私は長年、自民党が53年間の長期政権を持続した、最大の功労者はハマコー(浜田幸一元衆院議員)だったと思っています。とくに四十日抗争以降の、28年間、つまり長期政権の後半半分以上が、ハマコーというキャラクターにより、政権を維持できた。つまり、煮詰まった時には、理論や理屈、あるいは、人脈やお金では与党は動かないと考えています。
だから、私は河村たかし衆院議員が民主党政権のハマコーになると期待していたのですが、ご存じのように、政権交代前に名古屋市長に転出してしまい、最近ではキャラクターが変わってしまいました。
「民主党のハマコー」ということはこのブログでずっと書いていますので、古くからお読みの方は、例えば姫井由美子さんを「民主党の女ハマコー」と期待していたのですが、どうもそうはならず、篠原孝さんにもそれを期待しましたが、今や菅直人首相側近の農林水産副大臣と主流中の主流のポジションにいます。正直、民主党のハマコーは現段階ではまだいません。こういうところでも79歳の恒三さん頼みとは情けない。このまま7月24日正午のテレビ地上波アナログ放送停波で、「政治のつまらない化」に進むのもいいですね。
そんな中、千葉6区の生方幸夫さん、前衆議院消費者問題特別委員会委員長という肩書きはかわいそうか、むしろ、「生方元副幹事長」。実は政調復活の功労者ですが、2011年5月30日付メルマガで、まったく私と同意見のことを書いていたので、ご紹介したいと思います。癒されます。やっぱり我々東京っ子の真価は、こういう時にハッキリ物を言うことです。
その前段階として、生方さんのメルマガの題名は「今日の一言」なんですが、ことしになってから「今日の一言」は月1~5回の配信となっており、この辺にも生方さんの人柄を感じます。まあ、要はメリハリです。
なお、生方メルマガの中には、当ブログが使わない、ある地名の3文字の言葉を使っています。これは生方さんのオリジナルを尊重し、その3文字の地名をやむを得ず、このエントリーでは使います。当ブログでは、その3文字は、「国会周辺」「国会議事堂内」「東京都千代田区」といった言い方をしています。なぜならば、その3文字は「美しくない」からです。
この中で、自民党と公明党が早期提出する菅内閣不信任決議案について、「可決することはまずないと確信しています」としながら、「永田町は一寸先は闇ですから」として、不信任案が可決した場合、衆議院解散、総選挙になるとして、民主党衆議院議員の賛成および欠席者は「除籍されますから、党を出ていかなければなりません」としながら、「新党を作るにはお金がいります。政党助成金が出るのは新しい年度になってから(の2012年4月20日)です。そこまで資金的にもつはずがありません」としました。まあ、まったくもって、その通りですね。ただ、もう少し、欠席という造反にも気を使って欲しいところです。私は賛成も欠席もともに造反として除籍すべきだと考えています。
そして、生方さんは、「私的には不信任案に20~30人が賛成して出て行ってくれるのが一番です。そうすれば、党内が一致結束してこの難局に当たることができると思います。いつまでも火種を抱えたまま政権運営をすることはできません。ここで決着を着けられれば、それにこしたことはないと思います」
これは私が考えていたことと全く同じなので、うれしくなってしまいました。ただ、20~30人が「賛成」となると菅総理の求心力が落ちますので、20人~30人が「欠席」の方がいいのかなと思います。もちろん欠席も造反ですから、除籍! 少なくともやはり連立与党全体で300人以下すなわち小選挙区の数以下の議席数でないと、政権は持ちません。郵政解散も自民党は296議席だったのに、安倍晋三総裁が郵政造反組9人を復党して、自民党が305議席になったときから、崩れていきました。
ところで、前からご紹介したくてエントリーに上げる機会がなかったのですが、ナント今から1年前、生方さんは岡田克也さんから「鳩山由紀夫総理が辞める」ことを最初に伝えられた議員のようです。すわ、生方さんは岡田最側近?と思いきや・・・衆議院安全保障委員会の開会を待っていた、委員席の生方さんと答弁席の岡田外相。急遽、国会の委員会が開かれず、民主党の両院議員総会が開かれるというので、委員室を出ようとすると、岡田外相が生方さんに「総理は辞めるぞ」と言われ、「委員会や本会議をストップさせて、両院議員総会を開くのだから、当然、継続ということではなく辞任ということになる」と言われたそうです。
生方さんは「びっくりしました」、「岡田さんも総理から直接聞いた訳ではない」と虚心坦懐にメルマガで正直に書きながらも、「明日には新しい総理が誕生します。流れを見ていると、どうも菅副総理がそのまま総理になりそうな勢いです」と締めくくり、けっこう流れを読めるところもさりげなく示していました。
菅首相の次がいないと言われますが、これは「生方首相待望論」が沸き上がりそうです。とはいえ、冗談はさておき、そこはやはりおなじ千葉県選出のハマコーのように、生方さんには「生方首相」よりも「民主党のハマコー」になってほしい。与党にはそういう人が必要です。
なかなか落ち着かないので、ぜひ、自民党と公明党には、少しでも早く、今すぐにでも、内閣不信任案を提出して欲しいと考えます。民主党はしっかりと受けて立つし、民主党をお掃除するのにいいタイミングです。ぜひ、自民党さん、今夜にでも提出してください。もちろん民主党としても、慢心だけはゼッタイにしてはいけません。
[生方幸夫さんのメルマガから全文引用はじめ]
国民不在の永田町の動き
5月30日(月)
民主党内に不信任案に同調する動きがあるということで永田町がざわめいています。不信任提出は今週か来週になるそうですが、可決されることはまずないと確信しています。
その理由は、不信任案に民主党内で賛成する勢力があったとしても、先の展望が全くないからです。
不信任案が可決されるには党内から80人以上の造反がなければなりません。そんなに大量の造反議員が出るのなら、今日当たりの永田町は騒然としていなければなりませんが、今日の永田町を見ても至って静かです。それだけ本気度が薄いということに他なりません。
とはいっても永田町は一寸先は闇ですから、万が一、不信任案が可決されれば、衆議院解散、即選挙となります。不信任案に賛成した人は民主党を除名されますから、新党を立ち上げない限り、無所属で立候補しなければなりません。一体何人が選挙で勝ち残れるか、恐らく数人だけでしょう。
また、可決されなくても、やはり除名されますから、党を出ていかなければなりません。私は受け皿があればそういうこともありうると、言ってきました。例えば自民党や、公明党、みんなの党などが受け皿となり、出てきた人を受け入れてくれるのなら、展望があるかもしれません。しかし、どこをみても不信任に賛成した人を受け入れてくれそうな党はありません。
したがって、不信任案に賛成した人だけで新党を作らなければなりません。新党を作るにはお金がいります。政党助成金が出るのは新しい年度になってからです。だから民主党を出ても政党助成金は民主党に入り、新党に入るのは来年になります。そこまで資金的にもつはずがありません。
民主党内でいつまでもゴタゴタが続くのは、もううんざりです。私的には不信任案に20~30人が賛成して出て行ってくれるのが一番です。そうすれば、党内が一致結束してこの難局に当たることができると思います。いつまでも火種を抱えたまま政権運営をすることはできません。ここで決着を着けられれば、それにこしたことはないと思います。
ただ、分裂した民主党がきちんと機能するのかどうか、これはやってみなければ分りません。本当は、こんな内輪もめしている時間も余裕もないのですが、残念ながらこれが実態です。
[生方さんのメルマガから引用おわり]
[生方さんの昨年(2010年)6月3日付のメルマガから引用はじめ]
言葉の重さ
6月3日(木)
鳩山総理が退陣し、明日、民主党の代表選挙が行われることになりました。昨日、両院議員総会が突然開かれると聞いたときは、正直言って総理が退陣を表明するための総会だとは思いませんでした。
昨日は安全保障委員会があり委員室に9時に行きました。岡田外務大臣も答弁のため出席していました。安保委員会の開会が遅れるということで、岡田さんが退出際に、私に「総理は辞めるぞ」と突然声を掛け、びっくりしました。岡田さんも総理から直接聞いた訳ではなく「委員会や本会議をストップさせて、両院議員総会を開くのだから、当然、継続ということではなく辞任ということになる」とのことでした。
10時から両院議員総会が開かれ、皆様も二ユースでご覧になったと思いますが、辞任の表明となりました。政権交代の熱気から僅か8ヶ月で総理が退陣するとは、去年には想像もできませんでした。国民の皆様に与えた失望はさぞや大きかったとお詫び申し上げます。
鳩山総理は自分が辞めると同時に、政治とお金の問題で迷惑を掛けてきた小沢幹事長にも退陣を促しました。これで、長いこと民主党を苦しめ、政治不信を増大させた政治と金の問題にとりあえずの決着が付きました。
明日には新しい総理が誕生します。流れを見ていると、どうも菅副総理がそのまま総理になりそうな勢いです。一番の焦点は幹事長です。ここに小沢幹事長の影響下にある人が着いたら、党の刷新はできません。小沢さんの昨日の会見を聞いていますと、当面、一線にでて指揮をとるということはないようですが、取り巻きがそれを許さないというのが実態のようです。何とか清新な幹事長が生まれるといいのですが。
鳩山総理は総理辞任を受けて、次の総選挙に出馬しないことを表明しました。小泉さんと鳩山さんと二人の総理経験者が議員に戻ることなく引退することになりました。総理になるということは議員としての総仕上げです。一日も無駄にすることなく、それまでの政治生活の中で訴え続けてきたことを実現することが任務です。
総理を辞めても議員として、まだやれるなどという考えでいたのでは、実現はままなりません。その意味で総理を辞めた後は引退するということを、このまま定着させてもらいたいと思います。
なぜ、かくも早く退陣しなければならなかったのか。言葉につきると私は思います。一度口からでてしまった言葉は、もう一度飲み込むわけにはいきません。前言をきちっと否定しないで取り繕えば、取り繕うほど事態は悪くなります。それを繰り返してしまったのが鳩山さんだったと思います。言葉に出したら実行する、実行できないなら言葉として出してはいけない、それが総理大臣だと思います。
この問題が起こってから、テレビに何回も出ておりますが、時間の制約もあって思っていることが全ていえている訳ではありません。できるだけ誠実に答えようと心がけています。
[引用おわり]
公職選挙法(公選法)の第142条に定められた「文書図画の頒布」(ブンショトガノハンプと読みます)は選挙を闘ううえで、もっとも頭を悩ませるルールでしょう。
これは公示・告示後の選挙運動期間中はもとより、当選(落選)後のお礼文書、もちろん選挙(解散・公示、告示)以前の日常活動中もしかりです。
さて、このほど、当選した新人知事の告示後の選挙運動期間中の、支援者が有権者に送った電子メールについて、某県警察本部捜査2課が、支援者2人を、公選法違反(法定外文書頒布)の疑いで書類送検しました。今後の検察の判断、あるいは、裁判を見守りたいところです。
複数の報道によると、4月上旬の知事選告示後の選挙運動中に、新人のA候補者(現在の知事)の支援のために、候補者と同い年の経営者であるB社長と、C社長が、複数の知人にA候補支援を呼びかける電子メールを送ったそうです。報道では、PCメールかケータイメールかは不明です。
そして、このメールの内容は、全文をみたいところですが、そうすると、この県の地裁まで初公判の冒頭陳述の傍聴に行かないと分からないのが残念です。が、報道によると、メールの中には「「この人しかいません!若い36歳!当選したら史上最年少知事の誕生です!」と書いてある部分があったようです。また、このメールなのか、それとも別のメールなのかは定かではありませんが、「知事選に出ている他の新人候補者は、『犯罪者』です」という趣旨の内容が含まれたメールもあったようです。
このため、告発状が出ているようで、捜査2課が書類送検したそうです。なお、告発状が出た場合は、警察は検察にその書類を送らなければいけないハズです。
今後、気になるのは、「あす事務所開きがありますので、よかったら来ない?」、「急遽、あの有名な○○さんが応援弁士に来ることになりました。あすの午後7時に駅西口ロータリーです」、「もう期日前投票行ってくれた?」などといった事務連絡がどうなるか。おそらく違法とはならないと思いますが、選挙戦を組み立てていく中で、どの党派に限らず、戦術をよく話し合うことになるでしょう。
そして、今後、判例として気になるのは、「ぜひ今度の選挙に行きましょう。→こちらもクリックしてね!」と告示・公示直前まで更新してある、候補者、政党、その選挙では候補者ではないが他の選挙で選ばれた現職政治家らのホームページ、ブログ、ツイッターなどのアドレスを貼り付けて、メールをする行為がどうなるか、というところです。この辺は、総務省選挙部としても、ハッキリとした見解を出してほしいところだと思います。
今後の推移を見守りたいですが、やはり、「頼むよ」のヒトコトで、誰を頼んでいるのかが分かってくれる、そういう信頼関係と、ふだんから政治の話をタブーにしない。そういったものを、私たち有権者も持っていきたいと考えます。そして、議員、候補者、候補予定者も同様です。
さて、本来ならエントリーを改めた方がいいのですが、あくまでも、当ブログは小生の雑記帳でございますから、けさの某党の機関誌に印象的な記事があったので、ご紹介したいと思います。この党の党首(国会議員)が、関西の党所有施設で「関西新人議員研修会」を開いたという記事。この党では、統一地方選では、関西で府県議選で1敗するということがありましたが、他の候補者は、現職も含めて、前半戦・後半戦とも全勝しています。そして、党首は、あいさつで「きょうは関西圏でも台風2号の影響で、大雨、洪水警報などが発令されています。(研修会が終わった)午後からは地元に戻り、住民のために全力を挙げよう」と切り出し、「議員の基本はまず気象情報を確認することだ。それは住民の生命、財産がかかっているからだ」と述べました。ホントウにその通りです。そして、先輩市議の活動報告では、市民相談の経緯も含めてすべてをノートに記録しているので、複数回、相談に来た人に「前はこんなことがあり、こう解決できましたね」と声を掛けている、とのことで、そういた細やかな心配りがタイセツであり、問題解決能力を磨いていくことになる、としています。まさにその通りです。私には、それはとてもカンタンなことのように思えますが、なかなかそれがカンタンでない議員もいるようです。それができない人でも当選している場合はありますが、連続して当選するのは厳しいでしょうね。いろいろな人を見てきましたから、それは確信的に言えます。
[当ブログ内関連エントリー]
なお選挙で負けないためには、次の当ブログ内エントリーも参考になると思います。必ず、現在の、公選法や公選法施行令、総務省や各自治体の選挙管理委員会の通達、裁判判例、最近の警察の裁量の動向などを確認して、自己責任で行動してください。例えば、他選挙区の自治体の選挙管理委員会に一般論として電話で聞いたりするのが便利です。
【保存版】公示前活動の“コツのコツ”
【公示前活動コツのコツ】①解散後、②公示後、③投票日 「できること」「できないこと」「やるべきこと」
午後8時で終わりじゃない、午後11時59分まで選挙運動はできますよ!
電話作戦
◎きょう、いよいよ投票スタート 期日前投票所8時半開設
第45回衆院選公示、埼玉15区で高山智司さんがリラックスして出陣した理由は
鳩山・岡田・菅第一声にかけつける方へのお願い
第45回衆院選きょう(18日)公示、ブログ更新続けます。
菅直人さん、「お盆明けの16日から大合唱」メリハリを強調
政権交代危うし? たるんでる元職
馬淵澄夫さん街宣車エンストを笑い飛ばす余裕
菅直人さん「緩んでいる人はバケツの水でもぶっかける」
【オピニオン・リーダー】茨城県医師会の原中先生、医療界専門誌に「私が民主党を支持する理由」を発信
河村たかし市長の当選の秘訣ハッケン
青木愛さんの応援をお願いしました
公選法違反の警告は「街頭演説でのぼり旗」が約100件増 都議選
内閣不信任案の背景として、1996年の橋本さんから、政権交代後の鳩山さんまで、ずっと世襲政治家が総理になってきました。森喜朗さんのお父さんは国会議員ではありませんでしたが、「当時現職の町長で選挙区内の他の町長さんもまとめてくれた」とテレビで話していました。だから、菅直人さんのように、お父さんが「セントラル硝子の常務取締役とはいえ、あくまでもサラリーマンの息子が総理大臣をやっていることが面白くないんでしょうね。「この市民運動家上がり!」と罵る人は、オバマ大統領にも目の前で同じことを言ってみてください。
田沼意次、田中角栄ロッキード、そして名もなき若者・・・日本はそうやって人材を潰してきましたから。教科書では松平定信がすぐれた政治家ということになっていますが、私としては、彼は「松平」(徳川家康の旧姓)という苗字だったのがその評価の最大の理由だと思いますよ。まあ、これからは、グローバリゼーションで、「日本社会」が前提からかわりますから、もうそういう心配はあまりないかもしれません。
グローバリゼーションで存在感が低下していたG8ですが、じゃっかん実のある話し合いが戻ってきているような気がします。が、日本では夏の「サミット」というと、昔から、アジア唯一の参加国である日本の存在感がテレビの関心の的でした。
2011年5月26日付「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」紙の8面に、「フランス・サミットの“前触れ”報道」がのりました。これは昨年のサミットの写真を資料写真として載せたのもです。この写真、ちょっと驚くことがあります。よく見てください。G8と欧州評議会議長と欧州委員長の10人が参加しているのに、9名の人物しか写っていないように見えます。
左から、ベルルスコーニ・伊首相、バローゾ欧州委員長、オバマ米大統領、メルケル独首相、サルコジ仏大統領、ファンロンパイEU大統領、メドベージェフ露大統領、キャメロン・英首相、ハーパー加首相・・・そして、ヘラトリ紙はキャプションで、「写真からは見えないが、日本の菅直人首相( and, hidden from view, Prime Minister Naoto Kan of Japan)」と説明しています。
よく見ると、右から2人目のキャメロン英国新首相の後ろに、1人人物がいます。脚の方を見ると、それが分かります。そこに菅さんがいるようです。ヘラトリ紙は米国の会社が発行元の新聞ですので、左のグループのオバマさん、そして、右のグループに入ったキャメロン新首相を撮ることを優先させたのでしょう。数少ないシャッターチャンスの中、菅さんが隠れてしまい、やむを得ず、キャプションで説明して、この写真を使ったのでしょう。
さて、ことしのG8フランスサミットは、当たり前のようで珍しいことがありました。昨年のサミットとG8首脳8人全員が同じメンバーでした。さらに、欧州評議会議長のヘルマン・ファンロンパイさん、欧州委員長のバローゾさんも同じ。2010年サミットも2011年サミットもまったく同じ10人。これは以前メンバーだった「EU議長国首脳」が輪番制だったことから、おそらくサミット史上初めてでしょう。
菅さんは存在感の薄かった、昨年のサミットの、そのまた後である「9月」にも、民主党代表選の審判を受けています。これは民主党結党以来13年目にして、初めて内閣総理大臣が立候補を届け出た代表選でした。それなのに、小沢グループと鳩山グループは、倒閣を企て、小沢一郎候補を擁立しました。本来は、あってはならないことです。このころ、外相で菅候補の筆頭推薦人だった岡田克也さんは、2010年9月4日(土)、三重3区の党員・サポーターおよそ260人が詰めかけた集会で、「総理がたびたび代わっては国際的に信頼されず、国益を損なう」と訴えました。
[写真]2011年フランスサミットを伝えるインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの電子版。
さて、これが、ことしのサミットの写真です。昨年とまったく同じ10人の顔ぶれ。そして、前列を歩く4人は、パローゾ欧州委員長、サルコジ大統領、オバマ大統領、菅首相となっています。このように、2004年→2005年以来、6年ぶりに同じメンバーとなった2011G8サミットで、日本の首相が2年連続して出席しました。
国際会議というのは、まずは「集まる」ことに第一の意義があります。日本政治で言えば2005年の「9・11」(小泉郵政解散・第44回衆院選)以降では、初めて2年連続での出席と言うことになりました。そして、「3・11」の情報共有をすすめながら、国際的に復興支援してもらえることになりました。エネルギー政策をはじめ、G8にとっても、ターニング・ポイント(歴史的転換点)となった2011年フランス・サミット。国際政治と相対化してみると、日本政治は「9・11」から衰退し、「3・11」から再スタートを切ったようにも思えます。
岡田さんは2011年5月26日(木)の定例記者会見で次のように述べています。
「私も1年前、カナダのサミットのときは、ちょうど総理が就任された直後で、外務大臣として、普通は外務大臣と総理大臣が一緒の会議に出ることはないのですが、異例でしたが私もカナダにお伴をして、サポートさせていただきました。サミットそのものには出られないのですが、バイの会談がたくさんありましたので、そこに同席させていただいてサポートさせていただいたわけであります」
「あれからもう1年たったのか、あるいは、まだ1年かという感じ、いずれもありますが、日本の置かれた状況もかなり変わりました。そういう中でしっかりと日本のリーダーとしてご活躍いただきたいと思っております。今のメンバーになって2回目のサミットですから、より親密に、しっかりとお互い信頼関係ができた中でのいい議論がなされることを期待したいと思います。
「外相会議でもそうですが、やはりマルチの会議になるとどうしてもお互いの信頼関係、人間関係ができた中でないと、なかなか突っ込んだ議論ができないということで、私は日本のリーダーも毎年のように替わることは、明らかに国益を損なっていると思います。そういう意味でも、菅総理にはしっかりとやっていただきたいと思っています」
「先ほど、毎年総理が替わることは国益を損なうと申し上げましたが、もちろん短期間で辞める本人が一番悪いわけですが、しかし、そういう状況をつくり出す一部のメディアもあることは事実だと思います。それは日本の国益、国民の利益を明らかに損なっていると思います」
今週6月2日(木)の衆院本会議で総理のサミット報告と各党代表質問がある予定です。例年2~3時間ぐらいたっぷりやりますから、(法案処理後、おそらく午後1時~2時あたりスタートでしょうか?)衆議院インターネット審議中継や、ニコニコ動画などでごらんになってみてください。あとからビデオでも見られます。テレビ中継はありません。
ただ、おしむらくは、菅さんも英語が話せればねえ・・・まあ64歳からではムリです。世襲政治家ではないから帝王学も学んでいないし。パフォーマンス術を身につけて、来年のサミットでもがんばってください。
OECD50周年記念行事における菅総理スピーチ
2011年5月25日
パリ
クリントン議長、フィヨン首相、バローゾ委員長、グリア事務総長、ご列席の皆様。
1.冒頭挨拶
経済協力開発機構(OECD)が、本年、設立50周年を迎えたことに、心からのお祝いを申し上げます。
また、日本の総理大臣として、初めて、この伝統あるOECDを訪れることができ、大変嬉しく思います。
2-(1).OECDへの評価(日本の経験)
議長、
日本は、OECDの前身であるマーシャル・プランにより最も大きなメリット・利益を受けた国で、OECD設立の3年後である1964年に、最初の非欧米国として加盟を果たしました。当時の日本にとり、OECDの自由化規約に基づいた対外経済関係の自由化が大きな課題で、大変大きな乗り越えないといけないハードルでしたが、この重要な課題を推進したことで、高度成長の道が開けました。
2-(2).今後のOECDへの期待
OECD設立から半世紀を経て、我々は、新興諸国の台頭などによる国際社会の構造変化という課題、気候変動をはじめとする地球的規模の課題、少子高齢化等、様々な新たな課題に直面しています。
私は、これらの解決にこそ、OECDが半世紀にわたって蓄積してきた知見が大いに発揮されると考えます。
近年、OECDが、G20への貢献を強化していることを歓迎します。今後、より多くの新興国を含めた非加盟国が、OECDとの関係を深め、OECDの分析・提言、成功事例やスタンダードの有用性を認識し、国内の諸政策に活用していくことを期待します。我が国としても、我が国自身の経験を踏まえ、これら諸外国に対し、OECDの有用性を説き続けていきたいと思います。
3.震災からの復旧・復興
議長、ご列席の皆様、
本年1月末のダボス会議において、私は、人と人とのつながり、すなわち、「絆」の重要性について語りました。
そのとき、私は、それから一か月余り後に、この「絆」の有り難さを心の底から感じることになると、想像しておりませんでした。
ご承知の通り、日本は、3月11日未曾有の大震災に見舞われました。それ以来、数多くの国々や国際機関、非政府組織などから、温かい激励や、力強い支援を頂きました。また、サルコジ大統領、クリントン国務長官、グリア事務総長は、災害直後の我が国を訪問し、力強いメッセージを発して頂きました。また、世界各地から、小さな子供たちまでが、僅かなお小遣いを削って寄付をしてくれました。日本国民を代表して心よりの謝意を表します。
私たち日本国民は、この最も困難な時期に、世界の無数の方々が示してくださった「絆」の強さと、熱い連帯の気持ちを、生涯忘れることはありません。我が国は、示された世界との絆に恩返しをする観点からも、国際社会に開かれた復興を目指すとともに、世界の繁栄と発展のために、国際貢献をこれまでと変わらず続けていきたいと思います。
議長、ご列席の皆様に、私は確信をもって申し上げます。日本経済の再生は、既に力強く始まっています。
被災地の経済活動も、急速な回復に向けて動き出しており、エレクトロニクスなどの生産拠点も、6割強が復旧し、残り3割弱も夏までに復旧する見込みです。さらに、今年後半以降には、復興需要が日本経済を回復の方向に牽引すると予測されています。また、東京を始め、日本経済の中心的地域は、これまで通り完全に機能しています。そして、日本の殆どの観光地も、安心して訪問していただけます。
4.原子力安全
議長、
震災に伴って発生した原子力発電所の事故については、各国に多大のご心配をおかけしました。この場を借りて改めてお詫び申し上げます。また、各国から様々な技術的、情報的、人的な支援を頂きました。この場を借りて、改めて深い感謝の意を表したいと思います。
現在、事態は、着実に安定してきておりますが、一日も早く事態を収束させるべく、国の総力を挙げて取り組んでおります。
今回の事故を深く分析・検討し、原子力の安全性について、人類にとっての「新たな多くの教訓」を深く学び、それを世界の人々や、未来の世代に伝えていくことは、事故を起こした国として我が国の歴史的責務であると考えています。
5.エネルギー政策
議長、
日本はこれから、エネルギー基本計画を基本的に見直し、新たな挑戦を開始します。
我が国は、これまでの「原子力エネルギー」と「化石エネルギー」という「二つの柱」に加え、「自然エネルギー」と「省エネルギー」という「新たな二つの柱」を育てていかなければならないと考えています。そのために、日本は、国家の総力をあげた「四つの挑戦」を行っていきます。
まず第一は、原子力エネルギーの「安全性」への挑戦です。今回の事故を教訓に、我々は「最高度の原子力安全」を実現していきます。そのために、まず事故調査・検証委員会を立ち上げました。単なる技術的検討だけでなく、人材、組織、制度、そして安全文化の在り方まで包括的に見直していきます。
第二が、化石エネルギーの「環境性」への挑戦です。
最先端の技術を用いて、化石燃料の徹底した効率的利用を進め、二酸化炭素の排出削減を極限にまで図っていくことは、大きな意義ある挑戦であると考えています。
第三は、自然エネルギーの「実用性」への挑戦です。
技術面やコスト面などの大きな「実用化の壁」を打ち破り、自然エネルギーを社会の「基幹エネルギー」にまで高めていくことに、我が国は、総力をあげて挑戦したいと考えています。発電電力量に占める自然エネルギーの割合を2020年代のできるだけ早い時期に少なくとも20%を超える水準となるよう大胆な技術革新に取り組みます。その第一歩として、太陽電池の発電コストを2020年には現在の3分の1、2030年には6分の1にまで引き下げることを目指します。そして、日本の設置可能な1000万戸の屋根のすべてに太陽光パネルの設置を目指します。
第四は、省エネルギーの「可能性」への挑戦です。
我が国は、産業部門の省エネルギーについては、世界の最先端を走っています。次なる挑戦は、家庭とコミュニティにおいて、「生活の快適さを失わずに省エネルギーを実現する」ことです。それは、「エネルギー消費についての新たな文化を創る」という意味での「社会のイノベーション」を行わなければなりません。
この変革は、これから極めて重要なテーマになっていくでしょう。
なぜなら、将来いかなるエネルギー政策をとっていくにしても、我々が自らに問うべきは、「エネルギー消費を際限なく増大させる社会が適切か」という問いだからです。
日本には、昔から「足るを知る」(知足)という言葉があります。この言葉が教えているのは、自らの欲望をどこまでも増大させるのではなく、適切な欲望の水準を知ることの大切さです。
人類全体が、地球環境問題に直面し、エネルギー問題が様々な紛争の原因となっている今日、我々地球に住む者に深く問われているのは、実は、この問いに他ならないのではないでしょうか。
6.結び
議長、
私は、いま、過去50年間を振り返り、更なる50年先に思いを致します。そして、その視野においてOECDに期待される役割を考えるとき、これからOECDが経済分析と政策提言において果たす役割を一層強化し、世界最大の「行動する」シンクタンクとして世界から信頼され頼りにされる存在であり続けることが重要であると、私は信じます。
先般、震災からわずか一か月あまり後に、グリア事務総長が訪日され、復旧への支援に関する具体的提言を頂きました。それは、まさに、頼りになるOECDの姿でありました。
3月11日に起こった震災は、多くの村や町を破壊しました。しかし、それは、日本の人々の心まで破壊することはできませんでした。いま、我が国は、復興に向け、国民が心を一つにして取り組んでいます。この国民のエネルギーを、私は、必ず、日本という国の変革の力に、そして新生の力に結びつけていきます。
日本は、「日本の再生」と「新たな世界的課題」に立ち向かうにあたり、今後ともOECDと共に歩んでいく覚悟です。
ご清聴、有り難うございました。
2011年5月29日のNHK日曜討論は、恒例の、与野党国対委員長による終盤国会展望でした。討論というよりも、ここでの発言自体が、あす以降の国会のかけひきになります。
議題は、
①東日本大震災の対応、
②原子力災害に関する東京電力の賠償スキームとその法案提出、
③復興基本法案(閣法と自民党案が衆「復興」特別委で審議中)の修正協議と可決の見通し、
④民主党・自民党・公明党の3党政調会長による2011年4月29日付の「3党合意」と平成23年度の赤字国債発行法案と税制改正法案など財源問題、
⑤会期の延長、
⑥内閣不信任案ーーの6点でした。
出席者は、
NHK解説委員の島田敏男さん、
与党から、
民主党国対委員長の安住淳さん
国民新党の下地幹郎さん
野党から、
自民党国対委員長の逢沢一郎さん、
公明党国対委員長の漆原良夫さん、
みんなの党の水野賢一さん(参院議員)、
社民党の照屋寛徳さん、
日本共産党国対委員長の穀田恵二さん、
たちあがれ日本の園田博之さん
でした。
内閣不信任案の提出時期について、自民党の逢沢さんは「今週かも、来週かもしれない」「「谷垣総裁のハラは決まっており、そう遠くないうちに提出する」と煮え切らない態度でした。公明党の漆原さんは「今回は会期末のセレモニーではなく、早く出していいのではないかと自民党にオススメしている」と述べました。報道によると、6月1日(水)にも提出する、となっています。私は新聞社に属していないので、夜回り取材メモは読めませんが、どうやら、漆原さんが「今週に提出」というアイディアを出しているようです。
内閣不信任案の可決の見通しについては、自民党の逢沢さんは「菅首相に国を託せないという思いに基づいて出す。むしろ、与党・民主党の中から菅さんを降ろす動きが出て来ないといけない」と述べ、可決の見通しがない可能性が高まりました。安住さんは「自民党の長期政権では、毎日のように非主流派は総理降ろしをしていた。私は憲政の常道にしたがい、かならず否決することができると確信している」とし、安住さんは否決できると断定しました。みんなの党の水野さんは「自民党が提出すれば賛成する」としたうえで、「民主党の(非主流派の)人も、国のために不信任案に賛成するのか、自分たちの(ポストや利権の)ために言っているのか、覚悟が問われるところだ」としました。穀田さんは「提出されれば賛成する」、社民党の照屋さんは「慎重に見極めて対応する」、たちあがれ日本の園田さんは「賛成します。(これからも)民主党政権でいいが、(内閣は)出直したらどうか」と述べました。この後、与党・国民新党の下地さんが「そもそも(衆参で)410議席を超えている政権政党に不信任案が出てくるわけがない。岡田幹事長や安住国対委員長は反省して欲しい」と釘をさすと、安住さんは「反省すべき点は多々ある。国民からして、『党内がしっかりしていない』とみられている。ただ、そのことと不信任案とは次元が違う話だ」としました。
また、仮に内閣不信任案を提出する場合の趣旨となるであろう、大震災後の菅内閣への評価について、逢沢さんは「菅内閣は組織はたくさんつくったが、スピード感がなく、指揮命令系統が混乱している」、漆原さんは「①東京電力の賠償スキーム、②小中学校の被爆量の毎時20ミリシーベルトの問題、③SPEEDIの非公表、④原子炉への海水注入をめぐる情報の混乱ーーが遅い」としました。
予算関連法案の今後の手順として重要な4月29日付の3党合意について、安住さんは、
{国税の改正の与野党修正 } → 子ども手当の見直し → 平成23年度の赤字国債発行法案
{地方税の改正の与野党修正} →
というプロセスを経て、3つの当初予算関連法案を今国会中に仕上げたいとのスケジュールを示しました。かなりギリギリの日程のように、私には思えます。安住さんは「党内議論をしており、税制改正は民主党と自民党の政策責任者が話し合っているが、政局絡みで止まっている。衆・財金委は多くの法案を通してもらったが、予算関連法案については、理事会の協議もしてもらっていない」としました。そして、安住さんは「2次補正は必要ならば今国会に出したい」としました。これについて、逢沢さんは「必要ならば、など他人事だ。2次補正を出すべきで、協力したい。自民党は1次補正も赤字国債を発行すべきだ、とした(が、政権は赤字国債を発行しなかった)」として、2次補正には、学校と鉄道の復旧を盛り込むべきだとしました。これに対して、安住さんは「鉄道は長期的な基金が必要だ。(赤字国債を発行すべきだとする)逢沢さんは誤解しているのではないか」としました。これに先立ち、下地さんは「現地を見たら目を覆いたくなる。過去にない事態であり、1~2年間ではなく、(復旧・復興には)10年以上かかると思う」との認識を示しており、公明党の漆原さんも「さきほど(下地さんが)言った『10年かかる』というのは、そうですよね」としました。社民党は「2次補正を今国会に提出すべきだ」としたのに対し、たちあがれ日本からは「十分な補正は今国会ではムリだろう」という意見が分かれました。これらについて、安住さんは「いろいろなやり方がある。(第177通常国会は閉会して)例えば復興特別委員会で毎日、閉会中審査をやるということもあり、(すでに予算に盛り込まれている)特別交付税交付金で(内閣の判断で)対応することもできる」とまとめました。
会期の延長について、安住さんは「今国会は(積み残しと新規提出の)90本のうち、60本の法案があがり(成立し)、30本残っている」として、「15年国会議員をやっているが、こんなに早い時期から延長論が出てくることに違和感がある」として、政局や利権狙いの野党を暗に批判しました。そして、番組の最後に安住さんは「不信任案を否決したら、菅内閣を信任していただいたのだから、その後は法案の成立にご協力頂きたい」と締めくくりました。
番組の感想として、確定的には言えませんが私が「アレ?」と思ったのは、自民党、公明党、みんなの党の野党3党で不信任案にニュアンスの違いがあることです。
上述のように、自民党は「今週か来週に提出する」、公明党は「会期末のセレモニーでなくすぐにでも提出すべきだ」としています。一方、みんなの党の水野賢一・参院議員は、「残念ながら、みんなの党では衆議院では、単独で不信任案を提出できる議席数がない」としたうえで、案が出れば賛成するとしました。実は、第176臨時国会での、参院での仙谷由人国務大臣問責決議案は、みんなの党が単独で提出し、自民党と公明党があわてて、数時間後に、3党共同提出になったというエピソードがありました。ただ、7月の第22回参院選で躍進したみんなの党も、あくまでも「野党第3党」というタイヘン地味な存在です。そこで、参院議員である水野さんや渡辺喜美代表が、単独提出したというのは、小政党が生き残るうえで理解できる話です。まとめると、公明党、とくに漆原さんが6月1日にも出せと言っているが、自民党は「今週かも、来週かもしれない」「「谷垣総裁のハラは決まっており、そう遠くないうちに提出する」とのあいまいな発言に終始しました。そうなると、今週の内閣不信任案提出時期をめぐる動きは、最終的には、野党内、とくに自民党内の調整が焦点になるのではないかと考えます。そもそも今週内閣不信任が否決され、与党が会期の大幅延長に出た場合、会期末に参院で菅直人首相問責決議をしたいようですが、「自公み」の足並みが乱れたら提出や可決できない可能性があります。そうしたら、政府は2次補正も出して、どんどん与党ペースで審議し、どんどん法律を成立させればいいでしょう。そうすると、おそらく公明党は2次補正の政党間協議などで民主党に歩み寄るのではないかと、期待も含めて予想します。そうすれば、ねじれ国会は解消です。
さて、長々と書きましたが、まとめると、今週も国会議員は一人一人がしっかりと持ち場の仕事をしていくべきです。私たちもしかり。なお、第177閣51号法案「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案」の審議入りが遅れているのが、自民党族議員で、若手中堅の西村康稔さんだという未確認情報がネットであります。引き続き、調べてみたいと思います。誰が味方で誰が敵か、よく分からない終盤国会になってきましたが、とにかく、残り30本以上の法律をきっちりつくっちゃいましょう。
【追記 2011年5月29日 午後11時】
雨の日曜日のネット世論をみていると、きょうのNHK日曜討論のあと、「菅内閣不信任案の提出→可決→退陣を」とのぞむ世論を急速に失速したように思えます。やはり安住さんの毅然とした対応が良かったのだと思います。公明党は不信任案が否決されたあとの最終盤国会でも、野党第2党だから、フツーに審議に応じる構えのように感じられます。とはいえ、油断大敵、造反者の可能性は大いにあります。
内閣不信任案巡り 与野党討論 NHKニュース
29日に放送されたNHKの「日曜討論」で、菅内閣に対する不信任決議案を巡って、自民・公明両党が早期に提出する意向を示したのに対して、民主党と国民新党は提出されれば与党として粛々と否決する考えを強調しました。
29日の「日曜討論」では、与野党の国会対策委員長らが、菅内閣に対する不信任決議案などを巡って討論しました。この中で、民主党の安住国会対策委員長は、不信任決議案について「400人の政党になればさまざまな声があるのは当然だが、粛々と、憲政の常道に従って否決する自信がある。反省するところも多々あると思うが、それと野党が出す不信任決議案に同調するのは次元が違い、そういうことをする議員はいないと信じている。否決されれば信任されたということなので、重要な法案の成立に向けて協力してほしい」と述べました。国民新党の下地幹事長は、「不信任決議案には大義がないので、出てきてもしっかりと否決するという態度で臨みたい。そのために、民主党は幹部が胸襟を開いて党内をまとめるべきだ」と、述べました。自民党の逢沢国会対策委員長は、「菅内閣が出来上がって1年になるが、消費税の発言がぶれて参議院選挙で敗北し、中国漁船の衝突事件でも那覇地検に責任を押しつけた。東日本大震災が起こり、原発事故や被災地対応で、菅総理大臣に『この日本を託せない』という国民の声は多い。不信任決議案の提出を党として決めており、谷垣総裁が最終的に決める。そう遠くない時期に提出する」と述べました。公明党の漆原国会対策委員長は、「この1年間の菅政権を見て、あるいは震災復興や原発事故への対応を見て、野党として『菅政権には日本の将来は任せられない』という意志を明示する責任がある。自民党は早い時期に内閣不信任決議案を提出したほうがよいし、われわれは賛同する」と述べました。みんなの党の水野幹事長代理は、「会期末のセレモニーではなく、覚悟をもって臨むべきだ。菅総理大臣に任せられないということで、われわれは退陣を求めており、単独では出せる議席数がないので、自民党が出すなら賛成する」と述べました。共産党の穀田国会対策委員長は、「菅政権の震災対応は、被災者の現実に対して心を寄せている実情がない。原発事故の収束の見通しが立たず、原発の撤退も明確に決断しない。不信任決議案が出されれば、賛成するのが当然だ」と述べました。社民党の照屋国会対策委員長は、「震災や原発事故への政府の対応は不信任や問責に値する。一方で、不信任決議案の提出はセレモニーであってはならず、菅内閣を代えることが国民のためになると確信が持てるまで、慎重に見極めて最終的な対応を決める」と述べました。たちあがれ日本の園田幹事長は、「不信任決議案には賛成する。菅政権は、このままであれば震災対応で大きな過ちを犯す可能性があるので、菅総理大臣も、民主党全体も、一度今までのことに線を引いて出直したらどうか」と述べました。
【追記おわり】
おはようございます。雨の土日となりそうです。
ところで、このブログの更新ペースに関して、何か疑問を持たれたり、あるいは筆者の体調などを気づかってくださっている方がいらっしゃる方もおられるかもしれませんが、基本的に「書きたいときに、書きたいことを書く」というルールしかありません。有料ブログ「今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」は、月3回以上必ず更新することになっています。月840円(税込み)をいただいておりますから当然です。
さて、ちょっと書きたいことが山積みになってきて、やはり終盤国会なんだな、と痛感します。ちょっとこの土日は頻度が増えますが、とにかくお伝えしたい順に、お伝えしたいと思います。
菅直人総理が、G8後の記者会見でも、今国会の成立を強調した「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案)第177国会閣法51号」ですが、来週6月1日(水)の午前9時半からの衆院経産委員会でも審議入りしない予定であることが分かりました。6月1日は2時間半の一般質疑をやる予定。その後、北朝鮮制裁に関する国会承認案件(177国会承認案件4号議案)が、海江田万里・経産相から提案理由説明があり、散会するようです。この日は、QT(党首討論)が午後3時からあるはずですから、「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案」の審議入りは、6月2日(木)以降にずれ込みそうです。そうすると、もう2週間しか、衆参での審議時間がなくなってきますから、国会空転なども考えると、かなり窮屈です。ぜひ、田中慶秋・衆議院経済産業委員長、後藤斎・筆頭理事らには、「代表命令」ですから、早めの審議入りをお願いしたいと考えます。なお、この法案、けっこう経産官僚たちが東京電力・電事連と対抗した「官僚たちの夏」みたいな話で、NHKスペシャルでも取り上げられたことがあるようです。しっかり、確実に成立させたいところです。
順番としては、戻って、5月23日週の国会は大きな波乱はありませんでした。ただし、5月23日(月)の午前9時から、自民党の谷垣禎一総裁が衆・第1委員室で質問に立って、その心意気やよし。ところが、「報道によると~」として総理にぶつけた質問内容が事実関係に誤りがありました。極めて残念です。また、谷垣総裁はかなり迷走しているようです。というのは、内閣不信任案を出すと言うことで、通常国会会期末までには出すでしょうが、誰が敵か味方か分からない状態です。例えばマスコミは味方なんでしょうね、報道をあそこまで信用するんですから。自民党も味方でしょう。では小沢一郎さんは「敵か?味方か?」どっちなの? 菅総理は敵でしょう。民主党も敵でしょう。では、なぜ小沢さんは味方になるのか? 東京電力は敵か?味方か? 経産省は敵か?味方か? 参議院自民党はホントウに味方なのか? まったく分からない。谷垣さん、もっとしっかりしてください。民主党に何かあったらどうするんですか、影の首相なんでしょ?
で、次は5月27日(金)の参院本会議で、民法など改正法が全会一致で可決・成立しました。また、日韓図書協定がようやく成立しました。2010年(日韓併合条約100周年)には間に合わなかったのは残念だし、画竜点睛を書きますが、大韓民国も、今は議会制デモクラシーの国ですから、国会でのプロセスに時間がかかったということに関しては、十分に理解してくれるに決まっています。
で、改正民法に戻りますが、昨年末に、当ブログへの温かいご理解をいただくなど、友好ブログの「たんぽぽ」さんの「たんぽぽのなみだ」。「選択制夫婦別姓の導入」と「婚外子差別の廃止」を長年主張してこられていますが、残念ながら、今通常国会での改正民法は「児童虐待の防止・権利擁護のために、親権の停止制度をつくり、児童相談所長が親権を行うことができる」といった法律です。たんぽぽさんの「選択的夫婦別姓の導入」と「婚外子差別の廃止」については、おそらく来年の通常国会の民法改正案に入るかどうか。まずは法務省内の審議会にボールが行っている現状です。
とこで、昨日成立した「民法などの一部を改正する法律」(第177回閣法31号)ですが、びっくらこきました。この法律により、既存の法律の中で、条文の修正が入るのが、次の各法律のようです(筆者調べ)。全部書きます。
民法
家事審判法
児童福祉法
戸籍法
学校教育法
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
船員職業安定法
刑事訴訟法
刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法
尐年法
建設業法
古物営業法
測量法
屋外広告物法
質屋営業法
建築士法
商品先物取引法鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律
港湾運送事業法
家畜伝染病予防法
道路運送法
道路運送車両法
宅地建物取引業法
旅行業法
自動車ターミナル法
商業登記法
不動産の鑑定評価に関する法律
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律
小型船造船業法
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
警備業法の一部改正
建設労働者の雇用の改善等に関する法律
貸金業法
浄化槽法
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
鉄道事業法
港湾労働法遊漁船業の適正化に関する法律
貨物自動車運送事業法
保険業法
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
高齢者の居住の安定確保に関する法律
自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律
使用済自動車の再資源化等に関する法律
人事訴訟法
破産法
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律
探偵業の業務の適正化に関する法律
賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律
以上です。何本になるかは数えていません。
気になるのは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や「貸金業法」が、なぜ「児童の親権」に関する民法改正により、改正が必要になるのか。今国会の法案を問題視するのではなく、現行法制の中で、「児童の親権」と「風俗営業法」「貸金業法」がリンクしていたことへの、驚き、失望。
まあ、実は元々は「民法」だったわけで、あまりにも「民法」が大きくなりすぎたから、分割した法律に、「商法」(現「会社法」)があります。これでも民法というのはスリム化の努力はされているのです。ただ、こういった「名称が分かりにくい」というところが、デモクラシーのプロセスを滞らせることにつながることが残念です。
やはり、英国議会のように、金曜日に、翌週1週間分の審議日程表を発表する方が、衆参与野党ともいいのではないでしょうか。まあ、今のように、日程把握と法案の内容、国会提出前の政府の審議会などをチェックするのが、各種団体の仕事です。とはいえ、各種団体もだいぶ、予算は厳しいようですから、そろそろ、常勤の専務理事も、自分の国会ロビイスト事務所でも立ち上げて退職して、「政治を国民の手に取り戻す」動きに参加してもらえないですかね。
「たんぽぽ」さんのブログにも、「民法改正」という表記だと、家族法以外も入ってきて分かりにくいという趣旨のコメントが寄せられていたようです。その辺でも、「たんぽぽ」さんも隔靴掻痒な面があるでしょう。なお、筆者は夫婦別姓には断固、反対ですが、それは別。昨年末に「たんぽぽ」さんに助けてもらったご恩があるし、そういった議論は国会での審議も含めて、国民全体でやりましょう。当ブログとしても、たんぽぽさんをアシストする、そして、それ以上に、日程・プロセスが透明化した法案作成→国会審議のシステムづくりで道を拓いていきたいと存じます。
◇
さらに、雑多な内容が混在します。2011年5月26日(木)午後4時半からの民主党幹事長の岡田克也さんの記者会見で、マスコミをかなり激しく批判する発言がありました。全文はこちらをクリックするとご覧になれます。
[岡田克也さんの「マスコミ批判・要望発言(5月26日)」の抜粋引用はじめ]
「そういう“たられば”の議論はしないほうがいいと思うんですね。どうしても内閣不信任案の話、メディアにとっては“おいしい”話なのか、非常に好んで取り上げられ、そして本人が言っていないことまで想像して膨らませてお書きになる傾向が非常にあると思います。そういう政局をもてあそぶことを、政治家はもちろんやってはいけませんが、メディアの皆さんも十分気をつけていただきたい。一国の総理をどうするかという話です。先ほど、毎年総理が替わることは国益を損なうと申し上げましたが、もちろん短期間で辞める本人が一番悪いわけですが、しかし、そういう状況をつくり出す一部のメディアもあることは事実だと思います。それは日本の国益、国民の利益を明らかに損なっていると思います」
「そういうふうにして膨らませることはいかがかと、私は申し上げているわけです。別に鳩山さんは『不信任案に賛成すべきだ』などということは、一言も言っていないわけで、『覚悟を持って政治をやらなければいけない』というのは政治家として当然のことです。先ほども(議員在職)25年のお祝いに鳩山事務所をお訪ねして、この20年、25年の自民党時代からの政治改革をともにやってきたことについて2人で話をいたしました。お互い覚悟を持って、この間やってきたつもりです。鳩山さんもそういう思いで言われたことを、なにか不信任案に、勝手に結びつけて言っている。そういうことは、私はいかがかと思います。自重していただきたいと思います」
「松木さんのことは私、承知しておりません。聞いたことがありません。もし、どこでどういう発言をしたかをきちんとつかんでおられるなら、教えていただきたいと思います。横粂さんは全くそういうことは言われておりません。私は横粂さんと話をしております。彼は『不信任案が出た段階で総合的に判断する』と言っているだけで、不信任案に賛成することを無条件で言っているわけではありません。これも“膨らませ”の1つの例だと思います」
「そういったことも含めて、これは検証して、そして正当にプラス・マイナス評価すればいいと思っています。総理がすべて間違ったことをしていたかのような報道は、私はいかがかと思っています」
「それから朝日新聞の夕刊を見ると、それで自然エネルギーに舵を切るとか書いておられますが、前に申し上げましたが、原子力発電をどうするかという問題と、自然エネルギーを推進するという問題は、二者択一ではありません。自然エネルギーは目いっぱいやるべきだというのは、私の持論です。しかし、それで足らないから、その分について今ある原子力については、ある程度それに頼っていかざるを得ないということで、なにか自然エネルギーを目いっぱいやれば原子力はもうすべて要らないみたいな、そういう印象は国民に与えないほうがいいと。きちんと説明すべきだと思っています」
「それは人によって違うと思います。ただ私は、ぶら下がりはあまり生産的ではなかったと思います。質問する側も、大体事前に用意された質問を繰り返すということで、答弁に応じて二の矢、三の矢を継ぐという感じはあまりなかったし、あれが国民から見て、どのぐらい有益であったのかは、私は常々疑問に思ってまいりました。もちろん菅総理がどう考えるかは私、承知しませんので、今後どうなるかもわかりませんが、ある程度時間を確保して深い議論ができるような、あるいは国民に伝わるような、そういう会見を工夫すべきだと私は思っています」
「いろいろな発言を、メディアは必要以上に対立的に、あるいはおもしろおかしく報じる傾向があるのじゃないかと思います。私自身の経験に鑑みても、ですね。しかし、国民はそういうことを別に望んでいないと考えています。『望んでいない』というのは、一部メディアのそういう報道姿勢を望んでいない、ということです」
「もう少し前向きな希望のある質問はないんですかね」
[岡田克也さんの「マスコミ批判・要望発言(5月26日)」の抜粋引用はじめ]
岡田さんがここまで大量のマスコミ批判・要望発言をしたことは、私には記憶がありません。
第177回通常国会は歴史的な国会です。半世紀にわたり日本の娯楽・報道の王様だった「地上波テレビ・アナログ放送」が中継する最後の国会となります(被災3県を除く)。今国会におけるテレビ、新聞報道が、時代の変化についていけていないことに失望します。せめて朝日は「ここに注目しました!」というワッペンの国会傍聴小囲みを復活させて欲しいですね。国会というのは、経済、人間、社会、世界、時代、いろいろなところが見えてきます。テレビ局さんも「終わりよければすべてよし」というシャイクスピアの戯曲名にもなっている格言をしっかりとかみしめていただきたく存じます。
さあ、来週もしっかりと(ゆっくりとでもいいので)前に進みましょう。私たちはG8国、アジア最初の憲法、産業革命(殖産興業)、民選議会(国会、地方議会)を持った、自称「一等国」なんですから。莫大な遺産を利口に分配、差配しながら、これからもやっていきましょう。
それにしても、谷垣さんに限らず、川内さんも、松野さんも、「いったい誰(何)と戦っているんでしょうか?」
“What for?(何のために?)”・・・ベトナム戦争に派遣された米軍兵士もそうつぶやいていたことでしょう。
[画像]仲むつまじい山口那津男さんと早苗夫人、2010年7月、NHK報道番組から
公明党は2011年5月26日(木)午前、公明会館で開いた中央幹事会で「東日本大震災復旧復興ビジョン」(公明党ビジョン第1弾)を決定。すみやかに記者会見を開いた公明党代表の山口那津男さんが、「人間の復興」の基本理念を高らかに発表し、幹事長の井上義久さんが同日午後、国会内で内閣官房長官の枝野幸男さんに会い申し入れました。
27日付公明新聞に全文が載っていますので読みましたが、素晴らしい内容です。野党第1党の自民党執行部&ベテランが内閣不信任案提出をちらつかせるなど抵抗野党となり、国民をうんざりさせていますが、それとは一線を画し、公明党が責任政党であり、被災地からネットワークを通じて吸い上げ、具現化したビジョンです。ぜひ、民主党・菅直人内閣には、第2次補正予算(案)「復興補正」で、すべて丸飲みして欲しいと考えます。公明新聞によると、枝野さんは「精査し、できるだけ政府の復興計画に反映したい」「急いでやりたい」と述べた、と報じています。
基本的には「人間の復興へ」という理念が強いメッセージとして伝わってきます。これはインフラの復旧・復興は「もちろんのこと」(同ビジョン)とことわったうえで、「日本国憲法第13条の幸福追求権、25条の生存権を念頭に置き、一人一人の人間に焦点をあてた人間の復興」、これを「公明党は復興の基本理念とする」と高らかに宣言しました。
公明党ビジョンで目を引くのは、「復興博覧会(復興博)を10年間、毎年、政府主催で年1回開催すること」です。「復興をテーマにした都市計画やイベントの開催などを活用し、被災地を復興させる吾新たな産業を育成しながら、被災地の復興プロセスを世界に示すと同時に、被災地への観光の回復を、地域ブランドの向上などを目的とした」ものです。このほかに各国首脳を招いた「復興サミット」も盛り込んでいます。
「復興博」に大賛成です。毎年1回開くことで、復興のプロセスを明示することができます。また、東日本大震災の風化を防げます、まあ、なかなか日本国内に住んでいたら、「10年経っても風化のしようがない」ーー誤解をおそれずに書けば、「風化させたくても、心の中で風化できない」という「複雑な悩み」。多くの日本人が持っていることでしょう。地元選出で民主党7首脳の1人、安住淳・代議士も「がれきの周りには高齢者しかいない」と戦後の復興よりも、はるかに時間がかかり、スピードも遅いでしょう。しかし、「プロセス」を示し、それを共有することが大事です。13年半前、プロセスを明示せず、新進党解党という結論だけ発表したオッサン(小沢一郎氏)がいましたが、2010年になって、政倫審出席の要請などプロセスを示しながら目に進んだ岡田克也幹事長の下、ついに失脚(無罪確定までの間、党員資格停止)に追い込むことができました。公明党支持者、民主党支持者共通の敵を、しとめました。このようにプロセスを明示する。それが政治です。
このほか、4月17日放送のNHK日曜討論で、井上さんが視聴者や岡田幹事長に提案した「復興債(仮称)を適切な規模で発行し、他の国債とは別勘定で管理のうえ、償還については次世代への負担の先送りとならないように道筋を明らかにすること」を提案。竹内譲さんが、衆院財務金融委員会で話している「レベニュー債」もキッチリ盛り込みました。
そしてさきほどの憲法25条の生存権に戻りますが、医療分野だけでなく、「被災地への介護分野の災害派遣チームとしての介護版DMAT(DCAT=仮称)の創設」および「災害救助法の救助の種類の中に介護を含めること」・・・
さらには、「被災者が安心して医療を受けられるよう、仮設診療所(歯科も含む)の設置を推進すること」
「ペットとふれあうことにより避難者の“心の癒し”や精神的な支えになることから、仮設住宅、避難所、学校などでのアニマルセラピーを推進すること」
「例えば、埼玉県久喜市など液状化被害による大規模半壊世帯が複数存在する自治体を災害救助法施行令と、被災者生活債権支援法の対象になるよう改正すること」
「震災による“便乗リストラ”を防止すること」
などなど。これは公明党でないとけっして出てこない珠玉の言葉の数々。民主党政策調査会では、ゼッタイにムリです。
などなど・・・さまざまな政策要望がネットワークから吸い上がってきています。これは、「3・11」以降、公明党の国会・地方議員「チーム3000」が活動しているからではなく、「3・11」以前から、チーム3000が、地域で、議会で、日常活動で「大勝利」を続けてきたことが分かります。おこがましいですが、こういう文書を20年来、読み続けてきた私に言わせれば、ひごろのふるまいがハッキリ行間から透けて見えてきます。統一地方選後半戦の全勝は当然です。
公明党ビジョン第1弾の具体的な予算総額は明示されていないようです。が、自民党や小沢グループのように「インフラの復興」ではなく、「人間の復興」が中心です。10兆~20兆円とされる第2次補正予算(案)復興補正のなかで、丸飲みしても、十分に対応が可能なように思えます。ぜひ、首相の菅さん、官房長官の枝野さん、財務相の野田佳彦さんは、公明党ビジョンを丸飲みしたらどうでしょうか。そして、少しでも漏れや疑問点があれば、山口さんがケータイで岡田さんにどんどん質問したり、叱ったり、井上さんが野田さんに進捗状況を聞いたりして欲しいと思います。みんな新進党の仲間なんですから。
[写真]元新進党衆議院議員の石田祝稔さん、井上義久さん、岡田克也さん、竹内譲さん、野田佳彦さん、山口那津男さん=左から苗字の50音順。
それにしても、内閣不信任案がどうしたとか、小沢グループや、マスコミっていったい何なんですかね。「What So?(ホワットソー=だからどうした?)」という感じです。国賊です。あるいは仏敵とでも言うんでしょうかね。
ところで、公明党の元厚労・農水副大臣の石田祝稔さんはこのほど、政府の細野豪志総理補佐官に対して、東京電力から被害者への「補償」という言葉の使い方はおかしい、として、法律上の責任を明確化した「賠償」という言葉で統一するよう要請。細野補佐官は「賠償」で統一する、と指摘を受け止めた、と報じられています。
先日、八重洲ブックセンターに行ったら、「店員が選んだ苦難を乗り越える書」のコーナーがありました。
その中に、少年期に読んだジュール・ベルヌの「十五少年漂流記」がありました。SF小説で大ベストセラー作家として人生の成功者となったベルヌは、老境に入り、SFとは無縁のこの冒険小説をしたため、その最後にこう記しました。「もちろん、今後、いかなる小中学生も、このような夏休みを送ることはあり得ない。だが、少年たちが、なんであれ、困難に直面した時には、勤勉、勇気、思慮、熱心の4つがあれば、必ずそれに打ち勝つことができるということだ」(新潮文庫、波多野完治翻訳)。
いかなる日本国民も、あのような無駄休み(新進党解党)を見ることはあり得ない。あってはいけません。しかし、民公共通の敵、あるいは仏敵(?)とも言うんでしょうか、小沢一郎の息の根を止め、内閣不信任成立の可能性を排除できた現在も、私たちは「困難」に直面しています。しかし必ずそれに打ち勝つことができます。八重洲ブックセンターのコーナーには他に、新田次郎の『劔岳-点の記』もありました。これは、映画『小説吉田学校』の撮影監督などを務めた日本を代表するカメラマンの木村大作さんが初めて監督を務めた映画の原作です。映画好きの岡田さんは、野党時代に知人からこの映画を「ぜひ見た方がいい。池田大作先生も絶賛している」と聞いて、さっそく見て「公に奉じる、ということこういうことなんだな」と強い印象を持ったそうです。私は映画を見たのが遅くて、「ああ、この映画は政権交代の前に見ておかねばならなかったな」と“準備不足”を恥じました。
勤勉、勇気、思慮、熱心ーーたとえ、戦後のミラクルを再現できなくても、ゆっくりでも、きっちりとていねいに、東北再生を1つずつ前に進めていきましょう。日本を復興できる責任政党は、民主党そして公明党です。日本を前に進めましょう。
【2011年5月25日(水)衆院経済産業委員会】
午前9時から、衆・経産委が開かれ、一般質疑が行われました。この後、最後に内閣提出法案の提案理由説明があり、「特許法などの改正法案(第177通常国会内閣提出法案45号)」と「不正競争防止法改正案(177閣46)」を海江田万里・経産相が説明し、「なにとぞご審議のうえ、速やかにご賛同いただきますようお願い申しあげます」と述べました。この後、田中慶秋委員長は「次回(の委員会開催は)公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします」と述べ、終わってしまいました。時刻はまだ正午を過ぎたばかりでした。
太陽光、バイオマス、地熱、風力、水力などの全量固定価格買い取り法案「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(177国会閣法51号)は、もう7週間前の4月5日に議院運営委員会から経産委に付託されているにもかかわらず、いまだに審議がされないまま。次回の日程(公報をもって知らせる)は決まっていません。来週になれば、もう会期は3週間+3日間しかありません。この間に、衆院だけでなく、参院の経産委を経て、参院本会議で可決・成立させなければいけません。また政府側の海江田経産相も今国会では、参院予算委・決算委の集中審議、衆参の東日本大震災復興特別委員会などにも呼ばれると考えられます。審議日程はけっして余裕があるとは言えません。
全量固定価格買い取り法案(177国会閣法51号)は、次の参議院ホームページでpdfファイルで全部見ることができます。
↓
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/177/pdf/t031770511770.pdf
なお、この法案には、電事連(電気事業連合会)が「慎重審議」を求めています。
電事連が経産省に提出した意見書(pdfファイル)は下の経産省アドレスから見ることができます。
↓
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g91208a08j.pdf
まさか、電事連からの「慎重審議」の圧力で、全量固定価格買い取り法案が審議入りできないということではないことを信じたいところです。ちなみに、きょう衆・経産委で審議入りした2本の法律は、参議院先議で、すでに参院は可決しており、衆院で可決すれば、成立します。たしかに内閣が国会に提出した順番は「特許法」「不正競争防止法」の方が先です。しかし、政治とは、優先順位(priority)をつける仕事であり、内閣が提出した順に法案を審議しなければ行けないという決まりはないはずです。
この全量固定価格買い取り法が成立すれば、自費で太陽光パネルをつけようと言う新築家主や、温泉の地域活性化のために地熱発電の町おこし会社を共同出資するという機運が盛り上がるはずです。公明党が提案している「住宅エコポイント」の半年間延長も実現しそうな機運があります。そして、その後から、エネルギー基本計画の原子力への今後の依存の割合を話し合った方が、肩の荷が軽くなります。それが優先順位(priority)というものではないでしょうか。
政権交代のその先にあるもっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」ために、ぜひ、私は残り1ヶ月の国会で、この法案にかけてみたいと思います。これは先日の5月18日付エントリー「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)の成立を呼びかけよう! 【追記あり】」で呼びかけた際に、アクセス解析などからタイヘン興味を持っている方が多いことに気付き、私としても「政治を国民の手に取り戻す」運動の一つの良い“教材”だと位置づけた次第です。民主党代表である菅直人首相が、この法案の成立を「命令」しているのですから、どんなことがあろうと経産委はこの法案を会期内に成立させなければいけません。
ちょっと今のところは、具体的に国会内取材をしていないし、私自身、経産省・経産委員会の関連は強くないので、とりあえず、きょうの経産委では審議入りしなかったことをお伝えしたところです。これから時間的に余裕があれば、電事連が動いているのではないか取材してみたいと思います。心苦しいですが、電力総連の動きも取材しなければいけません。ただ、これは「3・11」以降に、経産省がまとめて内閣が閣議決定した法案ですから、法技術的な大きな問題はないでしょう。さらに私はこの法案をまったく知らなかったのですが、その存在を知らせてくれたのは、資源エネルギー庁課長補佐出身ながら、自民党の川口順子、町村信孝両元外相ら石油利権族と一線を画し、自然エネルギーに以前から興味を持ち、政策化してきた外相経験者周辺でした。周辺は「あの法案どうなのかな?」と言うので、「えっ何ですからそれ?」という感じで、この法案を知りました。この首脳は今国会の運営にきわめて大きな影響力を持っていますから安心できます。つっかえ棒としては、衆参とも経産委員長が民社協会員だということです。来年8月1日の友愛会設立100周年に向けて、長年、原子力政策を推進し、電力総連の支援を受ける民社協会は「3・11」以降、変わらなければいけません。変わらなければ、100周年を迎えられません。私はかつて、民社協会(新党友愛)の番記者を務めたこともあり、仲良くさせていただいてきましたが、この法案の対応は厳しく見させていただきます。
電事連の会長会社だった東京電力に原子力発電所を爆発させられといて、その国会で電事連の政治的圧力に屈するようでは、日本国民はお人好しすぎます。私はこの国会でこの法案をスッポンのように追いかけたいと決意しました。がんばりましょう。
全量固定価格買い取り法案(第177国会閣法51号)に関する一連のエントリーはここをクリックすると一覧できます。
25日付朝日新聞1面ワキにスクープです。
米上院レビン軍事委員長が、嘉手納空港(沖縄県)のアメリカ空軍の戦闘機部隊を米空軍の三沢基地(青森県)に移転させ、その空いたところに、普天間飛行場のアメリカ海兵隊のヘリコプター部隊を統合させる、いわば「玉突き県外(青森)移転」案を検討していることが分かりました。普天間の海兵隊ヘリコプター部隊を、空軍の嘉手納に統合すると、騒音などが問題にあるため、空軍を三沢に移すというアイディアのようです。米上院は、いよいよ予算(歳出)法案の審議に入ります。
12日付当ブログ「◎嘉手納統合案が再浮上!」で、米連邦議会上院の軍事委員会のレビン委員長(大統領与党の民主党)、ウェッブ「日本など」小委員長(同)と、マケイン筆頭理事(共和党、元大統領候補)の3人が、嘉手納統合案について、再度検討するよう、国防総省向けのメッセージを発表したことをお伝えしました。
ここから先、このエントリーはまったくの推論の連続、場合によっては「うがった見方」にすぎません。その辺をご了承いただける方だけ、読み進めてください。
実はちょうどこの、2011年5月12日(木)の夕方、民主党幹事長の岡田克也さんは定例記者会見で「(週末の)14日、15日と青森に行くことにしております。直接的には、青森県知事選候補予定者の山内崇県連幹事長の応援、これは15日です。それとの関連で、1つは、三沢の米軍基地を表敬する予定にしております。これは前回、3月11日の大震災の後、私が三沢、八戸と現地を訪問したとき、三沢の米軍、空軍ですが、ボランティアで震災直後から支援に入ってくれた。特に三沢市の海岸の瓦れきの片付けでありますとか、様々な活動を“トモダチ作戦”が始まる前から自主的にやっていただいたということで、私、一度どこかでお礼を申し上げたいと思っておりました。基地の責任者も幸いおられるということですので、三沢の米軍基地を表敬したいと考えております」と語りました。岡田さんが、木曜日の会見で、冒頭発言で週末日程を紹介することは珍しいことです。何らかの政治的思惑があっての発言だと考えられます。岡田克也さんは、民主党政権になった2009年9月、鳩山由紀夫代表から幹事長を外されてしまい、鳩山内閣の初代外相として1年間務めました。
この訪問については、岡田克也さんの個人ブログでも紹介されています。
[写真]米空軍三沢基地のラスティーン司令官と懇談する、岡田克也幹事長、2011年5月15日、岡田克也トークアバウトから。
「この週末(14、15日)は青森県へ行ってきました。基本的には、知事選を控えて、民主党の候補予定者の山内たかしさんの集会に参加するということでしたが、この機会に原子力に関わる問題を中心に、いくつか現地を視察しました。その中で、まず今日お話ししたいのは、三沢の米軍基地を訪問したことです。米軍は、三沢には空軍を中心に展開していますが、そこのマイケル・ラスティーン第35戦闘航空団司令官(大佐)を訪ねて、一言お礼を申し上げました。震災の後、八戸や三沢を訪れた際に、当時はまだ瓦礫(がれき)も撤去されていない状態でしたが、八戸の漁港組合の皆さんや漁民の皆さんから、三沢基地の米軍関係者や家族の皆さんが、ボランティアとして被災地に入り、瓦礫の撤去に大変協力してくれたというお話を聞いていました。“トモダチ作戦”ということで、今回、米軍は自衛隊とともに、大変大きな協力の実績を残してくれましたが、そういう中で、三沢基地の皆さんは、本格的な「トモダチ作戦」の展開の前から被災地に入って、自主的に行動してくれました。騒音の問題や基地にまつわる問題などは、もちろん様々ありますが、もともと三沢基地と三沢の地元コミュニティとの関係は良いと言われており、常に深い交流があって、進んでいると言われてきました。今回の地震に対しての、米軍関係者の皆さんの行動は大変素晴らしいものがあったと思います。そういうことで、ラスティーン司令官をお訪ねして、日本国民の1人としてお礼を申し上げ、同時に、当時の活動状況などのお話を伺いました。こういった協力関係がさらに深まればいいな、と改めて思ったところです。」
ところで、朝日新聞は「日本側の外交関係者に伝えた」と報じています。これとの関係はまったく分かりませんが、前外相の前原誠司さんが、今週初めにレビンさんと会っているはずです。前原さんが先週末、米上院最長老のダニエル・イノウエ歳出委員長(民主党)と会った際には、辺野古崎沖埋め立ての現行案を履行するように言われたようです。これは、辺野古崎沖を埋め立てた方がお金は一杯かかりますから、やはりダニエル・イノウエとしてはこちらのより利権の総額が大きい利権バスに乗りたいところでしょう。ダニエル・イノウエは86歳ですが、彼の奥さんは若いらしいですよ。
[写真]前外相の前原誠司さん。
[写真]米軍事委員会の左から、レビン、ウェッブ、マケインの各上院議員。
[写真]辺野古崎沖の埋め立てをめざす、最長老で歳出委員長のダニエル・イノウエ上院議員。
一方、同じ民主党でも、レビンさんとウェッブさんは、同じ党のオバマ大統領が、財政再建で再選をめざすうえで、少しでも軍事費の歳出を減らしてあげたいというのが本音でしょう。そうなると、日本人として絶対に飲めないのは、沖縄からグアムへの兵員・装備の移転がストップしてしまうことでした。ここがまさに、嘉手納統合案の痛し痒しの部分でした。
しかし、25日付の朝日新聞の報道からすると、嘉手納の空軍を三沢に移し、普天間の海兵隊を嘉手納空港に移して、普天間を閉じる。そうすれば、辺野古崎沖の埋め立ては必要がなくなる。また、グアムへの移転もできればすすめてほしいですが、あちら(アメリカ連邦政府)の財政も厳しいですから、それなりになる。ただ、空軍が三沢に移れば、沖縄の負担は減少します。まさに「県外移転」という、岡田克也外相・北澤俊美防衛相コンビを苦しめた呪文もかなうわけです。
どうやら、レビン、ウェッブ両上院議員の動きは、岡田克也さんや前原誠司さんらと何らかの連携がある動きのように、私には感じられます。2011年5月24日、防衛省で、防衛大臣の北澤俊美さんと会った当山宏・嘉手納町長は「嘉手納統合案はうんざりだ。もう2度と日米交渉のテーブルにのせないでほしい」と言ったそうです。ご同情の至りです。しかし、ナントカこの案を突破口にしてほしいと考えています。きょうの普天間周辺住民のためと、1000年先の日本人のために、辺野古崎沖の埋め立てをナントカやめさせましょう。
永遠の同盟国、永久のトモダチ。日本とアメリカの新たな時代の幕開け。それは「対等に話し合う」ことから始まります。
asahi.com(朝日新聞社):三沢基地へ移転、有力視 嘉手納の一部、米議員が構想 - 政治
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)を米軍嘉手納基地(嘉手納町など)へ統合する案を提言した米上院の重鎮、レビン軍事委員長(民主)らが、嘉手納基地の戦闘機部隊を米軍三沢基地(青森県三沢市)へ移転することが有力だ、と日本側の外交関係者に伝えていたことがわかった。
三沢基地は2007年以降、嘉手納のF15戦闘機や米軍岩国基地のFA18戦闘攻撃機の訓練移転を受け入れてきた。普天間のヘリコプター部隊を嘉手納に統合すると騒音などが問題となるため、嘉手納の空軍を三沢に移して沖縄の理解を得る狙いがあるとみられる。
レビン氏と連名で提言した米上院のウェッブ外交委員会東アジア太平洋小委員長(民主)は、最近の日本側関係者との会談で「提言で意図的に触れなかった点がある」と説明。嘉手納の空軍の日本本土への分散先として「三つほど検討できるが、特に三沢が有力」と伝えた。部隊が沖縄を離れることによる抑止力低下については「嘉手納から分散しても太平洋地域には残るので問題ない」と語った。
(このエントリーの初投稿日時は2011年5月22日正午)
[画像]衆議院東日本大震災復興特別委員会のようす、2011年5月20日、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ
【2011年5月20日(金)衆・東日本大震災復興特別委員会など】
さて、5月16日週の終盤国会ですが、巡航速度は順調さを増すばかり。衆議院は19日の本会議で、「東日本大震災復興特別委員会」の設置を決めました。予算委(50人)に次ぐ「45人委員会」で、特別委だと定例日は関係なく、いつでも開けます。
東日本大震災復興特別委員会は、翌5月20日(金)にさっそく委員会を開き、民主党の後藤祐一さん(神奈川16区)の動議により、小沢グループの黄川田徹氏が委員長に就任しました。また理事は8人。民主党からは被災地から橋本清仁(はしもと・きよひと)さんが理事に。衆院当選2回。選挙区は宮城3区で、「震度7」の名取市、岩沼市、亘理郡の亘理町や山元町などが選挙区となっています。2期目の今期は国土交通委員会の理事や委員をやっていましたし、体が丈夫な人ですし、40歳と若いですから、閉会中審査もどんどんやって、ホントウにぶっ壊れるまでこの委員会で活躍して欲しいです。橋本さんは農相の鹿野道彦さんの秘書も経験しています。
その他の理事には、民主党から、1期生の中でも抜きんでつつある後藤祐一さんのほか、幹事長代理の藤村修さん、国対筆頭副委員長の三日月大造さん(元国交副大臣)と政調筆頭副会長の山口壮(やまぐち・つよし)さん、、幹事長室、国対、政調のバランスがとれています。また、自民党から兵庫県庁出身で災害特理事が長い谷公一さん、元防衛庁長官・財務大臣の額賀福志郎さん、公明党からは石田祝稔(いしだ・のりとし=しゅくねん)さんが起用されました。
[画像]期待がかかる橋本清仁・復興特別委理事。
[写真]災害対策のプロ、自民党の谷公一理事。
国会の会期延長がどうのこうのといいますが、復興特別委員会の閉会中審査という手がありますから、やはり6月22日で会期末として、7月8月の国会は省エネ。幹事長通達で、政府外議員の上京を禁じるほか、自民党には、党本部を使うよう要請。後は、復興特別委員会の45人に閉会中審査でがんばってもらうのが合理的。
さて、初日の委員会では、19日の衆・本会議に続き、復興基本法案の閣法と自民党案が審議入りしました。なお、公明党は予算が必要な法案提出に必要な50議員に足りないため、「公明党案の骨子の発表」にとどめることになっていますが、政府・民主党は「公明党案の骨子」も活用して、修正をはかる構えです。
さっそく、4本議題となり、
内閣提出議案2本は、内閣府の主務大臣である内閣官房長官の枝野幸男さんが説明しました。
東日本大震災復興基本方針・組織法案(177国会閣70) と内閣法・内閣府設置法改正法案(177国会閣71)
続いて、自民党案は石破茂政調会長が提案理由説明に。
東日本大震災復興再生基本法案(177国会衆8)
それと、内閣から次の承認案件が。
地方自治法の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件(177国会承認5)
このうち復興基本法案に関しては、このブログでは「復興基本法・民主党案」「復興基本法・自民党案」と表記し、もう一つは「内閣法改正案」と表記します。なお、ヒトコト言いたいのですが、内閣法改正案を「閣僚3人増員法案」とも言いますし、岡田幹事長もそう言っていますが、橋本行革では江田憲司さんが閣僚枠を3人削って、総理+17閣僚にしています。当時、江田憲司さんは「あの大臣病の自民党に閣僚3人削減を飲ませただけでも、橋本行革の目に見える成果ではないか」と言っています。ですから、私は、「閣僚枠20人復活法案」と言ってもいいのではないかと思います。この法案はクセのある法案で、今国会中は、これがあれば、民主党政府外議員と自民党ベテラン衆院議員は、内閣入りをねらって静かにしています。仮に会期内に成立しないと、「何だ!」ということになりますが、そのときにはもう会期は終わっていますので後の祭り。とはいえ、復興基本法は修正のために何が何でも通さなければいけません。
また、参院でも同じ委員会が、5月23日週の国会で設置が決まると思います。なお、5月23日(月)はのっけから、TV中継入りで、復興基本法案と内閣法改正案の審議があり、午前9時から谷垣禎一・影の首相が質問に立ちます。ここに来て、海水注入をいったんやめるよう指示する命令を官邸が出していたという真偽不明な情報が出ており、この情報いかんでは、菅直人首相に大きな政治的責任が出てくるかもしれません。風雲急を告げています。自民党は、岡田幹事長・安住国対委員長・輿石参院会長の指導で、終盤国会の巡航速度が増していることに焦っているでしょう。今週の国会はこの攻防が見所です。
残り4週間+3日間となった終盤国会。例年、ここから先はあっという間ですね。そして、内閣不信任案はまず間違いなく提出されるでしょうが、やはり6月中旬以降ということになるでしょうから、もうしばらくは、しっかり法案をチェックしていきましょう。新聞の不信任をあおる記事は、読まなくて、オッケーです。
◇
そんな中、民主党7首脳のひとり、安住淳・国会対策委員長が20日付メールマガジンで次のようなメッセージを発信しました。
[写真]成人式で話す安住淳・防衛副大臣(当時)防衛省ホームページから
[2011年5月20日付安住淳メールマガジン「安住淳が斬る!」から引用はじめ]
「戦後のガレキと今のガレキ」
地元の石巻をはじめ、東松島市や女川町もいまだガレキの山だ。百年分のガレキが一瞬にして出現した。
(中略)
戦中戦後を振り返って、その当時と今を見比べた感想を私に話してくれたものだ。その人が言うには、 「あの戦争のときは、確かにガレキの山ではあった。しかし、それぞれの町や村には若い人々があふれかえっていた。そしてしばらくすると、外地の復員兵も戻ってきた。何もなかったが人間のエネルギーはすごかった。次の年からどんどん子供も生まれて、貧しい中にも活気と希望があった。
しかし、今回のガレキの山のまわりには高齢者しかいない。 若い人々がいない分だけ、今回の方がより深刻のような気がします。」 という話だった。この話には、今回の震災の根本にある問題が見事に表現されていたと思う。
まさに、過疎で高齢化した地域を襲った、今回の大津波は、あの戦後よりも深刻な状況と見ることも出来る。だからこそ、この震災からの復興再生は、これまでにない日本の総力戦となると私は実感している。
[2011年5月20日付安住淳メールマガジン「安住淳が斬る!」から引用はじめ]
19日の衆・本会議では、石破さんが「ここ(衆・本会議場)にいるすべての人(議員)が被災地に行き、現場を見たでしょう」と演説しました。私は、石破さんが政治改革を実現する若手議員の会の代表幹事をしていたころ、その演説を仰ぎ見ていた時代もありましたが、今は1度人を裏切る人間は2度裏切る、ということで、復党した石破氏をまったく信用していません。それにしても、前々から、石破氏のこういう精神論的な発言は大嫌いだ。なぜ、衆議院議員が全員、現地を見なければいけないという発想になるのでしょうか。被災地をみたら、ショックで、今年度予算は補正後、歳出が150兆円になってしまうのではないか。衆議院議員もしょせん人間だし、また、その任期は残り2年3ヶ月間しかない。
これを長期戦として、平然と、予算を組んで、執行していく。10年先、20年先、100年先を見て、政治をやっていけるのは、岡田克也さんとか、ほんの一握りの人に限られます。
[写真]静岡8区選出の衆院議員、斉藤進さん。右は岡田幹事長、2011年1月、静岡県浜松市。
みなさんも現地に行くほど元気はないでしょう。ただこのエッセンスだけは共有しましょう。アニキ(安住国対委員長)いわく「今回はあの戦後よりも深刻な状況で、復興再生は総力戦(長期戦)となる」
そういう意味では、頼りがいがあるのは、この委員会に斉藤進さんが委員として加わったことです。ある時、厚生労働委員の斉藤さんが「タイヘンだ、タイヘンだ」と言うので、何がそんなにタイヘンなんだと思ったら、「このまま少子化が進んだら、400年後には日本から人がいなくなってしまう」とマジで心配していました。また、先日の毎日新聞静岡版のアンケートでは、浜岡原発停止の総理要請について、「賛成」とし、その理由を「浜岡で事故が起こったら日本存亡の危機」と答えていました。お父さんが航空自衛官だったから、勇気も根気もあります。こういう人が、民主党の1期生にもいるんです。数は少ないけど、います。
こんなときに菅降ろしとか報道している新聞社ってなんなんでしょうね。およそ新聞記者は全員が無産階級者ですから、その日暮らしなんでしょう。NHKや朝日、民報などには、一部有産階級の子女が記者をしていますが、会社員である以上は、無産階級者です。無産階級者は、内閣不信任案の提出が、6月中旬以降だということまで気付かない。こういう変化の激しい時代には、人間がハッキリ見られます。新聞社もサイドビジネスでりんご畑でも始めたら、もう少し、先の見通しの良い記事を書けるようになるかもしれません。
ところで、3月11日以来、あまり外出しないで、血のめぐりが悪く、風邪を引いてしまいましたが、自宅で本はだいぶ読んでいます。で、放射性物質が体内に入った場合、染色体が壊れて(異常が起きて)、遺伝に影響することがある、ということは間違いないようです。複数の本を読んでいて、偉い教授の「遺伝には影響がありません」という記述をずーっと精査していて、そこに嘘(正確に読むと、嘘ではなく逃げ道)があることに気付きました。ですから、性別・年齢に関係なく、なるべくマスクやレーンコートはした方がいいです。ついでに言うと、「3・11」以降、当家では節約大作戦をしており、電気、ガス、水道、お金を節約していて、最近ではその結果に快感を覚えるようになりました。自分自身もこれから先、どうやって生きていこうか、と思いを馳せることもあります。いずれにしろ、ハッキリ物を言える日本をつくっていきたい。政治を国民の手に取り戻したい。政権交代可能な二大政党デモクラシーを絶対に日本に根付かせるんだ、という結論に行き着きます。
初心、継続。
tags 民主党7首脳=菅直人首相・民主党代表、岡田克也幹事長、仙谷由人代表代行(兼)官房副長官、枝野幸男・官房長官、安住淳・国対委員長、玄葉光一郎・政調会長大臣、輿石東・民主党・新緑風会会長
[画像]国民新党政調会長の亀井亜紀子さん、2011年5月18日、参議院本会議(参議院インターネット審議中継から)
【2011年5月18日(水) 参議院本会議】
この通常国会が召集した1月の時点では、予算関連法案をめぐり、両院協議会と、衆議院での3分の2再可決が可能かという「3月危機」がイチバンの懸念材料でしたが、3月危機は天変地異&人災になってしまいました。
とはいえ、3月には、平成23年度当初予算3案の両院協議会がありました。そもそも、衆院から10人、参院から10人の20人で両院協議会を構成し、そのすりあわせ案(協議案)は「3分の2以上の多数で議決されたときは成案となる」という国会法92条の規定。ハッキリ言って「メチャクチャ」ですよね。だって、10人と10人のメンツがぶつかって、そのすりあわせ案(協議案)が20人の「3分の2」つまり14人が賛成するということは、とてもあり得ない話です。ただ、このすりあわせ案(成案)だって、その後の衆院本会議、参院本会議での議決が必要なんですから、もっとフランクに話し合って、「たたき台」のような成案をつくればいいと思うんですが、なんせ国会はメンツのぶつかり合いです。このため、両院協議会は単なるセレモニーとなり、衆院優先で参議院が不要になるか、それとも衆参で物事が決まらず国会が不要になるかのいずれかということになります。民主党も自民党も与党になる可能性がある時代ですから、今こそ、両院協議会に関するルールを見直すべきです。
18日の参・本会議では、「参議院憲法審査会規定(案)」について、鈴木政二・議院運営委員長(自民党)が趣旨弁明し、その後、各党が討論に立ちました。この中で、国民新党政調会長の亀井亜紀子さん(島根選挙区)の討論がタイヘン印象に残りました。
亀井さんは審査会をつくり、「震災で明らかになった想定外に対応できない憲法の改正」と「公と私の見直し」が必要だと、賛成討論をしました。その中で、次のように「両院協議会改革が必要だ」と演説しましたが、国民新党にとって「両院協議会改革」はいわば結党の原点だという趣旨の演説なので、「アレ?」。国民新党の立党の原点は「郵政改革(民営化の見直し)」1つだけのシングル・イッシュー(ワン・テーマ)だったんじゃなかったの?
「また、国民新党は二院制のあり方を見直し、両院の機能を憲法上、明確に規定することを主張しています。これは結党の経緯にまでさかのぼります。ご存じの通り、国民新党は郵政解散を機に結成されました。参院で否決された法案(郵政民営化法案)を衆議院に戻さず、両院協議会も開かずに、(小泉純一郎)総理が衆議院を解散したことは、憲法違反であるという主張を私たちは変えておりません。
衆議院議長を務めた綿貫民輔先生が、政党を結成してまで闘った最大の理由は、議会制民主主義の崩壊に警鐘を鳴らすためでした。あのとき、参議院は存在意義を否定されました。そして、総選挙後、参議院が選挙結果を追認し(出し直された郵政民営化法案を可決し)たことで、自ら参議院の存在意義を否定してしまったのです。
本来衆議院の解散におびやかされずに、見識を示すべき参議院が、毅然として衆議院に立ち向かえなかったことは、現在の参議院不要論を招く要因となりました。その声は、ねじれ国会と東日本大震災という想定外の政治状況でいよいよ高まりつつあります。想定外が重なること自体、憲法が改正を必要としている現れでしょう」
「さて、両院協議会はたんなる形式ではなく、調整機能です。私は、政権交代直前に開催された(2009年2月の)両院協議会に出席しました。その席で、民主党は両院の合意形成に向けた議論(すりあわせ案の作成)を呼びかけました。政権交代が実現しない場合に発生するねじれ国会を念頭に与党・自民党に提案したのですが、まさか与党になった民主党がねじれ国会に苦しむことになろうとは、当時、想像もつきませんでした。憲法改正まで時間がかかることを考えれば、今からでも議論すべきだと思います」
正式な議事録は、参議院ホームページなどでご確認ください。
この亀井演説の文脈ですが、両院協議会規程や国会法の改正の議論をこの日設置された憲法審査会で議論しろ、ということではなく、他の「場」での議論を求めているんだと思います。ただ、国民新党は参議院の議院運営委員会に委員を出していないんですね。ですから、「場」をどこにするかの明白なメッセージはないものと考えます。
この国民新党の「結党の原点」を意気に感じて、ぜひ民主党だけでなく、政権交代をめざす自民党も、「場」をつくってほしいです。あえて、具体的に名前を挙げると、例えば、逢沢一郎さんとか、河村建夫さんとか、岩屋毅さんとか、田村憲久さんとか、柴山昌彦さんとか、参院の山崎力さんとか、そういった面々は自民党の中でも、選挙による政権交代をイメージして政治活動をしている志のある人だと思います。とくに第46回総選挙で、政権交代に成功しても、参議院は自民党、公明党、みんなの党を足しても過半数に届かない「ねじれ国会」は続くのです。ぜひ、今のうちに政権交代の下準備として、両院協議会改革に超党派で取り組むべきだと思います。備えあれば憂い無し。「あーしまった」と思ってから法律をつくっても遅いです。
それにしても、時折、「立党の原点」「結党の原点」という言葉を聞くと、その演説はヒジョーに説得力が増しますね。山口公明党が「立党の原点に立ち返り、大衆の中に飛び込む」と宣言して以来、選挙は連戦連勝が続き、党勢は立ち直りつつあります。やはり「結党の原点」すなわち「志」を持ち、そこからぶれない政治家は強いということを感じます。
同郷の俳優・児玉清さんがおととい16日、亡くなりました。心からご冥福をお祈りいたします。
◇
日本は間接民主制デモクラシーですから、有権者が選挙で議員を選び、その議員が代理人として法律をつくります。ただ、投票したらすべてが終わりではなく、国会の中での一つ一つの法案にもっと関心を持っていきたい、という方が増えているようです。
とはいえ、有権者の時間は限りがあります。とくに平日昼間勤務のサラリーマンが、国会の中にまで関心を持つのはかなり難しいのは現実です。それと、日本特有の「日程国会」も、国民の法案そのものへの関与を難しくさせています。
第177通常国会は、6月22日(水)までの予定で、衆参とも一般法案の審議が順調になってきました。週初めの記者会見で、民主党の岡田幹事長も「今、国会に提出されている法案がありますが、このままいきますとかなりのものが成立すると思います」との見通しを示しています。政権交代後では、初めての安定運航の状態にあります。
また、岡田幹事長は「ただ、経済産業委員会はまだ法案が1本も通っていないのではないかと思うんですね。いろいろな理由があるわけですが、今、たしか(衆・経産委では)鉱業法の改正案かなにかを議論している最中だと思いますが、しっかりと固定価格買取制度も含めて審議を進めていただきたいと思っております」と名指しで釘をさしました。ネット中継入りの記者会見で、名指しで指摘するのは、実に岡田さんらしく、私は岡田さんのこういうところを大変評価しているのですが、なかなか一般に伝わらないようです。別段、岡田さんの苦言とは関係なく、翌日の17日(火)の参議院・経済産業委員会(柳澤光美委員長)では「産業活力再生法の改正案」(第177国会内閣提出25号議案)が全会一致で可決しました。次の参・本会議で成立すると思います。
例えば、「たんぽぽ」さんや「しっくい」さんの場合。いきなり名前を出して驚いておられるかと思いますが・・・<(_ _)>
例えば、当ブログの友好ブログ「たんぽぽのなみだ~運営日誌」のブログ主で、筆者への理解の篤い「たんぽぽ」さんは、夫婦別姓の民法改正を主張されています。で、昨年の通常国会で、その法案が出ていたんですが、法務省内の法制審議会で議論し直すことになりました。今国会にも、「民法などの一部を改正する法律案」(177閣31号)が出ていますが、この中には夫婦別姓は入っていません。ですから、「たんぽぽ」さんとしては、来年以降の国会に向けて、法務省の窓口や、審議会の委員に働きかけたらいい、ということになります。
一方、前半国会では、衆院財務金融委員会で「国税などの改正法案」が出ていました。これは、衆参ねじれの影響で、「国税つなぎ法」が6月30日まで執行されています。ただ「つなぎ」は、既存の免税・軽減措置であって、新しい税制改正は入っていません。新しい税制改正法案はこれから内閣が今通常国会に出し直すと思います。その中には「相続税の基礎控除額を5000万円→3000万円に引き下げ、税率を50%→55%に引き上げる」という税制改正(増税)が入ってくることは間違いありません。今後、内閣が国会に出し直す「国税などの改正法案」は、今国会で絶対的に採決され、可決、成立するものと思われます。また、この法案は、1本、つまりパッケージ(ひとくくり)です。ですから、審議も採決も1回ということになります。もちろん、議員提出の修正案で、相続税だけ抜き出して削除することはあり得ます。ただ、見通しとして、成立は確実です。だから、例えば、当ブログの常連読者で、いつも温かいコメント・メールをくださる「しっくい」さんなんかは、成立を見越して、準備しておく必要があるかもしれません。例えば、同族経営の会社を持っている人で、3月決算の人は、きょうにも申告書を持っていく、という人がいるでしょう。でも、ちょっと待って! 気をつけたいのは、ここ数年の不景気で、法人に「未払い役員報酬」や「未払い賃料」を計上していている場合、これらは社長個人の「債権」であって、財産となります。あんまり積んでいると、「その日」が来たときに、財産とみなされ、相続税の課税対象になる可能性があります。業種によりますが、これからの日本で「ことしは売り上げ倍増!」ということはまずないでしょう。将来的に回収見込みのない、未払い役員報酬や未払い賃料は、この決算で消しておくということも一つの方法です。中小零細企業よ、大企業に負けるな!
さて、そういった中で、残り1ヶ月となった第177通常国会で、「法案にもかかわりたい」のは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(177閣51号議案)です。これは、内閣から国会に、4月5日に提出され、同日付で、衆・議院運営委員会(川端達夫委員長)が、衆・経済産業委員会に付託(法案の審議をお願いすること)しています。ただ、まだ、審議されていないようです。
経済産業省のプレスリリースによると、この法案は「エネルギー安定供給の確保、地球温暖化問題への対応、環境関連産業の育成等の観点から重要な再生可能エネルギーの利用拡大を図るため、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入するためのものです」ということです。
経産省のホームページから、この法案の概要をみると次の通りです。
[経産省のhttp://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003-2.pdfファイルからコピーして引用はじめ、色づけは筆者]
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案の概要
平成23年3月
経済産業省
○エネルギー安定供給の確保、地球温暖化問題への対応、経済成長の柱である環境関連産業の育成のためには再生可能エネルギーの利用拡大が急務であり、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入する。
(1)電気事業者に対する再生可能エネルギー電気の買取りの義務付け
○太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気について、電気事業者に対し、経済産業大臣が定める一定の期間・価格により買い取る(調達する)よう義務を課すことで、発電事業者が再生可能エネルギー発電設備へ投資を行う際の回収リスクを低減し、新規投資を促す。
(2)買取費用の負担方法
○買取りに要した費用に充てるため各電気事業者がそれぞれの需要家に対して使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)の支払を請求することを認めるとともに、地域間でサーチャージの負担に不均衡が生じないよう必要な措置を講ずる。
(3)その他
○電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は廃止する(ただし、所要の経過措置を講ずる)。
○少なくとも3年ごとに、再生可能エネルギーの導入量及びサーチャージ負担の与える影響等を勘案した見直しを行うとともに、2020年度を目途に廃止を含めた見直しを行う。
公布の日から起算して1年以内に施行する。
[引用おわり]
というわけで、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス発電について、電気事業者が固定価格で買い取ることを義務付けた法案です。まあ、個人ということでは、太陽光パネルを設置した家ということになるでしょう。私自身は当面、その予定はありませんが、いずれ、そういうときが来れば、太陽光パネルの設置ということも考えてみたいものです。
で、やはり、この「固定価格買い取り制度」ですが、東京電力から「買い取るキャッシュを見通せない」という声が出てきそうです。それに、そもそも、「エネルギー基本計画」の見直しを、菅総理が発表しています。とはいえ、再生可能エネルギーの固定価格での買い取りが法制化されれば、この景気でも、年間では、80万戸の新規住宅着工があるわけですから、太陽光パネル、このところは、「太陽電池」という商品名も浸透していますが、この太陽光パネルを設置しよう、という機運が盛り上がってくるでしょう。また、地熱、バイオマスなどの「IPP(独立電気事業者)」すなわち「電気の卸屋さん」の創業が増えてくるでしょう。そうすると、数年後に政治課題となるであろう「浜岡原発の再稼働」などの問題が、日本全体として肩の荷が軽くなった状態で、議論できるようになります。私は経産はあまり詳しくないのですが、おおまかにこの「電気事業者の再生可能エネルギーの固定価格買い取り法案(177閣51号議案)」は、こういうことだと思います。
ひょっとすると、東京電力や電気事業連合会(電事連)が、もう国会を回って、今国会では成立を見送るよう、ご説明に回っているかもしれません。ぜひ、私たち、組織化されていない有権者として、この固定価格買い取り法案の今国会での成立を図って、私たちの心の重荷をとろうではありませんか? いかがですか。
衆議院先議ですから、まずは衆・経産委員に働きかけないといけません。とくに議事日程は、理事の仕事です。衆議院の委員会名簿は、このアドレス(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_iinlist.htm)で、経産委員会をクリックして下さい。参・経産委員は次のアドレス(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/konkokkai/current/list/l0071.htm)です。参院の方は直接、経産委員会に飛べます。
首都圏の人なら、日中に国会に電話して代表から各議員室につないでもらって、コンパクトに要望すればいいでしょう。国会から遠い地域の人は、ファックスや、メール、手紙などの方法があります。国会の代表電話は、衆議院が03・3581・5111、参議院は03・3581・3111です。
5月17日の衆・総務委では、とある民主党議員の質問に対して、日本郵政の専務が次のような答弁をする一幕がありました。「先生には先日、陸前高田郵便局へのご視察ありがとうございました」と切り出し、答弁の締めくくりに「つきましては、郵政改革法案の成立をよろしくお願いします」。このように、日本郵政は、自分たちに有利な法律をつくるために、国会を回って、ごあいさつ、ご説明、情報収集などをしている社員がいます。日本航空もしかり、東京電力もしかりです。こういった状況の中で、特定の組織に属さない国民が法案に関与できる道を探っていきたいと考えます。政権交代のその先にある、もっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」動き。一歩前に進めていきましょう。残り1ヶ月の今国会は久しぶりに“法律工場”の「書き入れ時」です!
【追記 2011年5月18日(水) 午後7時】
菅直人首相は、5月18日(水)午後6時ごろの記者会見で、固定価格買い取り法案について、内閣として成立を求める考えを述べて、国会に働きかけました。【追記おわり】
tags 岡田克也 菅直人
アメリカ議会は予算シーズンに入りました。これから6月30日までに、下院が歳出法案を作成→審議し、可決します。その後、上院に送付することになりますが、上院は下院と並行して審議しているのが実態のようです。10月1日の新会計年度入りまでに、各委員会ごとに分かれた合計12本の歳出法案が上下両院で可決・成立しなかった場合は、暫定予算成立のための継続決議というのをやることになるそうです。
というわけで、きょう辺り審議入りした予算案の執行がおわった1ヶ月後に、米大統領本選挙があるわけで、オバマ大統領は実績作りをしていますし、共和党では、ナント!ギングリッチ元下院議長が大統領予備選に出馬するというビッグニュースが出てきました。
また6月末で、前政権(共和党ブッシュ息子政権)から引き続き国防長官を務めてきたゲーツさんが、6月末で辞めることになっています。後任がだれであれ、国防長官交代というのは、煮詰まった事項があれば良い機会になります。
「何事も初めが肝腎」、本格的な予算審議が始まったこの時期に、さまざまな立ち会いの張り手の応酬が米政界で起きています。とにかく、オバマ大統領が出生届のハワイ州の原本を公開したり、アフガニスタンでついにオサマの息の根を止めるなど、大統領自ら再選に向けて、張り手、猫だまし連発です。
だからチャンスなのです。
ビッグニュースです。
米上院軍事委員会のレビン委員長(民主党)、マケイン筆頭理事(共和党)、ウェッブ「日本など」小委員長(民主党)の3人が国防総省に「米海兵隊普天間基地の米空軍嘉手納飛行場への統合の検討」を求める共同アピールを発表しました。東日本大震災による日本の財政難などから、普天間基地の辺野古崎沖埋め立て地への移転が、お金がなくて、完成が不透明なので、安くても、工期が早い、嘉手納統合案や、グアムなどへのさらなる機能移転に急シフトした格好です。
嘉手納統合案については、何度も再浮上しており、「もううんざり」という人が多いようですが、まあ、岡田克也さんのねばり強さ、アメリカ人脈(ハーバード大学研究員時代の岡田克也・多津子夫妻のホームパーティー)で、ひょっとすると、嘉手納統合で、辺野古崎沖の埋め立てはなくなるかもしれません。
[写真]米上院軍事委員会の左からレビン委員長(多数派・民主党)、ウェッブ小委員長(同)、マケイン・野党側筆頭理事(共和党)
レビンさん、ウェッブさん、マケインさん。前回大統領候補だったマケインさんが日本でも有名ですが、僕はアメリカのパワーエリート(権力者)には詳しくありませんが、マケインは軍人出身で超党派的な人気があり、前々から、民主党に手を突っ込んだ超党派が上手い人だと思います。その辺で気心のしれたリーバーマンも軍事委員会所属のようです。最近は米議会知日派(注意=親日派とは限らない)では、なんと言っても最長老議員のダニエル・イノウエ(民主党)がいますが、東アジア全体で、ウェッブさんも若手で一気に頭角を現しています。ぜひ「レビン・マケイン・ウェッブ」トリオにこの利権争いのイニシアチブをとって、早ければ、次の会計年度の予算委も調査費を計上して欲しいものです。
この3人の今回のイニシアティブは、東日本大震災による、日本側の辺野古崎沖埋め立て工事の財政見通しが厳しくなったことが背景にあるようです。それよりも、いずれにしろ、成田空港を上回る日本最大の空港である嘉手納に、海軍と仲が悪くても、海兵隊を持っていく工事の方が、総額は安くなっちゃうんでしょうが、「現実的な利権だ、実利だ」という読みがあるのでしょう。いわば、「実利」はむしろ、3月11日以降、嘉手納統合と、グアムへの機能移転促進というパッケージに相対的に軍配が上がりつつあるのではないか、と私も思います。日本および米国が辺野古崎沖を埋め立てるお金がなくなりつつあるということでしょう。
ダニエル・イノウエ、ゲーツ国防長官、そして新国防長官がどっちの利権を選ぶかということになります。「ああ、東日本大震災がなければ・・・」などと考えてもしょうがありません。そんなのは「人類が月に行っていなければよかった」と思うようなものです。人間である以上、前に進むしかありません。
沖縄は疲れています。「再浮上」なのか「再々再々再々再々浮上」なのか分かりませんが、とにかく今度こそ、しっかりと成案を得ましょう。やはり、辺野古は埋め立てちゃダメです。人は誰でも死にます。でも国は生き続けます。100年先の日本人のために、辺野古は埋め立てちゃダメです。「嘉手納統合案」しかない!と私は考えています。
こういう不安定な時代こそ、力のある者はより力のあるポジションに上がっていく。それが政治です。そうでない人間は、地元で戸別訪問するしかありません。
まっすぐでひたむきな岡田さん。とはいえ、これは日本にとっても沖縄にとってもラストチャンスです。10月1日から施行されるアメリカ新年度予算にしっかりと日本の国益を盛り込みましょう。
なお、民主党の岡田幹事長は2011年5月12日(木)午後4時からの定例記者会見で「5月14日(土)と15日に青森県知事の山内崇予定候補を応援に行った際に、米空軍三沢基地に震災ボランティア支援のお礼のために、うかがい、基地の関係者とも会う」と発表しました。
たとえ狭い道でも前に進む、身も心も頑丈な「バズ・ライトイヤー」岡田さんの背中を押しましょう。
(当ブログ内カテゴリー北澤俊美「りんごと二大政党」エントリーから引用はじめ)
朝の8時40分という極めて早い時間から、岡田克也外相・北澤俊美防衛相に対する一般質疑がありました。
不正常国会での安保委の運営について、安住淳委員長が反省を述べてからスタートしました。
公明党の佐藤茂樹さんの質問。米海兵隊普天間飛行場の米空軍嘉手納基地への統合案について。
北澤防衛相は岡田外相が検証を続ける「統合案」について、就任直後の沖縄訪問では、「厳しい道のりだ」と感じたとの心情を吐露しました。その上で、
「岡田大臣が(嘉手納統合案に)挑戦しているのは、政治家としての勇気の差かなあ、と思っておりまして。私は少し難しい話かと思っていましたが。岡田外務大臣は難しいから探求してみたいと。同僚が言うのも何ですが、その勇気は称賛に値する」と述べました。
そのうえで、「新しい政権を担った責任者として、(外相が)探求すべき問題だ」として、岡田さんの検証作業を見守りたいと明言しました。
【当ブログ内からの引用おわり】
(このエントリーの初投稿日は2011-05-14 07:34:19で、バックデート)
ゴールデンウィーク明け5月9日週の国会でしたが、政局はありませんでした。ホッとしました。フルピッチで法案が続く終盤国会特有のよい緊張感の下、「残り5週間(祝日なし)+会期末3日間」ということになりましたが、内閣も新しい法案をどんどん閣議決定しています。一部委員会では法案が渋滞しており、衆議院→参議院と考えると、一日たりとも、審議がストップすることがあってはなりません。
今週は、公明党代表の山口那津男さん、幹事長の井上義久さんは民主党に厳しめでした。というのは、あす投開票の足立区の選挙の関係だと思います。区議選は定数が50→45に削減されながら、公明党は現有14議席(現職13人と代替わり新人1人)をめざしており、熾烈。また区長選も「自民党と公明党が推薦する現職区長」と「共産党が推薦する元職区長」の一騎打ちという非常に珍しい構図となっており、勝敗のほかにも、得票率が注目されます。
ところで、マスコミでも誤解があるようですが、最終盤国会で参院での問責決議(案)が注目されますが、参議院では、自民党(83)・公明党(19)・みんなの党(11)の3党共闘でも過半数には8議席足りません。統一会派「たちあがれ日本・新党改革」(5)や、無所属(5)のうちの3人がそろって、ようやく過半数です。社民党(4)、日本共産党(6)が決議(案)に賛成しなければ、問責決議(案)が否決される可能性もあります。仙谷さん、馬淵さんの件がありましたから、参院では必ず問責決議が通るような観測が報道されますが、それは間違いです。テレビ入りの衆参の予算委などで集中審議がありますが、この第177通常国会は、地上波アナログテレビ放送が中継する最後の国会となります。質問のチャンスを獲得した人は、気負わずに、しっかりと思い出の国会問答を演出して欲しいと思います。
これからの5週間、税制改正法案や復興に関する法案などをしっかりと報道していって欲しいものです。そういう意味では、参議院で那谷屋正義・総務委員長、衆議院で生方幸夫・消費者問題特別委員長が辞任したのは残念です。フィリピンでゴルフをしていた問題です。ちなみに日本のマスコミはほとんど「マニラ支局」を持っています。仮にグアムや済州島でゴルフをしていたら、報道されることもなかったでしょう。どうにもこうにも、民主党はワキが甘いです。
【2011年5月10日(火) 参・総務委員会】
(委員会での正確な発言については、参議院インターネット審議中継や、後日アップされる委員会会議録をご参照下さい)
さて、那谷屋さんが委員長辞任届を出した翌日は、同じ民主党・新緑風会の総務委理事の藤末健三さんが委員長席に座って、審議がスタート。「昨日、那谷屋委員長は委員長の辞職願を議長に提出し、委員長の職を理事の私に委託されました。よって、本日の委員会につきましては、私が委員長の職務を行います。よろしくお願いします」と述べました。
この後、民主党副幹事長の行田邦子さんの質問があり、およそ30分して2番目に自民党の青森選挙区、山崎力(やまざき・つとむ)さんが質問に立ちました。山崎さんはのっけから、激しい口調で次のように、藤末さんをまくし立てました。
「えー、自民党の山崎です。冒頭、委員長席にお座りの方におうかがいいたします。何の権限でそこにいらっしゃるのか? さきほどの説明でははなはだ不明確であります。というのは根拠が示されていません。那谷屋委員長から言われて、というようなことを言われて、これで、そこに座られて、この委員会の委員長役を務めるというようなことは、上は憲法とまではいいませんが国会法から、下は参議院の慣例と、いろいろなこと(ルール)があるわけです。そこを踏まえたうえでなければそういう仕事できないはずですが、いかがでしょうか」
藤末さんは次のように答えました。
「私としましては、さきほど言いましたように、理事として私に(委員長としての職務を)委任されたということで、(那谷屋さんからの)依頼としてここに座らさせていただいております」
[画像]自民党の山崎力さん、民主党の藤末健三さん、2011年5月10日の参院総務委員会、参議院インターネット審議中継から。
山崎さんは次のように返します。
「委員長から(口頭で)委託されればいいんですか? 理事じゃなくてもいいんですか? 例えば理事じゃない人にも委託してもいいんですか?その委託できる、という根拠を示さないまま、(委員長役をやると)言われるのはいかがなものか」
他の委員からも、「根拠!根拠!」とヤジが飛びます。
藤末さんから、あまり説得力のある答えが出てきませんでしたので、山崎さんは畳みかけます。
「少なくとも立法府ですから、カタイこというようですが、あのとき(冒頭)での説明にひとことでもふたことでも、かくかくしかじかの条文、あるいは慣例によって、私がきょう、委員長の仕事をさせていただきますというかたちにしていただきます、と言わなければならないわけで。なぜ私がこのようなことを言うかと言いますと、民主党のみなさんがやっていることは、そのへんの区別がついていないことが極めて多い。ということを常々、思っておりますので、その辺のことをお答え願えればと思います」
と最後の方でようやく口調はトーンダウンしながら、“委員長”にお願いします。
「はい。山崎委員にお言葉をいただきました、私が委託を受けた根拠ですが、あのー、参議院規則の31条に“委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。
”ということが(書いて)あります。理事ということでありました、それに基づき私が委員長をさせていただいているという状況でございます」
と述べました。おそらく、参議院事務局職員がとっさに助け船を出したのだと思います。しかし、事前に事務局に調べてもらって、会議ののっけから「参議院規則31条に基づき~~」と始めるべきだったでしょう。
山崎さんは2002年にこの委員会の委員長をやっていますから、参議院規則31条は事前に分かっていたようで、次のようにその場で言い返しました。
「参議院規則31条なら、きょうは、委員長に“事故があるとき”なのか、“欠けたとき”なのか。亡くなったときは“欠けたとき”、人事不省になったときは”事故です”。では、(今回のケースは委員長の一身上の都合による辞任届なので)本会議マターです。どちらなんですか? その点について猛省を求めたい」と指摘しました。
藤末さんは
「その辺のところは山崎委員のご指摘の通りで、後できちんと調べてご説明致したいと思います」
と答えます。「後で」ご説明するんだったら、この日の委員会は何なんでしょうか。山崎さんは次のように発言しました。
「ご指摘の通りだったら、(藤末さんは)『私に権限がないんで、委員長を辞めて、この委員会を流会にさせていただきます』と言うべきなんですよ。私は、言葉尻をとらえてこの委員会を流会にしたいと思いませんから、いちおうこらえておきますが、もう少し、しっかりとした根拠にもとづいた議事運営、ならびに立法府の議員としての役割をご自覚いただきたいと思います」
「そこまで申し上げまして、総務省、大臣の方にいろいろご質問いたしたいと思います」
野党・参院自民党はこういうときにも、ちゃんと審議をストップさせずに、質問をします。以前の抵抗野党なら、審議ストップのうえ、退室もあり得たと思います。参院自民党は3月には気負いがありましたが、こうやって中堅クラスはしっかりと議論をする。山崎さんは元総務副大臣です。自民党は政権交代に近づいていると感じます。
委員会が始まる前に、藤末さんは参院事務局にしっかりと働きかけておくべきだったのではないでしょうか。この辺も政治主導の本質が分かっていない。政調で政策の勉強をする前に、参議院規則を勉強すべきでしょう。例えば、ワールドカップサッカーの日本代表が試合後のインタビューで「ルールを知らなかった」と答えたら、成田空港で水を掛けられるでしょう。同じです。国会は立法府なんだから、よりルールに習熟しないといけないと私は考えます。
小沢一郎氏の党員資格停止を解除すべきだという議員が民主党のごく一部にいるようですが、「民主党規約の第何条に基づき~~」と主張しなければ、まったく説得力がありません。たんなるストレス解消のぼやきにしか聞こえません。まあ、民主党と現状は、山崎さんの言うとおりですね。岡田克也外相が初登庁と同時に「国家行政組織法第12条に基づく大臣命令を発する」と言ったから、省内をビビらせ、大臣としての主導権をにぎれたわけです。一方、総務大臣政務官の逢坂誠二さんは、35歳で全国最年少町長になったとき、北海道庁にあいさつに言ったら、「何で坊主頭なんだ。失礼だろ」と言われたそうです。いわば、「道庁からニセコ町に交付金・補助金は出さないぞ!」というけん制だったのではないでしょうか。
何事も初めが肝腎。小沢グループや鳩山グループはそういうことがまったくできません。張り手や猫だましができないなら、政治家を辞めて、大学教授でもやった方がマシです。「非常時だから、小沢先生の党員資格停止の解除が必要だ」ではなく、非常時だからこそ、しっかりとした法規範の根拠を示せないとダメなんでしょう。
残り、5週間+3日間、しっかりやってくださいよ。
山崎力さんは青森選挙区で、1995年、新進党公認で初当選。この1995年夏の選挙は、自民党が結党40年目にして、初めて総得票数で第一党になれなかった選挙でした。しかし、1997年、小沢一郎党首が思い付きで新進党を解党してしまったため、山崎さんはやむなく、「改革クラブ(小沢辰男代表・石田勝之幹事長)」の救命ボートに乗りました。改革クラブは「創価学会の応援も欲しい保守系議員の政党」とハッキリ言っていた政党でした。しかし、その後は自公政権になってしまいましたので、山崎さんは自民党に入ってしまいました。青森選挙区は1人区だし、面積が広いです。それを考えれば、公明党さんと行動を共にしたのは、妥当な判断でしょう。仮に小沢一郎氏が新進党解党の暴挙に出ていなければ、もっと早く政権交代できたし、その政権には山崎さんのような頼もしい存在もあったわけです。「3・11」地震は当然起きたわけですが、原子力災害も違った状況になっていたかもしれません。それを思うと、つくづく新進党解党が残念でなりません。小沢氏は一兵卒なので、辞任する役職がありませんから、釣りをしていても叩かれなくていいですね。
【2011年5月13日(金) 参・本会議】
総務委員長の辞任を受けて、委員長の選挙を行いました。選挙は省略し、西岡武夫議長が指名することになり、藤末健三さんが総務委員長になりました。
菅直人首相は2011年5月6日(金)に記者会見し、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市の太平洋沿い)について、「これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%だ」として、「国民の安全と安心を守るために」「すべての原子炉を停止すべきだと私は判断した」として、「中部電力」に「要請」をしました。これを受けて、中部電力は5月9日(月)に臨時取締役会を開き、総理の要請を全面的に受け入れることを表明しました。また、菅直人首相は、5月10日(火)にも記者会見し、「原子力災害を引き起こした責任は東京電力だけでなく、国にもある」として、東京電力福島第一原子力発電所災害の収束まで内閣総理大臣としての歳費を全額、国庫に返納することを表明しました。
菅官邸は4月上旬から検討をすすめてきたと報じられていますが、2011年4月8日(金)の午後7時半から8時半の1時間、農林水産副大臣の篠原孝さんが菅総理と官邸で2人で話し合った際に、「食品の安全性を考えると、原子力発電は高くつく」として、中部電力浜岡原子力発電所の停止を進言していたことが分かりました。
「浜岡停止」に関しては、当ブログは4月中に情報を入手していました。が、なかなか東京住まいの私も「3・11」の精神的ショックで、取材が遅れていました。当ブログが5月10日、篠原さん本人に直接取材し、確認することができました。当ブログとしてはスクープを逃したわけですが、「3・11」以降、情報の混乱への不安が自他ともにある現状ですので、確報としてお伝えする結果となったことを、かえってスッキリ思っております(^_^)v
4月8日(金)の1時間で、エネルギー問題だけでなく、TPPなども含めた当面の課題について、いろいろ話し合った篠原さん。4月10日(日)の菅首相の被災地訪問の際に、航空自衛隊のU4他用途支援機(およそ19人乗り)が空いていると聞き、自ら申し出て、政治家としては菅総理と唯一同乗しました。機中では菅さんは、政務秘書官(民主党本部職員出身)と隣りに座っていて、とくだん話せなかったようですが、現地で待ちかまえていた他府省の副大臣らと、被災地を視察したい際にも、「主に水産業の話を中心に、いろいろ話した」そうです。
さらに4月15日(金)にも午後2時32分から30分間、菅直人首相と会いましたが、これは水産行政に関する話で、官僚同席でした。
その後、篠原さんは民主党国対の許可も得て、チェルノブイリ事故25周年国際会議に参加しました。もともと外務副大臣の高橋千秋さんが政府を代表して参加していましたが、ウクライナに行き、科学者会議で特別に15分間英語でスピーチ。「ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリ、フクシマ・・・」との日本からの報告に対して、イギリス人学者から「日本がこの25年間、イチバン真剣になって、チェルノブイリ(の作業)を援助していたのを知っている。ここには、(原発災害の収束の)知見がある」として、ウクライナ政府の責任者も「私たちが持っているデーターを全部、日本(Japan)に提供する」とのスピーチを引き出しました。
この後、4月26日(火)にも、震度6強の「3・12」長野県栄村地震についての菅首相への阿部守一・長野県知事の要望活動に、北澤俊美防衛大臣とともに同席した後に、阿部さん、北澤さん退席後に、午前9時55分頃から、20分間ほど総理とサシで話し、チェルノブイリ訪問の報告などをしたようです。
4月8日~4月26日までの間に、菅さんは篠原さんと延べ2時間以上二人で話したことになります。篠原さんによると「総理大臣というのは、周りが遠慮して、アポイントを入れなくなるから、意外と暇だ」として、「歳が近いし、お互いやり合うから、(総理にとって篠原さんとの話し合いは)いいストレス発散になっているようだ」とのこと。篠原さんによると、菅首相は篠原さんのアドバイスをそのまま受け入れて政策を実行することがありますが、今回の浜岡の中長期的な停止については、「菅さんも頑固だから。原子力のプロだし」として、篠原さんの「廃炉」のシナリオその通りではなく、かなり官邸内で検討があったようだとしています。
まあ、「他の人も言っていたと思う」ということで、篠原さん以外にアドバイスをしていた人がいるかもしれません。ただ、それならそれで、菅側近は頼もしいということで、別段、だれが最初に言ったかという問題ではないでしょう。
篠原さんは、郵政選挙で議席を守り2回生になった直後の2005年11月、衆院外務委員会の視察の際に、チェルノブイリを訪れています。そして、4月にチェルノブイリ事故25周年の国際会議のため、再訪しています。 篠原さんは農水省勤務時代から「日本の有機農業」についての研究を進めるうちに、「原子力発電は安いが、食品の安全性を考えると安くない」との考えを持ち、脱原発で知られる広瀬隆さんらの著作を読んでいたそうです。1985年に書いた篠原さんの著作「農的小日本主義の勧め」にも、脱原発を訴えていたそうです。ですから36年越しの政策実現になります。また、2007年5月に菅直人代表代行、山田正彦前農相と3人でドイツの黒い森(シュバルツバルト)に林業やバイオマスなどの自然エネルギーの視察に行った際にも、原発について、かなり議論したそうです。菅首相が「原発のプロ」というのは、篠原さんの言によると、どうやらホントウのようです。
篠原さんは長野1区ですので、中部電力管内になりますが、「中部電力は原発依存度が低いからちょうど良かった」と、「浜岡停止」を支持しています。
また、これはまだ、菅首相には伝えていませんが、選挙区内の長野県栄村の「3・12」の地震被害を5月1日(日)に視察した際に、「地震被害よりも東京電力柏崎刈羽発電所が近いことが気になる」との声を聞いたそうです。その後、地図などで調べた結果、柏崎刈羽にも地震被害の可能性が高い(すでに中越地震がありました)ことが分かったそうです。「仮に柏崎刈羽で放射能漏れがあり、冬の雪が降ったら、全員避難しなければならない」として、“放射雪”の可能性があるとしました。できれば菅総理に「柏崎刈羽の停止」も決断して欲しいとしましたが、この件は菅総理に直接話してはおらず、東京電力社内が混乱していることもあり、今後の課題として取り組んでいく構えです。
篠原農水副大臣は「菅政権の中でイチバン歴史に残ることだ」としています。
今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行
有料会員制ブログ「今後の政治日程」を更新しました。
連休明け政局がじゃっかん見えにくく、5月最初の更新が「2011年5月10日版」と遅れ込んでしまいました。
波乱の政局はないと思いますが、残り会期も6週間と半分になってきましたから、法案ごとに「会期内に確実に成立させるつもりがあるかどうか」の見極めも、利害関係のある国民には注意が必要な時期となってきました。