さあいよいよ、年越しです。何もなければ、これが2011年、平成23年、最後のエントリーになると思います。
昨年末(2010年末)のエントリーで、「じつはきょう、気付いたんですが、学生・記者・支持者として、支持政党が1月1日~12月31日、与党だったというのは2010年が私にとって初めての経験だったんですね」と書きました。
そして、2011年、私にとっては支持政党(民主党)の支持するグループ(良識派、野田・岡田グループ)が主流派として政権の重荷を背負い続けた初めての1年となりました。通常国会冒頭から衆参ねじれ。そして、東日本大震災と原子力発電所爆発。あまりにも重すぎる重荷でしたが、年を越すことができます。
ことしの国会会期は289日となり、1月召集になってからは最多開催日数でした。私の国会傍聴ノートはことしの9冊目の途中です。2007年8月の第167臨時国会から昨年末までが合計10冊でしたから、1年で倍増したくらい、中身の濃い一年でした。
私にとって、ことしイチバンの思い出は、8月9日の「3党合意」です。私の頭の中は、ことしのはじめから、「どうやったら平成23年度の特例公債法案(赤字国債発行法案)」を参議院で可決、成立させるか?」ずっとそればっかり考えていました。例えば、順次シャットダウン(政府の一部の窓口の閉鎖)する計画を出して野党に迫るとか、財政法4条(赤字発行の原則禁止)を改正法案を出すだとか。そして、何より両院協議会のルールを改める。例えば、衆院と参院、それぞれの「院議」の10人が選ばれる両院協議会協議委員を、院の選挙で選ぶことにする。そして両院の議長がそれぞれドント方式で指名することにしたらどうか。そうすると衆院の7人が与党、参院の4人が与党になり、協議委員の過半数が与党になる。これはいい! と思いきや、両院協議会のすりあわせ案(協議案)は過半数ではなく、協議委員の3分の2以上の賛成が必要だと指摘され、がっくり(国会法92条)。そうすると運用面の見直しではにっちもさっちもいかないので、国会法改正案を野党にお願いするしかないのか。まさに苦悩の日々でした。
そのときに、民主党幹事長だった岡田克也さんが、腹心に次のように話していることを知りました。
まあ、なんとかなるものだ。
私はこの岡田さんの言葉を知ったときは、ずいぶん楽観主義な人だなあ。腹心もその言葉の意味をつかみかねていました。おそらく岡田さん本人も根拠はなくそう言っていたのでしょう。私も「まあ、岡田さんが言うならそうなのかなあ」と思いつつ、私も必死にあれこれ考えました。このころ、岡田さんは、公明党の井上義久幹事長に、米政府でシャットダウンの経験があるルービン元長官の回顧録をプレゼントしようとし、「失礼だ」と怒られたという記事がでました。2月17日には、民主党16人組の会派離脱があり、衆院での3分の2再可決(日本国憲法59条)が絶望的になりました。憲法のすきまを突かれた格好です。2月28日予算案が衆院を通っても、衆・財金委では特例公債法案が審議入りしませんでした。心配で委員会の理事に聞いたところ、「与党側の古本伸一郎筆頭理事、大串博史次席理事が頑張っている」と聞きました。参予算委の日程を考えて、「朝8時~9時、昼12時~13時、夕方17時~の審議をお願いしているが、野党側の後藤田正純筆頭理事が言うことを聞いてくれない」と知りました。そして、3月7日(水)にやっと、特例公債法案が夕方の2時間だけ審議入りしました。ここで後藤田さんは「自民党は(夜なべならぬ)朝なべ、昼なべ、夕なべ審議も良いと言っていました」と発言し、この人は苗字は立派だが、野党らしさを誤解したとんでもない議員だと憤慨しました。そうしたらすぐに東日本大震災が発生し、財金委での審議は無期限でストップしました。その後、後藤田さんは六本木をぶらぶらしていて、週刊誌のグラビアに不倫写真が載り、筆頭理事を辞任し、謹慎しました。野党第1党といっても、抵抗野党と政権準備党があり、自民党は政権準備党であるっことを忘れていたのでしょう。後藤田さんは天の戒め、私はとらえています。
それはさておき、この「2・17ショック」と、「3・11大震災」以降の真っ暗闇に光明がさしたのは、6月5日(日)の朝でした。不信任否決の次の週の幕開けの朝。日曜朝の政治討論番組というのは、アメリカのほか、先進各国いろいろな国であるそうです。とはいえ、そこに呼ばれる政治家はごくわずかです。この朝は、午前7時30分からの台場のフジテレビ「新報道2001」に岡田民主党幹事長と石原伸晃自民党幹事長の2人が呼ばれました。そして、国会近くのNHK千代田放送会館に移動しての、午前9時からの「NHK日曜討論」は岡田、石原両幹事長に加えて、井上・公明党幹事長、国民新党の下地幹郎幹事長ら9党の幹事長・書記局長の出演ということになっていました。
新報道2001では、岡田さんは「菅総理が「一定のめど」(で退陣する)と言っているのだから、いつ(特例公債法案を成立させるか)という議論をしてほしい」と話すと、、石原さんは「菅総理は99%レームダックだ(から時期の議論は無用だ)」と挑発しました。その後、子ども手当、バラマキ4Kといった話題が続き番組の終了時間が迫ってきました。石原さんは「民主党内をまとめてほしい。岡田さんと話しても、(民主党内の)もう一方の原理主義者の人たちが岡田さんたちを後ろから鉄砲で撃つ。私たちは一本になった民主党と話したい」と話しました。ここで、岡田さんは「党首選になると大きなテーマになる」と初めて代表選前倒しに具体的に言及。石原さんは「選挙ごとに自民党300・民主党100、自民党100・民主党300とスウィングする選挙制度は好ましくない」として、今は「その過渡期にある」と発言しました。私は石原さんは二大政党論者だとは思っていましたが、このとき初めてハッキリした言葉で確認しました。これに対して、岡田さんは「私は期限付き大連立をして、次の総選挙に臨みたい。政界再編はこの20年間やってきて、またやるというのは時間の無駄になる。次の任期まで解散しないという約束で、大連立し、税と社会保障の一体改革などに一緒に取り組んでほしい」と応じました。
このとき、二大政党幹事長の腹合わせが、テレビという公共の場で、生放送でできた瞬間だ、と私は考えています。自民党幹事長と社会党書記長が料亭で腹合わせをしていた時代とは違い、オープンでクリーンな政治が国難もあいまって実現した瞬間だ、と私は考えています。この後、岡田さんと石原さんはお台場から、国会近くのNHK千代田放送会館に移動します。おそらくケータイで話したりしていないと思います。お互いの腹合わせができていたでしょう。
NHK日曜討論は、二大政党幹事長に加えて、中小政党の幹事長・書記局長も加わり、スタート。この番組は必ず与党第1党の出席者から発言します。岡田さんはのっけから「退陣の時期を明言すれば、菅内閣はレームダック化する」と予防線を張りました。この後、野党第1党、野党第2党、野党第3党の順に発言し、与党第2党の国民新党の下地幹事長の番になると、下地さんは「大連立の話もあるけど、こんなに(民主)党内がまとまらないのに大連立はない、と岡田幹事長にも(先週?)いっぺん話したがまた話題になっている」と切り出しました。おそらく下地さんはフジテレビを見て、大連立で国民新党が埋没することをおそれてこう切り出したのでしょう。政治センスの優れた人だと感じました。番組中盤で、岡田さんは「特例公債法案も人質にとると、どの党が政権をとっても立ち往生する。自民党も責任を共有してほしい」とし、大連立を惹起させます。そうすると、みんなの党の江田憲司幹事長が「大連立と言っても、閣議は全会一致だから、ハンコを押す、押さないという話になる」と徹底抗戦。共産党書記局長の市田忠義さんが「国難だから大連立、となると大政翼賛会的になる」としながら、「やるなら期限とテーマを区切るのが秘訣だ」と助け船を出してくれました。ここで岡田さんは「期限とテーマを決めて大連立をやっていく」と応じました。そうすると下地さんが「大連立という言葉を岡田幹事長が使うこと自体、驚きだ」と述べ必死にブレーキをかけます。が、岡田さんは「解散しても、民主党も自公もともに参議院で過半数をとれない」とさらにアクセルをふかしました。ここで、石原さんが「岡田さんの言うように、解散しても参院は変わらない。数ヶ月から半年ぐらいは信頼関係ができていれば、大連立はあり得る」と述べ、この時点で、民自大連立構想が完成しました。東北ブロック選出で大震災対応に没頭していた井上幹事長は、フジテレビを見ていなかったのでしょう「大連立ではなくテーマを区切って協力すべきだ」と述べるのが、この日は精一杯でした。
この平成23年6月5日朝の二大政党幹事長のオープン腹合わせ。これは6月2日の不信任政局を主導した民主党の小沢一郎さん、自民党の森喜朗さんら「1969年初当選の当選14回生」を、岡田さん、石原さんの「1990年初当選の当選7回生」が日本政治の時計の針を回した歴史的瞬間だった、と私は認識しています。
翌日の記者会見で、岡田さんは「まず「大連立」というときに、それが自民党とだけではなくて、既に与党として連立を組んでおります国民新党、それから公明党など他の政党も視野に置いて連立を組むことを「大連立」と言っている、私は少なくともそういう意味で使っております」とし、テレビでは突き放したように思えた国民新党、公明党もしっかりと仲間に引き込みます。この瞬間に3党協議体制が誕生したと言っていいでしょう。3党合意とは、民主党幹事長が国民新党幹事長から一任を取り付けた上での、民自公3党協議です。具体的には、実務者のレイヤー(層)が民主党が城島光力さん、自民党が鴨下一郎さん、公明党が坂口力さん。政調会長レイヤーが、民主党が玄葉光一郎さん、自民党が石破茂さん、公明党が石井啓一さん。幹事長レイヤーが民主党が岡田克也さん、自民党が石原伸晃さん、公明党が井上義久さんの1990年初当選トリオでした。
この前提として、玄葉さんが主導した4月29日(祝・金)の3党政調会長合意による、第1次補正予算と関連法案の5月2日(月)の成立がありました。そのうえで、「大連立構想」で3党の枠組みをしっかりと固めて、6月22日(金)の3党幹事長による「辞任3条件」、8月9日(火)のマニフェスト見直しと引き換えの特例公債法成立への「3党合意」に結びつきます。そして、8月26日(金)の参院本会議で特例公債法案や再生可能エネルギー法案が可決し、成立しました。そして、直後に菅さんが笑顔で総辞職を表明しました。いろいろあったので私も勘違いしがちですが、実は本質は「総理のクビと引き換えに野党に特例公債法を参院で賛成してもらって成立させる」という当初から最も有力だったシナリオ通りだったんです。ただ、第2次補正予算と再生可能エネルギー法のおまけがついたうえ、7年ぶりに同じ人が日本首相としてG8・G20サミットに出席できました。
さて大連立構想ですが、いまだに民主党・国民新党は自民党、公明党は大連立していません。この6月5日の「大連立構想」はいったい、どういう意味だったんでしょうか。それは岡田さんと石原さんらの腹の内にしまったままです。これは情報公開法の特例措置として、永遠に公開されません。
さて。
まあ、なんとかなるものだ。
大晦日になって、その通りになって、その意味がだいたい分かった気がします。
つまり、社会とは、国家とは、国会とは、相手があって初めて成り立ちます。だから、相手が困り果てて、倒れれそうになったら、敵だろうが味方だろうが相手は支えてくれるはずです。なぜなら、ホントウに相手が倒れたら社会そのものが成り立たなくなってしまい、自分の存在もなくなってしまうからです。
今年は多くの命が彼岸に行きました。これも現世だけではなく、彼岸も同じ社会だという考えに立てば、すべてに応用できると私は考えます。そうすると、来年の通常国会の懸案となる消費税増税法案も彼岸も此岸も同じ社会だと理解しているオピニオン・リーダーはいますから、必ず国民の納得は得られて、なんとかなるものだ。さらに現世においても相手は増えています。ことし地球の人口は70億人となりました。IT化も含めて、グローバリゼーションは進む一方です。現世においても、社会における、相手は増えています。この時間的な広がり、空間的な広がりの中で、私たちは恐れることは何もありません。ただひとつ、恐れるべきことは足がひるんで、内に籠もることです。
私はこの1年間、ホントウに良い勉強ができましたし、自分に自信を持ち、自分自身成長できたと実感します。与党がキツイという感覚もなくなりました。
東日本大震災により、当ブログをお読みいただくみなさまも、様々な環境での年越しとなります。しかし、大震災による著しい経済困窮、財政の逼迫といったさまざまな不利益は、どこに住んでいようが、分かち合い、支え合う。それができない人は国民ではありません。今の私はそう思うし、それを100%の自信と確信を持って言えます。だからこそ、震災や原子力災害で痛んだ人にも確信を持って、次のひと言を100%の自信と確信で申し上げて、年を越します。
まあ、なんとかなるものです。
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[写真]第44期衆議院解散の直後に、引退の金田誠一代議士を中心に民主党北海道連メンバーの集合写真に収まる石川知裕さん=左写真の右端=ら。2009年7月21日午後3時ごろ、民主党本部、筆者撮影。
2012年(平成24年)1月6日(金)に札幌市で結党記者会見する「大地・真民主党」に参加する北海道11区(帯広市など十勝支庁)選出の衆院議員、石川知裕さんは当ブログの単独取材に答えて「民主党に帰りたい」との本音を述べました。
【追記 2012年1月9日 午後2時半】
「大地・真民主党」は2012年冒頭に、総務大臣に政治団体の改称届を出して、「新党大地・真民主」に改名したうえで、結党会見にのぞみました。【追記おわり】
石川さんは、2009年8月、民主党公認で2度目の当選を果たしましたが、2010年1月に党に迷惑をかけないため、自分の判断で離党届を出しました。
石川さんは「民主党に帰りたい。でも帰してくれない」と本音を漏らし、「復党願は口頭で、地元の総支部から(道連に)してもらっている」と述べ、民主党北海道連の公募で「最も若いのに最も政治経験が長い」(当時の道連代表の鉢呂吉雄さんら)という理由で合格した北海道11区の民主党公認候補1号として、民主党愛を述べました。
石川さんは「本籍は民主党、連合」としたうえで、「次の選挙が近くなってきたので総合的に判断した」と「大地・真民主党」入りを説明しています。「党名に民主という文字を入れてほしい」とお願いしたのは石川さんのようです。
院(ハウス)での活動についても、「次の通常国会で農林水産委員でいられるかどうかはまだ分からないが、国会の中での活動を考えると、制約がある無所属ではなく与党会派として活動したい」と述べました。石川さんは離党後の2010年11月16日の第176臨時国会の農水委で質問時間を分けてもらい、「無所属の石川知裕でございます。質問するに当たりまして、民主党、与党の中から、また自民党の方にも御理解をいただいて、お時間をいただいたことに感謝申し上げたいと思います」と述べながら、野党時代からかかわった「六次産業化法案(民主党閣法)」および「農商工連携法案(自民党対案)」について質問しました。これは石川さんが党人議員として初めて「プロジェクトチーム事務局長」を任された記念すべき法案で、政権交代により閣法で提出、成立しました。が、ことしも同じく衆院農水委員を務めましたが、質問の機会はありませんでした。
内山晃さんら9人の衆院議員が設立する新党について、内山さんは「野党として活動する」と述べました。石川さんは「内山さんの動きとは全く別の動きだ」「あくまでも民主党系の与党だ」と強調しました。
北海道11区には、中川昭一さんの奥さんである、中川郁子(なかがわ・ゆうこ)さんが自民党支部長に就任し、第46回衆院選に出馬します。中川支部長は地元紙に「鈴木代表も地域のことを考えて新党を結成したのだと思う。私も支部長として地域のためにやるべきことを一生懸命やっていく」と述べました。
石川さんは十勝の厳冬よりも厳しい闘いを強いられることが確実な情勢になっています。
なお、この石川さんの「本籍は民主党、連合」「与党会派」発言により、民主党反主流派による離党ドミノの動きにブレーキがかかる可能性が出てきました。
石川知裕議員、新党参加に「本籍は民主党」|WEB TOKACHI-十勝毎日新聞
新党大地代表の鈴木宗男前衆院議員(63)は28日、民主党を離党し無所属の石川知裕衆院議員(38)=道11区=、同党を除籍された松木謙公衆院議員(52)=道12区=らと新党「大地・真民主党」を結成し、総務省に届け出た。新党に参加した石川議員が29日午前、帯広市内で十勝毎日新聞社のインタビューに答えた。
−新党への参加を決断した理由は。
政権交代の原点に返り、約束した公約を守れるように努力したい。民主、連合、新党大地の連携を維持し、衆議院の中で協力関係を保つために決断をした。大地からの誘いをむげに断ることはできない。私の本籍は民主党、連合にある。そこは鈴木代表には理解してもらっている。今までの連携を崩さないのが鈴木代表の意向なので、政党名にも「民主」を入れてもらった。
−地元の連合から反発も予想されるが。
連合の政策を実現するためと考えている。TPP(環太平洋連携協定)反対や消費税について政策上は何ら変わりはない。協力してもらえるよう努力する。今までと政治スタンスは全く変わりない。
−次の衆院選は新党から出るのか。
今後どういう展開があるのか分からない。民主党が受け入れてくれれば、復党したいという従来の気持ちに変わりはない。
−無所属での活動は厳しかったのか。
与党の皆さんの応援をいただき予算の獲得や、農林水産委員会にも所属して十分活動できたが、一定の制限はあった。私は政党交付金で事務所運営は一切していない。(今後は)代表質問の可能性もあり、国会で有権者から見える活動ができるようになる。
十勝の民主、支援継続も複雑
新党「大地・真民主党」に石川知裕衆院議員が参加することに対して、十勝の民主党関係者は一定の理解を示し、石川議員の支援を継続する構えだ。ただ新党は民主との連携を明確にしておらず、「今までと同じようにやっていけるのか」と複雑な声も漏れた。
石川議員は民主党から支援を受ける手前、無所属の立場を維持する考えだった。関係者は「政党要件(5人の国会議員)を満たしたい同郷の鈴木宗男さんから強く参加を求められ、断れなかったのでは」とみる。
石川議員は28日夜、帯広市内で開かれた連合の会合に出席。「いろいろな動きが出るが(私に)政治判断は任せてほしい」と語った。直後に新党結成のニュースが流れ、連合十勝の幹部は「新党でなく会派の話と受け止めていた」と驚く。この幹部は「引き続き応援するスタンスで落ち着くだろう。TPP(環太平洋連携協定)や消費税など基本政策を変更したわけではない」と受け止める。
民主党道第11区総支部代表代行の池本柳次道議は「地元として石川さんを支える方針は踏襲する。政権与党の一翼を担い、TPP阻止、消費税反対の発言力を高めるという目的は有権者にも説明が付く。(支持者の)みんなの気持ちと一致している」と話す。
複雑な声も出ている。民主党帯広代表の三津丈夫道議は「個人としては石川さんを支えたい。しかし無所属だから民主党も動けた。今までと同じスタンスでいけるのか民主党道連との関わりもあって微妙だ」と述べ、道連と新党の政策提携の行方を注視する。次期衆院選で民主党として石川議員以外の候補を擁立する可能性は否定した。
一方、自民党道11区支部の中川郁子支部長は「鈴木代表も地域のことを考えて新党を結成したのだと思う。私も支部長として地域のためにやるべきことを一生懸命やっていく」と述べる。
同支部の大谷亨幹事長は「石川さんは、鈴木さんの全面支援でやってきた。その意味で特別大きな変化があるとは感じない。ただ道内も含め民主党そのものがどうなるのか、今後の動きは注視したい」とする。
共産党十勝地区委員会の佐藤糸江委員長は「違うことをして注目を集めようということ。公民権を停止される人がトップとは何を考えているのか。真剣に国民や政治のことを考えているとは思えない。(新党の)名前も無節操」と批判した。
「宗男新党」大地・真民主党届け出(日刊スポーツ)
新党大地の鈴木宗男代表(63)が28日、総務省に自ら代表を務める新党「大地・真民主党」を届け出た。この「宗男新党」に、横峯良郎参院議員(51)が、民主党を“電撃離党”して参加するほか、松木謙公氏(52)ら国会議員5人が集い、30日に結党会見を開くことが分かった。この日、民主党では内山晃衆院議員ら9人も集団離党を表明したが、宗男氏は9人との連携を否定した。民主ドミノ離党は、政界再編もにらんだ複雑な動きを見せ始めた。
宗男氏は日刊スポーツの取材に、松木、横峯両氏のほか、無所属の石川知裕衆院議員、平山誠参院議員、新党大地代表代行の浅野貴博衆院議員が新党に参加すると明かした。石川、松木両氏は、同じ北海道が地元で、以前から支援を表明していた。平山氏とも親交があり、同氏と親しい横峯氏の参加が実現。平山氏は「鈴木先生のもとで鍛え直してほしい」と、横峯氏を紹介したという。宗男氏ら5人は30日に札幌市で結党会見を開く。
今月6日の仮釈放後、宗男氏の動きは早かった。9日に民主党の小沢一郎元代表を訪ねて、新党構想を報告。小沢氏に近い松木、石川両氏は除名、離党で民主党を離れ、現在は無所属。小沢氏も宗男氏とのタッグ結成を歓迎したという。水面下で温めた「宗男新党」構想を、年末の土壇場で形にした。宗男氏は、この日夕にも小沢氏を訪れており、新党結成のあいさつをしたとみられる。
またこの日午前、民主党では内山晃衆院議員ら9人も離党を表明したが、宗男氏は「9人とは別の動き」と述べ、内山氏らの動きと一線を画す考えを示した。
一方、所用で海外に滞在中の横峯氏は日刊スポーツの電話取材に「党は消費税も上げるというし、八ツ場ダムの建設も決めた。公務員削減にも手を付けていない。こういうことも含めて、民主党は国民と約束したことを何もやっていない。それに比べて橋下(大阪市長)はやっている。橋下氏のようにやらなければならない」と主張した。
突然、表舞台に登場した宗男新党だが、「数合わせ」の批判も予想され、今後の展開は未知数だ。亀井静香国民新党代表も石原慎太郎東京都知事を担いだ新党に意欲を示し、内山氏らとの連携も取りざたされる。1日で10人が集団離党する異例の展開となった民主党内は、今後も波乱含みだ。
[2011年12月29日7時56分 紙面から]
野田政権に大打撃 民主、若手9人が離党届を提出 - MSN産経ニュース
野田佳彦首相が目指す消費税増税などに反発する民主党の内山晃衆院議員(57)=千葉7区=ら9人が28日午前、国会内で樽床伸二幹事長代行に離党届を提出した。内山氏らは、すでに党除籍(除名)となっている松木謙公衆院議員(52)=北海道12区=と年明けの新党結成に向けて連携する意向で、野田政権にとって大きな打撃となる。
離党届を提出したのは、内山氏のほか、渡辺浩一郎(67)=比例東京▽豊田潤多郎(62)=比例近畿、斎藤恭紀(42)=宮城2区▽中後淳(41)=比例南関東▽石田三示(59)=比例南関東▽三輪信昭(69)=比例東海▽小林正枝(40)=比例東海▽渡辺義彦(55)=比例近畿の各衆院議員。9人は午後に国会内で記者会見する。
党執行部は離党をとどまるよう慰留に務める方針。1月下旬に開かれる党常任幹事会で正式に対応を決める。
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[写真]総理(民主党代表)の野田佳彦さんと民主党税調事務局長で衆院議員の古本伸一郎
年末のうれしい誤算というよりも、ちょっとした感動を覚えています。
我が党(民主党)は2011年12月29日(木)午後3時から、税制調査会および税・社一体改革調査会の合同総会を開き、平成21年に天皇陛下が公布した「税制改正法」の104条にもとづく消費税増税準備法案の素案を協議しました。途中からは、国賓としてのインド訪問から帰国した民主党代表で総理の野田佳彦さんも出席し、「2014年4月から8%、2015年10月に10%に引き上げる」という素案を午後11時45分ごろ、決定しました。私は年内の決定は難しく年越しした方が党のためだと考えていましたが、54歳の野田総理の「政治家の集大成」という強い言葉もあり、年内決定に成功しました。男子の本懐です。とくに、反対派が退席するというかっこうをとり、まだまだ足もとに及ばないとはいえ、半世紀にわたる政権政党、自民党に似た、政権担当能力がある保守二大政党として民主党が成熟しつつあることを感じました。万感の思いがします。
民主党が素案を決定したことで、年明けの自民党の対応が注目されます。
このほか、消費税増税の際の景気弾力条項、低所得者向けの給付付き税額控除、議員定数削減、行政改革法案の成立、所得税の累進課税の最高税率の再引き上げなども決まりました。
そもそも、平成21年度税制改正法は第44期衆議院と第21期参議院の議決により、天皇陛下が公布したものであり、その附則104条に、その時点の内閣総理大臣が従うのは、法治国家、デモクラシーにおいて当然のことです。マニフェストに違反したのではなく、マニフェストが甘かったのです。そういったなかで、自民党経験のある藤井裕久税調会長だけでなく、税調事務局長の古本伸一郎さんの力は特筆に値します。古本さんは民主党で初当選し、民社協会員ですから自民党経験はありません。私は恥ずかしながら、与党税調の取材経験がこれまでありませんでした。ただ、12月9日でことしの国会が終わり、旧新生党筋から「税調はおもしろいよ」とのアドバイスを受けたので、平成24年度税制改正大綱の策定作業から、ちょっとだけですが勉強させてもらいました。民主党税調は野党時代から「租税特別措置のシンプル化」の筋を通し続けており、これは政権交代してからもうまく行っています。例えば、「ナフサの免税を恒久化」しましたが、これは「減税の粗特の廃止」であり、野党時代からの民主党税調の基本方針を踏襲したものです。この一連の作業の中で、記者向けブリーフィングを一人任された古本さんは、農林漁業燃料用A重油の免税の粗特が、実は、国税収への影響が28億円減収でしかないとして、こういった差配で、自民党が長年、票と政治資金を集め政権を維持してきたことに驚く、という趣旨のディスクロージャーをしました。そして、党税調という名称はことしが初めてで、どの程度オープンにするかについて、「自民党がどうやっていたのか、ぜひ記者の皆さん教えてください」と頭を下げました。民主党で最も選挙が強いとされる古本さんですが、何度も言及していますが、政権交代直後のNHKスペシャルでは、財務政務官で「いやあ、自民党は長年こんなに大変なことをしていたのか」と発言し、その「弱さのディスクロージャー」は番組冒頭から、使われました。昨年の「税制改正プロジェクトチーム」では中野寛成会長・古本事務局長の「民社協会コンビ」の信頼関係と阿吽の呼吸だったようですが、今年は藤井裕久さんと政権交代直後の「財務省政務三役コンビ」で、総理官邸を何度も訪ねて、野田さんの勇気と含めて、年内にまとめました。やはりトヨタで通用する人はどんな世界でも通用するのだな、と再認識しました。自民党出身者と民社協会員を軸に、「新しい保守政党」として、わが党が、自民党の足もとに近づいてきた感じがします。民主党の青春、民主党の挫折を経て、民主党の成熟を感じます。結党15年目を迎える来年2012年は、結党時にあった総務会(横路孝弘・初代会長)を復活させるのもいいかもしれません。総務会は社会党議員の牙城となったので、廃止したのですが、今後は、政務三役として使えない小沢グループや社会主義政党出身者の連中のガス抜きもかねて総務会をつくってもいいかもしれません。
民主党の中には、「穏健な多党制が理想」などという訳の分からないことを言う連中が大臣にすら居て、頭を抱えます。しかし、我が党の進む道が、政権交代可能な保守二大政党の片割れであることしかないことはすでに明白です。古本さんと同じ愛知県連所属の社会保障と税の一体改革担当大臣ですが、あまり存在感がありませんでした。2009年5月の代表選では良い判断をした政治家なので、今後に期待します。
第180通常国会に提出する消費増税準備法案は、「所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)」の附則104条です。この「平成21年法律第13号」とは、平成21年において、天皇陛下が日本国憲法第7条により、13番目に公布なさった法律です。そして、民主党の2009マニフェストはこのあとに発表されたものです。ですから、消費増税準備法案を3月までに提出することは、天皇の国事行為と日本の法体系に基づく内閣の義務であり、民主党マニフェストに優先します。すなわち、マニフェストに違反しているのではなく、マニフェストの見通しが甘かったのです。それを理解できない、小沢グループや社会主義者は、我が党から去るべきです。とはいえ、議席はあるので、当分は、総務会的なかっこうの党内議論に参加し、一定の段階で退席する。そういうことにすればいいのではないでしょうか。
なお個人的には、たったの10%ではなく、できれば、16%ぐらいまで上げて、自治体へ半分ぐらい配分してもらいたいと考えます。消費税は地域による偏りが比較的少ない税目なので。それにしても、代表無くして課税なし、税とはすなわち政治なりという感じがします。そして、我が党が古本さんというニューリーダーを得たことに希望を感じます。ピンチはチャンス、苦しいときが伸びるとき。まさに「民主党の成熟」です。そういえば、藤井財務大臣、野田副大臣、古本政務官というラインアップでしたね。野田さんも小沢さんの妨害で、副大臣スタートで良かったのかもしれません。
私も学生として、経世会(自民党竹下派)、改革フォーラム21(自民党羽田派)、新生党、新進党と歩み、その後、新聞記者として新党友愛(民社協会)を担当。そのメンバーがこうやって民主党第1次与党期を形作っていくことに万感の思いを感じると共に、自分の前半生が有益であったことが証明されたことに安堵し、節目節目での自らの選択が正しかったことに誇りを持ち、そして発行部数300万部の新聞社の社命でたった一人の「新党友愛」専従担当記者だった巡り合わせに感謝します。東日本大震災が発生した年の暮れに、国益、国民益に自らの人生が資していると実感できることは日本国民としてなによりも幸福なことであります。ご先祖様もさぞかし喜んでくださっていることでしょう。
そもそも参議院で法案が可決・成立するのかという大問題からして、我が党の行く手には難題が多々あります。ただ、今回の「体験」は、仮に我が党が第46回総選挙で下野しても、第47回総選挙につながると確信しています。まずは「陛下が公布した法律よりもマニフェストが偉い」という国賊・小沢一郎グループを根絶やし、公認差し替え、第46回総選挙への陣立てを整えるところから、平成24年、2012年という一年を始めていきましょう。
逃げるなよ!自民党!
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インターネット上の「小沢信者」のみなさんはさぞ大喜びの年越しでしょう。
年末恒例ということで、鈴木宗男前衆院議員らが新党大地を改組した「大地・真民主党」を結党するようです。国会議員は昨年の通常国会冒頭や初当選など第45期衆議院で「民主党・無所属クラブ」のメンバーだった時期が長い3衆院議員と、民主党・新緑風会だった民主党議員1人と新党日本議員1人の合計5人です。政務三役でただ一人6月2日の不信任案で造反(欠席)した内山晃さんら9人の民主党所属議員が離党届を出しました。これは小沢グループが7人、鳩山グループが2人です。2月17日の会派離脱でリーダー格を務めた渡辺浩一郎さんも加わりました。このとき、幹事長役を務めた議員や、黒幕の元小沢議員秘書は離党しませんでした。ただ、渡辺氏は6月2日の不信任案に反対しており、処分が見送られ、党務のポストを得ていました。いったんおとなしくした上で、再び党を裏切ったことで、「極限状態では一度裏切る者は二度裏切る」という政治の鉄則が証明されました。ちなみに、内山リーダーは58歳ですが、国会では当選3回生以下はおおむね「若手」と呼ばれます。民主党・新緑風会から2人の離脱者が出たことで、参議院での民主党と公明党の総数は「123議席(平田議長除く)」となりました。これにより、私が昨年7月の衆参ねじれ以降主張していた「民主党・公明党連携」は残り2議席というデッドラインまで近づいてきました。なお、群馬県連代表代行である衆院議員は小沢氏とは犬猿の仲で知られ、「内山新党」とは別の動きです。
二大政党の機関紙の新年号がそろいました。
民主党の機関紙(月2回発行)「プレス民主第271号」は、野田佳彦首相(党代表)の写真に、「希望と誇りある日本を取り戻すため思い切った政策を展開していく」。この新聞は「見出しが用言止め」という他の新聞にない画期的な編集ですが、来年もそれを踏襲するようです。
特集は「党副代表に聞く」で、北澤俊美、直嶋正行、田中慶秋各副代表らの年頭所感が載っています。
このなかで、2012年定期党大会実行委委員長(2012年1月16日)でもある北澤さんは、ことしの第177通常国会について「3・11の東日本大震災対応で何とか対面を取り繕うことができました」という歯に衣着せぬするどい分析をしています。そのうえで、「今年(2012年)の通常国会は大きな困難が予想されます。一歩間違えれば政権は完全に行き詰まるでしょう」と警鐘を鳴らしました。
そのうで、危機を打開する「北澤3策」を打ち出しました。
① 全民主党議員が与党の責任を自覚し一致団結すること。
② 通常国会開会前に綿密な計画を立てること。公務員給与など国民の理解が得やすい法案を多数を持つ衆院で通し参院に送り、反対する野党の姿を国民の前に示し、参院のあり方をも問うべきです。
③ 上に示した②の強攻策を行えば国会が全て止まる、という敗北主義から脱すること。今はまさに民主党の危機を自覚するときです。
としました。北澤3策には複数のポイントが潜んでいます。まず、党結党メンバーの長老として、若手議員に自重を呼びかけたことです。次に綿密な計画を立てるよう、党国対や全議員に計画性を求めたことです。そして、盟友である岡田克也さんが幹事長としてつくった「3党協議体制」を壊して、第46回衆院選(小選挙区)に向けて、二大政党が対立し、その姿を国民の前にさらす武闘派路線を求めました。そして、衆院で法案を通した上で、野党が多数をしめる参議院の姿を国民にさらすことで、参議院のあり方を問う、としていることです。
北澤さんは参議院議員ですが、現在は会派でも院でも無役です。そのような立場から参議院からお給料をもらいながら、「参議院のあり方を問う」という大胆な提言をしています。そして長野県連代表に復帰しました。北澤さんは第45回衆院選で、長野県内全選挙区で完全勝利(小選挙区で当選のうえ、対抗馬の自民党候補を比例復活させない完全勝利)を実現しました。しかし、長野3区の羽田孜さんの世襲問題があるほか、定数是正で選挙区が1増(当然、選挙区割りが大幅に変更される)、あるいは定数是正がなくても、1区や2区の人口が多い一方、4区、5区は人口が少なく、平成の大合併で基礎自治体が2つ以上の選挙区に分かれている状況もあり、選挙状況が大きく変わる可能性があります。そもそも前回と同じ結果でも「現状維持」ですから、厳しい守備戦を迫られています。それはさておき、2012年、平成24年の国会です。これは私は北澤3策でやっていくしかない。郵政と公務員は3党協議をやってもらえるかもしれませんが、そこまで。衆議院で強行採決を繰り返し、参議院に決断を迫る。強行採決の順番で、法案の荷崩れをおこしてはいけません。徹底的に攻めて攻めて攻めまくり、解散する。それしかありません。なお、3党協議体制が限界を迎えていることは、実は創設者である岡田・最高顧問自身も認めていて、常任幹事会でもあるタイミングで、3党協議からの展開を容認すると思われます。
自民党の機関紙(週刊)の「自由民主」の第2493号は「平成24年新春 自民党はこうする」と題して、谷垣禎一・影の首相(総裁)がイチバンのポーズで演説する姿を打ち出しました。新春インタビューは、党新聞出版局長の関口昌一・参院議員。関口さんは昨年7月の参院選で、埼玉選挙区でトップ当選しましたが、谷垣さんの応援演説の際に、関口候補自ら谷垣総裁の手をにぎり上に持ち上げるシーンがテレビで報道しました。谷垣さんははにかんだ表情。関口さんは歯科医でもある現職でしたが、候補者が党幹部の手を持ち、上に持ち上げるというシーンは民主党では見かけない姿です。
さて。谷垣さんは民主党の現状について、「鳩山由紀夫、菅直人の両総理のときは、「自民党と違うことをやる」という強い意識がありました」としました。そのうえで、「今、民主党は「自民党と違うことをやる」というアイデンティティーを失い、何をしたいのか、どうしたらいいのかが分からない状況になっています。いわばアイデンティティー・クライシス(自己喪失)に陥っているといえます。これが民主党内の混乱の原因です」と語りました。
自民党に関しては「わが党が野党になった原因の一つは、長い間政権にいたことによって「与党であること」自体がアイデンティティーになっていたことです。そこで、「自民党は何をする政党なのか」をきちっとするために新綱領を作りました。それから、良い人材が集まらなければ党を再生することができないということから人材育成に力を入れました。今、都道府県連では、続々と政治学校が開校され、これまで政治に縁遠かった人たちが集まり、それと連携する形で、その卒業生が候補者公募に応募する動きが広がっています。また、わが党の強みは、それぞれの議員が地域に根差していることです。こうしたことは今後も徹底してやっていく必要があります。特に若い人たちにはさらに地域に溶け込む努力をしてもらいたい。そこで暮らす人々の喜びや悲しみを受け止められるということは、保守政治家として大変重要な要素です。そうした郷土愛の延長線上に愛国心があります」としました。
そのうえで「私から見ると、民主党の議員は国やふるさとへの愛情が薄いと言わざるを得ません」「国や国民への愛情が足らない人に政治を任せておいてはこの難局を乗り切れないという気持ちです」としました。
ところで、自由民主には、新年の名刺広告が載っています。合計84枚です。例えば掲載順に、全国不動産政治連盟、日本薬業政治連盟、日本歯科技工士連盟、日本看護連盟、全日本不動産政治連盟、全国農業者農政運動組織連盟、日本柔道整復師連盟、日本税理士政治連盟、全国建設業協会、日本退職公務員連盟、全日本トラック協会、日本自動車工業会、TKC全国政経研究会、日本酪農政治連盟、日本歯科医師連盟などが広告を出しています。ちなみにこのなかの一つは会長として、民主党政務三役のお父さんの名前もみられます。民主党の1期生議員や秘書の連中の一部には、これらの団体が自民党機関紙に名刺広告を出していることに驚きを感じる人もいるでしょう。与党になったとたんにこういった各種団体からの優しい声に気持ちよくなってしまった乞食体質の驕りが今まさに、民主党が政権を失いかねない現実に直面し、与党であれ野党であれ自らの職を失うのではないという不安におののく身から出た錆につながっているのだ、と私は感じてます。私は前々からそうなると思っていました。
公明党の機関紙(日刊)の公明新聞第15901号は、新年号の予告を載せました。1面に「ネットワーク力こそ日本再建の力」と題する山口那津男代表の新春対談、中面には、「社会保障と税の一体改革と公明党-石井啓一政務調査会長に聞く」、「3議員新春鼎談、女性が党勢拡大の先頭に」、「楽観主義は心のエンジン=楽天家で生きる6つのコツ」とする創価大学教授のエッセイ、新春パズル、ロンドン五輪特集、三が日のテレビ番組表、「負けねど!東北“希望の春”はきっと来る!」などの特集のほか、「暮らしの現場を駆ける 次期衆院選に挑む小選挙区予定候補」などが掲載される、と予告しています。
さて、もう一度プレス民主に戻ります。24の県連の新年の抱負が載っています。その中で、民主党徳島県連は「スタッフの団結が党の強化につながる プロ集団が力をあわせて党を強く大きくする」と用言止めの見出し。そして、「県連3人、(1区の)仙谷由人事務所の6人、(2区の)高井美穂事務所4人、(3区の)仁木博文事務所4人、(参院全県区の)中谷智司事務所3人の構成で、県連と国会議員事務所スタッフの合計は20人。1997年に「旧民主党徳島」が誕生した当時に比べ、そのスタッフ数は4倍以上に増えました。「昔日の思いがするなあ」とは仙谷由人代議士がこのスタッフ連を見て漏らしたひと言。スタッフはプロの集団。ポスターからビラ、似顔絵まで一手に引き受ける宣伝担当、元保守政党の秘書を務め、保守層への浸透を図る保守担当者、集会・イベント・選挙、なんでもござれの歴戦の勇士たち。この20人が企画をたて、また走り回って党を強く、大きくしてきました。このスタッフが一堂に会して、連休を利用した1泊2日の小旅行を1年に1度計画し続けている。スローガンは「スタッフの団結こそ、党の強化」です」と書いています。たまたま、東京都連が隣りに載っていますが、都連は、被災地石巻で花火大会を連合東京の皆様とのご協力で無事開催し、子どもたちに一時でも笑顔になったもらおう、ということがうんたかんたら書いてあります。私は民主党が目指す「政治を国民の手に取り戻す」という本来の姿、目指すべき姿は、徳島県連の記事に感じました。選挙区の大きさで、一概には言えませんが、なんだかんだ言われても仙谷さんが評価されるのは、ここにあると思います。公明党や自民党ほどの組織はない。それは地方議員は、税金から給料をもらっていますから、いくら政党交付金が党本部経由で降りてきても限界があります。いますぐ地方議員を拡大できないからこそ、逆に「仕分け」ができるという発想の転換が仙谷さんにはあるでしょう。新しい組織をつくり、「昔日の感」を持つのは楽しいことです。どうせ、小沢グループは、会社に入れず、会社を興す気概もなく、ただ単に生活のために、民主党に入っているんでしょう。ところが、大企業のような組織がない。それに不満を持つのでしょうが、私はかなりいろいろな企業を見てきましたが、小沢グループが新党をつくったって、落選後、雇うような社長は一人もいませんよ。だから、新進党で、旧自民党、旧公明党にいろいろ教えてもらいながら政権交代をめざしていたら、2000年、ないしは2003年ぐらいまでには政権交代して、日本を救うことができたという私の考えは妥当だと、自分では思っています。
年末年始、まずは新進党を解党した小沢一郎さんの息の根を止める。そして脱出を認めた上で、小沢グループを根絶やしにする。
民主党支持者、自民党支持者、公明党支持者(創価学会員)の共通の敵は小沢一郎さんであることは間違いありません。
2012年、平成24年、まずは小沢一郎さんの息の根を止め、小沢グループを根絶やしにし、小沢信者を倒す。がれきの処理ですね。そして総選挙です。
ともに、日本を再生していきましょう。
小沢の息の根を止めさえすれば、まあ、なんとかなるものです。
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[写真]民主党衆院議員の石関貴史さん。
2011年12月27日(火)、民主党が結党以来最大のピンチを迎えました。
“決壊”のきっかけは国交大臣の民主党参院議員、前田武志さんによる、八ッ場ダム本体着工への関連予算の平成24年度本予算政府原案への盛り込み表明でした。
群馬2区(伊勢崎市など)選出の民主党衆院議員、石関貴史さんは、2011年12月27日(火)、群馬県の国営八ッ場ダムの本体工事着工に向けた予算が平成24年度予算(案)に盛り込まれたことに抗議して、党副幹事長と国民運動委員長代理の辞表を出した上で、民主党にとどまることを発表しました。
国土交通大臣の前田武志さんはイカダに乗って船を出た、新生党衆院側35人衆の一人なので、徹底的に擁護したいのですが、今回の八ッ場ダム、整備新幹線3区間、外環道の3つの予算盛り込みについては残念至極です。4省庁合併のため、事務次官ポストがだぶついていることから、官房副長官(事務)や東日本大震災復興対策本部事務局長に、元事務次官を「天上がり」させた国交省が一気呵成に巻き返しをはかったようです。マニフェストは総崩れ、まさに民主党は結党以来最大の「決壊」のピンチを迎えました。
さて、党にとどまる石関さんですが、一つ再確認したいのが、第168通常国会、ガソリン国会、民主党の青春国会でのホームラン質問主意書です。当時、石関さんは群馬県選出のただ一人の非自民系衆院議員でした。「八ッ場ダムは地元で福田ダムと呼ばれている」(民主党参院議員、大河原雅子さんの代表質問)だそうですが、その群馬4区選出の福田康夫内閣の全閣僚が花押を書いた質問主意書は驚くべき内容でした。この質問は高く評価され、橋本自社さ内閣による諫早湾干拓事業(ギロチン)に抵抗するうえでの「公共事業コントロール法案」の作成にかかわった、旧民主党(オリジナル・民主党)を中心とする議員からも高く評価されたようです。
この石関さんの質問主意書の価値を、大臣になった前田先生は重く受け止めないと、あの第168通常国会の攻防は無駄だったことになりかねません。ぜひ、再確認したい、石関さんの憲政史上最大のヒット質問主意書とは?第169国会質問番号432、「八ッ場ダム問題に関する質問主意書」です。「質問番号432」とは何本出しているんだよ、という感じで、霞が関官僚が与党になった民主党をいじめ返そうとしているのは、心情面では理解できなくもありません。やはりできれば早く家に帰りたいです。しかし、最も多く質問主意書を出していたのは、鈴木宗男さんなのですから、その怒りは民主党ではなく、鈴木さんに向けるべきです。
それはさておき、石関さんは「利根川の治水計画のベースとなっているのは、一九四七年のカスリーン台風による洪水である。このカスリーン台風が再来した場合、八ッ場ダムは治水基準点「八斗島」においてどのような治水効果があるのか、八ッ場ダムがない場合の洪水ピーク流量、八ッ場ダムがある場合の洪水ピーク流量をそれぞれ計算した結果について明らかにされたい」と質問しました。
これに対して、福田康夫内閣の答弁書は「国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量及び同洪水時の降雨パターンを基に、一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)の八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、八斗島地点上流にダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万二千百七十立方メートル、既設の六ダム(相俣ダム、藤原ダム、奈良俣ダム、矢木沢ダム、薗原ダム及び下久保ダムをいう。以下同じ。)はあるが八ッ場ダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートル、既設の六ダムに加えて八ッ場ダムがある場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートルである」としてます。
すなわち、八ッ場ダムがない場合の洪水のピーク水量は「毎秒20421立方メートル」で、八ッ場ダムがある場合は、「毎秒20421立方メートル」です。つまり、八ッ場ダムの治水効果は全くないということになります。前田国交相は、国直轄事業の地方負担金(東京都、埼玉県などが一部支払い済み)の返還を考えると、今から着工した方が、かえって安上がりという財政的側面を指摘しています。藤村修官房長官は、予算書に八ッ場ダムの款や項がないことから、予算執行上の国交省の箇所付けの問題にすぎない、という趣旨の発言をしています。実は、前田さんや藤村さんの言っていることは、理にかなっています。しかし、国直轄事業に地方負担金を設ける「ヤクザのみかじめ料」のような政治、予算書に書かずに族議員が国交省にあくまでも予算執行上の運用面で箇所付けするような政治、すなわちそれが自民党の中央集権、利益の誘導と分配の政治、情報が閉鎖された政治だったのです。例えば、県庁の予算書には、国直轄事業への地方負担金はやむなく書かれているだろうし、県営ダムの予算は款・項が設けられていない予算書をつくっている県庁というのは、おそらくないでしょう。ではなぜ国予算書に款・項がなくていいのか。それはまったく道理が通らない話であり、民間なら大企業ほど決算書類が分厚くて当たり前です。それくらい、馬鹿げたことをしてきたのが、半世紀にわたる自民党政治と霞が関の統治機構でした。民主党は政権交代から2年4ヶ月間、それを変えようと努力してきましたが、ついに力尽き、今まさに決壊しようとしています。1998年4月27日の結党以来最大のピンチです。
いずれにしろ、国民が判断することです。しかし、この第169通常国会の「民主党の青春」の原点に返ることが、例え、大惨敗で下野するにしても、次につながりません。ぜひ、前田さんには、じっくりとこの石関質問に目を通していただきたいと考えます。前田先生、晩節を汚しかねない事態ですよ。ぜひ、あの日(1993年6月18日の宮澤解散)と同じ澄んだ瞳を取り戻してください。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/169432.htm
質問名「八ッ場ダム問題に関する質問主意書」の経過情報 項目 内容
国会回次 169
国会区別 常会
質問番号 432
質問件名 八ッ場ダム問題に関する質問主意書
提出者名 石関 貴史君
会派名 民主党・無所属クラブ
質問主意書提出年月日 平成20年 5月27日
内閣転送年月日 平成20年 6月 2日
答弁延期通知受領年月日
答弁延期期限年月日
答弁書受領年月日 平成20年 6月 6日
撤回年月日
撤回通知年月日
経過状況 答弁受理
平成二十年五月二十七日提出
質問第四三二号
八ッ場ダム問題に関する質問主意書
提出者 石関貴史
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八ッ場ダム問題に関する質問主意書
利根川支川・吾妻川で建設が進められている八ッ場ダムは自然への影響や災害誘発の可能性など、様々な問題が指摘されており、ダム建設の必要性について徹底した検証が求められている。また、八ッ場ダム事業には様々な疑問がある。
従って、次の事項について以下、質問する。
一 八ッ場ダムの治水計画について
昨年九月の台風九号と二〇〇一年九月の台風一五号の降雨量は八ッ場ダムの治水計画に採用されている一〇〇年に一回の降雨量に匹敵するものであった。しかし、この時ダム予定地近傍の岩島地点で計測された実測流量は、国が想定している机上の計算による八ッ場ダムへの最大洪水流入量毎秒三九〇〇m3の二八%から三〇%の量にすぎなかった。このことに関連して以下質問をする。
1 最大流入量毎秒三九〇〇m3を決めた時期
八ッ場ダムの治水計画は一〇〇年に一回の降雨が想定され、最大で毎秒三九〇〇m3の洪水が流入し、そのうち、二四〇〇m3をダムでカットすることになっていると聞く。この最大流入量毎秒三九〇〇m3という数字が決まったのはいつのことなのか、その数字が決まった時期を明らかにされたい。
2 毎秒三九〇〇m3算出の根拠となった観測流量
毎秒三九〇〇m3は一〇〇年に一回の雨量を洪水流出モデルに当てはめて計算したものと思われるが、その洪水流出モデルの係数は実際の観測流量に適合するものが選択されなければならない。八ッ場ダムの洪水流出モデルの係数選択に用いた観測流量はどの地点のものなのか、また、いつの時点の観測値なのかを明らかにされたい。
3 八ッ場ダム予定地近傍の岩島地点の流量観測
現在、吾妻川の八ッ場ダム予定地の近傍では国土交通省が岩島地点で流量観測を行っている。岩島地点で洪水流量観測が行われるようになったのは何年からなのかを明らかにされたい。
4 岩島地点の洪水流量と流域平均三日雨量
岩島地点で洪水流量観測が行われてから、その洪水ピーク流量が毎秒一〇〇〇m3を超えた時の年月日と時刻、ピーク流量観測値、及びその時の八ッ場ダム上流域平均の最大三日雨量を明らかにされたい。また、八ッ場ダムの計画三日雨量、岩島地点と八ッ場ダムの流域面積も明らかにされたい。
二 利根川に対する八ッ場ダムの治水効果について
国土交通省によると、八ッ場ダムが計画されている吾妻川の流域面積は、治水基準点「八斗島」(群馬県伊勢崎市)の上流域の1/4を占め、また八ッ場ダムの治水容量は利根川上流域にある六ダムを合計した治水容量の約六割を占めるため、利根川下流域の洪水被害を軽減するとのことである。国土交通省のいう洪水被害の軽減がどの程度のものなのか、八斗島治水基準点における、具体的なデータについて質問する。
1 カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果
利根川の治水計画のベースとなっているのは、一九四七年のカスリーン台風による洪水である。このカスリーン台風が再来した場合、八ッ場ダムは治水基準点「八斗島」においてどのような治水効果があるのか、八ッ場ダムがない場合の洪水ピーク流量、八ッ場ダムがある場合の洪水ピーク流量をそれぞれ計算した結果について明らかにされたい。
2 最近の洪水における八ッ場ダムの治水効果
最近三〇年間の洪水について八ッ場ダムがあった場合の八斗島地点での治水効果を計算したものがあれば、その計算結果について詳細に説明されたい。八ッ場ダムがあった場合の洪水ピーク流量と最高水位の計算結果、及び実際の洪水ピーク流量と最高水位の観測値、その発生年月日・時刻を明らかにされたい。また、その時の八ッ場ダム地点の最大流入量と最大放流量の計算結果、及びそれぞれの発生年月日・時刻も明らかにされたい。
3 最近の洪水における八斗島以外での八ッ場ダムの治水効果
八斗島地点以外で利根川における八ッ場ダムの治水効果を、最近三〇年間の洪水について計算したものがあれば、その計算結果について詳細に説明されたい。八ッ場ダムがあった場合の洪水ピーク流量と最高水位の計算結果、及び実際の洪水ピーク流量と最高水位の観測値、その発生年月日・時刻を明らかにされたい。また、その時の八ッ場ダム地点の最大流入量と最大放流量の計算結果、及びそれぞれの発生年月日・時刻も明らかにされたい。
三 八ッ場ダムの暫定水利権について
八ッ場ダムにより開発される水の約六割は既に暫定水利権として取水されていると国土交通省は説明している。このことに関連して質問をする。
1 八ッ場ダム暫定水利権の内容
現在、八ッ場ダムの暫定水利権が許可されている利水者の名、暫定水利権の水量、非かんがい期と通年の区別を明らかにされたい。
2 暫定水利権の開始時期
前記の暫定水利権それぞれが最初に許可を受けた時期を明らかにされたい。なお、開始時期は八ッ場ダムの暫定水利権に限定したものではなく、暫定水利権としての許可を最初に受けた時期を示されたい。
3 渇水時における八ッ場ダムの暫定水利権の取水制限
前記1の各利水者の八ッ場ダム暫定水利権は一九九〇年代以降の渇水時において安定水利権とは異なる取水制限を受けたことがあるのか。安定水利権とは異なる取水制限を受けたことがあるならば、各暫定水利権について、その状況を明らかにされたい。
四 発電について
1 八ッ場ダムに付設される水力発電所
八ッ場ダムに付設される予定の水力発電所の最大発電力と年間発電見込み量を明らかにされたい。
2 吾妻川の水力発電所
吾妻川の東京電力㈱の水力発電所のうち、八ッ場ダムの貯水が影響すると想定される川中、松谷、原町、箱島、金井、渋川発電所のそれぞれの最大発電力と最近一〇年間の年間平均発電量を明らかにされたい。
五 八ッ場ダム事業の便益計算について
1 洪水調節の便益
八ッ場ダムの洪水調節の便益は一九四七年のカスリーン台風洪水が再来した場合に利根川の氾濫で失われる資産を計算した結果から求められていると聞く。しかし、一方で、カスリーン台風再来時における利根川での八ッ場ダムの治水効果の計算結果はゼロに近いと聞く。カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果を前提にした場合は、八ッ場ダムの洪水調節の便益がいくらになるのか。その計算結果を示されたい。また、八ッ場ダムがある場合とない場合の、八ッ場ダム下流域の洪水想定氾濫区域図とその計算根拠を示されたい。
2 河川の水量確保に係る便益
八ッ場ダムの建設により、吾妻渓谷の自然は大きなダメージを受けるにもかかわらず、八ッ場ダムによって逆に「吾妻渓谷に必要な水量を確保することによる景観改善の便益」が生まれるとされている。この便益の計算方法とその計算に用いた観光客数及びその観光客数の算出根拠を明らかにされたい。
3 水力発電所の河川維持流量の義務付け
吾妻渓谷の流量がたまに落ち込むことがあるのは、上流側にある東京電力㈱の水力発電所の取水堰で全量取水がされているからである。しかし、最近は水力発電所の取水に関しては水利権の更新時に河川維持流量の放流が義務付けられるようになっているから、次回の水利権更新時期を過ぎれば、吾妻渓谷の流量は増加すると予想される。吾妻渓谷より上流で取水している川中発電所及び松谷発電所の水利権更新が何年度に行われるのかを明らかにされたい。
右質問する。
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平成二十年六月六日受領
答弁第四三二号
内閣衆質一六九第四三二号
平成二十年六月六日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員石関貴史君提出八ッ場ダム問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員石関貴史君提出八ッ場ダム問題に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「数字が決まった時期」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、昭和六十一年七月に作成した特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項の規定に基づく八ッ場ダムの建設に関する基本計画(以下「基本計画」という。)においては、八ッ場ダムの建設される地点における計画高水流量毎秒三千九百立方メートルのうち、毎秒二千四百立方メートルの洪水調節を行うこととしている。
一の2について
八ッ場ダムの洪水流出計算モデルの係数については、一級河川利根川水系吾妻川(以下「吾妻川」という。)の群馬県渋川市村上地先において、昭和三十四年八月、昭和五十六年八月、昭和五十七年八月及び昭和五十七年九月の洪水時における流量の観測値等により検証している。
一の3について
お尋ねの「洪水流量観測」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、高水流量観測を指すのであれば、吾妻川の群馬県吾妻郡東吾妻町大字三島地先(以下「岩島地点」という。)においては、建設省関東地方建設局八ッ場ダム工事事務所(当時)が昭和五十六年から高水流量観測を開始している。
一の4について
岩島地点において「洪水ピーク流量が毎秒一〇〇〇m3を超えた」と思われる洪水を観測した時間帯、流量の観測値のうち最大のもの(以下「最大観測値」という。)及び洪水時の八ッ場ダム上流域の流域平均の三日雨量は、昭和五十六年八月二十三日午前三時八分から同日午前八時八分までで最大観測値が毎秒約千四百七立方メートルであり三日雨量が約二百七十九ミリメートル、昭和五十七年九月十二日午後十一時五分から翌日午前零時十五分までで最大観測値が毎秒約千百二十六立方メートルであり三日雨量が約二百十七ミリメートル、平成十年九月十六日午前八時から同日午前十一時までで最大観測値が毎秒約千三百七十三立方メートルであり三日雨量が約二百七ミリメートル、平成十三年九月十日午後三時一分から同日午後四時四分までで最大観測値が毎秒約千二百七十一立方メートルであり三日雨量が約三百四十一ミリメートル、平成十九年九月七日午前二時二分で最大観測値が毎秒約千十立方メートルであり三日雨量が約三百二十三ミリメートルとなっている。
また、八ッ場ダム地点における計画降雨量は三日雨量で三百五十四ミリメートルであり、八ッ場ダム地点から上流の流域面積は約七百八平方キロメートル、岩島地点から上流の流域面積は約七百四十七平方キロメートルである。
二の1について
国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量及び同洪水時の降雨パターンを基に、一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)の八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、八斗島地点上流にダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万二千百七十立方メートル、既設の六ダム(相俣ダム、藤原ダム、奈良俣ダム、矢木沢ダム、薗原ダム及び下久保ダムをいう。以下同じ。)はあるが八ッ場ダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートル、既設の六ダムに加えて八ッ場ダムがある場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートルである。
なお、国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量で、同洪水時を含む過去に生起した三十一の洪水時の降雨パターンを基に、八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、そのうち二十九の洪水時の降雨パターンについて、八ッ場ダムは洪水のピーク流量に対する調節効果を有している。
二の2について
お尋ねの「最近三〇年間の洪水について八ッ場ダムがあった場合の八斗島地点での治水効果を計算したもの」は、国土交通省が現時点で把握している限りでは存在しない。
二の3について
お尋ねの「八斗島地点以外で利根川における八ッ場ダムの治水効果を、最近三〇年間の洪水について計算したもの」については、国土交通省が現時点で詳細を把握しているものは存在しない。
三の1及び2について
八ッ場ダムの暫定水利権(ダム等水源開発施設の建設を勘案し許可された水利権をいう。以下同じ。)の名称、許可を受けている者、水量及び当初許可年月日(同一の名称で最も早く暫定水利権の許可を受けた年月日をいう。)は、平成十九年度末現在、次のとおりである。
(1) 東部地域水道用水供給事業、群馬県知事、毎秒〇・四二八立方メートル(非かんがい期)、平成九年十月十七日
(2) 藤岡市水道、藤岡市長、毎秒〇・二三五立方メートル(通年)、昭和四十三年九月三十日
(3) 埼玉県水道(大久保)、埼玉県知事、毎秒三・七五〇立方メートル(非かんがい期)、毎秒〇・六七〇立方メートル(通年)、昭和四十八年六月三十日
(4) 埼玉県水道(吉見)、埼玉県知事、毎秒〇・四八二立方メートル(非かんがい期)、平成十七年三月三十一日
(5) 東京都水道(朝霞)、東京都知事、毎秒〇・五五九立方メートル(非かんがい期)、昭和六十二年五月一日
(6) 千葉県水道(矢切)、千葉県知事、毎秒〇・四七〇立方メートル(非かんがい期)、昭和五十四年三月三十一日
(7) 県西広域水道(水海道系)、茨城県知事、毎秒〇・〇三六立方メートル(通年)、平成十三年六月十二日
(8) 県南広域水道(利根川)、茨城県知事、毎秒〇・五〇七立方メートル(通年)、昭和五十五年三月三十一日
(9) 東毛工業用水道、群馬県知事、毎秒〇・二〇八立方メートル(非かんがい期)、昭和五十二年七月十九日
(10) 千葉地区工業用水道、千葉県知事、毎秒〇・四七〇立方メートル(通年)、昭和五十一年二月二十日
(11) 群馬用水、独立行政法人水資源機構理事長、毎秒〇・五六四立方メートル(非かんがい期)、平成十二年十月三十日
(12) 埼玉県水道(行田)、独立行政法人水資源機構理事長、毎秒四・三一五立方メートル(非かんがい期)、昭和五十九年六月六日
三の3について
平成十三年八月に実施された取水制限において、三の1及び2についてで述べた八ッ場ダムの暫定水利権のうち、埼玉県水道(大久保)及び埼玉県水道(行田)については、お尋ねの「安定水利権とは異なる取水制限」を実施している。当時、埼玉県水道(大久保)の暫定水利権は水量が毎秒三・〇〇八立方メートル(非かんがい期)、毎秒〇・六九八立方メートル(通年)で、埼玉県水道(行田)の暫定水利権は水量が毎秒一・六六六立方メートル(非かんがい期)、毎秒一・〇六八立方メートル(通年)であり、このうち埼玉県水道(大久保)の毎秒〇・六九八立方メートル(通年)及び埼玉県水道(行田)の毎秒一・〇六八立方メートル(通年)について、安定水利権の取水制限率が十パーセントであったのに対して、二十パーセントの取水制限率となっていた。
四の1について
現在、手続を行っている基本計画の変更に当たっては、八ッ場ダムの建設に伴い新設される発電所の最大出力を一万千七百キロワット、年間可能発生電力量を四万九百九十二メガワット時と見込んでいる。
四の2について
東京電力株式会社から提出された河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条に基づく許可の申請書における最大発電力は、川中発電所が一万四千キロワット、松谷発電所が二万三千五百キロワット、原町発電所が二万六千五百キロワット、箱島発電所が二万三千百キロワット、金井発電所が一万四千二百キロワット、渋川発電所が六千八百キロワットである。
また、「年間平均発電量」については、国土交通省は、河川法第二十三条に基づく許可の条件として、実際の取水量について報告を受けているが、実際の発電量について報告を受けることとはしていないことから、把握していない。
五の1について
お尋ねの「カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果を前提にした場合」における八ッ場ダムの洪水調節に係る便益については算出していないため、お答えすることは困難である。なお、利根川上流域は過去の降雨の特性が多様であることから、過去に生起した三十一の洪水時における降雨パターンを用いて、年超過確率二百分の一の洪水が生起した場合における洪水調節効果を計算すること等により、八ッ場ダムの洪水調節に係る便益を八千二百七十六億円と算出しているところである。
また、お尋ねの「洪水想定氾濫区域図」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、利根川水系においては平成三年に「直轄河川防御対象氾濫区域図」を作成し、公表しているところであり、これは計画高水位より低い沿川の地域等が浸水すると仮定して洪水時に浸水する可能性がある区域を図示したものであり、「八ッ場ダムがある場合とない場合」について、計算に基づき作成したものではない。
五の2について
八ッ場ダムの河川の水量確保に係る便益は、八ッ場ダムにより吾妻川に維持流量を確保することによる景観改善等の効果を算定したものであり、観光客数及び沿川居住世帯数に、近隣のダムで実施したアンケート調査結果に基づいて設定した支払意思額(河川の水量を確保するための取組に対して個人や世帯が支払ってもよいと考える金額をいう。)を乗じること等により算出したものである。
便益の計算に使用した観光客数は、約七百三十九万人であり、平成十三年度における吾妻町(当時)、長野原町、草津町、嬬恋村及び六合村の年間の観光客数を合計したものである。
五の3について
川中発電所及び松谷発電所に関する水利権の許可期間は、平成二十三年度末までであり、東京電力株式会社からの申請があれば、必要な審査を行い、更新を判断することとなる。
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日本復活元年となる2012年(平成24年)の政治日程を大胆に予想しました。解散総選挙、第4次補正、郵政関連法案、当初予算の日程を大づかみながらキッチリと柱建て。そのうえで、最新の確定日程や、過去の事例をふんだんに盛り込みました。今後は「皇室日程」もしっかりとおさえていきます。情報提供は、レジまぐ社の「レジまぐ」の会員制ブログになります。月3回以上の更新で、そのときの最新の政治日程を書いています。今週も新しい購読者の方が増えて、元気づけられています。来年もどうぞご期待下さい。
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野田佳彦内閣は2011年(平成23年)12月24日(土)の午前9時からの臨時閣議で、平成24年度予算(当初予算=本予算)の政府原案を決定しました。
関連)90兆3339億円は「呉・三谷光男サンキュー予算」だ!平成24年度一般会計語呂合わせ。
これで第45期衆議院で、民主党の第1次与党期は、鳩山内閣(藤井裕久財務大臣、野田佳彦副大臣)が12月25日、菅内閣(野田佳彦大臣、櫻井充副大臣)が12月24日、野田内閣(安住淳大臣、五十嵐文彦副大臣)が12月24日の朝9時と、すべて年内の早い時期に決まりました。
なお、おととしの「新・成長戦略」と同様に、ことしも「社会保障と税の一体改革素案」の決定があるので、ひきつづき与党は忙しい年末となります。また財務省原案(大蔵原案)や復活折衝はなく、風習は完全になくなったと言えそうです。
すでに財務省はホームページ平成24年度予算政府案 : 財務省で、予算のポイントを発表しています。一般会計が主で、特別会計の情報はまだほとんど出ていませんが、財務省ホームページを読んでのまとめと感想をアップします。
ただ、わが国では国家予算というのは自治体予算とは違い、1月下旬をめどに公開される一般会計・特別会計・政府関係機関の3つの予算書、各府省による箇所付け、さらに衆議院予算委員会での基本的質疑や一般的質疑などで新しい情報が出てくるという前近代的なものですので、きょうのこのエントリーの他にも追加情報が入ってきます。そのため、随時更新用のエントリーをもう一つつくることとし、このエントリーは12月24日段階での、フレームとその感想という大づかみなものにします。
ところで、家計や、あるいは自治体は、まず収入(歳入)額が確定し、その中で支出(歳出)を決めますが、国予算は違います。はじめに歳出があって、そこから歳入を計ります。しかし、まずは私たちの常識に鑑みて、歳入から見ていきましょう。
【歳入は一進一退も何とか持ちこたえた踊り場予算だ】
一般会計の歳入は税収を42・3兆円と見積もっています。これはあくまでも見積もりであり、とくに法人税収は大幅なブレがでますが、仮に歳入欠陥となっても、歳入超過となっても、それによって財務省主計局や主税局が見積もりの誤りを咎められて責任者が処分されることはありません。次に民主党政権から使われるようになった言葉である「税外収入」つまり「埋蔵金取り崩し額」ですが、3・7兆円となりました。これは前年度当初予算では9・6兆円でしたから、かなり減ります。そして、国債は建設国債(60年間償還で、耐久公共財の歳出負担を複数年度に散らす国債)は、5・9兆円と微減しました。そして赤字国債は38・3兆円と微増しました。なお後述しますが、特会に計上された復興債は赤字国債ですので、実際にはかなり増えたことになります。
【環境省、前年は当初比4倍の大忙しも、ことしは少し落ち着く】
歳出。まず国債の償還費は21・9兆円で、0・4兆円増えました。最新の日本銀行の資金循環統計では外国人の国債保有率が8%に急上昇していますので、リスクが高まっています。地方交付税交付金は16・6兆円で微減となっています。
環境省の予算。これは前年度当初は2009億円でした。橋本行革で廃棄物行政は厚生省から環境省に移管しましたが、東日本大震災による大量のがれき(災害廃棄物)の発生で、環境省の平成23年度(2011年度)予算は3次補正後は8000億円を超えています。おそらく年度中に当初比で4倍に予算が補正され、ふくれあがった2011年度の環境省というのは、空前絶後の事態となり、環境大臣だった松本龍さんは退任し、長期入院してしまいました。その環境省には、新しい外局として原子力安全庁ができますが、2347億円と15%増の当初予算となり、少し落ち着いた気がします。
当ブログで強く主張してきた、マニフェストの1丁目1番地ともいえる「地方一括交付金」。このブレークスルーになる沖縄への一括交付金ですが、内閣府に新設されました。地方主権への大きな一里塚です。これについて、山名主計官(財務省職員)が記者クラブ向けに作成したペーパーも、すでにインターネットで公開されていますが、山名主計官は「沖縄独自の一括交付金に1575億円」「全国制度の一括交付金にない経常的経費、市町村事業にも対応」と書いています。まず、「沖縄独自」としていますが、私に言わせれば「沖縄県庁が第1歩」であるし、「全国制度の一括交付金」などという予算コードはありません。それは「内閣府地域自主戦略交付金」という似て非なる予算事業であり、それは地方一括交付金ではありません。46都道府県への地方一括交付金は次の特別国会で法案が通ると、私は願っています。ちなみに、沖縄県庁は経常的経費にも使えるということで、これは生活保護費などの扶助費、県債償還のための公債費、職員給与を支払う人件費に充てることもできるということです。このように他の道府県が知事や議会の自由な判断で使えるお金を増やすことが、地方分権と、足腰の強い災害に強い国造りにつながります。ちなみに、人件費に充てることができると、自治労が強くなるのではないかと思う人がいるでしょう。が、全国の知事は、自民党系の方が多いので心配ありません。
農業者戸別所得補償では、畑作物向けの補償の一部が特別会計から出るようですが、現時点ではしくみは分かりません。米作、畑作とも総額はしっかりと措置されています。
防衛費は4・7兆円でマイナス1・3%になっています。動的防衛力整備に向けてメリハリのある調達や人材育成、情報収集が肝要です。防空能力を向上するため、現有戦闘機の後継として、「F-35A」を4機取得します。関連費用を含めて600億円を契約しますが、今年度の歳出はその一部で、あとは国庫債務負担行為になるようです。F-35Aはロッキード・マーチン製で、今後ライセンス生産が可能になれば、エンジンはIHI、機体は三菱重工業、電気装備は三菱電機が請け負うもようです。
社会保障費では、医療が3・2%増えて10・2兆円となり、ついに「10兆円超え」となりました。診療報酬は引き上げられます。ちなみに、民主党では昨夏の参院選で日本医師会推薦候補が落選していますが、この政治力は何とかならないのでしょうか。介護は2・3兆円で、伸び率は6・1%増ですが、こちらの介護報酬の引き上げに関しては、納得できます。ぜひ介護スタッフのみなさんはよりやる気を出して頑張っていただきたい。基礎年金の国庫負担分は前年当初の10・5兆円から8・3兆円となりますが、これは原子力賠償機構のように国が交付国債を渡して、消費税引き上げ後に現金化するという方法です。ことし1年間だけなら、消費税の1%相当分になりますが、そんなに余裕のある話ではありません。いますぐにでも消費税を引き上げないといけません。
ここはややこしいので、大臣合意を載せておきます。新川主計官・阪田主計官作成の財研記者クラブ向け説明パーパーに載っていました。これはかなり重要な備忘録です。
基礎年金国庫負担の取り扱い(2011年12月22日大臣合意)
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan012.pdf
○ 24 年度の基礎年金国庫負担割合は、歳出予算(36.5%分)と、税制抜本改革により確保される財源を充てて償還される「年金交付国債(仮称)」により、国庫負担2 分の1 を確保。
・ 24 年度の「年金交付国債(仮称)」は、年金差額分(2.6 兆円)と運用収入相当額(譲渡可能な国債での運用に得られる収益と同等となるよう算定)とを合算した額を発行。
・ 償還財源は、税制抜本改革により確保される財源(消費税収)。償還は、税制抜本改革の実施後に開始し、毎年度、あらかじめ定める一定額を限度。
次に子どもに対する手当です。これも、「生命線」という方も最近は多いようですので、大臣合意を載せます。
子どものための手当(2011年12月20日大臣合意)
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2012/seifuan24/yosan012.pdf
・ 3 歳未満と、3 歳以上から小学生の第3 子以降の子ども一人につき月額15,000 円、
・ 3 歳以上から小学生の第1 子・第2 子、中学生の子ども一人につき月額10,000 円、に加え、
・ 年少扶養控除の廃止等に伴う手取り額の減少に対応するため、所得制限(※)以上の者については、中学校修了までの子ども一人につき月額5,000 円を支給。
さらに生活保護費の国庫負担分は、2・8兆円で、当初比で8・6%増です。これ以外にも1月に審議する「平成23年度第4次補正予算(案)」にも歳出の増額補正が入っています。世界不況は10年~15年は続きそうですから、稼げる人は稼いで、ドンドン税金を払わないといけません。そうでないと、共倒れです。稼げる人もやがては老い、働けなくなり、年金受給者となり、場合によっては介護を受けることもあるのですから。それと、TPPですね。
【東日本大震災復興特別会計を新設、予備費の0・4兆円は要チェックだ】
さて、最後に特別会計です。とりあえず、現時点で、新設の「東日本大震災復興特別会計」のあらましが分かっています。
歳入は復興債(赤字国債)発行によって得るオカネが24年度は2・7兆円。復興増税で0・5兆円入るほか、一般会計(歳入は普通の税収と赤字国債)から0・5兆円を回します。歳出はほとんどが新設の内閣府復興庁が配分するほか、東日本大震災復興交付金(自民党用語では礒崎交付金)も0・3兆円と分厚く計上しました。予備費として0・4兆円が計上されていますが、このオカネのチェックを国会がしっかりやらないといけません。というか、国会でなければ、会計検査院しかチェックできませんよね。
【八ッ場ダムは24年度は本体未着工ではないのか? 国会議員は予算書をちゃんと読め!読まない議員は全員落選しろ!】
最後の最後に、特会に限らず、一般会計も含めて国土交通省です。東日本大震災からの復興を最優先に掲げています。そして、その予算について、平成22年度の予備費、平成23年度の1次補正、同3次補正と24年度当初予算の「25ヶ月予算(?)」としていて、これは機動的なメリハリある財政運営として評価できます。この「25ヶ月予算」のなかで、復旧に1・5兆円、復興に0・8兆円、全国防災費に0・5兆円の2・8兆円を計上しました。全国防災費は東日本大震災復興特会にも計上されています。「全国防災費」の定義については、第179臨時国会の冒頭で、第3次補正予算に関する代表質問で自民党総裁の谷垣禎一・影の首相が質問していたのですが、その後の予算委審議では尻すぼみになり、自民党もどうにもバラバラだなあ、と感じました。
一方、国交省予算に関する、角田主計官の財研(財務省記者クラブ)向けペーパーの最後には次のように書いてあります。
「八ッ場ダムについては、生活再建対策事業、本体工事の準備に必要な関連工事等を計上。合計事業は135億円で、国費56億円」。
これを読むと、24年度段階では、「本体工事の準備に必要な関連工事等」であって、本体工事は始まらないのではないでしょうか? 25年度で止めても、潤った労働者がいたのだから、まったくの無駄金ではありません。民主党政権にしろ、自公政権にしろ、本体着工は25年度(2013年度)以降なのでは? デモクラシーには(若干の)オカネと時間が必要です。世の中は頭の良い人ばかりではありません。プロセスの明確化には時間が必要です。「先送り」というのは政治には極めて良い選択肢です。この予算書を読みもせずに、中島政希・衆院議員が民主党へ離党届を出しました。彼は元々は群馬4区(高崎市など)で、第45回衆院選は比例単独で当選しています。中島さんが群馬4区に出馬しても良いし、あるいは前回空席の群馬5区に移ってもいいでしょうが、少なくとも、政治生命にかかわることなんだから、予算書ぐらい読んでから行動しろよ、と言いたい。ちなみに小沢一郎氏は幹事長時代の記者会見で、40年間予算書を読んだことがないと言っています。借金1000兆円になったのも当然です。予算書・決算書を読んでいない議員は軒並み落選させましょう。
【民主党、自民党双方のために、第180通常国会で、平成24年度当初予算政府原案は修正議決すべきだ】
この予算は、第46回衆院選で政権交代した場合は補正されることになります。ただ、補正というのは減額はしやすいですが、増額補正はやりにくいものです。「仕分け」の民主党に対して「利益の誘導と分配」のDNAを持つ自民党が年度途中から政権を担って、谷垣内閣は増発国債なしに補正ができるのでしょうか。そういう意味では、さほど大きいものでなくてもいいですから、第171通常国会で参院民主党が麻生定額給付金補正(平成20年度第2次補正予算)で、参院予算委員会に提出した予算修正案(筆頭発議者・福山哲郎さん)のように、自民党も組み替え動議(内閣が撤回のうえ編成替えを求める動議)ではなく、予算修正案を出したらどうでしょうか。衆院段階でも参院段階でもいいです。その修正案は、参院で可決。そして、両院協議会で、衆院民主党の案とすりあわせ、数日かけてでも協議案をつくり全会一致で、可決するのです。憲政史上初となります。それほどの労力でもないですよ。そうして、予算関連法案も成立させる。そして、消費税増税法案を採決前に解散総選挙。自民党も悪くないでしょ? 野田さんだろうが谷垣さんだろうが、政府は増税できません。国民の信託を受けた国会が増税するのです。財政民主主義、代表なくして課税なしを徹底し、来るべき、日本の未曾有の国難を乗り越えるために。大連立ではありません。国会での熟議。民主党とか、自民党とか、公明党とか、そういうことでなく、国民が望むのは、足腰が強く、国民がついていける範囲内でスピードアップした国会です。赤坂で飲んでる暇はきょう一日限りです。
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[写真]財務大臣政務官で衆院議員の三谷光男さん。
野田佳彦内閣は2011年12月24日(土)の朝9時から臨時閣議を開き、平成24年度予算の政府原案を決定しました。民主党政権では、おととしの鳩山内閣が12月25日、きょねんの菅内閣が12月24日、ことしの野田内閣が12月24日の朝9時という早いタイミングで閣議決定できました。非自民政権では、予算案の閣議決定が鬼門とされてきましたが、3年連続での年内の早い時期に組み上げることができました。財務省原案(大蔵原案)の発表がなくなり、いきなり政府原案が発表される格好となりました。ただ、日本の予算はこの政府原案が、衆院、参院を通じて、そのまま国会の議決となっています。しかし、第180通常国会からは、参院などで議員提案で修正し、両院協議会の成案で議会で修正する格好にした方がいいのではないでしょうか。というのは、平成24年度予算は執行年度(2012年4月1日~2013年3月31日)中に、自公政権によって(閣議決定や国会への報告による)執行の一部停止や、自公による補正があるかもしれません。しかし、「自民党DNA」からすると、なかなか「減額補正」というのは難しいのでは。組みかえとなると難航します。ですから、ある程度、3党協議で、早ければ2月の衆院段階から修正するという考えがあってもいいかもしれません。
ところで、当ブログは滅多に既存メディアを批判しませんが、きょうは猛省を促します。12月24日の臨時閣議は夕方や遅くにずれ込むこともあるのですが、2011年12月24日(土)午前9時から始まりました。このことについて、有料の時事通信メール速報や、無料の共同通信フラッシュニュース、朝日新聞の総理番ツイッターなどのあらゆる電子メディアで速報がありませんでした。いくら財務省財研クラブが前日までいろいろ書いたり、政治部内閣記者会総理番が若手であろうと、国家予算が事実上決定する(残念ながら国会での修正や、政府が撤回の上編成替えの前例はほとんどない)瞬間なのに、それを速報しないニュースマインドはどうなっているのでしょうか。この既存マスメディアの劣化ぶりには激しい憤りを覚えました。本質を捉える力がなさすぎます。時事通信メール速報は、もう一度このようなことがあったら、解約を検討しないといけません。
さて。
一般会計が90兆3339億円となりました。すでに財務省のホームページには情報がすばやく載っています。きょうは出遅れましたが、じっくり分析して、きょう中に第2発の本記エントリーをアップします。とはいえ、国予算は、「箇所付け」など予算書に書いていない情報が多いので、これから2月の本予算審議にかけて、情報をアップロードしていく第3発の随時更新版エントリーも挙げていきます。
ぜひ、すばやい情報公開の下の財務省のホームページを見てください。
◇
さて、以前は語呂合わせを大蔵省や新聞各紙が競いましたが、この慣習は10年ほど前からなくなってしまいました。
覚えているのは平成元年度が「60兆4142億円」が「60兆で良い世に」で、平成2年度が「66兆4143」が「労(6)を重ね、再びなさん良い予算(4143)」で、一年間で1割り増しにした自民党・小沢一郎幹事長の赤字国債発行による歳出大幅増が、いまになると苦しく、日本経済を窒息寸前にしています。
古いことを大事にし、忘れない私は、ことしも一般会計を語呂合わせしてみました。
90兆3339億円。
当ブログは、「90兆3339億円」を「呉の三谷光男サンキュー予算」と語呂合わせしました。
呉(90)、三谷(3)、光男(3)、サンキュー(39)予算です。
あまり馴染みがないかも知れませんが、野田内閣では9月から、安住淳財務大臣の下、三谷光男さんが財務大臣政務官を務めています。広島5区選出の当選2回生です。呉出身、大阪大学から松下政経塾(4期)で学び、宮澤喜一さんの公設秘書や宮澤財務大臣政務秘書官を務めました。2005年の郵政選挙で比例復活で初当選。そのような弱い立場ながら、2009年5月の代表選では、小鳩の締め付けに耐え、「正しい選択」をしました。もの静かな三谷さんですが、9月の野田内閣で財務政務官に。異例のことに、大阪の造幣局での貨幣大試験の試験官を務めました。
ところで、三谷さんは財務大臣政務官に付いた直後に、衆議院事務局に提出していた所得等報告書を訂正します。これは、学資保険の満期返戻金を14万円ほど所得として追加で届け出ました。どうやら、財務政務官になるにあたって、財務省国税庁から税務調査を受けたようです。ホントウに財務省はこわいところです。こうやって財務省は政治家を自分たちの支配下に置いていくんですね。三谷さんの対抗馬の自民党支部長で元職の寺田稔さんは財務官僚出身なので、その関係もあるのかもしれません。また、以前の「大蔵省国税庁」対「郵政省簡易保険局」の時代ならば、情報が出なかったかも知れませんが、現在は「財務省国税庁および内閣府金融庁」対「日本郵政株式会社の子会社のかんぽ生命株式会社」という図式なので、カンタンに情報は出るでしょう。また、三谷さんは11月下旬、お母様を亡くされました。三谷さんのプロフィールによると、ご実家は「中通の巴屋」だそうです。ただ、民主党の場合は自民党とは違って、財務調査に入られてもこわくない議員の数は自民党のそれと比べれば圧倒的に多いので、財務省もそろそろ考え所ではないでしょうか。
呉というのは、わが国の備えと人材を多く育てた街です。私が2003年に行ったときは、旧海軍都市である横須賀市などと比べて、時間が止まったか、あるいは時間が遡っているような街に感じられ、激しいショックを覚えました。呉から広島市へ戻る電車の中で、左側に見える海に沈む夕日を見て、悲しいのではなく、ちょっと不自然なハイテンションになってしまいました。お餅がふくれるのを見て興奮する人がいるそうですが、そんな感じ(?)でしょうか?? その点、冷静そのものに見える三谷さんが呉を代表しているのは素晴らしい。野党時代にも財務金融委員会で一人だけ真っ黒になりながら、審議に臨む姿を見ました。「呉の三谷光男サンキュー」予算。民主党にはまだ人材がいて、テレビに映らなくてもダイヤモンドの原石があるんだから、民主党を見捨てないでください。「早く衆議院を解散しろ」というのはいっこうに構いませんが「民主党を解散しろ」というのは、小沢一郎(氏)じゃないんですから、絶対にやめてください。小沢一郎(氏)で思い出したけど、政治家の税務調査の対象ってどういう基準なんでしょうか、国税庁も公平性を担保しないと、組織への信頼を失う可能性があります。
民、信なくば立たず。
平成24年度予算は、年度途中に、自公政権によって補正されるかも知れません。しかし、その土台としてしっかりした議論ができる良いものができたと評価します。
三谷さん、通常国会も頑張って答弁してください!
がんばれ三谷さん、負けるな三谷さん!
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玄葉光一郎外相(47)が「天命」としか言いようがない大きな歴史のうねりの中にいます。まあいろいろとタイヘンですが、玄葉さんにとっては、ここを乗り切るか、政治家としてつぶれるかのいずれしかない。だったら、どんなに道が狭くとも、前に進むしかありません。
カンタンに玄葉外相のこの1ヶ月の流れを見てみましょう。
①在沖縄米軍の軍属が帰宅中(公務内と認定)に起こしたひき逃げ事件で、日米地位協定の第17条(刑事裁判権)の規定による、第1次裁判権(起訴を含む)をアメリカから我が国が持つ運用面での改善に成功。
②ところが、直後に出先機関の長(沖縄防衛局長)が沖縄の心を傷つけるというよりも、むしろ心の原点の不理解を証明する暴言を吐き、改善ムードがいっぺんでおじゃんに。
③日米地位協定で、「飲酒運転による帰宅は公務と認めない」、すなわちその際の第1次裁判権を恒常的に我が国が持つという、運用改善に成功。
④アメリカ連邦議会の上院・下院が沖縄海兵隊のグアム移転の今会計年度の予算を削減。少なくとも1年前後はロードマップが止まる。
⑤野田佳彦首相とともに京都で李明博・韓国大統領を歓迎し、ワシントンへ向かう。
⑥この時点で、金正日総書記が死亡。中国は情報を把握していたようだが、韓国は把握していなかったもよう(大統領が来日していた)。
⑥日韓首脳会談で、残り任期1年の韓国大統領が野田佳彦首相の足もとをみて、解決済みの「日本軍に強制連行された従軍慰安婦」について金銭面での“補償”を要求。
⑦玄葉外相が就任後初めてワシントンに到着。
⑧東アジアの外相として初めて、米国務長官とポスト金正日について、情報交換。中国、韓国外相と電話会談も。
⑨帰国し、総理に報告。
だいたいこういう流れになるかと思います。
[参考]
金正日総書記が死去、「心筋梗塞」 金正恩氏が後継へ :日本経済新聞
【ソウル=島谷英明】北朝鮮メディアは19日正午、一斉に「特別放送」を流し、朝鮮労働党の金正日総書記(国防委員長)が17日死去したと伝えた。69歳だった。(中略)北朝鮮メディアによると、金正日氏は17日午前8時半、現地視察の列車の中で死去した。死因は心筋梗塞で、葬儀は12月28日に平壌で開かれる。金正日氏は一時は脳卒中にかかったほか、心臓病や糖尿病も患っていた。朝鮮中央テレビのアナウンサーが読み上げた訃告は「今日わが革命の陣頭には、わが党と軍隊と人民の卓越した指導者である金正恩同志が立っている」とし、三男の正恩(ジョンウン)党中央軍事委員会副委員長(28)が後継者であることを強く訴えた。(後略)
外務省: 玄葉外務大臣の米国訪問
[写真]ワシントン初訪問で、クリントン米国務長官と記者会見する玄葉光一郎外相、2011年12月19日(現地時刻)、外務省ホームページから。
◇
2011年12月19日(月)正午(日本・ソウル・平壌とも)、北朝鮮メディアは、同国の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長(朝鮮労働党総書記)が、17日(土)に死去していたことを発表しました。この瞬間から、東アジア(極東)情勢は瀬戸際外交の緊張状態に入りました。
これに先立つ、17日(土)と18日(日)に韓国大統領の李明博(イ・ミョンバク)さんが来日。17日に京都で歓迎宴をし、18日の首相の野田佳彦さんと李大統領が日韓首脳会談に臨みました。
ここからは当ブログの私見です。1965年6月22日、東京で両国が日韓基本関係条約(日韓基本条約)と同時に署名した、日韓請求権協定の第2条の1は「両締約国は(略)その国民の財産、権利および利益ならびに(略)請求権に関する問題が」サンフランシスコ平和条約「に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」としています。それにもかかわらず、李大統領は突然、「日本軍に強制連行された従軍慰安婦」という歴史的に存在しない人物に対する金銭的な補償を要求するという、かけひきや韓国内での突き上げがあるにしても、非礼窮まる言動をしました。日韓友好の汚点となりかねない蛮行であり、どのような事情であれ、李大統領の発言は、私は絶対に許せません。
ところが、この翌日19日(月)の金正日総書記が死亡していたことが発表されました。なので、“補償”の話は立ち消えになると見通されます。私は野田首相はついていた。そして、韓国大統領は日本にいたという絶対的な証拠から、インテリジェンス(機密重要情報の収集)能力が不足していたことは事実。そして、日本でも歪曲した歴史による友好国の足もとを見た外交による、「天の戒め」だと、私は理解しています。韓国は極めてキリスト教徒(カトリック系)が多く、李さんの信仰は知りませんが、いずれにしろ、天の戒めです。
閑話休題。
17日の歓迎宴に参加して、外相就任後初めてのワシントン訪問に向かった玄葉さん。結果として、東アジアの外相で初めて、アメリカの国務長官であるオバマ政権のヒラリー・クリントン国務長官(民主党)と朝鮮半島情勢について情報交換することができました。玄葉さんはワシントンから、中国や韓国の外相とも電話会談したようです。
玄葉さんの2011年、平成23年。
東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故。ハワイでのAPECを前にしたTPP交渉参加への議論での、山田正彦さんやJA全農などの抵抗。そしてポスト金正日体制の始まり。まさにいろいろなことがありすぎた一年でした。
玄葉さんは、第146代外相です。わが国初のミッションスクール(キリスト教)系大学を卒業した外相です。聖心女子大学卒業の緒方貞子・元上智大学教授が国連難民高等弁務官(UNHCR)になったのは1991年、20年前のことです。第一の開国の果実であるミッションスクール出身の人材を、これまで国が生かせていなかったことを如実に感じます。例えば誰?と聞いても、たいてい、細川護煕さん(上智大学)ぐらいの名前しか上がりません。横浜開港から152年、名もなき人材がいかされなかったのだと、私は認識しています。
同志社で英語を学び、東京帝国大学法学部を出て、外相を務めたのが内田康哉(うちだ・こうや)です。大正デモクラシーの帝国議会でも答弁した彼は、明治・大正・昭和にかけて通算7年5ヶ月にわたり外相を務めた在任最長記録保持者です。また、首相代理も2度やっていますが、めでたい話ではありません。1度目は岩手県出身の原敬首相が東京駅で暗殺されたため、2度目は加藤友三郎首相が急死したためです。内田外相の最初の就任は、日露戦争勝利の6年後。関東大震災、ニューヨーク発の世界恐慌(The Clash)による日本経済の弱まりと、松岡洋右による国際連盟脱退などのブロック経済化への長期的見通しの誤りから、内政面で軍が影響力を増していくなか、日本を守ろうと、外国で懸命に取り組みました。しかし、政界再編に明け暮れる政党人と軍官僚による政治への進出のなか力尽き、2・26事件で岡田啓介内閣が倒れた10日後、軍靴の足音の高まりを耳にしながら、亡くなりました。
ジリ貧がドカ貧になった東日本大震災。ニューヨーク発のリーマンショック。ブロック経済化(TPP)とわが国はそのころと似たような環境にあります。しかし、玄葉さんはひるんではいけません。力強く勇気を持って前に進まなければなりません。ある若手県議が「よど号ハイジャック事件のときに、山村新治郎・運輸政務次官(“男・山新”、“身代わり新治郎”)が人質になったのとか、ああいう巡り合わせって憧れるよね」と語りました。政治少年は自分が国難を救うことに憧れます。当選回数の階段を昇るうちに、少しずつ“大人”になり、あたかも国難を望むかのような発言はしなくなり、思惑含みの発言が増えていきます。しかし、玄葉さんの正念場は今しかありません。たとえば、渡部恒三衆院議員は79歳ですから、玄葉さんより32歳上です。玄葉さんの選挙の強さなら、それなりに無難にやっていけば、そのくらいまで行けるでしょう。恒三さんも、厚生大臣時代には、トルコの閣僚経験者から「コーゾーは日本で落選しても、トルコに来ればいつでも議席がある」と言われ、通産大臣時代は、磐梯高原の四極通商協議で、「歓迎!カーラ・ヒルズアメリカ通商代表」という横断幕をみた、米通商代表のカーラ・ヒルズ女史が「コーゾー、 私はあなたがうらやましい。あなたのように素晴らし故郷を持つ人は幸せだ」として、わが国では“タフネゴシエーター”、“鉄の女”のイメージが強かったヒルズ女史が、「涙を流した」(恒三さん)とされています。しかし、玄葉さんはそれをはるかにしのぐ歴史の転換期に外相でいます。それは、幸福なことです。
「五十而知天命」
(五十にして天命を知る、「論語」巻第1為政第2の4)
玄葉さんの取扱説明書には、もはや壊れた場合の保証書はありません。壊れるまでやってください。玄葉さんというのは良質な仲間に恵まれていますから、壊れても心配ありません。これから30年以上議員をやるにしても、この1年が正念場です。1年ぐらいはたばこもやめて、選挙区にも帰らず、応援演説もせず、地球上を走って走って走りまくれ。
玄葉外相の可能性への挑戦が続きます。
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政府は2011年12月20日(火)朝の定例閣議で、平成23年度第4次補正予算(案)を決定しました。野田佳彦首相、安住淳財務大臣、古川元久・国家戦略担当大臣、五十嵐文彦財務副大臣らが陣頭指揮に当たりました。4次補正は次の財務省ホームページですでに公開されています。
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2011/hosei20111220.htm
【歳入は、衆参ねじれ国会による熟議で1兆円!】
歳入は、衆参ねじれ国会による法人減税法案の修正削除による税収上ブレの1・1兆円と、新発および借り換え国債(年間130兆円発行)の運用利回りが平均1%に安定したことによる、想定利回り2%との差額の1・3兆円を活用。2兆5345億円を増額補正しました。これにより、平成23年度一般会計総額(菅内閣が当初編成1次・2次補正、野田内閣が3次・4次補正)は107兆5105億円となりました。なお、経年比較のために注記すると、平成23年度予算書では農業者戸別所得補償が一般会計から、子ども手当は年金特会の「子ども手当および児童手当勘定」から歳出しています。
直近の民意である2010年7月11日第22回参院選での衆参ねじれ。国税など改正法案が3党協議送りとなり、3党税調会長(藤井裕久さん、野田毅さん、斉藤鉄夫さん)によるねばり強い協議により、野田さんが主張した法人減税撤廃という熟議の成果の1兆円です。「税財政・経済に強い野田とは野田毅のことだ!」と言わんばかりの当選13期生の意地を見せてくれました。
[写真]衆院議員で自民党熊本2区支部長の野田毅さん
□国債費の不用額1兆円は「未来からのおこづかい?」
歳入では国債費で1・3兆円の不用額が増額補正(当初予算歳出の国債費の減額補正)されました。ここでクイズです。1年間の赤字国債の発行額はいくら?答えは44兆円・・・だと思うでしょうが、それは新規発行(新発)の赤字国債の額で、借り換え(償還)のための国債発行額を入れると、総額130兆円となります。これは国債整理特別会計で想定利回り2・0%となっていますが、ことしの長期金利(国債の運用利回り)は1%前後で安定していました。そのため、1・3兆円のオカネがあまりました。ただし、長期金利の先行きはまったく安心できません。欧州債務危機で、相対的に安定している日本へマネーが流れたこと。タイの洪水被害や震災の影響がある株式市場(日経平均)から相対的に安定している債券市場(長期金利)へマネーが流れたこと。それと、日本の消費税率がたったの5%なので、将来的に5~20%ほどの「上げしろ」があるという“将来性”への国際的な評価です。こういったことで、長期金利が1%前後で済んだのです。ですから、この1・3兆円は、未来からのおこづかい。
【歳出では税・社一体改革を前倒し】
歳出では、高齢者医療・子育て・福祉に0・5兆円。この中で、松あきらさんが取り組んでいる子宮頸がんワクチン等接種基金の1年延長にも526億円が計上されました。この事業は、これからは自治体主導でなく、日本国中同じ条件で受けられる国費負担事業でしっかりやっていきましょう。
[写真]公明党副代表で参院議員の松あきらさん。
生活保護費の国費負担分は0・1兆円増額されました。
中小企業資金繰り支援は7413億円とドッサリ。二重ローン軽減法(片山さつき筆頭発議者)や政令にもとづく、(株)東日本大震災事業者再生支援機構が借り入れたり、社債を発行したりする際の政府保証では0・5兆円の枠を設定し、間接的に分厚く被災事業者を助けます。
このほか、エコカー補助金はちょうど0・3兆円。報道によると、きょうの購入分から対象になるようです。予算が切れ次第、補助もなくなるということでしょうから、「トヨタ」「ホンダ」「スズキ」のお店にドンドンかけ込んでエコカーを買ってください。
TPP(環太平洋パートナーシップ)の交渉の事前協議への参加について、JA全農がハチマキをして激しい抵抗をしました。食と農林漁業の再生に必要な経費として1574億円を計上しました。具体的な箇所付けはまだ分かりませんが、JA全農幹部の振るまいが見物です。すでに多くの人が、JA全農の正体を見抜いているとされています。
国際秩序の不安定さ・不透明さが増していますが、国連分担金(684億円)やアフガニスタン支援拠出金(521億円)など国債分担金および拠出金も0・2兆円増額。
このほか、情報収集衛星、タイ洪水被害、南スーダンPKO対応などが盛り込まれました。また地方交付税交付金は3608億円増額補正されました。
現時点で、まだ予算書本体は読んでおりませんが、タイヘン良く組めています。
私は4次補正編成には懐疑的で、「総理が決めた以上はしょうがないな」と思っていましたが、総理の考えていることが分かってきました。
新年度ではなく新年1月から、しっかりと国際秩序、被災企業者、零細企業者、農林漁業者、生活保護者、エコカー買い替え者を分厚く下支えする。野田内閣のそういう姿勢が浮き彫りになりました。そうやって、切れ目なく、スムーズに4月からの新年度に移る。まあ、まさか、誇りある政権準備政党である自民党さんが、第180通常国会で新年度歳入の半分を裏付ける特例公債法案に反対するなんてことはありえないでしょう。しかしまかりまちがって、そのまさかがあるとすれば、それへの予防線を張る。そうやって、「先行き不透明な不安な社会」から「やや不透明で、ちょっと安心な社会」へ。一歩一歩、いや、半歩半歩乗り越えてい。
15日の日銀短観は震災の落ち込みから回復していた景況感が、タイ洪水被害・欧州債務危機の暗雲がたれ込め、再びマイナスになりました。大企業以上に零細の業況判断が激しくマイナスに振れました。これは先行きの見通しであり、実際はそこまでマイナスにならないでしょう。が、社長さんの景況「感」を忠実に反映する短観らしい結果となりました。不透明とは不安ということなのです。大企業ほど見晴らしの良い高台から世界を見ることはできません。そのような震災後の日本が置かれている状況を理解し、苦しさを分かち合えないようなタックス・ペイヤー納税者は、日本国民でなくなってけっこう。「絆」もいいですが、イチバン頼りにできるのは「国家」です。税金をしっかり払い、それが公正に分配される政治を目指して。その2012年の幕開けをかざるのが4次補正です。
当ブログはこの4次補正を「野田・安住 希望の朝焼け補正」と命名しました。平成23年度第4次補正予算(案)は、平成24年(2012年)1月の中下旬に召集される第180通常国会の冒頭に提出され、成立します。
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民主党:若手議員数人が年内離党の動き 消費増税に反発 - 毎日jp(毎日新聞)
政府・民主党の消費税増税論議が週明けから本格化するのを前に、消費増税に反対する同党の若手衆院議員数人が年内にも離党する動きを見せている。野田佳彦首相は年内をめどに税と社会保障の一体改革の素案をまとめる方針だが、来年にも想定される衆院解散・総選挙へ向け、選挙基盤の弱い若手議員の間に不安が広がっており、党分裂を回避したい党執行部との駆け引きが激化しそうだ。
離党も辞さない意向を示しているのは衆院当選1~3回の数人。東北地方選出の議員(当選1回)は「次期衆院選に民主党から出ることは絶対ない」と年内にも離党届を提出する構え。東京選出の議員(同)も「このまま民主党にいると消費増税の片棒を担いだことになる」と反発を強める。
ただ、離党後の展望が開けているわけではなく、消費増税路線を批判する小沢一郎元代表も自身のグループの結束を重視して「早まらない方がいい」と若手を説得している。石原慎太郎東京都知事らの新党構想への合流を検討する議員がいる一方、別の議員は「自らの意思で党を飛び出したい」と語るなど「離党予備軍」も一枚岩ではない。【青木純】
◇
新進党を解党した小沢一郎(氏)のグループに離党の動きです。
このうち、東北地方選出の議員(当選1回)というのは、宮城2区(仙台市宮城野区・若林区・泉区)選出の斎藤恭紀さんのことだと推測されます。彼は地元テレビ局で「教えて斎藤さん」という冠番組を持つほどの人気気象予報士でした。宮城1~2区に関しては、民主党および連合が公職選挙法違反による議員の失職(失職前の辞任含む)があったり、社会党議員が民主党に移籍したりとゴタゴタが多く、1区、2区ともテレビ局で知名度がある人を立ています。申し添えると、1区選出の女性議員は素晴らしい方です。それに引き換え、2区の斎藤さんは小選挙区で自分を押し上げてくれたすべての有権者を今、裏切ろうとしています。しょせん学歴が低いのに、つけ上がったマスコミ人のなれの果て。それが斎藤氏です。対抗馬は自民党の秋葉賢也さん(比例復活、松下政経塾3期)ですから第46回衆院選での当選の確立は極めて低いでしょう。宮城2区は仙台市北部なので、多くの人が東日本大震災で亡くなったり、ローン付き分譲マンションが全壊したり、生命と財産が失われました。斎藤議員の行動はその人たちへの裏切りです。たぶん日本国憲法など読んだこともないのでしょう。
記事では「東京選出」となっている議員は「東京ブロック選出」という意味でしょう。これは当選3回の中津川博郷さんだと思われます。彼は東京ブロック比例単独28位です。ちなみに27位は川島智太郎、29位は渡辺浩一郎という2011年の日本を潰しかけた「2・17ショック」の小沢別働隊に挟まれています。とはいえ、中津川さんは「2・17ショック」には参画しませんでした。彼は元江戸川区議会議員で、その地盤を息子の中津川まさあきさんに譲っています。彼は民主党会派ではなく、「志士の会」という一人会派をつくっています。
中津川区議は次のようなことを書いています。
[引用はじめ]
もっと拡げよう!減税の使命|江戸川区議会議員 中津川まさあきオフィシャルブログ
本日、「河村たかしと仲間たちの集い」に出席してきました。
たくさんの国会議員の先生や地方議員の方も出席されていました。
そして、河村たかし市長からも名古屋市政の改革について学んできました。
長く何も変わらぬどころか大増税の日本の政治。
どうにかしなければならない。
減税も議員本来の使命の一つであると強く信じております。
江戸川区議会議員
志士の会 幹事長
中津川まさあき
[引用おわり]
このように、中津川衆院議員の息子の中津川区議は、元自由党衆院議員で名古屋市長の河村たかしさんと連携していることを明示しています。東京16区(江戸川区の大部分)は、民主党の1期生・初鹿明博さんがいて、国会では超過密勤務の衆院厚労委員として、地元でも東京選出の地の利で、平日も朝の駅頭活動をしていて、統一地方選の前には「お前、都知事選に出るのか?」「統一選の立候補者と間違われるからしばらく駅頭は控えろ」と支持者から言われるほどの働きぶり。対抗馬の自民党支部長は公募に30人以上が応募し、前職・島村宜伸さん(77)は応募していないと報じられました。ところが、自民党の河村建夫・選挙対策局長はいまだに自民党東京16区支部長を発表していません。これには2つの説があり、1つは東京なので、直前に発表して、サプライズ効果でオカネをかけずに一気に当選してしまおうという説。もう一つは、島村さんが引き続き無所属も含めて立候補の構えを崩しておらず党本部・都連幹部が説得に当たっている、ないしは島村支部長の可能性もあるという説。後者については、中山義活さんが当選した東京2区(上野浅草など台東区と文京区)でも深谷隆司さんが同様に支部長就任をめざしていて、島村・深谷の武闘派議員同士でタッグを組んでいるという噂もあります。
中津川さんは、この間隙をぬって、減税日本公認で東京16区に出馬。仮にダメでも、次は息子に譲りたいという考えがある可能性があると斟酌されます。
例えば、こういった人たちが離党することで、小沢一郎グループが党内外で分断されることを期待する人が民主党にも自民党にもいるかもしれません。しかし、それは間違いです。なぜなら、小沢一郎グループというのは、所属する議員各々の思惑は別々で、バラバラの組織だからです。例えば、党内外に分かれれば、党外は別働隊として動くこともできるでしょう。しかし、例えば、党外の松木謙公さんですが、実は除籍前の統一地方選で、東京・台東区長選で、元自民党参院議員と河村さんとの橋渡し役を務めましたが、惨敗しています。小沢グループは百害あって一利無し。小沢一郎の息の根を止めるためには、小沢一郎グループを根絶やしにすることが必要です。東日本大震災に見舞われた2011年。私たちは私たち自身を変えなければなりません。そのためには、小沢一郎(氏)を徹底的に干して干して干し上げる。小沢グループの配偶者は許しても、本人たちは許さない。汚いDNAを後世に残すな。日本国民総出の火の用心で、新進党を解党した小沢一郎(氏)を歴史法廷の断頭台に送りましょう。そのスタートが、2011年12月18日週ということになります。信なくば立たず。小沢一郎(氏)は民主党、公明党・創価学会、自民党共通の敵です。新進党解党から14年経った今、有権者の総力を結集して小沢一郎(氏)を倒さなければいけません。
小沢一郎(氏)の息の根を止めましょう。
小沢一郎グループを根絶やしにしましょう。
とはいえ、小沢グループにも魅力的な議員も多いから、困っちゃうんですよね~~(^^;)
小沢グループの皆さん、せいぜい頑張ってください(*^_^*)
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[写真]左、民主党副代表で参院議員の北澤俊美さんと民主党最高顧問で衆院議員の岡田克也さん、ともに筆者撮影。
胸がはち切れんばかりの思いです。
民主党副代表で参院議員の北澤俊美さんと民主党最高顧問で衆院議員の岡田克也さんに路線対立が勃発です。岡田さんは第39回衆院選(1990年2月18日)、俊美さんは第16回参院選(1992年7月26日)に絶頂期の経世会(自民党竹下派)公認で初当選。しかし、第4派閥となる「改革フォーラム21(自民党羽田派)」に入り、新生党結党に参加。細川・羽田内閣で俊美さんは農水政務次官、岡田さんは「いしずえ会事務局長」を務めました。羽田内閣総辞職で、下野後も、新進党の第2回党首選では羽田孜陣営でした。その後、別の党になりましたが、民主党結党に参画し、15年連続の野党生活に耐え、政権交代を実現しました。鳩山内閣では、岡田外相、北澤防衛相として首相を支えました。
[写真]ピエール・ドゥ・ロンサール(北澤俊美さん栽培・撮影)
武闘派に見えて、バラを愛するロマンティストの俊美さんが今週火曜日13日の定例常任幹事会で、第180通常国会の戦術について「国民に理解を得られる法案は衆院で強行してでも参院に送るべきだ。その覚悟でやらないと必ず行き詰まる」と述べたと、16日付の朝日新聞が伝えています。一方、岡田さんがつくった3党協議路線を維持すべきだとの意見も出て、議論が割れたようです。金曜日16日の幹事長代行定例記者会見で樽床伸二さんが認めています。
この背景には、第45回衆院選の長野選挙区で完勝(全5区で民主党公認候補が勝ち、対抗馬の自民党候補が全員比例も含めて完全落選)を陣頭指揮した長野県連代表に復帰し、次の衆院選への意識が強いものと思われます。俊美さんは、民主党・新緑風会(輿石東会長)で無役で、参議院(平田健二議長)でも無役です。とはいえ、民主党本部では副代表、そして来る平成24年党大会(1月16日月曜日)の実行委員長という大役があります。さらに民主党長野県連代表に復帰しました。定数是正で平岡案(5増9減)が採用されると、長野県の定数が1つ増えて、長野6区が新設されます。そうでなくても、長野県北部の特に1区、続いて、2区、3区は有権者数が多い(1票が軽い)選挙区。しかも平成の大合併の影響で基礎自治体が割れている区割りが目立ちます。いずれにしろ、大幅な境界線変更は全選挙区にあると思われます。さらに対抗馬となる自民党支部長は2区~5区まで決まっていて、旺盛な活動をしています。私は今月、5区の元職を東京で見ましたが、だいぶ元気になったようで、2世議員特有の偉ぶった雰囲気も消えていました。落選で反省したのでしょう。さらに2区、4区もマッチレースでは自民党が優勢さを取り戻しています。羽田さんが引退する3区も含めて、地滑り的に負けてしまう可能性があります。「北澤県議」時代の後援会がある1区も、区割り変更の上、みんなの党の二世新人が出馬する噂もあります。俊美さんは3党協議が整わなくても、衆院を過半数で法案を強行採決し、参院に送り、参院で野党に対して法案成立を(修正したうえで衆院に回付することを含めて)求めていく。それができなければ、両院協議会をやったうえで、早めの衆議院解散という考えがあるのでしょう。
一方、3党協議体制ですが、岡田最高顧問、前原誠司政調会長らはここに来て、任期満了までやって実績を挙げたいという考えに傾きつつあるとの観測が大勢をしめ始めています。少なくとも、子どものための手当は見届けないと、民主党コア支持層が壊れる可能性があります。
このようなことで、俊美さんの「衆院の過半数で参院に送って参院で対応を待つ」のか?はたまた岡田さんがつくった3党協議体制を維持しして、衆院段階から法案を手直しして、衆参を通すのか。答えは2つに1つということになります。
さて、新進党第1回党首・幹事長選挙で、さきに小沢一郎氏の幹事長無投票当選が確定。そのあと、羽田孜さん、海部俊樹さん、米沢隆さんの3候補による党首選となりました。私としても既に小沢幹事長が確定しているのに、羽田党首となれば、旧日本新党、旧民社党、旧公明党、旧新党みらい(自民党清和会系)などの人たちは納得しないだろうと考えました。ここで、「ツトム君・いっちゃん」コンビに亀裂が入りました。ですから、政治の世界で、一生の親友などできるわけがないのです。繰り返し言及していますが、民主党1期生が赤坂で飲み会をしていても、それは特にならないばかりか、害になる。第46回衆院選で、自分が当選して、友人が落選したら、「秘書に雇ってくれ」と言われて断りにくくなる。だから、岡田さんは飲みに行かないのです。それが政治家の必定であり、それが政治家を通した国民の世論を政策に反映させるというプロセスなのです。
最後に、なぜ「3党協議体制」をつくらなければならなくなったか、再度ご説明します。衆参ねじれに苦しむなか1月31日、小沢一郎(氏)が強制起訴されました。そして、小沢一郎(氏)の処分に関して民主党役員会が倫理委員会へ諮問しただけで、そのわずか3日後である2011年2月17日、渡辺浩一郎・笠原多見子・川島智太郎ら16人が突如、会派離脱届を提出し、新会派結成を宣言するという「2・17ショック」が起きます。っこれにより、社民党幹事長の重野安正さん(衆院議員)らの協力を得て衆院で3分の2で再可決する案が絶望的になりました。いわば、日本国憲法60条と59条が想定していない憲法のすきまを小沢グループに突かれ、日本が崩壊しかける事態となりました。この後、民主党幹事長の岡田克也さん、公明党幹事長の井上義久さん、自民党幹事長の石原伸晃さんの同期コンビが「3党協議」の枠組みをつくり、日本を救いました。渡辺は「まさか大震災(3月11日)があるとは」と政治家にあるまじき危機管理意識の欠如を示しながら、会派離脱届けをひっそりと取り下げました。渡辺、笠原、川島らは第46回衆院選で落選するでしょうが、日本のすべての社長さんは、彼、彼らを絶対に信用して雇ってはならないと、アドバイスしておきたく存じます。私はそのように考えますが、みなさんはいかがでしょうか。あるいは「悪いのは小沢さんであって、彼ら彼女らは利用されただけで、悪くない」という意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
さまざまな思いの交差する、新進党解党から14年目の年の瀬です。
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[画像]公明党幹事長代行の衆院議員(広島県本部代表)の斉藤鉄夫さん(公明党YouTubeチャンネルからキャプチャ)。
民自公3党は、2011年12月16日(金)、郵政改革関連法案をめぐる3党協議を幹事長代行レベルで開きました。これには民主党幹事長代行の樽床伸二さん、公明党幹事長代行の斉藤鉄夫さん、自民党幹事長代行の田野瀬良太郎さんが出席しました。
斉藤鉄夫さんは、自公政権が第44期衆議院で成立させた「郵政民営化法」を議員立法で改正し、「郵便事業(株)と郵便局(株)を統合」することで親会社日本郵政(株)と、郵便事業・郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3子会社の「4社体制」にする。そして、東日本大震災の復興財源にするために、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を政府が3分の1超保有しながら、2022年9月末までに2分の1以上を売却する、との公明党案を出しました。ちなみに、私の手元の計算では、10兆円を越える税外収入(埋蔵金)が政府に入ると考えられます。
これを受けて、樽床さんは、3党合意ができた時点で、第176国会閣法1号~3号の「日本郵政改革法案」など3法案を、国会法59条にもとづき、内閣が撤回する考えに同意しました。
17日付日経新聞2面によると、旧名称および通称「全特」こと全国郵便局長会の柘植芳文会長は、斉藤鉄夫さんの事務所を訪れ、意見交換しました。関係者によると、公明党が第46回衆院選で9人擁立する「小選挙区での支援も視野にある」と話したと報じています。
麻生自民党内閣で環境大臣を務めた斉藤鉄夫さんは、1993年に中選挙区広島1区で初当選し、新進党で比例中国ブロックに転出。解党後に公明党再結成に加わった後も、比例中国ブロックで、広島市に事務所を構えています。ちなみに第4代自民党総裁で、第58~第60代首相の池田勇人さんは広島県内の特定郵便局長のせがれで、中国地方でイチバン有名な特定郵便局長のせがれだったそうです。前島密が明治4年に郵便制度をつくりました。なぜ明治4年という早い時代にわが国が郵便制度を導入できたかというと、5街道の整備と飛脚があったからでしょう。江戸~大坂が3日間ですから、江戸~京都は淀川を渡らないので2日間だったでしょう。これに加えて、山がちな地域でも、池田家のような造り酒屋など各地の名士に特定郵便局をやってもらうことで、ユニバーサルサービスの郵便制度が明治4年にできたのです。後輩の日本国民として誇りに思います。ですから、小泉純一郎さんが「自民党をぶっ壊す」「郵政民営化は改革の本丸」と言ったのは、いわば池田勇人さんの反対。もっとも自民党らしい総裁であった池田さんの「国民所得倍増計画」で大企業製造業の儲けを広く国民に分配した経済・政治体制とは反対の方向に日本および自民党を持っていこうとし、成功したのだということなんです。
公明党は北海道10区に稲津久さん、大坂3区には元「いしずえ会」の佐藤茂樹さんらを擁立します。これまでの創価学会とはかなり毛色の違う、全特の支援をもらうことになれば面白い選挙戦を展開しそうです。とはいえ、全特は第22回参院選で、候補者を一人も当選させられませんでした。民主党内でも連続当選している人は、「全特の票はたいしたことがない」としています。しかし、郵便局長OBと郵便局長夫人は、前述の歴史的経緯もあり、弁が立つ人が多く、「選挙戦をつくる」「陣営を引き締める」点では素晴らしい能力を持っています。そのため、選挙戦術や組織運営が不得手で、コアメンバーをつくれておらず、かつ区域が広い(過疎ぎみである)選挙区をかかえている人にとっては、「全特頼み」が強くなります。このため、民主党内では小沢グループに「全特頼み」の議員が多い傾向があります。とくに大阪3区では、国民新党の中島正純さんがいますが、彼は小沢グループ在籍中の政治資金収支報告書虚偽記載で民主党を離党し、国民新党の軒先を借りています。こういった調整も含めて、全特は上から目線で決められます。公明党内でも斉藤さんが説得する場面が出るのかも知れません。また当然「自公」をめぐって、自民党内、公明党内に摩擦が出る可能性があります。
これで3党合意ないし2党合意ができれば、日本のデモクラシーにとっても良かったと思います。どうしても、提出中の「郵政改革法案」は、郵政を再国営化するという法案だと考えている国民が多いからです。知識階級でも「みんなで選挙で決めたんだからさ、そのままやればいいんじゃないの」(歯科医院院長)ということで、郵政改革法案に反対していました。郵政改革法案は、郵政株の3分の2を売るのですから、民営化のプロセスを再び進めるものです。しかし、ほろ苦さもまじった「訓政期」の教科書である「郵政民営化法」をいかしたうえで、議員立法で手直ししていく。それが、「プロセスの透明化」「政治を国民の手に取り戻す」ことになります。
3党合意ないし2党合意ができれば、中期的な復興財源確保はヤマを越えます。公明党の斉藤さん、民主党の樽床さんの「新進党コンビ」が合意したことで、衆参とも過半数となり、ねじれを突破できます。ちなみに、通常国会での内閣による法案の撤回は、169国会(福田自民党)は0本、171国会(同麻生)は3本、174国会(鳩山民主党)は1本、177国会(同菅)は8本と増えています。これは177国会中に3党協議のしくみができたことで、閣法を撤回し3党合意による議員立法というスキームが構築されたからです。その証拠に169国会も衆参ねじれでしたが、撤回はゼロでした。このように衆参ねじれと3党協議による熟議の国会は進んでいます。もう少しスピードアップしてもいいですが、それだと議論について来られない人が国会議員でも増えることになり、プロセスが理解できなくなるというデモクラシーの大きな危機につながりかねません。このジレンマがあります。国民も試されますが、与党議員には、もうかなり悲惨な状態になっている人がたくさん出てきています。
あれから14年が経ちました。今でも年の瀬になるたびに、小沢一郎(氏)に新進党を解党された、それは目の前で親を殺された人とまったく同じかそれ以上の心の傷、トラウマでしょうが、うずきます。しかし、前を見なければなりません。新進党の志を持ち続け、新進党の枠組みを活用すれば、どんな国難も絶対に乗り越えることができます。
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米大統領 イラク戦争終結宣言 NHKニュース
9年近くに及んだイラク戦争を巡って、アメリカのオバマ大統領は、日本時間の15日未明に行った演説で、「きょうをもってわれわれは戦争を終結する」と述べ、イラク戦争の終結を宣言しました。
オバマ大統領は14日、南部ノースカロライナ州の陸軍基地で、イラクからの帰還兵らを前にイラク戦争を巡る演説を行いました。この中で、オバマ大統領は、兵士たちに「国に戻ってきたことを歓迎する。お帰りなさい」と繰り返し語りかけ、みずからが約束した、アメリカ兵のイラクからの撤退が予定どおり年内に完了するとの見通しを示しました。そのうえで、「アメリカ軍の歴史の中で、非常に大きな出来事が終わる。きょうをもって、われわれは戦争を終結する」と述べ、イラク戦争の終結を宣言しました。また、オバマ大統領は、「イラクをみずからの代表を選挙で決めることができる、自立し安定した国にすることができた」と述べ、戦争の成果を強調しました。しかし、イラク戦争では合わせて150万人のアメリカ兵が現地に派遣され、このうちのおよそ4500人が死亡しました。オバマ大統領は、「戦争にはさまざまな困難があった。国内でも賛否両論があった」と述べ、みずからが反対してきたイラク戦争によって、アメリカ自身にも多くの犠牲がもたらされたことを指摘しました。
◇
イラク戦争が終結しました。今月中に撤退が完了します。
サダム・フセイン大統領率いるイラクが大量破壊兵器を持っており、その廃棄を求めた「国連安保理決議1441」に違反しているとして、ジョージ・ブッシュ大統領が2003年3月20日(木)=日本時間・米時間とも=に始めたのが「イラク戦争」です。
結果として、大量破壊兵器は存在しなかったのですが、戦争は続きました。サダムをとらえ、裁くことには成功しました。ただ、この戦争は、サダムが石油取引にユーロを使い、国際基軸通貨としての「ドル」を壊そうとしたことへの懲罰だったというのがホントウの狙いだったようです。この8月、ニクソン・ショックから40年経ちました。1ドルが360円ないし220円から、77円前後まで円高ドル安にふれましたが、それでもドルが国際基軸通貨であり続けるのは、さすがアメリカです。しかし、それを維持するために、アメリカの外で、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争をしなければならなかったということを認識する必要があると思います。
ところで、この2003年3月20日の衆院本会議で「イラクに大量破壊兵器が存在しない可能性」を指摘していた政治家がいることをご存知でしょうか。これは国会議事録がありますから、ハッキリ残っています。わが国は世界でも早く日付変更線を越えて、新しい朝を迎える国です。日出づる国です。世界観をしっかり持った政治家がいれば、日本は生き残れます。
さて、もったいぶることもないのですが、2003年3月20日、この極東の島国で、その時点で野党生活が連続9年を越えていながら「大量破壊兵器が存在しない可能性」を指摘した議員、それは岡田克也(Katsuya Okada 1953-)です。当時野党第1党の民主党、この時点で政権を担った経験は一日もない政党の幹事長でした。
岡田さんは質問演説を「民主党の岡田克也です。本日昼に始まった米国などによるイラク攻撃に関し、我々の見解を述べつつ、小泉総理に質問します。(拍手)とうとう戦争が始まりました。この戦争によって、多くの犠牲が生まれ、罪のない命が奪われることは確実です。何とかこの戦争を回避し、イラク問題の平和的な解決ができなかったのか、本当に残念に思い、同時に、私自身、無力感を感じています。私だけではなくて、この議場の皆さんの気持ちも同じだと思います。一日も早く、戦争が終わり、平和が訪れることを強く願いつつ、質問します」と切り出しました。
そして、岡田さんは「小泉総理は、イラクの大量破壊兵器が確実に存在し、それが今後、確実にテロリストの手に渡るという確かな証拠をお持ちなのでしょうか」と指摘しています(岡田指摘)。
これに対して、小泉純一郎首相(自民党総裁)は、「大量破壊兵器の脅威というのは、決して人ごとではありません。武力行使なしには大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、私は、同盟国として今般のアメリカの行動を支持することが国家利益にかなう」と答弁しています。
おそらく世界的にも、大量破壊兵器が開戦当日から存在しない可能性を指摘し、それがその国の議会の議事録に残っているという政治家は極めて少ないだろうと考えます。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
第156回国会 本会議 第16号
平成十五年三月二十日(木曜日)
―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
小泉内閣総理大臣のイラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告
(略)
小泉内閣総理大臣のイラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告に対する質疑
午後三時三十三分開議
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
――――◇―――――
内閣総理大臣の発言(イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告)
○議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から、イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラク問題についての政府の基本的な考え方を明らかにし、皆様の御理解と御協力を得たいと思います。(拍手)
数時間前、米国を初めとする国々は、イラクが国際社会の平和と安全に与えている脅威を取り除くための最後の手段として、イラクに対する武力行使を開始しました。
イラクは、昨年十一月に全会一致で採択された国連安保理決議一四四一によって、国際社会から、大量破壊兵器を廃棄するための最後の機会を与えられました。私は、イラクへの総理特使の派遣を含め、イラクが直ちに国連査察団に対して無条件かつ積極的に協力することによって平和への道を選ぶよう、繰り返し呼びかけてきました。国際社会も、一致して、イラクの全面的協力を強く求めてきました。平和へのかぎはイラクだけが握っているのが明らかだからです。しかし、大変残念なことに、イラクは、国際社会の真摯な努力にこたえず、みずから平和への道を閉ざしてきました。
サダム・フセインは、これまで、隣国に対しても、また、驚くべきことに、イラク国民自身に対しても、違法で残酷な化学兵器を使用したことがあります。イラクは、今から十三年前、突然、クウェートを侵略し、併合を宣言しました。国際社会は、イラクの国際法を無視した蛮行を厳しく糾弾し、多数の国々の軍事力によってこれをただしました。停戦に当たって、イラクは、地域の平和と安定を脅かす大量破壊兵器を廃棄することを約束しました。この約束は完全に実行され、イラクが大量破壊兵器をすべて廃棄したことが確認されなければなりません。それができて初めて、この地域の平和と安全の確保が可能となります。しかし、イラクは、これに応じようとしませんでした。
大量破壊兵器は、大量かつ無差別に市民を殺害し、傷つける恐ろしい兵器です。私たちは、このような非人道的な兵器が自国民を圧政のもとに置く独裁者の手中にあることを、真剣に考えなければなりません。(拍手)特に、一昨年九月十一日の同時多発テロ以来、国際社会は、テロリストが核物質や生物兵器、化学兵器を入手した場合の恐怖を強く認識するようになりました。今日の国際社会において、大量破壊兵器の保有の有無は、うやむやに放置しておけるような問題ではないのです。我が国を取り巻くアジア地域も、決して、この問題と無縁ではありません。
イラクは、国際社会に対して、かつて保有し使用した大量破壊兵器を廃棄したのかどうかを十分に説明しませんでした。イラクは、VXガスやマスタードガスのような化学兵器、炭疽菌やボツリヌス菌のような生物兵器など、何億人もの人々を殺傷できる量を保有していたと言われています。しかし、イラクは、このような恐ろしい兵器の行方について必要な説明を行わず、国際社会に対して誠意ある回答を示さなかったのです。
国際社会は、十七本にも上る国連安保理決議を採択し、一致してイラクに対する説得に当たってきました。しかし、イラクは、十二年間にもわたって国連安保理決議への違反を続けてきました。これは、イラクによる国連に対する挑戦であり、国連の権威の侮辱です。このような状況のもとで、私は、安保理が一致団結し、国際社会の平和と安全に対して責任を果たすべきことを、ブッシュ米国大統領やシラク・フランス大統領を含む関係国首脳に対して、直接訴えてきました。
最終的に安保理での意見の一致が見られず、安保理が一致団結できなかったことは残念です。しかしながら、何度も何度も平和的解決のための機会を与えられたにもかかわらず、イラクがその機会を一切生かそうとせず、安保理決議違反を繰り返してきたことは、決して見逃されてはなりません。(拍手)問題の解決をいつまでも先延ばしにすることは許されないのです。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見出せない以上、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます。(拍手)
今、米国は、このような大量破壊兵器を廃棄する国際的な動きの先頭に立っています。米国は、我が国のかけがえのない同盟国であり、我が国の平和と安全を守るための貴重な抑止力を提供しています。我が国を取り巻くアジア地域の平和と安全の確保にとっても、米国の役割は不可欠です。そのような米国が国際社会の大義に従って大きな犠牲を払おうとしているとき、我が国が可能な限りの支援を行うことは、我が国の責務であり、当然のことであると考えます。(拍手)
いかなる場合においても、武力行使を支持することは容易な決断ではありません。戦闘なしに大量破壊兵器が廃棄されることが最善の策であることは、言うまでもありません。しかし、それが不可能な状況のもとでは、我が国としては、国際社会の責任ある一員として、このたびの米国を初めとする国々による行動を支持することが我が国の国家利益にかなうとの結論に達しました。(拍手)
今般の事態に際し、政府は、直ちに安全保障会議を開催し、緊急性を有する措置に関する対処方針を速やかに決定するとともに、その後の臨時閣議において、事態の推移を見守りつつ検討すべき措置に関する対処方針もあわせて決定いたしました。同時に、内閣にイラク問題対策本部を設置し、この対処方針に基づき、政府が一体となって総合的かつ効果的な緊急対策を強力に推進することといたしました。
政府は、イラクとその周辺における邦人の安全確保のために万全の措置を講じてまいります。また、国内重要施設、在日米軍施設、各国公館の警戒警備等、国内における警戒態勢の強化・徹底を図ります。さらに、我が国関係船舶の航行の安全を確保するため、所要の措置を講じてまいります。
政府は、原油の安定供給を初め、世界及び我が国の経済システムに混乱が生じないよう、関係国と協調し、状況の変化に対応して適切な措置を講じてまいります。このため、原油等物資の市場動向や供給状態、金融・証券市場の動向を監視します。また、関係諸国等と連携しつつ、必要に応じて、原油の安定供給のための適切な措置を実施します。さらに、外国為替市場の安定化、金融システムの安定の確保、国内の流動性の確保に努めます。
我が国は、このたびの武力行使によって被災民が発生するのに応じて、国際機関やNGOを通じた支援や、周辺国に対する国際平和協力法に基づく自衛隊機等による人道物資の輸送等の支援を含め、緊急人道支援を行います。
我が国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復が我が国にとっても重要であるとの認識に立って、このたびの事態に対して積極的な対応を行ってまいります。
我が国は、今後の事態の推移を見守りつつ、次のような措置を検討してまいります。
第一に、このたびの武力行使によって経済的影響を受けるイラク周辺地域に対して、影響を緩和するための支援を行います。第二に、イラクにおける大量破壊兵器等の処理、海上における遺棄機雷の処理、復旧復興支援や人道支援等のための所要の措置を講じてまいります。
また、これらの措置とは別に、我が国は、アフガニスタン等におけるテロとの闘いを継続する諸外国の軍隊等に対して、テロ対策特措法に基づく支援を継続・強化します。
私は、戦闘が一刻も早く、しかも、国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で終結することを心から望んでいます。同時に、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、イラクの復旧復興のため我が国ができる限りの支援を行っていく考えであることを、ここで明らかにしておきたいと思います。
中東地域の平和と安定は、我が国自身の平和と繁栄に直結する重大な問題です。我が国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復に寄与することに加え、中東和平問題への真剣な取り組みを続けていきます。また、悠久の歴史と文明を有するイスラム世界との対話を継続・強化し、幅広い交流と相互理解を進めていきたいと考えます。
私は、以上のような政府の考え方について、国民の皆様の御理解と御協力を心からお願いいたします。(拍手)
○議長(綿貫民輔君) ただいまの発言に対する質疑は後刻行います。
(略)
○議長(綿貫民輔君) 岡田克也君。
〔岡田克也君登壇〕
○岡田克也君 民主党の岡田克也です。
本日昼に始まった米国などによるイラク攻撃に関し、我々の見解を述べつつ、小泉総理に質問します。(拍手)
とうとう戦争が始まりました。この戦争によって、多くの犠牲が生まれ、罪のない命が奪われることは確実です。何とかこの戦争を回避し、イラク問題の平和的な解決ができなかったのか、本当に残念に思い、同時に、私自身、無力感を感じています。私だけではなくて、この議場の皆さんの気持ちも同じだと思います。一日も早く、戦争が終わり、平和が訪れることを強く願いつつ、質問します。(拍手)
まず、民主党の基本的な考え方を述べます。
民主党は、イラクがこれまで累次の国連決議を守らず、大量破壊兵器に関する疑惑をみずから払拭してこなかったことを、強く批判してきました。同時に、査察を強化し継続することで大量破壊兵器の完全廃棄を行うことは可能であるとし、そうすべきと主張してきました。しかし、今回、ブッシュ政権が国連安保理での問題解決を放棄し、単独主義的な武力行使を開始したことは、国連憲章など国際法の原則に違反する行動であり、これを容認することはできません。(拍手)
武力行使の中止を強く求めます。小泉総理がブッシュ政権の武力行使に支持表明したことは誤りであり、その撤回を強く求めます。(拍手)
小泉総理、まず最初に率直にお聞きします。
あなたは、この数カ月、イラク問題は国際社会とイラクの間の問題であるべきと主張されてきました。しかし、あなたが一致してイラク問題に対応すべきと主張した国際社会は、米国の武力行使をめぐり厳しく賛否が分かれ対立する最悪の状況になっています。あなたは失敗したのです。
また、小泉総理は、かねがね、日米同盟と国際協調の両立を目指すことが重要だと言われてきました。しかし、小泉総理は、国際協調をあきらめ、日米同盟を選択しました。
小泉総理、あなたが目指してきた外交目標は、いずれも達成されず、大失敗に終わったのです。総理大臣として、外交に失敗したことについて、率直に反省し、国民に対し謝罪すべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。(拍手)
小泉総理、あなたは、外交に失敗しただけではありません。あなたは、イラク問題について、先日のブッシュ大統領のイラクへの最後通告がなされるまでの間、国民に対し、説明責任を全く果たすことがありませんでした。
さきの党首会談で、米国の新たな国連決議なき武力行使を認めるのかと問われて、そのときに考える、その場の雰囲気でなどと述べたのは、その典型であります。国連安保理の非常任理事国に対しては、経済協力などを背景に米国支持を求めながら、国内では全く説明しない。そこにあるのは、小泉総理の国民無視の姿勢であり、国民の共感を得ながら外交を進めるという姿勢は全くありません。
英国のブレア首相が国民に対して理解を求めようと必死になって説明する姿勢には、私も同じ政治家として共感を持ちます。総理は昨日の党首討論でもいろいろ言いわけをしましたが、ブレア首相との違いは余りにも大きい。国民への説明責任を果たしてこなかったことを謝罪すべきです。答弁を求めます。(拍手)
小泉総理、あなたは、米国ブッシュ政権の決定したイラク攻撃を支持すると表明されました。小泉総理は、その理由として三点挙げています。
第一に、国連決議一四四一号を初めとする一連の国連決議が武力行使の根拠となっており、国連憲章違反との批判は当たらないこと。第二に、大量破壊兵器が独裁者やテロリストの手に渡った場合、何十万人の生命が危機に直面すること。第三に、日米関係の信頼性を損なうことは国益に反する、その国益の中には北朝鮮問題も含まれる。
以上の三点です。いずれも説得力に乏しいと言わざるを得ません。(拍手)
以下、それぞれについて質問するとともに、米国のイラク攻撃支持の撤回を求める我々の要求に対して、受け入れる意思があるかどうか、総理の見解を伺います。
まず、第一の問題についてお聞きします。
総理は、いつから、国連決議一四四一号が武力行使を容認しているとの考えに変わったのでしょうか。
総理、私は、二月三日のこの本会議場での代表質問で、フランス、ドイツ、ロシアなどは、国連決議一四四一号が武力行使を容認するものではなく、イラク攻撃を行う場合は新たな決議が必要との立場に立っている、日本も同じ立場に立つべきだと主張しました。総理に、再質問、再々質問、三度にわたり質問しました。総理は、当初は逃げの答弁に終始しましたが、三度目の私の質問に対して、一四四一号の決議を守らなかった場合に自動的に武力行使を容認しているものではない、自動的に武力行使を容認しているものではないと答弁されました。このときの答弁は誤りだったのでしょうか。いつ、なぜ、考え方を変えられたのでしょうか。答弁を求めます。
安保理の理事国の多くやアナン国連事務総長は、新たな国連決議が必要であるとしています。総理は、新たな国連決議は必要ないと言われますが、そのことを最終的に決めるのは、あなたではありません。国連安保理であり、あなたが勝手に決めることはできないのです。今回の武力攻撃に正当性がないことは明らかです。もし、総理に異論があれば、明快に述べていただきたい。答弁を求めます。(拍手)
次に、第二の点についてお聞きします。
大量破壊兵器がテロリストや独裁者の手に渡ることは、確かに大変な問題です。しかし、だからこそ、イラクに対して国連の査察団が査察を行ってきたのです。小泉総理は、イラクの大量破壊兵器が確実に存在し、それが今後、確実にテロリストの手に渡るという確かな証拠をお持ちなのでしょうか。査察団が証明できていないことを、いかなる根拠で言われているのでしょうか。また、仮に確たる根拠があったとしても、そのことが直ちに国連無視の武力行使を正当化するものではないはずです。(拍手)
先ほど、問題の先送りを許すべきでないと総理は述べられましたが、なぜ、査察委員会のブリクス委員長が言うように、数カ月の査察の継続まで待てなかったのでしょうか。小泉総理の論理には飛躍があり、粗雑過ぎます。反論があれば述べてください。
第三に、日米関係の信頼性を損なうことは国益に反すると言われました。
確かに、日米同盟関係の信頼性を損なうことがあってはなりません。特に、九・一一テロ事件以降の米国国民の意識の変化を十分に踏まえることは大切です。注意深く、慎重に行動しなければなりません。しかし、だからといって、国連憲章に反し、大義なき戦争を始めていいはずはありません。
そして、日米間のきずなは、そんなにも弱いものなんでしょうか。同盟国であればこそ、率直に語り、ブッシュ大統領を説得すべきだったのではありませんか。そして、国連安保理の手続を無視し、国連の権威と機能を弱めることこそ、国益に反するのではないでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
北朝鮮問題との関係についても、今回、米国の単独武力行使を認めたことは、北朝鮮問題の解決をより困難にしたと思います。北朝鮮問題の解決は、中国やロシアとの協力が欠かせません。国連安保理の取り組みも重要です。すなわち、重要なのは、国際協調の中で北朝鮮の問題を解決するという姿勢です。ブッシュ政権とこれらの国々や安保理との間に重大な亀裂が入った状況で、いかにして北朝鮮の問題を解決するのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
最後に、極めて重要なことを小泉総理にお聞きします。
ブッシュ政権がイラクへの武力行使を正当化する最大の根拠は、国連決議ではありません。昨年九月に発表されたブッシュ・ドクトリンにあります。その中で、従来の自衛権の考え方を大きく変え、単独行動、先制攻撃を認めています。先日のブッシュ演説でも、米国は自国の安全を守るために武力行使の権限を持つ、行動しないことによるリスクの方がはるかに大きいことから我々は今行動するのだ、敵が先に攻撃した後に反撃するのは自己防衛ではなく自殺行為だとまで述べています。
このようなブッシュ大統領の、従来の自衛権では説明できない先制攻撃論を、小泉総理は認めるのですか、認めないのですか。答弁を求めます。(拍手)
また、このような先制攻撃を認めることは、自衛権の行使と国連安保理の決議がある場合を除いては武力行使は認めないとする国連憲章の考えを大きく変え、今までの平和維持のための国際的な仕組みの根本的な見直しにつながります。唯一の超大国アメリカが国連を無視し、単独行動、先制攻撃を行うとすれば、国連の権威は失われ、世界は極めて不安定になります。米国といえども国家である以上、自国の国益を基準にして武力行使することになりかねません。
ブッシュ大統領は正義を掲げてみずからの戦争を正当化しようとしていますが、国際社会において、正義は一つでは必ずしもありません。だからこそ、国連という協議の場が設けられているのです。(拍手)
私は、以上の点についても小泉総理と認識を共有していると期待しておりますが、いかがでしょうか。二月三日のこの場での代表質問で、この点、小泉総理に三度にわたり質問しましたが、全くお答えはありませんでした。責任ある答弁を今度こそ求めます。(拍手)
小泉総理、あなたは、同盟国の一員として、ブッシュ大統領と、このブッシュ・ドクトリンについて、昨年九月以降、意見交換をしたことがありますか。国連を軽視する米国の姿勢は、将来的には、日米同盟の本質をも大きく変えかねない重大な問題であります。そんな危機感を持って、ブッシュ大統領に、単独行動・先制攻撃論の問題点を指摘し、自重を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
小泉総理、我々は今、二十一世紀最初の大きな戦争の始まりに直面しています。戦争は多くの罪なき命を奪います。そして、国連安保理の決議がないままの大義なき戦争が今後の世界の平和に及ぼす影響ははかり知れません。今日の事態を招いたことについて、政治家として、そして一人の人間として、この議場にいる我々一人一人が大いなる反省を求められていると思います。とりわけ、日本国総理大臣の職にある者として、小泉総理、あなたの責任はとてつもなく重い。しかし、私には、あなたにその認識があるとは到底思えない。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。
日米同盟と国際協調の両立及び国民への説明責任についてのお尋ねでございます。
国際社会も、一致して、イラクの全面的協力を強く求めてきました。私も求めてまいりました。残念なことに、イラクは、国際社会の真摯な努力にこたえず、みずから平和の道を閉ざしてきました。
イラクの大量破壊兵器を破棄する国際的な動きの先頭に立っている米国に対し、同盟国として可能な限りの支援を行うことは当然だと思っております。
また、日米同盟によって、日本は日本の安全を確保してまいりました。これからも、この日米同盟関係、信頼性を維持していきながら、日本国民の安全を図っていかなければならないと思っております。
同時に、安全が確保されて初めて、さまざまな政策が推進できるわけであります。国際協調を図りながら日本の発展を図っていく。日米同盟と国際協調を両立させる。今後も、この両立を図っていくよう努力してまいります。(拍手)
また、イラク問題に対する政府の考え方について、説明責任についてのお尋ねでございますが、私は、その都度、政府として説明をしてまいりました。しかしながら、自分の考えと合致していないと答えになっていない、見解が違うと説明していない、こう言われるんじゃ、幾ら説明してもお気に入りの説明責任を果たしたとは言えない。
政府には政府の立場があるんです。私は、今までも、はっきりと説明しております。今後も、国民の理解と協力が得られるように、さまざまな機会を利用してはっきりと説明して、御理解、御協力を得たいと思います。(拍手)
米国のイラク攻撃支持の撤回についてお尋ねでございます。
武力行使を支持することは容易な決断ではありません。しかし、大量破壊兵器の脅威は、決して、我が国を取り巻くアジア地域も無縁ではありません。武力行使なしに大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、今般の行動を支持することは、私は、国家利益にかなうと考えており、撤回する意思はありません。(拍手)
イラクへの武力行使に関する法的根拠についてでございます。
岡田さんは、国連憲章違反だと言っていますが、私は、そう思っていないのです。国連憲章に合致する。
その理由は、決議一四四一自体に武力行使を容認した規定がなく、同決議に従って安保理の審議が行われたことは、これまで繰り返し述べてきているとおりであります。
我が国としては、査察官の累次の報告等で明らかなとおり、イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除等の義務を履行していないことから、さらなる重大な違反が生じていると言わざるを得ず、停戦条件を定めた決議六八七の重大な違反が生じていることから、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えており、アメリカ、イギリスも同様の解釈をとっております。
イラクでの査察の継続が認められなかった理由に関するお尋ねでございます。
イラクが最近になって査察に小出しに協力しているのは、米国等の強力な軍事的圧力があってこそであります。イラクの姿勢が根本的に改められない限り、査察は有効たり得ないと思います。我が国を含む国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための見通しが全く見出せない状況のもとで、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと思います。
私は、ブッシュ大統領にも、また、シラク大統領にも、他の首脳にも、できるだけ平和的解決が望ましいということを何回も繰り返し訴えてまいりましたが、このような段階になって武力行使に至ったことは、私も残念だと思いますが、これはやむを得ないことだと思います。
日米関係と我が国の国益についてでございます。
我が国は、イラク問題につきまして、アメリカと率直な対話を行ってまいりました。武力行使を支持するということについても、日本国民の多くの方々が反対していることも私は承知しております。しかし、大量破壊兵器の脅威というのは、決して人ごとではありません。武力行使なしには大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、私は、同盟国として今般のアメリカの行動を支持することが国家利益にかなうと考えまして、これからも、日米、緊密な連携のもとに国際協調を図っていくつもりでございます。
北朝鮮問題についてでございます。
核問題を初めとする北朝鮮に関する諸問題を平和的に解決することについては、アメリカや韓国、中国、ロシアを含む国際社会の中で、意見が一致しております。政府としては、今後とも、日米韓三カ国の緊密な連携を維持し、また、中国及びロシアを初めとする他の関係国や関係国際機関とも協力していく考えであります。
アメリカのいわゆる先制行動についてのお尋ねでございます。
我が国として他国の国際法の解釈について有権的な評価をする立場にはありませんが、いずれにせよ、アメリカは国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えます。
なお、米国の国家安全保障戦略には、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使するとしているわけではなく、先制を侵略のための口実としてはならない旨が明記されています。また、国家安全保障戦略は、国防政策を中心に広範な安保政策の基本的な考え方を述べたものでありますが、政府としては、特に、米国がテロや大量破壊兵器の拡散といった冷戦後の新たな脅威に対して断固たる姿勢で臨み、国際社会と連携しつつ強力なリーダーシップを発揮するという決意を同戦略において示している点を評価しております。
国連という協議の場の必要性についてでございます。
御指摘のとおり、二十一世紀の国際社会が直面している諸課題への取り組みに当たり、唯一の普遍的、包括的な国際機関である国連は各国の協議の場としても重要な役割を果たしていると私も考えております。今回の武力の行使は、関連安保理決議に基づくものであり、国連憲章の規定に合致していると考えております。(拍手)
[引用おわり]
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