【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

今日から年金が下がったのはなぜか?小泉首相の「デフレ特例」放置の尻拭い

2013年12月13日 07時13分51秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

 小泉純一郎首相(兼)自民党総裁=首相官邸ホームページから。

 きょう2013年12月13日(金)振込分の年金から支給額が下がります。

 これは、昨年解散当日の2012年11月16日(金)に成立し、11月26日(月)に公布された「デフレ特例を解消する改正国民年金法」(平成24年法律99号)にもとづく減額。

 坂口力・初代厚生労働大臣が作成した「2004年年金改正法(100年安心プラン)」により、デフレ・スライドが確立しました。これは、物価が下がれば、、保険料も、年金も下げる。これを自動化することで、将来100年間、保険料と年金が、金額は別として、100年間釣り合う、ことをコンピューターでチェック済み。

 ところが、坂口大臣の上司の小泉純一郎首相は、このデフレ・スライドの発動を政治判断でストップ。この効果もあり、2005年の総選挙では、一時、岡田克也代表率いる民主党に大勝しました。

 この2・5%下げを3年間放置した「デフレ特例」のツケを解消したのが、解散当日に野田内閣が成立させた「デフレ特例水準を解消する改正国民年金法」です。

 自民党が平成24年特例公債法を人質にとり、税制抜本改革の3党合意の「近いうち解散」を人質にとられたので、3月成立の予定が11月の解散当日までずれ込んでいました。

 昨年11月7日(水)の衆議院内閣委員会。この日はすでに野田佳彦総理は「16日解散」を決めていて、岡田克也副総理と内閣官房長官がそのことを知っていました。

 衆議院内閣委員会で、小泉進次郎さんは丁々発止「近いうち解散を守れ、うそつきだ、約束を守れ」と猛攻撃。

 岡田さんは答弁で、

  「さっきから言いそびれていたんですけれども、年金の2・5%特例水準の是正の問題、これは、我々として、政府として法案を既に国会に出しております。いろいろな理由があって、これはまだ審議されるに至っていないんですが、これこそ私は急いでやるべき話というふうに思うんですね。ぜひ、小泉議員も同じ意見だと思いますが、党の中でも大いに議論していただいて、この国会で成立させることができるようにお願い申し上げたいというふうに思っております」と答弁。

 これに対して、小泉進次郎さんは「最後にそういう特例公債(法案)絡みのお願いをされましたが、」と答弁し、(おそらく岡田さんから)「デフレ特例水準だ」とのヤジを受けています。

 つまり、父親である小泉首相の「デフレ特例水準」のツケを、野田さんや岡田さんが尻拭いしているのに、小泉進次郎さんは、たんに「特例」と聞いて「特例公債法案」と勘違いしていたのです。

 議事録では、「特例公債絡みのお願い」との部分は削除されています。これはおそらく、単に、その場で、小泉さんが言い直したので、議事録に載せなかったのだろうと考えます。

 当日の私の傍聴ノートを見た後、衆議院インターネット中継で改めてビデオライブラリを確認したところ、やはり全体の「3時間5分」の部分で、このような勘違いがありました。

 小泉純一郎首相と小泉進次郎さんは別人格です。ただ、地盤を世襲して衆議院議員になっていることからも複雑な思いがします。
 
 きょうの年金下げは、すべて小泉大衆迎合政治のツケです。後継者の安倍晋三首相による、インフレ政策のときに来てしまう。負担の先送りは最悪のタイミングがきたときにやってくる。



 自由はただではありません。

 大いに反省していただきたい。


防衛医大看護学科1期生の願書は来週しめきり 野田政権最後の法律、我が党前に倒れる

2013年09月24日 09時17分59秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

 チルドレン・ファーストと未来への種まきをした我が党の第1次与党期の最後、解散直前に成立させた法律が、「防衛医科大学に看護学科を新設する法律」だったことが分かりました。

 これは、「自衛隊法を改正する法律」(自衛隊法等の一部を改正する法律、181閣法5号、平成24年法律100号)です。

  かなり無茶な審議日程で、11月6日(火)に提出、総理の解散宣言翌日の15日(木)に衆安全保障委員会付託、16日(金)に委員会で可決のうえ、本会議に緊急上程し、可決、参院送付。さらに、16日(金)に参外交防衛委員会付託し、可決、本会議上程、可決・成立。そして、午後3時半、衆本会議が再開され、民主党初の解散詔書が朗読されました。

 なお、衆議院通過は我が党としては最後の法律ですが、参本の審議順から、成立した法律としては平成24年法律102号まであります。ですから、我が党が第1次与党期に成立させた法律は、平成24年法律102号まで、ということになりますから、これは全党員が政権を取り戻すまで絶対に暗記しておいてください。


解散詔書の準備が進む中、2012年11月16日の衆本会議で、政権最後の委員長報告をする神風英男さん。

 この防衛医大看護学科設立法案は、当初は「防衛省設置法改正法案」として提出されながら成立していなかったのですが、当ブログは、第180通常国会の会期末付のエントリーでも「他の学校を出た看護師を自衛隊が採用すれば事足りるわけで」と廃案で問題ないとの考えを示していました。

 しかし、自衛隊最高指揮官を務めた野田佳彦首相の下、防衛大臣政務官を務めた神風英男さんが衆安全保障委員長として執念を見せたことになりました。野田さんは松下政経塾第1期生、神風英男さんは7期生。無償教育のもと、公に奉仕する人になろうとした人です。自衛隊への思い、無償教育への思いが、防衛医大看護学科創設につながったのでしょう。

 2014年4月1日入学の1期生は、来週9月30日(月)に迫っているので、希望者は急いでほしいと考えます。私の乏しい人生経験からすると、国家国民のために働きたい、公のために役立ちたい、という希望があれば、悩んでいれば、まずとりあえず願書を出してしまった方がいいです。世の中打算的なやつが9割です。ただ、公のために役立ちたいと思う人は、運が味方してくれるから、とりあえず応募した方がいいでしょう。

 そして、松下政経塾出身で、自衛隊の最高指揮官と防衛政務官をつとめた2人。私は政権末期には、「我が党はたとえ倒れるにしても前に向かって倒れよう」と再三再四、呼びかけきましたが、こうやって現実になっていてうれしいです。野田佳彦さんは総理を辞任し、神風英男さんは惜敗率75%、いってこいで9000票差で落選しました。

 防衛医大看護学科卒業生は、技官として、防衛医大病院で研究や後進の指導にあたるコースもあるようです。自衛官採用コースもあるようです。米軍初の女性将官は物流(兵站)部門でしたが、やがて、30年後、2040年ぐらいには、日本では、女性看護師が将官になるでしょう。民主党は倒れましたが、タンポポの綿帽子のように、日本の未来への種をまきました。

 防衛医科大学校医学教育部看護学科(設立準備室)に関する情報は下のアドレスから取り出すことができます。
http://www.ndmc.ac.jp/college_ka/

↓下のパンフレット画像をクリックしてもらっても、上のホームページに飛ぶことができます。




松下忠洋先生「薩摩の人間である自分が、戊辰戦争で苦しんだ福島県の復興に身命を賭す」追悼演説

2012年12月10日 17時13分56秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[画像]答弁する松下忠洋・復興副大臣、野田第2次改造内閣で金融担当大臣、2012年通常国会、衆議院第1委員室。

 第45期衆議院では、民主党・国民新党がまさに現代の清洲同盟として、3年3ヶ月間、手を携えて連立政権を担いました。一度裏切る人間は二度裏切りとはよく言ったもので新進党を内から壊した小沢一郎・元民主党代表と外から壊した亀井静香・元国民新党代表は二大政党を去り、日本未来の党を結党しました。いくらテレビでおなじみでも、このような人間は絶対に信用してはいけません。

 さて、野田佳彦総理が「あさって解散する」と明言した2012年11月14日(水)の翌日の衆議院本会議で、松下忠洋・元衆議院内閣委員長の追悼演説がありました。野田第2次改造内閣で、金融担当大臣をつとめましたが、まだ暑かった2012年9月10日、突然自殺してしまいました。

 国会中がシッチャカメッチャカの大騒ぎでしたので、報道されなかったようです。あまり知名度は高くなかった松下先生のひっそりとしたお別れでした。

 なかなかうまく政権運営できなかった民主党政権ですが、第45期衆議院で与党・民主党は衆参410人以上の議員集団で構成されながら、75歳未満の議員が亡くなったり、異性に抱きついたりする犯罪などがないのは、かえっておかしい、命懸けで政権を担っているのなら、そういうことが1、2件あるはずだと指摘してきました。

 75歳を超えた、大石尚子・参議院議員(元衆議院議員)と西岡武夫参議院議長が亡くなりました。そして、75歳未満で亡くなったのは、民主党ではない、連立パートナーの国民新党の松下忠洋・金融担当大臣だけでした。享年73。

 追悼演説では慣例にもとづき、反対党(野党第1党)から小渕優子さんが立ちました。


[画像]追悼演説をする自民党の小渕優子さん、2012年11月15日の衆議院本会議、衆議院インターネット審議中継

 「平成二十一年から二年半にわたり経済産業副大臣を務められ、その後、平成二十三年三月に発生した東日本大震災では、原子力災害現地対策本部長として、さらに本年二月は復興副大臣として、福島第一原子力発電所事故による災害の復興に取り組まれました」とし、「福島の原発事故直後から現地に入り、大部屋の真ん中に席を構え、職員とともに汗を流しながら、昼夜を分かたず指揮をとり続け、福島県内をくまなく歩き、常に、『一人の苦しんでいる人を助けられずして、一億三千万人を助けられない』という政治信条をもとに、全身全霊で事に当たり、強いリーダーシップを発揮されました」と演説しました。

 そして、その人柄として、「未曽有の災害にともするとくじけそうになる職員を叱咤激励し、ともに泣き、ともに笑おうと、チーム一人一人への声かけや気遣いを忘れませんでした」と振り返りました。

 そこまで政治にかけた情熱の根幹として「先生の熱意、識見はもちろんですが、先生御自身が、薩摩の人間である自分が、戊辰戦争で苦しんだ福島県の復興に身命を賭すと心中かたく御決意されていたことを、私は後に知りました。このように、純粋な情熱と大いなる優しさを内に秘めた松下忠洋先生こそ、薩摩武士の気質を備えた、まさに薩摩隼人であったと私は思うのであります。(拍手)」

 本会議場には、奥さんと思われる方をはじめ、ご遺族の姿がありました。

 
[画像]松下忠洋さんのご遺族と思われるみなさん、2012年11月15日、衆議院本会議、衆議院インターネット審議中継から。

 小渕さんは「いつも優しくほほ笑む奥様、章子夫人の姿がありました。二人でいつも二人三脚、どんな困難も乗り越えてきたお二人は、特別な信頼で結ばれていました。家族のすばらしさ、大切さを教えてくださったのも、松下忠洋先生でありました」と演説しました。

 これを見て、週刊新潮の記事は絶対に嘘八百だと確信しました。松下先生は週刊新潮に殺されたんですよ。

 ともに泣き、ともに笑おうと、チーム一人一人への声かけや気遣いができる政治家がいたことを、激戦のさなかですが忘れないでほしいし、さすがは自民党出身の大臣だとの思いがします。引退した羽田孜先生、渡部恒三先生、藤井裕久先生さらに滝実法相のみならず、自民党出身の民主党議員はだいぶ減りそうな気配ですが、松下先生の志が、選挙後に生まれるシャープでオープンな新しい民主党に引き継がれていってほしいものです。

国会会議録データベースから引用はじめ]


181臨時国会

衆議院本会議 第5号 平成24年11月15日(木)

(前略)

○議長(横路孝弘君) 御報告することがあります。
 議員松下忠洋君は、去る九月十日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 つきましては、松下忠洋君に対し、弔詞を贈呈いたしたいと存じます。
 弔詞は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 弔詞を朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し さきに内閣委員長の要職にあたられた国務大臣議員松下忠洋君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
 この弔詞の贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
 故議員松下忠洋君に対する追悼演説
○議長(横路孝弘君) この際、弔意を表するため、小渕優子さんから発言を求められております。これを許します。小渕優子さん。
    〔小渕優子君登壇〕
○小渕優子君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員松下忠洋先生は、去る九月十日、御逝去されました。
 郵政民営化担当・内閣府特命金融担当大臣の重責を担っておられた中での余りにも突然の訃報に、私は、言い尽くせぬ驚きで言葉もなく、いまだこの現実を受け入れることができずにおります。
 まして、奥様、章子夫人を初め御家族の悲しみを思うとき、万感胸に迫り、お慰めの言葉も見つかりません。
 私は、ここに、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べさせていただきます。
 松下忠洋先生は、昭和十四年二月九日、現在の薩摩川内市に、農家の六人兄弟の次男としてお生まれになりました。
 薩摩川内市は、川内平野のもと、東西に九州第二の流域面積を持つ川内川が流れ、山麓部には地盤の弱いシラス台地が分布しております。戦中戦後の日本が最も苦しかった時代にこの地で幼少期を過ごされ、先生の御実家も幾度となく台風や土砂災害に見舞われました。
 豊かな自然の恵みと相反する自然の脅威の中で、多感な少年期を育んでくれたのは、そこに暮らす人々の人情味あふれる深い郷土愛でありました。
 先生は、子供ながらに、地域の無残な光景を目の当たりにしながらも、嘆くことなく、安全な国土をつくることが自分の一生の仕事だと心に深く刻んでおられました。
 先生は、鹿児島県立川内高等学校を経て、京都大学農学部に御進学されました。京都大学では、持ち前のよく通る大きな声で応援団長として体育会を縁の下から支える一方で、幼き日に夢見た初志を貫徹すべく、崖崩れや土砂崩れを防ぐための専門知識を熱心に勉強されました。
 昭和三十七年、京都大学を卒業後、建設省に入省され、関東地方建設局を皮切りに、本省砂防課長等を歴任され、さらにこの間、外務省経済協力局に出向、その才量を国内外で遺憾なく発揮されました。
 昭和四十八年、インドネシア公共事業省に派遣された先生は、「海外協力とは、ただ援助の手を差し伸べることではない。ともに働き、ともに汗を流して実行するのが私のやり方」という現場を第一に優先する御信念のもと、JICAの最優秀プロジェクトにも選ばれた火山砂防技術センターの創設や、後のネパールでの治水砂防技術センターの創設などに取り組まれました。
 昭和五十一年、これらの事業が高く評価され、砂防界のノーベル賞とも呼ばれる赤木賞を受賞されたのです。弱冠三十八歳という異例の若さで砂防界最高の栄誉に浴したのであります。(拍手)
 そんな松下先生にとって大きな転機となったのが、平成三年に起こった雲仙・普賢岳の災害です。
 先生は、砂防部長就任早々にもかかわらず、すぐに現場に足を運び、不眠不休で各種調整に奔走し、指導力と決断力を発揮されました。
 しかし、法的制約により十分な対策を講じることができない状況に直面し、災害のない安全な国をつくるためには国政の場で働かなければならないということを痛感し、それが政界進出の契機となりました。
 平成四年、先生は、官僚生活に別れを告げられ、翌年七月、第四十回衆議院議員総選挙に立候補、見事初当選の栄冠を獲得されたのであります。(拍手)
 本院に議席を獲得されてからの先生は、主に農林水産委員会、災害対策特別委員会理事として御活躍になり、平成十六年から翌年にかけては、内閣委員長として立派にその職責を果たされました。
 また、政府においては、平成十年に農林水産政務次官、十三年には、新たに設置された内閣府の副大臣に御就任されました。
 殊に、発足間もない内閣府にあって、経済財政政策、男女共同参画、防災など多岐にわたる重要政策を御担当された先生は、今日の内閣府の礎をお築きになったと言っても過言ではありません。
 平成十七年、先生にとって大きな節目となる第四十四回総選挙がありました。郵政民営化に伴うこの総選挙では、無所属で臨んだものの落選を余儀なくされ、潔く後進に道を譲ろうと、一時政界からの引退を御決断されました。
 しかし、大きな志の実現を目指す気持ちの高ぶりを抑えがたく、四年の空白の後、平成二十一年、第四十五回総選挙において、見事再選を果たされたのであります。
 その後の松下先生の御活躍は目覚ましく、平成二十一年から二年半にわたり経済産業副大臣を務められ、その後、平成二十三年三月に発生した東日本大震災では、原子力災害現地対策本部長として、さらに本年二月は復興副大臣として、福島第一原子力発電所事故による災害の復興に取り組まれました。
 松下先生は、このときも現場第一主義を貫かれ、誠心誠意、全力で対応に当たられました。
 福島の原発事故直後から現地に入り、大部屋の真ん中に席を構え、職員とともに汗を流しながら、昼夜を分かたず指揮をとり続け、福島県内をくまなく歩き、常に、「一人の苦しんでいる人を助けられずして、一億三千万人を助けられない」という政治信条をもとに、全身全霊で事に当たり、強いリーダーシップを発揮されました。(拍手)
 また、被災地への職員派遣に際しては、未曽有の災害にともするとくじけそうになる職員を叱咤激励し、ともに泣き、ともに笑おうと、チーム一人一人への声かけや気遣いを忘れませんでした。
 困難な状況の中、政府と地元との連携を何とか保つことができたのは、ひとえに松下先生個人に対する各方面からの揺るぎない信頼があったからこそであります。(拍手)
 これをなし得たのは、先生の熱意、識見はもちろんですが、先生御自身が、薩摩の人間である自分が、戊辰戦争で苦しんだ福島県の復興に身命を賭すと心中かたく御決意されていたことを、私は後に知りました。
 このように、純粋な情熱と大いなる優しさを内に秘めた松下忠洋先生こそ、薩摩武士の気質を備えた、まさに薩摩隼人であったと私は思うのであります。(拍手)
 そして、本年六月、郵政民営化担当・金融担当大臣として初入閣を果たされました。まさに先生が政治生命をかけた課題「郵政」を担当する行政のトップとしてその手腕を期待されたそのやさき、先生は忽然といなくなってしまわれたのです。
 松下先生の座右の銘に「動くろくろに動かぬ心」という言葉があります。これは、ろくろの中に潜んでいる陶工の哲学から学ばれたもので、ろくろは絶えず同じ方向にぐるぐる回るけれども、心棒は動かない。不動の一点に心を置き、適切な逆の力を加えてこそ土は延び、壺はできる。人間も同じ。流れに抵抗する力を持って生きよという薩摩焼宗家第十四代沈寿官先生の言葉であります。
 沈寿官先生は、平成元年に日本人初の大韓民国名誉総領事を承認された陶芸家であり、作家司馬遼太郎さんの「故郷忘じがたく候」の主人公になった方でもあります。
 松下先生は、日ごろから人生の師と仰ぐ沈寿官先生の哲学や御偉業を通じて日韓関係にも心を砕いており、両国が互いに真の理解者となることで、近くて遠い国から、近くて近い国にならなければならないと御主張され、善隣友好の構築に力を注がれておられました。
 同じく第十四代沈寿官先生と親交のあった、当時内閣総理大臣である小渕恵三は、松下先生の日韓を思うこの熱意に打たれ、それが、平成十年十一月、鹿児島県で開催された初の日韓閣僚懇談会につながったのです。
 当時鹿児島では、同時に、遠い昔朝鮮半島から連れてこられ、高度な焼き物技術を持った陶工たちによる薩摩焼四百年祭も開かれており、その中心となったのが沈寿官先生でありました。
 閣僚懇談会終了後、小渕首相と金鍾泌首相は、薩摩焼発祥の地を訪問、見知らぬ薩摩の地で祖国をしのびながら、その技術を生きる糧としてしか生きてこられなかったかつての陶工たちに思いをはせ、親睦を深められました。
 この年は、十月に日韓両首脳によって、歴史認識問題に区切りをつけ、二十一世紀に向けて新たな日韓パートナーシップを構築しようと日韓共同宣言がなされ、韓国における日本の文化の開放や、二〇〇二年日韓共催のサッカーワールドカップの成功を誓い合った年でもありました。(拍手)
 その後、平成十三年、松下先生の呼びかけで、日本と韓国の市民が二千人集う、韓日職能文化交流会が市民レベルで実現しました。
 当時まだ初当選から間もなかった私もその交流会に参加をし、新たな日韓パートナーシップを築こうとした亡き父の思いを胸に、万感の思いを込めて、日韓新時代への期待を述べたのを覚えております。
 松下先生は、日韓関係ばかりでなく、建設省から外務省経済協力局へ出向したことをきっかけに、長年ODAを見続けてこられました。途上国での技術協力はもちろんのこと、人材育成や国境を越えた交流にも心を砕いておられました。
 特に、現地の第一線で働く若い青年海外協力隊員たちの努力と御苦労に共感し、彼らを支援するとともに、現場に行こうと、東南アジアや遠くアフリカの地にみずから足を運ばれました。
 そうした数々の出張に、私は、縁あって、松下先生と御一緒する幸運をいただきました。
 松下先生は、決して派手ではない、朴訥とした風貌の中に、控え目な語りの中に、日本人の信を伝えておられました。信頼が、言葉を超え、国境を越えてつながり合う、それこそが松下外交の真骨頂でありました。(拍手)
 そのような旅の傍らには、いつも優しくほほ笑む奥様、章子夫人の姿がありました。二人でいつも二人三脚、どんな困難も乗り越えてきたお二人は、特別な信頼で結ばれていました。家族のすばらしさ、大切さを教えてくださったのも、松下忠洋先生でありました。
 温容で愛情深く、誰に対しても優しかった松下先生のそのお姿を、もはやこの議場で目にすることはできません。
 松下先生、願わくば、あなたがこよなく愛した御家族をどうぞ温かく励まし、天国からお見守りください。そして、いつも日本の輝かしい未来を信じて突き進んだあなたのその不屈の精神が、いつまでも私たちの心に残りますように。
 我々議員一同は、松下先生の御遺志を継ぎ、震災からの復興、地域経済の安定と発展、諸外国との相互理解、そしてこの国の未来を担う子供たちのために全力を尽くしてまいりますことをお誓い申し上げます。
 ここに、ありし日の松下先生の面影をしのぶとともに、その御功績をたたえ、心からの御冥福をお祈りし、松下忠洋先生を愛し、支えてくださった多くの皆様に心からの感謝を申し上げ、追悼の言葉といたします。(拍手)

(後略)

[引用終わり] 


◎衆議院解散、第46回総選挙へ 羽田孜さん引退、改革新世代へ。「近いうちに信を問う」議員仕分け解散だ

2012年11月16日 20時55分31秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[首相]衆議院解散の詔書を読み上げる横路孝弘・衆議院議長、NHKニュース中継から。

 野田内閣は平成24年(2012年)11月16日(金)の午前8時15分からの閣議で、日本国憲法第7条により衆議院を解散する詔書(天皇の国事行為で、野田佳彦首相が副署)を決定しました。

 詔書は午後3時45分過ぎ、河内孝・内閣総務官(昭和57年自治省)から藤村修・内閣官房長官に手渡され、鬼塚誠・衆議院事務総長が折り目を付け、横路孝弘衆議院議長が朗読しました。

 自民党(保守合同前の前身政党含む)総裁ではない首相が衆議院を解散したのは現行憲法下で初めて。総理が「16日解散」を口にしたとたんのこの72時間の蜂の巣をつついた、衆議院、参議院、マスコミ、日経平均、東京為替市場の動き、インド首相訪日延期など、総理の解散権がすさまじい権力の源泉だということは、身をもって体験した方が多いでしょう。これが初めて、自民党総裁ではない首相が行使したということになり、歴史的な日になりました。これが日本の遅いけど、ようやく新しい一歩となりました。

 これで第45期衆議院(2009年8月30日から、鳩山内閣、菅内閣、野田内閣)は解散されました。政府はすみやかに臨時閣議を開き、第46回衆院選を2012年12月4日(火)公示、12月16日(日)投開票とすることを決定しました。

 今回の解散は、自民党と公明党が消費税増税法について「近いうちに信を問うべきだ」と主張したことに野田首相が14日(水)に応じたことに伴う解散。第45期衆議院では、二大政党の与党・民主党が野党・自民党の与党時代の悪行を徹底的に暴く事業仕分けで、情報公開を進めました。前世紀末からのIT革命(パソコンとインターネットによる情報通信技術の発達)により、 国民と国会議員の距離は近くなりました。例えば、twitterでは、「国会議員がこんなにバカなのか」と知る人が増えました。それもまた情報公開であり、国民と国会議員が近くなったという「偉業」です。

 この政治を国民の手に取り戻し、消費税増税について「近いうちに国民の信を問う」為政者(総理)の姿勢と有権者がそれにどう応じるか。そともう一つ、事業仕分けのその先にある、もっと根源的な議員仕分けをする。この2つが今度の選挙の争点だと、私は考えます。民主党の輿石東幹事長は「比較第1党をめざす」と述べ、過半数はとれなくても比較第1党になることで、衆参とも民主党が第1党になり、自民党、公明党とともに当面の安定した政権の中で、選挙制度を改革して「決められる政治」を目指す方針。いずれにしろ、自公も民主党も来夏まで参院で過半数をとれない状況が続きます。その中で安定政権をどうつくるかは極めて難しい選択であり、私たちは、家族、親戚、地域社会、職場で投票行動(選挙区、比例区、最高裁判所裁判官国民審査)を話し合うことが大事。さらに投票行動を統一させる仲間では責任を共有することで、政治への不安、不信を和らげる。そういう分かち合いが必要になります。仕分けされるのは議員であると同時に、有権者も同様です。自由(Liberty)には責任が伴います。権利と義務は表裏一体です。

 なお、0増5減法による新区割りの勧告とそれを反映した公職選挙法改正が間に合わないため、前回とまったく同じ区割り・比例ブロック・定数で選挙が行われます。

 そして、解散をもって、昭和44年初当選(獅子の会)、連続14期当選、在職43年の羽田孜さん、渡部恒三さん、森喜朗さんが引退しました。このほか、民主党では中野寛成さん、中井洽さんも引退しました。自民党では福田康夫さん、中川秀直さん、古賀誠さん、武部勤さん。公明党の坂口力さん、無所属の与謝野馨さんも引退しました。

 野田さんは第95代首相ですが、私たち民主党には第80代首相もいます。いうまでもなく、羽田孜さん(長野3区)です。43年間つとめた衆議院の最後の本会議にも、しっかりと出席しました。衆議院解散後には、長男の羽田雄一郎国土交通大臣(参院議員)がかけつけ、ごらんのように、羽田次郎秘書(次男)と3人で記念撮影。すばらしい羽田ファミリーです。

 
[写真]衆議院解散後に記念撮影する、左から羽田次郎秘書、羽田孜前衆議院議員、羽田雄一郎国土交通大臣(参院議員)、2012年11月16日(金)午後4時、国会内、筆者撮影。

 1992年、衆議院小選挙区制による政権交代ある政治を目指して、改革フォーラム21(自民党羽田派)を結成。政治改革関連法案を廃案にした宮澤内閣不信任案に賛成して、集団離党し、「新生党」結成。直後の第40回衆院選で勝利し、細川内閣に参画。その後、羽田内閣がわずか65日間に倒されました。この20年間、羽田さんは「政権交代ある政治」を唱え続けました。私も同様です。私がこの20年間、あきらめかけたことはあったけど、政権交代ある政治を言い続けることができたのは、羽田先生という権威(Majesty)があったからです。ついに見果てぬ夢「羽田首相再登板」はかなえられませんでしたが、政権交代ある政治、きょう初めて自民党総裁ではない総理が解散をしたことで、しっかりと日本に根付くはずです。改革第1世代から、改革新世代へ。仕分けの民主党の議員仕分けがなされます。

 
[写真]羽田孜先生と筆者、2012年11月16日(金)

 20年間、同じことを言い続ける。これは私は簡単なことに思います。ところが、他人を見るとどうやらそうではないようです。

 羽田先生と同じ、東京生まれの信州人であることを誇りに思います。政権交代ある二大政党政治を、私の一生をかけて、これからも命懸けで守り抜いていきます。

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11月15日(木)のつぶやき その2

2012年11月16日 01時13分22秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

#kokkai 参院厚労委で法案審査が終わりました。年金の物価スライド特例を廃止し、3党合意にもとづき年金特例公債を発行する法案と、3党合意の年金生活者支援給付金法案です。あすの参院本会議で可決・成立。かけ込みセーフで、12月14日以降の年金支給の財源が裏付けられました。

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#kokkai 特例公債法案が参院委員会で可決しました!

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#kokkai 衆院選0増5減と参院選4増4減の定数是正法案はともに参院特別委で可決しました。あすの参院本会議で可決・成立します。なお、衆院定数削減法案は審議されませんでした。これは自民党が反対しており、参院では否決される見通しなので、審議入り自体しなかったようです。

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#kokkai きょうは国会議事堂に行きたかったのですが、法案成立に懸念する有権者が多いこともあり、午前9時の衆院委員会から午後8時50分までインターネットで衆参をウォッチし続けました。うまく法案審査が進みうれしいです。#kokkai #niconico #seiji


とはいえ、この後すぐ午後9時から鉢呂吉雄・民主党選挙対策委員長がBS11番組に出演するのでそれを見ます。解散直前にこれだけ国会が動くなら、普段からやれ!と言いたいのは私だけではないでしょう。#kokkai #seiji



11月15日(木)のつぶやき その1

2012年11月16日 01時13分21秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

#kokkai あす解散となり、国会議事堂に馳せ参じたいところですが、特例公債法案と格差是正法案の仕上がりを気にしている有権者が多いので、きょうは両院の複数の委員会・本会議をインターネットで見ます。第45期衆議院では法案審査をていねいにみてきたので、私もしっかり仕上げていきます。


いよいよ明日、解散が決まりました。今朝は宿舎で最後の早朝書道教室。下手ですが、添付写真のような「福祉命」という字を書きました。私の政治の原点は福祉を良くしたいということ。今日、明日の国会日程の確定のため、今日も与野党協議に頑張ります。 pic.twitter.com/RYYrYtYf

国会実況 国会中継さんがリツイート | 35 RT

山井さん、写真反対ですよ。落ち着いてください。QT @yamanoikazunori いよいよ明日、解散が決まりました。今朝は宿舎で最後の早朝書道教室。~~今日、明日の国会日程の確定のため、今日も与野党協議に頑張ります。 pic.twitter.com/YNtLvStg

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#kokkai 参院の1票の格差を是正する「4増4減法案」が審議入り。二大政党参院幹事長の提出で、前国会で参議院で可決済み、衆院継続審査案件なので、衆院で可決すれば成立します。shugiintv.go.jp/jp/index.php

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今審議されている4増4減法案(公職選挙法改正案)は、参院の定数を福島、岐阜で減らし、神奈川、大阪で増やします。来年夏の半数改選で福島・岐阜が1人区、神奈川・大阪が4人区となります。#kokkai

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参院選の1票の格差を是正する4増4減(公職選挙法改正法案)は衆院委員会で起立多数で可決しました。参院先議なので、午後の本会議で成立する見通し。解散への環境がドンドン整ってきました。#kokkai

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参院定数是正法案が衆・委員会可決 きょう成立へ 第23回参院選から福島・岐阜1人区、神奈川・大阪4人区 goo.gl/EKBcM


【ニコ生視聴中(5分経過)】《「1票の格差」是正と定数削減》衆議院 倫理選挙特別委員会 nico.ms/lv115433117#05… #kokkai

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衆院倫選特では、衆院定数是正の民主党案(安住淳、松本剛明ら提出)と自民党案(細田博之ら提出)の両方が審議されています。定数削減入りの民主案と緊急是正の自民案。どう折り合いがつくのでしょうか。きょうの本会議で参院に送らないと間に合いません。#kokkai #senkyo

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「0増5減のみ」の細田法案(180衆法27号)と「比例の定数を40削減し全国ブロックにし一部連用制を導入する」民主党案(181衆法1号衆議院修正)が議題になっています。公職選挙法 nico.ms/lv115433117#23… #kokkai


これから議院運営委員会理事会がはじまります。

国会実況 国会中継さんがリツイート | 2 RT

0増5減法案が民自公の賛成で委員会可決しました。午後の衆院本会議で可決。参院委員会で審議入りし、あす午前の参院本会議で可決・成立する見通し。#kokkai

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一方、民主党案の「比例定数を40削減し全国1ブロックとし一部に連用制を導入する法案」は民主党、日本維新の会の賛成により可決。ただし、参院での過半数は維持できないことから、成立しない見通し。#kokkai

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「0増5減法案」が衆・委員会可決あす成立 12月衆院選は前回と同じ区割り 定数削減は参院不成立へ goo.gl/Fs4S3

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産経新聞 - 社民党本部、年内に移転 震災で一部損壊…耐震性に疑問 dlvr.it/2Tqfg7 #政治ニュース24

国会実況 国会中継さんがリツイート | 2 RT

#kokkai まもなく衆議院本会議が始まります。shugiintv.go.jp/jp/index.php

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#kokkai 衆議院本会議は松下忠洋さんへの弔詞朗読と追悼演説がされています。

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#kokkai 特例公債法案は民主党、自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で修正可決しました。きょうにも参院委員会で審議入り、あすの参院本会議で成立する見通し。平成27年度まで特例公債を発行することができますが、今年度補正や財政健全化目標の明示が次の政権に求める内容です。

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#kokkai 衆院本会議では国会議員の歳費2割(?)削減と議会雑費(委員長手当日6000円など)を削減(廃止?)する法案が緊急上程され、民自公などの賛成多数で可決しました。あすまでに成立する見通し。

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参院の4増4減法が可決し、成立しました。衆院の0増5減法案(細田法案)が可決し、参院に送られ、あす成立の見通し。定数削減(45削減など)法案は可決しましたが民主党などの賛成にとどまり、参院では成立せず廃案になる見通しです。衆院本会議は散会しました。#kokkai

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この後、衆院から参院に送付した「特例公債法案」、「定数是正法案」、「歳費削減法案」、「年金の物価スライド特例水準を解消し年金交付国債を発行する法案」、「年金生活者支援給付金法案」が合計3つの参院委員会で今夜中に審査する見通しです。webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

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#kokkai 参議院厚生労働委員会が始まりました。webtv.sangiin.go.jp/silverlight/in…

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参議院倫理および選挙制度特別委員会も開会しました。これで3つの委員会で今夜中に法案審査がすめば、あす午前の参院本会議で成立。午後の衆院本会議で衆議院解散となります。webtv.sangiin.go.jp/silverlight/in…

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【訂正】参院の4増4減法案は会期をまたいでいるので、参院委員会で可決、本会議で可決してあす成立します。きょう衆院本会議で成立した法案はありません。失礼しました。RT @kokkai_live 参院の4増4減法が可決し、成立しました。#kokkai

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◎0増5減法案があす成立 12月衆院選は前回と同じ区割り 定数削減は参院不成立へ

2012年11月15日 12時36分24秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

【衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会 2012年11月15日(木)】

 参院の定数是正4増4減法案可決後に、加藤公一委員長が再開を宣言。自民党の細田博之さんらが提出した「0増5減緊急定数是正法案」(180衆法27号)と民主党の安住淳さんが提出した法案(181衆法1号)が同時に議題になりました。

 両案の趣旨説明は、自民党案は細田博之さん、民主党案は松本剛明さんが担いました。この後すぐに、民主党の逢坂誠二さんが修正案を提出し、民主党案から「0増5減」の削除を提案し、「0増5減」に関しては細田案が独立する格好になりました。

 採決の結果、「0増5減」は、民主党、自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。午後の衆院本会議で可決し、参院に送付。今日中に参議院政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会(轟木利治委員長)で審議し、あすの参院本会議で可決・成立する見通し。これにより、1票の格差是正のために国会としてできる最低限の努力ができたことになります。

 一方、分離した民主党案の「さらに比例を40議席削減し比例を全国ブロックにして一部連用制を導入する法案」は民主党と日本維新の会の賛成多数で可決しました。しかし、この人数では参院の過半数に及ばないため、この法案は参院で成立しない見通し。 

 第46回衆議院議員総選挙(2012年12月4日公示、16日投開票)は、減員の対象となっている5つの県を含めて、前回と同じ選挙制度(ルール)で行われることが確定的になりました。

 300小選挙区と比例代表180の定数480議席。小選挙区は個人名の単記式、比例代表は政党名の単記式の2枚投票で、小選挙区比例代表並立制。比例区は引き続き、全国11ブロックのドント方式による議席配分で、小選挙区落選者の比例復活あり。小選挙区供託点以下候補者は比例復活不可能、という第45回総選挙とまったく同じ方式で行われることになりました。

 0増5減法は公布日に施行されますが、衆議院選挙区画定審議会による2010国勢調査を踏まえた新区割りによる公職選挙法改正が解散後で不可能なことから、新制度は第47回総選挙以降に持ち越されます。

 残念な面もありますが、国会が法律を成立させることで、選挙は「違憲状態だが有効」になると思われ、最高裁が選挙のやり直しを命じることはないと考えられます。 

 2012年11月14日(水)の党首討論で、野田佳彦首相(民主党代表)は安倍晋三自民党総裁は2013年通常国会での定数削減についての文書での約束を提案し、直後の自民党役員会で受け入れを表明したことから、きょうあす中にも、公党間の覚書が成立すると考えられます。この覚書のような文書は総選挙結果による党首交代があっても有効なものでなければならないことは、野田さんと安倍さんの約束であると同時に、全主権者が二大政党につきつけた約束であることは言うまでもありません。

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◎消費税増税で近いうちに国民の信を問うため野田佳彦首相、あさって衆議院解散へ

2012年11月14日 18時05分47秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]NHKニュース7から。

 野田佳彦民主党代表(首相)は(1)特例公債法案が成立し(2)自民党が来年の通常国会で定数削減に協力することを確約することを条件に、2012年11月16日(金)に衆議院を解散することを明言しました。衆議院解散は戦後23回目。党首討論での安倍晋三・自民党総裁への答弁。民主党代表である首相が衆議院解散時期を明言するのは立党以来初めて。報道によると、自民党は役員会で首相の提案を受けることを決定しました。

 2日前に解散を明言することで、自民党と公明党との選挙後の協力関係を構築するのがねらいとみられます。小学生の時、通知表で「正直のうえに馬鹿がつく」と先生から言われた野田首相は8月8日(水)に消費税増税について「近いうちに国民の信を問う」と自民党総裁(谷垣禎一さん)、公明党代表(山口那津男さん)に明言しており、消費税増税について、国民の審判を仰ぐとともに、3党の約束を守ることで、選挙でたとえ倒れても前に向かって倒れ、参院第一会派として、衆院野党第1党として「次の次」をめざす構え。8月8日に発言は小沢一郎氏が参院での採決前に衆院に不信任案を出すというトリッキーな国会戦術に谷垣さんがまたしても翻弄された格好でしたが、谷垣さん、山口さん、野田さんの信頼感で、政党助成金がでない小沢一郎氏の息の根を止め、小沢グループを根絶やしにする「小沢根絶やし解散」と名付けてもいいでしょう。大事な政策について主権者たる国民の審判を仰ぐ、日本の議会制デモクラシーの、また新しい出発の年となります。

 民主党は同日、第180通常国会に提出したものとまったく同じ「1人別枠方式を廃し、衆院定数を0増5減し、第46回総選挙から比例定数を40削減し全国比例にする法案」を国会に提出しました。この法案は8月28日(火)に衆議院で可決していることから、このまま解散総選挙になだれ込んでも、最高裁が第46回総選挙のやり直しを求めることはない見通し。選挙は現行定数480で、300小選挙区の現区割りで施行する見通し。

 2012年11月16日(金)に参議院で特例公債法が可決・成立した後の、衆議院本会議で解散詔書が発せられる見通し。野党が提出すると思われる野田内閣不信任案は上程したうえで、採決前に解散する議事日程を組むことが確実と思われます。解散は夜遅くなる見通し。羽田孜さん、森喜朗さん、中川秀直さん、中野寛成さんらにとってはこの日で引退となります。

 第46回衆議院議員総選挙は、最高裁判所裁判官国民審査とのダブル選挙になります。

 投票日は12月16日(日)の見通し。与党からすれば抜き打ち的に早く12月9日にやった方が有利ですが、12月16日は有権者の1割が都知事選とのトリプル選挙になることから、16日投開票の可能性も高く、今後高度な政治判断が必要となります。午後6時過ぎの夜の政府・民主三役会議で決定する見通し。

 11月16日(金)解散。

 11月29日(木)都知事選告示。

 12月4日 公示。

 12月9日(日) 選挙サンデー。

 12月16日(日) 第46回衆院選、最高裁裁判官国民審査、都知事選。

 民主党、自民党、公明党らの党首会談。

 12月下旬 第181特別国会召集。

 ということになりそうです。(未確定)。

 我が党は第46回衆議院議員総選挙に向けて、「今と未来に、誠実でありたい。」とするCMをあすから放送します。

 我が党は、岡田克也幹事長・輿石東幹事長が150億円の政党基金をつくってきましたから、どうぞご安心ください。一方、党を壊した小沢一郎氏率いる国民の生活が第一には政党助成金が出ないので兵糧がない白兵戦になるのは確実。 仲間の大事さを痛感できる選挙になるでしょう。そして有権者一人一人にとっては、当事者意識を持つのは当然で、当事者能力を求められることになる選挙です。選挙ごとに投票先を変える「その都度支持者」は政治を不安定にさせる元凶であることを自覚すべし。私たちは短いメッセージで方向性を示す説得部隊にならないといけません。



 政治が足の引っ張り合いをしている場合ではありません。

 私たちは思います。

 今と未来に、誠実でありたい。

 これからのこの国は大きな決断をいくつもしていかなければなりません。どちらが正しい、どちらが間違っていると決めつけにくいものばかりです。

 魔法なんてありません。地道にねばり強く、一生懸命にできるだけ多くの人がうなづけ合える一点を見つけ出す。

 私たちは、民主党です。

 3年前と違い、雨の中での戦いです。しかし、雨天の友をみつける機会です。あるいは景気の現状を考えれば嵐です。ただ、9月などの鉱工業生産を見れば、来年1月以降にはもっと大きな嵐になります。補正予算を組む財源も少ない。しかし、この国は大きな決断をしていかなければなりません。そのための足腰の強い説得部隊になる。傍観者であれば分け前に預かる時代は遠く過ぎ、当事者意識を持つのはもちろん、当事者能力が問われる時代になりました。しっかりとした候補者を見抜く。短いメッセージで政策を発信して、行動してもらえるオピニオン・リーダーになる。世間にも子孫にも後ろ指を指される生き方をしない。その野田佳彦の生き様をみんなが支え、メッセージを発信する。その能力が問われる。それがこの第46回衆院選です。

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小泉政権のツケ「物価スライド特例」国会が是正へ 消費税8%時現金給付法案も可決 衆厚労委

2012年11月14日 12時21分22秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]左上から時計回りに小泉純一郎首相(首相官邸ホームページから)、山本孝史・元民主党参議院議員(山本孝史ホームページ)、岡田克也副総理(内閣府)、小泉進次郎衆議院議員(自民党ホームページ)。

【衆議院厚生労働委員会 2012年11月14日(水)】

 長妻昭委員長が午前9時に開議。さっそく三井辨雄(みつい・わきお)厚労大臣が2本の法案を趣旨説明しました。

 国民年金法改正案(180閣法26号)

 年金生活者支援給付金法案(180閣法83号)

 の2本です。

 このうち、国民年金法改正案は前国会中に内閣修正がかかっています。これは6月15日の3党合意にもとづき、平成24年度予算から年金交付国債を削除し、年金特例公債につけかえるという修正です。さらに、きょうの大臣趣旨説明の直後に、民主党・無所属クラブ・国民新党から衆院修正案(後藤斎さんら発議)が提出され、岡本充功さんが読み上げました。

 これにより、小泉内閣など自民党清和会政権時代に発動されなかった物価スライド(デフレ期だったので給付額下げ)が発動されることになります。国民年金月7万円の人ならば、1000円近く下がると認識しています。

 その一方、3党合意に基づき提出されていた年金生活者支援給付金法案は消費税8%時(2014年4月)から、国民年金月7万円の人に7000円程度の現金を(積立金ではなく)税金から支給する法案です。

 両法案はすでに3党合意済みで、今国会中に成立し、施行する見通し。なお、日本共産党の高橋千鶴子さんは「(小泉内閣以来)10年間生じた特例水準のかい離を3年間で解決しようとしている」ことは急すぎるとの認識を示しました。

 法案は昼過ぎ、国民年金法改正案は修正可決、年金生活者支援給付金法は原案通り可決されました。長妻委員長があすの衆院本会議で委員長報告(「修正」と「可決」)をし、本会議でも可決し、参議院に送付する見込み。

【小泉純一郎・進次郎、山本孝史・岡田克也の長い道】

 わが党の思い出に残る第159通常国会(年金国会)。1月召集から3月末までしっかりと予算成立に協力した上で、4月からの後半国会にテーマを作りチームプレーで政府を「至誠にもとるなかりしか(言行不一致はないか)」と攻めて攻めて攻めまくった健全野党、民主党の青春。攻めて攻めて攻めまくった菅直人代表は自らの年金納付記録の備えにていねいさを欠き辞任しましたが、後を継いだ岡田克也代表が閉会後の第20回参院選で立党以来初の国政第一党になりました。


[写真]第162回国会(郵政国会)の「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」にのぞむ、民主党の山本孝史さん(左)、岡田克也代表(右)、山本たかしさん公式ホームページ

 この会期末、2004年6月3日(木)の参議院厚生労働委員会で「初代年金王子」の山本孝史さんが2004年年金改革法(100年安心プラン)の質疑に立っています。

[国会議事録データベースから引用はじめ]

○山本孝史君 三回厚生大臣をおやりになって、大臣のときに年金改正があったかどうか、ちょっと私、記憶にないんですが、健康保険はあったこと承知していますが、今お口にされました物価スライドということとマクロ経済スライドと、これは意味は同じですか、違いますか

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 経済全体のそのマクロ的な観点からいえば、年金とは違いますよ、それは。

○山本孝史君 違うんです。これは、厚生省が巧妙なんです。スライドという言葉を使っているから、総理もそうだと思うんです、皆さん、最初、物価スライドとか賃金スライドと同じものだと思ったんです。でも、マクロ経済スライドという言葉は物価スライドとは全く意味が違うんです。そこ、ちょっと、申し訳ないけれども、ちょっと時間止めていただいて、総理にまずそのことをあそこで理解してもらってください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは違うと今言ったでしょう、今違うと答弁したでしょう、違うと。(発言する者あり)

○山本孝史君 済みません。だから、どう違うかということを総理はどう理解しておられるか、恐れ入ります、御自分の言葉で……

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それはね、専門家に聞いてください、専門家に。(発言する者多し)

[引用終わり] 

 このように小泉首相は物価スライドがなにか理解しておらず、挙げ句の果てに「専門家に聞いてください。専門家に」と発言しています。

 年金が最大の争点となり国会が閉じ、この5週間後、わが党は立党以来初めて国政選挙で改選第1党に躍進しました。


[画像]立党以来始めての国政選挙第1党になった民主党の岡田克也代表、2004年7月11日、翌日付日本経済新聞から。

 山本さんは1997年の第140通常国会で衆院厚生委員会で岡田克也筆頭理事と山本孝史次席理事で新進党コンビを組み、小泉厚相と相対峙しています。委員長は町村信孝さん、自民党側筆頭理事は津島雄二元厚相でした。

 このとき、コンビを組んだ、岡田克也さんは第180通常国会の2012年2月10日(金)の衆院予算委員会で「年金の物価スライド、これは既に制度としてあるもの、残念ながら最近それがきちんと運用されてこなかったということであります。年金は、物価が上がればそれに応じて上がる。今度の消費税五%上げるというときにも、それに応じて年金の給付額は上げるということも織り込んでいるわけでございます。下がったときには下げる。そして、の下げるべきものが下がっていなかったので、今回きちんと下げるということであって、上げるときには、物価が上がったときには上げる。物価が下がったときには上げないということでは、これは次の世代にみんな負担をかぶせるだけでございます。そういう意味で、これはルールに基づいてやっているということでございます」と答弁しています。

 岡田さんは物価スライドにより、デフレ時には年金支給額と保険料は下げるべきだとしています。そして、過去にきちんと発動していなかったので、ツケが真我照って将来世代に負担をかけていると小泉内閣の対応を批判しています。

 実は、初代年金王子は年金国会で、「物価スライドを発動しないでくれ」と主張しているんです。それは彼の当時の選挙区、大阪の経済状況の厳しさをダイレクトに国会にとどけようとしたのでしょう。かつて、小泉厚相、町村厚生委員長、津島筆頭と100時間審議でわたりあった岡田筆頭は山本さんに厳しいように思えますが、それ以前の問題です。それは、小泉さんが首相になっても、物価スライドを知らずに、「専門家に聞いてください。専門家に」と厚生官僚に丸投げした姿です。これは、日本国憲法第83条の「国の財政を処理する権限は、国会の議決にもとづいて、これを行使しなければならない」に違反しています。「官僚の議決にもとづいて」ではありませ。だれか小泉さんを憲法違反で訴えてください。

 残念なことがありました。先週11月7日(水)の衆・内閣委の一般質疑です。岡田副総理が、「年金の2・5%の特例の法案、これは急いでやるべきでぜひ自民党にもご協力いただきたい」と述べたところ、小泉進次郎さんが「もちろん特例公債法案は私も早く成立させると考えています」と答える場面がありました。岡田さんは小泉首相のツケである2・5%分の物価スライド未発動分の特例水準を廃止する180閣法26号を成立させて財政健全化を進めたいと協力を求めたところ、進次郎さんは「特例」と聞いて「特例公債法案」(181閣法1号)と取り違えてしまいました。1期生の進次郎さんを憲法83条違反ととがめるほど、私も大人げなくありません。ただ、父親のツケは世襲しないで、地盤とカバンを世襲しているのは納得いかない。進次郎さんは岩手4区に国替えしたらどうなんだ。

国会会議録データベースから引用はじめ] 

平成十六年六月三日(木曜日)

   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二日
    辞任         補欠選任
     宮崎 秀樹君     愛知 治郎君
     小池  晃君     池田 幹幸君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     池田 幹幸君     小池  晃君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         国井 正幸君
    理 事
                武見 敬三君
                藤井 基之君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                遠山 清彦君
    委 員
                愛知 治郎君
                有村 治子君
                金田 勝年君
                佐々木知子君
                斎藤 十朗君
                田浦  直君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                浅尾慶一郎君
                朝日 俊弘君
                大脇 雅子君
                柳田  稔君
                山本 孝史君
                渡辺 孝男君
                井上 美代君
                池田 幹幸君
                小池  晃君
                福島 瑞穂君
                西川きよし君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       厚生労働大臣   坂口  力君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  山崎 正昭君
   副大臣
       厚生労働副大臣  谷畑  孝君
       厚生労働副大臣  森  英介君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       竹本 直一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       総務省行政評価
       局長       田村 政志君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       厚生労働省政策
       統括官      水田 邦雄君
       社会保険庁長官  真野  章君
       社会保険庁運営
       部長       薄井 康紀君
       農林水産大臣官
       房審議官     山田 修路君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   増田 峯明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。(中略)

○委員長(国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。(中略)

○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。
 この委員会で二回目の質問に立たせていただきますけれども、私は、今国会、年金国会と言われておりますけれども、この年金のことについて議論をする国会という場、それはある意味では、この審議は国会の権威を高める、あるいは国会の権威をしっかり守っていく、そういうことも意識しながらこの委員会審議にも臨んでいかなければいけない、そういう思いでやってまいりました。その点において、前回申し上げましたけれども、私は大変に悲しい思いをしております。一つは地方公聴会でございます。
 地方公聴会が開かれたと聞けば、何か審議をよくやっているな、こういうふうに聞こえるかもしれません。しかし、総理、御存じでしょうか。この地方公聴会は新横浜、新幹線の新横浜駅のすぐそばのホテルで行われました。新横浜といえば、今やもう東京の通勤圏でございます。新幹線に乗ればわずか十五分で行けるようなところで、これが地方公聴会をやったという、正に形だけを取る与党の皆さん方のこのやり方というのは、私はやっぱり国民をだましているというふうに思います。

(略)

○山本孝史君 一方的にそうして決めていかれると、私、今こう御質問申し上げて、自民党の先生方もそうだねと、参考人もやる方がいいねと、中央公聴会、これほどの重要な法案で、これから先、これまでですと五年に一遍財政再計算で国会で審議をしてまいりましたけれども、そういうことがやらなくてもいいという法律の立て方になっていますから、そうすると、年金というものがこれから先国会で議論されるということは約束されているわけでもない。そういう意味で私は、一〇〇年安心プランと言うならば、今回こそしっかりとした議論をすべきだと、こう思っています。一方的に委員長がそういうふうに仕切られるということについて、私は強く抗議を申し上げたいと思います。
 私、五年前に衆議院議員でございました。そのときも残念ながら年金法案は自民党と公明党の連立政権の下で強行採決されました。今回もそういう動きになるのではないかということを大変に心配をしております。度々に指摘をしておりますけれども、政府の責任は極めて不十分、あるいは意図的に年金制度がどうなるかということについて国民に説明を回避していると思っています。このことも私は大いに反省をしていただきたいと思います。
 もう一点、大変悲しい思いをしておりますと申し上げましたのは、国会議員の中に国民年金の保険料未納あるいは未加入である方が大変に多いということです。それは、残念ながらこれは社会保険庁の制度の運営がまずい、あるいは年金制度が複雑である、そういった事態の中で起こってしまったという方もたくさんおられるというふうに思います。私どもの菅代表もそんなお一人だったと思っております。しかしながら、そのときに、私は国会議員としてどういう姿勢を取るべきかということを前回も申し上げました。それは、自らが国民年金の加入状況というものをよく把握をして、万が一そういう事態にあるならば、そのことを国民に公表して謝罪をして、そして委員会の審議なりあるいは国会の採決なりに臨んでいく、これが国民に信頼される国会の運営の在り方であると、こう申し上げてきたわけであります。
 しかしながら、今日ここにこうやってお座りの委員の皆さんの中に、とりわけ自民党の皆さん方の中に、昭和六十年以降、国民年金加入が義務化された以降で、かつ国会議員になって以降の年金保険料の納付状況を公表しておられない方がおられます。私の調査が間違っていれば後で訂正をさせていただきますので、その方は是非委員長のところに私はちゃんと納めているということを申していただければと思いますが、各新聞社等の調査によりますと、ここにおられますところの中原先生、それから今日は宮崎先生の代わりにお座りの愛知先生、そして有村先生、伊達先生も私は調査しましたけれども、分かりません。もし……
   〔伊達忠一君「新聞社、テレビに答えています」と述ぶ〕

(略)

○山本孝史君 三回厚生大臣をおやりになって、大臣のときに年金改正があったかどうか、ちょっと私、記憶にないんですが、健康保険はあったこと承知していますが、今お口にされました物価スライドということとマクロ経済スライドと、これは意味は同じですか、違いますか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 経済全体のそのマクロ的な観点からいえば、年金とは違いますよ、それは。

○山本孝史君 違うんです。これは、厚生省が巧妙なんです。スライドという言葉を使っているから、総理もそうだと思うんです、皆さん、最初、物価スライドとか賃金スライドと同じものだと思ったんです。でも、マクロ経済スライドという言葉は物価スライドとは全く意味が違うんです。そこ、ちょっと、申し訳ないけれども、ちょっと時間止めていただいて、総理にまずそのことをあそこで理解してもらってください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは違うと今言ったでしょう、今違うと答弁したでしょう、違うと。(発言する者あり)

○山本孝史君 済みません。だから、どう違うかということを総理はどう理解しておられるか、恐れ入ります、御自分の言葉で……

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それはね、専門家に聞いてください、専門家に。(発言する者多し)

○委員長(国井正幸君) 厚生労働大臣。坂口厚生労働大臣。(発言する者あり)坂口厚生労働大臣。坂口厚生労働大臣。(発言する者あり)

○国務大臣(坂口力君) まあ総理が、総理が全部が全部お答えになられるというわけじゃありませんから……

○委員長(国井正幸君) 坂口厚生労働大臣、どうぞ。

○国務大臣(坂口力君) まあ全部が全部総理が御理解いただいておるわけじゃありませんから私が申し上げたいというふうに思いますけれども、それは、物価スライドとそれからこのスライドとは違います。
 このスライドの場合には〇・九%ずつ現在の物価スライドから引いていくわけでありますから、そこは二〇二三年まで違うわけでございます。(後略)

国会会議録データベースから引用いったん終わり]

国会会議録データベースから引用再開] 

第180国会2012年2月10日(金)衆議院予算委員会

(前略)
○岡田国務大臣 今言われた中で、まず年金の物価スライド、これは既に制度としてあるもの、残念ながら最近それがきちんと運用されてこなかったということであります。
 年金は、物価が上がればそれに応じて上がる。今度の消費税五%上げるというときにも、それに応じて年金の給付額は上げるということも織り込んでいるわけでございます。下がったときには下げる。そして、その下げるべきものが下がっていなかったので、今回きちんと下げるということであって、上げるときには、物価が上がったときには上げる。物価が下がったときには上げないということでは、これは次の世代にみんな負担をかぶせるだけでございます。そういう意味で、これはルールに基づいてやっているということでございます。(後略)

国会会議録データベースから引用おわり]

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◎ヤッターー!特例公債ついに解決 2015年まで発行法で 3党合意 執行凍結解除へ

2012年11月13日 21時21分12秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]修正特例公債法について3党合意した、民主党の細野豪志(中)、自民党の甘利明(中央左)、公明党の石井啓一(中央右)の3党政調会長ら=国会内、民主党ホームページから。

【特例公債法成立へ 2015年度まで】


 民主党ホームページによると、民主党・自民党・公明党の3党の政策調査会長は2012年11月13日(火)、3党確認書を交わしました。「特例公債法案(財政運営に必要な財源を確保するための(財政法第4条の)特例公債法案)」(181閣法1号)について、修正して成立させることに合意。平成24年度から27年度(2015年度)までの特例公債の発行を「財政健全化のために中長期的に持続可能な財政構造を確立すること」を本則に書き加えて、付則に「今年度補正予算で政策的経費(と義務的経費)を含めた歳出の見直し」のうえで今年度当初予算の38兆3350億円の「特例公債発行額を抑制する」と書き込みます。

 あすの党首討論後の衆議院財務金融委員会で修正案が提出され、しめくくり総括質疑の後、3党の賛成多数で修正可決。金曜日の本会議で可決し参院に送付し、早ければ来週にも成立する見通し。地方交付税などの国の執行抑制が解除されることになりました。第22回参院選「逆転の夏」から2つの通常国会の最大のネックにようやくピリオドが打たれます。バンザイ!というより、ホッとしました。

【地方交付税などの執行抑制解除へ、今年度の生活保護減額補正はなし


 3党合意には、民主党の細野豪志・政調会長、細川律夫・政調会長代行、自民党の甘利明・政務調査会長、中谷元・政調会長筆頭代理、公明党の石井啓一・政務調査会長の5人の衆議院議員が参加しました。

 今後は、3党合意に基づく、減額補正が焦点となります。その一方で、9月前後から鉱工業生産が激しく落ち込み、消費支出も「可処分所得が増えながら支出は減る」という将来見通し不透明な世界不況から世界恐慌と向かいつつある年明けに向けて、景気対策は急務。しかし、執行抑制しているとはいえ、すでに11月ですから、削りしろは極めて少なく、大幅な減額は地方交付税か、生活保護国庫負担金ぐらいになってきます。

 3党合意後の午後6時過ぎから始まった岡田克也副総理の定例記者会見では、土曜日に生活保護費を新仕分け(内閣府行政刷新会議主催)の対象にすることについて、「年度ごとに制度が変わり、その中で費用があります」として「生活保護の今年度の減額は常識的にはあり得ない」と明言しました。法律を重視する岡田さんの原理主義に加えて、公明党が3党合意に入ったことに一定の配慮を示したとも見て取れます。

【2010年反省の夏以来の最大の懸案が解決したが、国会による政府に対する財政民主主義はより問われる】


 これにより、平成23年度特例公法成立とひきかえに菅直人内閣が総辞職した不毛な政局の連鎖を断ち切ることができました。元々2010年7月に衆参がねじれて以来、2011年1月からの第177通常国会で民主党の岡田克也幹事長が最大の懸案事項として自民党、公明党の幹事長に国会法改正などを提案していました。歩み寄りの気配がありましたが、3月11日に大震災が発生してしまい、政治的空白が生じました。これは、震災を口実にしているのではなく、震災が最大の要因だったのは間違いありません。8月9日の3党合意(マニフェスト4kの政策効果の検証)を経て8月22日に成立し、菅さんが辞めました。そして、今年の第180通常国会では、延長会期を9月8日に設定した後に、安住淳財務大臣が「11月上旬にも財源が枯渇する」と事実上9月8日の会期内に成立させなくてもいいと答弁し、解散や総辞職から野田首相を救出する「淳が総理を神隠し」で、地方自治体には迷惑をかけましたが、ついに連鎖を断ち切ることに成功しました。国民から選ばれた国会が政府の予算をコントロールする財政民主主義の原点に戻ることができました。とはいえ、発行3年目となった昭和52年度特例公債法案に対する代表質問での青年代議士・中野寛成さんの「国の出先機関改革ができていないのに、特例公債を発行している場合ではない」との質問演説は、今も全国会議員に匕首をつきつけています。

【社会保障制度改革国民会議も発足、来年8月までに年金の将来像決定へ】

 これとは別に、6月15日の3党合意に基づく社会保障と税の一体改革関連8法のひとつ、社会保障制度改革推進法(平成24年法律64号)に基づく「社会保障制度改革国民会議」(定員20人)についても、自民党からも名簿が出て、野田佳彦首相が委員を任命する段取りで合意し、近く発足し、来年8月に向けて、社会保障の将来像を議論することになりました。1階に基礎年金(半分は税金)、2階に国民年金ないしは厚生年金ないしは共済年金が乗る現行制度(自公方式、2004年年金改革法)か、それとも、1階に最低保障年金(全額消費税など税金、高所得者はゼロ)、2階に所得比例年金(低所得者はゼロ)が乗り最低保障機能を高めた民主党方式か、あるいは折衷案かを議論します。これは、衆議院社会保障と税の一体改革委員会の野党筆頭理事を務めた自民党の伊吹文明さん(イブキング)のアイディアで、3党が合意しづらい分野を「棚上げ」したものです。棚上げとは言っても、しっかりとした品物を棚から降ろすように注意深く見守りたいところです。

【解散より補正だ】

 次は、景気対策のための歳出の増額と財政健全化のための歳出の減額。いずにしても補正が必要です。財源はどうするかということですが、財務省所管特別会計の外国為替資金特別会計(外為特会)の積立金20兆円が既に日本円になっているお金なので、為替市場にも影響を与えませんから、活用できるかもしれません。場合によっては、「国民の信」という権力で切り崩すという気構えが責任政党に問われるかもしれません。いずれにしろ、もう傍観者を決め込む国民は一人もいないでしょう。テレビ画面上のNHKアナウンサーくらいです。そして、当事者意識だけではもうダメです。当事者意識から当事者能力へ。そなえよつねに。子や孫の世代に後ろ指を指されない国民になる。そのために、何をなすべきか、一家族、一家族に問われてきます。

 来年度予算を組み上げるまで、衆議院解散・総選挙で政治空白をつくっている場合ではありません。互いに危機感を持ちましょう。 

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「解散どうやって追い込むのか逆に教えてほしい」と迷走 NHK日曜討論 各党国対委員長に聞く

2012年11月11日 10時43分06秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]山井和則・民主党国会対策委員長、民主党ホームページから。

 NHK日曜討論で朗報が2つ。特例公債法の成立が確実となり、国民会議の(国民の生活が第一を排除した)民自公3党の名簿による設置も確実な情勢であることが分かりました。

 その一方で、野党が明日からの衆議院予算委員会で「聞きたいことが山ほどある」として戦術を絞りきれておらず、番組には自民党国対委員長が「どうやったら早期解散に追い込めるのか、逆に(政府与党が)予算委員会で教えてほしい」と発言するなど、野党が戦術的に大混乱している気配を感じました。

 2012年11月11日(日)のNHK日曜討論は中盤国会を控えて与野党国会対策委員長が対決。民主党の山井和則国対委員長、自民党の浜田靖一国対委員長にとっては、秋の党首選後人事異動で就任後の初出演。司会は島田敏男・NHK解説委員。NHKは今週の月曜日、火曜日、水曜日に連続して国会中継を放送します。

 特例公債法案(181閣法1号)について、山井さんが「15日(木)の衆議院本会議で通過させる」と断定調で話すと、浜田さんも「(衆議院)予算委員会を(月曜日、火曜日の)2日間開くことになったのでしっかりやっていきたい」と応じましたので、衆参での可決・成立は確実になりました。

 昨年3月の最高裁大法廷判決と2010年国勢調査(センサス)を反映する「1票の格差是正法案(衆議院選挙区画定審議会設置法と公職選挙法の改正法案)」(今国会未提出)について、山井さんは「最高裁判決が求めているのは、違憲状態を解消することであり、法案を通せばそれで良いとは言っていない」と発言。島田さんが「(0増5減に加えて2010国調に応じて区割り変更をした)295選挙区で(第46回衆院選を)実施すると言うことか」と確かめると、山井さんは「そうです。ただし、総理の解散権は(憲法第7条の天皇の国事行為であり苫米地訴訟の統治行為論の判例があるので)制約されない」としました。この山井発言からすると、今月に法案が成立した後、区割り審(内閣府衆議院選挙区画定審議会)が動きだし、1人別枠方式(0増5減)を廃止したうえ、他の42都道府県も含めて2010国調にもとづく、新区割りを作成し、知事の意見を聞き、内閣総理大臣に勧告するのは、年明けになります。この後、勧告を受けて、衆参で公職選挙法改正をしたうえで、施行することになります。ただ、これについては、勧告の時点で周知期間が始まり、改正公選法施行は、(衆議院解散日ではなく)憲法第7条により天皇陛下が第46回衆院選公示日に法施行することもできます。ですから、このスケジュールでも年明けの早い時期の解散総選挙は可能です。

 これに対して、弁護士でもある漆原さんが「三権分立の観点からして、(法案が成立すれば最高裁は)抑制的な判断をするだろう」と語りました。これは同党が早期解散を求めていることに伴う発言。

 6月15日の3党合意に基づき、法案が提出され、成立、公布、施行された社会保障制度国民会議設置法については、浜田さんが「名簿を早く出すよう努力している」とし、山井さんが「自民党から名簿が出れば近いうちに設置できる」として、早期設置に前向きだった公明党とあわせて3党の名簿がそろい、政府が閣議決定などで設置する見通し。これに関して、3党合意後の院の構成の変化で衆院第3会派になった国民の生活が第一から異論は出ませんでした。解散風のおかげで、懸案が一つ片づきます。

 みんなの党の山内康一さんが「特例公債法案の成立を、国会の議論より優先してほしいという民主党の対応は、問答無用であり、傲慢だ」と批判したところ、山井さんは「今国会が問われている」と強気で言い返しました。

 月曜日と火曜日の予算委員会については、野党各党はさまざまな問題点を挙げて、「少ない時間で何を聞こうかと悩んでいる」(山内さん)、「いっぱいあって挙げきれない」(浜田さん)と語り、戦術を絞りきれていない気配を感じました。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長が「復興の遅れは民主党の責任で、(復興予算の)流用を認めたのは復興基本法をつくった民主党、自民党、公明党の各党の責任だ」と批判すると、浜田さんは「震災復興の遅れなんていうのは、政府の責任に決まっているじゃないか」と声を荒げました。

 このブログでも再三再四指摘していますが、野党の国会戦術は「内閣が低支持率で任期満了まで(確実に与党が負けるので解散ができないように)追い込む」のかあるいは「内閣総辞職に追い込む」のかのいずれかであり、自民党が言っている「早期解散に追い込む」ことは絶対的にあり得ない戦術だとしてきました。  

 島田解説委員が国会カレンダーを見せながら「どうやって解散に追い込むのか」とただしたところ、浜田さんは「なぜ(181臨時国会の会期を33日間という)1ヶ月の設定をしたのか、民主党のお考えを知りたい。(延長せずに)早く終わらせたいのかどうか。解散にどうやって追い込むのか逆に予算委員会で教えてほしい」 と極めて苦しい発言をしました。

 やはり15年間、野党ばかり見てきた当ブログの認識が正しかったようです。

 この番組は自民党政権時代から与党第1党から発言し、与党第1党が締めくくることになっていますが、山井さんは「菅内閣不信任案が出て以降、1年半以上、(野党は)解散、解散と言い続けている。私は政局よりも政策の国会に変えていきたいと思います」と語って、番組は終わりました。

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緒方林太郎さんが語った「国家の存続」 特例公債法案、衆財金委審議入り

2012年11月10日 09時02分10秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[画像]特例公債法案の審議に立った民主党衆議院議員(福岡9区)の緒方林太郎さん、2012年11月9日、財務金融委員会、衆議院インターネット審議中継から。

【衆議院財務金融委員会 2012年11月9日(金)】

 解散風を煽る新聞社はよっぽど経営が苦しいのでしょうから、放っておきましょう。そもそも、10月19日の3党首会談で野田佳彦さんの「3つの提案」を全紙そろって落とすような新聞社政治部に未来はありません。

 財政運営に必要な財源を確保するための(財政法4条の)特例公債法案(181閣法1号)が審議入りしました。

 23年度法案と24年度法案の通常国会でのしめくくり質疑に立った岸本周平さんは政権交代チルドレン1期生のトップを切って、経済産業政務官として政務三役入りしています。

 「本日、こういうかたちで、審議入りできることを(与党)末席理事ながら、野党のみなさまに感謝申し上げます」。

 質問のトップバッターに立ったのは、福岡9区(北九州市の八幡、若松、戸畑区)選出の緒方林太郎(おがた・りんたろう)さん

 緒方さんは予算(案)と法律(案)の関係として日本国憲法59条が法律案について参議院が否決した場合の衆議院の3分の2ルール、60条が予算案について参議院が否決した場合の自動成立を規定していることについて内閣法制局を交えて質疑を展開しました。実は驚くべきことに、国会議員の8割方はこの程度の憲法に関する知識がありません。例えばこの日の審議でも、自民党の二世議員、丹羽秀樹さんが臨時国会の召集権が政府にあるという日本国憲法第7条などや国会法第1条~第3条あたりの解釈を知らなかったと思われる発言をしています。二世議員はこういうところは強い傾向がありますが、丹羽さんは知らなかったようです。これが実態です。

 緒方さんは知ったかぶりをせず、衆議院帝国憲法改正案委員会(芦田均委員長)の第90回帝国議会1946年7月22日(月)の議事録をひもときました。ここでは、山崎力・現自民党人事局長(旧新進党参院議員)のおじいさんである山崎岩男代議士が質疑しています。

 その前におさらい。

 大日本帝国憲法第64条が「国家の歳入歳出は毎年予算をもって帝国議会の協賛を経るべし」として予算の協賛権しか帝国議会に与えていなかったのに対して、新憲法(案)の第83条が「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」という財政民主主義を掲げ、第86条「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」として、国会の予算議決権へと国会の権能が大きくなりました。

 国会では、予算案と法案はともに「議案」と呼ばれていますが、予算案と法案は似て非なる物です。その最大の違いは、予算は日本国憲法第7条による内閣の助言と承認による天皇陛下の公布が必要ないということです。

 「議会が予算に干渉するということは、行政権に干渉することでありますが、立法府たる議会が、予算というものを議決する以上は、予算とせず法律とした方が最も的確ではないかと考えます。そうすると、国民に対する国家の意思表示たる効果を持ってくる、国民に対して十分なる意思表示の効力を発生することになります」。

 このように、予算案と呼ばず、いわば予算法案として審議し、予算法として公布・施行すべきではないかとの指摘です。

 これに対して、金森憲法担当大臣は「予算を法律とするということはもとより成立する考えだ」と受け止めたうえで、「法律は大部分は国家と国民を拘束するものでありまして、予算は政府の支出を憲法上適法ならしむるものであります」として、予算と法律は別のものだと答弁しました。

 そして、「法律でありますれば議会はそれを可決するも否決するもおそらく絶対の自由なる判断をお持ちになろうと考えます、しかし、予算の方は、国家が存続する、その存続には経費が要るということが前提になっております」として、「予算は法律と違ってこれを何らかの形において成立させて、金額の大小、費用の差ということは別として、国の入用な経費だけ必ず必要な時期までに動くようにしてやるべきものである」として、「やはり予算は予算として、法律は法律として扱っていく方が、比較的筋の通った考え方のように思っております」と答弁しています。

 国家における予算とはすなわち人体における血液の循環と全く同じことで、国家存続のために空白期間はあり得ず、国会が「成立させない」という自由は存在しないという認識です。

 この質疑を経て、憲法59条と60条が別々の規定として設けられました。そして、それが現在の混乱をもたらしていることになります。ただ、言うまでもなく、予算の協賛権しか持たなかった帝国議会に対して、予算の議決権を持つ国会においては、1955年以降、自民党が集めた税金の分配をめぐる票と政治資金を集めて、半世紀以上にわたる長期政権をつくりました。そして、特例公債法などにより国家と国民を1000兆円の借金でがんじがらめに拘束しました。この山崎・金森問答は、予算(案)審議・可決・成立のプロセスで、国会の行政への干渉が強くなりすぎないようにするにはどうすればいいかという問題意識があったといえます。ところが、60年が経ち、実際には、予算は財務官僚がつくり、国会議員は各府省に頭を下げて陳情する格好になっています。

 さらに、特例公債を38兆円発行するという法律が国民を拘束するという考えは金森答弁からしても正しいと言えますが、予算的観点からは、国会が財務省理財局に財政法4条違反を許す権限を与える法律です。国民は義務を与え、財務省理財局に権限を与える法律を、天皇陛下が公布・施行し、国家国民を拘束する行為は、最終的には、国家国民を滅亡させます。


 財金委員会で緒方さんは「特例公債法案の存在は憲法制定時には想定していなかったのではないか」と指摘。そのうえで、「予算の上限にキャップを付ける法律はあるうる」としながらも、特例公債法案を予算案同様に扱うべきだとしました。そのうえで、1期生として感じた「国会の2つの慣れ」として、「①これだけ特例公債を発行していることに慣れてはいけない、②これだけ(遅い時期まで)こじれることに、ねじれ国会だからと言って慣れてはいけない」と先輩を戒めました。そのうえで、「私が当選する前ですが、民主党が参議院第一会派で野党だったときにも特例公債法案が4月にずれ込んでいる。誰が始めたかは言わない」。そして、「わが党は与党になって、自公に(2)倍返しされている」と述べると野党席から大きくヤジられましたが、負けずに「わが党の中には野党になった4倍返しにしてやるという先輩もいるが、議会人として襟を正すべきだ」としました。全く同感です。

 緒方さんは当選直後に質問主意書を大量17本提出しようとして、小沢一郎幹事長・山岡賢次国対委員長から封殺されました。緒方さんは福岡9区で北橋健治さんの後継者。緒方さんは勇気を持って突き進んでいただきたい。個人的なことを申し上げると、この地域は、小生の兄が大学院修了後10年以上住んでいたところで、社命により北橋陣営ら自由主義陣営は当然のこと全党各種選挙を応援していたようです。当事者として積極的に関わるという政治文化、選挙風土があるんだろうと推察します。緒方さんのその背中、北九(きたきゅう)の偉い人たちは必ず見ている。


 私はこの後、憲政記念館で開かれている「昭和、その動乱の時代―議会政治の危機から再生へ」(入館無料、無休、11月30日まで)を見ました。なんと言っても斎藤隆夫先生の粛軍演説の展示が愁眉です。この中で、斎藤隆夫先生の除名を決める衆議院本会議では欠席者が大量に出ましたが、出席して反対した7議員のうちの一人が、芦田均・帝国憲法改正案委員長だったことを初めて知りました。芦田は憲法9条に芦田修正を加えて日本の独立を守り、首相となり、おそらくアメリカの意向を受けた検察の横やりで総辞職しました。

 斎藤隆夫先生への手紙がファイルで展示されており、その中に早稲田大学政治経済学部1年生の長文の手紙があり、「都の西北は先生を守る」と端正な筆致で書かれていました。「日本傍観者党」となり果てた感のある、わが母校ですが、私も同じ1年生のころ、政治改革を実現する若手議員の会の自民党議員に手紙を書いたことがあります。その中には返事をくれた議員もいて、その人がだれか思い出すとたしか北九州だったような気がして、小選挙区制の厳しさを己にしみこませざるを得ない思いがします。

 斎藤隆夫陣営にとって、除名された後の最初の衆院選は、当然にして政治生命をかけた闘いでしたが、ポスターの「国民の力と責任」というスローガンの下、当選しました。最高点投票ですので、仮に小選挙区制度でも当選したでしょう。もともと兵庫県但馬から、歩いて上京して大学を出て弁護士になった人なので、そのため代議士として地元に恩返しする気持ちが強かったようです。歩いて上京して地元の支援で大学を卒業して弁護士になった人は、今の日本には1人たりともいないと思われますので、成熟国家となった我が国の環境を、代議制デモクラシーのルールメイキングで考慮すべきだと感じました。

 戦後、75歳、在職32年目にして初入閣した第1次吉田内閣の記念写真には、初入閣ながら吉田首相の隣に収まる斎藤隆夫大臣とともに、金森徳次郎大臣の姿もありました。そして、展示の中で、私が思わず感涙した匿名の短い文のハガキがありました。どのように辛くてきつい状況になっても政治家を見抜く国民の力と責任があるのだと感じます。第46回総選挙もそれ以降も必ずそういう有権者は居続けます。民主の敵・小沢一郎ごときに一度は屈してしまった緒方さんですが、勝負の運はもっと肝心な敵と闘うために温存したのでしょう。やがては斎藤隆夫先生のようにハッキリ物を言える政治家となるための環境を整えてほしいな、と感じました。

 そのハガキとは次のようなものです。

 「よくおっしゃってくださいました。御礼申し上げます。一兵卒の父より」。



[国立国会図書館帝国議会会議録検索システムから引用はじめ] 

第90回帝国議会

衆議院

帝国憲法改正案委員会

付託議案
 帝國憲法改正案(政府提出)
―――――――――――――――――――――
昭和二十一年七月二十二日(月曜日)午前十時二十四分開議
 出席委員
  委員長 芦田均君

(略)

○山崎(岩)委員 議會が豫算に干與すると云ふことは、是は立法權に干與することでなく、行政權に干與することでありますが、立法府たる所の議會が、豫算と云ふものを議決する以上は、豫算とせずして法律とした方が最も的確ではないかと考へます、さうすると、國民に對する國家の意思表示たる效果を持つて來る、隨ひまして豫算面と云ふものでは、國民に對しても十分なる意思表示の效力を發生することにもなりまするし、又政府其の他の機關も之に對して十分なる拘束力と云ふものが與へられて來るかと私は考へるのでありますが、憲法草案に依つて是だけに改正するに當りまして、なぜ法律としなかつたか、なぜ今まで通りに豫算としたか、其の點に付て御尋ね申上げます

○金森國務大臣 豫算を法律として、詰り形式的意味の法律とすると云ふことは、固より成立する考へと思つてります、けれども實質から申しまして、法律は大部分は國家と國民を拘束するものでありまして、豫算は政府の支出を憲法上適法ならしむるものでありまするが故に、形式的には假に同じに扱ひまするにしても、中味は違つて居ると云ふことは言へると思ひます、既に中味が違つて居るならば、形も違へると云ふ行き方は、決して不合理ではないと考へて居るのであります、特に何處が違ふかと云ふ中の一つの點を考へて見まするに、法律でありますれば、議會はそれを可決するも否決するも恐らく絶對の自由なる判斷を御持ちにならうと考へます、併し豫算の方は、國家が存續する、其の存續には經費が要ると云ふことが前提になつて居りますると、幾分議會の態度も異なつて、批判の中味が國家の必要なる經費は出してやらなければならぬと云ふことを前提として議決さるると思ひます、隨て議會の扱ひ方等も違ふと思ひます、此の憲法の草案に於きまして、法律の方は六十日の期間とか云ふものを置いて、國會の中で衆議院と參議院が色々意見の違ふやうな場合に、最後の荒つぽい解決方法を求めて居るのであります、併し豫算の方に付きましては、さう云ふ荒つぽい方法を求めないで兩院の協議會を開いて議纏まらぬ時は衆議院の意見に依ると云ふことに致したのも、其の考へでありまして、豫算は法律と違つて之を何等かの形に於て成立させて、金額の大小、費用の差と云ふことは別として、國の入用な經費だけは必ず必要な時期までに動くやうにしてやるべきものであると云ふ考へを基調として、そこに規定が現はれて來る譯であります、既にさう云ふ風な差があれば、やはり豫算は豫算として、法律は法律として扱つて行く方が、比較的筋の通つた考へ方のやうに思つて居ります。(後略)

[引用おわり]

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特例公債法案が実質審議入り 城島財務相G20疲れ全く見せず 財金委一般質疑

2012年11月07日 17時26分54秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[画像]G20から帰国直後ながら答弁する城島光力財務大臣(左)と武正公一財務副大臣(右)、2012年11月7日(水)、衆議院インターネット審議中継から。

 特例公債法案の審議がスタートしました。

 というと、報道ではあすの衆議院本会議で趣旨説明ということになっていますが、きょうは衆・委員会で、大臣所信表明に対する一般質疑があり、この中で特例公債法案(181閣法1号)の審議がされました。こういったときは、自民党や国民の生活が第一の国会対策委員長は「話題にしないように」と釘をさすことが多いのですが、そのようなことはなかったようで、話題になりました。ただ、先の国会で反対討論をした公明党の竹内譲さんは「きょうは日銀総裁に質問をさせていただきます」と切り出し、一切話題にしませんでした。

 メキシコシティーでのG20からきょう帰国したばかりの城島光力財務相の日程にあわせて、午後1時半から始まった衆議院財務金融委員会でしたが、城島さんはまったく疲れを見せずに答弁し、政治家らしさをみせました。もちろんこの直後の日本時間の午後2時にバラク・オバマ大統領がミット・ロムニー候補をやぶって再選が確実になったとCNNなどの速報が出たので、ワシントンに寄って財務長官に祝辞を述べてもよかったかもしれませんが、残り19営業日の今国会なので忙しい日程になっています。

 民主党の斉木武志さんは、財政法第4条の特例公債の発行について、単年度ごとに法案を出さなくてよい仕組みを提案しながら質問。武正公一・財務副大臣は「3党首会談で野田総理(民主党代表)は、成長・財政健全化目標入りの法案や、予算と一体的に処理する覚書を党首間で結ぶことを提案したと思う」と述べました。これについては、野田さん自らブリーフィングで話したにもかかわらず、摩訶不思議なことに現時点では、当ブログが、10月19日付エントリーで報じただけになっています。 ホントウに摩訶不思議なことです。みんなICレコーダーでとっているのですから番記者レベルではむりでも、そのテクストを見たデスクが記事にしないといけないです。それから報道にうまく乗らなければ、官邸・財務省政務三役も別の格好で発信しないといけないです。

 斉木質問のさいちゅうに駆けつけた城島大臣は「文藝春秋で佐々木毅(東大名誉教授および学習院大学)教授ら日本アカデメイアが国会改革のなかで言及した特例公債法案の処理のしかたを参考にしたい」と答弁しました。私はこの21世紀臨調(旧民間政治臨調)会長でもある佐々木先生らの提言論文を知らなかったので、近いうちに図書館でチェックしたいと思います。

 続いて、財金委の良心、自民党の山本幸三理事が登場。
 「私は腹が立っている。ホントウに特例公債法案を通したければ、内閣改造で大臣を変えないはずだ」
 「前の国会で、城島さんは民主党国会対策委員長として特例公債法案を採決し、自民党は欠席した。私はホントウは白川方明日銀総裁との質疑を予定していたのに流れたので怒っている」
 「昨年の3党合意にもとづく農業者戸別所得補償の政策効果の検証では民主党は全然努力しなかった」
 「前の安住大臣は何度も私の所に来てお願いしていたが、あなたは努力が足りない」

 と立て続けに、質疑だか言いがかりだか分からないマシンガン連射が続きましたが、城島さんはまったくたじろぎませんでした。副総理の岡田克也さんは改造翌日の記者会見で「城島さんは、彼が労働組合のトップを、味の素労働組合、食品労連でしたか、そこのトップを務めておられたころからのつき合いで、労働界でも非常に注目をされていた人なのですね」として、城島さんは「労働界のスター」だったことを披露しましたが、その一端を感じました。ただ、答弁はまだ慣れていない面が散見され、しばらくは指さし確認の安全運転がベターに思えます。

 国民の生活が第一の玉城デニーさんも特例公債法案の実質審議入りに協力。「今回の特例公債法案の中には、年金特例公債が盛り込まれているが、将来的な消費税増税が財源だ。その前に特別会計の剰余金を整理すべきだ」との考えを示しました。これに対して城島財務相は「(自公政権による2004年年金改革法の)基礎年金の国庫負担2分の1への引き上げを(恒久税源の確保がないまま)見切り発車したことで財源確保が厳しくなった」としたうえで、6月15日の3党合意を踏まえ「多くの野党のみなさんのご意見をいただいて特例公債法案に(年金交付国債を)盛り込んでいるものでございますのでぜひご理解いただきたい」としました。これは実は自公との関係であって、国民の生活が第一は関係ない話ですが、やはり1期生の玉城議員はとっさに対応はできず、そのまま次の質疑項目に行きました。

 
[画像]一般質疑のなかで、事実上、特例公債法案を審議入りさせた、自民党の山本幸三理事(左)と国民の生活が第一の玉城デニーさん(右)、2012年11月7日(水)、衆議院インターネット審議中継から。

 この後、上述の通り、竹内譲さんが登場したのですが、元気なく、日銀総裁への質疑だけで終わってしまいました。どうしたんでしょうか。何かあるんなら、竹内さんと城島さんは新進党仲間なので言って欲しかったです。これに先立つ午前中の衆院内閣委員会では、公明党の高木美智代さんが事業仕分けを批判。来週末の新仕分けについて「どう違うのか」と質問。副総理(兼)行政刷新相の岡田さんは「生活保護についても、足立区の現場をみせていただいたうえで新仕分けの対象にします」と断言。そのうえで、「①ホントウに必要な方には(支給が)行くように、②自立がよりしやすいように、という2点には十分配慮をしていきたい」として、前日のアクセルをゆるめました。高木さんも「それから障害者の方々にもしっかりと配慮するように」と③番目の配慮点を言っただけで、質疑は終わりました。このように新進党仲間のなかでも、特例公債法案に関して、政府側の答弁がそろっていることは心強く感じます。

 内閣委員会では小泉進次郎さんと岡田さんの問答が見られましたが、自公政権時代に、年金支給額への物価スライドの引き下げ自動発動を凍結したことによる特例水準を解消して財源を確保する法案をぜひ通してほしいと岡田さんがお願いしたところ、小泉さんが「特例」という言葉で「特例公債法案」のことだと勘違いしてしまうシーンがあり、経験不足がありました。また文部科学委員会では田中眞紀子文科相が新設大学3件の認可を保留していることについて、自民党議員が猛反発。が、下村博文さん、馳浩さん、松野博一さんと町村派(清和会)ばかり登場する事態となり、学校法人・教育産業と自民党政治の癒着の根深さをうかがわせる場面もありました。全般的に自民党が変わっていないと感じることが多いのが、二大政党の真価が問われる今、残念な思いがしました。

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岡田克也副総理「自公は社会党以下」、「国民生活に極めて大きな破壊的影響」特例公債法

2012年11月07日 06時35分00秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[画像]日本社会党の中央執行委員長に就任した土井たか子さんら社会党執行部、目で見る議会政治百年史から

 きょうは立冬です。

 きのうの内閣府(旧経済企画庁)の発表などによると、日本の稼ぎ頭・自動車が国内外で売れなくなっています。すでに今夏から景気が底入れしていた可能性が高いという分析がでてきました。9月中旬から10月中旬にかけて、国会閉会中にかかわらず内閣支持率が下がりつつあったのは、自民党総裁選よりも、この景気低迷が影響したのではないでしょうか。景気が悪くなれば現政権が嫌いになるのは、社会的な人間として自然の摂理です。

 けんかの強い岡田さんは、解散や会期末が近づくとキレますが、今国会も、はや残り17営業日しかありません。そろそろ特例公債法案(181閣法1号)の審議入りをしてほしいところです。

 岡田克也副総理2012年11月6日(火)午後の定例閣議後記者会見で、自民党と公明党の国会対応について、「我々も野党のときにいろいろなことをしてきましたが、特例公債法(案)を人質にとって、っそして夏までとか、この冬まで引っ張ってきたことはありません。ここまで極端なことをやっておられることについて、もうそろそろこれはいかに国民生活に大いに悪い影響を与えていることを真剣に考えていただきたい」としたうえで、

 「55年体制の社会党ですら、こういうことをやっていませんから

 と述べ、自公は社会党以下だ、と最大級の侮辱文句で批判しました。

 ただまあ、社会主義協会の土井たか子委員長は人気は別として抵抗野党として日本政治を後ろに引っ張りましたが、政権構想研究会の田辺誠委員長(現・民主党群馬県連常任顧問)は日本で最初に影の内閣をつくるなど日本政治を前に進めたと思いますが(^_-)

 そのうえで、特例公債法が成立しないことは「国民生活全体に極めて大きな破壊的な影響を及ぼすものであります。そういうことが分かっていて、成立をずっと夏から先送りしてきました」としました。

 自民党石破茂幹事長が求めている今年度予算の歳出を減額する第1次補正予算成立とひきかえの特例公債法成立アイディアについては、「農業者戸別所得補償は交付がそろそろ済んでいるのではないかと思う」とし、稲刈りが済んだ11月になってからの歳出の減額補正は遅くて応じられないとの考えを示しました。

 ただ、自民党が減額のポイントにあげている生活保護については、前日の東京都足立区の視察時に理解を示しており、この日の記者会見では「新仕分けでは成長戦略と、社会保障とくに生活保護を含む分野を対象にしたい」としました。新仕分けについては、報道では「新事業仕分け」となっていることもありますが、岡田さんの命名で「新仕分け」が正式名称です。当初は、復興予算など3本程度を対象にする予定でしたが、自民党から減額補正のポイントと出たことを配慮して、東京都足立区視察の際に、生活保護を仕分ける考えを示しました。

 法定委託事務である生活保護費について、国から自治体への支出金である生活保護費等負担金は今年度当初予算一般会計では2・8兆円で、前年度の(当初・最終補正後とも)2・6兆円から大幅に伸びています。実際には、生活保護の不正受給は増えてはいないとされていますが、高齢化と震災後不況などによる生活保護受給者の増加による自治体からの歳出圧力で増加傾向になると考えられます。生活保護費等負担金の予算書コード番号は

 12-064-03082ー2845-16

 所管が「12厚労省」、項が「番号064」、主要経費別が「03生活保護費」、目的別が「082生活保護費」、財政法公債金対象が「2非対象(税など負担)」、経済性質別が「84社会扶助給付」、使途別が「5補助金・委託費」となります。最後の2行はかつての予算コードとの比較のために残っている数字です。

 なお、減額補正や予算執行停止の対象としては、上に示した通り、農業者戸別所得補償はすでに遅く、年金給付は保険料の積立金が原資なので性質が違います。生活保護費よりも金額の削りしろが大きいものとしては、法改正が必要ですが、地方交付税交付金となりますが、民主党政権は、自治体の円滑な行政執行のために、地方交付税は、新仕分けの対象にはしない方針。

 冬来たりなば春遠からじ。

 私たち民主党は正しいことをしているのですから、まったくためらうことなく、特例公債法案(181閣法1号)を強行採決し、成立させればいいのです。なんの見返りも必要ありません。

 日本時間のきょう、アメリカの大統領、今週、中国の国家主席が決まり、ともに来年2013年1月から新体制になります。日本でも新体制をつくる準備が始まりました。

 任期末。会期末。一歩もたじろいではいけません。しょせん政治家はインテリヤクザです。ケント・デリカットさんやケント・ギルバートさんに「日本おかしいよ」と言われた幸せな時代は終わりました。私たちが日本国民が、ケント・デリカットさん、ケント・ギルバートさんのようにもっと物を言い、かつ行動しなければなりません。

 コアメンバーがしっかりしていれば、メッセージはしっかりと伝わります。

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細川門下2人が対決 20年前と変わらぬ「鄙の論理」 野田・松野問答

2012年11月05日 09時45分39秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散


 「私は、かつて参議院議員として国政に参加しておりましたが、どんなに頑張っても容易に変わらない永田町の論理に辟易しました」「国が変わらないのなら、地方から変わってみせると決意し、故郷熊本の県知事になったのは昭和58年のことでした」。

 このセリフ、例えば、蓮舫さんや舛添要一さんらが都知事選(2012年12月16日投開票)の出馬会見で言いそうにも聞こえますが、書いてあるとおり、30年前の昭和58年1983年のバブル初期の話です。

 細川護煕さんの21年前に書いた初の著作、『鄙の論理』(ひなのろんり)の書き出しです。「鄙」とは、鄙びた(ひなびた)温泉宿のように「田舎(いなか)」という意味です。地方自治を語るときに時々混乱するのは、中央と地方といった場合には、地方交付税不交付団体の東京都庁も入るわけですが、この辺の混同も懸念したうえで、「いなか」というと角が立つので、「鄙の論理」としたのではないでしょうか。

 この本では、2期8年で熊本県知事を勇退して「地域コンサルタント的仕事をしてみたい以外は今後のことは白紙」とした細川さんは翌年春、文藝春秋で「自由社会連合」を発表。すぐさま「日本新党」に改名して、第16回参院選に比例代表単独(当時は拘束名簿式)で出馬。この選挙は東京サミットのさいちゅうに開かれたこともあり、宮澤自民党が勝利。平成において与党が参院選に勝ったわずか2回のうちの1回ですが、日本新党も細川さん、小池百合子さんら4人が当選し、ブームとなりました。

 第16回参院選と、翌年の「あの夏」第40回衆院選(宮澤嘘つき解散)で私たち改革派がよく聞いた街頭演説は「バス停を動かすにも国の認可がいる」。このエピソードの元ネタは、この「鄙の論理」のはじめにでてきます。

 この中で、細川さんは「熊本から飛行機で1時間30分、参勤交代ではないのですが知事というのはしょっちゅう東京へ行きます」「東京詣の最大の原因は、諸々の許認可の8割近くをいまだに中央が握っていて、バス停を10メートル移動させるのも、小さな公民館1つ立てるのも、中央政府のお墨付きをいただかなくてはならない仕組みになっているからです」としています。

 これは、私も大ファンだったNHK「クイズ面白ゼミナール」「歴史への招待」「NHK紅白歌合戦」でおなじみの鈴木健二アナウンサーが1988年にNHKを退職した後、細川知事が熊本県立劇場の館長に就任してもらったということで、このときは、大きな話題になりました。その鈴木館長が、「玄関の真正面にあるバス停が景観を損ねているので移動したい」と知事に求め、知事が「ただちに移動するように」と指示したところ、県庁内の担当者から「バス停というのは、バスの運行距離と密接な関係がありまして、バス停を動かすと運行距離が変わり運賃が変わる場合がありますので、運輸省の許可が必要なんです」と言われた。実際には10メートルの移動なら、運賃に影響がないので許可ではなく届け出で済んだそうです。この辺は当時の街頭演説で使った弁士の中にも多少の理解不足があったかもしれません。とはいえ、届け出制とはいえ、実際に動かせたのは半年後だったということで、当時の運輸省の怠慢ぶりには辟易とします。そして、この直後に局は違いますが、日本航空機墜落事故で航空・鉄道事故調査委員会(国土交通省運輸安全委員会に改称)がアメリカ・ボーイング社による圧力隔壁の修理記録を隠すという暴挙に出て、人命を犠牲にしたうえで日航を助け、その日航も倒産しました。多大な人命と国益の損失です。

 細川さんは朝日新聞記者を経て、経世会(自民党竹下派)から保守系無所属(自民党公認漏れ)で中選挙区熊本1区に出馬したものの惨敗。参院熊本選挙区で議席を得て、2期当選し、熊本県知事に転じて2期8年。そして、参院全国比例で当選し、小池百合子さんとともに、衆院に転じました。この衆院選の公募候補のうち、第1次公認が出た4人が野田佳彦さん、河村たかしさん、牧野聖修さん、石井紘基さん(故人)です。このとき、長年熊本1区で自民党衆院議員を務め、前回落選後に勇退した松野頼三さんの後援会から支援をうけて、細川さんは22万票という地滑り的圧勝し、第2党以降の連立ながら初当選と同時に細川内閣が発足します。そして、細川・羽田内閣総辞職、新進党結党を経て、政権構想会議議長として1998年4月、民主党結党を見届けて議員辞職。このときの小選挙区熊本1区補選が民主党初の国政選挙でしたが、後継指名を受けた民主党公認の松野頼久さんは、「やはり松野家と細川家に密約があったのか」「大政奉還ではないか」との批判を浴び、自民党前県議の新人候補に敗れました。しかし、第42回衆院選後は、小選挙区4連勝をしており、九州では数少ない民主党のテッパン選挙区となりましたが、このたび民主党を離党し、橋下徹・大阪市長が率いる「日本維新の会」の国会議員団代表に就任しました。

 さて、この日本新党衆院1期生の野田佳彦首相(民主党代表、当選5回)と、日本新党職員出身ながら初の民主党国政選挙公認候補でもあった松野頼久・日本維新の会国会議員団代表(当選4回)という細川門下2人による初めての「野田・松野問答」が2012年11月1日(木)の第181臨時国会の衆議院本会議代表質問でありました。

 松野さんは「我が国は今、明治維新、終戦につぐ時代の大きな転換点に立っています。(第45回衆院選で)国民が期待したのは140年にわたる中央集権や官僚主導政治を変えてほしいとの思いです。中央集権を前提とした自民党政権には統治機構を変える力はないので、政権担当能力には不安はあるが、民主党に1度やらせてみよう、との思いです」と分析しました。



 そして、日本維新の会(にっぽんいしんのかい)について、「代表の橋下徹が大阪府知事だったときに大阪府と大阪市の二重行政を断ち切るために、自ら市長選に出たのが立党の原点だ」と説明しました。これに関連して、報道によると、橋下大阪市長は、この質問演説の内容を事前にすりあわせていたとして、大阪市の声がダイレクトに国政に反映したのは画期的だ、松野議員は首相候補だ、という趣旨の発言をしたように報じられています。ということは、橋下市長は残り任期が3年間あるので、第46回衆院選には出馬しないということなのでしょうか。

 本会議場に戻って、松野さんは「日本は瀬戸際まで来ており、グレートリセットが必要だ」として、道州制を導入するように求めました。

 これに対する野田さんの答弁。「地方自治は受益と負担がイチバン見える基礎自治体が担うべきで、すなわち市町村に権限を集中すべきで、できない分を広域自治体が補う」との国のかたち、いわゆる補完性の原理を提示し、松野提案と一線を画しました。そのうえで、「基礎自治体が足りない分を道州制が担うことは将来的な検討課題だ」としました。



 これは総理が言うとおりで、道州制というのは、大阪府、大阪市にとって有利なシステムです。なぜなら、大阪府の負債残高は5兆円を超えており、大阪府の税収増や歳出減では絶対に解決できない危篤状態にあります。ですから、道州制ということで、その負債を薄めて、国からの財源(地方交付税交付金や税源移譲)に頼るしかない状況です。そのうえで、比較的文化的・経済的・人的な交流が太い近畿圏、具体的には、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山を包括する格好で近畿州をつくる。そうすると、各5県のうち、損をする県はほとんどないことが可能になります。なお、たまに「関西」という言い方をする人がいますが、関西といった場合は、福岡県も関西になるので、近畿と呼ぶべきです。このような道州制が可能なのは、近畿、九州、中国・四国、北東北などに限られ、中部地方の、静岡県、岐阜県、長野県などでは不可能です。さらに、関東州となると、東京一極集中が進みながら、税財源は周辺に流れる格好になるので、これもできるわけがありません。そして、近畿州構想を経済界でもっとも推進してきたのは誰かというと、松下幸之助・パナソニック創業者です。すなわち松下政経塾の創設者でもあり、松下政経塾は長年道州制を主唱していましたが、野田総理にしろ、玄葉光一郎外相(元民主党分権調査会長)にしろ、基礎自治体強化の考え方です。現在の民主党マニフェストの地方分権に対する考え方はおもに玄葉さんがまとめたものという認識で良いと思います。

 野田さんは著書「民主の敵 政権交代に大義あり」の中で、「本来は衆議院が小選挙区制と導入したときに、地方分権をセットでやるべきでした。あのときセットで分権ができなかったために、せっかく小選挙区=二大政党政治=政権交代が可能な政治を目指しながら、地元の陳情などで忙殺される人がいまだに多いのです」としています。実際には、2000年に地方分権一括法が施行されたので、私と野田さんの認識は違います。私は2000年からここまで、地方分権が進んでいないのは、不況による自主財源難が最大の理由だと考えています。よく地方議員で自らの自治体での活動を卑下して、国会議員を目指す人がいます。しかし、横を見ることも大事です。例えば不交付団体の自治体では、単独事業、市単は充実しています。私は日産自動車系部品メーカーからの税収などで長年不交付団体である厚木市を月に1回程度でしたが、3年半取材し続けましたが、幾たびに右翼に街宣されていました。右翼としてもお金があるところに集まるのでしょう。職員は比較的のんびりしていて、非常勤(と思われる)市長室受付の20代前半の女性職員に「あれなんですか?」と聞くと、「右翼ですよ」とやさしく応答してもらいました。またハーモニカ産業が盛んだということで、「ハーモニカの街」を打ち出すことになった市長記者会見で、日本を代表するハーモニカ奏者が自ら演奏しながらPRして、後で名刺交換したら私の実家のすぐ近くで、平成不況の中、景気のよい街まで演奏しに来ているのだなと遠い故郷に想いを馳せました。市長は長嶋茂雄さんと同級生だそうでいつもその話をしていました。厚木市は、他自治体とは別の明るい世界でした。このように、国に恨みを持つ地方議員は、財政力指数の高い自治体を訪問してみると、実は違うところに問題があることに気付くでしょう。ただし、不交付団体はほとんどないのが現実です。鄙の論理は20年経っても残り続けています。

 野田さんは「民主の敵」の中で、松野さんについて書いています。「松野頼久衆院議員が取り上げたのは空港整備特別会計です」「この会計の中から松野議員は空港内の有料駐車場の運営に絞って質疑を行い、国土交通省所管の天下り財団が独占的かつ過分に利益を上げている実態を明らかにしました」と褒めています。

 空港整備特別会計、いわゆる空整特会(くうせいとっかい)は運輸省所管ですが、実際には大蔵省(財務省)がかなりコントロールしており、「打ち出の小槌」と呼ばれ、税収難の年には空整特会から突然、一般会計の歳入が出てくることがよくありました。そのため、この狭い日本列島に100以上の空港ができてしまいました。これからどうやって、整備・運営していくのでしょうか。運輸省が日本に残したツケは、多大です。民主党政権が泥をかぶって、消費税を増税しましたが、自民党政権によるツケは900兆円です。

 こちらをご覧ください。


[画像]第16回総選挙の各党ポスター(目で見る議会政治百年史から)。

 第16回総選挙のポスターですが、政権準備政党の民政党は政友会は「見栄を張って借金をして政府を運営しているが内面はこの通り」「民政党は政権を取れば整理緊縮財政をとりながら内面は堅実な政府をつくります」として政府に対するネガティブキャンペーンを張りながら、政権交代を訴えています。ときあたかも、日露戦争から20年。バブルがはじけながら不況ながらも大正デモクラシーという成熟した経済・社会を迎えていたことを感じさせます。一方、政府・政友会は「中央集権は不自由なもので、自立した行政が行えなくなります」「地方分権は丈夫なもので一人歩きで発展します。地方に財源を移譲すれば自律的な経済発展が可能です」と訴えています。すなわち、政府・政友会は、中央集権か地方分権かを訴えているだけで、政友会と民政党の対立軸の提示からは避けていることが見て取れます。

 このように、中央集権か地方分権かは、87年前の総選挙でも争点でした。なぜ、このようなことになるかというのは、政党や議会政治は、薩摩・長州による明治維新における負け組がつくったものであり、二大政党がともに中央集権ではなく地方分権論者であったことは当然です。そして、この選挙で友愛会の創設者である鈴木文治をはじめとする無産階級者が初めて議員となりましたが、太平洋戦争後に一気に勢力を伸ばして日本社会党をつくります。これに対する対抗手段として自民党が生まれ、中央集権による利益の分配の政治システムをこしらえ、現代にいたるわけです。そして、不況のために利益の分配が機能しなくなりつつあり、民主党政権となり、事業仕分けをしているわけです。

 1985年がプラザ合意、バブルの頂点でしたから、歴史観という意味では、1991年の細川護煕さんの鄙の論理、1992年の日本新党、1993年の細川内閣、1994年の新進党結党と極めて正しい歴史認識できたことが分かります。そして、1995年の阪神・淡路大震災で不幸中の幸いで、日本が明治維新前の幕藩体制に近い国のかたちに戻ることが可能でした。それを阻害したのは、一つは鄙に住む人がテレビジョンを見すぎていたということ。それとテレビジョンでニュースが放送されなくなる1997年12月28日というタイミングで小沢一郎氏が新進党を解党したことです。細川さんは密約があったのかもしれませんが、比例単独という手もあるのに、還暦を理由に自ら議員辞職してしまいました。細川さんもまた、小沢一郎氏の被害者の一人です。

 山口県(長州)出身の安倍晋三さんに地方分権ができるかと言えばできません。能力本意ではありません。長州出身者に地方分権は絶対にできません。安倍議員とかそういう問題ではありません。日本の歴史に叛くものです。今回橋下さんは今後も橋下市長が東京に連絡し、国会議員団がダイレクトに国会に意思を反映させるシステムをつくりました。インターネットの時代だから可能になったもので、日本の歴史上初めてでしょう。このシステムを活用することが地方分権につながります。それが鄙の論理からの再スタートの第一歩です。

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