宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

3党合意にもとづく臨時福祉給付金法が成立せず、国費5億円無駄に 無資格の10万人に5000円ずつ加算

2014年08月08日 06時15分08秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


 おととしの第180通常国会で、民主党、自民党、公明党が2012年6月15日(金)に結んだ3党合意にもとづく臨時福祉給付金に関する法律をつくらなかったことが背景となり、5億円の国費が無責任に無駄になりました。

 3党合意の1ページ目につけられた確認書3点のうち、2番目の「低所得高齢者・障害者等への福祉的な給付に係る法案は、消費税率引き上げまでに成立させる」としていました。臨時福祉給付金として、1人1万円、年金受給者には1人1万5000円を支給することととし、平成25年度第1次補正予算(2014年2月7日金成立)に盛り込まれました。しかし、予算措置にとどまり、民自公3党はこの間、一貫して衆参で過半数をはるかにしのぐ議席数を持ちながらも、政府は法案は提出することはありませんでした。

 きょうの報道では、日本年金機構から市町村にくぼった対象者リストにミスがあり、10万人が間違った「加算対象」となったようです。この10万人には、加算金となる5000円は、「今からリストを修正すると混乱する」として、厚労省局長通達を改正するようです。これにより、5億円の国費が余計に支出されたことになります。もちろん、加算金を受け取った10万人に罪はありません。しかし、予算措置でしかなく法律がないため、年金機構、厚労省、市町村のいずれも、法的責任は問われないことになります。

 ちなみに3党合意の確認書3項目のうち、1項目目の「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する」については、社会保障制度改革国民会議報告書(きょねん8月)と社会保障制度改革プログラム法(昨秋臨時国会成立)、3項目目の「交付国債関連の規定は削除する。交付国債に代わる基礎年金国庫負担の財源については、別途政府が所要の法的措置を講じる」は、政権交代後の平成24年第1次補正予算で安倍内閣が「年金交付国債から年金特例公債へのつけかえ」として実現しており、この2項目目だけ実現していませんでした。

 この件に関して、筆者が2014年4月14日(月)の民主党代表定例記者会見で質問したところ、この時私が3党合意書を見ながら質問したこともあってか、海江田万里代表(ネクスト総理)は「宮崎さんよくお調べいただいたと思いますが、確かに私どもは中身についてきちっと法律対応ということをお話をしましたが、実際に行われたのは予算措置であります。ですから、その予算の審議の中で私どもは本当に一回こっきり、しかも1万円ないしは1万5000円でいいのかということは再三追及してきたところであります」としており、3党合意に関する当事者意識の薄さを感じさせました。

 3党合意に関しては、政権交代後も、民主党の野党内でのヘゲモニーにつながるとの観測がありましたが、昨夏の第23回参院選での民主党大敗による衆参ねじれの解消で、ほごにされたとの認識があり、社会保障と税制改正の2つの分野の党内での人事配置について、民主党党内に異論があり、臨時国会前の人事異動の一つの焦点になりそうです。

 また、海江田執行部らオリミンが勢が、小選挙区に強い旧新進党勢をないがしろにしているとの不満も、9月に予定されているとされる人事に前後して噴出する可能性も指摘されています。

臨時給付金、本来対象外の10万人に加算 ミスで5千円(朝日新聞) - goo ニュース
         

 4月の消費増税に伴う低所得者向け「臨時福祉給付金」について、日本年金機構が作成し、市区町村に配られた対象者リストの一部にミスがあったことがわかった。厚生労働省が7日明らかにした。年金受給者らは給付金が5千円上乗せされるが、本来なら加算対象にならないはずの約10万人分を含めてしまっていた。今からリストを修正すると混乱するため、同省はこの約10万人にも加算金を支給する方針だ。

 この給付金は、住民税の定額部分(均等割)がかからず、課税された家族に扶養されていない人が対象となる。1人あたり1万円が支給される。年金受給者やひとり親家庭などの児童扶養手当を受給している人(約1200万人)には5千円が上乗せされ、支給額は1万5千円となる。

 ミスは、日本年金機構がつくった年金受給者の対象者リストにあった。本来は原則として今年3月の年金を受け取っている人が加算対象だった。だが、4月以降に新たに年金を受け取り始めた約10万人も、誤ってリストに含めてしまったという。 


北朝鮮から救えなかったのは「田中さん」か? 特定失踪者、韓国の元北朝鮮工作員が証言

2013年08月20日 09時32分32秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 2013年8月20日付読売新聞7面(国際面)に、元北朝鮮工作員で現在は韓国安保関連機関職員の「金東植」氏(仮名、50歳)の独占インタビューを掲載しました。写真はぼかし加工をされている金氏ですが、7月に「誰も私を通報しなかった」というタイトルの韓国語の著書を出版し、驚きをもって報じられているそうです。

 このうち、1990年代前半に、工作員が訓練を受ける朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首都(平壌)にある、「順安招待所」で、「田中さん」(タナカさん)という身長170センチメートルぐらいの男性に日本語を習っていたと証言しました。奥さんも日本人だったと証言しました。

 特定失踪者問題調査会のホームページを見ると、田中さんは複数いますが、1978年6月にウィーンで失踪した、現在64歳の「田中実さん」の可能性があります。

 この特定失踪者問題調査会の事務局は、元民社党職員が務めている関係から、民主党政権ではほとんどの拉致問題担当大臣が民社協会員が務めました。もともと民社協会は親韓国(反北朝鮮)なので、このルートで、昨年、韓国にいる脱北者から、複数のルートで、北朝鮮で生存している日本人拉致被害者(特定失踪者)の情報が入っていた、と当時私は聞いていました。

 岡田克也副総理は2012年8月31日の、参院での「野田および自公民問責決議」の後の記者会見で、冒頭自ら発言し、「さきほど、日朝間での予備協議が終わったということで」「より高いレベルでの日朝政府間協議をできるだけ早い時期に北京で開催する方向で調整することになったということであり」「日本として重大な関心を持つ拉致問題しっかりとした議論がなされるよう期待をする」「私が外務大臣のときにも」「水面下のいろいろなことはあった」「福田内閣のときに再調査を行うという、そういう合意ができた」「ぜひこのチャンスを逃すことなく、前に動かす、そのことをしっかりと野田内閣としてやっていかなければいけない」と語っています。

 しかし、この後、自民党が「近いうち解散を守れ」と抵抗野党化してしまい、3代目の金国防委員長への政権交代直後からの融和ムードと終わってしまいました。

 民主党政権化では、尖閣諸島を栗原さんから国が買い取り整備しやすくするなど外交安全保障での実績がありました。できれば、拉致問題も解決したかったところですが、野田問責を打たれたあとの厳しい状況で、総選挙対策に期待しているのではないか、と足元を北朝鮮に見られたのかもしれません。


前総裁が第180通常国会の「無責任野党・自民党」を自己批判 谷垣法相

2013年04月10日 18時04分47秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]谷垣禎一法相、2013年4月10日(水)、衆議院法務委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 菅義偉・内閣官房長官は2013年4月10日(水)午前の記者会見で、中国の上海、浙江省などで流行の兆しがあるとの情報がある新型インフルエンザに対応するため、新型インフルエンザ等対策特別措置法(議案番号は180閣58号、法律番号は平成24年法律31号)の施行を政令で前倒すと発表しました。

 この法律は、自民党が昨年の通常国会の4月20日(金)、前田武志国交相・田中直紀防衛相を問責し、本会議場から去った後、連休前国会をボイコット。これにより、連休前国会最終日の4月27日まで採決が遅れました。2013年4月27日の投票結果については、こちらの押しボタン式投票結果を見てください。民主党、公明党、みんなの党が賛成。社共の反対。自民党は欠席です。

 衆・内閣委(荒井聰委員長)、参・内閣委(芝博一委員長)はていねいに審議しており、とくに芝委員長は参考人として医者を呼んだり、厚労相としての体験がある新党改革の舛添要一さんに「委員外質疑」を認めたりしました。

 が、思惑違いで舛添さんが自民党と一緒に寝てしまい(審議拒否)ました。この法案の原案は「この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」となっています。仮に参議院自民党の審議拒否がなかったら、公布日、施行日が早かったかも。危機管理とは結果論がすべてです。

 第180通常国会で自民党はこのほか、平成24年度特例公債法案に賛成せず(民主党が衆院で強行採決のみ)、自ら提出した0増5減法案の趣旨説明に細田博之さんがあらわれないなど傍若無人の限りをつくしました。しかし、首相官邸の新進党三羽がらす(野田総理、岡田副総理、藤村官房長官)は、非世襲で初官邸だったことと新進党仲間への一分の情から、解散せざるをえない心情に追い込まれました。 

【2013年4月10日(水) 衆院法務委員会】

 政権再交代で、政治を前に進めるために、2013年4月10日(水)の衆・法務委で谷垣法相が異例の謝罪をしました。

 「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)締結による国内法整備法案(183閣29号)」の趣旨説明の前に「発言」をしました。

 谷垣法相は「審議入りの前に一言申し上げます。私は行政府に身を置く者が、立法府のお裁きについて口を出すのは控えるべきだと教育されてきましたが、昨年提出された法案はまったく審議されないまま廃案になったのは、私としても遺憾に思うところです。速やかにご審議の上、可決いただきますようよろしくお願いいたします」。

 このように、法務大臣として、第180通常国会(3党合意国会)を「遺憾だ」と述べることによって、第180通常国会の衆参自民党(谷垣総裁)のふるまいを自己批判しました。これは民主党の提案を受け入れた議事進行です。

 この議案について、2年前の通常国会を指揮した岡田幹事長は「外務大臣当時も、法務大臣と直接協議をいたしました。法務大臣はいいのですが、法務省の中にもいろいろなご意見があり、あるいは当事者の皆さんの中にも根強い反対、あるいは不安ですね、そういったものがあって、様々なご意見がありました」と語り、法務省内の対立があったと示唆しています。

 そして、3党合意のなかでも低所得者対策に不可欠な「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)関連4法案」は、衆院内閣委、財務金融委、厚生労働委の連合審査会が開かれます。日本の国会は、閉会中でも、全府省庁に対応した国政調査ができるという世界に誇る「委員会システム」が戦後整備されていますが、連合審査会は手間がかかるため、それほど活用されていません。これもどんどん活用していってほしいところです。

 第180回国会は、前田・田中問責の後、参議院は「野田問責」をしますが、これは実は、「3党合意問責」であり、民主党・自民党・公明党が問責されたものです。この経緯に関しては私の一連のエントリーが今もって史実に近いようです。(参考エントリー谷垣さんが落ちた問責落とし穴にちらつく小沢一郎氏の影 やはり可決したのは14号議案だった 参議運議事録)。

 この日(2012年8月29日)の議院運営委員会の議事録は公開されていますが、各会派に深い傷を残したようです。参議院自民党国会対策委員長はホームページはいまだに実際に本会議で趣旨弁明されたものとは違う問責決議案を掲示したままです。そして、谷垣さんは自民党総裁から転落し、野田さんは総理から転落しました。それでも3党合意の文書だけは何とか子々孫々につながりました。

 谷垣法相の「自己批判」で手打ちといきたいところですが、心残りがあります。

 それは、参議院がいまだに2012年8月29日の本会議の議事録を公開していないことです。

 参院選前までに、参・議運委が議事録の公開で折り合う。それは会派に限らず、すべての参議院議員に課せられた歴史に対する責任です。

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2月6日の脇雅史さんの参議院の声、ダイレクトに 「内閣官房と内閣府」見直しを閣議決定

2012年11月03日 09時02分06秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]参議院自民党の脇雅史さん。

 ことしの国会は、戦後2度目の「4次補正」から始まりましたが、その2012年2月6日(月)の参議院予算委員会での自民党と民主党の質疑がダイレクトに国政に反映されています。

 政府は、11月2日(金)の閣議で、「内閣官房と内閣府」の関係について整理することを決めました。これは2月6日(月)に参議院自民党の脇雅史さんがトップバッターとして、質問した項目で、野田内閣は内閣法制局長官も含めてやられっぱなし。この脇さんの質疑は、私が民主党第1次与党期の答弁で、もっとも失望を覚えた問答でした。野党時代から、内閣官房と内閣府の違いを理解していない民主党議員がいるとこのブログで指摘してきました。今までこのブログでは具体名に言及してきませんでしたが、それは山田正彦議員です。ところが、年の初めの脇質問では、野田佳彦首相、枝野幸男経産相(前官房長官)ばかりか、藤村修官房長官、岡田克也副総理、古川元久国家戦略室担当大臣に加えて、ついには山本庸幸・内閣法制局長官がまるっきり答弁に立ち往生するきりきり舞い。私は3・11の一つ前の内閣改造で、山田農相が閣外に去ったことで、3・11の危機管理能力は高まったとばかり思っていたのですが、当時の官房長官を含めて、内閣官房と内閣府の違いが分かっていないようでは、危機管理がうまく行くわけがない。その状態で原子力発電所が爆発したのかと思うと、戦慄を覚えざるを得ない脇質問でした。

 この後、脇さんは2012年国会において、ご存じの通り、絶好調。野田内閣も社会保障と税の一体改革法を成立するという偉業を国会ではなし遂げましたが、官邸や霞が関ではどうなっているのか。なかなかハンドリングが出来ていないのではないかと推察せざるをえません。

 岡田副総理は、閣議後の定例記者会見で、内閣官房と内閣府の見直しが、2月の国会質問に基づくものだと認めました。ところで、藤村官房長官と岡田副総理が見直しについて答弁したと言及しましたが、私が議事録を見た限りでは、きりきり舞いになっているだけで、見直しを答弁したことはないようです。「子供の頃から親から絶対に嘘をつくなと言われて育ってきたので政治家にしては珍しく嘘がつけない」(日テレ番組で村尾信尚キャスターのインタビューへの答え)岡田さんなので、他の質疑者に「見直し」を答弁したのかもしれませんが、脇質問を読み限り、逆ギレしているだけにしか思えません。

 ところで、2月6日の同じ質疑の中で、民主党議員では唯一岡田さんの高校後輩にあたる梅村聡さんが生活保護の不正受給防止のために、自治体が申請者の財産把握のために、銀行に口座の一括照会ができるよう要望しました。これは12月から実施される運びとなりました。ところで、生活保護者は増えていますが、不正受給は増えていないそうです。私も「不正受給数は年々増えている」と思っていましたが、これは「生活保護者数と不正受給に関する報道量が増えている」ことによって生じたイメージギャップのようです。これは政治を見る眼を曇らせる可能性があり、注意が必要です。梅村聡さんは来夏の大阪選挙区で改選になります。3人区から4人区になる可能性がありますが、大阪選挙区選出でこれに言及したの勇気があるとも言えるし、中選挙区の強さとも言えます。梅村聡さんは野田第3次改造内閣が厚生労働大臣政務官になり、この日の衆議院厚生労働委員会で「参議院議員ですので、衆議院で答弁するのは初めてです」としながらも、2月の政府外議員としての提案を12月から政務三役として実施するという責めを負いました。


 脇質問では、国家戦略室が法律どころか政令でも内閣官房に位置することが定められていないことが明らかになりました。橋本行革以降の「官邸主導」は大幅に前進し、三木武夫首相が「官邸は5人だけで動いている」(筑紫哲也さんのインタビューへの答え)状態からは、小泉純一郎首相時代に大幅に前進しました。しかし、脇さんも「これは民主党内閣になってからだけじゃない。自民党の終わりのころから内閣官房とか内閣府がたるんでいるんですよ」との指摘通り、内閣官房の「室長」「本部事務局長」や内閣府の「政策統括官」「所長」など、実際には「局長」であり、ラインであるのに、国家行政組織法第23条「官房および局の数は96以内とする」の抜け穴となってきました。内閣官房から内閣府に移せばいいという問題でもありません。首相官邸隣には、内閣内政審議室、内閣情報調査室、旧沖縄開発庁が入居していた内閣府本府ビル(旧総理府本府ビル)があり、高層ビルに建て変わります。現在は7階建てだと思いますが、20階建て以上になるようです。空間の拡大を機に、内閣官房から内閣府に移ることで生き残ろうとする組織もあるでしょうが、一つの省に戻すべきです。その一方で、内閣府経済社会総合研究所は、「内閣府経済企画庁」として人員を増やして、官庁エコノミストを復活すべきです。世界恐慌の今、民間エコノミストは銀行・証券・保険会社の社員ですから、「復興需要がある」などとして必ず高めの成長予想を出します。不況だからこそ、官庁エコノミストによる分析、予想が必要です。

 このように内閣官房・内閣府は時代とともに、内閣とともに変化すべきです。硬直した組織はいりません。

 そのためには、すべての未入閣議員は、内閣法、行組法、各府省設置法、国家公務員法を熟読し、理解すべきなのです。

国会議事録データベースから引用はじめ]

第180回国会 予算委員会 第3号
平成二十四年二月六日(月曜日)
   午前九時開会
○委員長(石井一君) 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)、以上二案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。脇雅史君。
○脇雅史君 いよいよ参議院の予算委員会の総括質疑ということで、今日からあしたの午前中まで、やや長丁場でございますが、野田総理、どうぞよろしくお願いをいたします。そしてまた、閣僚の皆様方も、やや長いですけれども、途中で行方不明になどならないようにしっかりとお願いを申し上げます。
 野田総理は、年が明けてから、この日本の難局を乗り切っていくに当たって正心誠意、不退転の決意でやっていくんだと再三述べられておられまして、私どももお聞きをいたしておりまして、その決意のほどはよく感じることができます。しかし、決意が幾ら良くても、中身がなければしようがないんですね。正心誠意とおっしゃいますが、残念ながらその誠意の方は私どもの方に伝わってこないんです。
 例えば、お辞めになった山岡前大臣、立派な方だと思うんですが、しかし、誰が考えても消費担当大臣、消費者庁の担当大臣、これはどう見ても適材適所ではないんですよ。それは多くの方に聞いても皆さんそうおっしゃいます。しかし、野田総理はずっとそれは適材適所だと言い続けておられた。そこに言葉の誠が見られません。
 また、この間の本会議での我が党の中曽根会長の質問に対して、それは総理の民主党大会における参議院に対する発言でございますが、おかしいのではないかということについても一切誠意ある回答は見られませんでした。ですから、なかなか信じられないんですね。
 これは野田総理だけではなくて、民主党の歴代の総理の方々、みんな言葉が軽いといいましょうか、言葉が躍っているように思えます。例えば、CO2を二五%削減するとか、あるいは脱原発だとか、どんどんどんどん言葉だけ出てくるんです。本来、結論が先にあるのではないのです。しっかりと内部で討論をし、議論をし、吟味をして、そして我が国の取るべき方向を定めていく、そしてしかるべき手続を取って進めていくというのが本来の姿なんですが、最初の言葉だけなんですよ。だから、幾らしゃべっていても信頼できない、そういうことが民主党の基本的な体質にあるように思うんです、失礼ながら。
 そこで、私もこの二年半の皆様方の様々な言動を本当に疑問に思うことが多いんです。今日は一つずつそれを検証していきたいと思っています。私の後に、次が林先生、礒崎先生、片山先生ということでだんだんに予算については質問をしてまいりますが、私は今申し上げた点に絞って質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、まず憲法でございますが、総理、御就任なされてから憲法は何度ぐらいお読みになっていますでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 全体を読んだということはありません。ただ、折につけ必要な条文を確認をしたということはありました。
○脇雅史君 お忙しいですから、全部読むなんということはあり得ませんし、問題になったときにお読みになればいいと思うんですが。
 それでは、憲法七十三条はお読みになっていますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 読んでおりません。
○脇雅史君 七十三条というのは実は大変大事な条文だと思っているんですが、法制局の方、ちょっと読んでいただけませんか。私は資料一でお配りしてありますので皆さんには分かるんですが、ラジオをお聞きの方もおられるでしょうから、七十三条を読んでみてください。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。 二 外交関係を処理すること。 三 条約を締結すること。但し、事前に、」、以下、省略いたします。「四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。 五 予算を作成して国会に提出すること。 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。」、以下、省略します。「七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。」でございます。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 その今の第一項は、特に第一号は「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」。誠実に執行するということを、総理、どのように解釈されていますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) まさに、文字どおり法律に基づいて誠実に執行するということを心掛けるということであります。
○脇雅史君 それでは、内閣法はお読みになっていますでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣法個別の条文云々ではなく、全体を読んでいるということではございません。
○脇雅史君 憲法は、法律を誠実に執行しろと言っているんですね。法律を読まずに誠実に執行することは可能なんでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣が行う仕事はたくさんあります。いろいろ個別法に基づいて、もちろん上位法である憲法に基づいた個別法に基づいて内閣として仕事をしてまいりますが、私がその一つ一つの仕事の法律の裏付けを全部読んで対応するんじゃなくて、それぞれの担当の閣僚あるいは政務三役あるいは各府省が法律に基づいて仕事をしているというふうに思います。
○脇雅史君 内閣法に言う主任の大臣はどなたか総理は御存じなんでしょうか。いや、知らなかったら知らないでいいですよ。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣総理大臣だと思います。
○脇雅史君 そのとおりですね。
 それでは、内閣府の設置法はお読みになったことはありますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣府設置法全体を読んだということはありません。
○脇雅史君 内閣官房の主任の大臣も総理大臣、それから、お読みになっていないとおっしゃっているんで、それは御存じでしょうから、内閣府の主任の大臣もやはり総理大臣ですね。
 では、一般の方々は内閣官房って一体何するんだろう、内閣府って何するんだろうと思われると思うんですが、総理は内閣官房と内閣府をどのように使い分けていらっしゃるんでしょうか。
 総理にお聞きしているんです。総理が主任大臣なんだよ。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) それじゃ、まず……(発言する者あり)いや、まず答弁して、答弁して。
○国務大臣(枝野幸男君) 法令解釈担当大臣も命じられておりますので、法令解釈担当大臣としてお答えを申し上げますが、内閣の総合調整にかかわる役割のうち、一定の恒常性を持つものについては内閣府において、そしてアドホックなものについては内閣官房において主に処理するという使い分けがなされております。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) ちょっと、ちょっと帰ってくれ。ちょっと、ちょっと待ってくれ。(発言する者あり)答弁しますか。(発言する者あり)
 それでは、恐縮ですが、議場整理のため、脇雅史君、もう一度御質問願います。
○脇雅史君 私は法令解釈をお尋ねしているのではありません。総理がどのように運用されているかをお聞きしているんです。内閣官房と内閣府をどのようにお使い分けなされているかということです。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 私の頭の中では、内閣府の中にはそれぞれの所掌、分掌があります。必要に応じて総合調整しなければいけないようなときは内閣官房に仕事を負わせると。例えば行政改革全体等は内閣府でやっていました。行政刷新は官房の事務が担当したりと、そういう何か使い分けをしてきているというふうに思っております。
○脇雅史君 内閣官房と内閣府と似たような仕事を大変な人数を掛けてやっていらっしゃる。それをうまく使いこなすにはきちっとした理念が要ると思うんですね。元々、法令上の決まりはあるんです。決まりに基づいてしっかりやってほしい。現実にしっかりやっていないように見えるから、私は申し上げているわけであります。
 それでは、少し具体例に行きます。
 国家戦略室ですね、国家戦略室はどこにある組織ですか。
○国務大臣(古川元久君) 内閣官房に設置されております。
○脇雅史君 それでは、内閣法の二十二条、ちょっと読んでいただきたいんですが。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 二十二条でございますが、「内閣官房の所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。」ということです。
○脇雅史君 それでは、国家戦略室は政令で定まっているんですか。
○国務大臣(古川元久君) お答えいたします。
 政令で内閣官房組織令というのがございまして、そこの第十二条に「この政令に定めるもののほか、内閣官房の内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」となっておりまして、この内閣総理大臣決定によって戦略室が設置をされております。
○脇雅史君 細目なんですか、この戦略室というのは。細目で定めるものなんですか。いいかげんな答えはやめてくださいよ。
○国務大臣(古川元久君) これは、ちゃんと法令に基づいて、そして政令に基づいて総理の決定できちんと定められているというものでございます。
○脇雅史君 資料二にこの内閣官房の組織図、これはホームページから取ったものですね、立派にその国家戦略室というのが上から二番目に書いてありますよ。これが細目なんでしょうか。大体ここで黄色で書いてあるやつは、これは政令で書いてあるわけですね。このまさに国家戦略室は政令で定めるべきものだというふうに見えますね。
 要は、先ほどの、憲法で誠実に法律を執行しなさいと言っているわけです。それは、内閣法できちんと政令で定めなさいと書いてあるんだから、素直に読めば、誠実に読めば当然政令でやるべきでしょう。へ理屈で国家の運営をやってはいけないんですよ。あなたの言うのはへ理屈なんだよ。
 総理、どうですか。
 あなたは主任大臣じゃないんだから。
○国務大臣(古川元久君) へ理屈というんじゃなくて、これは委員、大変恐縮でございますが、そういう細かいことで言われるわけじゃなくて、これは全体として内閣として決めた話であって、別に法令に反しているような話ではございません。
 逆に言うと、もう少し中身の話で是非議論をしていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 何か総理、補足しますか。(発言する者あり)
 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こしてください。それじゃ、古川担当大臣、もう一度。
○国務大臣(古川元久君) ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんけれども、ここの部分は法令に反するものではなくて、きちんとそれは法令に基づいて総理大臣決定によって設定をされたというものでございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 古川国家戦略担当大臣。
○国務大臣(古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわび申し上げます。
○委員長(石井一君) 脇君、質疑を続行してその点を指摘してください。
○脇雅史君 私は総理にお聞きしているんですが、今のように、法律の体系というのは法律があって政令事項があって規則があるんです。政令に定めたものの中で規則に委ねるものは書いてあるんです。政令で定めるべきものを細目といって規則で決めるなんてことはあり得ないんですよ。あなたの答弁は全く間違っています。これはささいなことではありません。法治国家としての原点です。
○国務大臣(古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわびを申し上げますけれども、これは法令に基づいてきちんと内閣総理大臣決定によって設置をされた組織であるということであります。
○脇雅史君 総理大臣がこの組織を決める権限はないんです。総理。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) この国家戦略室の設置根拠は、先ほど古川大臣が御説明したとおり、内閣法二十二条及び内閣官房組織令十二条の規定であります。十二条の規定は、「この政令に定めるもののほか、内閣官房の内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」と書いてありますが、これを根拠にして国家戦略室をつくりました。ここで方向性が出る国家戦略についての方向性については、最終的には閣議で意思決定をいたします。閣議で意思決定したものについては個別の省庁が法令に基づいて対応するということでございますので、私は問題はないというふうに理解をしております。
○脇雅史君 もうあきれて物が言えませんね。全く解釈論が間違っています。
 それでは、もう一つお聞きしましょう。その内閣府の組織令の冒頭を読んでみてください。法制局、どうぞ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 内閣官房組織令の十二条でございますか。
○脇雅史君 最初、冒頭の部分。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 最初、そうですか。ちょっと手元にはございません。
○脇雅史君 そんなもの出てこないの。組織令ぐらいすぐ出るでしょう。この内閣出ないの。それでは貸してあげるよ。これ読んで。組織令ぐらいは出るでしょう、すぐ。冒頭部分でいいから。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、申し訳ございません。
 内閣官房組織令の第一条、「内閣官房に、次の三室を置く。」……
○脇雅史君 第一条じゃないです、冒頭部分。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) はい。
 「内閣は、内閣法第十六条第二項及び第十七条の規定に基き、この政令を制定する。」ということになります。
○脇雅史君 今、第十六条第二項に基づいてと読んだんですね。この政令なるものは、内閣法第十六条第二項に基づいて定めているとおっしゃいましたね。これ、うその資料を渡したんじゃないんです。ホームページなんです。
 じゃ、内閣法十六条第二項って何ですか。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 現在の内閣法十六条は「内閣官房に、内閣官房副長官補三人を置く。」という規定でございまして、多分それは制定文でございまして、その後改正をされまして、その条項が移動したというふうに考えます。
○脇雅史君 またあきれちゃうんですが、これ、内閣府のホームページに堂々と載っているんですよ。
 私読んでみて、今言った内閣法を読んでみたら、十六条第二項に基づいてどうやって政令が制定されるんだろうかと思って、全く意味が分からない。どうするんですか。教えてくださいよ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 一般的に法令を作るとき、法律が書かれる、その法律を根拠に当然政令が作られるんですけれども、その政令を作るときに、えてして最初のときに作ったままの制定文が書いてあって、その後法律が改正され、あるいはその政令が改正された後、その改正後の条文を書くべきところを書いていないということがよくあるわけでございます。
 ちょっとそれを、根拠を少しチェックさせていただきたいと思います。
○脇雅史君 今の答弁では国家は成り立ちませんよ。法律を変えたら全て関連条項変えるんでしょう。それで内閣は大変な内部で意思調整するんですよ。できていないからこうなっている。これは民主党内閣になってからだけじゃない。自民党の終わりのころから内閣官房とか内閣府がたるんでいるんですよ。だからこんな、法制局もそうだ、こんなばかなことを、今のばかな答弁があったら国家は成り立ちませんよ。どうするんですか、これは。
 総理、総理。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 私どもは仕事を行うに当たりまして、いわゆる黒本といいます大きな法令全書を使って、約百冊ぐらいありまして、それに従って仕事をしているわけでございますが、そこのいわゆる編集の問題でもございます。その編集は、えてしてそこの制定したときの制定文をそのまま書いてあって、その後、慣習として、その本体が動いてもそれを動かさないということになっていると思います。多分、現在の内閣官房のその組織令は、ホームページはそれをそのまま取ってきたんじゃないかと思っております。
○脇雅史君 これ、真面目に法律読んでいったらつながらないじゃないですか。そんなばかな話はあり得ないんですよ。全部直す。今コンピューターの時代ですからね、関連条文全部ぱっと直せますよ。早く直してくださいよ、陳謝して直してくださいよ。あなた主任大臣なんだから。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 根拠はあるということは、その法制局の今の答弁のとおりなんです。ただ、問題はその編集の問題等でありますから、そこはきちっと対応を早急にしなければいけないというふうに思います。
○脇雅史君 これは編集の問題ではありません。法律は言葉が命なんです。一字一句間違っちゃいけないんですよ。そういう緊張感のない答弁だから、こんないいかげんな内閣、こんないいかげんな国になってしまうんですよ。こういう大事なことを、古川さんなんかささいなことだと言っているんだよ。法律の字句が違っていいの、この一つ一つの字句が違っていいんですか。あり得ないでしょう。担当大臣、枝野さん、ちょっと言ってあげてください。変わってもいいの、こんないいかげんなことでいいんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 法令の解釈論といたしましては、それぞれの法令は何年何月何日に改正されたと、その時点における他の法令の規定が前提になっておりますので、現在のような運用が法令の解釈上問題になるとは思いません。ただ、御指摘のとおり、法令は法制局などの専門家だけが使うものではありませんので、そうした意味では不便というか分かりにくい点があるというふうには思います。
 ただ、法令解釈担当大臣でありますが、内閣法制局に対する私は指揮権がございませんので、あります総理や官房長官と御相談をさせていただいて、国民の皆さんに分かりやすい解釈ができるような運用について努力したいと思います。
○脇雅史君 今、大変な答弁ですよ。最新の法令、まあ改正しますわね、改正に基づいて、そこで全部の法令を直すんじゃないんですか。直さないのがあって、あちこち見なくちゃいけないようになっているんですか、古い法律も見ながら。違うでしょう。法律を変えたときに全て変えるんでしょう。変えるのが義務です。あなたは、変えなくてもいいと言った。
 法制局長官、いいのか、それで。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 少し問題を整理して御説明いたしますが、法令本体は、法令の題名から、したがって以下つながっている条文、これが法令の本体でございます。何か改正があれば必ずそれを完璧に全部直すということは普通やっております。
 そして、制定文は、恐らくこれは、かねてからさっき申し上げたようなその運用をしてきたというのは、これは歴史的事実を示すものということで、それを作ったときの歴史的状態でそのまま固定されていて、その後それは、特にそれまで触ることはしないというのがこれまでの経緯でございます。
 それで、それは要するに……(発言する者あり)
 それで、もう一つ申し上げますと、要するに制定文というのは作ったときのその当時の状態を示すものでありまして、法令としての効力は題名以下の法令の本文であるということでございます。
○脇雅史君 今の答弁によれば、政令だけ読むと、そこに書いてある条文というのは、昔変えたやつ、いろんな様々な条文が混在しちゃっているということがあり得るということなんですね。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) それは、法令を制定する前の一番、何といいますか、その根拠、法令を制定したときの根拠を示すだけでございまして、法令そのものは、法令以下の、その題名以下の本文ということでございますので、それは完全に整合性があるように作られております。
○脇雅史君 それでは、昔の十六条第二項と十七条の規定というのを教えてください。どういう条文ですか。わざわざ根拠として昔のやつ取っておいたんだから、教えてよ。分からないんだ、昔の法律が。だから教えてくださいよ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) それは、内閣府、内閣組織令を作ったときの状態でございまして、そのときの条文に戻らないと分からないわけでございますが、その後組織令が改正されて、それで条文がずれたということで、ですから題名以下の本体のところは間違いなく、そして制定文のところはそれを作ったときの状態がそのまま残されているのがこれまでの慣行といいますか、ということでございまして、そこまでは私どもは特に改正していないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 内閣法制局長官、質問に直接的に簡潔に答えていただきたいと存じます。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 普通、組織令、そういう政令を書くときは、その前に必ず、新設するときはその制定文を書くわけです。その制定文は書いたときの、その組織令を作ったときの状態でそのまま残されるということでございます。そして、それはあくまでも制定文でございまして、法令本体の効力としては、題名以下の各条、これが完全に実効を有するわけでございまして、昔のその経緯までは私どもはそこに書いていないということでございます。
 それで、お尋ねにつきましては、多分その作ったときの法律の政令の状態、これが必要だと思います。それから、その後、一部改正を行った、その一部改正を行ったときの状態、この二つが必要だと思いますが、ちょっと今手元にございませんので、誠に申し訳ございません。
○脇雅史君 じゃ、至急提出してください。すぐ調べて提出して。(発言する者あり)いや、答弁要らない。
 次へ行きましょう。まあ、余り、いいかげんであるということがよく分かりましたが。
 内閣府の組織図を皆さんにもお配りしています。私ずっと読んでいったんですが、全て法律で規定されています。そして、例えば十八条に経済財政諮問会議というのがありまして、右の上から二番目ですね。全てみんな法律で決まっているんです。ここに書いてあるのは全部決まっているんです。なぜか沖縄振興審議会だけ、ちょっと法律で私見当たらなかったんで、私の見逃しかもしれませんが、後で教えてください。大した話ではないです。
 それなのに、ここの中に税制調査会とか地域主権戦略会議とか行政刷新会議とか、そういうものはないんですよね。私は、ここの右に並んでいる全て法律で定められた組織と比べて軽いものではないと思うんです。何でここに出てこないんでしょうか。(発言する者あり)総理大臣。
○委員長(石井一君) それじゃ、岡田副総理。
○国務大臣(岡田克也君) 私は行政刷新会議の担当でございます。
○脇雅史君 税制調査会は関係ない。
○国務大臣(岡田克也君) 行政刷新会議につきましては、我々も国会に法案を提出をして法定していただきたいということをお願いしていた時期もございます。しかし、残念ながら、御審議いただけないということで法律で定めるには至っておりません。閣議決定で行政刷新会議を設置しているということでございます。
○脇雅史君 法律で規定しなくちゃいけないと思っていたと言うんだから、やっぱり法律で決めるべきものだという意識はあるみたいですね。法律がなかったらできないんですよ。閣議でそんなものをつくっていいという根拠はどこに書いてあるんですか。
○国務大臣(岡田克也君) 法律で規定することができれば、私はその方がより良いというふうには考えます。しかし、閣議で設定することが否定されているわけではございません。
 行政刷新会議で議論された事項について行政刷新会議で執行するということであればともかく、最終的には閣議で決定をし、その上で執行されるものでありますので、そういう意味で、行政刷新会議そのものは法律で定めなければならないということではございません。
○脇雅史君 今の御答弁だったら、ここで全部法律で定める必要はないですよ。全部閣議で決めりゃいいんですよ。それでは駄目だと。
 要するに、国会に対してきちんと説明しなくちゃいけないから、憲法の精神からしても全部法律で決めることに我が国はなっている。だから、あなた方も法律を作ろうとしたんでしょう。法律が通らなかったらできない。いいかげんなこと言っちゃ駄目ですよ。
 どうですか、総理。あなたは行政刷新だけだから。税制調査会もあるから、総理、どうですか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 行政刷新会議も、それから国家戦略会議、それから税調、地域主権戦略会議は、今副総理が答弁されたように閣議決定を根拠にしております。
○脇雅史君 どこに法律書いてあるの。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 閣議決定においても、その後、方向性を出したときには最終的には閣議で決めていく、そして各府省できちっと法律に基づいて執行していくということによって特段の問題はないというふうに思います。
○脇雅史君 そんなことだったら全部要らないんです、閣議で全部やりゃいいという論理なんですよ。日本の法制度はそうなっていないんですよ。いいかげんにしてくださいよ。
 全部これ、きちんと法に基づいて処理をしていただきたいと思うんですが、総理、どうですか。
○国務大臣(岡田克也君) 委員の御意見を聞いていてよく理解できないところは、法律に基づいて設置することになっていると言われますが、その根拠を是非お教えいただきたいと思います。
○脇雅史君 逆質問なんかあり得ないんですが、国家行政組織法とか内閣府設置法でこれが全て法律で設定されている。全て法律なんですよ、ここに書いてあるのは、審議会等も。
 何で法律で決めているんですか、これらは、じゃ。法律で決めなくちゃいけないから決めているんでしょう。同じようなものが法律で決めても決めなくてもいいなんて、これは国家成り立たないじゃないですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 内閣は法律や法律上の組織に基づいて行政行為を行う、これについては、内閣が替わっても政権が替わっても、それについて国会の議決をいただかないとにかかわらずに設置をされると、こういう法律上の拘束力があります。ただ、国家行政組織法等においても憲法においても、内閣が法律によらない法令上の根拠に基づく行政組織的なものを用いて一般行政事務を行うことについては憲法で否定をされているものではございませんし、そのことがなければ行政事務は動きません。
 一方で、例えば憲法は、租税法定主義など国民の権利義務に直接関係する例えば税については、これは法律で定めなければならないという規定を置いておりまして、行政組織などの扱いについて憲法は明確に区別をしております。
○脇雅史君 全く違いますよ。法律に基づかないで行政やっていいわけないんです。全てきちっとやるんです。あなた方は間違っていますよ。もうこれは、ここで時間が無駄だからもうやりませんが、大変な思い違いだということを申し上げておきます。
 それで、行政刷新会議は何で法律で定めないか、もう一回言ってください。
○国務大臣(岡田克也君) 先ほど言いましたように、必ずしも法律で定める必要はございません。しかし、でき得れば、これは内閣の中で重要な組織でございますので、会議でございますので、我々としては法律で決めることを一旦はお願いをしたところでございます。
○脇雅史君 衆議院でちゃんと通して参議院へ送ってくればいいんですよ。衆議院に圧倒的多数があるんでしょう。送ってくる気もないのによく言いますね。あきれてますよ。
 それから、行政刷新会議で民主党の議員がその行政の一部分を担当しましたよね。これは明らかに国会法の三十九条に違反していると思いますが、これはどうですか。
○国務大臣(岡田克也君) 民主党の国会議員が具体的な議論に参加をしたことは事実でありますが、それで何かを決定したということではございません。
○脇雅史君 ああいう場所で人を集めてやるということは行政行為なんです。国会議員は、立法府はそこへ参加してはいけないというのが三十九条の法律の精神なんです。
 憲法には、法律を誠実に執行しろと、先ほど申し上げましたように書いてあるんですよ。ですから、この国会法を誠実に執行しようとしたら、これはどう考えたって国会議員はそんなチームに参加できるはずがないんですよ。それはもう詭弁なんです、詭弁と言い訳。政府が詭弁で行政をやってどうするんですか。国政は堂々とやらなくちゃいけないんですよ。この法律の精神にそんなことが読めますか。
○国務大臣(岡田克也君) そこは、考え方、解釈の異なるところだと思います。(発言する者あり)今から御説明します。
 まず、事業仕分、提言型政策仕分の国会議員評価者は、行政刷新会議の議長である内閣総理大臣が指名した者でございます。行政刷新会議は、内閣府設置法に基づく行政組織ではなく、その役職等は官職に当たるものではないことから、国会議員を評価者に指名し、その参集を求めることは、国会法第三十九条との関係で問題が生ずるものではないというふうに考えております。
○脇雅史君 これはもう抜本的におかしいですよ。
 本来、行政法で、法律できちんと定める行政組織を定めずにおいて、それで法律で定めていないからいいんだと。これ、定めてやらなくちゃいけないものを定めずにやって、だからいいんだという、もうむちゃくちゃな論理なんですよ。国家がこんな運営はしていいはずがありません。これはもう重大な問題として、今までもずっと言い逃れ、へ理屈ばっかりでこの内閣やっているんです。そのことをきちっと指摘しておきたいと思います。
 それからもう一つ、税制調査会の設置の根拠の条文を教えてください。
○国務大臣(安住淳君) 今の税調は、二十一年の九月二十九日の閣議決定において決定をしております。
○脇雅史君 根拠条文を教えてください。
○国務大臣(安住淳君) 閣議決定における内容については、まず、総理大臣の諮問に応じ、租税に関する制度について調査審議をするために内閣府に税制調査会を設置する旨書かれております。そのほかは、構成要員それから運営方法等について規定を設けております。
○脇雅史君 これ、財務大臣じゃなくて、内閣府に置かれているんですから総理なんですね、主任の大臣は。
 内閣府に置いている根拠を教えてください。
○国務大臣(古川元久君) これ、税制調査会の庶務については、財務省及び総務省の協力を得て内閣府が行うということになっております。国税に関する制度の企画立案を行う財務省と地方税に関する制度の企画立案を行う総務省とともに、内閣府が両省の連絡調整を行いながら税制調査会の運営を行っているという形になっております。
○国務大臣(枝野幸男君) 先ほど来、憲法七十三条の第一項第一号をお読みになっておりますが、憲法七十三条は「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」となっておりまして、その一号に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」となっておりまして、この憲法七十三条に基づき閣議において決定したものでございます。
○脇雅史君 他の一般行政事務の定義を教えてください。
○国務大臣(枝野幸男君) この話をし出しますと、行政法のまさに一つの大きな論点でございます。立法や司法についてはその範囲について明確に定義ができますが、社会の複雑化の中において、行政は国民生活の向上、国益、国民益の保護のために立法、行政以外の機能について果たしていくということになっているのが一般的な解釈でございます。
○脇雅史君 解釈論をする気はないんですが、基本的に、みんなこれまで法律で定めてやってきたことはやっぱり法律で定めるべきなんですよ。国会としてもそう思います。あるとき急に法律なしでやってみたり、法律は出したけれども通らないから法律なしでやっているというのは、まさしく異常としか言いようがありません。
 それから、さっきの根拠条文教えてください、内閣府に置いている根拠条文。財務省じゃないんだよ、内閣府。
○国務大臣(古川元久君) 先ほど私御説明を申し上げましたが、内閣府は庶務を担当、これ置いているといいますか、これは、税制調査会は閣議決定に基づくものであって、内閣府設置法上の行政組織ではございません。内閣府がやっているのは、この税調の庶務の部分を内閣府の担当としてやっているというところでございます。
○脇雅史君 根拠もなしに、どこに置いてあるか分からないと。民間の人も入っているんですよね。どこにあるか分からない会議なんですか、調査会というのは。
○国務大臣(枝野幸男君) ですから、それは先ほど私がお答えしましたとおり、憲法七十三条柱書きに基づき閣議決定したものでございます。
○脇雅史君 そんな権限は内閣にないですよ。とんでもない話です。もうとんでもない話だということだけ指摘して、もうやめます。重要な事項について、やはりきちんと検討して、きちんと法律を作って、手続にのっとって進めるべきですよ。あなた方は間違っています。
 それでは、八ツ場ダムについて、二年半ほど前にいきなり停止を命令しましたよね、命令したというか実際止めたわけですが、どういう根拠に基づいて、どういう手続を経て止めたんでしょうか。
 総理、内閣の総理にお尋ねします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 八ツ場ダムの事業停止の手続についてのお尋ねでございますけれども、平成二十一年の十月に、当時の前原国土交通大臣の判断により八ツ場ダムの本体工事の入札契約手続を中止をいたしました。この手続の中止については、特定多目的ダム法等の法令に基づく特定の手続は取っていないと承知をしております。
○脇雅史君 八ツ場の予算を執行するというのは、憲法七十三条に基づいて、様々な法令に基づいてやろうということは決定されて、お金を使うこと自体が憲法七十三条による誠実な執行なんですよ。それを何の根拠もなしに一大臣が勝手に一人で決めたんですか。もう一回答弁してください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 中止の前段階としてのダム本体工事に関する入札契約手続の取りやめを判断したものでございますので、この時点で直ちに法令に基づく手続を取る必要はなかったというふうに承知をしています。
○脇雅史君 もうとんでもない話ですよ。
 法律に基づいて執行する義務があるんですよ、あなた方は。それをやめるんだったら、やめる手続もありますよ。内閣法に一般行政の中止手続ってあるんですよ、知っていますか。内閣法、主務大臣、どうぞ。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣法の中にはそういう規定はあるかと思いますが、先ほど申し上げたとおり、この八ツ場ダムに関しては、中止というその前段階の入札あるいは契約手続の取りやめの判断でございます。
○脇雅史君 全くの詭弁で、現実にダムの工事を止めたんですよ、本体はね。それで、本体が止まったことによって完成が遅れているんです。二年半遅れるでしょう。遅れたことによって実質的な損害を受けた人もいるんです。この損害の賠償は誰が払うんですか。
○国務大臣(前田武志君) 脇委員が誠にこれはもう専門家でございますので、要は、総理がお答え申し上げたように、事業の中止の方向性を示したものであって、法令に基づく手続は行っておりません。

(中略=この間に河川法、国の出先機関改革、人事院勧告についての質疑)

○脇雅史君 大変残念なことに時間が来てしまいましたが、今の答弁でもいかにいいかげんかと、やることは全くすぐできるんですから。本当に法律や制度を無視してむちゃくちゃな内閣だなということを改めて思います。
 そして、最後になりますが、これまでいろいろ述べてきましたが、この内閣は本当に憲法の下に法律を執行するという意味でふさわしくない内閣だと思っています。欠陥内閣と言うしかほかはありません。民主党政権の基本的な、本質的な欠陥として、今まで言ってきたように、法律によらない、そして言葉が軽い、責任を取らない、基本政策自体も間違っている、それから皇室を大変に軽視している、そういうことが挙げられます。この今の我が国が置かれている重大な局面を乗り切っていくには全くふさわしくない内閣だと思います。一刻も早く退陣されることを要求いたします。
 私が退陣を言うのは、ただ単に自民党に政権を取り戻したいということではありません。今の我が国は、本当にきちんとした国家観に基づいて堂々たる政府、実行できる政府をつくる必要があると思います。自己の利益のためではなくて、国家国民のために、ここにおられる国会議員の皆様方も是非このことを御理解いただいて、御尽力、御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(後略)

[引用おわり]

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[お知らせおわり] 


「与党は双葉山だ」「新しい方能力のある方は政府に入り与党の重みを肌で経験して」藤井裕久さん

2012年09月24日 07時55分45秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]藤井裕久さん、民主党の機関誌「プレス民主」から。

 民主党最高顧問の藤井裕久さんは2012年9月23日のNHK日曜討論で「与党というのは攻撃するだけじゃないんですよ」「受けて立つ。それで勝つんですよ」「きょうは相撲の千秋楽ですが、(大横綱の)双葉山のようなものですよ。(野田佳彦総理は)そのセンスがある人だと思っていました」との認識を示しました。

 奇しくもこの日は、大関・日馬富士(はるまふじ)が2場所連続優勝を決めました。大関の2場所連続優勝は双葉山、貴乃花に次いで3人目。当然にして、鶴田卓彦・横綱審議委員長は日馬富士を横綱に昇進させるでしょう。彼は見る眼がある男ですから、正しい判断をするでしょう。新横綱は白鵬以来、5年2ヶ月ぶりで戦後ではもっとも長いブランクが埋められることになります。

 相撲大事典によると、「双葉山は、立ち合いに決して「待った」をせず、常に相手を受けて立った。しかも、右四つの自分の型に持ち込んで、上手投げ、寄り身で相手を仕留める堂々たる相撲を取った」そうです。例の69連勝ですが、昭和11年春場所の7日目からスタートしましたが、このときは、前頭3枚目だったんですね。私は横綱になってから連勝を始めたのだと勘違いしていました。双葉山が世に出た理由は「春秋園事件で協会から幕内力士が大勢脱退したために、繰り上げの入幕であった」という協会のピンチを自分のチャンスに変えたようです。追い風に乗ってデビューしました。しかし、相撲大事典は「大横綱と呼ぶにふさわしいこの輝かしい成績は、強い足腰を備えた体と、粘り強い精神力から生まれた」としていますから、デビュー後は真の実力がそれを下支えしたようです。いずれにしろ、人生チャンスは一度きりです。

 藤井さんは次のように語りました。

 「私は30年前に渡辺美智雄さんの政務次官(大蔵政務次官)になって以来、与党というものの責任を感じるようになりました。役人時代には考えられないような責任の重さを感じるようになりました」

 渡辺財政と言えば、なんと言っても政府貨幣である「500円玉」(大蔵省造幣局発行)を導入し、日本銀行券「500円札」(大蔵省印刷局製造、日銀発行)を隅に追いやりました。藤井さんは役人時代にも、二階堂進・竹下登官房長官秘書官をしています。これは、総理の椅子から数えて、すべて入れても20人~30人ほどの近さにある主要官僚ですが、大蔵政務次官(現在の財務副大臣・政務官に相当)の仕事は
それとは考えられないものだったとのこと。


[写真]在りし日のミッチー。渡辺美智雄副総理・外相(自民党)、外務省ホームページ1992年版外交青書から


[写真]官房長官秘書官時代の藤井裕久さん、テレビ朝日ニュース映像、2008年1月25日の当ブログ内から。

 「ですから、私は(党内)融和ということは大事なのですが、このもう一つの側面は、若い人に与党の責任の重さを感じていただく場をたくさん作っていくということだと思っています。野田さんに進言したこともあるんですが、野田さんは「1期生」という言葉を使われましたが、私はこれからの方で能力のある方はどんどん政府に入っていただく、与党の重みを、与党の責任を肌で経験していただきたいと思っています」。

 私はこの話を聞いて、具体的には選挙に強い2期生ながら政治センスに欠いた言動が多い柚木道義さん、2期生で議事進行係の鷲尾英一郎さん、参院から梅村聡さん、大島九州男さん、風間直樹さん、吉川沙織さんも政務官候補になるのかなと感じました。

 6月26日の一体改革法案採決に造反し、民主党を除籍された1期生はツイッターで「専用車もついて、あの広い部屋(群馬の私の部屋の約3倍)にどっしり一回生議員が陣取るわけ?はああ。(ため息)」と発言しました。このようにやっかみがあるようですが、野党に言われる筋合いの話ではありません。そもそも「群馬の私の部屋の約3倍」と表現されても、あなたの部屋に行ったことがないし、行きたくもないし、想像がつきようもありません。まさに国民の生活が第一の本性見たり。

 藤井さんは続けます。

 「こういうことは言っちゃいけないですが、(第45期衆議院の民主党第1次与党期は)try and errorの時代なんですよ。民主党という政党は一度も与党になったことがないんですよ。ただ、その中の一部の人間は与党を知っているんです。与党の責任を知ってもらいたいというのはそれなんですよ。ほとんどの人は攻撃するすることはものすごく優れているんです。ところが与党というのは攻撃するだけでないんです。私は野田さんという人は前から攻撃だけでないと思っていました。今、相撲の千秋楽ですね。双葉山のようなものですよ。受けて立ってそれで勝つんですよ、双葉山っていう人はね。そのセンスのある人だと思っていました。与党はそういうもんなんです。そういうところが今ようやく3年にして出てきたと思います。しかし、世間がそれを許していないのは事実です。世間は政権交代すればすぐに立派なことをやるだろうというのが事実ですよね」

 藤井さんにとって、第180回国会は彼の人生にとって節目となる重要な国会になりました。あの日(1993年6月18日)、巨像・自民党に敢然とノーを突きつけ、筏に乗って巨船を出たシンドバッド、新生党34人衆の一人。細川・羽田内閣を経て、新進党結党に参画し、大蔵大臣経験があるとはいえ、裏切って自民党に帰る仲間とは一線を画しました。しかし、1997年12月28日、年の瀬のどさくさにまぎれ、小沢一郎(悪魔一郎)党首が一存で新進党を解党した後、どういうわけか、自由党に参加してしまいました。元々、全国比例の参院議員や、落下傘の衆院議員である藤井さんは選挙に強くなかったのですが、そのためなにか弱気の虫が、民主党という新しい道を歩むのではなく、インチキ政党・自由党に参加せざるをえない状況になりました。しかし、力をつけた民主党のもと、新生党の後輩の強い推薦で、比例単独として、民主党第1次与党期に参加したところ、財務大臣、3・11の官房副長官、そしてもっとも難しい党税制調査会長として引く手あまたとなり、7月11日に追い込まれた小沢一郎・新進党解党者が除籍され、国民の生活が第一を結党する動きには、まったく一線を画しました。1977年の自民党参院議員初当選以来、35年目にしてついに初めて小沢一郎と違う党籍になりました。もちろん、インチキ政党・自由党幹事長だったという過去は消えません。私は藤井さんには、民主党でもっともっと「これからの方」にアドバイスをしてもらわないと、「自由党の罪」は消えないと考えます。秋の2012年税制改正でも大いにイニシアティブを発揮し、腕組みしてにらむつけるだけではなく、ときには怒鳴りつけてほしいと願います。

 やはり、私たち経世会・新生党・新進党出身者が、議員は引退し、県連顧問を務めている先生も含めて、残り1年間、もっと民主党を指導していく気構えを持たなければ行けません。その後は、自動的に浮上していくでしょう。

 司会のNHK解説委員、島田敏男さんが「藤井さんは、財務大臣を退任してから党の税制調査会長を務めていますね」と話を向けられると、うれしそうな顔で否定しました。「違います、野党時代からです」。税制に限れた、野党時代に立てたパラダイムが与党になってからも、すっと背骨として通り続けていることへの自信を感じました。来年1月からは租特透明化法の伝票も出てきます。これも政権交代の大きな実績です。

 「控除から手当て」へ民主党税制。現在、民主党は「配偶者控除の廃止を」、自民党は「配偶者控除の復活を」と主張しています。これは、昔で言えば、自由主義の自民党と社会主義の社会党と同じくらいに大きな理念の違いです。そのことに気付く知識すら持ち合わせない民主党議員はいっぱいいます。理解しているのは半数以下ですが、とはいえ理解している人もいます。秋の臨時国会もいいですが、こういった2012税制改正も、これはことしが最後ですから、しっかりと勉強していきたいと考えています。

 そして、第46回衆院選後の第3次与党期をめざす自民党第2次野党期の総裁も、中曽根康弘さん、渡辺美智雄さんの政科研、我々のように経世会・平成研、そして、新生党、新進党結党のエキスを吸収した議員がこの時代に求められるのかなという気がします。とはいえ、新総裁が新総理になると思いこんでいる自民党には大いに死角があります。

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谷垣さんが落ちた問責落とし穴にちらつく小沢一郎氏の影 やはり可決したのは14号議案だった 参議運議事録

2012年09月19日 08時01分02秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]自民党の谷垣禎一総裁。

 報道によると、驚くべきことに、自民党総裁選(9月26日水曜日投開票)は石破茂候補がリードしているという情勢分析があります。いったい自民党の国会議員団と地域組織になにが起きているのか分かりませんが、ひょっとすると、自公民3党の党首がすべて新進党結党メンバーになる可能性も出てきたわけで、2016年夏の参院選までの当面、自公民路線で懸案を処理していく体制をつくれるかもしれません。

 さて、谷垣禎一総裁が立候補を断念することになった8月29日の内閣総理大臣野田佳彦君問責決議可決にいたる本会議を前に開かれた、参院議院運営委員会の議事録がこのほど、ホームページで公開されました。

 やはり、私が指摘したとおり、本会議で可決した決議(案)は、当日に出し直した180参決議14号議案でした。第180回国会では、参議院に、6号、7号、9号、14号の合計4本の「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」が提出されるという、問責乱発国会となりました。このうち、6号は当初会期末にみんなの党が単独提出。7号は8月10日の参院での社会保障と税の一体改革関連法の採決の3日前に、衆院での内閣不信任決議案の直後に、国民の生活が第一やみんなの党ら7会派が提出したもの、9号は8月28日に自公が提出したものでした。そして、国民の生活が第一・みんなの党案と自公案が両立したため、鶴保庸介議院運営委員長が、29日早朝に、「4会派」に一本化を指示しました。このとき、参議院内には「4会派ってどこ?」とささやかれましたが、これは、自民党、公明党、国民の生活が第一、みんなの党の4会派。議運理事を出している5会派のうち、与党・民主党を除く4会派ということでした。このように会期末に衆参両院議長があいさつの中で不快感を示したように、通常国会中に院の構成が変わるというのは、民主的な議会政治において大変な問題があります。国民は、参院議員のほとんどが「4会派」の意味が分からなかった、ということに怒るでしょう。参院議員が理解できていないことが間接民主制で別に仕事をもつ有権者が理解できないのは至極当然。しかし、一部有権者の「小沢先生に手を突っ込んでかき混ぜてほしい」「政権交代よりも政界再編」などという甘い声が、小沢一郎さんに作っては壊し、作っては壊しで、都合の悪い情報は捨て、お金だけ抜き取る20年間の日本の空白をもたらしたことの十字架は有権者が一生背負い続けなければなりません。自民党の地方組織も、石破さんが反小沢だからって、石破さんの中にも、党を出たり入ったした過去を投票日直前までによく精査して、知った上で、投票にのぞんでほしいと希望します。

 ところで、議運委員長の鶴保さんですが、私は二階俊博さんの秘書だったと誤解していたのですが、東大法学部卒業後、小沢一郎さんの秘書だったようです。自由党公認で、二階さんが強い参院和歌山選挙区(1人区)で勝ち上がった猛者で、その後、二階さんとともに、小沢さんと袂を分かち、自民党へ。新しい波(二階派)に所属していましたが、同派は第45回衆院選で二階会長1人しか当選できない大敗北を喫して、志帥会(伊吹派)に身を寄せる格好となっているようです。ご存じの通り、石原伸晃幹事長(総裁候補)は、志帥会出身です。ひょっとすると、鶴保さんが石原幹事長が有利になるようにしながら、小沢秘書時代の人脈もいかして立ち回ったのではないか、という憶測が議事録から浮上します。谷垣総裁は、昨年、民主党内小沢グループで組んで、菅内閣不信任案を出して失敗しましたが、またしても、小沢さんにだまされたのではないでしょうか。鶴保委員長が一本化命令を出した後、みんなの党の水野賢一理事や国民の生活が第一の主浜了国対委員長(2016年改選)と議員会館内で頻繁に文面を精査していると聞きました。ただ、国民の生活が第一の議運理事は藤原良信さんで、この人は小沢秘書軍団の最古参ですから、鶴保さんと縁が太いはずです。


[写真]問責政局では、やや謎めいた運営をした、鶴保庸介・参議院議院運営委員長(自民党所属)。

 そして、一部報道では、国民の生活が第一・みんなの党案を修正して本会議で採決した、とありますが、これは私が以前から指摘した通り、当日の午後になってから、14号議案という4本目の野田問責案でした。そして、国民の生活が第一・みんなの党が出した14号議案は、7号議案とわずか2行半しか書き換わっていなかったようです。そして、6号と7号は撤回されたため、議運では、自公による8号議案が先決問題となり、14号議案は後に採決されました。このため8号議案の上程が、自民党と公明党の理事・委員のみ11人(議運の理事・委員は24人)しか挙手せず、賛成少数で上程否決。この後、14号議案の上程に関する採決となりますが、その前に、公明党の長沢広明理事が発言を求めました。発言は次の通り。

 「この後、国民の生活が第一など七会派提出の問責決議案の取扱いについて採決を行う運びとなっておりますので、それに当たり、我が公明党の意見を表明させていただきます。(略)自民党、公明党提案の問責決議案が今採決により本会議に上程できなくなったこの段階で、もう一方の七会派提案の問責決議案を委員会審査を省略して上程することについては、これを認め、賛成いたします。しかし、七会派の決議案の提案理由には、税と社会保障の一体改革に対する一方的な批判や、三党合意に関連して到底納得できない批判が理由とされており、我が党はこうした提案理由を肯定することはできません。よって、本会議への上程は認めるものの、本会議での採決には参加しないことをあらかじめ表明させていただきます」。

 公明党は議運の段階で決議案をよく読んで事前に本会議での退席を宣言しています。この後、自民党、公明党、国民の生活が第一、みんなの党の4党の14人が挙手して、上程が決まり、本会議で可決されることになりました。

 本会議での民主党の反対討論(武内則男さん)は冒頭から、「自民党の諸君は、決議文を読んだのか」から始まりました。では、自民党は決議文を読んでいたのか。参院の一部では、「自民党の脇雅史・参院国対委員長は主文だけ読んで、理由を読まなかったのではないか」という噂が立ちましたが、脇さんをよく知る人は官僚出身らしく業界団体の仕事をていねいに役所につなぐ比例選出参院議員としてそつなくこなす人だそうで、理由は読んでいたはずだと口を揃えます。脇さんは平成研(額賀派)所属と言うことで、同派も石原候補を応援しているようです。とはいえ、参議院自民党だけに、石原応援のために谷垣さんを落とし穴に落とすような人ではない、と脇さんを知る人は口をそろえます。それよりも、全委員会・理事会の運営を細かく頭に入れ、当然のことながら現場にも口を出す脇国対委員長が、会期末に自分の独裁的権力をいかんなく炸裂させたのが、この問責政局だったようです。そして、鶴保さんや脇さんの仕事について、参議院自民党の中曽根弘文会長と溝手顕正幹事長が任せっきりなのが、3党合意を批判する問責決議を自民党が賛成してしまう訳が分からない後味の悪い問責政局となってしまったと恨み節が出ています。こういうのは、実に参議院らしいエピソードです。


[写真]独裁的な権力をいかんなく発揮しているとされる、脇雅史・参議院自民党国対委員長、本人公式ホームページから。

 いずれにしろ、衆議院での不信任決議案の採決も、参議院での問責決議案の採決も、筆頭発議者である国民の生活が第一が趣旨弁明にも賛成討論にも立たないという小沢流ステルス戦術がとられ、気味悪さが残りました。自民党は、衆議院での不信任決議案を起立表決にしてしまうことも可能でしたが、記名投票表決にしました。自民党はまたしても小沢一郎さんに騙されて、落とし穴に落ちました。みんなの党も本会議での趣旨弁明の甘言に誘われて、国民の生活が第一が影響力を増してしまいました。

 さいわい国会閉会中で自公民党首選のさいちゅうで国民の生活が第一の支持率が大きく下がっています。仮に自公民3党が新進党勢の党首でそろうというチャンスがあれば、まずは小沢一郎さんを倒す。国民の生活が第一への政党助成金は2013年4月19日(金)に年間平均額で25億円相当が出る予定。しかし、半年以上運転資金がない状態なので、10月下旬に党政治資金パーティーを開きますが、これもパー券を1万枚以上売ってやっと現職の公認料(仮に500万円とする)をまかなえる程度の収入にしかなりません。

 自公両党の強い賛同を踏まえて、総理は来年4月19日前に第46回衆院選の投票日が来るように、毅然とした態度で信を問うてほしいところです。地方分権を進めるためにも、日本維新の会との連携も一案でしょう。

 両院議長がともに、院の構成が変化したことに言及して第180国会が閉幕したという事実を重く受け止める必要があります。

[参議院会議録(30日以内に開かれた会議)から引用はじめ(国会議事録データベースにも近く掲載)]

第180回国会 議院運営委員会 第28号
平成二十四年八月二十九日(水曜日)
   午後四時四十三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月二十三日
    辞任         補欠選任
     松浦 大悟君     櫻井  充君
     石井 浩郎君     片山さつき君
 八月二十四日
    辞任         補欠選任
     相原久美子君     広田  一君
     櫻井  充君     松浦 大悟君
     吉川 沙織君     石橋 通宏君
     片山さつき君     石井 浩郎君
 八月二十七日
    辞任         補欠選任
     石橋 通宏君     吉川 沙織君
     広田  一君     相原久美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                川合 孝典君
                川崎  稔君
                榛葉賀津也君
                古川 俊治君
                松山 政司君
                長沢 広明君
                藤原 良信君
                水野 賢一君
    委 員
                相原久美子君
                梅村  聡君
                中谷 智司君
                藤本 祐司君
                松浦 大悟君
                水戸 将史君
                吉川 沙織君
                石井 浩郎君
                磯崎 仁彦君
                上野 通子君
                大家 敏志君
                中原 八一君
                水落 敏栄君
                渡辺 猛之君
                石川 博崇君
                谷  亮子君
   委員以外の議員
       議員       紙  智子君
        ─────
       議長       平田 健二君
       副議長      尾辻 秀久君
        ─────
   事務局側
       事務総長     橋本 雅史君
       事務次長     中村  剛君
       議事部長     吉岡  拓君
       委員部長     郷原  悟君
       記録部長     小野 伸一君
       警務部長     秋谷 薫司君
       庶務部長     美濃部寿彦君
       管理部長     阿部 芳郎君
       国際部長     花谷 卓治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○決議案の委員会審査省略要求の取扱いに関する
 件
○本日の本会議の議事に関する件
    ─────────────
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。
 まず、決議案の委員会審査省略要求の取扱いに関する件を議題といたします。
 事務総長の報告を求めます。
○事務総長(橋本雅史君) 本日、鶴保庸介君外八名から李明博韓国大統領の竹島上陸と天皇陛下に関する発言に抗議する決議案が、鶴保庸介君外七名から香港の民間活動家らによる尖閣諸島不法上陸を厳しく糾弾し、厳重に抗議する決議案が、また、昨二十八日、愛知治郎君外八名から内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案が、また、本日、広野ただし君外六名から内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案が提出されました。
 これらの決議案には、それぞれ発議者全員から委員会の審査を省略されたい旨の要求書が付されております。
 この要求につきまして御審議をお願いいたします。
○委員長(鶴保庸介君) これより採決を行います。
 まず、私、鶴保庸介外八名発議の李明博韓国大統領の竹島上陸と天皇陛下に関する発言に抗議する決議案及び私、鶴保庸介外七名発議の香港の民間活動家らによる尖閣諸島不法上陸を厳しく糾弾し、厳重に抗議する決議案の委員会審査を省略することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次に、愛知治郎君外八名発議の内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案の委員会審査を省略することに賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴保庸介君) 少数と認めます。よって、本決議案の委員会審査省略要求の件は否決されました。
 ここで、長沢理事から意見表明の希望がございます。長沢広明君。
○長沢広明君 この後、国民の生活が第一など七会派提出の問責決議案の取扱いについて採決を行う運びとなっておりますので、それに当たり、我が公明党の意見を表明させていただきます。
 既に二百二十日にも及ぼうとする本通常国会での議論の結果、我が党として、野田民主党内閣には政権担当能力が著しく欠如するなどの理由から、問責に値するとの結論に至りました。そのため、自由民主党とともに問責決議案の提出に踏み切り、問責に値するとの認識を共有する他の野党会派との決議案を一本化すべく努力してまいりました。しかし、それが実らなかったことは誠に残念の極みでございます。
 自民党、公明党提案の問責決議案が今採決により本会議に上程できなくなったこの段階で、もう一方の七会派提案の問責決議案を委員会審査を省略して上程することについては、これを認め、賛成いたします。
 しかし、七会派の決議案の提案理由には、税と社会保障の一体改革に対する一方的な批判や、三党合意に関連して到底納得できない批判が理由とされており、我が党はこうした提案理由を肯定することはできません。
 よって、本会議への上程は認めるものの、本会議での採決には参加しないことをあらかじめ表明させていただきます。
 以上でございます。
○委員長(鶴保庸介君) 次に、広野ただし君外六名発議の内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案の委員会審査を省略することに賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。
 この際、お諮りいたします。
 広野ただし君外六名発議の内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案に対して、日本共産党、社会民主党・護憲連合及びみどりの風から討論の要望がございました。
 これを認めることに賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴保庸介君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条の規定に基づき、委員長において本件に対する可否を決します。
 本件については、委員長はこれを可と決します。
    ─────────────
○委員長(鶴保庸介君) 次に、本日の本会議の議事に関する件を議題といたします。
○古川俊治君 本日は、今お手元に配付しております資料のとおり議事を進めることの動議を提出いたします。
○委員長(鶴保庸介君) ただいまの古川俊治君提出の動議に賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、古川俊治君提出の動議は可決されました。
 なお、予鈴は午後四時五十五分、本鈴は午後五時でございます。
 暫時休憩いたします。
   午後四時四十九分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕

[引用おわり]

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第180通常国会の内閣支持率は「わずか5・1ポイント低下」で踏みとどまる 善戦

2012年09月15日 08時46分55秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 5年ぶりに、「内閣総辞職」ないしは「衆議院解散」がない安定した国会となった第180通常国会で、野田内閣の支持率下落が5・1%(ポイント)に踏みとどまりました。時事通信社の世論調査で、読売新聞が電話に切り替えてからは、現在唯一、個別面接方式で毎月調査しています。ちなみに個別面接方式と言っても、口頭ではなく、政党支持などは紙に書いてもらって回収する方式だと思います。

 与党12年、野党38年と野党の経験が豊富な公明党の機関紙「公明新聞」は2012年9月8日付の第180通常国会(229日間)の振り返り特集で、答弁に窮する総理の似顔絵にあわせて内閣支持率が「19・8%」になったとしました。そして、召集の同1月からマイナス8・6%だ、としましたが、閉会日の8日に前後する7日~10日の調査では3・5ポイント増となりましたので、229日間というロングランでありながら、野党からの攻撃に耐える与党民主党の野田内閣が、「わずか5・1ポイント下落」に踏みとどまったということになります。辛抱強い善戦だと言えます。
 


 内閣支持率は私は目を通すだけで、それについて多くを語ろうとは思いません。

 国会は野党が政府与党を攻撃する場ですから、開催中は与党・内閣の支持率が下がり、野党全体の支持率は上がります。ただ、当初予算が可決すると5%前後、補正予算が可決すると2~3ポイント前後上がる傾向があります。やはり予算編成権も政府が持っていることは強いのですが、不思議なことには、当初予算が衆議院を通過すると5%前後上がるのに、参議院で可決・成立しても2~3ポイントしか上がらないことです。30日ルールの存在は有名なんでしょうが、とはいえ、やはり心理的な側面も強いといえるでしょう。財源がなく厳しいですが、景気対策の補正予算が衆参で可決すると、東京・千代田区近辺の飲食店は繁盛している傾向がみられますので、やはり心理的な意味合いが強いと言えます。

 昨年は、特例公債法案の成立と見返りに、菅直人首相・民主党代表が総辞職しました。この連鎖を断ち切るために、安住淳財務相、野田首相、城島光力・国対委員長、岡田副総理らは「特例公債法案の第180通常国会会期内の成立」を自民党に迫りながら、安住財務相が衆院決算行政監視委員会で河野太郎さんの質問に対して突然、「(9月8日の会期末から2ヶ月後の)11月には国庫が空っぽになる」と答弁し、総理のクビないしは解散を第180回国会で差し出さなくてもいいとの見解を突如示唆しました。このように、野田、安住、岡田、城島のインテリヤクザの前に、谷垣禎一・自民党総裁は衆院で賛成した一体改革法案に参院で反対すると言いだし、総理から「近いうちに信を問う」との誠実な言葉をもらったうえで、参院で法案に賛成。そして、その後、国民の生活が第一が提出した「3党合意を批判する」という問責決議に賛成してしまい、落とし穴に落ちて行きました。谷垣自民党は一体改革法案の採決を記名投票表決にすることで、民主党非主流派を揺さぶり、民主党会派の国会議員数を「マイナス63人」と大きく減らすことができたので、自民党と公明党は第46回衆院選勝利に近づきました。

 特例公債法案を成立させないことで、首相のクビを差し出す連鎖を断ち切れたというのが、トリッキーですが、第180回国会の最大の功績でした。この特例公債法案のマジックについて、私が安住答弁を受けて、責任感と実力のある複数の民主党を動かしている人たちに「あれ、特例公債法案今国会で成立させないでも大丈夫らしいですね」と話を差し向けると、みんな爆笑していました。過去に与党経験を含めて、この3年間、政権の重荷を背負うなかで、ことしも特例公債法案とひきかえに総理のクビをとられるか、それとも解散に打って出た方がいいかと半年間、頭を悩ましてきたところで、「会期中に成立させないで大丈夫」ということが分かり、緊張感がほどけた大爆笑。そして、谷垣総裁が落とし穴に落ちたことも爆笑の延長線上ですが、それは失礼だし谷垣総裁はよくやったと思いますが、椅子から転げ落ちそうな大爆笑の中に、表面上の数字よりずっと少ない人数で政権の重荷を背負い続ける民主党主流派の緊張感を許していただきたいものです。まあ、衆院選のふたが開くまで、あと1年以内ですから、最後までしっかりとやりましょう。

 自民党総裁選が始まりました。「次の総理に誰がいいか」で谷垣さんが1%前後という状況で、「次の総理の顔」で次期総選挙を戦う野党期にある二大政党(女王陛下の反対党)においては、総裁の交代はやむを得ない面があったと感じます。また小沢氏の悪い作戦に毎年引っかかる「谷垣総理」に日本の外交を任せられたかと言えば疑問符が付くでしょう。しかし、3党合意をはじめ、谷垣総裁はよくやったと思います。ただ、自民党は「与党を早期の解散に追い込む」のではなく、「総理(与党代表)を低支持率で低迷させ、任期満了近くまで衆議院解散をできないように追い込む」ということを肝に銘じるよう、野党経験の先輩として申し上げたい。

 とはいえ、責任感と力のある民主党関係者も「このまま3月31日まで特例公債法案を成立させなくてもいいんじゃないか」と確認をとったり、「秋の臨時国会を開かずに自民党新総裁をデビューさせずに、来年の通常国会に予算を提出した後、定数是正法を成立させ次第、解散してしまう」と、少し悪のりをし過ぎかなあという気がします。いずれにしろ、民主党非主流派も、脚を引っ張ることだけはやめていただきたい。なかなか、与党で3度目の通常国会となると、政権の重荷を背負える人も、1人あたりが重すぎるし、2年~3年間背負い続けて走っていますから、しっかりこの閉会中に鋭気を養いたいものです。

 ただ、第181臨時国会は、特例公債法案と定数是正法案の成立のメドが付いてから、召集すべきでしょう。「秋の臨時国会を召集しないといけない」という法律・規則などどこにもありませんから。

 ところで、恒例の会期のニックネームの命名をここまでしておりませんでしたが、私は第180回通常国会を「野田国会」と命名致します。 

「首相再選を」民主支持層で6割=内閣支持率23%―時事世論調査(時事通信) - goo ニュース


 時事通信が7~10日に実施した9月の世論調査によると、民主党代表選(21日投開票)について、同党支持層のうち「野田佳彦首相の再選を望む」と答えた人が6割を超えた。国会議員票で優位に立つ首相が、地方の党員・サポーター票でも有利な情勢であることが裏付けられた。一方、野田内閣の支持率は前月比3.5ポイント増の23.3%で、2カ月ぶりに2割台に回復した。不支持率は同5.1ポイント減の56.0%だった。

 調査は全国の成人男女2000人を対象に、個別面接方式で実施した。有効回収率は64.9%。

 民主党代表選での首相再選について、「望む」32.0%に対し、「望まない」48.1%で、内閣支持率と同様の傾向を示した。ただ、民主党支持層に限ると「望む」は63.5%。「望まない」の26.0%を大きく上回った。無党派層では「望む」29.2%、「望まない」48.8%だった。

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少年院・少年鑑別所法案が参院でまったく審議されず廃案 審査順のプロセス透明化が必要だ

2012年09月13日 05時41分08秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 委員会での法案審査の順番に関しての情報公開、プロセス(過程)の透明化も必要です。

 第180通常国会の法案のうち、継続審査(閉会中審査)になった案件と、廃案になった案件を復習していたら、「少年院法案」と「少年鑑別所法案」、それに加えて、「両法律の施行に伴う関係法律整備法案」の合計3法案が、参議院法務委員会でまったく審議されないまま廃案になっていたことが分かりました。

 参院では会期末処理で「閉会中審査」にすると、次の国会召集当日に自動的に「参院先議法案」になってしまうことから、「閉会中審査」にしないのですが、本予算審議が参院で始まった3月6日に同院先議で提出するという法務省の国会対策にも疑問が残るところです。

 法案審査を業界団体の手から一般国民の手に取り戻す。それは国会議員にとっても、有権者にとっても、国会にとって一回の政権交代よりももっと重要な、政治を国民の手に取り戻すうえで最重要の心持ちです。

 その意味では、第180回国会で、幼保一体化(幼保一元化)法(子ども・子育て新システム関連3法)が成立したのは大きな歴史的な意義があります。もちろん、業界団体の支持をえる自民党議員らによって、参院特別委で19本という厖大な数の附帯決議が付きましたが、それほどまでに業界団体に配慮しながらも、最終的に法律が成立したことについて、野田佳彦首相、そしてそれ以上に谷垣禎一・自民党総裁の偉業は大きい。

 ところで、谷垣さんは自転車が好きですが、宏池会(自民党古賀派)は長年自転車利権につよく、事務所もその関係団体が所有するビルに入居していることは有名な話です。第180回国会では、衆参経産委が審査した「自動車競技法および小型自動車競争法の改正法」が3月31日、参院で可決・成立しました。この法律は、ケイリンとオートレースの経営をテコ入れするもので、予想が当たったときに配当を高くもらえるようにするという、かなり単純で効果的なテコ入れをする法律です。さらに、ケイリンとオートレースの法律整備を1本にしています。そうした方が審議・採決がやりやすいからでしょう。これが「日切れ法案」となり、実際に年度内3月31日に成立しました。とはいえ、同じ日切れ法案でも特例公債法案はいまだに成立せず廃案となりました。衆参財金委が審査した「中小企業者等金融円滑化法」を1年延長する法律も日切れ指定で成立しましたが、同時に成立した銀行を支援する特別措置法は5年延長です。中小企業者や住宅ローン者は1年延長で、銀行は5年延長というところに、違和感をもちました。民主党であれ、自民党であれ、国会や霞が関の近くにいる、ケイリン、オートレース、金融業の声というのは素速く反映するというのが実態でしょう。

 少年院や少年鑑別所に関係する人の各種団体はあるのでしょうか。おそらくないでしょう。

 この少年院法案と、少年鑑別所法案は、2009年の広島少年院で法務教官が在院者に暴行したり、トイレに行かせなかったり、腕立て伏せを1000回やらせたりしていた事件を受けて、在院者が法相に不服申し立てをする制度を法制化するものです。現行の少年法から少年鑑別所法(案)を独立させるという抜本改革を盛り込んでいます。

 ところが、第180国会の議事録を読むと、大臣の所信聴取の中で、小川敏夫法相や滝実法相が法案名を読んで成立をお願いしていますが、法案の趣旨説明もされていないし、与野党議員から一般質疑で話題になることもなく、提出から半年後に会期末処理がなされず、自動的に廃案になりました。

 このように少年院や少年鑑別所に関係する人の声というのは国会には届きにくいようです。

 229日間にわたる通常国会をみるなかで、「法案の審議順」があまりにも不透明であることに気付きました。委員会理事会もインターネット審議中継すべきでしょう。現在も参院の委員会は扉を半分開いたままやっており、官僚や記者が聞くことができますし、国会内のケーブルテレビでは放送されています。その内容はとくに秘密にするようなものに思えないし、第3党などはむしろ理事会を中継してくれた方がアピールにつながるでしょう。

 あるいは、英国議会のように「第1読会」として衆参事務局職員が政府提出法案の短縮法案名を朗読し担当大臣がうなずくという本会議をする。形式的ですが議事録が残るので、各委員会の理事には法案審査をしなければならないという有形無形のプレッシャーがかかるでしょう。 

 通常国会の2月・3月に解散されたことは過去半世紀一度もありません。2月は衆院予算委員会、3月は参院予算委員会が当初予算を審議しているからですが、国会議員全体のなかで予算委員になるのは1割の議員ですし、答弁にあたる政務三役を入れても全国会議員の1割に過ぎません。残りの9割はSNS媒体でも分からないようにしていますが、実際は遊んでいる人も多いです。この時期に二大政党の政調会は、各役所が国会提出法案の説明会をやっています。これは提出を予定していてまだ書き上がっていない法案も説明しているわけですが、必ずしも党内で閉鎖する情報とは思えません。二大政党が情報公開したり、国会というヒラバで、会期冒頭に各委員会を開き、大臣から提出予定法案について説明を受け、主に委員会の運びについて質疑応答をすることも現行法でできるでしょう。

 衆院内閣委員会は、17法案が継続審査(閉会中審査)となりました。第45期衆議院では民主党政権失敗の本質は、内閣委員会にあると言っても過言ではありません。最初の通常国会の終盤におきた「三宅雪子議員転倒事件」は第22回参院選が予定され、会期延長ができないこととあいまって、政治主導確立法案(国家戦略局設置法案)を含めて、多くの統治のしくみを改革する法案がほとんど廃案になり、現在まで成立しない事態となった第45期衆議院における与党・民主党失速の象徴的事件だったと言えます。

 ところがその内閣委員会で、警察庁が第180回国会に提出した法案の成立率は100%でした。「(インターネットの)不正アクセス防止法の改正法(案)」が2月21日に衆院に提出され、3月16日に衆院を通過し、3月31日に参院で可決・成立しています。暴力団対策法(暴対法)改正法(案)は2月28日に参議院に提出、6月20日に可決・衆院に送られ、7月26日に衆院本会議で可決・成立しています。衆院先議と参院先議を使い分け、延長会期末まで1ヶ月以上前の7月26日に仕事を終えたことになります。さすがは元内務官僚、さすがはカミソリ後藤田正晴さんの出身官庁だと感じます。

 農水省はねじれ国会のなか、参院農水委員長や衆院農水委員長の議員立法に助けられました。それにひきかえ、厚労省提出法案は「国民年金法の一部を改正する法案」という趣旨のタイトルの2本が未成立で継続審査となりました。一つは物価スライドであり、もう一つは年金交付国債を年金特例公債に取り替えるという3党合意にもとづく財政の技術的な法案です。どちらが何の法案だか、混同するでしょう。厚労省は「一事不再議の原則」を理解していないのではないかという絶望的な閉塞感を感じます。

 やはり理事会を公開するというのが、法律・規則の改正もいらず、委員長の判断でできますから、簡単にできる国会改革の第一歩ということになるでしょう。事務局職員の雇用も確保できるし、二大政党がともに次の衆院選で衆参両院の支配権をとれないことが確実である以上、第3極以下にとっても悪くない話だと思います。

 ちばてつやさんの漫画、アニメ、「あしたのジョー」は少年鑑別所・少年院を出てから世界チャンピオンを競うまでになりました。が、震災後の余裕のない中で、業界団体のない分野の立法は審議すらされないナミダ橋。衆参両院の情報公開による立法過程(プロセス)の見える化に向けて、当ブログの闘いもあしたのジョーのごとく、まだまだ続きそうです。

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◎第180通常国会が閉幕 229日間の長丁場

2012年09月07日 13時20分33秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]閉幕挨拶をする横路孝弘・衆議院議長、2012年9月7日、衆議院インターネット審議中継

 2012年(平成24年)1月24日(火)から9月8日(土)までの229日間に及んだ長丁場の第180回国会(第180常会)が閉幕しました。

 社会保障と税の一体改革関連法が成立した、「一体改革国会」「消費税増税国会」と呼ばれることになるでしょう。民主党分裂と衆院第3会派「国民の生活が第一」が結党されるなど、院の構成が変化し、会期独立主義に問題を残した国会となりましたが、2007年の通常国会以来5年ぶりに、内閣総辞職も衆議院解散もない落ち着いた国会となりました。

 衆法成立本数、参法提出本数が多く、閣法の議員修正も活発になるなど、未来への扉が大きく開いた国会となりました。

 衆院本会議は、同日参院を通過したばかりの「参院の4増4減による定数是正のための公職選挙法改正案」(180参法36号)を議院運営委員会理事会の付託を省略して、本会議で衆院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会での閉会中審査案件にしました。

 法務行政や厚労行政に関して、355請願を採択しました。

 昨年の通常国会の閉幕あいさつで、第177回国会を震災国会と名付けた横路孝弘議長でしたが、第180回国会の閉幕にあたっては「今国会は1月24日の召集以来、229日間の長期間に及びました。諸君におかれましては、ご自愛のうえいっそうご活躍くださいますよう祈念いたします」という短いあいさつで終わりました。度重なる院の構成の変化に思うところがあったのかもしれません。

 第181臨時国会は二大政党党首選が今月下旬に終了して以降に召集されることになります。特例公債法案(廃案)の出し直しと公明党が水ぶくれ予算と批判する今年度予算のメリハリのある見直しがポイントとなりそうです。第45期衆議院・第21期第22期参議院としては、秋の臨時国会と次の通常国会が解散含みとなりますので、対決法案と全会一致法案をていねいに陣立てしてよく理解したうえでの次の国会がのぞまれます。

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平田健二・参議院議長が第180通常国会閉幕のあいさつで「定数是正を衆院に送付」に安堵

2012年09月07日 12時38分29秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]閉幕あいさつをする平田健二・参議院議長、2012年9月7日、参議院インターネット審議中継から。

 平田健二・参議院議長が第180回通常国会閉幕のあいさつをしました。

 平田さんは「今国会は時として会派構成が変わる中で、社会保障と税の一体改革関連法案など活発な議論がされました」とし、民主党分裂・国民の生活が第一結党による院の構成の変化に苦言を呈しながらも、今国会の重大案件は一体改革だったとの認識を示しました。

 そして「定数是正についても本日、衆議院に送付することができました」と語り、前任者の西岡武夫議長が求めた11ブロックによる抜本改革にはほど遠いとはいえ、来年7月の第23回参院選に向けて、違憲状態の解消を参院で可決し、衆院に送付したことで最低限の仕事を果たせたとの安堵感をみせました。

 「さる7月に本院が主催し、こども国会を開催しました。報告書は近く、みなさまのお手元にお届けする予定です。議長として本院がこれからも未来を担う子どもたちのこのような機会を与えることを期待します」と語りました。

 そのうえで「内外の情勢が多難な折、議員各位におかれましては、これからもなお一層ご活躍されることを願ってやみません」としめくくりました。

 参議院議長が通常国会閉幕にあたりあいさつできたのは、2年連続。第174回通常国会では、政治とカネの問題で国民の信頼を失った鳩山由紀夫首相・小沢一郎与党幹事長の総辞職から会期末まで14日間しかなく、予想外の複数立候補による民主党代表選で菅直人首相が選ばれた混乱から、会期末処理ができず、全法案廃案、全請願不採択という大失態をおかして、参院選に突入し、大惨敗、衆参ねじれとなる取り返しのつかない事態となりました。

 その状態から、何とか態勢を立て直して、2年連続で議長があいさつできる状態となりました。平田さんは民社協会2人目の三権の長ですが、政治キャリアが短いため、議長席で時折、言いよどむこともありますが、無事これ名馬、初めての通常国会を見事やり終えました。

 財政運営のために必要な特例公債法案は廃案となったので、秋の臨時国会では、衆院先議で新しい法案が出てくるものと思われます。

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衆・倫選特別委員長の解任動議が提出 大荒れの会期末処理

2012年09月07日 12時27分25秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]会期末に委員長解任動議を趣旨説明する衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会、2012年9月7日、衆議院インターネット審議中継から。

 各委員会で会期末処理が行われました。

【特例公債法案、防衛省設置法改正案、総合こども園法案は審議未了で廃案に】

  ただし、衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会は開かれませんでしたので、総合こども園法案(180閣法76号)は審議未了で廃案になりました。参院の特別委員会では「消費増税反対」の請願が実に749件寄せられましたが、採択は保留して散会しました。

 また、参・財政金融委員会は「財政運営に必要な特例公債法案」(180閣法2号内閣修正衆院可決)を議題としませんでした。参・議院運営委員会が付託していないものとみられ、廃案になる見通しです。政府は第181回・秋の臨時国会の冒頭にも再度法案を出し直す必要が出てきました。ただし、公明党が「水ぶくれ予算の見直しと含めて出し直す責任は政府・民主党にある」という趣旨の発言を代表や国対委員長がしていますので、閉会中に政府の知恵や公明党とのパイプが太い新進党勢が官邸を占める野田政権の水面下での工作が期待されます。

 参院・政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会は、衆院定数是正法案(180衆法22号、樽床伸二さんら提出)を議題とせず、審議未了・廃案となりました。秋の臨時国会の召集を待たずして超党派で合意した法案の提出と成立が衆参与野党の全議員の義務です。

 衆院安全保障委員会は、第174回国会で自民党が提出した3つの衆法を継続審査としました。しかし、今国会で防衛省の唯一の国会提出法案だった「防衛省設置法改正案」(180閣法29号)は議題とならず、審議未了廃案となりました。この法案は、昨年の通常国会で衆院可決・参院で審議未了廃案となったものを出し直したものですが、防衛官僚が国際会議で発言しやすいよう防衛政策局長の上に「防衛審議官」というポストを新設したり、防衛医科大学に看護学科を新設したりするという法案。別に防衛政策局長の肩書きで国際会議に出たり、他の学校を出た看護師を自衛隊が採用すれば事足りるわけで、自民党からも必要ないとの声があり、廃案となりました。もう出ることはないと思います。防衛省国会連絡室は、夏休みをとりやすかったかもしれません。

【衆院内閣委員会では内閣提出だけでも12議案が継続審査の渋滞続く】

 現在もっとも長くたなざらしになっている第174回通常国会提出の独禁法改正案(174閣法49号)は、衆院経産委で、民主党・自民党などの起立多数で閉会中審査(継続審議)となりました。174回国会で参院で可決寸前まで行きながら鳩山内閣総辞職など会期末の混乱で廃案となり、出し直された「地球温暖化対策基本法案」(176閣法5号)も民主党などの賛成多数で衆院環境委員会で閉会中審査となりました。が、野党・民主党が参院に出した福山・岡田法案の前提が「3・11」で大きく崩れましたので、引き続き練り直しを求められます。

 衆院内閣委員会では、閣法だけで11法案1議案の合計12本が継続審査となり、渋滞ぶりが際立ちました。枝野幸男・行政刷新相が力を入れていた「裁判官のインカメラ審査を可能とする情報公開法改正案(177閣法60号)」、中川正春国務大臣により衆院委員会での質疑答弁までこぎ着けた「労働協約権を付与する国家公務員制度改革4法案と1承認案件」(177閣法など)、マイナンバー2法案、独立行政法人通則法2法案などが民主党と公明党などの賛成多数で閉会中審査となりました。

 衆院厚生労働委員会は請願896件のうち、腎疾患に関する167件、難病・小児医療に関する131件、精神疾患の地域医療に関する10件の3類型の請願を内閣に送付することを全会一致で可決しました。そのうえで、「消えた年金の回復を受けた国民年金法の一部を改正する法案」 (179閣法15号)、「労働安全衛生法の一部を改正する法案」(179閣法16号)、「年金交付国債を外し年金特例公債に付け替える国民年金法改正案」(180閣法26号内閣修正)、3党合意に基づき社会保障と税の一体改革法を補う「年金生活者支援給付金法案」(180閣法83号)は起立多数で閉会中審査(継続審議)としました。

 そのうえで、前日に付託されたばかりの長妻昭さんら提出の「医薬品行政評価・監視委員会設置法案」(180衆法35号)は、採決の結果、起立が民主党ら22人。池田元久委員長は念のため反対者を起立させたところ、自民党ら22人。可否同数のため、国会法50条にもとづき委員長が判断し、可決、継続審査としました。

【衆院倫選特では委員長解任動議、衆院国交委・内閣委は自民党欠席】

 衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会では冒頭、自民党の西野陽さんらから「赤松広隆委員長解任動議」が提出されました。そのため与党側筆頭理事の加藤公一さんが委員長代理を務め、西野陽さんが趣旨説明し、民主党の柿沼正明さんが反対討論、自民党の阿部俊子さんが反対討論、公明党の富田茂之さん、共産党の佐々木憲昭さんらも反対討論。そのうえで採決し、解任動議は否決されました。赤松委員長が席に戻ってから、自民党や公明党が提出した定数是正法案、政治資金規正法強化法案、政党助成法改正案などの各種議員立法が継続審査となりました。

 衆院国交委や衆院内閣委などで自民党が欠席しました。

【参院決算委は無念の平成22年度決算継続審査も、委員長と理事が衆院決算行政監視委に申し入れ】

 参院決算委員会では、山本順三委員長が、中川雅治、今野東両理事とともに、衆院決算行政監視委員会を訪れ、衆院先議の各年度の予備費使用調書(半年ごとにその1、その2)をもっと早く送るよう申し入れたことが紹介された後に、平成22年度決算を継続審査としました。

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かけこみで命にかかわる2法が成立 参院本会議

2012年09月07日 11時49分13秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 命に関わる2法案がかけこみで成立しました。

 参議院厚生労働委員会(小林正夫委員長)は2012年9月7日(金)の午前9時から開会。

 「改正薬害肝炎(特定フィブリノゲン製剤と第9因子血液凝固製剤)被害者救援金の特別措置法」(180衆法34号)
 「母子家庭の母、父子家庭の父の就業支援に関する特別措置法」(180衆法38号)

 の2本が、審議入り。提出者の池田元久・衆院厚生労働委員長が趣旨説明し、質疑、討論は省略の上採決し、ともに全会一致で可決しました。

 午前11時半からの参院本会議で成立しました。賛成238、反対0の全会一致。

 このほか、参院選挙区定数を4増4減する公職選挙法の一部を改正する法案(180参法36号、一川保夫・溝手顕正民自幹事長ら提出)が賛成202、反対36で可決し、衆院に送られました。

  野田問責後国会では、9月6日の衆院本会議で「移植にもちいる造血幹細胞の適切な提供の推進法」(180参法35号)も成立しています。

 これについて、7日付公明新聞は1面トップで伝え、2つのNPO法人の理事長の声を紹介。一人は「公明党をはじめ、法律成立に尽力していただいた各党の方々には大変感謝しています」。もう1人は「率直に言って私には、これまで活動に際して政治家に頼るという発想はありませんでした」とし、先に掲載された理事長からの紹介を受けて、「公明党のみなさんと触れ合う中で、一人の市民の声に耳を傾け、党を挙げて取り組む姿勢を目の当たりにしました。公明党の中に真の政治家の姿を見た思いです」と感謝のコメントを寄せました。公明新聞は昨年7月に、松あきら副代表や今回提出者となった渡辺孝男さんら7議員が臍帯血の保存設備を東京都赤十字血液センターを訪れた写真を載せました。


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第180国会は「議員立法国会」衆法成立は55年体制以降最多の24本、参法36本提出は参議院発足後最多

2012年09月07日 07時02分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]衆法提出者として参院本会議に登壇した民主党の長妻昭・衆院議員、2012年7月11日、参議院インターネット審議中継から。

 歴史に残る国会となりました。

 第180回通常国会は、衆法の成立本数が24本(7日参本で可決・成立する改正薬害肝炎被害者救済金特措法と母子家庭の母父子家庭の父の就労支援法の2法入れる)となり、55年体制以降最多となりました。また、参法の新規提出本数は36本で、憲政史上(参議院発足以来)最多となりました。

 今国会での新規提出法案は

 閣法(内閣提出法案)が新規提出83本中51本で成立率61%。

 衆法(衆院提出法案)が新規提出38本中24本で成立率63%。


 参法(参院提出法案)が新規提出36本中 5本で成立率13%。

 このうち、衆法の成立本数24本は、第22回特別国会(1955年3月18日から7月30日)の35本以来、久しぶりの20本台となり、55年体制(自民党衆参1党支配)1993年体制(連立内閣時代)を通じて最も多い本数。成立率も1本提出1本成立の場合もありますが、57%は極めて高い水準。

 参法の提出は36本で、参議院発足以来最多。もともと閣法としてできた法律を、参議院農林水産委員長、厚生労働委員長、文教科学委員長、経済産業委員長らの起草で全会一致で通すケースが多くみられました。

 参法の成立件数も、55年体制が発足した第24回通常国会での13本中7本成立、小渕連立内閣の第145回通常国会の22本中5本成立となっており、平成元年からずっと続く参院で第一会派が過半数を得ない状態での最多タイ記録となりました。

 衆院委員長も同様で、農水、厚労、環境各省などは、手間がかかる閣法よりも、必要な修正部分を国会議員に根回しして提出してもらっているような気配を感じました。参法が増えた背景には、衆参ねじれにより予算成立後の序盤に衆院委員会で法案が渋滞しているさいちゅうに、参院がバックアップする「働きます国会」が、参院の一部委員会でありました。民主党の小川勝也・参院農林水産委員長、小林正夫・参院厚生労働委員長に加えて、自民党の野上浩太郎・参院文教科学委員長らが良い仕事をしました。やはり政務三役経験者が委員長である傾向があります。衆参ねじれと「余裕がない時代」の国会においては有力な手段となりそうです。ただし、起草から可決まで時間が短いことから、衆参両院のホームページの迅速化・充実を求めます。

 衆法に関しては、3党協議や与野党協議で、閣法などを撤回したうえで、議員立法するケースが目立ちました。郵政見直し法(改正郵政民営化法)や、原子力安全委員会設置法が、3党の実務者が提出者になったり、衆院環境委員長が提出者になったりして、参議院でも答弁したうえで成立しました。

 このほか、閣法を議院修正するケースも激増し、社会保障と税の一体改革関連8法案は衆院段階で修正し、衆法2本を新規追加したうえで、衆院で可決。参院でも成立しました。このため、修正案と原案をあわせて委員会での採決は15回起立を繰り返したことから、委員の10倍になる本会議メンバーが状況を把握できず、大量造反者を出すことにつながってしまいました。このほか、衆議院厚生労働委員会では、筆頭理事の民主党・岡本充功さんが3党合意にもとづく修正案発議者をたびたび務め、「岡本国会」の様相を呈しました。小選挙区導入後初めて首相経験者(海部俊樹元首相)を落選に追い込んで得た第45期衆議院の議席での岡本さんの活躍は、海部さんも喜んでいるのではないでしょうか。沖縄の本土復帰40周年にともない特措法2本を10年延長する法律づくりでは衆参与野党の沖縄選出・担当議員が会議室に集い閣法を修正(野党提出参法は撤回)しました。

 参院先議の閣法では、「改正船員法」で参院修正がかかってから、衆院に送られるなど、衆参とも議員の自由度が高まりました。

 新規提出参法が最多になった背景には、提出のハードルが衆議院より低いことで、みんなの党、公明党がおそらく第46回衆院選マニフェストに盛り込むねらいがある政策を参法として提出したことがかさ上げにつながりました。
 
 これまでの議員立法の主流だった「議員連盟方式」では、通称「音(おと)議連」による、劇場法(劇場、音楽堂等の活性化に関する法律)が参法で、「古典の日に関する法律」が衆法でともに委員長提出で成立。しかし、やはり国会全体が「余裕がない」状態となっており、超党派議員連盟方式による新規立法は冬の時代を迎えそうです。 

 与野党問わず、実力ある衆議院議員が参議院で答弁し、実力ある参議院議員が衆議院で答弁する機会が増えました。一体改革法案では自民党の3期生が重要な修正者になったり、民主党の1期生が参院答弁者になったりしました。こういった両院の垣根が低くなったことが衆参ねじれの解消につながるでしょう。

 二大政党激突時代に、衆議院任期中解散含みとなる3度目の通常国会ですから、閣法成立率の低下はある程度やむを得ませんが、政務三役経験者の増加により議員立法の成立が増え、政権交代をねらう野党が単独で「マニフェスト法案」を提出したことで提出本数が増えたという傾向がみてとれます。このように政権交代ある政治の果実は確実に増えています。

 その一方で、法案提出者・修正案提出者が一部議員に偏る傾向がありました。ハッキリ言えば、能力のない議員が何もできない状況が続いています。そのため、両院とも委員会と本会議の垣根が高くなりそうです。それが、一体改革法案の衆院採決での大量造反につながったのでしょう。国会法では委員会の賛否に限らず、本会議での採決がすべてです。時代の速さに半歩以上遅れだして必死にあがく与野党議員に情けは無用です。私たち有権者はそういう議員を切らなければ、私たちの生活にかかわります。たしかに定数削減は必要ですが、極端なまでに、衆議院・参議院・国立国会図書館の総予算を切り込んでしまうのは問題ありでしょう。

 付け加えると、成立衆法が55年体制以降最多、新規提出参法が参議院発足後最多となったことにふれずに、党首選に明け暮れる既存メディアに猛省を促したいところです。衆参各院の議事課、広報課、法制局は積極的・能動的に、これを記者発表すべきだったでしょう。

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提出できなかった法案は出先改革、「後期高齢者」廃止、PKO協力法改正、農業者戸別所得補償法案など

2012年09月06日 20時45分02秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 第180回国会はあす2012年9月7日(金)、衆参両院の委員会で未成立法案の会期末処理(閉会中審査・継続審査あるいは廃案)、請願の採択などを終えて、事実上閉会します。私が2007年8月にこのブログを開設してから、初めて内閣総辞職と衆議院解散のいずれもない通常国会となりました。

 この国会では新規提出内閣提出法案(閣法)がおととしの鳩山内閣・小沢一郎幹事長体制による第174回国会を上回ることができたほか、衆法・参法の成立率がとても高い国会となりました。参議院にある、財政運営のための特例公債法案(180閣法2号内閣修正)、定数是正と定数削減法案(180衆法22号)、衆議院にある国家公務員制度改革法案などの会期末処理は改めて書くとして、ここでは、今国会に提出できなかった法案についてまとめます。

 内閣官房の内閣総務官室がまとめている「第180回国会内閣提出法案件名・要旨調」で提出を検討しているとした法案の中で、提出されなかったのは、内閣官房の「秘密保全法案」、内閣府の「国の出先機関の地方移管法案」、「PKO協力法延長法案」、農水省の「農業者戸別所得補償法案」、法務省の「人権委員会設置法案」と「人権擁護委員法の一部を改正する法案」など。このうち、マニフェスト関係では、直接支払い(農業者戸別所得保障法案)の法的措置(平成22年度当初から予算化済み)、出先機関の地方移管(マニフェストでは「原則廃止」)などが先送りとなりました。

 このほか、6月15日の3党合意(社会保障と税の一体改革法案の民自公修正協議)にもとづき、当初予算の年金交付国債を削除し年金特例公債を基礎年金の国庫負担部分に充てる補正を盛り込んだ第1次補正予算案は提出されませんでした。これはおそらく12月14日(金)の年金支給日には関係してくると思いますので、秋の臨時国会(召集未定)には確実に出てくるでしょう。

 それと、野田佳彦首相が提出する意向を答弁していた「後期高齢者医療保険制度を廃止し国民健康保険などを強化する法案」も提出されませんでした。これもマニフェストの重要案件でしたが、野党・民主党の直嶋正行政調会長が記者会見で「所要額数千億円の見込み」と発表するなど野党では情報把握と計算に限界がありました。2008年4月1日の開始から4年以上が経ってしまい、ものすごい数字のボリュームが必要な分厚い法案になるでしょうが、厚労省はぜひ頑張って計算して、遅くとも来年の通常国会には出してほしいところです。

 上述した「国の出先機関改革法案」が出なかったのは残念です。2009民主党マニフェストには「国の出先機関を原則廃止する」とだけ書いてあり、いかにも野党一筋11年間の政党が書いた絵に描いた餅でしたが、この問題の難しさがようやく分かってきたことでしょう。

 そこで私は提案があります。例えば、東北地方整備局は素晴らしい。東日本大震災のときの、東北地整による東北自動車道の啓開(けいかい)活動がなければ、自衛隊をはじめとする復旧活動がどうなっていたかと考えるとぞっとします。それはさておき、国土交通省の大臣官房には、全国の地方整備局の職員の名簿というのはあるんでしょうか。そして、各職員がいつ、どこの役所で採用されたのか、すべて備えているのでしょうか。そういった情報公開や事業仕分けをしてから、アクションプランをつくるべきではないでしょうか。例えば、国税庁の長官官房には、出先機関の職員の名簿も見事なまでに完備されているんだろうと考えます。

 大手町にある国税庁の出先機関は「東京国税局」ですが、隣には、農林水産省の出先機関「関東農政局」があります。なぜ「東京」と「関東」なのか。関東信越国税局は埼玉県にあります。さらに山梨県には東京国税局甲府事務所があります。こういった役所ごとの区割りこそが出先機関のやっかいさであり、この整理がない状態で、渡りに船で、地方自治体による広域地方公共団体である「広域連合」に移管しようとしたって、そもそも区割りが違うのだからうまくはまりません。法案より先に、こういった現状を「出先機関仕分け」で国民に理解してもらわないと現実には難しいと思います。第45期衆議院での成立はあきらめて、仕分けと法案作りをしたうえで、信を問い、選挙後の勢いで特別国会で官僚の抵抗をはねのけるようでないと、少し無理だと考えます。菅直人前首相が役人を怒鳴ってアクションプランをやり直させたのは良かったと考えます。

 これだけ見ると、秋の臨時国会はてんこ盛りのような気がしますが、ていねいな陣立ての上、十分に準備期間を置いて召集すべきだと考えます。

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衆議院本会議、衆規則112条にもとづき議題順番を変更 6法・4条約成立

2012年09月06日 13時46分20秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【衆議院本会議 2012年9月6日(木)】

 議事日程が11本用意されていましたが、衆議院規則第112条、衆議院先例210にもとづき、議題の採決順が変更されました。

 まず、日程第1から第3までの池田元久・厚生労働委員長の委員長報告や趣旨弁明がありました。

 このなかで、「移植にもちいる造血幹細胞の適切な提供の推進法」(180参法35号)が可決・成立し、公明党の執念が実りました。

 この後、横路孝弘議長が「お諮りいたします。日程第四ないし(乃至)第十一は後回しに致したく存じますが、ご異議ありませんか」と述べ、承諾されました。「ないし(乃至)」とは広辞苑によると、数を示すときに上と下との限界を示して、中間を略すのに使う語で、・・・から・・・にかけて、という意味です。ですから「日程第四ないし第十一」とは「日程第四から第十一にかけて」という意味です。

 当然にして、日程第十二が議題となり、中山義活・経済産業委員長の報告で、「改正中小企業等協同組合法」(180参法33号)が可決・成立しました。今国会では議員立法による改正法案がとても多くなっています。

 この後、横路議長は「さきほど後回しにした日程第四を議題といたします」と宣告すると、野党が退席したようです。

 「改正金融商品取引法」(180閣法67号参先議)は起立採決の結果、1人だけ着席者がいたようで、参事や事務総長と相談のうえ、横路議長は「(全会一致ではなく)賛成多数で可決しました」と述べ、可決・成立しました。

 今国会でもともと提出法案が多かった上、前国交相の問責政局により、渋滞していた国土交通委員会ですが、「改正海上運送法」(180閣法39号参先議)、「改正海洋汚染・海上災害防止法」(180閣法40号参先議)、「改正船員法」(180閣法四十一号参先議参院修正)の3本が可決・成立しました。これも、横路議長が「ひとりすわっているね」と鬼塚誠事務総長と相談の上、賛成多数で可決を宣言しました。これで国交省は今国会に13議案(前国会の積み残しも含めた12法案と北朝鮮制裁1承認案件)のうち7本成立にこぎつけました。羽田雄一郎国交相の手腕です。二世議員というのは経験と時間的余裕からこういう手堅い仕事をする傾向がありピンチでの登板に向いている傾向があります。

 この後、条約の締結案件。

 田中眞紀子外務委員長は、「欧州復興開発銀行(EBRD)を拡大することにともなう設立協定の改正の受諾への承認」(180条約8号参先議)、「ACTA偽造品取引防止協定の締結への承認」(180条約9号参先議)、「海上労働条約の締結の承認」(180条約10号参先議)、「GATT関税と貿易の一般協定の譲許表第38表(日本)の修正と訂正に関する確認書の締結への承認」(第180条約11号参先議)の4本を報告し、可決し、両院の承諾で批准が決まりました。4条約とも、多国間条約なので、バイラテラルな国際社会と到来を感じさせました。

 なお、国交3法と条約4件は陽の当たる民主党1期生である阿知波吉信さんと山尾志桜里さんがそれぞれの持ち場で、汚れ役(強行採決のための質疑打ち切り動議の提出者)を買って出たために、時代を前に進めることが可能になった議案です。場合によっては、他党の支持者から悪く言われることをやっても、シオリン&アッチーはだれも気付かないところで時代を前に進めたのです。代表選などやっている場合ではないのです。

 このほか、「特定フィブリノゲン製剤および第9因子血液凝固剤の被害者への給付金支給特別措置法の改正案」(180衆法34号)、「母子家庭の母・父子家庭の父の就業の促進に関する法案」(180衆法38号)が可決し、参院に送られました。会期は土曜日まであるので、あすのうちに趣旨説明、質疑、採決をして、金曜日か土曜日の本会議で成立させて欲しいものです。

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