【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

こども家庭庁が条文ミス「こども」を「子ども」と1か所間違え判明 今国会提出の改正法案で修正へ

2024年01月31日 21時11分58秒 | 法制執務
[写真]首相官邸裏のすいせん、4年前の2020年5月28日、宮崎信行撮影。

 こども家庭庁の小宮義之長官官房長は、きょうの立憲民主党の「政調・国対合同法案ヒアリング」できょねん成立した「令和五年法律第五十八号」で改正した「子ども・子育て支援法」の中で「こども」を「子ども」とした条文ミスが一か所ありことを明かしました。

 改正法がとけこんだあとの「第58条の9第6項第3号イ」の中に「認定こども園法第十七条第一項の認可又は認定子ども園法第三条第一項若しくは第三項の認定」とあります。このうち後者の「認定子ども園法」は「認定こども園法」が正しかったとのことで、2月中旬にも提出予定の改正法案に盛り込むことになりました。

 「太郎とはなこの勉強会」とされた参議院自民党の若手の「こども庁構想」を無派閥の菅義偉首相(当時)が救い上げました。この際、こどもが直接アクセスできるために「こども」とすべてひらがな表記されました。その後、旧統一教会の支援を受けた先輩議員らの影響で「家庭」が加わりましたが、若手の要望で「こども」の表記は残り、「こども家庭庁」という名称として発足しています。

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きょう昼過ぎ採決へ、新型インフルエンザ特措法改正案は問題ないように思う、内閣法制局第二部で光る知恵ある法制執務

2020年03月11日 08時08分31秒 | 法制執務
[写真]内閣法制局が入る庁舎前に立つ宮崎信行、2年前の2018年夏。

 中盤国会で突如浮上した「新型インフルエンザ特措法改正案」が、きのう提出され、きょう昼過ぎに、衆議院内閣委員会で採決される公算。

 私は法案をゆうべ内閣官房のホームページで読みました。知恵がある、改正法案だと考えます。本則には手を付けず、附則に「第1条の2」を挿入する法案です。この方式ですと、この文章は、「令和2年3月13日改正法の附則」として永久に(廃止法ができない限り)残ることになります。2年間で失効しますが、条文は永久に残るので、歴史の検証に耐えます。

 一時2月1日に遡って施行するという案文が検討されたと報道されています。ゆうべ読んで分かりましたが、自治体が策定した「新型コロナウイルス対策の行動計画」などを有効であらしめるための法制執務だったようです。

 法制執務。とは、立法事実を法律に溶け込ませて効かせるために、法文を策定する作業のことを言います。この法案は、内閣法制局第二部の担当でした。

 第201回通常国会では、防衛省設置法改正案が野党が審議に応じないかまえを見せています。この改正法案は、「来年3月31日までの間において政令で定める日から施行する」とあります。数年前の「グルジア大使館をジョージア大使館と呼び名を変える在外公館・位置・名称・給与法を改正する法律は、「今年4月1日に施行する」とあったのに参議院で審議が遅れて、衆議院に送り返して修正しました。在京ジョージア大使が3週間遅れて看板を書き直す姿が報道されました。その後、「今年4月1日または公布日のいずれか遅い日から施行する」という文案が流行りました。今回は「来年3月31日までの政令で定める日に施行」となりましたので、野党泣かせかもしれません。

 防衛省も、内閣法制局第二部のようです。内閣官房や防衛省のキャリアがそこまで改正法案を執筆する法制執務の手練れになる必要はありませんから、内閣法制局第二部に、芥川賞クラスの法制執務に長けた参事官がいるということでしょう。日本の官僚機構、法治国家もまだまだ捨てたものではありません。

上述の改正法案の全文引用はじめ]

新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)の一部を次のように改正する。
附則第一条の次に次の一条を加える。
(新型コロナウイルス感染症に関する特例)
第一条の二新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一
月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたも
のに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措
置法の一部を改正する法律(令和二年法律第号。同項において「改正法」という。)の施行の日か
ら起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型イン
フルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。
2前項の場合におけるこの法律の規定の適用については、第十四条中「とき」とあるのは、「とき(新型
コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民
共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)で
あるものに限る。)にあっては、そのまん延のおそれが高いと認めるとき)」とする。
3前項に定めるもののほか、第一項の場合において、改正法の施行前に作成された政府行動計画、都道府
県行動計画、市町村行動計画及び業務計画(以下この項において「行動計画等」という。)に定められて
いた新型インフルエンザ等に関する事項は、新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等に関
する事項として行動計画等に定められているものとみなす。

附則
この法律は、公布の日の翌日から施行する。

[全文引用おわり]

以上です。