、先般の「円高への総合的対応策」に基づき、日本銀行とも連携して、円高自体への対応を含め、あらゆる政策手段を講じます。

 産業空洞化を阻止する国の決意を行動で示すべく、これまで措置した累計額の約三倍となる五千億円の立地補助金を用意します。また、二千億円規模の節電エコ補助金によって最先端技術の先行需要を生み出し、日本の優れた環境エネルギー技術力を更に高めます。円高で苦しみながらも、それを乗り越えようとする企業には、雇用調整助成金の要件を緩和するとともに、金融支援の拡充を中心とした総額約七千億円に上る中小企業対策を実行します。

 この三次補正を実行し、産業空洞化の圧力に抗して、歯を食いしばって日本での操業にこだわり続ける経営者と、現場を支える労働者の方々に、確かな希望を感じてもらおうではありませんか。

 

(責任ある復興を実現するために)
 これまで申し上げた支援措置や、先に和解が成立したB型肝炎問題への対応など、三次補正の歳出は総額十二兆円を超える規模に及びます。その実行のためには、裏付けとなる財源を確保しなければなりません。

 まず何よりも、政府全体の歳出削減と税外収入の確保に断固たる決意で臨みます。

 国家公務員の人件費削減を進めるため、公務員給与の約八パーセントを引き下げる法案を既に国会に提出しており、その早期成立が欠かせません。朝霞住宅の取扱いを含めた公務員宿舎の抜本見直しにも着手しました。行政刷新会議においては、行政の無駄や非効率の根絶に粘り強く取り組むだけでなく、政策や制度に踏み込んだ国民目線での「提言型政策仕分け」を行います。

 郵政改革関連法案の成立を期した上で、日本郵政やJTの株式など、売却できる政府資産は売却し、あらん限りの税外収入をかき集めます。

 地域主権改革は、地域のことは地域で決めるための重要な改革であり、国の行政の無駄削減を進めるためにも有効です。地方の意見をお伺いしながら、補助金等の一括交付金化や出先機関の原則廃止に向けた改革を進めます。また、効率的で質の高い行政サービスを提供するための公務員制度改革を具体化すべく、関連法案の成立を図ります。

 政治家自身も自ら身を切らなければなりません。江戸時代の儒学者である佐藤一齋は「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」と説きました。(略)
次に、経済成長を通じた「増収の道」も追求します。

 古来、財政改革を成し遂げた偉人は、創意工夫で産業を興し、税収を増やす方策を探りました。人口減少に転じた日本において、数年で経済と税収を倍増させるような奇策はありません。日本経済を長く停滞させてきた諸課題を一つひとつ地道に解決し、足下の危機を克服した後に日本が進むべき道を見極め、それを実行していくだけです。

 その先駆けとして、二十一世紀の成長産業となりうる農林漁業の再生に向けて、次世代を担う農林漁業者が安心して取り組めるよう、先に策定した「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を政府全体の責任をもって着実に実行します。

 新たに設置した「国家戦略会議」(略)。

 成長するアジアへの玄関口として高い潜在力を持つ沖縄の振興については、最終年度を迎えた振興計画の総仕上げを行うとともに、新たな振興策の一環として、使い道を限定しない自由度の高い一括交付金を創設します

 そして、「歳出削減の道」と「増収の道」では足らざる部分について、初めて「歳入改革の道」があります。復興財源案では、基幹税である所得税や法人税、個人住民税の時限的な引上げなどにより、国民の皆様に一定の御負担をお願いすることとしています。

 国家財政の深刻な状況が、その重要な背景です。

 グローバル経済の市場の力によって「国家の信用」が厳しく問われる歴史的な事態が進行しています。欧州の危機は広がりを見せており、決して対岸の火事とは言い切れません。今日生まれた子ども一人の背中には、既に七百万円を超える借金があります。現役世代がこのまま減り続ければ、一人当たりの負担は増えていくばかりであり、際限のない先送りを続けられる状況にはありません。

 復興財源の確保策を実現させ、未来の世代の重荷を少しでも減らし、「国家の信用」を守る大義を共に果たそうではありませんか。

 

(確かな外交・安全保障のために)
 先の国連総会では、大震災での世界中の人々の支援に感謝し、人類のより良き未来に貢献することで、「恩返し」をしていく我が国の決意を発信しました。その決意を確実に行動に移していきます。(略)既に、オバマ大統領を始め主要各国の首脳と国連総会の場でお会いし、先般の韓国訪問では李明博大統領と政治家としての信念に基づき語り合うなど、各国首脳との個人的な関係を取り結ぶ、良いスタートを切ることができました。

 秋は、外交の季節です。来るべきG20では、欧州発の世界経済危機の封じ込めに、日本としての貢献を示します。米国主催のAPEC首脳会議では、アジア太平洋地域の将来像を示した「横浜ビジョン」の理念を実現するために更なる一歩を踏み出し、その成果を日米間の絆の強化にも活用します。ASEAN諸国との諸会合にも参加し、豊かで安定したアジアの未来を共に拓くための関係強化の在り方を議論します。

 より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めます。先般の日韓首脳会談では、経済連携協定の実務者協議を加速することで合意しました。更に今後、日豪交渉を推進し、日EU、日中韓の早期交渉開始を目指すとともに、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定への交渉参加についても、引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出します。

(略)

 

(結びに~確かな希望を抱くために~)
 三次補正とその関連法は、大震災から立ち直ろうとする新しい日本が明日へ向かって踏み出す、大きな一歩です。

 「嬉しいなという度に 私の言葉は花になる だから あったらいいなの種をまこう 小さな小さな種だって 君と一緒に育てれば 大きな大きな花になる」

 仙台市に住む若き詩人、大越(おおごえ)桂(かつら)さんが大震災後に書き、被災地で合唱曲として歌われている詩の一節です。(略)。

 希望の種」をまきましょう。そして、被災地に生まれる小さな「希望の芽」をみんなで大きく育てましょう。やがてそれらは「希望の花」となり、全ての国民を勇気づけてくれるはずです。

 連立与党である国民新党を始め、ここに集う全ての国会議員の皆様。今こそ「希望づくり」の先頭に立って共に行動を起こし、全ての国民を代表する政治家としての覚悟と器量を示そうではありませんか。

 私は、日々懸命に土を耕し、汗と泥にまみれながら、国民の皆様が大きな「希望の花」を咲かせることができるよう、正心誠意、命の限りを尽くして、この国難を克服する具体策を実行に移す覚悟です。

 国会議員の皆様と国民の皆様の御理解と御協力を改めてお願いして、私のこの国会に臨む所信の表明といたします。

 

 

第179回国会における安住財務大臣の財政演説

平成23年10月28日

 今般、東日本大震災からの本格的な復興等を実現するため、必要な財政措置を盛り込んだ平成二十三年度第三次補正予算を提出することと致しました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。

(略)

 東日本大震災からの復旧・復興は、言うまでもなくこの内閣が取り組むべき最大、かつ最優先の課題であります。これまで、救助・救援活動や復旧活動に関わる官民の関係者やボランティアなど、多くの国民の皆様の御尽力により、復旧・復興への歩みは進んでまいりました。一方で、復旧・復興への取組が迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないとの御指摘も頂いております。こうした点を真摯に受け止め、復旧から本格的な復興への取組を更に加速していくことが重要です。また、原子力災害についても、一刻も早い事態の収束に向けて、国の総力を挙げて対応していかなければなりません。更には、日本経済を取り巻く環境も変化しており、現下の円高に対応して、産業空洞化対策等に取り組むことも喫緊の課題です。

 「被災地域の復興なくして、日本経済の再生はない」また、「日本経済の再生なくして、被災地域の真の復興はない」との認識の下、間断なく迅速に復旧から復興への取組を進めるなどにより、我が国経済を自立的な回復軌道に乗せるよう全力を挙げてまいります。

今国会に提出を致しました平成二十三年度第三次補正予算の大要について御説明申し上げます。

まず、東日本大震災関係経費として十一兆七千三百三十五億円を計上し、その内訳は、災害救助等関係経費、災害廃棄物処理事業費、公共事業等の追加、災害関連融資関係経費、地方交付税交付金、東日本大震災復興交付金、原子力災害復興関係経費、全国防災対策費、その他の東日本大震災関係経費、年金臨時財源の補てんとなっております。

 これらの東日本大震災関係の歳出を賄うため、千六百四十八億円の既定経費の減額を行うこととしており、歳入面においては、百八十七億円のその他収入の増加を見込むほか、十一兆五千五百億円の復興債の発行を行うこととしております。

 なお、復興債の発行等については、別途、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案を提出し、御審議をお願いすることとしております。

 また、台風第十二号等に係る災害対策費などのその他の経費について、三千二百十億円を計上しております。

 その歳出を賄うため、東日本大震災復旧・復興予備費を二千三百四十三億円減額することとしており、歳入面においては、その他収入の増加等七百四十八億円及び前年度剰余金受入百十九億円を見込んでおります。

 さらに、B型肝炎関係経費として、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等四百八十億円を計上しております。

その歳出を賄うため、二百二億円の既定経費の減額を行うこととしており、歳入面においては、二百七十九億円のその他収入の増加を見込んでおります。

これらの結果、平成二十三年度一般会計第三次補正後予算の総額は、一般会計第二次補正後予算に対し、歳入歳出とも十一兆六千八百三十二億円増加し、百六兆三千九百八十七億円となります。

関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

財政投融資計画については、東日本大震災からの復興等に必要となる資金需要に対応するため、補正予算において総額一兆三千四百二十一億円を追加することとしております。(略)


摩訶不思議な3次補正

2011年10月27日 09時46分24秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(このエントリーの初投稿日時は2011年10月27日午前9時半)

 あす(2011年10月28日金曜日)、野田佳彦内閣は国会に平成23年度第3次補正予算書を提出します。

 最短で11月10日(木)ですが、たぶん11月11日(金)成立ということで、遅いのですが、ちょっとキッチリ審議してもらいたい点を見つけましたので、指摘します。

 まず2次補正から入っている、「原子力賠償支援機構」への交付国債について。交付国債とは国から原賠機構への渡しきりの国債で、機構が必要に応じて現金化できます。これが限度額2兆円だったのですが、3次補正のフレームの(注3)のなかで、限度額5兆円に引きあげると小さく書いてあります。

 2つめ。2次補正では一部野党から「歳入歳出総額の増額が2兆円なのに、予備費(「東日本大震災復旧・復興予備費」)0・8兆円(8000億円)は大きすぎる」として、金額や、あるいは被災地のニーズを把握する能力が低いのではないかと指摘がありました。これが、3次補正では2343億円(0・2兆円)減額補正されてしまいました。これは台風12号(和歌山・奈良など広範囲、”堰止め湖””土砂ダム”など)の災害対策費に3000億円(0・3兆円)に回したのか、あるいは、使い勝手のよい「東日本大震災復興交付金」が1・5兆円新設し、全国への地方交付税交付金も1・6兆円増額補正するので、そちらに行くという考えかも知れません。たた、予備費を使う場合は閣議決定をし、後年度になりますが、調書を国会に提出(おもに決算委員会に付託)しますので、財政民主主義が働きます。仮に交付金で、大臣命令(というか、府省による箇所付け)で執行・交付された場合は、国会への報告はありません。財政民主主義の面から、ちょっと疑義があります。

 それと自衛隊施設および防衛装備品(他国でいう武器のこと)などの復旧などに1470億円行きます。これが報道によると、C130輸送機を購入するなどの装備に充てられるようですが、陸海空の統合運用だとか、あるいは、転籍させることによって対応することも可能なような情報があります。防衛省は特別会計をもたずに、これだけの装備をしてきて立派ですが、ぜひ正面から当初予算に概算要求するのを基本として欲しいと考えます。

 最後に、すでに今週の一般質疑でも出ていますが、復興基本法に基づく、復興債は、償還の道筋の明確化が必要です。これもまた財政民主主義の観点から、「復興債特例勘定」あるいは「復興債特別会計」をつくってほしいと考えますが、財務大臣の答弁によると、平成24年度当初予算からでないと技術的に難しいようです。

 まだ、予算書そのものはあすにならないと、ネットに出ませんが、わが国の予算審議はあまりにも時間が短いので、提出前に指摘しました。

 このエントリーは他の内容と含めて、書き直すかも知れません。


年度末解散ねらい? 自公が”岡田克也筆頭理事包囲網” 宿敵・石破茂さん、「弟」高木陽介さん

2011年10月26日 20時17分24秒 | 岡田克也、旅の途中

【公明党が衆院予算委に武闘派議員を配置して来年通常国会の3党合意反故、解散前倒しも視野か?】

 公明党は第179臨時国会で、衆院予算委員会の理事を富田茂之(比例単独南関東、党千葉県本部代表)さんから高木陽介・党幹事長代理(比例単独東京ブロック1位)に交代させました。富田さんは高木さんにかわり、国交委理事に回ります。

 次の予算委員会(おそらく10月28日夕刻か?)の冒頭で、中井洽委員長(民主党、三重1区)の発議により、理事に選任される運びだと思います。

 もう1議席の公明党予算委員には、ベテランの元公明党国対委員長で北九州の東順治(ひがし・じゅんじ)さんを新しく起用しました。東さんは、民主党が岡田克也代表だったころは、ずっと公明党国対委員長だった人です。富田さんは財務副大臣を終え、党に戻った2008年秋の第168臨時国会から、政権交代をはさんで4年間・11国会(うち通常国会=本予算審議は4回)務めてきました。公明党が予算委理事を交代させるのは、下野後初めてになります。
 これについて、同党の漆原良夫・国会対策委員長(比例単独北陸信越)は2011年10月25日、当ブログの独自単独取材に対して「総合的な人事配置だ」と述べながらも、「他党とのバランスをまったく考えていないわけではない」と語りました。

 漆原さんは、第178臨時国会から民主党が岡田克也筆頭理事、第179臨時国会から自民党が石破茂筆頭理事を配置したことから、国対副委員長や党広報の屋台骨を背負ってきた高木さんを理事、東副代表を委員にする「武闘派路線」に切り替えたことを否定しませんでした。

 このため、3党合意や3党協議の枠組みを維持しながらも、来年の年度末前後にかけて、予算関連法案が各々、付託される財金委、総務委、あるいは厚労委(年金制度など)、国交委(津波対策など)、郵政改革特別委員会(郵政改革関連法案)などと連動しながら、場合によっては、1年程度の解散前倒しの確約を取り付けた上で、平成24年度の特例公債法案などの成立に応じるというシナリオもあり得るということになってきそうです。

 富田さんは国交委理事に回り、きょう(10月26日)初めて質問に立ち、「1993年の初当選以来、国交委に所属するのは初めてです」と述べましたが、ちょっと元気がないようにも感じられました。野田佳彦首相とは、「新進党千葉県連仲間」の富田元財務副大臣ですが、私が9月26日付エントリーで、「民主党と公明党が蜜月新時代か? 野田首相と富田理事が散会後に長話 衆・予算委」を書いたせいで外されたのでなければいいのですが。これについて、別の公明党議員は「おそらく総理が千葉選出であることは、まず関係ないだろう。そもそも4年間理事を務めるのは我が党では長い」と語りました。

【コワモテの高木さんもホントウは岡田さんの背中を見ながら歩いてきた?】

 高木さんは、2009年の真夏、第45回衆院選のさいちゅう、選挙区で苦戦していた当時の公明党幹事長のかわりに、東京のテレビ局で肩書きで出演しました。このなかで、高木さんは自民党の細田博之幹事長(当時)とタッグを組んで、民主党の政策を激しく攻撃しました。そうすると、民主党の岡田克也幹事長(当時)が、ディベートで、「高木さんに聞きますけど、初当選はいつでしたっけ?」と質問。これに対して高木さんは「1993年(第40回衆院選)初当選(なので第39回初当選の)岡田さんの1個下(いっこした)です」と人差し指で「1」の字をつくりながら破顔万笑でギャル言葉を交えながら、答えました。そうすると、岡田さんは表情を変えずに、「なら分かると思いますけど、同じ党にいましたよね」と言われ、高木さんは「はい、新進党にいました」と小声で答えました。この後、高木さんはいつも通りのふてぶてしい顔に戻りました。しかし、「1個下(いっこした)」ととっさに答えたことで、長年、岡田さんの背中を見ながら、あるいは高木さんは与党10年ですから、そのころは横顔を見ながら、政治生活を歩んできたことが浮き彫りになってしまいました。

【中井予算委員長「原理主義の岡田克也と原則主義の石破茂の対決だ!」と興奮】

 中井洽・衆院予算委員長は25日昼に国会内で開かれた民社協会国会議員団会議に出席し、この後同委員会の理事懇談会が開かれるとし、「原理主義の岡田克也と、原則主義の石破茂の対決だ」と興奮気味に語りました。

  ちなみに続投の中井委員長、ことしの本予算審議では、野党側筆頭理事だった元自民党幹事長から、おそらく物理的な力を加えられたのではないかと思われる場面がありましたが、まったくそのことを不問にして審議を続けるという場面がありました。中井委員長の裁きも解散時期を左右することになりそうです。
 岡田さんは『政権交代』の118ページに次のように記しています。

 

[引用はじめ]

 今度こそ、政権を担い得る新党をつくるーー。そういう気概をもって新進党を結党したはずだが、「与党」を居場所とする議員たちには、野党で苦労するのがムダに思えるのだろう。政権党に戻ったほうが選挙も楽だし、ポストにも就ける。離党者続出の中で、自分の政治生命だけを考えて行動する、突然自民党に戻る政治家もめずらしくなかった。そうした人間としての弱さ、一貫性のなさ、無責任さをなじりたい気持ちもある。しかし、支持者や選挙区など、それぞれの事情があるのだろう。煩悶しつつ復党の決断を下さざるを得なかった人もいるはずだ。だから、断罪する気にはなれない。

 ただし、誰がどういう行動をとったかは忘れまいと思う。こうした、ある意味での極限状態に直面したとき、一人の人間がとる行動は繰り返されるものだ。これまで二十年近く政界に身を置いて経験に照らしてみると、一人の人間は同じような行動を繰り返すことがわかる。一度裏切った者は、二度裏切る。ぎりぎりの状況では本質を隠しおおせないのだ。それを理解さえすれば、批判する必要はない。


[引用おわり]

 次は朝日新聞の14年前の記事です。


[朝日新聞のデータベースから引用はじめ]

石破茂氏が自民復党へ 常田享詳氏は新進離党濃厚 /鳥取
1997.03.13 大阪地方版/鳥取 0頁 鳥取 (全684字)  
 
 衆院小選挙区の鳥取一区から選出された石破茂議員(四〇)=無所属=が、近く所属会派「21世紀」を離れ、自民党に復党する意思を示していることが十二日、明らかになった。今月中にも正式に決定する意向で、一九九三年十二月の離党以来、三年三カ月ぶりに自民党籍に戻る。また、石破議員の復党に伴い、常田享詳・参院議員は新進党を離党する可能性が高くなった。

 石破議員は昨年十月の衆院選直前に新進党を離党し、無所属で出馬、当選した。その後は会派21世紀の結成に参加。首相指名で橋本龍太郎首相に投票するなど、これまでも自民党に同調する姿勢を見せていた。

 復党について、石破議員は「まだ正式に決めたわけではない」と前置きしたうえで「現在の政治状況を見れば、今の会派で頑張るのか、自民に復党するかの二者択一しかない。議員は政策の実現が一番の仕事だが、無所属のままでは一方的に主張を述べるばかりだ。まだ、公共事業などが必要な県のためには与党にいることが必要だし、私の主張を自民党内で訴えることができるならば、と考えている」と説明した。

 自民党側は衆院選前から復党の要請を続けてきたが、石破議員が考え始めたのは「21世紀の政党化が難しいことがはっきりした二月初めごろ」という。今後は、後援会などの支持者に説明し、理解が得られた段階で復党を届け出る。

 また、新進党県連会長の常田議員は「石破氏と私の盟友関係から考えて、二人が与野党に別れるわけにはいかない」と言い、石破議員が自民党に戻れば、新進党を離党する考えを明らかにした。党派については「無所属か自民党の二通りだが、今はまだ決める段階ではない」と話した。

[引用おわり]

 「公共事業などが必要な県のためには与党にいることが必要だし、私の主張を自民党内で訴えることができるならば、と考えている」と述べて自民党に復党した石破さん。ちなみに石破さんは議員立法のプロのような印象がありますが、衆院法制局がまとめた『衆議院における議員立法の記録 第1回国会から第170国会』によると、石破さんは意外なことに法案の筆頭発議者になったのは、「海洋構築物などにかかる安全水域の設定などに関する法案」(第164国会衆法24号)だけなんですね。政調会長時代は予算の撤回の上編成替えを求める動議(組み替え動議)は出していましたが。それに石破さんは、防衛大臣や農相をやりましたが、具体的実績って何なんでしょうか。岡田さんは、「政権交代ある政治を定着させるために、第45回衆院選で野党・民主党を過半数獲得に導いた幹事長」という大実績があります。

 石破さんは、自民党総裁選に「額賀派(平成研究会)」から推薦人20人で出馬し25票獲得に終わりましたが、その額賀派を退会したと報じられています。

 ちなみに野田佳彦首相は、石破さん(第38回初当選)よりも初当選は「2個下」の第40回衆院選初当選で、野田さんは落選経験があるので、当選回数は3回下、勤続年数は11年も短く、さらに年齢は3ヶ月下です。石破さんは野田総理との初めての予算委員会で、次のように話しました。

 「総理、連日、本当に御苦労さまであります。立場は違いますが、総理という仕事がいかに重圧に耐えねばならないものか、本当に命を削るような仕事であることは、私も何度か閣内にいて総理を近くで見て、よくわかっておるつもりであります。しかし、総理が任命される、陛下の認証を仰ぐ閣僚と違って、総理は、みずから日本国総理大臣になりたいということで代表選に立候補され、勝利をされ、今日の地位を得られた方であります。泣き言は言ってはなりません。そして、逃げてもなりません。総理と私は同じ昭和三十二年生まれであります。私が二月、総理が五月、同じ時代を生きてきました。ケネディの暗殺も初めての衛星中継で見ました。そしてまた、ロッキード事件も見てきました。同じものを見、いろいろな思いを持ってきました。民主党の総理であり、私は自由民主党の政策をお預かりする立場です。立場は違いますが、同じ時代を生きる者として、次の時代に何を残すか、日本国のために何をするか、その責任は共有したい、私はそのように思っております」

 責任を共有するのもいいですが、石破さんは新進党に残っていれば今頃総理だったかもね。

 それはそうと、岡田さんと石破さんの不仲は決定的で、理事同士の協議は難航することが予想されます。衆議院の理事会は非公開なので分かりませんが、来年2月にかけて、石破筆頭理事が「政府統一見解を出せ」などと要求し、岡田筆頭理事が態度を保留すると、石破さんがひたすらまくし立てて、理事会が紛糾する場面が出てくるような気がします。もちろん、岡田さんが土俵際でうっちゃり、石破さんを自分の勢いで砂かぶりにつっこませ、岡田さんと高木さんが土俵に残るのが理想です。ただ、公明党が「だらしない小沢付き民主党」にくっついてもメリットが少ない。さらに、関連法案を扱う委員会では、民主党の筆頭理事が2回生という委員会もあり、不安定要素はあります。まあ、岡田さんに任せましょう。

 現在、参議院は理事会は扉を開けっ放しでやっており、国会内ケーブルテレビで中継しています。(インターネット中継はなし)。一方、衆議院は理事会は非公開で、国会内での生中継もありません。ですから、理事会は私も取材は難しく、仮に理事室周辺で取材しても、そのころには委員会が開会していますから、ぜひ新聞、テレビのみなさんにご健闘いただきたく存じます。また各理事も、ブログ、ツイッターを、党利党略でいいですから、情報を発信して欲しいと考えます。ただ、民主党の武正公一・予算委次席理事(兼)郵政改革特別委筆頭理事は苦労するかなという感じがします。埼玉1区は、自民党の河村建夫・選対局長がいい支部長を擁立しているので、正念場だと考えます、どうかよろしくお願いします。
 ところで、アクセス解析をみていると、平日に岡田さんのことを書くと、その日のうちはアクセス数はあまり高くないんですね。当ブログは国会内視聴率が高いので、あまり民主党現職議員や秘書は岡田さんのことを読みたくないのでしょう。ところが、土日になると、岡田さんのエントリーが跳ね上がる。やはり社会で働き、世界や海外が見えている人は、岡田さんを支持しているのだと感じます。みなさん頑張りましょうね。


 政権交代ある政治の定着のために、当ブログは、これからも、まっすぐにひたむきに、岡田克也さんを100%支持し、その背中を追いかけていきます。

 一度裏切る者は二度裏切る。

 政治がややこしくなり、デモクラシー(民主政治)の前提であるプロセス(政策の決定過程)の透明化(情報公開や分かりやすさ)の障害となります。テレビでの弁舌のさわやかさにだまされてはいけません。民主党と公明党の総力を結集して、新進党の裏切り者、年下総理をねたむ石破茂(氏)を倒しましょう!政治を国民の手に取り戻すために。

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宮沢洋一影の厚労相、「自民党の野党時代は長くない」

2011年10月25日 05時55分46秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]自民党参院議員の宮沢洋一影の厚労相。

 さて、今週の国会は委員会で大臣の所信聴取とそれに対する一般質疑が中心となります。補正予算は11月10日(木)成立が最短となる見通しです。

 いわば野田内閣の閣僚が店開きをしている状況で、つくづく、2011年6月1日の菅内閣不信任案(自民党・公明党・たちあがれ日本)に賛同する「小沢一郎(氏)と71人の国賊」の集会によって、かくも長き政治空白が生まれてしまったことをつくづく悔しく感じます。自分で自分の首を絞めたことに気付いていない政治センスの無いバカ議員。このなかで、第46回衆院選で小選挙区で当選しそうなのは、小沢一郎(氏)、田中眞紀子(氏)、牧義夫(氏)、三井辨雄(氏)、奥村展三(氏)、階猛(氏)、横山北斗(氏)の7人くらいで、後は原口一博(氏)ら5人くらいが比例復活で、残りは消えると考えます。うち50人前後は二度と戻れないでしょう。

 私には、今週の一般質疑は、内閣交代による、政治空白のようやく終着点に感じます。仮に内閣が続投していても、「3・11」のストレスと疲労で閣僚がいっぱいいっぱいになっていたので、第3次改造内閣になっていたかもしれませんが、総理がかわらなければ第178臨時国会の所信表明と代表質問はやらなくもてよかったのです。

 また、第177通常国会の延長国会では、各委員会で一般質疑や集中審議が多かったです。とくに放射線に関しては、いろいろな委員会に関係するので参考人質疑も多く、ことしは一般質疑はお腹いっぱいに感じます。このブログは更新しますが、基本的には具体的な議案がかかっていない質疑は、今国会ではとくだんチェックしないという方針です。ぜひご理解いただきたく感じます。

 まあ、しばらくは私は自ら「臥薪嘗胆の助(がしんしょうたんのすけ)」を自任して、次のステップに進んでいきたいと考えます。

 参院議員の、宮沢洋一影の厚労大臣は、ブログの中で、「私は(自民党が)野党の時代もそう長くはないだろう」との認識を示しました。宮沢さんは、戦後政治の証人である宮澤喜一元首相の甥で、首相秘書官として旧官邸に勤めました。宮澤解散による第40回衆院選で、初めて自民党が結党以来38年目にして野党に転落(ただし衆参とも第1会派)するのを目撃しています。東大法学部卒の大蔵官僚出身です。

 宮沢さんは「私は野党の時代もそう長くはないだろうから、ゆっくりと頭の整理でもしておきたいと考えていたのですが、案に相違して忙しい役職が回ってきてしまいました。まず、シャドウ・キャビネットの厚生労働大臣です」とし、談論風発な自民党の「年金、医療、介護から障害者福祉、雇用に至るまで自民党の政策をまとめる責任者ですから大変です」としました。そして、「野党の議員というものは、もう少し暇かと思っていましたが、還暦過ぎた体に鞭打ち頑張ります」と書いています。

 この野党かつ参議院の宮沢さんがなぜ忙しいかというと、政権交代後は、霞が関は野党にも比較的資料を渡したり、「ご説明」をしている一方で、自治体からの要望は、むしろ民主党よりも自民党や公明党の方が直接受けている状況で、情報が集まれば忙しいということになるでしょう。

 長妻昭さんが「私の野党時代は霞が関の資料を出す出さないの押し問答で7割の時間が過ぎてしまった」としていますが、政権交代が常態化すれば、野党も情報を持った上で質疑することができるでしょう。この辺で、民主党の1期生が初めから与党という「竹馬に乗って政界デビュー」したことから、よく分かっていない人が多いようです。前執行部時代、復興財源として、税外収入(埋蔵金発掘)を探すプロジェクトチームがあり、城島光力さんが座長で、当時党幹事長だった岡田克也さんも同席していて、財務官僚が国債整理基金特別会計に関して説明しているときに、「岡田さんがメモを取っていた」と鬼の首を取ったかのように喜んでいる1期生がいました。これはおそらく、岡田さんが勉強不足だ、と指摘したかったのでしょうが、岡田さんは羽田内閣退陣後15年間野党だったので、とくに情報を隠しがちな財務省理財局に関する特別会計の実態を知ることができなかったのは自明の理。このように、「情報があるのが当たり前」という前提で、政治をやっている民主党1期生は、野党として2期生になった場合、苦労するのではないかと感じます。ただ、政権交代が常態化すれば、野党にも「ご説明」をするようになるでしょうから、国会での審議は活性化すると考えます。

 さて与党・自民党時代の岡田さんや、石破茂さんらに、「政治改革断行」について東京・渋谷の私邸に夜討ちをかけられた宮澤首相・自民党総裁は、事前に電話連絡があったにもかかわらず、「おやおや(若手議員がそろいもそろって、)これはどうしました?」とおとぼけ上手でしたが、宮沢洋一さんは正直に「野党時代もそう長くないだろう」と書いています。

 ブログ内に「ただ本物の厚生労働大臣は、あの小宮山洋子ですから、やりがいはあるなと思っています」と書いていて、「あの小宮山洋子」ということは何か因縁があるのかなあ。宮沢さんは第45回衆院選で、広島7区の東大法学部卒・大蔵官僚対決で、民主党の和田隆志さんに破れ、完全落選ということで、第22回参院選に回り当選しましたが、衆院内閣委員会で小宮山さんと同僚だったことがあるようです。あるいは、元NHKアナウンサーの小宮山さんということかなと思って、ハッと思ったら、宮沢さんは1974年3月に東大卒業。小宮山さんの実父・加藤一郎さんが東大総長を務めたのは、1969年から1973年までということで、なんのことはない、宮沢さんが東大在学中のほとんどの時期の総長の娘だからやりがいがあるということのようです。なんとも宮澤ファミリー的な理由でした。宮澤喜一さんは話し相手が東大法学部卒と知ると、「どの先生のゼミ?」まで詳しく聞いたとか、竹下登さんに「当時の早大商学部には入学試験があったの?」と聞いて怒らせたとか、その辺の宮沢ファミリー特有の雰囲気がいまだにあるんですね。

 もちろん、私は菅直人首相から野田佳彦首相へと非二世・非世襲議員が2代連続で首相になったことに意義を感じています。とくに野田さんは54歳と50歳代前半で総理になりました。

 世界を見渡せば、チャーチルをはじめとして2世議員の有力政治家はたくさんいます。御厨貴さんの『聞き書き 宮澤喜一回顧録』には、1939年夏の日米学生会議に出席した際に、サンフランシスコの書店でエンゲルスの『共産党宣言』を買って船の中で読んでいて「これ横浜の税関で通るかな?」と心配になり、船内郵便局から家に送ったら届いたという日米開戦直前とは思えないのんびりした話。終戦後、大蔵省で、大平正芳さんと机を並べていて、「どうも日本は何もなくなっちゃったが、何かをかた(担保)にして金を借りるとしたら、日本の鉄道がちゃんと動いているけれど、どうだろう」という話をしたそうです。

 こういった開戦直前、終戦直後とは思えない話ができるというのは、宮澤さんが英語と漢学が堪能で、時代を大きな目で見ていたから右往左往しなくてよかったのでしょう。そういう意味で二世議員やお坊ちゃん議員は否定されるべきものではありません。読んでいませんが、小宮山さんの軽井沢の別荘についての雑誌記事が出ているようです。これもそういったもの、おそらく相続だとか、あるいは離婚だとか、そういった経験があるから、小宮山さんは民主党税制調査会(税調)のメンバーとして関心を持ったのでしょう。私は税制にこれだけ関心をもった女性議員というのはかつていないのではないかと考えます。

 JA・農政連や医師会・医師連盟から前回選挙で支持をもらっていないにもかかわらず、「次は応援してもらえるかな」「パーティー券買ってもらえるかな」との誘惑は分かるけど、それが小選挙区で勝つ決定打になるわけがないのに、「TPP反対」と叫んでいる議員を見ていると、こういうお坊ちゃん・お嬢ちゃん議員というのも頼もしく感じることがあります。小選挙区は相手がありますが、そういったデータを入れても、次の選挙で消える人、消えて第47回総選挙で復活する人、2度と戻ってこない人。2年経ち、任期が折り返して、自分の中では色分けができたので、第46回総選挙の前後を見すえて、次の政治を見ていきたいと考えております。

 少なくとも年内は、具体的な議案(予算・法案)がかかっていない審議については、基本的にチェックしない、「流す」という方針でやっていきますので、ご理解いただきたいと存じます。 

自民党の人事の季節が終わりました。 - 宮沢洋一 公式ブログ - Yahoo!ブログ

自民党の人事の季節がやっと終わりました。
総裁は任期が3年ですが、それ以外の役員は任期1年ということで毎年秋が人事の季節となります。

党の時代には沢山あった、閣僚を始めとする政府の役職がなくなってしまったので、党の役員人事は大変です。全ての議員を役職につけるためには与党の時代にはなかった代行とか代理とか筆頭とかが頭に着いた役職を新しく作っていかなければならないわけです。

私は野党の時代もそう長くはないだろうから、ゆっくりと頭の整理でもしておきたいと考えていたのですが、案に相違して忙しい役職が回ってきてしまいました。

まず、シャドウ・キャビネットの厚生労働大臣です。年金、医療、介護から障害者福祉、雇用に至るまで自民党の政策をまとめる責任者ですから大変です。ただ本物の厚生労働大臣は、あの小宮山洋子ですから、やりがいはあるなと思っています。

震災復興に関する特命委員会の責任者である座長も引き続きやることになりました。私が作った自民党案が95%取り入れられた復興基本法は成立しましたが、民主党政権で遅れに遅れている復興の枠組み作りをこれから我々が知恵を出してやっていかなければなりません。

自民党の行政改革本部の本部長代理も引き受けざるをえなくなりました。これから公務員制度改革などが佳境に入る中でなかなか忙しそうな役職です。

野党の議員というものは、もう少し暇かと思っていましたが、還暦過ぎた体に鞭打ち頑張ります。


第179回臨時国会がきょう召集 参・議運委員長にやり手・鶴保庸介さん 会期末は12月9日

2011年10月20日 17時57分58秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]鶴保庸介・参院決算委員長、2010年12月、参議院インターネット審議中継から

【参議院本会議 2011年10月20日(木)】

 詔書にもとづき、第179回臨時国会が召集されました。衆議院規則および参議院規則第1条では、召集日は午前10時に国会に参集することになっており、参議院では10時から本会議を開きました。衆議院本会議は召集日は衆規則1条に基づき毎召集日、午前10時に設定されますが、実際には午後12時以降に開かれています。

 尾辻秀久・副議長(全国比例)がギャベル(木づち)を叩いて、召集の旨と開会を宣言。おそらく尾辻さんがギャベルを叩いたのは就任後初めてだと思います。

 
[画像]開会から議長席にすわった尾辻秀久さん

 自民党の定例人事に伴う、常任委員長の辞任が報告され、新しい常任委員長を尾辻さんが指名し、新委員長は起立し、議場内にあいさつしました。会派離脱中の尾辻さんも含めて全員が自民党員ですので、あたかも自民党1党独裁時代にかえったかのような本会議でした。

 
[画像]委員長に指名されてあいさつする自民党議員たち

 いったん休憩ののち、衆院本会議での議決を受けて、「会期は12月9日(金)までの51日間」を全会一致で可決しました。国会法12条で会期の衆院優越規定があるため、衆院本会議がさきに議決するわけです。前国会では、会期4日間について自民党が反対討論に立つ異例の展開でしたので、会期の全会一致はよかったです。

 このうち、参院・議院運営委員長にはやり手の当選3回生、鶴保庸介(つるほ・ようすけ)さん(和歌山選挙区、2010年3選)が起用されました。

 逆転の夏(2007年7月)で江田五月さんが民主党から初めて議長になり、議運委員長に西岡武夫さんが就きましたが、予算委員長は自民党から出ていました。衆院での政権交代(2009年8月)により、議運と予算をトレードし、予算委員長に簗瀬進さん、前田武志さん、石井一さんら民主党議員が就く一方、議運委員長は自民党から鈴木政二さんが就き、2年間務めてきました。

 鶴保さんは東大法学部卒で、二階俊博衆院議員の秘書をしていましたが、東大同級生の同僚秘書がさきに衆院議員になってしまい、悔しさを込めて参院議員になりました。衆院議員になった同級生は、内閣府副大臣を務めましたが、前回の衆院選で落選後、政界引退を表明しています。

 鶴保さんは1年前、2010年10月18日の就任後最初の決算委員会(TV入り総括質疑)で次のように発言しており、発信力が落ちていた野党の自民党が大いに先制パンチを浴びせました。この後、仙谷由人官房長官は問責され、内閣を外れることになりました。そのコワモテの一方で、ことし3月11日の午後2時46分は決算委員会中でしたが、すぐに休憩を宣言し、菅直人総理や枝野幸男官房長官に官邸に戻ってもらい、理事懇談会などで散会する柔軟な処理をしました。

 ◇

第176臨時国会 平成22年10月18日

○委員長(鶴保庸介君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る一日の本会議におきまして、本委員会の委員長に選任されました鶴保庸介でございます。

(略)

○委員長(鶴保庸介君) 平成二十年度決算外二件を議題とし、本日は締めくくり総括質疑を行います。
 まず、私が決算委員長として若干の質疑をいたしますが、その前に、一言申し上げたいと思います。
 去る十四日、本院予算委員会において、内閣官房長官仙谷由人君は、新聞記事を確認する質問なんというのは私、聞いたことがないですよ等と答弁をされましたが、これは事実に反し、仙谷長官自身、過去累次にわたって報道の真偽を問う質疑を行ったとの指摘がなされております。
 また、十五日の予算委員会においても、委員会で決定された政府参考人の出席に関して、仙谷長官は、こういう場に呼び出す、こういうやり方は甚だ彼の将来を傷つけると思いますと述べましたが、これは委員会運営、ひいては国会を冒涜する答弁であり、かつ、当該政府参考人に圧力を加える発言ではないかとの指摘もあります。
 これらの件については、予算委員会理事会においても協議されることとなっておりますが、当決算委員会においても、閣僚、とりわけ仙谷長官が委員会運営のルールに従っていただくことを旨として、国務大臣としての品位を汚すことなく、真摯かつ適切な答弁に努めることを強く望みたいと思います。
 それでは、質疑に移りたいと思いますが、その前に、冒頭一言申し上げたいと思います。
 私は、今国会から決算委員長の重責を担うことになりました。平成二十年度決算審査の最終盤からかかわることになった次第ですが、参議院は、決算の参議院として決算審査を充実するため、これまで与野党の壁を乗り越えて、長年の努力により、平成十三年度決算以降、通常国会の会期中に審査を終了し、次の年度の予算編成に反映するという仕組みをつくり上げてまいりました。
 しかし、今般、平成二十年度決算も現在もなお審査を終了できずにいることは、参議院の決算委員長として誠に遺憾であります。平成二十年度決算等の審査を早期に終了することはもちろんのことですが、次年度以降の決算等について早期審査が実現するよう政府・与党の責任者である菅総理には格段の協力をお願いをいたしたいと思います。
 それでは、質疑に移らせていただきたいと思いますが、まず、これは通告外のことで大変恐縮でありますが、週末、中国で相次いで反日デモが起きました。日系の店の幾つかには具体的な被害が出ているようにも見えます。当委員会においても対中ODAの是非について何度も議論がなされてきた経緯もございますので、その過程で北京オリンピックまでに対中ODAの新規供与をやめるというような政府答弁がなされておるようにも見受けられました。
 菅総理におかれましては、こうした方針の下ODA政策を進めていかれるおつもりか、現下の日中関係を総覧して所感をお述べをいただきたいと思います。

 ◇

 このようにテレビ入りで、「仙谷批判」、「決算審査の遅れに対して菅総理に苦言」を発言した上で、質問の冒頭が「通告外で恐縮ですが」と3連発でパンチを浴びせました。かなり能力が高いといえます。

 また、参院自民党は脇雅史・国対委員長が続投しますので、鶴保・脇は強硬コンビで、衆院側を解散を横にらみしながらイッパツ仕掛けてくる場面もこれから例年の通常国会にかけて出てくるかもしれません。

 一方、本会議では、参院憲法審査会のメンバーが会派の届け出通りに机上配布されました。ただし、社民党(社会民主党・護憲連合、4議席)は名簿を提出せず、後日指名することになりました。鶴保・議運委員長や、社民党、輿石民主党がアクセルをふかしすぎると、日本国憲法第42条「国会は、衆議院および参議院の両院でこれを構成する」から「参議院」の文字を削除する憲法改正案を支持する国民輿論が高まることになりそうです。


温泉合宿で一致団結「参議院不要論」を吹っ飛ばせ 参議院民主党

2011年10月19日 12時16分32秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 冒頭ちょっとタイトルと離れますが、電事連が再生エネの全量買い取り法成立で、都道府県税の減税を要求していることが分かりました。

 盗っ人猛々しいとはこのことのことです。

 電気事業連合会(電事連、関西電力社長の八木誠会長)が第177通常国会で修正可決・成立した「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法」に関連して、2011年10月18日、公明党に対して、同法成立にもとづく法人事業税の減免措置を要望していたことが、19日付公明新聞で報じられました。事業税は都道府県税であり、発電・送電・配電が一致した電事連加盟電力会社の社員は日本のどこにでるので集票マシンとして均一した力を各地域で持っています。電力総連などの地方議員は電力会社やその子会社の現役社員であることも多く、ある程度都道府県庁には影響力があります。そして、事業税といっても、地方税法で決まるので、国が租税特別措置で、再生エネの全量固定価格買い取りで、都道府県税をまけてもらおうという考えです。情けないことに、「粗特の透明化とシンプル化」を訴えていた民主党が、政権獲得後に国会議員になった人がパーティー券を2枚ぐらい買ってもらい(会場費を除いた手取りは2万円ぐらいか?)、昨年11月、粗特(免税)の継続を声高に叫ぶようになりました。2万円で買われる花魁より安い民主党議員。そもそも前回の選挙では支持を受けていないし、各種団体の支持で小選挙区で51%の得票率を稼げるでしょうか。運動員を1~3人くらい送ってもらって、「選挙の体裁を整える」のが関の山。これから11月の税制調査会で、粗特の継続に関する圧力が高まります。ただ、外資系企業が日本を避けるのは、法人税の税率ではなく、複雑な租税特別措置と規制の手続きの多さに嫌気をさしている日本を回避しているのが実態のようです。粗特透明化法(古川法)の状況の確認と、粗特の順次廃止が日本経済の復活につながります。ただ、新聞では、東北の復興特区の企業の人件費を税額控除するという構想が報じられましたが、これは、全国的に、企業が人件費を税額控除する租税特別措置をしたらいいと思います。

 さて、民主党・新緑風会は、臨時国会が始まる前日と前々日、1泊2日の温泉合宿を開きました。これは昭和28年(1953年)の「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」にもとづき、所属議員1人あたり65万円(制度発足当時は1万円)を毎月各会派に支給するもので、参議院の全会派に対して18億8760万円が、財務省→参議院→各会派に交付されています。予算コードは「02-011-95012-2123-11」です。

 このお金を使って、民主党・新緑風会(輿石東会長)は、岳温泉(だけおんせん)で温泉合宿を開きました。午後1時集合で、参議院の民主党から出ている4大臣がSPを従えてあいさつ。その後の研修会では平野復興相(民主党・新緑風会参院議員)らが講師をし、被災地選出の同僚が経過報告をし、公式行事は午後5時40分で終了。会議はマスコミフルオープンなので、番記者は行かないといけないですが、平日に仕事で温泉でリフレッシュできて良かったのではないでしょうか。そのためか、温泉合宿を揶揄する記事はみかけません。この旅館は露天風呂も個室も含めて複数あり、室内プールもある大規模な施設です。旅行の情報・予約サイトによると、震災前でも価格は1万円~1万1000円台の利用者が多くリーズナブル。また施設が大きいので、小さいお子さん連れでも安心して利用できると好評でした。ホテルというのは装置産業であり、稼働率(客室稼働率)が下がるとその分粗利益が全部吹っ飛びます。装置産業であるので借入金があるはずですから、大変ご苦労されていると拝察します。

 で、これは合計5時間の研修会がすべてフルオープンで、野田首相(衆院議員)のほか、輿石幹事長、前田国交相、市川防衛相、平野復興相、蓮舫公務員制度改革担当相の合計6人のSP付きの政治家が話します。ことしになってから、TV局政治部で経費節減のため、地方出張を原則認めていないようで、松本龍復興相の宮城県庁内での知事訪問も、現地の放送局が取材・放送した事例がありました。しかし、これは東京政治部の番記者の出張を、上司も認めないわけにはいかないでしょう。そして総理があいさつすることも異例で、輿石さんが万事上手いとしかいいようがありません。ただ、フルオープンとはいえ、会場内からの立ちレポ(TVニュースの生中継でのリポート)は控えるよう地善意呼びかけましたが、そこまでやりますかね。

 民主党ホームページに載っている、この日の輿石民主党幹事長(兼)民主党・新緑風会会長の表情も、権力の絶頂にいるうれしさにあふれているように感じます。

 
[写真]温泉合宿であいさつする輿石東さん。


[写真]仲間内の温泉合宿で講師を務めた平野復興相。



[写真]あいさつする「民主党・新緑風会」参院議員で公務員制度改革担当大臣の蓮舫さん(民主党本部公式ホームページから)

 ただ、風評被害で苦労しているようで、民主党・新緑風会は「今回は被災地復興支援の一環として、風評被害に苦しんでいる福島県で開催し、研修会翌日には会派議員による被害地視察を予定しています」としており、宮城県コースは石巻市役所などを訪れ、午後4時過ぎに東北新幹線ターミナル着、福島県コースは、浪江町役場二本松事務所などを訪れ、2時10分に新幹線駅着と、じっくりと視察することになっています。例年は軽井沢で開かれることが多いのですが、「今回は福島」ということになりました。まったく関係ないのですが、以前、ある宗教団体の熱心な信者とされる夫婦と息子が、東京・城北の建設会社の社員寮で住み込みで働いていたのですが、両親が朝早く、昼間眠いので、息子に仕事の分担を依頼したことに憤慨し、両親を殺害。両親のお金を持って、テレビで見た憧れの軽井沢のホテルに行ったところ、そこで初めて軽井沢には温泉がないことを知り、失意のうちに、群馬・草津温泉に向かい、人生初の温泉を堪能。その後、警視庁の捜査員がホテルの部屋をノックし、「お巡りさんだけど、なんで来たか分かるよね?」と言って、逮捕された事件を、なぜ思い出しました。

 また二本松市は、井上ひさしさんの『吉里吉里人(きりきりじん)』のモデルとされ、バブル期に、独立国ムードにあやかり、独自の国会議事堂をつくった、というwikipediaの記述も大変興味深く読みました。

 温泉合宿と、個室での研修会、番記者を交えての温泉、バスでの視察と、ありふれた手法でつくりあげた輿石さんだけの王国。あすからの国会で中間取りまとめをする参院選挙制度改革では、西岡議長が、9ブロック大選挙区制(1票方式)、公明党が11ブロック定数42削減、社民党が定数そのままながらもやはり11ブロックと各党が「1票制」を主張しており、民主党の選挙区は鳥取県と島根県などの10県の合区(がっく)による「1票の格差見直し」と比例の「2票制」を主張しています。これは現行制度で第1会派なのが民主党ですから、見直しに否定的なのは当然です。しかし、やはり公明党案に比べると、説得力に乏しく、衆参一体改革も必要になります。

 以下は、現在の参議院の議席数です。
 

 民自公の3党(+国民新党)のスキームなら、211議席になります。しかし、来年の通常国会辺りから自民党内で抵抗野党的な動きが出てくるでしょうし、国民新党は郵政改革法案(176閣法1~3号)が成立すれば、政権を利用しない方向性に行くかも知れません。そうすると、3党協議の枠組みでは、民主党・新緑風会の106議席と、公明党の19議席の合わせて125議席で、過半数の122議席を3議席上回るだけになります。「社会民主党・護憲連合」の4議席を入れても、129議席です。かりに民主党・新緑風会の小沢グループが3~5人以上造反すると、一気に議案の採決が本会議場でひっくり返ることになります。

 産別、県連、各種団体のいずれか一つの推薦だけで当選している民主党参議院議員に言論の自由と人権はありません。温泉合宿で一致団結して、通常国会おわりまで一切の造反をゆるしてはなりません。そうでなければ、公明党は民主党を信用して3党協議にのぞめなくなります。

 衆参憲法審査会が179臨時国会でスタートする見通しとなり、憲法改正による参議院廃止論も浮上するでしょう。参議院にとってもまさに正念場であり、国民の間に高まる参議院不要論を一致団結して粉砕するために、輿石さんの力がもうしばらく必要となります。


自民党の谷垣禎一影の首相、「TPP参加」を明言 小沢グループ孤立へ

2011年10月15日 22時58分02秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法


 新聞の見出しや有権者間の議論のなかで「TPP参加の是非」が語られていますが、これは「TPP交渉への参加の是非」ですから。だいぶ意味が違います。JAも農業者をそそのかして求心力を高めるのは止めてもらいたいです。まして、これだけ、世界の経済・財政、そして貨幣経済、管理通貨制度(不換紙幣)、変動為替相場および国債が不安定というか、不透明な時代、ある意味、自分の所とご近所と親戚と直売所のやりとりで自給自足できている農業者はいまもっとも憧れの的だと考えますよ。

 自民党総裁の谷垣禎一・影の首相は、2011年10月15日のテレ東「田勢康弘の週刊ニュース新書」に出演。来月11日・12日のハワイでのAPECが期限となるTPP交渉への参加について、「TPPは情報が少ない。協議を全然しなくていいのかというとそうではなく、協議をしながら日本の姿勢を考えていく」と述べ、TPP(交渉)に参加すべきだと明言しました。

 谷垣さんは「農業だけが(JAの反対運動で)取り上げられているが、24の分科会があるんですね。与野党で、国論を収斂させていかないといけませんが、外交や安保の関係も考えれば参加しないわけにはいきません」と述べ、同党の衆院議員で元外相の高村正彦さん(山口1区)に取り扱いをゆだねているとしました。

 私はテレビを見ていて、谷垣さんの発言にはかなり驚きました。

 民主党内では、小沢グループから、「TPP反対論」が出ていますが、谷垣さんは民主党の財政・経済政策について、「民主党をみていると、(歳出の)分配だけなんですね。どうやって日本が自分の脚で立っていくのか。日本の良いところを引き出していかないといけない」と述べました。

 なお、復興債の償還のための増税と、3次補正予算(案)とその関連法案に書き込まれるJT(日本たばこ株式会社)の株式売却にからめて「葉たばこ生産農家はJTが全額買い入れることになっており、たばこ増税とJT株売却は認められない」とし、自民党の事情をあっさり認めながら、反論しました。ちなみに、番組では、谷垣さんが東大に8年間通ったことや、「大将なんだから」などをボードで示して、楽しく人柄を紹介しました。

 ところで、公明党は、斉藤鉄夫・幹事長代行はTPP(交渉)参加に前向きな姿勢をみせており、たばこ税については、石井啓一政調会長が「けっして否定的ではない。むしろ賛成の方が多い」と述べました。これは公明党が創価学会に頼らない「マイ獲得運動」により、農業者の支持者を増やしており、葉たばこ農家が被災地に多いことから、強硬な反対論があるものの、党としては賛成の方向性だと示したものだと考えられます。

 なお、再選した連合会長の古賀伸明さんら新執行部は14日、公明党を表敬訪問。公明党代表の山口那津男さんが「政策実現に向けてあるべき姿をともどもに追及していきたい」と語ると、「働くことを軸とする安心社会の実現をめざす」と述べました。15日付公明新聞が伝えています。

 小沢グループの孤立感が高まってきました。

 自給自足の農家か、それともビニールハウス(とは限らないけど)で高付加価値農産品をつくるか。設備投資はJAバンクか、あるいは政策金融、地域金融が使えるでしょう。戸別所得補償の品目であるコメを集荷業者、もちろんJAに限りませんが、集荷業者に全部出荷して、そのお金で、JAコープでもあるいは「コメリ」でもいいですが、米国産の安いお米を買う。まあ、太平洋を渡ってきたお米が輸送コストを加えて、日本産米より安くなるとも思えないんですが、盆暮れ用とそれ以外で違うお米でもいいでしょう。それと、農業者のみなさん、JAの言うままに、ハチマキして、シュプレヒコールをあげても、万歳するのは、JAの役職員だけですよ。私(37歳)たちの将来を奪わないでください。


「安住淳・財務省国対」に半年任せよう!

2011年10月15日 09時40分14秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 第179臨時国会は、2011年(平成23年)10月20日(木)に召集し、28日(金)に第3次補正予算案提出ということで、この21日(金)から27日(木)までの合計5営業日に国会は何をするのかと思っていたら、衆参の委員会で大臣の所信聴取と一般質疑をやるようです。

 私としては6月1日の不信任案提出からの一連の政治空白がまだまだ続いているようにも感じます。各委員会で、新閣僚が所信表明し、それに対する各党委員の一般質疑をすることを「店開き」と呼ぶようですが、東日本大震災から7ヶ月経って「店開き」をしている場合でしょうか。やはり6月の不信任政局への憤りは今もあります。ひょっとして、震災・原子力災害で、衆議院議員まで不安で心が落ち着かなかったことによる群集心理だったとすれば、失ったものはあまりに大きい。しかし、前に進むしかありません。

 政権政党・民主党があまりにも、党内での会議が多すぎるのですが、「国会での質問のチャンスが少ない」と言っていた政府外議員が、何でも聞ける一般質疑に起用されると、あまり大したことがない質疑をしているケースがたまにあります。もちろんできる人は、所管外の府省まで呼んで、しっかり答弁を引き出している。衆院議員にとっては、正念場ということになりそうです。

 第179臨時国会では、自民党も人事異動で、各委員会の理事や委員を変えてきます。政権交代をめざしながらも、なかなかベテランと中堅・若手がしっくりいかない自民党。そういう意味では私は谷垣禎一総裁というのは、時機にピッタリだと思うのですが、どうも日本ではリーダーを好き嫌いで論じる有権者が多いようです。ただ、来年9月の総裁選に向けて、どういう布陣を敷くか見所です。そして、来年の通常国会もおしりに参院選がないじっくりやれる国会です。おそらく自民党は平成24年度の赤字国債を発行する法案などを「人質」にして、早期の解散確約の見返りに採決に応じる作戦をとる可能性もあるでしょう。首相の野田佳彦さん、財務大臣の安住淳さんがストレスに耐え、どう対処するかカギとなりそうです。

 安住財務大臣(宮城5区石巻選出)は、14日の閣議後記者会見で、閣僚の資産公開について聞かれ、「クルマ2台流されましたから」「自宅兼事務所も来年、(確定申告で)雑損控除を財務省(の国税庁)に申し込もうと思います」と冗談めかして答えました。また、会見では触れませんでしたが、資産公開の対象でない親名義と思われる実家も浸水で全壊したはずです。本来は冗談めかして言えるような話ではありませんが、「頼れるアニキ」の精神力には脱帽します。そして、第178臨時国会の参・予算委での公明党の松あきらさんの「女性特有の病気」に関する答弁でも、自身のプライベートに踏み込んで答弁し、野田総理とともに法案に前向きだとされました。こういう、安住さんが国民にアタマを下げてお願いすれば、税制に関する各種の法案も必ず成立させられると信じて疑いません。

 安住国対委員長は大変優秀でした。野党時代からテレビ露出の多かった安住さんですから、有権者にも、いろいろな好き嫌いがあるでしょうが、与党国対というものは結果がすべてです。政権交代後の民主党国対委員長では唯一、ずば抜けた成績を残しました。会期中の在任期間がわずか2週間の樽床伸二・国対委員長は評価しようがない面もありますが、安住さんはずば抜けていました。

 「週刊ポスト2011年10月7日号」に興味深い記事があり、民主党政権下では、本来与党の仕事である国会日程を今は財務省がにぎっていて、財務官僚によると、「大臣室でやっているのは国会対策の作戦会議です」、「だから国対委員長だった安住さんが初入閣で財務大臣に抜擢されたんです」と話し、同省の官房文書課が国会日程を握り、動かしているとしています。また財務官僚の政界工作部隊は合計100人いるとしていて、勉強会などを通じて、国会議員室に気軽に出入りする関係をつくっているそうです。私もさる懇意にしてもらっている議員事務所にいたら、当時は財務省政務三役だった議員が帰ってきて、おつきの秘書官がすばやく私と名刺交換しました。私がジャーナリストと分かると、嫌そうな顔をして、そのままぴったり付き添って、事務所内の議員室に消えていきました。他に事務所内にいられる国会外の人物の存在を疎ましく感じたのでしょう。週1回定例の勉強会も事務所内でやっているそうです。他の事業官庁の政務三役と、廊下でバッタリ会って話しかけられると、お付きの官僚はニコニコしながら、鞄を持って立っています。財務官僚は他の府省の官僚とは明らかに優秀そうな風情をしており、嫌そうな顔をしてしまうところだけが弱点かもしれませんが、所作からして全然違います。

 私は来年の通常国会まで、安住財務省国対を基本的に支持したいと考えます。かなりご批判もあるでしょう。が、①ねじれ国会、②震災対応、③財政難、④世界的な財政・経済の不透明さ、⑤税と社会保障の一体改革法案(消費税率アップ)と⑥復興債償還財源の明確化(すなわち復興増税、法人税と所得税、個人住民税の時限的な上乗せ)の合計6つの課題を考えれば、ぜひ、短くとも半年(来年3月末まで)は、「安住財務省国対」に任せたいと考えます。

 すでに財務省国対は動き出していて、その状況証拠があります。それは先の第178臨時国会で、自民党などが成立を迫った3法案。この3法案のなかで、予算所要額が「(初年度)200億円」、「約649億円」、「15億円」の3法案のうち、「15億円の法案」だけが成立したことになります。ここに、「安住財務省国対」によるふるい分けがあったのではないかと感じます。

 「東電福島原発事故の調査委員会設置法」(10月7日公布、法律番号は112号)の所要額は15億円。それと、「二重ローン対策法案(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案)」(177国会参法12号、片山さつきさんら提出)、「東日本大震災に対処するための私学の建物などの災害復旧などの特別措置法案」(177国会参法21号、橋本聖子さんら)の合計3法案(関連を含めると4法案)でした。

  
その中で、「安住財務省国対」は郵政改革特別法案の修正による可決・成立をめざすことになり、郵政改革特別委員会がにわかに忙しくなりそうです。 

 大蔵大臣を「頼れるアニキ」と呼んだら失礼に感じられる方もいるかもしれませんが、相当きついでしょうが、安住淳さんに信なくば立たず、期待しています。


谷垣「影の内閣」改造 西村影の財務相、国交相には1月繰り上げの・・・

2011年10月14日 20時10分16秒 | その他

 9月の定例人事異動にともなう、自民党の谷垣改造影の内閣(シャドウ・キャビネット)が14日発足しました。9月30日の人事異動以来、2週間あまり、自民党のホームページの影の内閣のメンバーが谷垣禎一(たにがき・さだかず)影の首相以外は消えていて、「自民党ともあろうものが危機管理はどうした」「活動費が少ないときこそネットを使うべし」と思っていましたが、ようやくきょうの初閣議で承認されたので、ホームページに載りました。

 ちなみに、こうやって書いていても、影の内閣とか、影の首相という字面にはまだ抵抗はあります。ただ、英国の新聞の電子版をみていると、野党・労働党の影の財務相が政権担当時の2008年のリーマンショックの対応について反省の弁を述べたという記事が、電子版トップに載っていることはしばしば。マスコミも、「ネタ枯れ」なら、影の財務相のインタビューでトップをつくってもいいのではないでしょうか。

 私は自民党の影の内閣の試みを応援したいし、それはひいては、民主党も助かるし、日本のためになります。今までは、シャドウ外相といった表記をしていましたが、改造影の内閣からは、カギ括弧や説明を付けずに、西村影の財務相というように、どんどん使って定着させていきたいと考えます。

 谷垣影の内閣では、閣僚経験者は、合計4人。谷垣影の首相、茂木敏充・影の官房長官と、中谷元(なかたに・げん)影の官房副長官(衆)林芳正・影の官房副長官(参)と官邸政務三役は全員閣僚経験者となり、この辺に自民党の強さを感じます。


 
[写真]閣僚経験者がそろった影の官邸政務三役。左から、谷垣影の首相、茂木敏充・影の官房長官、中谷元・影の官房副長官(衆院)、林芳正・影の官房副長官(参院)

 ちなみに、茂木さんは谷垣さんの人差し指を突き出す「イチバン」ポーズの発案者で発信力があります。また、茂木さんは日本新党1期生なので、現在の首相、官房長官、与党政調会長と同期になり、パイプがあります。そして、中谷さんは元防衛庁長官、林さんは元金融担当大臣なので、ホームページは2週間空白でしたが(^^;)、官邸の危機管理は盤石という気がします。

[写真]谷垣禎一・自民党総裁(影の首相)の「イチバン」ポーズで、茂木影の官房長官らが考案したもの。左はYouTubeチャンネルからキャプチャ、右は自民党ホームページ、ともに第22回参院選用のもの。

 そして、影の財務相には西村康稔(にしむら・やすとし)さんが起用されました。将来の首相候補と位置づけたメッセージと受け取りました。第177通常国会でも、原子力賠償機構法や再生可能エネルギー法の修正による成立に実力を発揮しました。もう少し委員室のイスに座っていて欲しい物ですが、実力は折り紙付き。「あの暑い夏(第45回総選挙)の悔しさ」をはらすために頑張ってほしいです。

 影の法相は、柴山昌彦さんで、戦後になってからは40歳代の法相はいませんが、戦前の日本や諸外国では珍しくありません。

 
  
[写真]西村康稔・影の財務相(左)、柴山昌彦・影の法相(右) 

 影の外相には、小野寺五典さんが続投します。沖縄・北方担当の兼務は未定で、野田内閣が総務大臣(兼)沖縄・北方相という史上初の人事をしていますので、自民党の対応が注目されます。

 影の総務相は平井卓也さんで、政権交代後も衆・内閣委員会でがんばっています。ただ、平井さんは実家がテレビ局ですので、政権交代後に疑われることがないようにしてほしいのと、国交副大臣時代に、かんたんな数字の答弁ミスで野党・民主党に攻撃されることがあったので、野党時代にみっちり勉強して欲しいです。

 谷垣さんの今回の改造のミソは、望月国交相でしょう。ことし1月に愛知県知事選挙に大村議員が出馬したことで、補充の繰り上げ当選して5期生になった望月義夫さんが、影の国交相になりました。全国で、少ない活動費のなか、がんばる自民党支部長も、国政復帰すれば、望月さんのように、大臣がみえてきます。

 影の文科大臣には東京23区ながら小選挙区5連勝の下村博文さんがまさに専門中の専門で就任しました。官房副長官として、官邸の経験もあります。

 影の厚労大臣は、参議院から宮沢洋一さん。叔父の宮澤喜一首相の秘書官として官邸勤めの経験もあり、大蔵省主計局でも、社会保障を担当したことがあったのではないでしょうか。厚生労働は、とにかく財源との一体改革が必要です。キャリアと知見は申し分がありません。

 
[写真]宮沢洋一・影の厚労大臣(参院議員)。宮沢元首相の甥。

 影の農相には山田俊男・参院議員。JA組織内のスーパー族議員ですが、正直な一面もあり、「ネコの目農政」から、目に見える農政へ脱却できます。また、自民党政調会の長年の慣習により、水産部会長は牧野たかお・参院議員が指名されています。

 影の経産大臣は、菅原一秀(すがわら・いっしゅう)さん。この人はいろいろ評価が分かれますが、中小企業政策とパフォーマンスが上手いことは間違いないし、90年代以降の自民党のたたき上げ議員の典型的なタイプ(丸紅サラリーマン→ラグビージャージを着て選挙運動をし、練馬区議会トップ当選→都議→衆院議員)なので、小選挙区でも、地方議員出身者が勝てる。民主党の公募落下傘候補とは対照的なタイプの強さ、あるいは弱さを確認できる人事です。

 影の環境大臣には、福島県の代議士、吉野正芳さん。第177通常国会では、東京電力寄りの本会議演説で失望を買ったこともありましたが、その後は福島のため、衆参自民党議員で勉強会をひらき、東日本大震災復興特別委員会では、参院先議の野党の議員立法を衆院でうまく受け止めて修正しました。環境大臣はしばらく原発シフトが続くでしょう。民主党も原発に詳しい議員が、野田体制発足にともなう前回の国会から衆院環境委員に多く配置されています。

 
[写真]吉野正芳・影の環境相

 影の防衛大臣は、今津寛さんで、防衛副長官の経験があります。

 影の国家公安委員長(兼)影の内閣府特命担当大臣には、竹本直一(たけもと・なおかず)さん。この人はもう70歳ですが、衆議院でも頑張っていて、入閣候補ナンバーワンだと思います。


[写真]竹本直一・影の国家公安委員長

 影の内閣府特命担当大臣には影の防災担当大臣に長島忠美・元山古志村長

 影の少子化担当相などには、タカ派で知られる山谷えり子さん。

 さらに影の首相補佐官が新設され、首席に、逢沢一郎さん、そして、加藤勝信さん、赤澤亮正さん、1期生の齋藤健さんが任命されました。まさに衆議院の暴れまくるメンバーが、おそらく野党時代は国会での修正協議をリードしながら、政権交代をめざすということになるのでしょう。

 派閥領袖が一人も入っていないのはなぜか。影の副総理を10人ぐらいつくってもいいような気がします。

 影の閣僚は衆参委員会の筆頭理事は兼ねないとのことですから、衆参予算委員会に影の閣僚がドンドン出てきて、発言して欲しいと考えます。

 小野寺影の外相は宮城6区ということで、このところ、震災関連の発言が目立ちました。山田影の農相vs鹿野農相、宮沢影の厚労相vs小宮山厚労相の対決は、参議院の見物になりそうです。衆議院と参議院にわかれてしまうのですが、できれば党首討論(国家基本政策委員会)の衆参連合審査会で、影の閣僚が発言できるようにした方がいいのではないでしょうか。

 それから、茂木・影の官房長官は、政策の調整だけでなく、内閣法などの大胆な改革案をつくるという作業もしてほしい。それから、民主党などは、影の閣僚に若干の手当をだしたり、影の首相の若干の交際費を国庫から支出するルールをつくってしまってもいいのではないでしょうか。

 こういうのに入ってこない、派閥領袖なんか吹っ飛ばすくらいの突破力を谷垣イチバン影の内閣に期待します。新聞も、幹事長・国対委員長・政調会長は別としても、例えば総務会長独占インタビューといっても野党なんだから必要性が低いでしょう。いまだにアタマが切り替わっていませんよ、民主党の常任幹事会議長独占インタビューなんてみたことないのに。それよりも、「西村・影の財務相はこう述べた」でトップ記事つくった方がいいですよ。

 そして、苦しい生活のなか、奮闘する、自民党支部長は、やはり望月影の国交相をみて、「再選・初当選すれば、政務三役だ」という心がけで、あんまり上京しないで、今はたっぷり地を這い、本を読んで欲しいと考えます。

 定着させましょうね。まずは竹本さんの「影の国家公安委員長」を抵抗なく使いましょう!


第179臨時国会は、2011年10月20日(木)にも召集 「会期は12月9日までの51日間」浮上

2011年10月13日 19時33分50秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法


 東日本大震災が発生した2011年(平成23年)。その2回目の秋の臨時国会となる、第179回国会が、2011年10月20日(木)に召集される見通しが報じられています。当初会期は、12月9日(金)までの51日間とも報じられています。御幸日程の関係から、開会式は、10月21日(金)。

 3次補正の提出は28日(金)ということです。私は召集日に3次補正を提出するのかと思いましたが、ちょっと取材できていませんが、おそらく復興庁設置法案や、復興特区設置法案をさきに審議入りするのかもしれません。

 また、3次補正には、予算関連法案として「復興財源確保法案(仮称)」が提出されます。日本たばこ、東京地下鉄の株式などの税外収入と、復興増税のうち、国税である所得税の平成25年1月から平成34年12月までの4%の時限的な上乗せ課税、法人税では平成24年度から26年度までの法人税額に対する10%の上乗せ課税を盛り込む方針です。これについては、3党協議が必要となり、復興債の償還期間について「10年間」としているのを、自民党政調会長の茂木敏充さん(衆・栃木5区)、公明党政調会長の石井啓一さん(衆・比例単独北関東ブロック)の意見を受け入れて、民主党の前原誠司政調会長が柔軟に対応する姿勢をみせています。

 それと、参議院の各会派は第179回国会で、西岡武夫議長・尾辻秀久副議長が主催し、各会派の代表が参加している「(参議院の)選挙制度の改革に関する検討会」の新選挙区案(例:議長私案の9ブロック案や、公明党や社民党がそれぞれ出した11ブロック案など)のとりまとめのめどですので、ぜひ、新聞社やこちらも取材して欲しいと考えます。

 10月中は、秋祭りはありますが、与野党とも国会議員は、個別訪問びより。後援会員の弔問からはじめ、新規会員・団体・企業へのあいさつ、中には有力後援者に近所を引き回してもらっている人もいるようで、まさに衆院任期が折り返したんだなあ、と感じます。次の衆院選挙は定数削減でブロックでの比例復活が厳しくなるでしょうから、「与野党全候補が逆風」の選挙。衆院では、個別訪問で粘り腰をつくった人が当選するでしょう。

 鳩山由紀夫さんは2006年(平成18年)10月の国会で次のように語っています。「私は、ちょうど1週間前に、北海道の滝川市(略)というところの小学校6年生の女の子が、残念ながら昨年の9月に自殺を図られて、命を絶ってしまった、その御家庭のところにお邪魔をしてまいりました。お悔やみを申し上げてまいりました」「私はお線香を上げに参りまして、そこで、お父さん、実際に申し上げると妹さんのお子さんということでありました、でも、両親ということになっておるようでありますから、御両親のところに参りましたときに、文部科学省もこのことに関して聞き取りに来たようだ、しかし自分のところにはまだ来ていないという話を伺いました」と質問しています。

 なお、滝川市は中選挙区時代の地元で、小選挙区では隣の選挙区になっています。

 鳩山内閣の功績としては、自殺者の人数を前年同月比で減らし続けたことがあります。野党第1党の幹事長となっても、秋に個別訪問した話が、3年後に総理になったときのあまり多いとはいえない実績の一つになっていることから、ホントウに個別訪問は大事だと感じます。


参議院の動き:参議院ホームページ

平成23年8月26日(金)、西岡議長、尾辻副議長及び各会派の代表者が出席して選挙制度の改革に関する検討会(第4回)が開会されました。

検討会では、まず、各会派の代表者より、選挙制度の改革に関する案が提示され、検討状況及び意見が述べられました。続いて、選挙制度の改革について、意見交換が行われ、西岡議長から、今後の進め方について方針が述べられました。


時事ドットコム:臨時国会、20日召集=3次補正提出は28日-政府・民主方針

 政府・民主党は13日、東日本大震災の復興対策を盛り込んだ2011年度第3次補正予算案が最大の焦点となる次期臨時国会を20日に召集し、会期は12月9日までの51日間とする方針を固めた。3次補正は28日に提出し、同日に野田佳彦首相の所信表明演説と、安住淳財務相の財政演説を行う意向だ。
 民主党の平野博文国対委員長が13日午後、自民党の岸田文雄、公明党の漆原良夫の両国対委員長と個別に会談し、こうした日程を提示した。岸田氏は、20日召集について平野氏に「国会を早く開くよう求めてきたので、反対するものではない」と伝えた。民主党は14日に開かれる与野党国対委員長会談で、各党に20日召集を正式に示す。 
 平野氏は、自公両党の国対委員長に対し、3次補正の審議に先立ち各委員会で閣僚の所信聴取と質疑を行うことや、自公が強く求めている二重ローン救済法案の成立に努力する方針も伝えた。

会員制ブログ
「今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」
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http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65国政を理解し、自分の意見を反映させる上では、「日程感」をつかむことが大事です。「今後の政治日程 by 下町の太陽」では、今後予想される政治日程のうち、政局に影響を与えるものに絞って紹介していきます。ぜひご活用ください。


辛亥革命100周年、孫文ゆかりの岡田克也さんが向かったのは中国でも台湾でもなく、被災地だった

2011年10月09日 08時52分41秒 | 岡田克也、旅の途中

 おはようございます。

 いよいよあす、2011年10月10日、辛亥革命100周年となりますが、中国(中華人民共和国)での記念式典はきょう、北京・人民大会堂で開かれるそうです。台湾(中華民国)はあす式典をするようです。北京の式典には、孫文を助けた日本人の一人、梅屋庄吉のひ孫にあたる、小坂文乃さんが招かれているそうで、おめでとうございます。

 岡田克也さんのお母さん(保子さん)の実家である高田家にも孫文が泊まったことがあります。岡田さんのひいおじいさんに当たる人物で、高田隆平さんという方だと思います。なので、岡田さんも中国に行くのかと思いきや、金曜日から被災地に行っています。

 高田先生へ「博愛」孫文・・・という書が高田家の蔵に残っていて、おばあちゃん子だった岡田さんは、この書を1990年に衆院議員になった後に、表装を直して、衆院議員会館の自室に飾っていました。昨年から広い議員会館に移ったので、議員室から会議室に移して、より多くの人が見られるようになっています。

 

 国民新党の自見庄三郎・金融・郵政改革担当大臣は、昨年6月に、亀井静香さんと入れ替わりで入閣する直前に「孫文先生と私の意外な関係 - じみ庄三郎 日記 - Yahoo!ブログ」として、孫文が福岡に泊まった際に、自見さんのひいおじいさんのいとこである元衆院議員が一緒に写った写真を公開しました。



 まあ、ひいおじいちゃんのいとこということで、自見先生も名家ということになってきますが、これ以上自慢合戦になっても困りますね。

 岡田さんにしても、父方のイオンがあまりに有名なのに、母方も大地主かよ、と思われるのが嫌で、最近はあまりこの話はしていないのかもしれません。昨年に、外相として上海万博を視察したときには、「孫文と梅屋庄吉展」をみています。岡田克也さんは三重3区から出馬していますが、実は3区は岡田家の実家ではないんですね。岡田さんの実家は、伊勢湾に流れ出る三滝川の南側にあり、ここは三重2区です。ここは文部科学大臣になった中川正春さんの選挙区です。そして三滝川の北側が四日市市中心部で、三重郡菰野町も入っていて、高田家があります。そして、岡田さんがあえて三重3区を選んだかは、本人が公式に説明はしていませんが、郡部を含んだ選挙区の方が、固定票が多く連続当選しやすいからだと考えられます。

 この辺からも、岡田さんは父方も母方もお坊ちゃんだと思われるのが心外なのかもしれません。

 岡田さんは、今月になってから、岡山5区の花咲宏基さんの応援にかけつけました。ここは自民党が加藤勝信さんと村田吉隆さんのコスタリカの選挙区なので、「次は非常に厳しいがよろしくお願いします」と応援しました。このほか、岡山1区の高井崇志さんも応援しました。一部報道で、「来年9月の代表選をにらんでいる」ともされましたが、実際には、1年生議員の応援計画は白紙です。

 やはり、菅直人さんを民主党代表にかついだときの筆頭推薦人として、また、菅内閣がいきなり参院選で負けたピンチのあと、枝野幸男さんから幹事長を引き継いで、そして、あの「3・11」を党本部からサポートしたことから、被災地が気になるようです


[画像]退任が決まりホッとした表情の菅直人代表と岡田克也幹事長、8月、両院議員総会。

 私は菅直人総理はよくやったと思います。

 菅さんは元々嘘つきだと思っていましたが、菅総理自身は嘘をついていなかったと思います。ただ、周りが以前よりサラリーマン化していて、情報公開に脚がすくんだようです。側近によると、背中に氷柱が立ったような気分でいたそうです。また、菅総理としては、政府東電統合対策本部は別として、法的根拠がない組織には意味がないということを理解していなかった野党ボケと、危機管理の鉄則である「ワンボイス」(情報共有の窓口を徐々に統合すること)を知らず逆に「原発担当首相補佐官」などをつくってツーボイシーズ、スリーボイシーズと増やしてしまったことでしょう。

 イオン株式会社の中国への積極出店もあってか、岡田さんは親中派だと思われていますが、1年間の滞在歴があるアメリカおよび、中国、韓国をなるべく対等に考える国家観を持っています。

 岡田さんは次のように語っています。

 私は中国の皆さんにも知っていただきたいのは、中国にとって孫文というのは、台湾の国民党から見ても、中国の共産党から見ても、孫文というのは最初の創設者であると位置付けられていると思いますが、その孫文が不遇の時代に日本で、多くのそれを支援する日本人たちによって支えられていた。そういう時代があったということ。そして、それを支えるという空気が、日本の中にあったと。孫文を敬愛し、隣の国中国のリーダーとして頑張ってもらいたい。そのために危険を冒してでも支えた人たちがいた。たくさんの日本人がいたということを中国の人たちにも分かってもらいたいと改めて感じました

 100年前の日本は日露戦争に勝利した後のバブル期で余裕がありました。

 日本にはまだまだ遺産がありますから、こういった物を生かすと同時に、ひとりのリーダーをしっかりと育てる土壌をつくっていきたいものです。まず定数是正・定数削減のあと、衆参の選挙制度改革、党代表規約、国会法、内閣法などをトータル・デザインの下に改正することが肝要です。

 なお、当ブログでは、岡田さんと孫文のゆかりについては、たびたび言及していますので、それらのエントリーはこちらをクリックしていただくと一覧できます。


3次補正は9・5兆円増額、年間103兆円へ 歳入はほとんどが復興債 関連法案は「郵政成立」明記へ

2011年10月07日 23時09分00秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]財務省に初登庁した安住淳・財務大臣(財務省ホームページから)

 政府は2011年(平成23年)10月7日(金)の夕方、臨時閣議で、第3次補正予算(案)の基本方針と関連法案である「復興財源確保法案」を決定しました。このうち、3次補正は衆院で過半数を占める与党の可決で成立しますが、復興財源確保法案の成立には与党の外、少なくとも公明党の賛成が参議院で必要となるため、与野党協議のうえ、予算書を印刷し、第179臨時国会に提出します。

 すでに第3次補正予算案の「基本方針」と、復興債と集中復興期間の収入については、次の財務省ホームページに掲載されています。ぜひごらんください。財務省のこういった情報公開姿勢は高く評価します。

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2011/index.htm

 ただ、今回の書きぶりは、わざと分かりにくくしている面があるのと、3党協議に基づきといった、国会または政党が判断すべきことに言及しすぎている嫌いがあるのが残念なところです。

【3次補正は9・5兆円規模、年金財源2・5兆円を半年ぶりに元に返す。3党合意の子ども手当減額補正も、財源はほとんどが復興債】

 歳出の追加は、12兆円規模となりますが、実際の増額補正は9・5兆円となります。これは、毎年必要な年金の基礎年金部分の国庫負担2・5兆円に関して、公明党などの許しを得て、第1次補正で復旧に回したため、この転用分を復興債でまかない、半年ぶりに年金特別会計に返します。これは復興基本法で決まっていました。これは増額分から除きますから、ですから、平成23年度予算の一般会計の総額は、2次補正後の94兆7154億円から103兆3000億円程度になります。

 歳出では東日本大震災関連に9兆円を計上します。台風12号(奈良・和歌山など)関連には3000億円、菅直人首相の薬害肝炎訴訟の和解にともない新設する「特定B型肝炎ウィルス感染者給付金など支援基金」には、まずは500億円を出して基金を作ります。

 一般会計とは別に、日本公庫(日本政策金融公庫)に1・3兆円の財政投融資を追加しますので、震災・円高対策の融資枠を拡大するのだと思います。

 総務省は4月から地方交付税を(普通交付税分も含めて)被災自治体に前倒しで交付してきましたが、そろそろ1年間の全国自治体への配分計算から、交付に慎重になっていたとされています。そこで、一般会計で地方交付税を1・6兆円増額補正します。

 歳入です。復興債を11・4兆円発行する予定で、税外収入は500億円程度。また、これとは直接関係のない話ですが、8月9日の3党合意にもとづき、2000億円を歳出から減額しますので結果として「0・2兆円の財源」が生まれることになります。

 【3次補正予算関連法案(復興財源確保法案)は、郵政改革法成立を明記、前原さんの「言うだけ番長」は功を奏す】

 3次補正予算関連法案として、「復興財源確保法案」が提出されることになりました。ただ、現時点ではかなりあいまいな部分があります。

 まず大枠として、10年間の「集中復興期間」で、9・2兆円の復興増税と7兆円の税外収入を確保することになりました。当初は増税額は11・2兆円とされていましたが、税外収入の上積みで、9・2兆円に抑えることになりました。これは「言うだけ番長」とやゆされる民主党政調会長の前原誠司さんの意見が、財務副大臣や官房長官の意見をくつがえした気配がうかがえます。

 そして法案には、郵政改革法案と関連法案(176閣法1号~3号)を早期に成立させて、その後の日本郵政株式会社の経営を安定させた上で、日本郵政株を売却することが明記されることになりました。これは私はかなり驚きです。言うまでもなく、国民新党代表の亀井静香さんらの政治センスの高さの勝利です。日本郵政はゆうちょ銀行・かんぽ生命の手持ちの安定した資産だけで時価200兆円以上あると思われますので、その裏打ちによる「日本郵政株」の3分の1を売却すれば、かなりの額を期待できます。やはり亀井さんはすごいと認めざるを得ないでしょう。

 次期国会での郵政改革法案の審議は、反対姿勢を崩さない自民党との攻防が激しさを増しそうです。

 復興債はもともとは公明党のアイディアですが、井上義久幹事長が「復興特例勘定のようなもの」に別枠にして、会計を管理するとしていました。例えば、“国債整理基金特別会計復興債勘定”といったようになるのかなと思いますが、きょうの発表では、まだ置き場所が分かりません。この辺の透明性の確保は、デモクラシーの根本原理ですので、しっかりと制度設計をしてほしいと考えます。なお、復興債の償還について、民主党は10年としていますが、公明党からも「10年は短すぎないか」、自民党からは「建設国債と同じ60年というアイディアもある」との意見が出ています。予算関連法案は、これは衆参ねじれ国会ですから、3党協議が必要となってきます。できる限り、提出前に合意したいところですが、国会で修正のうえ、速やかな成立をめざすため、日本共産党、社民党、たちあがれ日本、新党改革などの力を借りる場面がでてきそうです。

 3党協議担当者は、正確な理解が必要ですが、民主党執行部はちょっと分かっていない気がします。最近では国会対策の主導権を財務省官房文書課ににぎられているともされています。政府外議員も含めて、直近の民意である衆参ねじれと3党合意、そして、そもそも予算書を読むという地道な作業が底上げにつながります。

 なお、念のため、「消費税の増税」は、税と社会保障の一体改革ですので、まったく関係のない話です。かりに混同していれば、国民、マスコミは反省すべきですが、もっとも反省すべきなのは、民主党です。こちらの法案は第180回(?)通常国会の後半国会で審議されることになる運びです。


ホッとしました 小沢一郎さんが週末退院へ 救急車で搬送も、「2~3日で退院できるのでは」と秘書が明かす

2011年10月07日 02時06分57秒 | その他

[写真]小沢一郎さんが入院した病院の正面玄関、2011年10月7日午前1時半、筆者撮影。

 小沢一郎さんが2011年10月6日(木)、「陸山会事件」の初公判の夜、東京・世田谷の自宅から東京・文京区千駄木の「日本医科大学付属病院」(日医)に運ばれましたが、6日深夜(7日未明)の午前1時45分頃、小沢氏のN私設秘書が取材に応じ、「7日記者会見を開く」とし、「退院のめどは2~3日(だろう)」との見通しを語りました。N秘書は半ズボンにセーターの普段着姿。小沢さんが「料理がうまい」「運転がうまい」とお気に入りのN秘書は昨夏の参院選では2人区の長野選挙区に小沢さんの名代として派遣されました。とりもとりあえず、普段着のまま病院まで付き添ったようです。すでに終電が終わった後でしたが、帰路に着きました。報道陣は技術スタッフを入れて、50人から60人ほどで、同病院の警備員のほかは、警察の警備や、政治家の往来は見かけず、とくだんの緊張感はありませんでした。


[写真]報道陣に説明するN秘書、2011年10月7日午前1時45分、筆者撮影。

 小沢さんは狭心症で42日間、この病院に入院して以降、検査もかねて、連休などに読書などのために入院することがあります。現在の自宅からは遠いですが、初当選時に住んでいた自宅から至近距離で、出身中学校(転入)、高校からも比較的近くです。向いには、ゴールデンウィークの大型連休に「つつじ祭」で有名な神社と、その森があることから、個室からの見晴らしはいいようです。私もたまに長距離の散歩をする際には、よく訪れている場所です。全国的には「丸山ワクチンの接種ができる大学病院」というと、通りがいい方もいらっしゃるでしょう。なお、狭心症の治療にあたった主治医は、すでに親の跡をついで開業しており、退職しています。

 
[写真]小沢一郎さんが入院した病院の救急受付、2011年10月7日午前1時40分、筆者撮影。

 小沢一郎さんは1991年に42日間入院したことで、その年の秋の自民党総裁選で、竹下派(経世会)内の「海部総裁(河本派)続投」、「竹下再登板」、「小沢擁立」の3枚のカードから外れてしまい、海部続投、竹下再登板のカードもなくなったことで、竹下派と河本派は、他派閥の候補を応援して、団結力をアピールする方針に転換。このときに、退院後の小沢・経世会事務総長が総裁に名乗りをあげていた3人を選ぶ役回りを得ましたが、小沢さんの体調に考慮して、宮澤喜一元蔵相(宮沢派=宏池会)、渡辺美智雄元蔵相(中曽根・渡辺派=政科研)、三塚博元通産相(三塚派=清和会)の3候補が事務所を訪れたことから、「面接」と揶揄され、現在にいたるまで、小沢氏の「剛腕(あるいは傲慢)」イメージを定着することになりました。このため、小沢氏は総裁選出馬経験がありません。  

 来週以降の、公判への影響はまだ分かりません。

 とはいえ、まずはホッとしました。


 ◇

 なお、この記事のように、他の媒体のように、事象を煽る(あおる)ことで、関心を高めることなく、なるべく、素直な心で、当ブログを書き続けていきたいと考えています。

 今回も自転車で行こうかと思ったのですが、かなり激しい雨だったので、やむを得ずタクシーを使い、行きが1700円、帰りが1430円で、往復で合計3130円かかりました。

 ぜひ、確かな取材、情報源に近づけるために、「国会傍聴取材支援基金」にご協力いただきたく存じます。

 詳細は、次のリンク先(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/e8879dfc5196cbd00d79ece544842407)でお読みいただけます。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 どうぞよろしくお願いいたします。