宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

引退の直嶋正行さん「ベアを獲得しても、天引きされる税金等がそれ以上に上がれば、手取りは減ります」

2016年05月31日 18時04分03秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

[画像]直嶋正行さん、2016年5月19日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 わが青春のすべてである「細川・羽田政治改革内閣」を民社党1期生として支え、わが青春の頂点である「新進党」を結党から支え、そして我が人生で初めて1人で任された「新党友愛」のメンバーであり、そして、尊敬する「岡田克也先生」の側近であった直嶋正行さんの引退の日が近づいてきました。

 あすの参議院本会議が最後の国会となります。任期は7月25日まで。

 直嶋さんはメールマガジンを31日付で発行しました。

 この中で、「 さて、私の国会議員としての任期も、残り2か月(725日)を切りました。今回は24年の議員生活を振り返り、感じた二つのポイントをお伝えしたいと思います」としました。

 そして、
一つは、「政治が皆さんの生活に直結している」と言うことです。私が議員になった当初より、いまの方がその傾向が顕著です」

 としました。

 具体例として、

 「皆さんの給料明細に載っている、毎月給料から天引きされる税金や保険料は、国=政治が決めます。いくら労使交渉でベアを獲得しても、天引きされる税金等がそれ以上に上がれば、手取りは減ります」。

  としました。

 「もう一つは、「皆さんの代表を国会に!」と言うこと。前述したとおり、政治は皆さんの生活に直結します。だからこそ、自分たちの立場や気持ちが分かる人を国会に送り出し、自分たちの代弁者として声を挙げてもらわなければなりません。国会議員は717名いますが、それぞれに支援者が違います。私は、生活者、納税者、消費者、働くものの立場に立って政治が出来るのは、民進党しかないと確信しています」と断言しました。

 皆さんには、「政治に無関心でも、無関係ではいられない」このことを念頭に、政治と向き合ってほしい、そして投票に行ってほしいと願います。 」 と、24年間を締めくくりました。

 お疲れ様でした!!!!!

 ◇

 自動車総連は、直嶋正行さんの後継者として、濱口誠(はまぐち・まこと)さん=写真=を擁立。

[写真]濱口誠さん、民進党ウェブサイトから。

 民進党は結党と同時に濱口誠さんを公認しました。

 このエントリー記事の本文は以上です。
  


参、送付された閣法・衆法の委員会審査を終了、衆では内閣不信任決議否決【きょうの国会】

2016年05月31日 17時39分12秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 参議院は、平成28年2016年5月31日(火)、衆議院から送付されていた、閣法(内閣提出法案)と衆法(衆議院議員立法)の委員会審査を終えました。あす会期末の6月1日(水)の本会議で可決し、成立へ。

 参での審議未了議案は、参院議員自らが提出した参法は8本(最終盤になってからの提出を除く)のみ。

 参では、選挙前には継続調査手続きをしないことから、廃案になるのは、参法のみとなります。

 私の知る限り、2013年は電力システム改革法案などの閣法、水利用促進法案などの衆法が審議未了廃案になったほか、調査会報告書の説明がされませんでした。2010年は、地球温暖化対策基本法案がかなりの長時間両院で審査されたのに、廃案になり、その後再提出されることはありませんでした。 

 溝手顕正・自民党、郡司彰・民進党、魚住裕一郎・公明党などの議員会長がしきった、第22期・23期参議院は正常なまま卒業式を迎えることになりそうです。

【平成28年2016年5月31日(火)参議院内閣委員会】

 「東京オリンピックパラリンピック特措法改正案」(190衆法45号)は毎国会提出されている印象ですが、今次改正案は、JOCから国会への報告を義務付ける内容。まず、衆・文部科学委員長の谷川弥一さんから趣旨説明がありました。質疑は、JOCの竹田会長(前招致委員会会長)に集中しました。

 民進党の長島昭久・衆文部科学委筆頭理事も答弁しました。


[画像]長島昭久さん、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 討論は省略。採決は賛成多数で可決しました。衆では全会一致でした。本会議に上程へ。

 「国外での犯罪被害者への弔慰金支給法案」(190衆法46号)は、西村康稔衆・内閣委員長から説明されました。質疑、討論は省略。採決の結果、全会一致で可決しました。あす成立のはこび。

 「特定非営利活動促進法案」(190衆法47号)は、質疑、討論省略の後、全会一致で可決しました。

【同日 参議院法務委員会】

 「民法を改正して再婚禁止期間を6か月から100日間に短縮する法案」(190閣法49号)はていねいな質疑の後、全会一致で可決しました。すでに運用上は実現しているようですが、法律にしないと、意図的に泥沼化を図る民事訴訟戦術に使われそうな気もしますから、迅速な法制化ができてよかったでしょう。

【同日 参議院農林水産委員会】

 衆・農水委員長から「真珠振興法案」(190衆法49号)が説明され、全会一致で可決しました。本会議に上程へ。

【同日 参議院国土交通委員会】

 「都市再生特別措置法改正案」(190閣法18号)について各会派が質疑しました。討論では、共産党が反対。一部の人に莫大な国費が投入されることを問題視したようです。社民党の吉田忠智党首も反対討論しました。採決では、共社反対、自公民賛成多数で可決しました。あす成立へ。

【同日 衆議院本会議】

 午後1時に内閣不信任決議案が提出されました。印刷し全衆院議員に配布し終えるまで2時間かかりますから、開議は午後3時半となりました。

 岡田克也さんが「本院は安倍内閣を信任せず。右、決議する」と趣旨弁明。


[画像]内閣不信任決議案を趣旨弁明する、岡田克也民進党代表、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 決議案には理由を付すことができます。

 岡田さんは「アベノミクスの経済失政」を理由に上げました。

 江田憲司さんは討論で「信なくば立たず。綸言汗のごとし」と語り、前回の解散時の2017年4月に確実に上げるとした安倍首相の発言の信頼性と取り戻せないことを明示しました。

 志位和夫さんは討論で「経済失政」を中心に語りました。

 一方、自民党は松本純さんが討論に立ちました。今国会冒頭の補正予算に関する演説の代表質問があった1月6日(水)にも代表質問に立っていますから、今国会の自民党政府外議員の登壇は、松本政調会長代理に始まり、松本政調会長代理に終わったことになります。松本さんは現在6期。討論では「希望出生率1・8に向けて、一億総活躍アクションプランをまとめる」と擁護しました。ここで思ったのですが、根っからの自由主義者の私ですが、ソ連共産党と中国共産党の違いというのを聞いたことがあります。ソ連共産党は計画経済で「5年後はこうなる」と言いながら5年経ってもならない」。一方、中国共産党は「毛沢東主席が農村を指導していた頃はこうだった」と話し、以前に比べれば現在は良いと説得する。これがソ連が崩壊し、中国が今の体制でいる理由だと聞きました。これからすると、三本の矢、新三本の矢、一億総活躍、G7版三本の矢と語り自民党政治はソ連共産党型のように感じます。

 公明党の佐藤茂樹さんは民進党攻撃に出て、「対案を審議入りするよう理事会で求めなかった」とし、「対案を出せ」路線から「対案を出したけど理事会で審議入りを求めなかった」路線へと転戦したようです。

 おおさか維新の会の下地幹郎さんは「大胆な成長戦略が必要だ」と討論しました。

 記名投票表決。



[画像]開票結果を発表する、向大野新治・衆議院事務総長、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 なお、今47期衆議院から、定数は475となっており、過半数は238です。

 向大野新治衆議院事務総長は起立し、投票総数469、賛成124、反対345。賛成少数で決議は否決されました。

【同日 衆議院議院運営委員会】

 正午設定。本会議について。

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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政府、消費税法附則の「平成29年4月」を「平成31年10月」改正法案を2016年秋に提出へ

2016年05月31日 07時11分20秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 政府は消費税法改正案を、平成28年2016年の7月ないし9月以降に開かれる、第191ないし192回国会に提出する方針を決めました。

 消費税法第29条は「(税率)第二十九条消費税の税率は、百分の六・三とする」と定めます。この数字は国に入る分で、この他に地方に譲与する分と合わせて、この記事を書いた時点で、8%となっています。

 社会保障と税の一体改革のための改正消費税法(税制抜本改革法)の附則第1条3項「平成二十九年四月一日」とする施行日のみを改正するシンプルな法案が予想されています。

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労働基準法改正案いわゆる残業代ゼロ法案は審議入りせず第191回国会以降に先送り

2016年05月31日 06時55分47秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 「労働基準法改正案」通称「残業代ゼロ法案」(189閣法69号)は第190回通常国会で審議未了となりました。野党・民進党・共産党の抵抗が功を奏した格好ですが、与党は早い段階から成立をあきらめる作戦だったとも報じられています。

 労働基準法改正案は、大学教授などに適用されている、「高度プロフェッショナル制度」を広げて、例えば商学部卒業の経理部員を「高度プロフェッショナル」に加える法案。政府が昨年4月3日(金)に国会に提出した法案では「年収1000万円以上」に限られていますが、この部分は政府の一存ですぐにかえられることから、労働時間・休日・深夜の割増賃金などの労基法の規定が適用外になるため、野党は「残業代ゼロ法案」と呼んでいます。

 同法案は、厚生労働大臣による趣旨説明がされないまま、「閉会中審査」になる見通し。ただ「閉会中」と言っても審議されることなく、7月10日の参院選以降に開かれる、第191回国会や、第192回国会以降で審議入りをめぐる与野党の駆け引きが続く見通しです。

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介護人材を受け入れる入国管理法改正案は衆議院で継続審査で2016年秋以降に成立先送り

2016年05月31日 06時49分28秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 衆議院法務委員会は、第190回国会(平成28年6月1日まで)での「入国管理法(出入国管理及び難民認定法)の一部を改正する法律案」(189閣法31号)の成立を断念し、第191回ないし第192回国会へ先送りすることを決めました。

 法案では、介護の仕事に就く外国人のために、「在留資格 介護」をつくり、日本の公使の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護または介護の指導を行う業務に従事することができるようになります。

 現在も、経済連携協定条約(EPA)の枠組みで認められていますが、中国と日本の間にEPAがないため、中国国内で業者に登録したい希望者が殺到しています。 

 法案は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」(189閣法30号)とあわせて岩城光英法務大臣(法相、参議院自民党)から趣旨と提出理由が説明されましたが、各党の審議はなく時間切れとなりました。

 次の国会は、7月10日の参院選以降に開かれるため、成立は9月以降になりそうです。

 この条項の施行日は、「公布の日から起算して1年以内の政令で定める日」なので、平成29年2017年4月以降の施行となりそうです。

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民法債権編(債権法)改正法案は、審議入りせず、2016年秋以降へ先送り 継続審議の方向

2016年05月31日 06時48分15秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 政府が昨年平成27年2015年3月31日(火)に提出した、

 「民法の一部を改正する法律案、民法債権編抜本改革法案、債権法改正案」、国会が付ける議案番号第189回閣法63号および同64号

 は、第190回国会で審議入り(法務大臣による法案の趣旨説明)すらせず審議未了となりました。

 衆議院が解散されない見通しとなったことから、平成28年6月1日(水)の衆議院法務委員会で、「閉会中審査の処理を取るよう議長に要望すること」を決定する見通し。

 ただし、「閉会中審査」とは次の国会への継続処理を意味する言葉であって、7月10日の参院選終了後まで審議はありません。

 大型法案であることから、仮に平成28年2016年夏以降の第191ないし192回国会で審議入りしても、成立は平成29年以降になることはほぼ確実となりました。

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[お知らせおわり]


衆議院は解散せず、会期延長も無し 第24回参院選は改選定数121で、2016年7月10日投票へ

2016年05月31日 06時26分40秒 | 第24回参院選(2016年7月)

 第3次安倍内閣(自民党と公明党の連立内閣)の首相と副総理は協議し、衆参同日選を見送ることを決めました。

 平成28年2016年5月30日、定例の月曜日、定刻の午後5時、会期中の定例場所国会3階自民党総裁室で開かれた「自民党役員会」で首相(自民党総裁)は第190回国会を延長しないことを、幹事長の質問に答えて、明言しました。翌日付各紙が一斉に報じました。

 このため、国会法や公選法などの規定に基づき、第24回参院選は6月22日(水)公示7月10日(日)投票で、改選定数121で行われることになりました。

 18歳19歳に選挙権が付与されるほか、定数是正の苦肉の策で、選挙区の一部が合区(ごうく)され、2県で構成する1選挙区ができます。

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報道ステーションで、テレビ朝日の松原文枝経済部長が解説

2016年05月30日 23時59分32秒 | マスコミ批評

(このエントリー記事は、2016年5月31日朝7時半投稿ですが、投稿直後に、5月30日付にバックデートしました)

 ゆうべ2016年5月30日の「テレビ朝日」報道ステーションで、松原文枝経済部長が解説する場面がありました=画像はテレビ朝日ニュース映像からスクリーンショット=。

 松原記者(部長)は、1990年代後半、女性政治記者が爆発的に増加する前から、政治部記者だった先駆け的存在の1人。それまでも、民放には元アナウンサーの女性記者、経済部から大臣の横滑りで番記者となった女性記者がいましたが、女性の進出が極めて早かったテレビ局の報道担当でも女性の政治記者は先駆け的存在でした。

 一方早くから、現場を卒業して、報道ステーションの担当になり、特集などを担当。

 その後、プロデューサーとして責任者となりました。ただ、昨年3月に交代。同社幹部は「人事異動」としていますが、政権に対峙する姿勢もあったことから、何らかの意図があったのではないかと報じられることもありました。

 このエントリー記事の本文は以上です。 


内閣不信任案を提出へ 民共社生4党首

2016年05月30日 16時01分15秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 民進党の岡田克也代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首、生活の党の小沢一郎共同代表は、平成28年2016年5月30日(月)、野党4党共同で内閣不信任決議案を衆議院に提出することを決めました。

 会期末を控えて、参議院の常任委員会定例日はあす31日(火)のみとなりました。

 今第190回国会で、衆を通過し、参に送付され、未成立の法案は次の6本(法案名、議案番号、衆の態度、付託委員会、担当大臣)

 「民法を改正し再婚禁止期間を6か月から100日間に短縮する法案」(190閣法49号)、全会一致、参法務委、岩城法相。

 「都市再生特別措置法改正案」(190閣法18号)、共反対自公民賛成、参国土交通委、石井国交相。

 「東京オリパラ特措法を改正し国会の関与を高める法案」(190衆法45号)、全会一致、参内閣委、遠藤五輪相。

 「国外での犯罪被害者への弔慰金支給法案」(190衆法46号)、全会一致、参内閣委、河野国家公安委員長。

 「特定非営利活動促進法案」(190衆法47号)、全会一致、参内閣委、衆では大臣出席無し。

 「真珠振興法案」(190衆法49号)、全会一致、30日現在未付託、森山農相。

 以上の6法案です。

 例年に比べて少ない印象で、6本のうち5本が衆全会一致、6本のうち3本が内閣委となっています。

 衆先例373は「(略)内閣不信任決議案が提出されたときは、議長は速やかにその取扱いを議院運営委員会に諮問し、その答申をまって、他の案件に先立って院議により委員会の審査を省略して議院の会議に付す」と定めています。

 すなわち、内閣不信任案が提出されたときは、衆委員会がすべてストップします。政党政治における参も同様です。

 このため、31日(火)午前10時からの委員会で少なくとも、民法改正案が可決し、本会議に上程された後に、岡田さんほか50名上の衆院議員が、不信任案を衆議長に提出するとの考えられます。

 この場合、不信任案の可決は衆過半数なので、正直可決はされません。ただ、自民党内に数人程度でも造反の動きがあれば、本会議の段取りがずれ込むこともありそうです。

 このエントリー記事の本文は以上です。 


有田芳生参議院議員が主導したヘイトスピーチ規制法が初適用、市立公園の使用不許可の公算

2016年05月28日 09時58分52秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 民進党の有田芳生(ありた・よしふ)参議院議員=写真・同党ウェブサイトから=第189・190回国会と2年越しで、参議院法務委員会野党筆頭理事として、とりまとめた「ヘイトスピーチ規制法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)」が適用される見通しとなりました。

 法律は、来週の平成28年2016年の、6月1日(水)あるいは3日(金)にも公布され、施行するとおもわれます。

 在日コリアン排斥を訴えるヘイトスピーチでもを繰り返している団体が、再来週6月5日(日)に神奈川県川崎市で予定しているデモの流れの集会を公園で開く計画があるようです。これに関連して、川崎市は市立公園使用を認めない方針を固めたようです。5月28日付朝日新聞第3社会面が報じました。朝日記事は、ヘイトスピーチ規制法が24日に成立しており、「その趣旨を踏まえての判断とみられる」と書いています。

 ヘイトスピーチ規制法第4条の「地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」の条文を踏まえたと思われます。

 道路は神奈川県警察本部の管轄なので、今回の行政判断とは別。

 ヘイトスピーチ規制法は、きょねん民進党が提出した案を参考にして、ことし与党側が提出し、参で修正をかけたあと、各党の賛成で成立しました。

 衆議院の議案ウェブサイトを基に、原案に修正を反映した法律全文を私が作製しましたので、下に全文載せます。

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律

目次
 前文
 第一章 総則(第一条-第四条)
 第二章 基本的施策(第五条-第七条)
 附則
 我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。
 もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。
 ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。
 (基本理念)
第三条 国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
 (国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責務を有する。
2 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
   第二章 基本的施策
 (相談体制の整備)
第五条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するよう努めるものとする。
 (教育の充実等)
第六条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。
 (啓発活動等)
第七条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、住民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うよう努めるものとする。
   附 則
 (附則)
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 不当な差別的言動に係る取組については、この法律の施行後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。


ストーカー規制法改正案で、「メール」から「SNS」に拡大を検討、自民党と公明党のチーム

2016年05月28日 09時18分09秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 自民党と公明党は、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)の改正案を、平成28年後半の第191回ないし192回国会に提出したい方針。

 公明党の井上幹事長が平成28年2016年5月28日(金)記者会見で明らかにしたと、翌日付公明新聞が報じました。

 東京でアイドルとして活動していた20代前半の女性が、Twitter(ツイッター)でやりとりしていた自称・ファンの男に対し、リアル社会で贈られたプレゼントを返して、Twitterをブロックしたところ、男が逆上。女性は警察と相談したものの、男はライブをねらって上京し、ナイフで数十か所を刺し、重傷。現在も治療中の事件を踏まえたものです。

 現行法では「つきまとい」を次のように定義しています。

第二条  この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。

五  電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。

 この「電子メール」には、SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)は含まれていない、と井上幹事長らは判断したようです。

 ところが、同日、東京地方裁判所立川支部は、Twitterで女性に執拗に投稿した韓国人の男に対して、懲役4カ月・執行猶予3年の判決を言い渡しました。翌日付読売新聞第3社会面が報じました。男は、知人女性のTwitterアカウントに、「連絡取れるようにしてよ」などと投稿。女性がアカウントを3回変更して見つけ出して執拗に投稿したほか、リアル社会でも勤務先に押し掛けました。 

 記事から考えると、裁判長は、上に紹介した第2条の第3項にある「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること」の中に、Twitterでの執拗な投稿も含まれると判断したようです。被告人は控訴するかまえ。

 この判決から、自民党と公明党が進める改正作業は立法事実がないともいえます。

 このエントリー記事の本文は以上です。

 

 


「安倍首相は知性が問われる」とついに本音の岡田克也代表、「非常にショックだ」「日本の品性に関わる」

2016年05月27日 22時07分05秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]岡田克也・民進党代表、2016年5月27日、国会内、筆者・宮崎信行撮影。

 民進党の岡田克也代表は、平成28年2016年5月27日(金)記者会見を開きました。定例は午後3時ですが、きょうは午後2時から総理会見、岡田さんも民進党本部で全国幹事長会議があったことから、午後4時半始まりとなりました。

 安倍首相が、G7伊勢志摩サミットで、商品市況の低迷や、新興国への投資伸び率の鈍化などから、

 「リーマンショック直前の世界経済」という珍妙な経済観を披露して、他国首脳からドン引きされたことについて発言しました。

 この中で、記者会見開始後25分以上たって本音がされに出たようで、

 「一部の官僚なのか、取り巻きなのかわからないが、総理をそんたくしてつくった資料、都合の良い数字だけをつまみ食いした資料だと思います。でも、最後は、総理自身の、トップの、良識が試されると思うんですね。自分の意向を呈してこういう資料を作ってくれたけど、やっぱりここまではやり過ぎだよね、と思うかどうかだと思います。知性、というと言い過ぎかもしれないが、そこが非常に気になります。ここまでやるか、G7の場ですよ。各国の首脳がそろった場でこういうものを出して、いや、リーマン・ショックの前と同じような状況になるかもしれないというようなことを言われたことは、私は非常にショックです。日本の品格にかかわる話です」

 と語り、安倍首相の知性が問われるとの認識を示しました。

 岡田さんが、安倍さんの知性が問われるとの認識を示したのは、私の知る限り初めて。

民進党・岡田代表定例会見 2016年5月27日

 上の写真の岡田さん向かって右側のパネル=下、左側のパネル=その次の内容は、民進党役員室報道担当が記者会見出席者全員に配布しており、その内容は次の通り。

  

 
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安倍首相、消費税率引き上げを参院選前に判断 衆参同日選は質問に答えず

2016年05月27日 14時33分48秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 安倍晋三首相は「消費税率引き上げの是非は、夏の参院選の前に明らかにする」と明言しました。

 平成28年2016年5月27日(金)の午後2時から始めた、「G7伊勢志摩サミット」終わりの議長会見の一環。

 「参院選前」が会期内(来週水曜日)かどうかは、総理発言から未詳。

 衆参同日選に関する時事通信記者からの質問に、首相は答えませんでした。

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改正宅建業法、改正児童福祉法など成立 高木毅復興大臣「隠し」成功で悠々逃げ切り【きょうの国会】

2016年05月27日 12時36分01秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]きょねんの5月下旬の国会裏側、宮崎信行撮影。

【平成28年2016年5月27日(金)参議院本会議】

 「平成28年熊本地震災害義援金差し押さえ法」(190衆法44号)は、投票総数227、賛成227、反対0の全会一致で可決し、成立しました。

 「改正酒税法」(190衆法35号)は投票総数225、賛成224、反対1の賛成多数で可決し、成立しました。

 「改正法テラス総合法律支援法」(189閣法58号)は、投票総数225、賛成225、反対0の全会一致で可決し成立しました。委員長の報告によると、法的援助をより使いやすくするための法律で、認知機能の低い人や災害被災者が使いやすくする改正法。ただ審議では、資力のある人の自己負担と、無料相談の間で、事務が煩雑化しないかという点や、弁護士の質の向上についての意見も出されたので、法務省などが対応することになりそうです。

 「改正宅建業法(改正宅地建物取引業法)」(190閣法34号)は、「既存住宅の流通促進を図る法律」で、投票総数227、賛成227、反対0の全会一致で可決し、成立しました。なお、宅建士がここを見るかもしれないので書きますが、民法債権編改正案は未だに審議入りしておらず、秋以降に持ち越しです。

 「改正特区法」(190閣法53号)は投票総数226、賛成151、反対75の賛成多数で可決し、成立しました。

 「改正児童福祉法」(190閣法55号)は、「すべての児童の健全性のため施設入所できる人の範囲を拡大するなどの法律」(委員長)。投票総数226、賛成226、反対0の賛成多数で可決し、成立しました。

 なお、きょうの本会議では、衆委員会・本会議、参委員会とも全会一致で上程された法案について、「賛成討論」がありました。なぜだろうと思いましたが、一言で言えば、選挙が近いのだな。それが分かっていると、それをなんとも思いません。がんばってほしい。

【同日 衆議院東日本大震災復興特別委員会】

 今国会5回目の開催。

 まず、岩手への委員派遣について、今村雅弘委員長から報告がありました。

 閉会中のきょねん10月7日(水)に初入閣した、高木毅復興大臣。

 今国会はほとんど答弁の機会がありませんでした。過去の窃盗疑惑や政治とカネ(政規法というよりも公選法絡み)に関しては、現地調査をした野党議員もいたのですが、悠々セーフという印象です。きょねん2015年の秋の臨時国会を開かない戦術。どうやら成功のようです。

 震災から5年。忘れてはなりませんが、政府からの新しい法律案はありませんでした。議員立法で、土地の権利関係をめぐる民法特別法をつくろうという機運があり法案は出されていますが、付託されていません。

 質疑はほとんど、東北被災県の議員が復興状況について質問し、散会しました。

【同日 官報】

 法律公布については、すべて書いてきたわけではありません。

 個人情報保護法を改正する法律が、平成28年法律51号として公布されました。

 会期末ということで、成立済みで公布待ちの法律が17本あります。

 来週成立が見込めるものを入れると、今国会の成立は70法律前後、2予算、9条約となりそうです。良し悪しは別として閣法は一括改正法案が多く、議法(衆法及び参法)も理念法で今後の肉付けが予想されます。かなり法律を仕上げた第190回国会と言えるでしょう。来週水曜日会期末。それ以降、時間があればまとめます。

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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