朝から学歴の話で品がありませんが、第47回衆院選の結果、慶應義塾大学出身の衆議院議員が56人となり、参議院議員(第22・23回参院選)とあわせて国会議員83人となり、早稲田大学を抜いて、憲政史上初めて、私学1位、全体でも東京大学の136人(衆97人、参39人)に続いて第2位になったことが分かりました。
昨日、小生が手に入れた、「国会議員要覧 平成27年2月版」(国政情報センター、編集・発行)に毎回付録でついている「別冊<議員情報>」の集計。公共機関の集計ではありません。衆議院が発行するものが「衆議院要覧」のほか、民間企業が国会内で無償配布していたり、官僚の一覧が載ったりしているものなど、合計4者5種類の議員要覧があるなかで、記者、官僚がもっともスタンダードにしているのが、同社版のため、国政の枢機をうごかす定番となっています。
前回衆院選前と比べると、
東京大学が136人(衆97人、参39人)で2人減りました。
慶應義塾大学(慶応義塾大学)は83人(衆56人、参27人)で、3人増えました。
早稲田大学は77人(衆50人、参27人)で5人減りました。
日本大学は30人(衆23人、参7人)で変わらず。
中央大学は29人(衆18人、参7人)で2人増加。
京都大学は28人(衆19人、参9人)で変わらず。
この後は、創価大学、明治大学、上智大学、法政大学、青山学院大学、東北大学、神戸大学、学習院大学、一橋大学と立教大学が続きます。
増減では、東大が衆議院で100人割れとなりました。
慶應義塾大学は25年前から2・5倍以上国会議員を増やしています。25年前は世襲議員(小沢一郎さん、逢沢一郎さん、石破茂さん、船田元さんら)ばかりだったのですが、小選挙区制になってから、長島昭久さん、長妻昭さん、武正公一さん非世襲議員がずっと増え続けてきました。その背景にはデフレ下でも同窓生から支援を得やすい環境があると思われます。
早稲田大学が5人減った背景には、2009年に大量得票した渡辺喜美さんと、民主党で初当選しながら離党して2012年に比例復活した議員(阪口直人さん、杉本かずみさん)らが落選したことが理由のようです。新党を渡り歩く政界遊泳術が通用しない選挙でした。
慶應と早稲田では、卒業生の数が違いますので、早稲田の低迷は深刻といえそうです。
日大は4位を守りました。
5位と6位はここ数回の選挙で、中大と京大のデットヒートが続いています。
かつては、弁護士、世襲議員とも多く、国会議員の人材供給源ながら、八王子移転後長期の大幅な低迷が続く、中央大学ですが、2人増え、底打ちしました。日本共産党の新人、池内沙織さんら個性豊かな人が多いようです。
京都大学は衆議院議員に限れば5位となっています。とくに小選挙区でとても強い人が目立ちます。ただ、中大に比べて顔ぶれが高齢化しています。
東大・京大以外の国立大学では、東北大学が1人減らして、神戸大学と同じ8人となっています。
政治家そのものが資金力があるというよりも、資金力がある仲間とネットワークをつくれる人が衆議院小選挙区で当選しやすいということが言えるのかもしれません。
初当選直後の国会議員は、おもったほどに発言ができず、日程情報などが手に入らないことから、「東大に入ればよかった」などと思いがちですが、大学名よりも、政党や、選挙区とする地域でのつながりがはるかに重要であることは言うまでもありません。 ただ、たった一度の人生ですから、政治家をめざす若者は、「なぜ慶應が多くなったのか」を分析してみる必要でしょう。政治家には、信念が必要ですが、やむを得ず裏切ったり、裏切られたりすることも政治家の機能の一つです。その中で裏切りを気にせず、そして、困った時に頼りになる支持者になれる人は、1億人の有権者全員ではないのです。イギリスでも、国会議員の学歴研究はさかんで、首相コースには一定の法則があります。国会議員というのは社交界の世界なので、若い人は少し研究してみたらいいのかもしれません。
衆議院要覧(乙)がでたら、衆議院議員に借りたり、国立国会図書館で借りて、出身大学を集計すると、公式な統計ができるかもしれませんので、興味がある人はそうしてください。