【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第1次補正予算(案)「復旧補正」が衆院通過

2011年04月30日 16時14分32秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年4月30日(土) 衆院本会議】

 平成23年度第1次補正予算(案)が衆院本会議を通過しました。民主党、公明党をはじめ全会一致の「異議なし」採決でした。公明党や自民党がすいあげた要望にこたえるために、官房長官の枝野幸男さん、民主党政調会長の玄葉光一郎さんらが自民党本部、公明会館をたずねて回答書を提出するというていねいさが、全会一致につながったと思います。しかも、4兆円以上の事業規模を、国債発行なし(建設国債も含めて)という“神業”(かみわざ)で組むことができました。石巻漁港などのがれきの処理を休漁に追い込まれた漁業者の人にやってもらい、日当を払うという鹿野道彦農相の判断もあり、全漁連会長から民主党の岡田幹事長が「すべて取り入れてもらって感謝している」と言われたとのことです。

 このほか、本予算すでに組み込まれている、税外収入(財投特会、外為特会の一般会計への繰り入れと、旧鉄建公団の溜まり金の国庫返納)ですが、これを手当てする根拠となる法律である「東日本大震災のための財源確保の特例法案」や、平成23年度の地方交付税総額の特例法案、東日本大震災のための土地改良法特例法案、海区漁業調整委員と農業委員の選挙の特例法案、東日本大震災のための特別財政援助・助成法案などがすべて全会一致で参院に送られました。

 なお、みんなの党が、予算委員会に組み替え動議を出しましたが否決。その後、政府案には賛成しました。また、小里貞利・元防災担当大臣の息子で秘書官も務めた小里泰弘・自民党衆院議員は、補正予算(案)に「やえをえず賛成だ」と述べました。公明党の富田茂之・予算委理事は、「歳入面には問題がある」として年金財源の安定化への配慮を求めたうえで賛成しました。このほか、衆院財務金融委員会では、自民党の後藤田正純・理事が「昨日の3党合意について、民主党内はまとまっているのか?」と指摘しました。また財金委で自民党の竹下亘・元財務副大臣や、予算委で日本共産党の笠井亮さんらが「増税は反対だ」と述べ、第2次補正予算(案)以降の復興財源に関して、注文をつけました。

 あすは日曜日ですが、参院予算委員会で基本的質疑が行われる予定。NHK中継もおそらく入りますので、異例の日曜国会となります。視聴率はどうなのか気になるところです。

 ◇

 今週の国会では、参院先議の法案が合計4本、審議を終え可決。衆院に送付されました。

 参院財政金融委員会が審査した「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法などの改正案」では、各会派の意見で、「就職難の公認会計士」に関して修正案が出され、修正可決しました。また、法務委員会に提出していた「非訟事件手続法案」「家事事件手続法案」「非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備法案」も参院を通過し、衆院に送られています。後半国会はスピード感を増してきました。

 あすから5月ということで、残り会期は53日間となりました。来週は祝日が3日間あります。しかし、5月8日週以降は、会期末まで祝日はなく、毎週5日間とも使えます。今回、祝日、土曜日、日曜日の審議の実績もできたことから、このまま会期末まで一気に法案を通す流れができてきました。自民党内でも早期の解散は困難という見方が強くなっています。通常国会末には内閣不信任案を出すのが通例となっており、出さないと、谷垣執行部が党内で突き上げを食らいますので出すでしょうが、否決されるのは確実。今後は官邸の震災・原子力災害対応と、国会での法案修正などに争点が移ってきてます。ベテランデスクと体力勝負の中堅記者による「ムリヤリ政局をつくる記事」を載せ続けている読売、産経、夕刊フジはこの先苦しくなってくるでしょうが、もっと苦しいのは被災者のみなさん。なんとか国民の監視のうえで、自民党に審議拒否はさせずに、修正協議などで「責任野党」をアピールさせるようにしましょう。また、公明党と民主党の連立は補正審議を聞いている限り、かなり難しそうです。ねばり強い対応が求められます。

tags 岡田幹事長=岡田克也 谷垣執行部=谷垣禎一


今度は反故にしないで「3党合意」

2011年04月30日 09時38分08秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 統一選が終わりましたが、なかなか公明党も民主党政権に厳しいですね。

 さて、政府与党首脳会議(菅・岡田・枝野・仙谷・玄葉・安住・輿石)のメンバーである、玄葉光一郎さんは、自民党政務調査会長の石破茂さん、公明党政務調査会長の石井啓一さんらと国会図書館などで密会を重ね、「3党合意」を29日取り交わしました。この内容は、今後の国会運営・予算編成できわめて重要な内容。

 自民党、民主党、公明党の「3党合意」というのは2004年の年金制度改革でもありましたが、このときは、民主党代表(当時)の岡田克也さんは自民党総裁(当時)の小泉純一郎さんに見事なまでに梯子を外され、だまされました。しかし、その直後の2005年第44回衆院選で、国民が自民党を大勝させましたので、国民は3党合意の反故を正当化(正統化)したことになります。まさか、テレビジョンでのワイドショーで自分のクビをしめるような投票行動をする馬鹿な国民は、日本にはいないはずです。

 冗談はこのくらいにして、今度の3党合意についての議論は、しっかり国民が監視していかなければなりません。とくに子ども・児童手当の所得制限がどうなるのかと、既に実施済みの幼年扶養控除と所得・住民税の関係については、それぞれの家庭環境、あるいは理解・知識への個人差をしっかり認識した上で、主権者(有権者)として、一人一人の意見を持ちたいところです。


 
 ◇

平成23年度第1次補正予算等について

1.子どもに対する手当の制度的なあり方や高速道路料金割引制度をはじめとする歳出の見直し及び法人税減税等を含む平成23年度税制改正法案の扱いについて、各党で早急に検討を進める。

 また、平成23年度第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、平成23年度第2次補正予算の編成の際にその見直しも含め検討を行う。

 これらを前提として、特例公債を発行可能とするための法案について、各党で、成立に向け真摯に検討を進める。

2.復旧・復興のために必要な財源については、既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により賄う。復興のための国債は、従来の国債と区別して管理し、その消化や償還を担保する。

3.年金財政に対する信頼を確保するためにも、社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題であり、政府・与党は、実行可能な案を可及的速やかにかつ明確に示し、国民の理解を求める。

 以上、確認する。

                              平成23年4月29日

 民主党 政策調査会長 玄葉光一郎

 自由民主党 政務調査会長 石破茂

 公明党 政務調査会長 石井啓一

 ◇

【追記 2011年4月30日午前11時半】

 民主党小沢グループの木内孝胤(きうち・たかたね)議員は、衆院財務金融委員会で、「国民負担をしないために金融不安をおこさないで」と述べ、東京電力の株式、社債を保護を優先すべきような発言をしました。大変遺憾です。木内議員は銀行出身で、かつ岩崎弥太郎の玄孫です、岩崎弥太郎が泣いてるぞ!というよりも、岩崎弥太郎の血がしっかり流れているという方が正しいですね(笑)。この木内議員、さいごに「きょうの新聞を読んで驚いた」として、「3党合意」によるマニフェスト修正が政府与党首脳7人と他党幹部で決まったことへの不快感を明言しました。同様な考えの議員は多いと思います。しかし、与党時代の自民党政調の事前審査制が国会の形骸化を招いたことは、私も、あるいは岩波新書「日本の国会」で大山礼子・駒大教授も認めているところで、民主党政調の提言機関から事前審査制への移行はゼッタイに認められません。ただし、昨年6月の玄葉政調会長の就任会見では、「イギリスでは政府外議員は完全なバックベンチャーだが、日本の小選挙区では党組織に個人後援会が噛み合って当選しているので、小選挙区選出の政府外議員の要望は政府に反映させる必要がある」との趣旨の発言をしています。ですから、政府外議員へアドバイスすると、英国保守党の1922年委員会の設置案を設計して、岡田幹事長に要望するのが現実的だと、私は私見として考えます。【追記おわり】


民主党:民主党・自民党・公明党の政調会長が第1次補正予算等で合意

 民主党の玄葉光一郎政策調査会長、自由民主党の石破茂政務調査会長、公明党の石井啓一政務調査会長は29日、今年度第1次補正予算とこれに関連する法案について合意書(PDFダウンロード)に署名した。

 3党政調会長が署名した合意書の内容は次の通り。

 1.子どもに対する手当の制度的なあり方や高速道路料金割引制度をはじめとする歳出の見直し及び法人税減税等を含む平成23年度税制改正法案の扱いについて、各党で早急に検討を進める。また、平成23年度第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、平成23年度第2次補正予算の編成の際にその見直しも含め検討を行う。これらを前提として、特例公債を発行可能とするための法案について、各党で、成立に向け真摯に検討を進める。

 2.復旧・復興のために必要な財源については、既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により賄う。復興のための国債は、従来の国債と区別して管理し、その消化や償還を担保する。

 3.年金財政に対する信頼を確保するためにも、社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題であり、政府・与党は、実行可能な案を可及的速やかにかつ明確に示し、国民の理解を求める。

 以上、確認する。


頼もしいインテリヤクザぶり 官房副長官の仙谷由人さんが、衆院本会議で場内協議に参加?

2011年04月30日 08時46分26秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月30日午前9時)

【衆院本会議 2011年4月28日(木)】

 午後4時からの衆院本会議で、財務大臣の野田佳彦さんの財政演説で、平成23年度第1次補正予算(案)の審議がスタートしました。速やかに代表質問に入り、自民党幹事長の石原伸晃さんが質問しました。この後、横路孝弘議長は「斉藤鉄夫君」と、公明党幹事長代行の斉藤鉄夫さんを指名しましたが、何か民主党側の手違いがあったようで、各党の議場内交渉係(議院運営委員会理事)があつまり、場内協議になりました。

 この席で、ひな壇にいたと思われる非閣僚で、内閣官房副長官(兼)民主党代表代行の仙谷由人さんの姿をみることができました。画像のイチバン左の人物が仙谷さんです。場内交渉スペースに、官房副長官がいるというのは極めて珍しい例です。仙谷さんは、はじめは輪の中に入っているように見えましたが、やがて、一歩離れてそば耳を立てる格好を示しました。井上茂夫・衆議院事務次長らが入り、答弁漏れでなく、細かい議事運営上の問題のようだ、と思われると、仙谷さんは徐々に輪から遠ざかりました。

 ぜひ、円滑な国会運営のために、仙谷さんにはこういう風にやってほしいと思います。最近は、政府与党首脳会議(菅直人さん、岡田克也さん、仙谷由人さん、枝野幸男さん、玄葉光一郎さん、安住淳さん、輿石東さん)の7人に情報や決定権が集まっており、閣僚や政府外議員の間に不満がたまっています。しかし、大きな意味で第46回衆院選までは「訓政期」ですから、「権力とはなんぞや」を国民や野党慣れした議員、新人議員が身に染みて勉強する時期ですし、まだ「危機管理期」である以上、7人が官邸・内閣・党・衆院・参院のすべてを決めて、トップダウンで伝えるべきです。そういう中で、仙谷さんが、ひな壇に座り、かつ、交渉スペースまで言ってそば耳を立てて情報収集する。頼もしい限り。政治とは、あくまでもインテリヤクザの世界であることを、偏差値が高いだけの民主党政府外議員も目で見て学んで欲しいと思います。


岡田幹事長、「外為特会の元本に手をつけられるか検討」、タブーに1歩踏み出す

2011年04月30日 08時35分45秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(未定稿)

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月30日午前8時半)

 平成23年度第1次補正予算(案)が審議入りした2011年4月28日(木)に、タブーを畏れず切り込む重要な発言が、民主党幹事長の岡田克也さん、財務大臣の野田佳彦さんから出ました。

 まず、岡田幹事長は、補正予算審議入りの1時間前から、定例記者会見にのぞみました。この中で、2次補正以降の財源について大要、次のように述べました。

 「増税といってもすぐに増税するわけではありませんから、国債を発行して時間をかけて償還する。そのために増税が必要であるという話で、この復興のために、すぐに増税するという意味ではないということを申し上げておきます。ですから、国債の発行か、増税か、という選択の話ではないということですね」

 「既に今年度予算の中で外為特会からの繰り入れというのはやっているわけですね。それ以上にやるという場合に、それがどういったかたちで可能なのかと。ということはしっかりと示される必要があると思います。利息分だけではなく元本に当たる部分にまで手を付けるということが可能なのかどうか、と。それは借金をすることとどこが違うのか」

 「国債整理基金(特別会計)はよりそのこと(=検討の余地)はいえるわけで、本来国債の償還にあてるために定率で繰り入れられたお金ですから違う用途に使うとなると、定率償還はもうしないのか、まあ確かにしなかったことは(過去に)確かにありますが、今これだけ大きな国債の残高を抱えている中で、国債の定率償還をしないんだ、というメッセージを(仮に)発することがどのようなリスクにつながるのか」

 と述べて、これらの課題を、民主党内の城島光力さんが座長を務めるチームで検討してほしいとしました。

 ところで、このところ、「国債の償還」という言葉をこのブログでよく使っていますが、「国債の償還」とは、満期(例えば10年間)を迎えた国債の持ち主にお金を返すことです。

 なお、この記者会見での質問は、この前日に衆院1期生による「増税なき復興を求める緊急会合」が開かれたことをどう思うか?という質問です。岡田幹事長は、民主党内の議員連盟づくりに不快感をかねてから主張していて、「議連は認めない」というのが岡田幹事長の原理主義です。しかし、この前日の動きは、若田部昌澄・早大政治経済学部教授を講師に招いた1期生の「緊急会合」であり、「議員連盟」としての組織化・グループ化の動きではなかったことから、岡田幹事長は同調して、その意見を尊重する発言をしたものだとみられます。なお、「緊急会合」の呼びかけ人は、衆院1期生の、網屋信介(鹿児島5区比例)、大西健介(愛知13区)、柿沼正明(群馬3区)、橘秀徳(神奈川13区)、中後淳(千葉12区比例)、永江孝子(愛媛1区比例)、長尾敬(大阪14区)、三村和也(神奈川2区比例)、宮崎岳志(群馬1区)、矢崎公二(長野4区)の10人。筆頭格は網屋さん、事務局長役は大西さんでした。

【衆院本会議 財務大臣の財政に関する演説と、それに対する各党代表質問 2011年4月28日(木)】
【参院本会議 財務大臣の財政に関する演説と、それに対する各党代表質問 2011年4月28日(木)】

 この後、午後4時から衆院本会議で野田佳彦財務大臣の財政演説とそれに対する各党代表質問、午後7時16分から、参院本会議で同じく財政演説と代表質問が行われました。この後、衆院予算委員会で野田財務大臣が提案理由説明をしました。

 
[画像]衆院本会議で財政演説する財務大臣の野田佳彦さん、2011年4月28日午後4時過ぎ、衆議院インターネット審議中継から


[画像]参院本会議で財政演説する財務大臣の野田佳彦さん、2011年4月28日午後7時20分ごろ、参議院インターネット審議中継から

 それはさておき、野田財務相は、公明党から懸念が出ている今次補正で、年金財源2・5兆円を復旧財源に転用したことによる、年金財源の不安定化について「なお、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、二分の一であることを法律上明記しつつ、二分の一との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとしております。」として、消費税増税などを法制化するとの一歩踏み出した演説をしました。

第177回国会における野田財務大臣の財政演説 平成23年4月28日

今般、平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災に対応し必要な財政措置を講ずるため、平成二十三年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。

(はじめに)
三月十一日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしました。この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。さらに、救助・救援活動や復旧活動に関わる、官民の関係者やボランティアなど多くの方々の尽力に敬意を表しますとともに、国際社会から寄せられている温かな支援に感謝を申し上げます。

政府としては、今日に至るまで、人命救助や安全な避難に取り組むほか、被災された方々の生活に必要不可欠な、水や食料、燃料等の確保、被災地域の応急復旧などに全力を挙げてまいりました。今後、電気、ガス、水道といったライフラインの復旧を急ぎ、さらに、災害廃棄物の撤去や仮設住宅の建設を進める等、引き続き、被災地域の復旧・復興のため全力を挙げてまいります。

また、原子力発電所事故は、依然として予断を許さない状況が続いております。被害の拡大を防ぎつつ、一日も早く安定した状態を実現すべく、万全の対策を講じていくこととしております。

(平成二十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)
今国会に提出をいたしました平成二十三年度補正予算の大要について御説明申し上げます。

今回の一般会計補正予算につきましては、東日本大震災からの早期復旧に向け、年度内に必要と見込まれる経費を計上しております。また、財源については、追加の公債を発行せず、歳出の見直し等により確保しております。

まず、歳出面において、東日本大震災関係経費として四兆百五十三億円を計上し、その内訳は、災害救助等関係経費四千八百二十九億円、災害廃棄物処理事業費三千五百十九億円、災害対応公共事業関係費一兆二千十九億円、施設費災害復旧費等四千百六十億円、災害関連融資関係経費六千四百七億円、地方交付税交付金千二百億円、その他八千十八億円となっております。

これらの東日本大震災関係の歳出を賄うため、三兆七千億円余の歳出の減額を行うこととしており、その内訳は、子ども手当の減額二千八十三億円、高速道路の原則無料化社会実験の一時凍結に伴う道路交通円滑化推進費の減額千億円、基礎年金国庫負担の年金特別会計への繰入の減額等二兆四千八百九十七億円、周辺地域整備資金の活用に伴うエネルギー対策特別会計への繰入の減額五百億円、政府開発援助等の減額五百一億円、議員歳費の減額二十二億円、経済危機対応・地域活性化予備費の減額八千百億円となっております。

なお、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、二分の一であることを法律上明記しつつ、二分の一との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとしております。

また、歳入面においては、高速道路の料金割引の見直しに伴う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構からの納付金二千五百億円等、税外収入三千五十一億円を計上しております。

これらの結果、平成二十三年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対し歳入歳出とも三千五十一億円増加し、九十二兆七千百六十七億円となっております。

関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

財政投融資計画につきましては、被災事業者の経営安定や災害復旧等のための資金需要に対応するため、この補正予算において四兆三千二百二十億円を追加することとしております。

(むすび)
以上、平成二十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。

被災地域の一刻も早い復旧のため、何とぞ、関連法案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。


これが日本の生きる道! 平成23年度第1次補正予算(案)、審議入り

2011年04月28日 13時13分58秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 さあいよいよ、復旧補正の審議がスタートです。

 政府は2011年4月22日(金)の閣議で決定した「平成23年度第1次補正予算(案)」、すなわち東日本大震災「復旧補正」を、4月28日(木)に国会に提出しました財務大臣の野田佳彦さんが、財政演説を衆参本会議で行いました。また、異例ですが、提出日に財政演説に対する各党代表質問もやります。衆参・与野党の良識が感じられました。

 さて、このエントリーでは、1次補正のフレームについて、解説したり、感想を述べたりします。

 よく出来ている、というのが感想です。現時点での日本のおかれた立場を考えれば、ほぼ百点満点に近いと、私は感じます。もちろん、被災自治体にとっては、歳出の増額補正分に関しては、「すべてにおいて足りない」という感想でしょう。

 予算書というものには、組んだ人間の思想が見て取れるところがあります。「人口動態推計」では、西暦2100年の日本の人口は7800万人程度と予想しており、それまで、一貫して人口の実数は下がり続ける「右肩下がり」になります。この「右肩下がり」の時代に、逆転の発想で、「小さくてもしなやかな日本」をつくる思想が見て取れるフレームです。やはり、財務省主計局は国士だし、野田大臣、そして、岡田克也さんの国家観・先行きの見通しがよくあらわれている良い予算だと考えます。この辺のところは、なかなか理解してもらえないのですが、まっすぐに、ひたむきに、応援していきたい国家観が1次補正から感じられます。




[画像]平成23年度第1次補正予算(案)のフレーム、財務省ホームページから

 まず、新聞では「4兆円の補正」となっていますが、実際には補正後の平成23年度予算(一般会計)は歳入歳出とも3051億円増えるだけです。一般会計は歳出で4兆153億円を増額しながら、3兆7102億円を減額補正しています。さっぴき、当初予算と比べて3051億円の増額。補正後の平成23年度予算の一般会計総額は92兆7167億円になります。ただし、2次補正(復興補正)後の100兆円突破は確実と思われます。減額計上となっている、「旧鉄建公団をひきついだ独立行政法人からの溜まり金の国庫返納の2・5兆円」ですが、これは根拠法が成立していないにもかかわらず、当初予算ではすでに成立している項目です。当初予算で計上済みのお金は、「基礎年金の国庫負担」に充てることになっていましたが、これを復旧財源にあてることにしました。ですから、当初予算が想定していた一般会計から繰り出し、年金特別会計へ繰り入れる出納を止めました。ですから、一般会計では2・5兆円の減額補正となるわけです。そして、それを復旧財源にあてることで、4兆円のうち2・5兆円を賄いました。そして残りの1・5兆円はどこから出てきたか。自民党の妨害による子ども手当法のつなぎ措置(4月~9月分)のため、子ども手当の計上見積もり額を減額計上したほか、高速道路の無料化社会実験の一時凍結で0・1兆円、ODA削減で500億円、そして、予備費を8100億円引き出し、さらに、「議員歳費の3割カット」で22億円を合計で4兆153億円となりました。国債(建設国債・赤字国債とも)今次補正での発行は「0」円です

 このうち、基礎年金の国庫負担負担財源の転用には、公明党さんから懸念が出ました。これについて、民主党の岡田克也幹事長は、「今回は年金勘定から2兆5000億、実質的には持ってくることになります。もちろん、近い将来きちんとお返しすることが前提です」(4月14日の定例会見)と約束しています。昨日の衆・厚労委でも、公明党の元厚労相、坂口力さん細川律夫現厚労相との問答がありましたが、岡田さんの方で既に約束しています。ただし、「きちんとお返しする」という言葉の中には、「年金の支払いのため増税する」という意味合いが排除されていないことはお含みおきいただきたい。

 そして、議員歳費の減額ですが、これはわずか22億円の財源ということで、ヒジョーに小さい物に見えてきますが、これは「まずは塊より始めよ」で、岡田さんや藤井裕久さんが言っている「政治家みずから身を切る」ことです。わずか22億円のお金でも、ここが川上となって、お金の流れがスムーズになってきます。これが私が申し上げている、右肩下がりの日本でのしなやかな国づくりの思想が見えてくる部分なんです。また、これは民主党政府外議員にも、よく暗誦して覚えてほしいのは、「高速道路の原則無料化社会実験の一時凍結に伴う道路交通円滑化推進費の減額」が1000億円です。「一時凍結」であって、高速道路無料化のマニフェストの予算化、肉付けを完全にあきらめた「マニフェスト撤回」ではありません。では、「一時凍結」が「恒久」になるのではないか、と思う有権者(主権者)は、今後ともよくチェックしていくべきだと考えます。もちろん、日本は「間接民主制」ですから、高速道路を行き来して働いている方々がイチイチチェックしている時間はありませんから、運送会社の総務部社員とか、運転手の奥さんとか、ブロガーとか、よくチェックしていただきたいと思います。この1次補正予算(案)を見て、「高速無料化マニフェスト撤回!」と叫ぶのは間違いです。

 まず1次補正を国債発行無しにGW返上でキッチリやる。そして、2次補正では、これは10兆円規模の国債を発行して、復興をやる。そして、国債発行の償還のために、増税をお願いする。こういう運びになりそうです。 


国会、きょうからゴールデンウィーク返上で審議 復旧・復興への思い、態度で示す

2011年04月28日 09時08分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 国会はきょうから、「復旧補正」(平成23年度第1次補正予算案)の審議に入ります。

 きょう2011年4月28日は木曜日で、衆参本会議で、野田佳彦財務大臣の財政演説とそれに対する各党代表質問が開かれます。終わり次第、午後8時設定で、衆院予算委員会が開かれ、野田大臣らの提案理由説明があるようです。

 そして、あす2011年4月29日金曜日は昭和の日で祝日。大型連休・ゴールデンウィーク(GW)の初日ですが、衆院予算委員会で質疑が行われる見通しです。

 さらに、30日土曜日も審議を続け、午前中に衆院予算委員会で総括質疑と討論、採決。午後には、衆院財金委、総務委などで歳入関連法案と地方交付税法改正案が審議され、可決。これらが午後2時~午後4時~夕刻にかけて、衆院本会議に緊急上程され、委員長報告、討論、採決のうえ、民主党と公明党の賛成などで可決し、参院に送られる見通しです。

 そして、5月1日(日)にも参院予算委員会で質疑が行われると思われます。5月2日(月)は連休の谷間で平日ですが、参・予算委でしめくくり総括質疑、討論、採決のうえ、参院本会議に送られ、民主党と公明党の賛成による過半数で、可決、成立する見通しとなっています。

 この極めて異例の日程。

 民主党の岡田克也幹事長、安住淳国対委員長らの考えとしては、

 ①祝日ばかりか土日も審議することで、復旧・復興に向けた国会の意気込みを態度で見せる。

 ②土日も関係なく、ノンストップで補正予算(案)を審議することで、勢いで、補正成立を確実かつ迅速かつ早期のものにする。

 ③小沢グループの渡辺浩一郎氏ら「自称・新会派」の16人がちらつかせていた本会議欠席戦術の“大義名分”を奪い去り、世論からみて「単にサボってる連中」に付き落とす。

 ④ゴールデンウィーク前半で弾みをつけて、補正成立後のゴールデンウィーク後半の所属議員の地元回りでの支持者の反応を変える。

 という4点になるかと思います。

 「ゴールデンウィーク返上国会」の審議日程に協力した、石原伸晃・自民党幹事長、公明党の山口那津男代表・井上義久幹事長ら、華の90年初当選、“ベルリンの壁崩壊で脱イデオロギーの新人たち”の合理的な判断に敬意を表すとともに、これからは、政府外議員も、国民も、マスコミも、「審議拒否」「イメージ戦術」などのパフォーマンスではなく、「国会の中での仕事ぶり」で、政党や各議員の先行きが決まってくる。その新しい日本への第一歩を踏み出すの。それが、きょう、2011年4月28日ということになりそうです。

 ほとんどの議員は、本会議場に直接出勤することにしており、秘書は休みという対応をとる事務所が多いようです。だいたいが、通常国会が始まっても、2月の衆院予算委員会のさいちゅうは、50人の委員と政務三役の70人の合計120人の議員は大忙しですが、他の与野党政府外議員は、国会でも、地元でもやることなく、休んでいるのが実態です。まあ、ブログなどでは「一般法案の審議に向けて、部会で議論し、他党の理事と委員会審議について協議しています」と書いていて、それは嘘ではありません。が、赤坂で飲んだりせず、夕暮れ前に自宅に帰って家族で夕食を食べたり、本を読んで勉強したり、風呂入って寝たりしていればいいわけです。連続して当選している議員はそうやってメリハリのある日程作りをしています。この辺のコツを教えてあげる、というところが、自民党の派閥や、民主党のグループの存在意義なおですが、民主党のグループは自民党の派閥と違っておこづかいが出ませんから、コツさえ教えてもらえばそれで終わり。小沢グループの赤坂での飲み会、鳩山グループの紀尾井町での誕生会、野田グループの六本木でのパーティーや、同僚議員の政治資金パーティ、各種団体や大使館のパーティーなどに出席して、自分の勉強が出来ていない、予算書を開いたことすらない議員は、次か、その次の選挙で消えるでしょう。最近は、議員宿舎で勉強するよりは、広くなった議員会館で、深夜まで自主的に残業して、勉強する方が落ち着く、というタイプの人が多いようで、そういう民主党一回生も、私は複数知っていますので、その辺はご心配なく。ただしかなり少数派です。


代議士として・・・安住淳・玄葉光一郎・小野寺五典

2011年04月28日 06時23分46秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年4月26日(火) 衆・予算委員会】

 平成23年度本予算が4月1日から執行されていますが、その執行状況の初めての調査、東日本大震災と原子力災害について、集中審議がありました。

 中井洽委員長らが黙祷。

 その後、宮城5区選出の民主党国会対策委員長、安住淳さんが質問者席に。二大政党の国対委員長が、自ら質問に立つのは極めて異例のことです。

  安住さんは、委員さしかえによる質問を認めてくれた、与野党の予算委理事に感謝。「きょうは国対委員長としてよりは、被災地選出の議員として質問します」。そして、この後、30分間コンパクトに、総理および7大臣からヒトコトヒトコト、超法規的に近い法律の運用などの言質をとりました。

 私は一般傍聴席で直接質疑を見ましたが、なによりも、安住さんが泰然自若としたふるまいだったことに、その精神力の強さを感じました。

 安住さんは「石巻はもっとも多くの被害が出ている」「まだ1万人以上行方不明だ」「私の家族もこの1ヶ月間、市役所の災害対策本部の避難所にいる」「私の地元は世界3大漁場のひとつだ」と地元の声を国会につなげました。そして、がれきの除去について、宮城県だけで日常年の23年分だとして、石巻では、「あの一瞬の津波で100年分のがれきが出た」として、それを津波災害の特徴だとしました。石巻では、およそ600万トンのがれきが出たそうです。日常年は、5・3万トンだそうです。

 安住さんは「あまり回れていないが、30カ所の避難所を回って、最も要望が多いのは仮設住宅だ」としました。安住さんは第41回総選挙の小選挙区導入以来、宮城5区で5連勝しています。民主党国対委員長として国会指揮および政府民主党首脳会議メンバーとして、週末しか地元に帰れないにしても、この15年間に培ったネットワークが地元にあるので、少ない時間でも有効に声がすくえるのだと思います。

 そして、安住さんは、「私のところ(石巻)なんかは、(仮設住宅を建てる)土地が狭い」として、民有地の借り上げのほか、対応策として、「仮設住宅は2階建てにしたらどうか」と提案すると、自民党からもそうだ、という声が上がりました。しかし、「建設基準法で、構造計算の結果、2階建ての仮設住宅は、杭は木ではなく、コンクリートでなければならず、そうすると、3週間工期が遅れる」として、柔軟な法律運用を求めました。そして、「細川律夫厚労相にお願いしたいが、仮設住宅の入居期間の2年は延長して欲しい」と要望しました。これについて、細川さんは「これは更新して住めるようにします。安心して住んでいただけるようにやっていきます」と断定調で述べました。これは安心感・安定感が伝わる良い答弁でした。

 ところで、安住さんのご両親の安住重彦さん(84)、安住慶子さん(74)の消息は6日間分かりませんでした。安住家は元々高台に立っていたようですが、津波が来るときには屋根に避難。そして、見ていたら、津波がやってきて、家の屋根まできたそうです。そして、海側の傾斜のところまで来て、そこで、なんとか引いていったそうです。ご両親は、海側ではなく、丘側の傾斜にしがみついていたので、難を逃れたと言うことで、旧牡鹿町長を務めたこともあるお父さんらの機転・危機管理能力で一命をとりとめた、ということだったようです。そして、そのまま屋根で夜を明かし、ヘリコプターで救助されたと言うことです。安住代議士は、地元紙には、「写真で見た東京大空襲か、広島の原爆の後のようだ」と述べています。

 安住さんは、最後に政府民主党首脳会議のメンバーでもある、福島3区選出の民主党政調会長大臣の玄葉光一郎さんに答弁の場を与えました。宰相候補の一人である、玄葉さんは、じゃっかんの気負い、疲労感も見られましたが、次のように雄弁でした。

 「えー、安住国対委員長おっしゃいますように、私は福島県出身でございます。したがって被災地のみなさんのかなしみ、苦しみ、怒り・・・全身で受け止めております。特に、原発問題では、恐怖、緊張、ストレス、不安・・・これは言葉では表現できないほどのものであることを身に染みて感じております。さきほどもありましたが、タイセツなことは、国が最終的な責任を持つ。そして、既存の枠を越えて、前代未聞の事態に前代未聞の対応をしっかりやる。こういった事態のなかで、福島県民のみなさんは秩序をもって、冷静に対応されていることを心から誇りに感じております。必ず福島県民を守って、必ず福島県を復興させる、そういう強い決意でございますし、まあ、福島だけではございませんけれども、宮城、岩手含めて東日本の復興を日本の再生の先駆例にする。そして、日本の再生が東日本の復興を支える、と。そういう日本を作っていかねばならない、とそういう決意を持っております」



 玄葉さんは福島3区選出。政調会長補佐を務める議員によると、田村市の旧船引町の自宅は、原発から40キロ。玄葉政調会長もそうとうな負担を受けているようです。この前日には、同じ船引町で県議・衆議院でしのぎを削ってきた、現・参院議員で、新党改革幹事長の荒井広幸さんが参・予算委で原発について、熱弁をふるっており、印象に残りました。

 なお、政権交代前からずっと、長老ながら予算委員を務める渡部恒三さんもいつものように最後列から議場内を見渡すように腕組みをしてじっと見守っていました。また、宮城1区の郡和子・予算委員も議場でしっかりと聞いていましたが、じゃっかん郡さんはさすがに疲れを隠せないようすでした。ところで、「自称・新会派16人衆」で、予算委員を更迭された水野智彦さんが、この日の審議で予算委員に復帰しているのに気付きました。水野智彦さんのブログによると、3月24日に、石巻の安住事務所を訪れた、との記述があり、詫びを入れたのでしょうか。いずれにしろ、安住さんは厳しさとやさしさを兼ね備えた頼れるアニキだと感じます。優れた政治家です。

 安住さんは「ありがとうございました。同じ被災地出身の小野寺議員と変わります」として、宮城6区選出の自民党の小野寺五典・影の外相と握手をしてバトンタッチ。そのまま、パネルを持って、委員室をあとにしました。



 
 「代議士」。

 法律には存在しない言葉です。衆議院議員のことだけをそう呼ぶます、参議院議員は代議士とは呼びません。昔の出世すごろくでは、親孝行をして、東京の学校に進み、実業界に行き、故郷に錦を飾り、そして最後に「代議士」になって上がりというほほえましいものがありました。自由民権運動の名残を感じます。これは明治政府(官僚)による地租(固定資産税)改正に怒った名士(地主)たちが、地租改正一揆を散発的におこしたり、板垣退助の自由党に参加したりして民選議院「帝国議会・衆議院」を設立させました。そして第1回総選挙、品川事件で死者も出た第2回総選挙では、板垣自由党と大隈改進党らの「民党」が、明治政府官僚による「吏党」に連勝(過半数獲得)したことで、大正デモクラシーという安定した時代へ、この国の政治を前に進めた。そのことへの論功行賞として、衆議院議員だけに与えられた一つの敬称であり、愛称です。

 宮城5区・安住淳代議士、宮城6区・小野寺五典代議士、福島3区・玄葉光一郎代議士と小選挙区で連勝を重ねる代議士たちのさまざまな「強さ」を改めて感じた第一委員室でした。


【緊急アピール】忘れられた憲法83条を思いだし、日本財政を前に進めよう!

2011年04月27日 11時41分32秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 時事通信の速報メールによると、民間営利企業である「スタンダード&プアーズ社(S&P)」が日本国債を「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたそうです。けっして客観的なものとは思えませんが、新聞記者の経験からすると、「例え誤った情報であっても、声の大きい人間・組織の情報で人は動いてしまう」のは世の習い。

【追記 2011年4月27日午前11時50分】

 スンダード&プアーズの発表はアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変えたというもので、現段階で格下げではなく、今後、格下げする可能性があると指摘したものだとのことです。

【追記おわり】

 さて、第1次補正予算(案)がすでに先週の金曜日に閣議決定していますので、読み込みをすすめており、また、いろいろ楽しみながら調べていたら、日本国憲法の埋もれた条文を見つけました。憲法第7章(第83条から91条)は「財政」編です。そして、憲法第86条は「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」となっています。これにより、予算(案)は内閣が出さなければいけないことになっています。国会の議案(法案、予算案、条約の承認案)などの中で、内閣に提出する権利が限られているものは珍しいですね。だから野党の自民党、みんなの党は「組み替え動議(撤回のうえ編成替えを求める動議)」しかだせず、独自の予算案を議員立法で提出することはできません。後段の「その審議を受け議決を経なければならない」については、明治憲法では、「協賛を受けなければならない」でしたので、格段に、戦後の「国会」は進歩したことになります。

 それはそうと、急いで書かなきゃ。第83条の条文があることにハッと気付いたんです。で、私が使っている判例六法だと、この条文がなにか行政訴訟とかで、取り上げられたことはなく、「忘れられた条文」のようにも思えるけど、今こそ、この条文が大事だと思います。


 日本国憲法第83条

 【財政処理の基本原則】 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。


 とあります。

 別段、菅直人内閣の延命のために、内閣の責任を軽くしようとして、この条文を強調しているのではありません。

 国難の今、日本国政府の財政は、国会の議決、それが最高責任を負うんだという意識を衆参・与野党問わず国会議員全員に持って欲しいです。

 例えば、本来は特別会計はスリム化していくことが、各党の考え方ですが、復興特別会計をつくり、その特会の中で、復興再生債を発行して、償還財源には、税金(増税)を必ず充てることを担保する。

 あるいは、時事放談で藤井裕久さんが「明治37年を思い出せ」と言っていましたが同感。外貨建て日本復興債をつくる。売りに行く平成の高橋是清は、榊原元財務官とか、IMFの専務理事だった杉崎さんなんかどうでしょうか。長期金利のリスク管理を、財務省理財局に押しつけるのは負担です。国会全体が責任を負い、内閣に任せるようにしたらどうでしょうか。

 さらに私が言いいたいのは、まあ、日経新聞をはじめ連日新聞1面で東京電力に関するスキームを載せている記者と編集幹部は恥を知れと言いたいところですが、東京電力の5兆円を越える既発社債ですが、これはこのままにしておくと、将来的に国民負担(税金)で償還するということになりかねません。デフォルトしろとまでは言いませんが、かなり手荒い特別立法ですが、社債を普通株に転換させてしますということも、すぐにキャッシュは出て来ないにしても、将来的な財源になるのではないでしょうか。

 例えば、20兆円とか国債を発行して財源を調達すること自体は、私はかなり楽観的にみています。日銀引き受けなど必要ないでしょう、反対です。とはいえ、長期金利が上がると、言葉は悪いですが「サドンデス・リスク」が上がります。また、そのために、国債整理特別会計の積立金を財務省が持ちたがるのは、「危機管理」「安全保障」としては当然のことだと、私は考えます。ただし、もう少し情報公開ディスクロージャーはしてほしいと思いますが。ですから、やはり、国会全体で責任を負う、ことによって、なるべく効率的にお金を回すように心がけたい。おそらく施行以来、一度も注目されたことがないでしょう。『芦辺憲法』をひもといたら「財政民主主義」という小見出し入れて全部7行だけです。憲法83条の説明。

 ぜひ、国会が法律で責任を取る。そういう姿勢を持って欲しいと思います。いまこそ、憲法83条を見直せ! それが緊急アピールです。

(このエントリーの初投稿から1日ほど、コメント欄を開放します。荒らしがあれば、早めに閉じます)


おめでとう公明党 統一地方選後半戦 1263人全員当選!

2011年04月27日 09時09分27秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 おめでとうございます。

 公明新聞によると、第17回統一地方選後半戦で、公明党公認候補は一般市議選で915人、東京特別区議選で169人、町村議会議員選挙で179人(推薦1人含む)の1263人全員が当選(うち30人は無投票当選)しました。私も、かつて、新進党ということで、旧公明党(Clean Government Party)の全衆院議員および大半の参院議員と同じ政党の党員であり、また地方政党「公明」の地方議員や一部参院議員のみなさんと友好政党であったことから、公明党の完勝はうれしい限りです。

 実は、前半戦では、大阪維新の会の大阪府と横浜市で合計2人の落選者が出てしまいました。しかし、支持母体に限らず、地方議員として「マイ獲得運動」を展開していく中で、多少の取りこぼしが出るのはしかたがないところではないでしょうか。ただし、大阪府本部代表は立派な方ですが、大阪府本部選対の総合選対本部長だった参院議員さんはかねてから民主党に厳しいので、この際身を退かれるという決断もありうるのではないかとも思います。

 公明新聞によると、一般市議選は1991年から6回連続で全員当選。東京特別区議選では、ナント1971年から11回連続全員当選となりました。

 「3・11」以降の公明党の縦のネットワークと横のネットワーク。縦のネットワーク(国会議員-地方議員)と、横のネットワーク(被災地の福島県本部議員の視察+避難先の埼玉県の本部議員の視察)を網の目のように政策要望が出来てくる公明党。まさに「元祖・地域政党」。アタマが下がる思いです。東日本大震災の復興に、公明党の力は欠かせません。

 まさに野党転落後に新しく誕生した、山口那津男代表の下、「立党の精神に立ち返り、大衆の中に飛び込んだ」元祖・地域政党公明党。行動する政策創造集団として平和と福祉の原点に立ち戻っていたことが、「3・11」以降も地域の情報を吸い上げる政策マシーンとして、公明党の存在感はますます高まるばかりです。

 下の動画は、2010年10月2日の第8回公明党全国大会のラストをしめる、山口さんの「勝ちどき」の実にうるわしい声です。聞き惚れます。新進党のころは、旧民社党(民社協会)の(団結)ガンバロー3唱という文化が入り、旧自民党(新生党、新党みらい)、日本新党の議員らも初めて腰に手をやり、ガンバロー3唱をやりました。この文化は、今の民主党にも引き継がれています。公明党は「勝ちどき」に変わったようです。なお、第8回公明党全国大会は、マスコミフルオープンで、私は、開会の相当前から雰囲気を楽しみ、しっかり聞き、閉会後の代表記者会見まで、じっくり公明党を勉強させていただきました。ただ、「勝ちどき」のときに、10年以上ぶりの公明党取材だったので、感覚がなく、カメラ撮影をしていませんでした。なので、静止画で構成しましたが、公明党はフルオープンだったことを強調させていただきたいと思います。

 私が知る限り、戦国武将たちは、勝った後にも、もう1回、「勝ちどき」をやったんだと思います。というわけで、動画の方でも、ぜひ「勝ちどき」をもう1回聞いてみたいと思います。別段、公明党支持者でなくても、元気の出る、山口なつおさんのつややかな声。そして、統率力。それでいて、けっしてトップダウンではなく、むしろかなりボトムアップの力が強く働き、山口代表は騎馬戦の押し合いへし合いの中、絶妙なバランス感覚で代表をしています。

 日本の国を「もう1回」。そして、もう1回・・・新進党で復縁しましょう、とまでは申しません。やはり、システムの違いがありますから、同じ党にはなれないかもしれない。でも、例えば、国政限定で「連立政権」とか、あるいは「政党連合」とか、そういったかたちで、もう1回やれないものでしょうか。私は公明党が好きです。かたちは何であれ、もう1回、新進党の志に立ち戻ろうではありませんか? あの日と同じ澄んだ瞳で。



菅直人首相、福島原発災害で「情報隠蔽ない」と国会で断言 

2011年04月26日 22時20分38秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月26日午後10時20分)

【参・予算委員会 2011年4月25日(月)】

 菅直人首相は、東京電力福島第一原子力発電所をめぐる災害で、情報隠蔽をしたことはないと、国会で断言しました。

 新党改革の舛添要一さんが、菅内閣の二つの問題点として、①情報公開が十分ではない②会議や組織が多い--と指摘しました。私としても舛添さんの指摘には同感です。

 これについて、菅総理は次のように答えました。

 「私はあの、結果として、情報の開示(ディスクロージャー)がタイムリーに適切にやれていたかということについては、問題があったということを、反省を含めて感じております。もちろん、当初はデータそのものが、(津波による“想定外”の全電源喪失で)電源がダウンしていた問題もあって、データそのものがない場合、あるいは、伝達は少なくとも、私の自覚意識では、私に伝わったものを隠せ、と言ったことはありませんけれども・・・」

 いったんここで切ります。非常に言い訳が多くて、分かりにくい答弁ですが、とにもかくにも、「隠せと言ったことはない」と国会で答弁しています。解説は後回しにして、答弁の続き。

 「・・・私に伝わるべき、あるいは私のところに来ないもので、本来なら開示すべきもので開示すべきものがあったり、あるいは遅れたりしたことがあります。そういう点については、そういう開示しないものがあったり、あるいは遅れたりすることがないよう、キチンと公開していきます」

 と答弁しました。

 で、まず、菅直人というのは、私の知っている限り、スーパー嘘つきです。例えば、このブログで、「(2009年)3月20日の裏切り事件」について、菅代表代行(当時)は嘘を付いている、と指摘し、当時開放していたコメント欄で相当叩かれましたが、これは当時の菅直人代表代行の説明よりも、間違いなく私の記事の方が正しい。ほぼ確証に近い状況証拠もあります。代表代行記者会見では、この件について、複数の新聞記者から吊し上げ状態にされています。また、私は、菅直人さんを、民主党結党直前から知っておりますが、側近中の側近である山本譲司・衆議院議員が辞職に追い込まれたことに伴う、補欠選挙に、不戦敗を選ばずに候補者を擁立したときに、やはり菅は人間として最低だと思いました。平気で人を切る男です。仮に内閣不信任が可決したら間違いなく69条解散に打って出るでしょう。そういった菅さんの人間性に関する基本認識は今でも変わりません。それでも、私は昨年6月、9月の代表選で、菅さんがベストだと主張したことにいささかの間違いもなかったと自信を持っています。

 で、ここまで言いながら、菅内閣を支持し、この「情報を隠せと言ったことはない」という答弁を信じるのはなぜか?さまざまな材料をもとに、この4月25日の「隠せと言ったことはない」という発言は、ホントウだと考えます。安心してください。大丈夫です。

 その理由の一つは、まず、彼は既に内閣総理大臣になったから、というのが最大の理由です。それから、政治センスは優れた人なので、「政権を維持する危機管理」には長けているので、こういう風に答弁でも、言い訳をたくさん言いながら、安全運転で、自分に火の粉が降りかからないようにしながら、やっているのでしょう。そして、「キチンと公開していきます」と答えることが、菅内閣が安定した政権運営で、原子力災害収束と地震津波復興につながると、現時点では考えているんだと思います。

 菅直人はロナルド・レーガンのように、凡庸な人物です。ただ、レーガンのように、台本通りにしゃべれるし、見栄えも良いです。だから、菅総理を、岡田・枝野・仙谷・玄葉・安住・輿石のメンバーで必死に支えていけば、当分安定した政権になる兆しが出てきました。

 統一選のさいちゅうに、民主党国会議員がイチバン言われたことは、「とにかく党内でガタガタやるな」ということだったようです。今後の大型選挙は11月の大阪府知事・大阪市長ダブル選挙、その後は、来年9月の民主党代表・自民党総裁ダブル選挙、そして、2013年7月の衆参ダブル選挙(衆院の任期満了は8月)だと私は考えています。内閣改造は、通常国会後ではなく、おそらく、平成24年度本予算が決定する月、おそらく12月を待って内閣改造になると考えています。

 情報隠蔽がない、と総理が言ったわけですから、お住まいの地域とか、年齢など、それぞれの環境にそった情報収集ができるインターネットなどを活用して、放射能被害に関する正確な知識を仕入れていきましょう。長期戦になりますから。正しい情報、知識は、こころの落ち着きにつながります。そうでないと、ストレスで、がんになってしまうかもしれません。支え合って、長期戦、心をつなげて、やっていきましょう。


「3・11」から再スタート 参・決算委員会

2011年04月26日 06時47分47秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月26日午前7時)

【2011年4月25日(月) 参・決算委員会】

 参議院決算委員会は、3月11日の大地震発生で暫時休憩後、理事懇談会で散会を宣言していた平成21年度決算の質疑を再開しました。

 鶴保庸介・委員長(自民党、和歌山)は、「ただいまから会議を開きます。この際、一言(いちごん)申し上げます」として立ち上がって発言しました。

 「さる、3月11日、決算委員会は本日と同じここ(参議院)第一委員会室で、平成21年度決算の全般質疑を行っておりました。まさに、そのとき、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生したため、私は理事と協議のうえ、委員会を暫時休憩し、閣僚にすみやかに官邸に向かっていただきました。この東日本大震災により、各地に甚大な被害がもたらされ、多くの尊い命が失われましたことはまことにいたましい限りであります。犠牲者のご遺族に哀悼の意を表しますとともに、被災者のみなさまにも心から、お見舞い申しあげます。特に本委員会の開催中に、地震が起きましたことを考慮し、犠牲になられた方々のご冥福をおいのりし、黙祷を捧げたいと存じます」と述べました。

 「ご起立下さい」と促すと、閣僚席の菅直人首相、野田佳彦財務相、江田五月法相のほか、各党の委員、参議院事務局員、さらには、強行採決のときも審議拒否のときも常に紙の上から筆を離すことがない記録部員(速記者)も立ち上がり黙祷。「3・11」からの再スタートを切りました。

 時計の針を元に戻すことはできません。参議院決算委員会は僕の大好きな委員会の一つです。ぜひ、自らの職責に専念して欲しいと思います。応援しています。例えば、平成21年度決算を通常国会会期中に是認(承認)し、会計検査院をせっついて、平成22年度決算書を前倒しで8月にも提出させて、各府省の見積もり書(概算要求)提出シメキリの8月31日前から審議入りするくらいにして、時計の針を前に進めて欲しいと思います。


「わが党は存亡の危機にある」長老76歳のピンさんが“切腹”を申し出て、岡田幹事長が慰留 

2011年04月25日 18時27分12秒 | 岡田克也、旅の途中

 ピンさんこと、民主党の石井一(いしい・はじめ)選対委員長は、2011年4月25日(月)の役員会で、第17回統一地方選の党勢拡大失敗の責任を取り、辞表を提出しましたが、岡田克也幹事長が慰留しました。

 ピンさんは、ことし1月の民主党大会で「わが党は存亡の危機にある」として、ガンバロー3唱の音頭を取りました。

 
[画像]2011年民主党大会で、「わが党は存亡の危機にある」としてガンバロー3唱の音頭を取る石井一さん(中央)、羽田孜最高顧問(左)、菅直人総理・代表(右)。

 石井一、76歳。華の昭和44年初当選組。経世会(自民党竹下派)→改革フォーラム21(自民党羽田派)→新生党→新進党→国民の声→民政党→民主党。岡田さんと党籍が完全に一致する唯一の先輩です。そのピンさんは、若い40歳代の当選6回生から奪うように、自ら選対委員長になりました。選対委員長を追われた40歳代の当選6回生は国民運動委員長に横滑りしました。岡田牛若丸に、石井弁慶。民主党の未来のために「切腹」を申し出た長老76歳。こういう長老が、1月に「わが党は存亡の危機にある」として団結を呼びかけたのに、小沢グループは輪を乱し、まっすぐに立ち右向け右で整列することすらできない民主党の候補者たち。小沢グループは人間として、恥ずかしくないのでしょうか。今、日本の置かれた立場が分からないのでしょうか。

 私はピンさんが選対委員長になったときから、きょうの行動を察していました。国土庁長官、自治大臣、国家公安委員長。福田赳夫内閣の運輸政務次官として日本政府を代表してダッカ事件の人質となりました。1993年6月18日には、政治改革を訴えて、イカダに乗って船を出た白髪交じりのシンドバッド。甲南大学からスタンフォードへ。日本の国会でイチバンカリフォルニアが似合う男。

 
[写真]田中角栄とピンさん。

 
[写真]ピンさんとレーガン大統領。

 「オレが閣僚のころ、菅は小政党の若手だったからよく質問してきたけど、こいつは鋭いなあ、伸びるだろうなあと思っていたよ」と言って、1998年、自ら菅直人執行部で、志願して国対委員長を引き受けたピンさん。けっして頂点に立つ政治家ではありませんが、政権交代ある二大政党制を日本に導入した立て役者の一人です。岡田さんの前をずっと歩きつづけてきてくれたたった一人のピンさん。

 それにひきかえ、小沢グループはいったいなんなんでしょうか。政党政治というのは、こういう風にやるもんなんですよ。勉強不足にもほどがあります。そろそろ、小沢グループを根絶やしにしなければいけない時期を迎えつつあります。

【追記 2011年4月28日 午後3時50分】

 岡田さんは4月11日(月)の定例会見で「選対委員長の責任感はよくわかりますが、ご本人にも直接申し上げましたように、辞めて済む話ではなくて、やはりしっかりとそのことを責任として受け止めて、そし
て物事を改善していく、次回を期すことが本当の意味での責任のとり方ではないか、 と申し上げたところであります」と述べました。【追記おわり】


関連エントリー)2007年10月16日 僕は石井ピンは必要な政治家だと思う。誰が何と言おうとも。

 【統一選】民主・石井選対委員長が辞職願 慰留され取り下げ - MSN産経ニュース

 民主党の石井一選挙対策委員長は25日午後の党役員会で、統一地方選の大敗と衆院愛知6区補選の不戦敗の責任を取るとして、岡田克也幹事長に辞職願を提出した。しかし、統一選に関する党内での総括が終わっていないとの理由で慰留され、石井氏は辞職願を取り下げた。


谷垣さん原発利権で大もうけ 自民党総裁、元科学技術庁長官

2011年04月23日 13時45分40秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 見損ないました。

 自民党総裁の谷垣禎一さんが、京都5区を含んだ近畿地方2府4県を独占的に事業地域とし、「東京電力と並ぶ業界の雄。原子力発電で先駆」(会社四季報)的な企業である「関西電力」の大株主だったことが明らかになりました。保有株の時価総額は、およそ1000万円と高額で、年利2%ほどの配当も受け取っていた可能性があります。谷垣氏は原発を担当する「科学技術庁長官」を、初めて入閣した橋本内閣の1997年9月11日から1998年7月30日まで務めており、職務権限を持った「族議員」でありながら、地元の関連企業の株式を大量に所有していることは違法ではなくても、「民信無くば立たず」という谷垣総裁が有権者に繰り返している政治の要諦を自ら逸脱する行為であり、「復旧予算」である第1次補正予算(案)の審議はいいとしても、今後の日本のグランドデザインを描くうえで、責任野党・政権準備党として、発言力を失いかねない事態です。

 谷垣さんが、第45回衆院選後の平成21年(2009年)12月7日付で衆院に提出した「資産報告書」によると、谷垣さんは関西電力株式会社の株式を4370株保有しています。ちなみに、『会社四季報の2011年第1集』(東京経済新報社)によると、同社は「東京電力と並ぶ業界の雄。原子力発電で先駆」と紹介されています。そして、2009年の株価はきわめて安定した推移で、時価は1株=2200円とみるのが妥当でしょう。そうすると、谷垣さんの関西電力株はナント「961万円」の価値があり、とても庶民には手が届かない高嶺の花です。また、同社の配当は1株60円ですから、「年間26万2200円」が寝てても自動的に入ってくることになります。定期預金の金利に換算する「年利2・0%」ということになります。

 また、関西電力株は、単元株が100株となっていますが、谷垣氏の所有株数は「4370」と端株(はかぶ)であることから、株式分割を受けるなど、長期間にわたって、株主だった可能性があります。関西電力株は、上場来高値が5740円(1989年)ですから、そのときは、2・5倍の時価だった可能性があります。

 wikipediaによると、関西電力は2004年8月に福井で、美浜発電所3号機で配管破損事故を起こしています。2次冷却系のタービン発電機の配管破損により高温かつ高圧力の水蒸気が多量に吹き出し、逃げ遅れた5人が熱傷で死亡しました。このときは、当時の社長が、作業員の父親(?)から「人殺し」と言われるシーンがテレビニュースで報じられました。wikipediaは、「他の原子力関連事故に比べると危険性は殆ど無い事故であった」として、その理由として、「事故を公表せずに隠蔽していた事でマスコミが必要以上に騒ぎ立てた為に重大事故と誤解を受けがち」とヒジョーに無責任な書き方となっています。このwikipediaだれが書いたんでしょうか。

 谷垣氏は、関西電力社長だった秋山喜久氏と深い関係にあるとされています。


1次補正は28日提出 29日「昭和の日」に衆参本会議で代表質問か 小沢グループ欠席も

2011年04月20日 06時43分36秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 民主党幹事長の岡田克也さんは自民党幹事長の石原伸晃さんに会い、今年度の第1次補正予算(案)を、政府が国会に、28日(木)に提出することを伝えました。一般会計に限れば、4月中に補正(案)が提出されるのは、政権交代前の麻生内閣が2008年4月27日に提出した平成21年度(2009年度)第1次補正予算(案)以来、国会史上、2度目になります。

 補正予算(案)は通例、提出日に、衆院本会議および参院本会議で財務大臣が財政演説をし、その翌日に、衆院本会議で代表質問、さらに参院本会議で代表質問が行われることになります。そのため、4月29日(金)は昭和の日で祝日ですが、衆院議員、参院議員全員がそろっての本会議で、財政演説に対する各党の党首ないしは政調会長らの代表質問と、菅直人首相野田佳彦財務大臣の答弁があると思われます。同日夕方に衆院予算委員会(中井洽委員長)が開かれ、財務大臣と副大臣から提案理由や補足の説明などを受け、週明けの5月2日(月=平日)から衆院予算委の質疑が始まるのだと思います。そして、5月3~5日の3連休中に審議・討論・採決し、参院に送ると思います。おそらく5月5日(木・祝)か6日(金)から審議入りし、早ければ5月9日(月)にも参院本会議で民主党・自民党・公明党らの賛成で、可決・成立するのではないか、と私は思います。

 休日の国会審議については、自民党、公明党の賛同は得られているようですが、日ごろからヒラバでの審議にふまじめな小沢一郎グループ(一新会、北辰会など)、鳩山由紀夫グループ(政実の会)が欠席する可能性があります。

 国会での休日審議は異例ですが、地方議会では珍しくなく、昨年3月には、東京都議会が予算委員会を土曜日に開きました。これは議会側の第一会派で野党的立場の民主党会派が予算修正案を出したからです。また、市長不信任案をめぐる議会や全員協議会が傍聴しやすい日曜日に設定される(ただし、出直し市長選をにらんだ市長らの政治的かけひきもある)ことはよくあることです。

 ただ、国政選挙が予定されていない2011年の大型連休は、議員が請暇(せいか)を得て、大使館のあっせんなどで、所属する友好議員連盟の国にでかけるのには、都合が良く、むしろスケジュール感がしっかりしている人ほど、そうして当然だと、私は感じますが、ことしの場合はまったく勝手が別。仮に4月29日に本会議が開かれるとして、外国に行っていたり、欠席したりした場合は、放射能不安と余震でいらついている国民のストレス発散の絶好のターゲットになります。今からでも、4月29日の予定は明けておくことを、与野党衆参問わずに、オススメします。

 なお、今後の政治日程については有料ブログ(http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65)でも発信しておりますので、こちらもご参照下さい。

 ちなみに、新聞用語では、例年第1次補正予算案はたんに「補正予算案」と書き、2次補正以降から「2次補正予算案」と書くのが通例となっています。しかし、新聞では「1次補正予算案」と表記されており、当然、これは2次補正予算案が出てくるからということになります。民主党が初めて12ヶ月間にわたって予算執行を預かった平成22年度(2010年度)は補正は1回だけでした。こういったところにも、国難を感じ取ることが出来ます。国難だからこそ、国会はいつも通りに泰然自若と、まあ少しスピードアップするのはいいことですが、いつも通りに泰然自若と審議する姿を見せないといけません。

 私はタイヘンに予算好きなので、1次、2次、3次と補正される今年度の予算審議にワクワクします。不謹慎かもしれませんが。ぜひ、この補正審議を通じて、民主党議員が歳入・歳出両面で、予算を組んでいく力、予算書を読み取る力、一般会計と特別会計の繰入金・繰り出し金、外準や年金などの各種積立金の性質、地方交付税や国庫支出金のあり方、歳出の減額補正と執行停止はどう違うのか・・・などなどを、第1次与党期の成果として、見よう見まねでも身につけて欲しいと思います。赤坂や六本木で会合をやっている時間など1秒たりともありません。


東京電力は切腹しろ

2011年04月19日 08時41分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年4月18日(月)参院予算委員会 集中審議(平成23年度本予算の執行状況、とくに東日本大震災について)】

 参院では今年度当初予算の審議が、「3・11」のため中断したことから、5回程度の集中審議(TV入り)を開く、ということで与野党が合意しているようで、4月18日(月)に続いて、4月25日(月)にも集中審議があるようです。

 参院自民党国対委員長の脇雅史さんの質問通告で、東京電力社長が、震災から1ヶ月以上経って、ようやく国会に参考人として来ました。なぜ、彼が今まで呼ばれなかったのか、ふしぎです。脇委員も「ホントウは呼びたくなかった」と言っていましたが、どういう意味なのかちんぷんかんぷんです。

 第75通常国会の1975年6月13日(金)の衆・外務委員会では、核拡散防止条約(NPT)の締結をめぐり審議の中で、宮澤喜一外相や坂田道太(さかた・みちた)防衛庁長官に加えて、佐々木義武・科学技術庁長官の自民党3衆院議員が閣僚として出席。公明党(Clean Government Party)で後に中央執行副委員長も務めた渡部一郎さんが次のように質問しています。

 「東京電力の福島第一原子力発電所は四十六万キロワットアワーの認可出力を持ち(ながらも)現在(の発電量は)ゼロ」「合計しますと、認可出力は八基で三百八十九万三千キロワットアワーで、百五万キロワットアワーである。つまり(認可出力に対する実際の発電量は)四分の一ぐらいなんですね、四分の一しか出力は出ていない。これはもうどうしてこんなになっておるのか」「しかも原子力発電所という欠陥商品のために原子力発電は不能になりつつある」そうすると核防条約(=核拡散防止条約、NPT)云々の前に、これほどまでに原子力発電に対する状況が悪いのに、科学技術庁長官は、核防条約さえサインをすると日本は原子力でエネルギーがたっぷり供給されるかのごとく発言された。それはいささかオーバーな御発言ではないか」とただしています。

 これに対して、自民党きってのエネルギー通と言われた佐々木義武・科学技術庁長官は次のように答弁しています。

 「現在の完成した原子炉がどうして稼働率が悪いのかというもう一つの御質問でございますけれども、これは実際に立地いたしましていま稼働しておるわけでございますが、その稼働率の悪い一番大きい原因と申しますか、これはいわゆる重大事故ではございませんけれども故障が予想以上に起きまして、その故障の主なものはパイプの亀裂とか溶接部分の割れ目とか、そういう材料あるいは品質等からくる、またそれに対応する技術的な未経験、未熟と申しますか、そういう点からいたしまして炉をとめて検査をして補修するという現状がたくさんございますので、お話しのように現在の運転率が悪いのでございます」と答弁しています。あっさりと、福島第一原子力発電所らを「故障が多い」「パイプの亀裂とか溶接部分の割れ目」が多い、それに対する技術が「未熟」と、自民党の大臣が認めているわけです。これは36年前の国会答弁です。

 そして、この委員会で答弁席に座っていた宮澤喜一外相はその28年後、宮澤喜一首相として通常国会にのぞみました。外相から28年後に首相というのは、ヒジョーに息の長い政治家だったと感心しますが、それは別として、ついに自民党の長期政権に幕を閉じました。しかし、その後、小沢一郎氏のミスがあり、自民党政権に。しかし、直後の1995年の第17回参院選では、新進党が自民党の総得票を上回り(議席数では及ばず)、二大政党の時代が到来しましたが、小沢一郎氏は1997年12月に新進党を解党してしまいました。

  ところで、東京電力の有価証券報告書(有報)をネットで読むと、もちろん、日本航空と違い、不動産はたくさんあります。ところが、この会社は、意外に内部留保が少ないんですね。そのわりに、社債は4兆円以上発行していて、大変信用されていた会社だと感心します、3月11日までは。この4兆円ですが、当然、これは負債です。しかし、東京電力を国有化したりすると、この社債の償還に税金が使われることになります。日本航空の会社更生法申請では、600億円以上の社債がデフォルト(債務不履行)しました。日航と違い、東京電力は不動産の保有
数が桁外れですが、これはあくまでも発電・送電施設の土地であり、すぐに売買できる性質のものではないでしょう。これは私は東京電力が会社更生法を申請するよりも前に、特別立法でデフォルトさせるべきだと、私は考えます。

 ところで、菅直人内閣の景況感はおかしい。「自粛を自粛しよう」と言っています。しかし、ことしの日本経済は、「原子力災害による消費マインドの冷え込み」が足を引っ張るでしょう。既に内閣府の景気ウォッチャー調査では、足元も先行きもマイナス20を越えるDI(景気判断指数)の落ち込みとなっています。

 もう一つは、部品の収集ができずに工業製品において、完成品がつくれないという問題です。私は横浜市港湾局や、周辺業者への取材経験が多いのですが、全国的にはあまり分かりませんが、東北地方には工業製品の完成品を出荷する港というのはあるのでしょうか。あるでしょうが、あまりないでしょう。日本の工業は現在も太平洋ベルト地帯が主力です。東北は水が良いので、精密部品の生産工場があり、東北道・東北新幹線で栄えましたが、組み立て工場から直接、港から太平洋に出荷できる態勢にはあまりないのではないでしょうか。私が知っている限り、鹿島港も化学製品ですから、横浜港にある日産自動車の専用埠頭や三菱重工業の専用埠頭が完成品が出荷できる本州の北限のように思えます。ということは、東北の工場というのは、太平洋ベルト地帯の完成品組み立て工場に部品を納入して初めて成り立つ産業構造なのではないかと考えます。そうすると、太平洋ベルト地帯の中京工業地帯、京浜工業地帯は、国内外の他地域からの調達に切り替えないといけないのではないでしょうか。さらにすべての部品を調達したところで、電力が足りないのですから、工場稼働率は下がるでしょう。これは、考えていくと、原子力災害と震災により、日本全体で、完成品の売上高に大きな影響を与えます。これを裏付けるように、4月の新車販売台数は、どうやら50%前後の落ち込みの気配だそうで、これは、おそらく自販連が統計を取り始めて最大のマイナスになるでしょう。もちろん完成車(=タマ)が来なければ、販売店はどうにも売りようがありません。

 菅内閣は「自粛を自粛しよう」「節電しよう」としか言っていないような気がします。もっと全国的に、売掛金、とくに、工場の従業員の給料支払いのためのセーフティーネット保証を制度融資で整える必要があるのではないでしょうか。

 さて、参院予算委員会に出てきた、東京電力。この清水正孝・社長ですが、どういうわけかテロップが「取締役社長」となっているので、代表権がないのかどうか調べたら、どうもハッキリしないのですが、どうやら「代表取締役」のようです。この「代表取締役」なのか「取締役」なのかというのは、今、彼(清水氏)が、東京電力が置かれている境遇からしたらものすごく重要な情報なのですが、東京電力のホームページでも、会社四季報などをみても、なんだかハッキリしません。もともとこういった情報をしっかり出そうとしない、責任逃れの体質がある会社だったのではないかと考えます。

【追記 2011年4月20日(水)午前10時】

 上の段落について、「いつも読んでいる通りすがり」さんからメールで情報提供をいただきました。有価証券報告書を見ると、勝俣会長、清水社長、武藤副社長・原子力本部長とも、役職名は「取締役会長」「取締役社長」「取締役副社長」で、その下に(代表取締役)とマル括弧で補っています。ですから、上記参議院インターネット審議中継のテロップも「取締役社長」という肩書きになったということのようです。しかし、これはおかしい。中小企業の社長の名刺では、社長よりむしろ「代表取締役」とだけ書いてあることがよくあります。会社法上、それは当然のことです。報道でちょっとだけ見たのですが、東京電力には、総会屋だか、あるいは暴力団だかの関係があったそうで、その辺などからも「代表権」を明示しないのかもしれません。しかし、それは上場企業としても、公益企業としても許されない情報隠しです。一人で会社の債務を個人で全部連帯保証している中小・零細企業の社長の名刺「代表取締役」を見習えといいたいです。情報提供ありがとうございました。【追記おわり】

 4兆円の社債をどんどん売って、それを原子力につぎ込んできたんでしょうから、社債のデフォルトは当然だと思うし、東京電力もよくも、ノコノコと国会に出て来られるもんだ。ホントウに、東京電力は切腹しろ、と私は言いたい。もちろん、二大政党制の導入を遅らせる新進党解党という暴挙をした小沢一郎氏も切腹すべきだし、郵政解散などで自民党に投票し続けた人も同罪だと考えております。本気で考えております。そして「放射能がこわい」が禁句となっている会社に勤め、それに従っている会社員も、日本がこれからも村社会、ものいいにくい社会を続けていき、次の「フクシマダイイチ」を招くことになりますから、やはり同罪だと思います。菅内閣の政務三役にも同じような人がいるんじゃないですか。みんな、もっと怒りましょう。泣き寝入りは、自分が損をするだけでなく、自分の子孫も損をするということをわきまえてください。なお、震災後も、わが国の機関投資家は、海外の資産を「買い越し」ています。経常収支黒字国として債権国として、わずかな利息を大事に分かち合う内需をしっかりつくってほしい。この辺のことは、やはり経済産業省が原発で手一杯のようですから、民主党政府外議員にもがんばってほしい。